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共有物分割 - Wikipedia

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ(きょうゆうぶつぶんかつ)とは、ある動産どうさんまた不動産ふどうさん2人ふたり以上いじょう共有きょうゆうしている場合ばあいにおいて、その共有きょうゆう状態じょうたい解消かいしょうする手続てつづき

概要がいよう

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日本にっぽん民法みんぽうでは256じょうから262じょうまでに規定きてい存在そんざいする。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ共有きょうゆうしゃ全員ぜんいんによる協議きょうぎにより、当事とうじしゃあいだでの協議きょうぎ調ととのわないときは、分割ぶんかつ裁判所さいばんしょ請求せいきゅうできる(民法みんぽう258じょう1こう)。このほか共有きょうゆうぶつについて権利けんりゆうするものおよかく共有きょうゆうしゃ債権さいけんしゃは、自己じこ費用ひようで、分割ぶんかつ参加さんかすることができる(民法みんぽう260じょう1こう)。この参加さんか請求せいきゅうがあったにもかかわらず、そのもの参加さんかさせないで分割ぶんかつをしたときは、その分割ぶんかつは、その請求せいきゅうをしたもの対抗たいこうすることができなくなる(民法みんぽう260じょう2こう)。

相続そうぞく開始かいし遺産いさん分割ぶんかつまえに、共同きょうどう相続そうぞくじん1人ひとりから遺産いさん構成こうせいする特定とくてい不動産ふどうさん共有きょうゆう持分もちぶんけんゆずけたものが、共有きょうゆう関係かんけい解消かいしょうのためにとるべき手続てつづきは、遺産いさん分割ぶんかつ審判しんぱんではなく共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ訴訟そしょうである(さいはん昭和しょうわ50ねん11月7にちみんしゅう29かん10ごう1525ぺーじ)とした判例はんれいがある。

なお、森林しんりんほうきゅう186じょう本文ほんぶんは、共有きょうゆう森林しんりんにつき共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ請求せいきゅうけん一定いってい場合ばあい禁止きんししていたが、この規定きてい憲法けんぽうだい29じょう2こう違反いはんするとされた(最大さいだいばん昭和しょうわ62ねん4がつ22にちみんしゅう41かん3ごう408ぺーじ)。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ手続てつづき

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協議きょうぎ分割ぶんかつ

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かく共有きょうゆうしゃはいつでも共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ請求せいきゅうすることができる(民法みんぽう256じょう1こう本文ほんぶん)。ただし、共有きょうゆうしゃは5ねんえない期間きかんない分割ぶんかつをしないむね契約けいやくができる(民法みんぽう256じょう1こうただししょ)。#共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんし参照さんしょう

なお、民法みんぽう256じょう規定きていは、あいとなりしゃ共有きょうゆうぞくすると推定すいていされる境界きょうかいせんうえもうけられた境界きょうかいしるべかこえさわ障壁しょうへきみぞほり民法みんぽう229じょう)については適用てきようされない(民法みんぽう257じょう)。

裁判さいばん分割ぶんかつ

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当事とうじしゃあいだでの協議きょうぎ調ととのわないときは、分割ぶんかつ裁判所さいばんしょ請求せいきゅうできる(民法みんぽう258じょう1こう)。協議きょうぎ調ととのわないときとは、現実げんじつ協議きょうぎをしたが不調ふちょうおわった場合ばあいのみならず、共有きょうゆうしゃ一部いちぶ協議きょうぎおうずる意思いしがないために、全員ぜんいん協議きょうぎをすることができない場合ばあいふくむ(さいはん昭和しょうわ46ねん6がつ18にちみんしゅう24かん5ごう550ぺーじ)。裁判さいばんによる分割ぶんかつ場合ばあい現物げんぶつ分割ぶんかつ原則げんそくであるが、競売きょうばいによる代金だいきん分割ぶんかつもすることができる(民法みんぽう258じょう2こう)。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ方法ほうほう

