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周防灘 - Wikipedia
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周防灘すおうなだ

山口やまぐち県けんと福岡ふくおか県けんに囲かこまれた瀬戸内海せとないかいの海域かいいき
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周防灘すおうなだ（すおうなだ）は、瀬戸内海せとないかい北西ほくせい端はしに位置いちする海域かいいきである。旧きゅう豊前ぶぜん国こくに属ぞくす地域ちいき[注ちゅう 1]では豊前ぶぜん海かいと呼よばれる。

周防灘すおうなだ
地図
周防灘すおうなだの位置いち
国くに 日本の旗 日本にっぽん
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地理ちり・気候きこう

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北きたは山口やまぐち県けん南岸なんがん、東ひがしは室津むろつ半島はんとう南端なんたんから屋代島やしろじま（周防すおう大島おおしま）、西にしは関門海峡かんもんかいきょうに至いたる線せんで区切くぎられる。南みなみは大分おおいた県けんの姫島ひめしまと山口やまぐち県けんの祝島いわいじまを結むすぶ線せんを境界きょうかいとして伊予灘いよなだに接せっする。東部とうぶほど深度しんどが深ふかく、西にしへ向むかうに連つれて浅あさくなる。

なお、「多おお島とう美び」を謳うたう瀬戸せと内海うちうみであるが、周防灘すおうなだには島嶼とうしょが少すくないことも特徴とくちょうであり[1]、たとえば防予諸島ほうよしょとうの中なかには、祝島いわいしまや長島ながしま、姫島ひめしま、平郡島へいぐんとう、屋代島やしろじまなど、伊予灘いよなだや安芸灘あきなだとの境界きょうかいを形成けいせいしているものも見みられる。

気候きこうは瀬戸内海せとないかい式しき気候きこうに属ぞくしている。晴天せいてんの日ひが多おおく、降水こうすい量りょうは比較的ひかくてき少すくない。冬ふゆは関門海峡かんもんかいきょうからの北西ほくせいの季節風きせつふうの影響えいきょうを受うけ、雲くもが広ひろがりやすく雨あめ・雪ゆきを降ふらせることがあるなど、日本海にほんかい側がわ気候きこうの特徴とくちょうも見みせる。しかし、季節風きせつふうは山地さんちで抑おさえられるため、沿岸えんがんの波なみは穏おだやかで海うみが荒あれることは少すくない。

伊予灘いよなだと共ともに航行こうこう上じょうにおいて重要じゅうような海域かいいきであるため、船舶せんぱく同士どうしの衝突しょうとつなどの海難かいなん事故じこが比較ひかく的てきに起おきやすいという側面そくめんもある[2]。

自然しぜん環境かんきょう

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「祝島いわいじま」および「長島ながしま (山口やまぐち県けん)」も参照さんしょう
 
曽根そね干潟ひがた（左ひだり）と中津なかつ干潟ひがた（右みぎ）
 

有明海ありあけかいなど日本にっぽん列島れっとうの暖だん温帯おんたい域いきの、広大こうだいな浅海せんかいや干潟ひかたを擁ようした海域かいいきのほとんどは、現在げんざいでは開発かいはつや汚染おせんなどで生態せいたい系けいが著いちじるしく破壊はかいされた状態じょうたいにあるが、周防灘すおうなだには例外れいがい的てきに良好りょうこうな環境かんきょうが多おおく残存ざんそんしていることも知しられる。

北九州きたきゅうしゅう市しの曽根そね干潟ひがた、大分おおいた県けん中津なかつ市しの中津なかつ干潟ひがた、宇佐うさ市しの和かず間あいだ海岸かいがんなどの広大こうだいな干潟ひかたが存在そんざいし、良好りょうこうな環境かんきょうが保たもたれていることが知しられている。これらの干潟ひがたには絶滅ぜつめつが危惧きぐされるカブトガニなどの生物せいぶつが生息せいそくしており、貴重きちょうな野鳥やちょうが数多かずおおく飛来ひらいすることでも有名ゆうめいである。

東京とうきょう湾わんをはじめ、日本にっぽん列島れっとうの各地かくちで絶滅ぜつめつしたとされるアオギスも、周防灘すおうなだでは今いまも細々こまごまと生いき延のびている[3]。日本にっぽんのほとんどの産地さんちが壊滅かいめつ状態じょうたいにある、在来ざいらいの真しんのハマグリの個体こたい群ぐんが生いき残のこっている干潟ひがたも周防灘すおうなだで発見はっけんされており、アサリやクルマエビなど他たの多様たような生物せいぶつにとっても重要じゅうような生息せいそく地ちである[4][5]。

