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印鑑登録 - Wikipedia

印鑑いんかん登録とうろく

印鑑いんかんにより個人こじんおよ法人ほうじん証明しょうめいする制度せいど

印鑑いんかん登録とうろく(いんかんとうろく)とは、印鑑いんかん登録とうろくされた印章いんしょう)により個人こじんおよび法人ほうじん証明しょうめいする(本人ほんにん当該とうがい印章いんしょう相違そういなく所有しょゆうすると証明しょうめいする)制度せいどである。

印鑑いんかん登録とうろくしょう

印鑑いんかん登録とうろくをしたことをしょうするもの(おおくはカードがた一部いちぶ市町村しちょうそん手帳てちょうがたもあり)を印鑑いんかん登録とうろくしょう印影いんえい登録とうろくしゃ住所じゅうしょ氏名しめい生年月日せいねんがっぴ性別せいべつせい同一どういつせい障害しょうがい配慮はいりょして記載きさいしない自治体じちたいえている)を記載きさいしたものを印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめいしょ印鑑いんかん証明しょうめい)という。登録とうろくしゃ請求せいきゅうすると、かく自治体じちたい首長しゅちょう証明しょうめいしるしりで発行はっこうされるため、本人ほんにん証明しょうめい書類しょるいとしても有効ゆうこう

日本にっぽん印章いんしょう全般ぜんぱんのことをぞく印鑑いんかんぶのは、この印鑑いんかん登録とうろく制度せいど語源ごげんである。印鑑いんかんとは本来ほんらい印章いんしょう印影いんえい登録とうろくされたデータベース登録とうろく簿)のがわし(詳細しょうさいは「印章いんしょう」を参照さんしょう)、「印鑑いんかん印鑑いんかん登録とうろくする」のような用法ようほうもちいることは、厳密げんみつには日本語にほんご誤用ごようであるが、俗語ぞくごとしてひろ浸透しんとうしている用法ようほうでもあるため、ほんこうでは以下いか印章いんしょう意味いみでも「印鑑いんかん」のかたりもちいる。

個人こじん印鑑いんかん登録とうろく

編集へんしゅう

個人こじん印鑑いんかん登録とうろく市町村しちょうそん自治じち事務じむであり、そのあつかいはかく自治体じちたい印鑑いんかん条例じょうれいによるため、一般いっぱんてき市町村しちょうそんにおけるれい以下いか記述きじゅつする。なお、個人こじん印鑑いんかん登録とうろく事務じむ取扱とりあつかいにかんしては1974ねん自治省じちしょうからかく都道府県とどうふけんあてに通知つうちされ[1]以後いごかく市町村しちょうそんではこの通知つうちにならってあつかっている。

印鑑いんかん登録とうろく方法ほうほう

編集へんしゅう

一般いっぱんてき手続てつづきれい以下いかのとおりで、おおむね前述ぜんじゅつ自治省じちしょう通知つうちしたがっているが、実際じっさい取扱とりあつかいについては法律ほうりつによる全国ぜんこく統一とういつ拘束こうそくてき規定きていがないため、かく市町村しちょうそんごとに差異さいがあり、かく市町村しちょうそん印鑑いんかん条例じょうれい内容ないようおよび受付うけつけ窓口まどぐちでの確認かくにんようする。

  1. 回答かいとうしょによる方法ほうほう
    • 本人ほんにんらいちょうする場合ばあい
    1. 登録とうろくする印章いんしょう実印じついん)をって、申請しんせいしょ記入きにゅうして提出ていしゅつする。
    2. 役所やくしょから照会しょうかいしょおよ回答かいとうしょ郵送ゆうそうされるので、回答かいとうしょ記入きにゅうする。
    3. 回答かいとうしょおよ登録とうろくする印章いんしょう役所やくしょ持参じさんする。
    • 代理人だいりにんらいちょうする場合ばあい
    1. 本人ほんにん自書じしょ委任いにんじょう登録とうろくする印章いんしょうって、申請しんせいしょ記入きにゅうして提出ていしゅつする。
    2. 役所やくしょから本人ほんにんあてに照会しょうかいしょおよ回答かいとうしょ郵送ゆうそうされる。本人ほんにん回答かいとうしょ記入きにゅうする。
    3. 代理人だいりにんは、回答かいとうしょ本人ほんにん自書じしょ委任いにんじょう登録とうろくする印章いんしょう代理人だいりにん印章いんしょう受領じゅりょういんとして)を持参じさんする。
  2. 官公かんこうしょ発行はっこう写真しゃしんづけ身分みぶん証明しょうめいしょ運転うんてん免許めんきょしょうパスポートマイナンバーカード住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうカード個人こじん番号ばんごうカードなど)による方法ほうほう本人ほんにんらいちょうのみ)
  3. 保証書ほしょうしょによる方法ほうほう本人ほんにんらいちょうのみ)
    1. 自治体じちたいない印鑑いんかん登録とうろくしているひと保証書ほしょうしょいてもらう。
    2. 保証書ほしょうしょ登録とうろくする印章いんしょうって、申請しんせいしょ記入きにゅうして提出ていしゅつする(保証人ほしょうにん窓口まどぐち付添つきそいもとめる自治体じちたいもあり)。
    3. 本人ほんにん確認かくにんのための質問しつもんこたえ、ただしければ登録とうろくできる。