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現物げんぶつ分割ぶんかつ

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たとえば、べい1トンを倉庫そうこ保管ほかんして2人ふたり共有きょうゆうしている場合ばあい、これを500キログラムずつにけて、それぞれのたんゆうとする方法ほうほうである。土地とちについても現物げんぶつ分割ぶんかつができる(手続てつづきについては#不動産ふどうさん登記とうき参照さんしょう)。

A・B共有きょうゆう一筆いっぴつ土地とち現物げんぶつ分割ぶんかつする場合ばあい、まず土地とちにつき分筆ぶんぴつをする(明治めいじ33ねん2がつ12にちみんけい126ごう回答かいとう)。分筆ぶんぴつされた土地とちはそれぞれA・B共有きょうゆうのままであるから、一方いっぽうにB持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをし、もう一方いっぽうにA持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをする(昭和しょうわ36ねん1がつ17にちみんかぶと106ごう回答かいとう)。これにより、A単独たんどく所有しょゆう土地とちとB単独たんどく所有しょゆう土地とちぴつとなる。

代金だいきん分割ぶんかつ

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たとえば、くるま1だい2人ふたり共有きょうゆうしている場合ばあい、これを2つにけることは物理ぶつりてきには可能かのうであっても現実げんじつてきではない。そこで、当該とうがい共有きょうゆうぶつ売却ばいきゃくし、その代金だいきん分割ぶんかつする方法ほうほうである。

土地とち代金だいきん分割ぶんかつ場合ばあい売却ばいきゃくした土地とちにつき、買主かいぬしへの共有きょうゆうしゃ全員ぜんいん持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをする。この場合ばあい登記とうき原因げんいんに「共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ」が登場とうじょうすることはありえない。

価格かかく賠償ばいしょう

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代金だいきん分割ぶんかつおな場合ばあいで、どちらか一方いっぽうたんゆうとし、他方たほうには金銭きんせんなどの財産ざいさんてき補償ほしょうをすることができる。これが価格かかく賠償ばいしょうである。

価格かかく賠償ばいしょう民法みんぽう規定きてい存在そんざいしないため、協議きょうぎによる分割ぶんかつ場合ばあい契約けいやく自由じゆう原則げんそくからみとめられるが、裁判さいばんによる分割ぶんかつ場合ばあいみとめられないとされてきた。しかし、判例はんれい下記かきのような変遷へんせんをたどり、条件じょうけんきではあるが、全面ぜんめんてき価格かかく賠償ばいしょう共有きょうゆうぶつ共有きょうゆうしゃのうち特定とくていもの取得しゅとくさせること)をみとめるにいたった。

  • 部分ぶぶんてき価格かかく賠償ばいしょう、すなわち現物げんぶつ分割ぶんかつをしたが現物げんぶつ価格かかく不足ふそくしょうじたときは、持分もちぶん価格かかく以上いじょう現物げんぶつ取得しゅとくするものちょう過分かぶん対価たいか支払しはらわせて過不足かふそく調整ちょうせいをすることもできるとした判例はんれい最大さいだいばん昭和しょうわ62ねん4がつ22にちみんしゅう41かん3ごう408ぺーじ)がた。
  • そして、1.共有きょうゆうぶつ性質せいしつおよ形状けいじょう共有きょうゆうしゃかずおよ割合わりあい共有きょうゆうぶつ利用りようじょうきょうなどを総合そうごうてき考慮こうりょし、全面ぜんめんてき価格かかく賠償ばいしょう相当そうとうであるとみとめられ、2.共有きょうゆうぶつ価格かかく適正てきせい評価ひょうかされ、3.当該とうがい共有きょうゆうぶつ取得しゅとくするもの支払しはらい能力のうりょくがあり、4.共有きょうゆうしゃにその持分もちぶん価格かかく取得しゅとくさせることが共有きょうゆうしゃあいだ実質じっしつてき公平こうへいがいしないとみとめられる特段とくだん事情じじょう存在そんざいするとき、は全面ぜんめんてき価格かかく賠償ばいしょうゆるされるとされた(さいはん平成へいせい8ねん10がつ31にちみんしゅう50かん9ごう2563ぺーじ)。

