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三式弾 - Wikipedia

さんしきだん

大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんかんたい空砲くうほうだん

さんしき通常つうじょうだん(さんしきつうじょうだん)は、大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんおも戦艦せんかん巡洋艦じゅんようかんよう開発かいはつした対空たいくう砲弾ほうだんさんしきだんまたはさんしきしょう霰弾(しょうさんだん)ともばれ、原理げんりてきには榴散だん一種いっしゅである。おな口径こうけいきゅう一式いっしきてっかぶとだんよりちいさく、46cmほうようでは全長ぜんちょう160cm、重量じゅうりょう1,360kg。12.7cmさんしきだんでは底面ていめん直径ちょっけいが54cmで拡散かくさんかくは10。996たま内蔵ないぞうする。

大和やまとミュージアム展示てんじされているさんしきだん

概要がいよう

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日本にっぽん海軍かいぐんにちちゅう戦争せんそうや、昭和しょうわ14年度ねんどおこなわれた艦隊かんたい演習えんしゅうどき対空たいくう射撃しゃげき経験けいけんから、従来じゅうらいがた対空たいくう射撃しゃげきよりも効率こうりつてき対空たいくう射撃しゃげきおこなうための砲弾ほうだん要求ようきゅうし、この要求ようきゅうおうじて開発かいはつされた。砲弾ほうだん内部ないぶにはマグネシウム可燃かねんせいゴムはいった焼夷弾しょういだん焼夷弾しょういだんまっており、1つのたまおおきさは25mm×90mmとなっている。

発射はっしゃは、従来じゅうらいがたたい空砲くうほうだんだったれいしき通常つうじょうだんおなれいしき時限じげん信管しんかんにより、てき航空機こうくうき編隊へんたい前面ぜんめん炸裂さくれつし、たま放出ほうしゅつする。焼夷弾しょういだんは3,000やく5秒間びょうかん燃焼ねんしょうし、てき航空機こうくうき炎上えんじょうさせるねらいがあった。瞬発しゅんぱつ信管しんかん使用しようすることで、砲弾ほうだん命中めいちゅうたま射出しゃしゅつすることも可能かのうたま放出ほうしゅつの0.5びょうにはたまから炸裂さくれつし、破片はへん効果こうか発揮はっきする。

太平洋戦争たいへいようせんそうなかガダルカナルとうたたかにおけるヘンダーソン基地きちかんほう射撃しゃげきでは、地上ちじょう施設しせつたいしても効果こうか発揮はっきしたが、じつ試験しけん使つかわれた珊瑚礁さんごしょうよりもしま土壌どじょうやわらかかったため、信管しんかん作動さどうせず不発ふはつとなったものがアメリカがわ鹵獲ろかくされている。

 
たま放出ほうしゅつ状況じょうきょう

炸裂さくれつてん頂点ちょうてんとする円錐えんすいじょう空間くうかん攻撃こうげきできる。おなじく対空たいくう射撃しゃげきよう使つかわれた通常つうじょう形式けいしきの14センチほうようれいしき通常つうじょうだんでは、炸裂さくれつてんぜん周囲しゅういたいして高速こうそく鋭利えいり破片はへん飛散ひさんさせ、起爆きばく高熱こうねつ着火ちゃっかせいつため、効果こうか範囲はんい命中めいちゅうりつ破壊はかいりょくおとさんしき通常つうじょうだん開発かいはつ不要ふようという意見いけんもあった[よう出典しゅってん]

当時とうじ対空たいくう射撃しゃげき技術ぎじゅつでは、高角こうかくほう射程しゃていがいである10km以遠いえん目標もくひょうたいし、さんしき通常つうじょうだん効果こうか範囲はんいでは命中めいちゅうむずかしく、アメリカぐんがわ資料しりょうには「パンパンと破裂はれつするがまるで花火はなびのようで、実際じっさい被害ひがいすくなかった」との記述きじゅつ存在そんざいし、対空たいくう射撃しゃげきでの確実かくじつ戦果せんかはほとんど確認かくにんいとされる。