印鑑いんかん登録とうろくできない印鑑いんかん印章いんしょう

編集へんしゅう

自治体じちたいにより細部さいぶことなることがあるがおおむねつぎとおり。

  • すで他人たにん登録とうろくされているもの
  • 戸籍こせきじょう氏名しめい」「戸籍こせきじょうまたは」「戸籍こせきじょう一部いちぶわせ」以外いがいもの
    • これしるし」「しるし」「これあきら」が追加ついかされたものは
    • 旧姓きゅうせいについては、住民じゅうみんひょうやマイナンバーカードへの旧姓きゅうせい併記へいき可能かのうとなるのにわせて、2019ねん11月5にち以降いこうにはみとめるよう、通達つうたつ改正かいせいしている[2]
  • 戸籍こせきじょう氏名しめい以外いがい職業しょくぎょうその事項じこうあらわしているもの、模様もようなどがはいっているもの
  • 印影いんえい不鮮明ふせんめいなもの
  • 印影いんえい過剰かじょうちいさいまたはおおきい(8 mm四方しほう下回したまわる、または25 mm四方しほうおさまらない)もの
  • 変形へんけい破損はそんしやすい印章いんしょう浸透しんとうゴム印ごむいんとう)。
  • 世帯せたいないものどうじ、また印影いんえいのよく印章いんしょう
  • そとわくがない、あるいは4ぶんの1以上いじょうけているもの
  • 100えんショップ販売はんばいされている大量たいりょう生産せいさんひん印鑑いんかん(いわゆる、三文判さんもんばん
  • 陰刻いんこく印章いんしょうエンボスしるしかんやつ国王こくおうしるしのように、印影いんえい文字もじしろかぶもの)

1人ひとりにつき1個いっこ印鑑いんかん印章いんしょう)しか登録とうろくできない。変更へんこうしたい場合ばあいしかるべき手続てつづきが必要ひつよう

印鑑いんかん登録とうろくできない場合ばあいもある印鑑いんかん印章いんしょう

編集へんしゅう
  • 女性じょせい場合ばあいで、末尾まつびに「」を追加ついか、あるいは削除さくじょしたもの(自治体じちたいによってあつかいがことなる)

法人ほうじん印鑑いんかん登録とうろく

編集へんしゅう

商業しょうぎょう登記とうきほう20じょう規定きていにより、会社かいしゃ設立せつりつとうたって登記とうき申請しんせいするさいには、登記とうき申請しんせいしょ押印おういんすべきしゃ代表だいひょう取締役とりしまりやくひとし)は、登記とうきしょ印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつしなければならない。印鑑いんかん証明しょうめいしょは、その提出ていしゅつした印鑑いんかん印影いんえい)について、どうほう12じょう規定きていにより発行はっこうされる。

会社かいしゃ以外いがい法人ほうじん登記とうきについても、それぞれ根拠こんきょほう商業しょうぎょう登記とうきほう当該とうがい部分ぶぶん準用じゅんようするむね規定きていがあるため(れい: 一般いっぱん社団しゃだん財団ざいだん法人ほうじんほう330じょう生協せいきょうほう92じょう)、会社かいしゃ同様どうよう登記とうきしょ印鑑いんかん証明しょうめいしょ発行はっこうする。

くに地方ちほう公共こうきょう団体だんたいなどについては印鑑いんかん登録とうろく制度せいど存在そんざいしない。

不動産ふどうさん登記とうきにおける印鑑いんかん証明しょうめいしょ

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概要がいよう

編集へんしゅう

不動産ふどうさん登記とうき書面しょめん申請しんせい不動産ふどうさん登記とうき規則きそく1じょう4ごう参照さんしょう以下いかおなじ。)でする場合ばあい申請しんせいじんまたはその代表だいひょうしゃ申請しんせいじん法人ほうじんひとし場合ばあい以下いかおなじ。)が登記とうき申請しんせいしょまた委任いにんじょう記名きめい押印おういんしたときは、印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめいしょ以下いか登記とうき実務じつむわせて印鑑いんかん証明しょうめいしょという[3])が添付てんぷ情報じょうほうとなりうる。不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう18じょう不動産ふどうさん登記とうき規則きそく48じょう49じょう規定きていがあり、これらの規定きてい先例せんれいをまとめると、以下いかのようになる。

なお、申請しんせいしょまた委任いにんじょうした印鑑いんかん印影いんえい)にかんする証明しょうめいしょ添付てんぷする場合ばあい作成さくせい3かげつ以内いないのものでなければならない(不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう3こう・18じょう3こう

添付てんぷ必要ひつよう場合ばあい

編集へんしゅう

以下いかもの登記とうき申請しんせいじんとなる場合ばあい書面しょめん申請しんせいのときは、原則げんそくとしてそのものまたはその代表だいひょうしゃ印鑑いんかん証明しょうめいしょを、申請しんせい情報じょうほう記載きさいした書面しょめん添付てんぷしなければならない。