土地とち価格かかく賠償ばいしょうによる分割ぶんかつ場合ばあい以下いかのようになる。

  • すべての土地とち共有きょうゆうのケース
    • A・B共有きょうゆう一筆いっぴつ土地とちにつき、Aの単独たんどく所有しょゆうとしBには金銭きんせん補償ほしょうをする場合ばあい当該とうがい土地とちにつきB持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをすればよい。
    • A・B共有きょうゆうかぶとおつりょう土地とちにつき、きのえ土地とちについてはAの単独たんどく所有しょゆうとし、おつ土地とちについてはBの単独たんどく所有しょゆうとする場合ばあい登記とうき研究けんきゅう442-84ぺーじ)、きのえ土地とちにつきB持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをし、おつ土地とちにつきA持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん登記とうきをすればよい。
  • 一筆いっぴつ土地とち単独たんどく所有しょゆうであるケース
    • きのえ土地とちはA・Bの共有きょうゆうだが、おつ土地とちはAの単独たんどく所有しょゆうである場合ばあいにつき、きのえ土地とちをAの単独たんどく所有しょゆうとし、おつ土地とちをBの単独たんどく所有しょゆうとして補償ほしょうすることもできる。この場合ばあいきのえ土地とちにつきB持分もちぶん移転いてん登記とうきをし、おつ土地とちにつき所有しょゆうけん移転いてん登記とうきをすればよい。
  • その実例じつれい
    • 持分もちぶんことなる割合わりあい共有きょうゆうとする分割ぶんかつもできる(昭和しょうわ44ねん4がつ7にちみんさん426ごう回答かいとう)。たとえば、A(持分もちぶん5ぶんの3)・B(持分もちぶん5ぶんの2)共有きょうゆう土地とち分筆ぶんぴつし、一方いっぽうはAの単独たんどく所有しょゆうとし、もう一方いっぽう土地とちをA(持分もちぶん5ぶんの1)・B(持分もちぶん5ぶんの4)の共有きょうゆうとすることもできるという意味いみである。
    • A・B・C・D共有きょうゆう土地とち分筆ぶんぴつし、一方いっぽうをA・Bの共有きょうゆうとし、もう一方いっぽうをC・Dの共有きょうゆうとすることもできる(登記とうき研究けんきゅう143-49ぺーじ)。また、44めい共有きょうゆうしている不動産ふどうさんにつき、そのうち2めい共有きょうゆうとする持分もちぶん移転いてん登記とうき申請しんせい受理じゅりされる(登記とうき研究けんきゅう367-136ぺーじ)。
    • 一方いっぽう権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだん代表だいひょうしゃ個人こじん名義めいぎ所有しょゆうけん登記とうきがされている不動産ふどうさんにつき、当該とうがい社団しゃだんほか構成こうせいいんたいして共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ原因げんいんとする所有しょゆうけん移転いてん登記とうきはすることができない(登記とうき研究けんきゅう403-78ぺーじ)。

なお、分割ぶんかつ対象たいしょうとなる共有きょうゆうぶつ多数たすう不動産ふどうさんである場合ばあい一括いっかつして分割ぶんかつ対象たいしょうとし、分割ぶんかつかく部分ぶぶんかく共有きょうゆうしゃ単独たんどく所有しょゆうとすることもゆるされる(最大さいだいばん昭和しょうわ62ねん4がつ22にちみんしゅう41かん3ごう408ぺーじ)。たとえば、かぶとおつりょう土地とちをそれぞれA・Bが2ぶんの1ずつ共有きょうゆうしている場合ばあいにおいて、原則げんそくかぶとおつりょう土地とちをそれぞれ分割ぶんかつし、A・Bがそれぞれかぶと土地とちを2ぶんの1、おつ土地とちを2ぶんの1に分割ぶんかつしたものを単独たんどく所有しょゆうするべきであるが、きのえ土地とち全部ぜんぶをAの単独たんどく所有しょゆうに、おつ土地とち全部ぜんぶをBの単独たんどく所有しょゆうとすることもできるという意味いみである。これは現物げんぶつ分割ぶんかつではなく、価格かかく賠償ばいしょう土地とち補償ほしょうした)とされている。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ担保たんぽ責任せきにん

