プレイス

プレイス
	プレイス Pleuronectes platessa
分類ぶんるい
学名がくめい
	Pleuronectes platessa; Linnaeus, 1758
シノニム
	Platessa latus Cuvier, 1829; Platessa platessa (Linnaeus, 1758); Platessa vulgaris Cloquet, 1826; Pleuronectes borealis Faber, 1828; Pleuronectes latus Cuvier, 1829; Pleuronectes platessa baltica Nilsson, 1855;
和名わみょう
	ヨーロッパツノガレイ
英名えいめい
	European plaice

プレイス（学名がくめいPleuronectes platessa、英名えいめいEuropean plaice）は、カレイ目めの魚さかなの一いち種たねである。水産すいさん上うえの重要じゅうよう性せいが高たかい。別名べつめい：ヨーロッパツノガレイ

分布ぶんぷと生息せいそく域いき

プレイスの生息せいそくする地理ちり的てきな範囲はんいは、バレンツ海うみから地中海ちちゅうかいの沿岸えんがんや、北東ほくとう太平洋たいへいよう、グリーンランドにまで及およぶ。非常ひじょうによく見みられる魚さかなで、水深すいしん10mから50mのヨーロッパの大陸棚たいりくだなの砂すな質しつおよび泥どろ質しつの海底かいていに多おおく、たいていは水深すいしん10mから50mに生息せいそくする。日にち中ちゅうは堆積たいせき物ぶつに潜もぐり込こむようにして、長ながい間あいだ動うごかずにじっとしている。最大さいだいで水深すいしん約やく200mの場所ばしょでも見みつかることもあるが、特とくに幼魚ようぎょは、非常ひじょうに浅あさい沿海えんかいまで来くる。

塩分えんぶん濃度のうどが低ひくい環境かんきょうでも生いきることができ、汽水域すいいきや淡水たんすい域いきで見みつかることもある。

特徴とくちょう

プレイスの体からだ色しょくは濃こ灰色はいいろから濃こ茶色ちゃいろで、橙色だいだいいろの不規則ふきそくで目立めだつ斑点はんてんがついている。下した側がわは白しろい真珠しんじゅ色しょくである。表皮ひょうひは滑なめらかで鱗うろこは小ちいさい。周囲しゅういと合あうように体からだの色いろを変かえることができるが、橙色だいだいいろの斑点はんてんは常つねに残のこったままである^[1]。表皮ひょうひにはとげはない。

体長たいちょうは最大さいだいで約やく1mになるが、網あみにかかる成魚せいぎょはほとんどが50cmから60cmの間あいだである。記録きろくに残のこる最大さいだいの体重たいじゅうは7kgで^[2]、寿命じゅみょうは最長さいちょうで50年ねん生いきた記録きろくがある^[2]。

成魚せいぎょの外形がいけいは楕円だえん形がたで、頭あたまはかなり小ちいさく、全長ぜんちょうの25%以下いかである。先端せんたんには小ちいさな尖とがった口くちがあり、上顎じょうがく骨こつは右目みぎめの下したまで達たっしている。両目りょうめは体からだの右側みぎがわに偏かたよっている。両りょう目めの下したの骨ほね稜りょうは、この種たねに特徴とくちょう的てきなものである。側線そくせんは胸むねびれのところで緩ゆるくカーブしている。背せびれは目めの位置いちまで達たっしている。背せびれと尻しりびれは、尾おびれから離はなれている。尻しりびれには48本ほんから59本ほんの柔やわらかい鰭ひれ条じょうととげがある。背せびれには65本ほんから79本ほん、胸むねびれには10本ほんから11本ほん、腹はらびれには6本ほんの柔やわらかい鰭ひれ条じょうがある^[3]。

餌えさ

夜間やかんに活動かつどうし、多毛たもう類るい、甲殻こうかく類るい、二枚貝にまいがい等ひとしを食たべる。1歳さいから2歳さいの幼魚ようぎょは主おもにコエビ下目しためを食たべる。

