村田むらた重治しげはる

村田むらた 重治しげはる（むらた しげはる、1909年ねん（明治めいじ42年ねん）4月がつ9日にち - 1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）10月26日にち）は、日本にっぽんの海軍かいぐん軍人ぐんじん。海兵かいへい58期き。南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんで米べい空母くうぼ「ホーネット」攻撃こうげき後ごに戦死せんしした。二に階かい級きゅう特進とくしんにより最終さいしゅう階級かいきゅうは海軍かいぐん大佐たいさ。

村田むらた 重治しげはる
村田むらた 重治しげはる（海軍かいぐん少佐しょうさ時代じだい）
渾名あだな	雷撃らいげきの神様かみさま、ブーツ、ガジ
生誕せいたん	1909年ねん4月がつ9日にち 大日本帝国だいにっぽんていこく 長崎ながさき県けん南高来みなみたかき郡ぐん 島原しまばら村むら新馬場しんばば
死没しぼつ	(1942-10-26) 1942年ねん10月26日にち（33歳さい没ぼつ） 英えい領りょうソロモン諸島しょとうサンタクルズ諸島しょとう沖おき（米べい空母くうぼ「ホーネット」艦上かんじょう）
所属しょぞく組織そしき	大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん
軍ぐん歴れき	1932 - 1942
最終さいしゅう階級かいきゅう	海軍かいぐん大佐たいさ

経歴けいれき

1909年ねん（明治めいじ42年ねん）4月がつ9日にち、長崎ながさき県けん南高来みなみたかき郡ぐん島原しまばら村むら新馬場しんばばに父ちち円えんの次男じなんとして生うまれる。村田むらた家かは士族しぞくで、祖父そふ・重太郎しげたろうは戊つちのえ辰たつの役やくに兵士へいしとして参加さんかしている。重治しげはるの幼少ようしょう時代じだいは、成績せいせきは小学校しょうがっこう、中学校ちゅうがっこうともに優秀ゆうしゅうだが、控ひかえめで口数くちかずも少すくなくどちらかと言いうと目立めだたなかったが、相撲すもうと剣道けんどうは強つよかった。中学ちゅうがく時代じだいの渾名あだなは「ガジ」であり、当時とうじの級友きゅうゆうによれば「決けっしてガジガジの性格せいかくから来きたものではなく、背せが低ひくくてがっしりしていたので、その感かんじから自然しぜんと“ガジ”という渾名あだなが付ついたものと思おもう」という。

旧制きゅうせい長崎ながさき県立けんりつ島原しまばら中学校ちゅうがっこう（現げん・長崎ながさき県立けんりつ島原しまばら高等こうとう学校がっこう）を経へて、1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）11月、海軍兵学校かいぐんへいがっこう58期きに入校にゅうこう。同期どうきに江草えぐさ隆りゅう繁しげる、奥宮おくのみや正武まさたけ、中島なかじま正ただしら。兵へい学校がっこうでは「ブツ」という渾名あだなを付つけられている。由来ゆらいには諸説しょせつあり、いつもブーツ（搭乗とうじょう員いん用ようの長靴ながぐつ）を履はいているから、ブツ即すなわち男性だんせいの一物いちもつが異常いじょうに大おおきいから、仏ふつのような人柄ひとがらだったから、などがある。村田むらたはラムネのラッパ飲のみと水泳すいえいを得意とくいとしていた。1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）11月がつ海軍兵学校かいぐんへいがっこうを卒業そつぎょう。1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）4月がつ、海軍かいぐん少尉しょうい任官にんかん。

1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）11月、霞ヶ浦かすみがうら海軍かいぐん航空こうくう隊たいの飛行ひこう学生がくせいを拝命はいめい。海軍かいぐん中尉ちゅうい任官にんかん。1934年ねん（昭和しょうわ9年ねん）7月がつ飛行ひこう学生がくせい卒業そつぎょう、館山たてやま海軍かいぐん航空こうくう隊たい付づけ。1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）10月がつ、空母くうぼ「加賀かが」乗組のりくみ。実家じっかで縁談えんだんがあり、従妹じゅうまいの矢内やない貞子さだこと結婚けっこん。長女ちょうじょ治子はるこの眠ねむる横よこで自慢じまんの電気でんき蓄音機ちくおんきで大好だいすきなボレロなどのポピュラー音楽おんがくを聞きいていたという。1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）10月がつ、霞ヶ浦かすみがうら海軍かいぐん航空こうくう隊たい教官きょうかん。教官きょうかん時代じだいの教おしえ子ごに原田はらだ要かなめがいる。村田むらたは原田はらだに対たいして「素直すなおな気持きもちが一番いちばん大事だいじ」と指導しどうしたという。12月、海軍かいぐん大尉たいい任官にんかん。

支ささえ那な事変じへん（日にち中ちゅう戦争せんそう）

パナイ号ごう事件じけんで九きゅう六ろく艦かん攻おさむの爆ばく撃げきを受うけ
沈没ちんぼつする「砲艦ほうかんパナイ」

詳細しょうさいは「パナイ号ごう事件じけん」を参照さんしょう

1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）7月がつ支ささえ那な事変じへん勃発ぼっぱつ、同年どうねん12月1日にち、十じゅう三さん空そら分隊ぶんたい長ちょうとして上海しゃんはいの公おおやけ大だい基地きちに着任ちゃくにん、更さらに常つね州しゅうに進出しんしゅつした。 12月12日にち、村田むらたは同期どうきの奥宮おくのみや正武まさたけとともに出撃しゅつげきし、パナイ号ごう事件じけんを起おこした。村田むらたの操縦そうじゅうする九きゅう六ろく式しき艦上かんじょう攻撃こうげき機きと僚機で高度こうど2500mからの水平すいへい爆撃ばくげきの直撃ちょくげき弾だんでアメリカ海軍かいぐんの河川かせん砲艦ほうかん「パナイ（USS Panay）」を撃沈げきちんした。村田むらたはそのとき攻撃こうげきしたのが中国ちゅうごく船せんだと思おもっていたが、これが後のちに米べい艦かんであることがわかった。日本にっぽん側がわはアメリカに誠意せいいを以って陳謝ちんしゃしたが、攻撃こうげきした村田むらたにお咎とがめはなかった。