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かく共有きょうゆうしゃは、共有きょうゆうしゃ分割ぶんかつによって取得しゅとくしたものについて、売主うりぬしおなじく持分もちぶんおうじて担保たんぽ責任せきにんう(民法みんぽう261じょう)。

共有きょうゆうぶつかんする証書しょうしょ

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  • 分割ぶんかつ完了かんりょうしたときは、かく分割ぶんかつしゃは、その取得しゅとくしたものかんする証書しょうしょ保存ほぞんしなければならない(民法みんぽう262じょう1こう)。
  • 共有きょうゆうしゃ全員ぜんいんまたはそのうちのすうにん分割ぶんかつしたものかんする証書しょうしょは、そのもの最大さいだい部分ぶぶん取得しゅとくしたもの保存ほぞんしなければならない(民法みんぽう262じょう2こう)。最大さいだい部分ぶぶん取得しゅとくしたものがないときは、分割ぶんかつしゃあいだ協議きょうぎ証書しょうしょ保存ほぞんしゃさだめる。協議きょうぎ調ととのわないときは、裁判所さいばんしょが、これを指定していする(民法みんぽう262じょう3こう)。
  • 証書しょうしょ保存ほぞんしゃは、分割ぶんかつしゃ請求せいきゅうおうじて、その証書しょうしょ使用しようさせなければならない(民法みんぽう262じょう4こう)。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ対抗たいこう要件ようけん

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説明せつめい便宜上べんぎじょうつぎのとおり略語りゃくごもちいる。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ登記とうき

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共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつにより不動産ふどうさん所有しょゆうけん移転いてんした場合ばあい登記とうきをしないと第三者だいさんしゃ対抗たいこうできない。本稿ほんこうにおいては、土地とちについて分割ぶんかつをする場合ばあいについてべる。

前提ぜんてい登記とうき

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実質じっしつじょうはA・B共有きょうゆうであっても登記とうき記録きろくじょうA・B共有きょうゆうとなっていない場合ばあい前提ぜんていとして更正こうせい登記とうきひとしをしなければならない(昭和しょうわ53ねん10がつ27にちみんさん5940ごう回答かいとう)。また、登記とうき義務ぎむしゃ登記とうき記録きろくじょう住所じゅうしょ現在げんざい住所じゅうしょことなる場合ばあい前提ぜんていとして登記とうき名義めいぎじん表示ひょうじ変更へんこう登記とうきをしなければならない(登記とうき研究けんきゅう573-123ぺーじ)。

登記とうき申請しんせい情報じょうほう一部いちぶ

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登記とうき目的もくてき

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登記とうき目的もくてき登記とうきれい3じょう5ごう)は、それぞれのれいしたがい、「登記とうき目的もくてき A持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん」、「登記とうき目的もくてき B持分もちぶん全部ぜんぶ移転いてん」など記載きさいとする(記録きろくれい219)。

登記とうき原因げんいんおよびその日付ひづけ

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登記とうき原因げんいんおよびその日付ひづけ登記とうきれい3じょう6ごう)は、共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつ日付ひづけとし、「平成へいせいなんねん何月なんがつなんにち共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ」と記載きさいする(記録きろくれい219)。不動産ふどうさん登記とうきほうは、民法みんぽうまた民法みんぽう特別とくべつほう根拠こんきょがあるならそのまま登記とうき原因げんいんとできる趣旨しゅしだからである。登記とうき原因げんいんを「財産ざいさん分割ぶんかつ」とすることはできない(昭和しょうわ34ねん10がつ16にちみんかぶと2336ごう電報でんぽう回答かいとう)。

ただし、すんでじゅついちぴつ土地とち単独たんどく所有しょゆうであるケースの場合ばあいおつ土地とちについては、「平成へいせいなんねん何月なんがつなんにち共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつによる交換こうかんまた贈与ぞうよ)」と記載きさいする(記録きろくれい220)。おつ土地とち共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつそのもので所有しょゆうけん移転いてんしたわけでないからである。