  1. 所有しょゆうけん登記とうき名義めいぎじん所有しょゆうけんかんするかり登記とうき登記とうき名義めいぎじんふくむ)が登記とうき義務ぎむしゃとなって、権利けんりかんする登記とうき後述こうじゅつ例外れいがいあり)の申請しんせいをする場合ばあいにおける、当該とうがい所有しょゆうけんの(かり登記とうき名義めいぎじん
  2. 共有きょうゆうぶつ分割ぶんかつ禁止きんしさだめにかか所有しょゆうけん変更へんこう登記とうき申請しんせいする場合ばあいにおける、当該とうがい所有しょゆうけんかか不動産ふどうさん持分もちぶんの(かり登記とうき名義めいぎじん
  3. 所有しょゆうけん移転いてん登記とうきがされていないときに所有しょゆうけん保存ほぞん登記とうき抹消まっしょう登記とうき申請しんせいする場合ばあいにおける、所有しょゆうけんの(かり登記とうき名義めいぎじん[ちゅう 1]
  4. 信託しんたくほう3じょう3ごうかかげる方法ほうほうによってされた信託しんたくによる権利けんり変更へんこう登記とうき申請しんせいする場合ばあいにおける、所有しょゆうけんの(かり登記とうき名義めいぎじん
  5. 所有しょゆうけんかんするかり登記とうき抹消まっしょう登記とうきを、かり登記とうき名義めいぎじん不動産ふどうさん登記とうきほう110じょう前段ぜんだん規定きていもとづいて単独たんどく申請しんせいする場合ばあいにおける、当該とうがいかり登記とうき名義めいぎじん
  6. ごうひつ登記とうき合体がったいによる登記とうきとう建物たてもの合併がっぺい登記とうき申請しんせいする場合ばあいにおける、当該とうがいごうひつ合体がったい合併がっぺいかか不動産ふどうさん所有しょゆうけん登記とうき名義めいぎじん
  7. 所有しょゆうけん登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって、担保たんぽ物権ぶっけん根抵当ねていとうけんおよしつけんのぞく)の債務さいむしゃ変更へんこう登記とうきまた更正こうせい登記とうき申請しんせいするときであって、登記とうき識別しきべつ情報じょうほうまた登記とうきずみしょう提供ていきょうまた添付てんぷしない場合ばあいにおける、当該とうがい所有しょゆうけん登記とうき名義めいぎじん
  8. 所有しょゆうけん以外いがい権利けんり登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって権利けんりかんする登記とうき申請しんせいするときであって、登記とうき識別しきべつ情報じょうほうまた登記とうきずみしょう提供ていきょうまた添付てんぷしない場合ばあいにおける、当該とうがい登記とうき名義めいぎじん
  9. 所有しょゆうけん以外いがい権利けんり登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって、信託しんたくほう3じょう3ごうかかげる方法ほうほうによってされた信託しんたくによる権利けんり変更へんこう登記とうき申請しんせいするときであって、登記とうき識別しきべつ情報じょうほうまた登記とうきずみしょう提供ていきょうまた添付てんぷしない場合ばあいにおける、当該とうがい登記とうき名義めいぎじん
  10. 所有しょゆうけん目的もくてきとするかいもどけん登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって登記とうき申請しんせいをする場合ばあいにおける、当該とうがい登記とうき名義めいぎじん(1959ねん昭和しょうわ34ねん)6がつ20にちみんかぶと1131ごう回答かいとう

添付てんぷ不要ふよう場合ばあい

編集へんしゅう

書面しょめん申請しんせいのときでも以下いか場合ばあいには、条文じょうぶんにおいて印鑑いんかん証明しょうめいしょ添付てんぷ不要ふようとされている。

  1. 官公かんこうしょ登記とうき権利けんりしゃまた登記とうき義務ぎむしゃとなって登記とうき嘱託しょくたくおこな場合ばあい
  2. 所有しょゆうけん登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって、登記とうき識別しきべつ情報じょうほうまた登記とうきずみしょう提供ていきょうまた添付てんぷして担保たんぽ物権ぶっけん根抵当ねていとうけんおよしつけんのぞく)の債務さいむしゃ変更へんこう登記とうきまた更正こうせい登記とうき申請しんせいする場合ばあい
  3. 申請しんせいける登記とうきしょが、添付てんぷすべき印鑑いんかん証明しょうめいしょ作成さくせいする登記とうきしょ同一どういつであって、法務大臣ほうむだいじん指定していした登記とうきしょ[ちゅう 2]以外いがいのものである場合ばあい
  4. 申請しんせいじんまたはその代表だいひょうしゃもしくは代理人だいりにん記名きめい押印おういんした申請しんせいしょまた委任いにんじょうについて、公証こうしょうじんまたはこれにじゅんずるもの認証にんしょうけた場合ばあい
  5. 裁判所さいばんしょによって選任せんにんされたものがその職務しょくむじょうおこな申請しんせいについての申請しんせいしょまた委任いにんじょう記名きめい押印おういんしたときに、裁判所さいばんしょ書記官しょきかん最高さいこう裁判所さいばんしょ規則きそく破産はさん規則きそく23じょう4こう[4]民事みんじ再生さいせい規則きそく27じょう2こう[5]など)でさだめるところにより作成さくせいしたものが添付てんぷされている場合ばあい
  6. 申請しんせいじん不動産ふどうさん登記とうきほう22じょう規定きていにより登記とうき識別しきべつ情報じょうほう通知つうちけることとなるときで、#添付てんぷ必要ひつよう場合ばあいの6に該当がいとうする場合ばあい以外いがい場合ばあい
  7. 申請しんせいじん#添付てんぷ必要ひつよう場合ばあいの1ないし9のいずれにも該当がいとうしないときで、上記じょうき6に該当がいとうしない場合ばあい
  8. ふく代理人だいりにんによって登記とうき申請しんせいするときに、委任いにんによる代理人だいりにんふく代理人だいりにん権限けんげんしょうする書面しょめん記名きめい押印おういんした場合ばあい当該とうがい代理人だいりにん印鑑いんかん証明しょうめいしょについて)

このほか、添付てんぷ必要ひつよう場合ばあい反対はんたい解釈かいしゃくなどから、以下いか場合ばあいには印鑑いんかん証明しょうめいしょ添付てんぷ不要ふようである。

  1. 確定かくてい判決はんけつにより登記とうき申請しんせいおこな場合ばあい書式しょしき解説かいせつ1-499ぺーじ
  2. 所有しょゆうけん目的もくてきとするかいもどけん設定せっていをする登記とうき申請しんせいおこな場合ばあい
  3. 所有しょゆうけん以外いがい権利けんり目的もくてきとするかいもどけん登記とうき名義めいぎじん登記とうき義務ぎむしゃとなって登記とうき申請しんせいをする場合ばあい
  4. 不動産ふどうさん売買ばいばい先取せんしゅ特権とっけん保存ほぞん民法みんぽう340じょうまたおもである建物たてもの新築しんちく不動産ふどうさん工事こうじ先取せんしゅ特権とっけん保存ほぞん民法みんぽう338じょう)の登記とうき申請しんせいおこな場合ばあい登記とうき研究けんきゅう433-133ぺーじ