生活せいかつ環たまき

北海ほっかいにおける主要しゅような産卵さんらん場所ばしょは、Southern Bightやイギリス海峡かいきょうの東部とうぶである。プレイスの産卵さんらん数すうは、実際じっさいに産卵さんらんを開始かいしするより前まえに決きまる。メスが成熟せいじゅくする、すなわち産卵さんらん可能かのうになるのは3歳さいから7歳さいの間あいだだが、北海ほっかいではほとんどのメスは3歳さいで成熟せいじゅくする。卵巣らんそうは8月がつ末まつから9月がつには発達はったつし始はじめ、12月から5月がつに産卵さんらんする。メスは約やく1ヶ月かげつ間あいだかけて、3日にちから5日にちおきに卵たまごを産うむ。

卵たまごは約やく2週間しゅうかん後ごに孵化ふかしてプランクトンとして水中すいちゅうを漂ただよい、水温すいおんによるが8週間しゅうかんから10週間しゅうかん後ごに変態へんたいすると、潮間しおま帯たいの砂地すなじに定住ていじゅうするようになる。幼魚ようぎょは「半はん能動のうどう的てき潮汐ちょうせき移動いどう」と呼よばれる動うごきを見みせる。即すなわち、幼魚ようぎょは流ながれに逆さからって泳およぐことはできないため、水中すいちゅうで垂直すいちょく方向ほうこうの位置いちを変かえることで目的もくてきの場所ばしょに移動いどうする能力のうりょくを持もつ。波なみが打うち寄よせて水位すいいが上あがる時ときには、幼魚ようぎょは上うえの方ほうに移動いどうして陸ろくに向むかう。波なみが引ひいて水位すいいが下さがる時ときには、下したの方ほうに移動いどうしてなるべく動うごかないように調整ちょうせいする。幼魚ようぎょが定住ていじゅうに適てきした場所ばしょに到達とうたつすると、カレイ目めの非対称ひたいしょうな体からだに変態へんたいする。これには10日間にちかんを要ようする。

変態へんたい直後ちょくごの若わか魚さかなは、浅瀬あさせの潮間しおま帯たいに定住ていじゅうする。変態へんたい後ご1週間しゅうかん以内いないの特とくに若わかい個体こたいは、潮しおが引ひいた後のちも、潮間しおま帯たいの浅あさい潮しおだまりに留とまる。この理由りゆうについては、まだ明あきらかになっていない。0+グループと呼よばれる生後せいご1年ねん以内いないの個体こたいは、緯度いどや気温きおんに依よるが7か月げつ程度ていど潮間しおま帯たいに留とどまって、その後ご深ふかい海うみに移住いじゅうする。その一部いちぶは翌年よくねんには同おなじ場所ばしょにまた戻もどり、その翌年よくねんも戻もどってくるものもある。しかし、若わか魚さかなの多おおくは1年ねん目めに移住いじゅうすると再ふたたび戻もどってくることはない。

食用しょくようとして

プレイスはしばしばフィッシュ・アンド・チップスの材料ざいりょうとして用もちいられる^[4]。北きたドイツ料理りょうりやデンマーク料理りょうりでは、プレイスは最もっとも良よく食たべられる魚さかなの1つである。切きり身みにして衣ころもを付つけて揚あげたプレイスはレムラード、スライスしたレモンとともにオープンサンドイッチの具ぐとして用もちいられる。揚あげたプレイスはフレンチフライとレムラード・ソースともに、温あたたかいまま主菜しゅさいとして食たべられることもあり、デンマークのレストランでは良よくお子様こさまランチとして提供ていきょうされる。家庭かていでそのまま焼やいたり揚あげたりできるようにパン粉ぱんこをまぶして冷凍れいとうしたものもスーパーマーケットで入手にゅうしゅできる。オーブンで焼やいて調理ちょうりされることもある。