登記とうき申請しんせいじん

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登記とうき申請しんせいじん登記とうきれい3じょう1ごう)は、持分もちぶんもの登記とうき権利けんりしゃとし、うしなもの登記とうき義務ぎむしゃとして記載きさいする。なお、法人ほうじん申請しんせいじんとなる場合ばあい以下いか事項じこう記載きさいしなければならない。

  • 原則げんそくとして申請しんせいじんたる法人ほうじん代表だいひょうしゃ氏名しめい登記とうきれい3じょう2ごう
  • 支配人しはいにん申請しんせいをするときは支配人しはいにん氏名しめい一発いっぱつ即答そくとう14ぺーじ
  • 持分もちぶん会社かいしゃ申請しんせいじんとなる場合ばあい当該とうがい会社かいしゃ代表だいひょうしゃ法人ほうじんであるときは、当該とうがい法人ほうじん商号しょうごうまた名称めいしょうおよびその職務しょくむおこなうべきもの氏名しめい平成へいせい18ねん3がつ29にちみん755ごう通達つうたつ4)。

添付てんぷ情報じょうほう

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添付てんぷ情報じょうほう規則きそく34じょう1こう6ごう一部いちぶ)は、所有しょゆうけん移転いてん登記とうき原則げんそくどおり、登記とうき原因げんいん証明しょうめい情報じょうほう登記とうきほう61じょう)、登記とうき義務ぎむしゃ登記とうき識別しきべつ情報じょうほう登記とうきほう22じょう本文ほんぶんまた登記とうきずみしょうおよ書面しょめん申請しんせい場合ばあいには印鑑いんかん証明しょうめいしょ登記とうきれい16じょう2こう登記とうき規則きそく48じょう1こう5ごうおよ47じょう3ごうイ(1)、登記とうきれい18じょう2こう登記とうき規則きそく49じょう2こう4ごうおよび48じょう1こう5ごうならびに47じょう3ごうイ(1))である。登記とうき権利けんりしゃ住所じゅうしょ証明しょうめい情報じょうほう不動産ふどうさん登記とうきれい別表べっぴょう30こう添付てんぷ情報じょうほうロ)も添付てんぷしなければならないとするのが先例せんれい昭和しょうわ32ねん5がつ10にちみんかぶと917ごう回答かいとう)である。なお、法人ほうじん申請しんせいじんとなる場合ばあいさら代表だいひょうしゃ資格しかく証明しょうめい情報じょうほう登記とうきれい7じょう1こう1ごう)も原則げんそくとして添付てんぷしなければならない。

なお、農地のうちまた採草さいそう放牧ほうぼく農地のうちほう2じょう1こう)の共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ場合ばあい農地のうちほう3じょう許可きょかしょ不動産ふどうさん登記とうきれい7じょう1こう5ごうハ)を添付てんぷしなければならない(昭和しょうわ41ねん11月1にちみんかぶと2979ごう回答かいとう)。

登録とうろく免許めんきょぜい

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登録とうろく免許めんきょぜい登記とうき規則きそく189じょう1こう前段ぜんだん)は、不動産ふどうさん価額かがくの1,000ぶんの20である(登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう別表べっぴょうだい1-1(2)ハ)が、当該とうがい共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつによる持分もちぶん移転いてん登記とうきまえ当該とうがい土地とちにつき分筆ぶんぴつ登記とうきがされており、当該とうがい共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつによる持分もちぶん移転いてん登記とうき申請しんせいが、当該とうがい分筆ぶんぴつ登記とうきをしたほか土地とち全部ぜんぶまた一部いちぶ持分もちぶん移転いてん登記とうき同時どうじ申請しんせいされた場合ばあい当該とうがい共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつによる持分もちぶん移転いてん登記とうきかか土地とち価額かがくのうち当該とうがい持分もちぶん移転いてん登記とうきにおいて減少げんしょうする当該とうがい土地とち持分もちぶん価額かがく対応たいおうする部分ぶぶん登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう施行しこうれい9じょう1こう[1])は、不動産ふどうさん価額かがくの1,000ぶんの4となる(登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう別表べっぴょうだい1-1(2)ロ)。