書面しょめん一部いちぶとなる場合ばあい

編集へんしゅう

概要がいよう

編集へんしゅう

書面しょめん申請しんせい場合ばあいにおいて、不動産ふどうさん登記とうきれい7じょう1こう5ごうハもしくは6ごう規定きていまたはその法令ほうれい規定きていにより申請しんせい情報じょうほうあわせて提供ていきょうしなければならない同意どういまた承諾しょうだくしょうする情報じょうほう記載きさいした書面しょめん以下いか同意どういしょまた承諾しょうだくしょという)に作成さくせいしゃ記名きめい押印おういんしたときは、印鑑いんかん証明しょうめいしょ当該とうがい書面しょめん一部いちぶとなりうる。不動産ふどうさん登記とうきれい19じょうおよ不動産ふどうさん登記とうき規則きそく50じょう規定きていがあり、これらの規定きてい実例じつれいをまとめると、以下いかのようになる。

なお、同意どういしょまた承諾しょうだくしょした印鑑いんかん印影いんえい)にかんする証明しょうめいしょ添付てんぷする場合ばあい作成さくせい3かげつ以内いないのものでなければならないという制限せいげんはない。また、この印鑑いんかん証明しょうめいしょ同意どういしょまた承諾しょうだくしょ真正しんせい担保たんぽするものであるから、申請しんせい情報じょうほう記載きさいした書面しょめん添付てんぷ情報じょうほうらんに「印鑑いんかん証明しょうめいしょ」と別途べっと記載きさいする必要ひつようはない。ただし、「承諾しょうだくしょ印鑑いんかん証明しょうめい書付かきつけ)」とするのがのぞましいとされている。

添付てんぷ必要ひつよう場合ばあい

編集へんしゅう

以下いかもの印鑑いんかん証明しょうめいしょを、同意どういしょまた承諾しょうだくしょとう一部いちぶとして添付てんぷしなければならない。

  1. 登記とうき原因げんいんについての第三者だいさんしゃ同意どういしょまた承諾しょうだくしょ民法みんぽう374じょう1こうただししょ・398じょうの14だい2こう・612じょう1こうなど、不動産ふどうさん登記とうきれい7じょう1こう5ごうハ・どうれい別表べっぴょう39こう添付てんぷ情報じょうほうロなど)を申請しんせい情報じょうほう添付てんぷする場合ばあいにおける、当該とうがい書面しょめん作成さくせいしゃ
  2. 登記とうきじょう利害りがい関係かんけいじん承諾しょうだくしょ不動産ふどうさん登記とうきほう66じょう・68じょうなど、どうれい別表べっぴょう25こう添付てんぷ情報じょうほうロ・26こう添付てんぷ情報じょうほうヘなど)を申請しんせい情報じょうほう添付てんぷする場合ばあいにおける、当該とうがい利害りがい関係かんけいじん(1956ねん昭和しょうわ31ねん)11月2にちみんかぶと2530ごう通達つうたつ
  3. かり登記とうき登記とうき義務ぎむしゃ承諾しょうだくしょ申請しんせい情報じょうほう添付てんぷして、かり登記とうき登記とうき権利けんりしゃ単独たんどく当該とうがいかり登記とうき申請しんせいする場合ばあいどうほう107じょう1こうどうれい別表べっぴょう68こう添付てんぷ情報じょうほうロ)における、当該とうがいかり登記とうき登記とうき義務ぎむしゃ(1954ねん昭和しょうわ29ねん)10がつ5にちみんかぶと2022ごう通達つうたつ
  4. かり登記とうき登記とうき名義めいぎじん承諾しょうだくしょ申請しんせい情報じょうほう添付てんぷして、かり登記とうき利害りがい関係かんけいじん単独たんどく当該とうがいかり登記とうき抹消まっしょう登記とうき申請しんせいする場合ばあいどうほう110じょう後段こうだんどうれい別表べっぴょう70こう添付てんぷ情報じょうほうロ)における、当該とうがいかり登記とうき登記とうき名義めいぎじん
  5. 区分くぶん建物たてものにつき、所有しょゆうけん取得しゅとく証明しょうめい情報じょうほう申請しんせい情報じょうほう添付てんぷして所有しょゆうけん保存ほぞん登記とうき申請しんせいする場合ばあいどうほう74じょう2こうどうれい別表べっぴょう29こう添付てんぷ情報じょうほうイ・ロ)における、表題ひょうだい所有しょゆうしゃ(1983ねん昭和しょうわ58ねん)11月10にちみんさん6400ごう通達つうたつだい12-1-2)
  6. 遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょ申請しんせい情報じょうほう添付てんぷして、相続そうぞく原因げんいんとする所有しょゆうけん移転いてん登記とうき申請しんせいをする場合ばあいにおける、不動産ふどうさん取得しゅとくしかつ申請しんせいじんとなるもの以外いがいもの(1955ねん昭和しょうわ30ねん)4がつ23にちみんかぶと742ごう通達つうたつ
  7. 特別とくべつ受益じゅえき証明しょうめいしょ申請しんせい情報じょうほう添付てんぷして、相続そうぞく原因げんいんとする所有しょゆうけん移転いてん登記とうき申請しんせいをする場合ばあいにおける、特別とくべつ受益じゅえきしゃ(1955ねん昭和しょうわ30ねん)4がつ23にちみんかぶと742ごう通達つうたつ

添付てんぷ不要ふよう場合ばあい

編集へんしゅう

以下いか場合ばあいには、条文じょうぶんとうにより印鑑いんかん証明しょうめいしょ添付てんぷ不要ふようとされている。

  1. 同意どういしょまた承諾しょうだくしょ官公かんこうしょ作成さくせいかか場合ばあい
  2. 申請しんせいける登記とうきしょが、添付てんぷすべき印鑑いんかん証明しょうめいしょ作成さくせいする登記とうきしょ同一どういつであって、法務大臣ほうむだいじん指定していした登記とうきしょ[ちゅう 2]以外いがいのものである場合ばあい
  3. 同意どういしょまた承諾しょうだくしょについて、公証こうしょうじんまたはこれにじゅんずるもの認証にんしょうけた場合ばあい
  4. 裁判所さいばんしょによって選任せんにんされたものがその職務しょくむじょうおこな同意どういまた承諾しょうだくについての同意どういしょまた承諾しょうだくしょ記名きめい押印おういんしたときに、裁判所さいばんしょ書記官しょきかん最高さいこう裁判所さいばんしょ規則きそく破産はさん規則きそく23じょう4こう[4]民事みんじ再生さいせい規則きそく27じょう2こう[5]など)でさだめるところにより作成さくせいしたものが添付てんぷされている場合ばあい
  5. 承諾しょうだくしょとう公正こうせい証書しょうしょとして作成さくせいされた場合ばあい登記とうき研究けんきゅう146-42ぺーじ参照さんしょう