現在げんざいでも漁業ぎょぎょうが盛さかんであり、沿岸えんがんではカレイ、ブリ、マアジ、マダイやサバなどの漁獲ぎょかく量りょうが多おおい。また、西部せいぶではカキ、海苔のりの養殖ようしょくも盛さかんに行おこなわれている。

天然記念物てんねんきねんぶつであるスナメリも、瀬戸内海せとないかい全体ぜんたいで大おおきく生息せいそく数すうと分布ぶんぷ範囲はんいを減へらしたが、周防灘すおうなだは現在げんざいでも比較ひかく的てきにスナメリがよく見みられる海域かいいきであるとされる[6]。

江戸えど時代じだい後期こうきまたは明治めいじ時代じだい前期ぜんきまでは周防灘すおうなだや伊予灘いよなだや芸予諸島げいよしょとうや別府べっぷ湾わん等ひとしにクジラが普遍ふへん的てきに回遊かいゆうしていた可能かのう性せいも示唆しさされており[7]、たとえば山陽さんよう小野田おのだ市しの沿岸えんがんや三田尻みたじりにも多おおくのクジラが遊泳ゆうえいしていたとエンゲルベルト・ケンペルらが書かきしていたり[8]、上関うわせき町まちの祝島いわいじまは特とくにクジラの生息せいそくに関かんする伝承でんしょうが多おおく残のこされていたとされており、周防灘すおうなだには瀬戸内海せとないかいでも特とくに親子おやこのクジラが多おおかったとされる[9][10][11]。しかし、近年きんねんの周防灘すおうなだや伊予灘いよなだ等とうへの大型おおがた鯨くじら類るいや（スナメリ以外いがいの）イルカ類るいの出現しゅつげんはまれである[注ちゅう 2][12][13][14]。かつて周防灘すおうなだや伊予灘いよなだや芸予諸島げいよしょとうや別府べっぷ湾わん等ひとしに多おおく見みられたクジラはコククジラやミンククジラであったとする説せつもあるが、厳密げんみつな証拠しょうこは存在そんざいしない[注ちゅう 3][7][9][8][15]。

伊予灘いよなだと同様どうように、近年きんねんは地球ちきゅう温暖おんだん化かの影響えいきょうからか、ホシエイとナルトビエイの確認かくにん数すうが増加ぞうかしているとされる[16][17]。

自然しぜん災害さいがい

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九州きゅうしゅう北部ほくぶから中国地方ちゅうごくちほう西部せいぶを強つよい台風たいふうが通過つうかする際さいには、沿岸えんがん部ぶが顕著けんちょな高潮こうちょうに見舞みまわれることがある[18]。事実じじつ、1942年ねんには台風たいふうによって周防灘すおうなだ沿岸えんがん部ぶで大だい規模きぼな高潮こうちょう被害ひがいが生しょうじ、「周防灘すおうなだ台風たいふう」の名なで知しられる[19]。

また、宇部うべ市しの沖おきには30年ねん以内いないに地震じしんの引ひき起おこす恐おそれの高たかい（Sランク）周防灘すおうなだ断層だんそう帯たいの存在そんざいが明あきらかとなっており[20]、主要しゅよう活かつ断層だんそうに指定していされている。

工業こうぎょう

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沿岸えんがんの一部いちぶは太平洋たいへいようベルト地帯ちたいに含ふくまれ、山口やまぐち県けん東部とうぶの石油せきゆコンビナートは瀬戸内せとうち工業こうぎょう地域ちいきの一郭いっかくを成なす。関門かんもん都市とし圏けん[注ちゅう 4]の周辺しゅうへん地域ちいきは北九州きたきゅうしゅう工業こうぎょう地帯ちたいを成なし、セメントや化学かがく工業こうぎょうのほか、近年きんねんは自動車じどうしゃ産業さんぎょうの集積しゅうせきも見みられる。

主おもな沿岸えんがん都市とし

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関連かんれん画像がぞう

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 福岡ふくおか県けんの北東ほくとう部ぶと大分おおいた県けんの北部ほくぶ。
  2. ^ ただし、近年きんねんは別府べっぷ湾わんや豊後水道ぶんごすいどうにて少数しょうすうではあるが毎年まいとしザトウクジラが観察かんさつされている。
  3. ^ 瀬戸内海せとないかいに回遊かいゆうしていた大型おおがた鯨くじら類るいは、他たにはセミクジラ、ザトウクジラ、カツオクジラ、ナガスクジラ、ツノシマクジラ等ひとしが考かんがえられる。
  4. ^ 山口やまぐち県けん西部せいぶ、福岡ふくおか県けん東部とうぶ、大分おおいた県けん北部ほくぶ。