具体ぐたいてきには、A・B共有きょうゆうのある土地とちかぶと土地とちおつ土地とち分筆ぶんぴつし、きのえ土地とちはA所有しょゆうに、おつ土地とちはB所有しょゆうにするとき、きのえ土地とちについて共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつによるB持分もちぶん移転いてん全部ぜんぶ登記とうき申請しんせいするさいおつ土地とちのA持分もちぶん移転いてん全部ぜんぶ登記とうき同時どうじ申請しんせいするなら、きのえ土地とち課税かぜい価格かかくのうちおつ土地とちにおいて減少げんしょうしたA持分もちぶん価格かかく相当そうとうするぶんは、1000ぶんの4とするという意味いみである。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんし

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共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだ

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共有きょうゆうしゃは5ねんえない期間きかんない分割ぶんかつをしないむね契約けいやくができる(民法みんぽう256じょう1こうただししょ)。これを「共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめ」あるいは「共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ特約とくやく」などという。この契約けいやく更新こうしんできるが、その期間きかん更新こうしんときから5ねんえない範囲はんいでなければならない(民法みんぽう256じょう2こう)。

5ねんえる期間きかん特約とくやくした場合ばあい不動産ふどうさんしつけん存続そんぞく期間きかん民法みんぽう360じょう1こう)や買戻かいもど期間きかん民法みんぽう580じょう1こう)とことなり、短縮たんしゅくできる規定きてい存在そんざいしないため、無効むこうほぐされている。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめは、不動産ふどうさん登記とうきほうにおいて登記とうき事項じこうとされている(不動産ふどうさん登記とうきほう59じょう6ごう)。なお、登記とうきほう59じょう6ごうさだめる登記とうきすべき場合ばあいとは、1.契約けいやく民法みんぽう256じょう1こうただししょ)のほか、2.遺言ゆいごん民法みんぽう908じょう)、3.遺産いさんについての家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱん民法みんぽう907じょう3こう)による分割ぶんかつ禁止きんし場合ばあいである。

共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめの登記とうき

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本稿ほんこうにおいては、契約けいやくにより不動産ふどうさんについて共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめを設定せっていした場合ばあいについてべる。この場合ばあい所有しょゆうけん変更へんこう登記とうきをすることになる。所有しょゆうけん移転いてんしたわけではないし、名義めいぎじん表示ひょうじ変更へんこうがあったわけでもないからである。なお、権利けんり一部いちぶ移転いてん登記とうき申請しんせいする場合ばあいにおいては共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめを一括いっかつして申請しんせいすることができるむね規定きていきゅう不動産ふどうさん登記とうきほう39じょうの2[2])は現行げんこうほうじょう存在そんざいしない。したがって、権利けんり一部いちぶ移転いてん登記とうき申請しんせいする場合ばあいには、当該とうがいさだめを登記とうき事項じこうとできなくなったとするせつと、権利けんり一部いちぶ移転いてん登記とうき申請しんせいする場合ばあいかぎらず、権利けんり全部ぜんぶ移転いてん場合ばあい設定せってい保存ほぞん場合ばあいにおいても当該とうがいさだめを登記とうき事項じこうとできるようになったとするせつ登記とうきインターネット66-148ぺーじとう)にかれている。

登記とうき申請しんせい情報じょうほう一部いちぶ

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登記とうき目的もくてき

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登記とうき目的もくてき登記とうきれい3じょう5ごう)は、所有しょゆうけん一部いちぶ移転いてん登記とうきまた共有きょうゆう名義めいぎ登記とうき順位じゅんい番号ばんごう記載きさいし(昭和しょうわ50ねん1がつ10にちみんさん16ごう通達つうたつ1(ちゅう)1)、たとえば「登記とうき目的もくてき 3ばん所有しょゆうけん変更へんこう」のように記載きさいする(記録きろくれい202)。「登記とうき目的もくてき 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ特約とくやく登記とうき」とすることはできない(昭和しょうわ49ねん12月27にちみんさん6686ごう回答かいとう)。