具体ぐたいれい

編集へんしゅう

添付てんぷすべき印鑑いんかん証明しょうめいしょは、住所じゅうしょ市町村しちょうそんちょう特別とくべつ区長くちょうふくみ、政令せいれい指定してい都市としにあっては市長しちょうまた区長くちょう以下いか市区しく町村ちょうそんちょう」という。)また登記とうきかん作成さくせいするものにかぎられている(不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう2こう)。このほか先例せんれいとうをまとめると、以下いかのようになる。

印鑑いんかん証明しょうめいしょ提出ていしゅつすべきもの 印鑑いんかん証明しょうめいしょ名義めいぎじん 作成さくせいけんしゃ 根拠こんきょ
以下いかにあてはまらない自然人しぜんじん 当該とうがい自然人しぜんじん 住所じゅうしょ市区しく町村ちょうそんちょう 不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう2こう
印鑑いんかん証明しょうめいしょ添付てんぷできない外国がいこく在住ざいじゅう日本人にっぽんじん 当該とうがい日本人にっぽんじん 当該とうがい居住きょじゅうこく公証こうしょうじん署名しょめい証明しょうめいしょ添付てんぷ 1958ねん昭和しょうわ33ねん)8がつ27にちみんかぶと1738ごう心得こころえ回答かいとう通達つうたつ
印鑑いんかん登録とうろくをしていない外国がいこくじん 当該とうがい外国がいこくじん 当該とうがい外国がいこく官憲かんけん署名しょめい証明しょうめいしょ添付てんぷ 1959ねん昭和しょうわ34ねん)11月24にちみんかぶと2542ごう通達つうたつ
登記とうきしょ印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつしたもの会社かいしゃひとし法人ほうじんのぞく) 当該とうがい提出ていしゅつしゃ 印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつした登記とうきしょ登記とうきかん 不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう2こう商業しょうぎょう登記とうき規則きそく9じょう1こう1ごう・3ごう・5ごう[6]
以下いかにあてはまらない会社かいしゃとう法人ほうじん 当該とうがい法人ほうじん代表だいひょうしゃ 印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつした登記とうきしょ登記とうきかん 不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう2こう商業しょうぎょう登記とうき規則きそく9じょう1こう4ごうおよ当該とうがい条文じょうぶん準用じゅんようするほか法令ほうれい
代表だいひょうしゃ法人ほうじんである以下いかにあてはまらない会社かいしゃまた法人ほうじん その職務しょくむおこなうべきものとう 印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつした登記とうきしょ登記とうきかん 不動産ふどうさん登記とうきれい16じょう2こう商業しょうぎょう登記とうき規則きそく9じょう1こう2ごう・4ごう・5ごうおよ当該とうがい条文じょうぶん準用じゅんようするほか法令ほうれい
代表だいひょうしゃ法人ほうじんである持分もちぶん会社かいしゃ その職務しょくむおこなうべきもの 印鑑いんかん印影いんえい)を提出ていしゅつした登記とうきしょ登記とうきかん 2006ねん平成へいせい18ねん)3がつ29にちみん755ごう通達つうたつ4、商業しょうぎょう登記とうき規則きそく9じょう1こう4ごう
清算せいさんゆいりょう登記とうきをした解散かいさん会社かいしゃ きゅう代表だいひょう清算せいさんじん 住所じゅうしょ市区しく町村ちょうそんちょう 1955ねん昭和しょうわ30ねん)4がつ14にちみんかぶと708ごう電報でんぽう回答かいとう
登記とうきのない官公かんこうしょ組合くみあい 組合くみあい代表だいひょうしゃ 監督かんとく官庁かんちょうなが[ちゅう 3] 1963ねん昭和しょうわ38ねん)8がつ13にちみんさん708ごう電報でんぽう回答かいとう、1965ねん昭和しょうわ40ねん)7がつ13にちみんかぶと1737ごう通達つうたつ
認可にんか地縁ちえん団体だんたい 団体だんたい代表だいひょうしゃ 住所じゅうしょ市区しく町村ちょうそんちょう 1992ねん平成へいせい4ねん)5がつ20にちみんさん2430ごう通知つうち

原本げんぽん還付かんぷ

編集へんしゅう

申請しんせいしょ委任いにんじょう押印おういんした印鑑いんかん印影いんえい)にかんする証明しょうめいしょすんでじゅつ裁判所さいばんしょ書記官しょきかん作成さくせいしたものをふくむ)およ同意どういしょ承諾しょうだくしょ押印おういんした印鑑いんかんかんする証明しょうめいしょすんでじゅつ裁判所さいばんしょ書記官しょきかん作成さくせいしたものをふくむ)については、原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうすることができない(不動産ふどうさん登記とうき規則きそく55じょう1こう)。また、当該とうがい印鑑いんかん証明しょうめいしょわる外国がいこくじん署名しょめい証明しょうめいしょ原本げんぽん還付かんぷけることができない(登記とうき研究けんきゅう692-211ぺーじ)。

上記じょうき以外いがいのものについては、原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうできる。相続そうぞくによる登記とうき申請しんせいするさい遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょ特別とくべつ受益じゅえき証明しょうめいしょ添付てんぷした印鑑いんかん証明しょうめいしょ一発いっぱつ即答そくとう86ぺーじ・88ぺーじ)、資格しかくしゃ代理人だいりにんによる本人ほんにん確認かくにん制度せいど利用りようする場合ばあい資格しかくしゃ代理人だいりにん印鑑いんかん証明しょうめいしょ一発いっぱつ即答そくとう93ぺーじ)などが具体ぐたいれいである。