開発かいはつたずさわったまゆずみ治夫はるお大佐たいさは、マリアナおき海戦かいせんどきじゅう巡洋艦じゅんようかん利根とね艦長かんちょうとして実際じっさいさんしき通常つうじょうだん使用しようしており、戦闘せんとう詳報しょうほうにおいて「だい口径こうけいほうさんしきだんはその威力いりょく絶大ぜつだいであり、20センチほう以下いかにおいても、きわめて有効ゆうこうなり」としたうえで「搭載とうさいすうすくなくとも現在げんざいの3ばい増額ぞうがくようありとみとめむ」と具申ぐしんしており、また、レイテおき海戦かいせんとき戦艦せんかん長門ながと」の戦闘せんとう指揮しきしょさんしき通常つうじょうだんじつしゃ模様もよう目撃もくげきした田代たしろぐん寿郎としお手記しゅきには、「大和やまと」と「長門ながと」によるさんしき通常つうじょうだん使用しようした攻撃こうげきで、来襲らいしゅうしたB-25 ミッチェルばくげきやく50半数はんすう以上いじょう撃墜げきついしたとの記述きじゅつがある[1]。(ただし、大和やまと長門ながと捷一しょういちごう作戦さくせんどき戦闘せんとう詳報しょうほうによれば、B-25の撃墜げきついすうは「かんとの共同きょうどうで5」となっている)。しかし、レイテおき海戦かいせん日本にっぽん海軍かいぐん重視じゅうしし、搭載とうさいすうやしたのはれいしき通常つうじょうだんだった。

主砲しゅほうによる対空たいくう射撃しゃげきは、装填そうてん時間じかんおそさや爆風ばくふう砲煙ほうえん対空たいくう火器かきさまたげとされる場合ばあいがあるが、さんしき通常つうじょうだんれいしき通常つうじょうだんともに高角こうかくほう機銃きじゅう射程しゃていがいにある航空機こうくうきおも目標もくひょうで、対空たいくう火器かきとの同時どうじ運用うんよう想定そうていしないとされていた。さんしき通常つうじょうだん発砲はっぽうによる火器かきへのがい記録きろくされていない。

なお、アメリカ海軍かいぐんソロモン海戦かいせん[よう曖昧あいまい回避かいひ]において戦艦せんかん巡洋艦じゅんようかん主砲しゅほう対空たいくう射撃しゃげきもちいたことがあったが、その用法ようほうは「攻撃こうげきに(通常つうじょう対空たいくう火器かきけて)低空ていくうを避退する日本にっぽん進路しんろじょう海面かいめん通常つうじょうだんちこんで巨大きょだい水柱みずばしらげ、その水柱みずばしらみず飛沫しぶき日本にっぽんませる(あるいは水柱みずばしらけて上昇じょうしょうしたところを通常つうじょう対空たいくう火器かきねらう)」という応急おうきゅうてきなものであり、わざわざ主砲しゅほうよう対空たいくう砲弾ほうだん開発かいはつすることはなかった。

陸奥みちのく爆沈ばくちんとのかかわり

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戦艦せんかん陸奥みちのく」が爆発ばくはつ事故じここしたさいさんしき通常つうじょうだん自然しぜん発火はっかによる爆発ばくはつうたがわれ、艦艇かんていからさんしき通常つうじょうだんろされたことがある。調査ちょうさではさんしき通常つうじょうだん自然しぜん発火はっか否定ひていされており、陸上りくじょう弾薬だんやくなどにおける保管ほかんちゅう発火はっか事故じこれいい(戦闘せんとうなか発火はっか暴発ぼうはつレイテおき海戦かいせんにおける「武蔵むさし」のだいいち砲塔ほうとうちゅうほうでの報告ほうこくれいがあるが、記録きろく亡失ぼうしつ混乱こんらんなどの可能かのうせいもあり、詳細しょうさい不明ふめい)。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 歴史れきしぐんぞう 太平洋たいへいよう戦史せんしシリーズ15 長門ながとがた戦艦せんかん学習がくしゅう研究けんきゅうしゃ 188ぺーじ