登記とうき原因げんいんおよびその日付ひづけ

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登記とうき原因げんいんおよびその日付ひづけ登記とうきれい3じょう6ごう)は、共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめの合意ごうい日付ひづけとし、「原因げんいん 平成へいせいなんねん何月なんがつなんにち特約とくやく」と記載きさいする(昭和しょうわ50ねん1がつ10にちみんさん16ごう通達つうたつ1、記録きろくれい202)。登記とうき原因げんいんを「合意ごうい」とすることはできない(昭和しょうわ49ねん12月27にちみんさん6686ごう回答かいとう)。

さだめの具体ぐたいてき内容ないよう

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さだめの具体ぐたいてき内容ないよう登記とうきれい3じょう11ごうニ)は、「特約とくやく 3年間ねんかん共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ」のように記載きさいする(昭和しょうわ50ねん1がつ10にちみんさん16ごう通達つうたつ1、記録きろくれい202)。5ねんえる共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめは無効むこうである(昭和しょうわ30ねん6がつ10にちみんかぶと1161ごう通達つうたつ)。また、「特約とくやく事項じこう なん年間ねんかん共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつをしないこと」とすることはできない(昭和しょうわ49ねん12月27にちみんさん6686ごう回答かいとう)。

登記とうき申請しんせいじん

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登記とうき申請しんせいじん登記とうきれい3じょう1ごう)については、共有きょうゆうしゃ全員ぜんいん登記とうき権利けんりしゃけん登記とうき義務ぎむしゃとなるこうがくじょういわゆる合同ごうどう申請しんせいおこなう(登記とうきほう65じょう)。なお、法人ほうじん申請しんせいじんとなる場合ばあい以下いか事項じこう記載きさいしなければならない。

  • 原則げんそくとして申請しんせいじんたる法人ほうじん代表だいひょうしゃ氏名しめい登記とうきれい3じょう2ごう
  • 支配人しはいにん申請しんせいをするときは支配人しはいにん氏名しめい一発いっぱつ即答そくとう14ぺーじ
  • 持分もちぶん会社かいしゃ申請しんせいじんとなる場合ばあい当該とうがい会社かいしゃ代表だいひょうしゃ法人ほうじんであるときは、当該とうがい法人ほうじん商号しょうごうまた名称めいしょうおよびその職務しょくむおこなうべきもの氏名しめい平成へいせい18ねん3がつ29にちみん755ごう通達つうたつ4)。

添付てんぷ情報じょうほう

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添付てんぷ情報じょうほう登記とうき規則きそく34じょう1こう6ごう一部いちぶ)は、登記とうき原因げんいん証明しょうめい情報じょうほう登記とうきほう61じょう)、共有きょうゆうしゃ全員ぜんいん登記とうき識別しきべつ情報じょうほう登記とうきほう22じょう本文ほんぶんまた登記とうきずみしょうおよ書面しょめん申請しんせい場合ばあい印鑑いんかん証明しょうめいしょ登記とうきれい16じょう2こう登記とうき規則きそく48じょう1こう5ごうおよどう規則きそく47じょう3ごうイ(2)、どうれい18じょう2こうどう規則きそく49じょう2こう4ごうおよどう規則きそく48じょう1こう5ごうならびにどう規則きそく47じょう3ごうイ(2))である(昭和しょうわ50ねん1がつ10にちみんさん16ごう通達つうたつ1(ちゅう)3および4参照さんしょう)。また、法人ほうじん申請しんせいじんとなる場合ばあいさら代表だいひょうしゃ資格しかく証明しょうめい情報じょうほう登記とうきれい7じょう1こう1ごう)も原則げんそくとして添付てんぷしなければならない。