現行げんこう印鑑いんかん登録とうろく制度せいど成立せいりつ背景はいけい

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印鑑いんかん印章いんしょう)は近世きんせい以降いこう日本にっぽん一般いっぱん庶民しょみんあいだでも商業しょうぎょう権利けんり契約けいやくさいひろ使用しようされるようになっていたが、登録とうろく制度せいどによる公的こうてき裏付うらづけが開始かいしされたのは1871ねん明治めいじ4ねん)の太政官だじょうかん布告ふこくだい456ごうしょしな売買ばいばい取引とりひき心得こころえかたじょうしょ」によるものが最初さいしょである。市町村しちょうそんせい施行しこう以前いぜんであったことから、かく地域ちいき有力ゆうりょくしゃである「身元みもと町村ちょうそんゆびはい庄屋しょうやあるい年寄としよりどもかた」に印鑑いんかんちょうき、これに住民じゅうみん印鑑いんかん印章いんしょう)を押捺おうなつして保管ほかんする形式けいしきった。

その、1878ねん明治めいじ11ねん)の太政官だじょうかんたちだい32ごう府県ふけん官職かんしょく戸長こちょう職務しょくむの慨目」において「町村ちょうそんない人民じんみん印影いんえい簿設置せっち」が戸長こちょう後年こうねん市町村しちょうそんちょう相当そうとう)の事務じむひとつとされ、以降いこう印鑑いんかん登録とうろく自治体じちたいちょうにん自治じち事務じむとなった。以後いご、1888ねん明治めいじ21ねん)の市制しせい町制ちょうせい実施じっし、1947ねん昭和しょうわ22ねん)の地方ちほう自治じちほう施行しこうもこの原則げんそく踏襲とうしゅうされた。

印影いんえい簿保管ほかん方式ほうしきによる印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめいは、登録とうろくされたものと同一どういつ印影いんえい押捺おうなつされた書類しょるい市町村しちょうそん役場やくば窓口まどぐち持参じさんする方式ほうしきる。市町村しちょうそん職員しょくいん印影いんえい簿提出ていしゅつ書類しょるい印影いんえい対比たいひし、同一どういつ印影いんえいみとめられる場合ばあいに、提出ていしゅつ書類しょるいに「登録とうろくされた印影いんえいみとめる」むね証明しょうめいしるし市町村しちょうそんちょうめい押印おういんしてこれを証明しょうめいした。

この方式ほうしきは、印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい頻度ひんどひくく、市町村しちょうそん単位たんいちいさかった時代じだいには一応いちおう機能きのうしていたが、太平洋戦争たいへいようせんそう市町村しちょうそん合併がっぺい進行しんこうして市町村しちょうそん役場やくば1箇所かしょあたりの登録とうろく印影いんえいすうおおきく増加ぞうかし、さら経済けいざい活動かつどう活発かっぱつにより、各種かくしゅ契約けいやく申請しんせいにおいて印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい添付てんぷもとめられる頻度ひんどたかくなると、運用うんよう困難こんなんさが顕現けんげんした。

もとより印鑑いんかん印章いんしょう)はかえしの使用しようによって徐々じょじょ摩滅まめつし、また押印おういんちからのかけかたや、かみ朱肉しゅにくしつちがいによって、押捺おうなつごとに印影いんえい微細びさい差異さいしょうじることはけられない。このような印影いんえいにつき、市町村しちょうそん職員しょくいん磨耗まもうまえ記録きろくされた印影いんえい簿との視認しにん詳細しょうさい対比たいひして、書類しょるい1つうごとに証明しょうめいあたえる作業さぎょう自体じたい効率こうりつ繁雑はんざつであった。

1950年代ねんだい以降いこうは、たとえばモータリゼーションの進展しんてんにより、自動車じどうしゃ販売はんばい業者ぎょうしゃ新車しんしゃ登録とうろくのために、顧客こきゃく押印おういん書類しょるいいちすうじゅうまい単位たんい役所やくしょ窓口まどぐちちこむような事例じれい増加ぞうかし、自治体じちたい担当たんとうしゃ証明しょうめい手続てつづき事務じむ作業さぎょう忙殺ぼうさつされた。さらには書類しょるい印影いんえい真偽しんぎめぐって、これに証明しょうめいあたえた市町村しちょうそん利害りがい関係かんけいしゃから責任せきにんわれ、民事みんじ訴訟そしょうこされる事態じたいすくなからず発生はっせいしたのである。

このように、印影いんえい簿しき印鑑いんかん登録とうろく制度せいどでは市町村しちょうそんがわへの負担ふたん増大ぞうだいするいちぽうであり、また個々ここ市町村しちょうそん取扱とりあつかい基準きじゅんがまちまちであったため、自治省じちしょうたいして「全国ぜんこく統一とういつして運用うんようされる印鑑いんかん登録とうろくほう制定せいてい」をもとめるこえ昭和しょうわ30年代ねんだい以降いこう全国ぜんこく市町村しちょうそんからたかまった。だが、当時とうじ3000以上いじょう存在そんざいした全国ぜんこく市町村しちょうそんで、それぞれ条例じょうれいもしくは長年ながねん慣例かんれいによって運用うんようされていた印鑑いんかん登録とうろく制度せいどを、一斉いっせい統一とういつ制度せいど移行いこうさせることは現実げんじつとしてむずかしく、自治省じちしょうほう制定せいてい必要ひつようせいみとめながらも、あし状態じょうたいつづいた。