出典しゅってん

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  1. ^ 周防灘すおうなだには島しまが少すくない
  2. ^ 伊予灘いよなだ・周防灘すおうなだ
  3. ^ 重田しげた利とし拓ひらけ、手塚てづか尚しょう明あきら、中川なかがわ倫りん寿ことぶき、重田しげた勝利かつとし「瀬戸内海せとないかい周防灘すおうなだ中津なかつ干潟ひがたにおける絶滅ぜつめつ危惧きぐ種しゅアオギスの最新さいしんの生息せいそく状じょう況きょう」『日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい年会ねんかい講演こうえん要旨ようし』45号ごう、2012年ねん、107-135頁ぺーじ、2021年ねん1月がつ3日にち閲覧えつらん。 
  4. ^ “1.3 響灘ひびきなだ及および周防灘すおうなだ”. 環境省かんきょうしょう. pp. 107-135. 2021年ねん1月がつ3日にち閲覧えつらん。
  5. ^ 徳丸とくまる泰久やすひさ, 2009年ねん, 大分おおいた県けん瀬戸内せとうち海域かいいきにおけるクルマエビの成熟せいじゅく, 大分おおいた県けん水すい試ためし調ちょう研けん報むくい, 第だい2号ごう, 17-31頁ぺーじ, 大分おおいた県けん
  6. ^ 粕谷あらや俊雄としお, 瀬戸内海せとないかい産さんスナメリの生態せいたいと最近さいきんの動向どうこうについて, 周防灘すおうなだ賛さん
  7. ^ a b 村上むらかみ晴はれ澄きよし, 今川いまがわ了俊りょうしゅんの紀行きこう文ぶん『道みちゆきぶり』にみる鯨島くじらじま（PDF）, 立命館大学りつめいかんだいがく
  8. ^ a b 大村おおむら秀雄ひでお「市川いちかわの鯨くじら」『鯨くじら研けん通信つうしん』第だい345号ごう、1982年ねん7月がつ、24頁ぺーじ。 
  9. ^ a b “連鎖れんさの崩壊ほうかい”. 2015年ねん6月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2023年ねん12月29日にち閲覧えつらん。
  10. ^ 日本にっぽん子守こもり唄うた協会きょうかい 編著へんちょ『唄うたいつぐ 親おやから子こへ』産経新聞さんけいしんぶん社しゃ、2007年ねん7月がつ、224頁ぺーじ。ISBN 978-4-86306-017-3。 
  11. ^ 日本にっぽんの鯨くじら文化ぶんか：鯨くじらに関かかわる伝説でんせつ・逸話いつわ
  12. ^ “瀬戸内海せとないかいにザトウクジラ　捕食ほしょくシーンも”. 日にっテレNEWS24 (2018年ねん1月がつ27日にち). 2024年ねん1月がつ4日にち閲覧えつらん。
  13. ^ “びっくり！イルカの群むれ 周防すおう大島おおしまで30頭とう【動画どうが】”. 日にっテレNEWS24 (2022年ねん11月22日にち). 2024年ねん1月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  14. ^ 垣花かきはな昌弘まさひろ (2020年ねん7月がつ31日にち). “山口やまぐち）伊予灘いよなだにイルカの大群たいぐん】”. 朝日新聞あさひしんぶん. 2024年ねん1月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  15. ^ 石川いしかわ創はじめ, 渡邉わたなべ俊輝としてる (2014年ねん). “山口やまぐち県けん鯨くじら類るい目録もくろく”. 下関しものせき鯨くじら類るい研究けんきゅう室しつ報告ほうこく No.2. pp. 1-14. 2023年ねん12月19日にち閲覧えつらん。
  16. ^ 巨大きょだいホシエイ、山口やまぐち県けん周防すおう大島おおしま周辺しゅうへんに生息せいそく域いき広ひろげる 餌えさ求もとめ港みなとへ、漁業ぎょぎょう被害ひがいも【動画どうが】
  17. ^ 山口やまぐち県けん瀬戸内せとうち海域かいいきにおける海洋かいよう生物せいぶつに関かんする特記とっき的てき現象げんしょう(予報よほう)
  18. ^ 山口やまぐち県けんの高潮こうちょう災害さいがい
  19. ^ “周防灘すおうなだ台風たいふう”. 山口やまぐち県けん. 2020年ねん4月がつ8日にち閲覧えつらん。
  20. ^ 周防灘すおうなだ断層だんそう群ぐん　地震じしん調査ちょうさ研究けんきゅう推進すいしん本部ほんぶ
 

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