スケッチ

保護ほご状じょう況きょう

プレイスは、タラ、アンコウ、シタビラメ等ひとしの北海ほっかいの他ほかの底そこ生魚なまざかな類るいとともに国際こくさい海洋かいよう探査たんさ協議きょうぎ会かいによって"outside safe biological limits."と分類ぶんるいされている。さらに現在げんざいは古ふるい個体こたいが急速きゅうそくに減少げんしょうしており、40歳さい以上いじょうまで生いきられるのに、6歳さい以上いじょうの個体こたいは滅多めったにいない^[5]。世界せかい自然しぜん保護ほご基金ききんは2006年ねんに「8種類しゅるいのカレイ目めのうち、1種類しゅるいのみが持続じぞく可能かのうな漁獲ぎょかく量りょうであり、3種類しゅるいは過剰かじょう採集さいしゅうである。現存げんそん量りょうを見積みつもるにはデータは十分じゅうぶんでないが、水揚みずあげ量りょうは歴史れきし的てきに低ひくい水準すいじゅんである。」と述のべている^[6]。

出典しゅってん

^ Picton, B.E. (2007). Encyclopedia of Marine Life of Britain and Ireland
^ ^a ^b Muus, B.J., and P. Dahlström (1974). Collins guide to the sea fishes of Britain and North-Western Europe.. Collins, London. pp. 244 p.
^ P.J. Hayward, J.S. Ryland (1996). Handbook of the Marine Fauna of North-West Europe. Oxford University Press. pp. 756. ISBN 0198540558
^ Seafish. On Plate. Fish & chips Archived 2008年ねん10月がつ11日にち, at the Wayback Machine.
^ Clover, Charles. 2004. The End of the Line: How overfishing is changing the world and what we eat. Ebury Press, London. ISBN 0-09-189780-7
^ "European plaice and sole" [1]

Cooper, J.A. and F. Chapleau 1998 Monophyly and intrarelationships of the family Pleuronectidae (Pleuronectiformes), with a revised classification. Fish. Bull., U.S., 96(4):686-726.
"Pleuronectes platessa" (英語えいご). Integrated Taxonomic Information System. 2006年ねん1月がつ30日にち閲覧えつらん。
Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2005). "Pleuronectes platessa" in FishBase. 10 2005 version.
Rijnsdorp, A.D. (1991) Changes in fecundity of female North Sea plaice (Pleuronectes platessa) between three periods since 1900. ICES Journal of Marine Science; 48: 253-280
Wimpenny, R.S. (1953) The plaice being the buckland lectures. Publisher Edward Arnold
Gibson, R.N. (2004) Flatfishes: Biology and Exploitation. Blackwell Publishing
Clover, Charles. 2004. The End of the Line: How overfishing is changing the world and what we eat. Ebury Press, London. ISBN 0-09-189780-7

外部がいぶリンク

Guide to Responsible Sourcing of Plaice - produced by Seafish https://web.archive.org/web/20071008001434/http://www.seafish.org/upload/file/fisheries_management/Plaice%20Factsheet2%20%20final.pdf
Information about plaice
Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2008). "Pleuronectes Platessa" in FishBase. October 2008 version.

[1] Picton, B.E. (2007). Encyclopedia of Marine Life of Britain and Ireland

[Collins-2] Muus, B.J., and P. Dahlström (1974). Collins guide to the sea fishes of Britain and North-Western Europe.. Collins, London. pp. 244 p.

[Hayward-3] P.J. Hayward, J.S. Ryland (1996). Handbook of the Marine Fauna of North-West Europe. Oxford University Press. pp. 756. ISBN 0198540558

[4] Seafish. On Plate. Fish & chips Archived 2008年ねん10月がつ11日にち, at the Wayback Machine.

[5] Clover, Charles. 2004. The End of the Line: How overfishing is changing the world and what we eat. Ebury Press, London. ISBN 0-09-189780-7

[6] "European plaice and sole" [1]

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