あい前後ぜんごして、実用じつようてき複写ふくしゃ開発かいはつともない、市町村しちょうそん役場やくば印影いんえい簿から印影いんえい複写ふくしゃした印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい発行はっこうし、押印おういんされた印影いんえいとの照合しょうごう判断はんだん契約けいやく申請しんせい当事とうじしゃゆだねることが合理ごうりてきであるという着想ちゃくそう浮上ふじょうした。条例じょうれい改正かいせいし、複写ふくしゃしき印鑑いんかん証明しょうめい方式ほうしき導入どうにゅうする自治体じちたいは1960年代ねんだい徐々じょじょはじめた。

しかし、1960年代ねんだい初頭しょとう時点じてんでは「あおしょう」とばれるジアゾしき複写ふくしゃ事務じむよう小型こがた場合ばあい湿式しっしき複写ふくしゃもちいる関係かんけい複写ふくしゃ印影いんえいのにじみ、ゆがみが危惧きぐされ、またゼロックス代表だいひょうされるPPC複写ふくしゃ複写ふくしゃ変質へんしつはほとんどしょうじないものの、普及ふきゅう初期しょき装置そうち導入どうにゅうコストがきわめて高価こうかという課題かだいがあった。さら一部いちぶ法務局ほうむきょく金融きんゆう機関きかんなどは、当初とうしょ複写ふくしゃしき印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい公的こうてき証明しょうめいとしてみとめることに消極しょうきょくてきであった。このため、1960年代ねんだい後期こうきでも旧来きゅうらいからの窓口まどぐち証明しょうめい方式ほうしき維持いじする市町村しちょうそん大勢おおぜいめた。

それでも印鑑いんかん証明しょうめい申請しんせい件数けんすう年々ねんねん増加ぞうかする一方いっぽうで、在来ざいらい方式ほうしきでの事務じむ処理しょり増大ぞうだい放置ほうちできる状態じょうたいではなくなっていた。複写ふくしゃしき印鑑いんかん証明しょうめい大量たいりょう申請しんせいにもすみやかに対応たいおうできる合理ごうりてき手法しゅほうであることはあきらかで、1970年代ねんだいはいるとPPC複写ふくしゃ普及ふきゅうともな導入どうにゅうコスト低下ていかもあり、複写ふくしゃ方式ほうしきへの移行いこう趨勢すうせいとなった。

また実情じつじょうから法律ほうりつ制定せいてい困難こんなん判断はんだんした自治省じちしょうは、1974ねんに「印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい事務じむ処理しょり要領ようりょう」というガイドラインをしめかたち実質じっしつてき統一とういつ基準きじゅんとし、かく市町村しちょうそんにはこれに沿ったかたち複写ふくしゃしき印鑑いんかん証明しょうめいもちいる印鑑いんかん条例じょうれい制定せいていさせるという現実げんじつてき妥協だきょうさくしめした。

この結果けっか、1974ねん以降いこうすう年間ねんかんのうちに、全国ぜんこくほぼすべての市町村しちょうそん自治省じちしょう処理しょり要項ようこう沿った条例じょうれい整備せいびされ、登録とうろく印影いんえい複写ふくしゃ印鑑いんかん証明しょうめいとして交付こうふする方式ほうしき一般いっぱんして、現在げんざいいたっている。

印鑑いんかん登録とうろく制度せいど今後こんご

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上述じょうじゅつのように現在げんざいにおいては、印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい自動車じどうしゃ登録とうろくのために必要ひつよう書類しょるいのひとつであるが、国土こくど交通省こうつうしょう山本やまもとひろし一郎いちろう係長かかりちょうは、運転うんてん免許めんきょしょう提示ていじとうによる印鑑いんかん証明しょうめい省略しょうりゃく提唱ていしょうしており[7]すでOSSによって原則げんそくマイナンバーカードの電子でんし証明しょうめいしょ実現じつげんしている。しかし、カーディーラーなどではマイナンバーカードの電子でんし証明しょうめいしょでの手続てつづきをせず、例外れいがいである印鑑いんかん証明しょうめいしょ提出ていしゅつ手続てつづきをおこなっているのが現状げんじょうである。

日本にっぽん国外こくがいにおける証明しょうめい

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日本にっぽん国外こくがい転出てんしゅつした場合ばあい印鑑いんかん登録とうろく廃止はいしされることにともない、つぎ方法ほうほう本人ほんにん意思いし表示ひょうじ行為こうい確認かくにんする。

日本国にっぽんこく在外ざいがい公館こうかんにおける署名しょめい証明しょうめい

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外務省がいむしょう在外ざいがい公館こうかん領事りょうじ)において、日本人にっぽんじんまたは日本にっぽん国籍こくせき離脱りだつしゃ対象たいしょうに、署名しょめいされたわたし文書ぶんしょまたは署名しょめいそのものについて領事りょうじ面前めんぜんおこなわれたことを証明しょうめいする[8]制度せいどがある。

外国がいこく公証こうしょうじんとうによる署名しょめい証明しょうめい

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外国がいこく公証こうしょうじんまたは裁判所さいばんしょひとしによる署名しょめい証明しょうめい不動産ふどうさん登記とうきさい印鑑いんかん証明しょうめいしょえることができる[9]

日本にっぽん以外いがい印鑑いんかん登録とうろく制度せいど

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韓国かんこく

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朝鮮半島ちょうせんはんとうでは、にちかん併合へいごう1914ねん印鑑いんかん証明しょうめい規則きそく大正たいしょう3ねん朝鮮ちょうせん総督そうとくれいだい110ごう)により印鑑いんかん証明しょうめい制度せいど導入どうにゅうされた。大韓民国だいかんみんこくでは,だい世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ印鑑いんかん証明しょうめいほう法律ほうりつだい724ごう)が制定せいていされ,どう制度せいど存続そんぞくしてきた。

大韓民国だいかんみんこくでは、2009ねん7がつ29にち国家こっか競争きょうそうりょく強化きょうか委員いいんかいが2009ねんない印鑑いんかん登録とうろくようする事務じむのうち6わりについて身分みぶん証明しょうめいしょとう代用だいようさせる方針ほうしんし、5ねん以内いない電子でんし認証にんしょう拡充かくじゅうさせて廃止はいしすることを表明ひょうめいしたが,2017ねん現在げんざい印鑑いんかん証明しょうめい制度せいど廃止はいしされていない。