なお、変更へんこう登記とうき付記ふき登記とうきでする場合ばあいには登記とうきじょう利害りがい関係かんけいじん存在そんざいするときはその承諾しょうだく必要ひつようであり(登記とうきほう66じょう)、承諾しょうだく証明しょうめい情報じょうほう添付てんぷ情報じょうほうとなる(不動産ふどうさん登記とうきれい別表べっぴょう25こう添付てんぷ情報じょうほうロ)。この承諾しょうだく証明しょうめい情報じょうほう提供ていきょうしないと、当該とうがい変更へんこう登記とうきしゅ登記とうき実行じっこうされ、利害りがい関係かんけいじん共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめを対抗たいこうできなくなってしまう(登記とうきほう4じょう2こう参照さんしょう)。また、この承諾しょうだく証明しょうめい情報じょうほう書面しょめん承諾しょうだくしょ)である場合ばあいには、原則げんそくとして作成さくせいしゃ記名きめい押印おういんし、当該とうがい押印おういんかか印鑑いんかん証明しょうめいしょ承諾しょうだくしょ一部いちぶとして添付てんぷしなければならない(昭和しょうわ31ねん11月2にちみんかぶと2530ごう通達つうたつ参照さんしょう登記とうきれい19じょう)。この印鑑いんかん証明しょうめいしょ当該とうがい承諾しょうだくしょ一部いちぶであるので、添付てんぷ情報じょうほうらんに「印鑑いんかん証明しょうめいしょ」と格別かくべつ記載きさいする必要ひつようはなく、作成さくせい3かげつ以内いないのものでなければならないという制限せいげんはない。

登録とうろく免許めんきょぜい

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登録とうろく免許めんきょぜい不動産ふどうさん登記とうき規則きそく189じょう1こう前段ぜんだん)は、不動産ふどうさん1個いっこにつき1,000えんである(登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう別表べっぴょうだい1-1(14))。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう施行しこうれい - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
  2. ^ きゅう不動産ふどうさん登記とうきほう - ウェイバックマシン(2017ねん3がつ31にちアーカイブぶん) - 総務そうむしょう法令ほうれいデータ提供ていきょうシステム・廃止はいし法令ほうれい

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 青山あおやまおさむ共有きょうゆうかんする登記とうき実務じつむ新日本法規出版しんにっぽんほうきしゅっぱん、1998ねんISBN 4-7882-0013-9 
  • 石田いしだ喜久夫きくお口述こうじゅつ物権ぶっけんほう成文せいぶんどう、1982ねん 
  • 香川かがわいち編著へんちょ)『しん不動産ふどうさん登記とうき書式しょしき解説かいせついち)』テイハン、2006ねんISBN 978-4860960230 
  • 山田やまだ一雄かずおへん)、藤谷ふじたに定勝さだかつ監修かんしゅう)『しん不動産ふどうさん登記とうきほう一発いっぱつ即答そくとう800もん日本加除出版にほんかじょしゅっぱん、2007ねんISBN 978-4-8178-3758-5 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-3035 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ登記とうきについて」『登記とうき研究けんきゅうだい143ごう帝国ていこく判例はんれい法規ほうき出版しゅっぱんしゃのテイハン)、1959ねん、49ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-5516 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ登記とうき可否かひ」『登記とうき研究けんきゅうだい367ごう、テイハン、1978ねん、136ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-5940 権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだん代表だいひょうしゃ個人こじん名義めいぎとして所有しょゆうけん登記とうきがされている不動産ふどうさんについて、共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ登記とうき原因げんいんとする所有しょゆうけん移転いてん登記とうき可否かひ」『登記とうき研究けんきゅうだい403ごう、テイハン、78ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-6488 ぴつ共有きょうゆう持分もちぶん交換こうかんし、たんゆうとなる場合ばあい登記とうき原因げんいんについて」『登記とうき研究けんきゅうだい442ごう、テイハン、1984ねん、84ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-7525 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ登記とうき登記とうき名義めいぎじん表示ひょうじ変更へんこう登記とうき省略しょうりゃく可否かひ」『登記とうき研究けんきゅうだい573ごう、テイハン、1995ねん、123ぺーじ 
  • 法務ほうむ実務じつむ研究けんきゅうかい質疑しつぎ応答おうとう-91 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんし特約とくやく登記とうきは、権利けんり一部いちぶ移転いてん登記とうき場合ばあいかぎるか」『登記とうきインターネット』だい66ごう民事みんじほう情報じょうほうセンター、2005ねん、148ぺーじ