なお,2012ねん本人ほんにん署名しょめい事実じじつ確認かくにんとうかんする法律ほうりつ(2012ねん法律ほうりつだい11245ごう)により,本人ほんにん署名しょめい事実じじつ確認かくにん制度せいど導入どうにゅうされており,「印鑑いんかん証明しょうめいえて使用しようすることができる」(どうほうだい1じょう)とされている。

台湾たいわん

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台湾たいわんでは、地方自治体ちほうじちたいにより管理かんりされている日本にっぽん韓国かんこくちがい、くにによって管理かんりされており、各地かくち設置せっちされた戸籍こせき事務じむおこなう「戸政とまさ事務所じむしょ」が管理かんりする。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 所有しょゆうけん保存ほぞん登記とうきかり登記とうきは、所有しょゆうけん登記とうきのない不動産ふどうさん所有しょゆうけん承継しょうけい取得しゅとくしたものが、かり登記とうきめいずる処分しょぶん決定けっていしょ正本しょうほん不動産ふどうさん登記とうきれい7じょう1こう5ごうロ(2))を添付てんぷした場合ばあいのみ可能かのうである(書式しょしき解説かいせつ2-1174ぺーじ)。
  2. ^ a b 東京とうきょう法務局ほうむきょく横浜よこはま地方ちほう法務局ほうむきょく名古屋なごや法務局ほうむきょく大阪おおさか法務局ほうむきょく京都きょうと地方ちほう法務局ほうむきょく神戸こうべ地方ちほう法務局ほうむきょく福岡ふくおか法務局ほうむきょくである(2005ねん平成へいせい17ねん法務省ほうむしょう告示こくじだい123ごう不動産ふどうさん登記とうき規則きそくだい36じょうだい1こうだい1ごうとう規定きていもとづき登記とうきしょ指定していするけん
  3. ^ たとえば、国家こっか公務員こうむいん共済きょうさい組合くみあいほうによる共済きょうさい組合くみあいであれば主務しゅむ大臣だいじんであり(1963ねん昭和しょうわ38ねん)8がつ13にちみんさん708ごう電報でんぽう回答かいとう)、裁判所さいばんしょ共済きょうさい組合くみあいであれば最高さいこう裁判所さいばんしょ長官ちょうかんである(1965ねん昭和しょうわ40ねん)7がつ13にちみんかぶと1737ごう通達つうたつ)。

出典しゅってん

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  1. ^ 印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい事務じむ処理しょり要領ようりょう” (PDF). 総務そうむしょう. 2008ねん8がつ31にち閲覧えつらん
  2. ^ 結婚けっこんしても実印じついんはそのまま? 旧姓きゅうせい印鑑いんかん登録とうろく可能かのう ゲンダイ出版しゅっぱん、2019ねん6がつ20日はつか(2022ねん2がつ16にち閲覧えつらん)。
  3. ^ 不動産ふどうさん売買ばいばいにより取得しゅとくした場合ばあい申請しんせいしょ様式ようしき記載きさいれい” (PDF). 法務省ほうむしょう法務局ほうむきょく. 2009ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 破産はさん規則きそく” (PDF). 裁判所さいばんしょ. 2009ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 民事みんじ再生さいせい規則きそく” (PDF). 裁判所さいばんしょ. 2009ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  6. ^ 商業しょうぎょう登記とうき規則きそく”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく. 2009ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  7. ^ 政策せいさくグランプリ”. 内閣ないかく行政ぎょうせい刷新さっしん会議かいぎ. 内閣ないかく. 2014ねん10がつ13にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん10がつ8にち閲覧えつらん
  8. ^ 在外ざいがい公館こうかんにおける証明しょうめい 署名しょめい証明しょうめい”. 外務省がいむしょう. 2021ねん8がつ9にち閲覧えつらん
  9. ^ 外国がいこく居住きょじゅうしているため印鑑いんかん証明しょうめいしょ取得しゅとくすることができない場合ばあい取扱とりあつかいについて”. 法務省ほうむしょう. 2021ねん8がつ9にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 香川かがわいち編著へんちょ)『しん不動産ふどうさん登記とうき書式しょしき解説かいせついち)』テイハン、2000ねんISBN 978-4-8609-6023-0 
  • 香川かがわいち編著へんちょ)『しん不動産ふどうさん登記とうき書式しょしき解説かいせつ)』テイハン、2006ねんISBN 978-4-8609-6031-5 
  • 河合かわい芳光よしみつ逐条ちくじょう不動産ふどうさん登記とうきれい金融きんゆう財政ざいせい事情じじょう研究けんきゅうかい、2005ねんISBN 4-322-10712-5 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-3132 公正こうせい証書しょうしょによる遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょ印鑑いんかん証明しょうめいしょ提出ていしゅつよう」『登記とうき研究けんきゅうだい146ごう帝国ていこく判例はんれい法規ほうき出版しゅっぱんしゃのテイハン)、1960ねん、42ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-6366 建物たてもの新築しんちく工事こうじ先取せんしゅ特権とっけん保存ほぞん添付てんぷ書類しょるい」『登記とうき研究けんきゅうだい433ごう、テイハン、1984ねん、133ぺーじ 
  • 質疑しつぎ応答おうとう-7814 登記とうき義務ぎむしゃである外国がいこくじん署名しょめい証明しょうめいしょ原本げんぽん還付かんぷ可否かひについて」『登記とうき研究けんきゅうだい692ごう、テイハン、2005ねん、211ぺーじ 
  • 藤谷ふじたに定勝さだかつ監修かんしゅう)、山田やまだ一雄かずおへん)『しん不動産ふどうさん登記とうきほう一発いっぱつ即答そくとう800もん日本加除出版にほんかじょしゅっぱん、2007ねんISBN 978-4-8178-3758-5 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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