1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）3月がつ、第だい二に連合れんごう航空こうくう隊たいの十じゅう二に空そらの分隊ぶんたい長ちょうに着任ちゃくにん。漢かん口こう攻撃こうげきに参加さんかした。12月、空母くうぼ「赤城あかぎ」分隊ぶんたい長ちょう。1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）6月がつ、大分おおいた海軍かいぐん航空こうくう隊たい分隊ぶんたい長ちょう。10月15日にち、横須賀よこすか海軍かいぐん航空こうくう隊たいの海軍かいぐん練習れんしゅう航空こうくう隊たい特修とくしゅう科か高等こうとう学生がくせいを拝命はいめい。専修せんしゅうは雷撃らいげき科目かもく。

大だい東亜とうあ戦争せんそう（太平洋戦争たいへいようせんそう）

真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきで日本にっぽん軍機ぐんきの攻撃こうげきを受うけ
炎上えんじょうする「ウエスト・ヴァージニア」

南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんで日本にっぽん軍機ぐんきの攻撃こうげきを受うけ
沈没ちんぼつ寸前すんぜんで放棄ほうきされた「ホーネット」

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）11月15日にち、横須賀よこすか海軍かいぐん航空こうくう隊たい分隊ぶんたい長ちょう兼けん教官きょうかんに着任ちゃくにん。浅海せんかい面めんでの魚雷ぎょらい発射はっしゃの実験じっけん研究けんきゅうを担当たんとうした。魚雷ぎょらいの発射はっしゃ実験じっけんでは深度しんど12m以内いないに成功せいこう。1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）8月がつ25日にち、空母くうぼ「龍りゅう驤」飛行ひこう隊長たいちょう。9月27日にち、臨時りんじ・空母くうぼ「赤城あかぎ」飛行ひこう隊長たいちょう兼けん分隊ぶんたい長ちょう。第だい一いち航空こうくう艦隊かんたい（通称つうしょう・南雲なぐも機動きどう部隊ぶたい）航空こうくう参謀さんぼう源田げんた実み中佐ちゅうさたっての希望きぼうで、雷撃らいげきの専門せんもん家かとして村田むらたが真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきのために異動いどうすることになった。「赤城あかぎ」機関きかん長ちょうの反保たんぼ慶けい文ぶん大佐たいさによれば、村田むらたは終始しゅうし真摯しんし果敢かかんな猛もう訓練くんれんをやり、攻撃こうげき隊たい総そう隊長たいちょうの淵田ふちた美津雄みつお中佐ちゅうさも軍機ぐんき中ちゅうの軍機ぐんきである真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきをこの男おとこにだけは明あかしていただきたいと上司じょうしに願ねがい出でたという。

10月15日にち、海軍かいぐん少佐しょうさ任官にんかん。11月、空母くうぼ「赤城あかぎ」飛行ひこう隊長たいちょう。

詳細しょうさいは「真珠湾しんじゅわん攻撃こうげき」を参照さんしょう

1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）12月8日にち、真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきに参加さんか。太平洋戦争たいへいようせんそう勃発ぼっぱつ。艦かん爆ばく隊たいに先さきを越こされるが、村田むらたの艦かん攻おさむ隊たいは戦艦せんかん「ウエスト・ヴァージニア」、戦艦せんかん「オクラホマ」などを攻撃こうげきしている。

その後ごも、南雲なぐも機動きどう部隊ぶたいはセイロン沖おき海戦かいせんなどで連戦れんせん連勝れんしょうを続つづけた。

詳細しょうさいは「ミッドウェー海戦かいせん」を参照さんしょう

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）6月5日にち、ミッドウェー海戦かいせんに参加さんか。日本にっぽんは作戦さくせん立案りつあん段階だんかいでの慢心まんしんや南雲なぐも司令しれい部ぶの索敵さくてきミス等とうが重かさなった結果けっか、主力しゅりょく空母くうぼ4隻せきを失うしなって敗北はいぼくする。村田むらたは、大破たいは炎上えんじょうする空母くうぼ「赤城あかぎ」から辛からくも生還せいかん。

7月がつ、ミッドウェー海戦かいせんで壊滅かいめつした第だい一いち航空こうくう艦隊かんたいの後継こうけい部隊ぶたいとしての第だい三さん艦隊かんたい編成へんせいに伴ともない、空母くうぼ「翔しょう鶴づる」飛行ひこう隊長たいちょうに着任ちゃくにん。

詳細しょうさいは「第だい二に次じソロモン海戦かいせん」を参照さんしょう

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）8月がつ24日にち、第だい二に次じソロモン海戦かいせんに参加さんか。しかし、出番でばんのなかった九きゅう七なな式しき艦上かんじょう攻撃こうげき機きを指揮しきする村田むらたは、第だい二に航空こうくう戦隊せんたいの奥宮おくのみや正武まさたけ航空こうくう参謀さんぼうに「艦かん爆ばくばかり出だしたから、折角せっかくやっつけた空母くうぼを逃にがしたね」と皮肉ひにくを述のべている。

詳細しょうさいは「南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせん」を参照さんしょう

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）10月26日にち、南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんに参加さんか。第だい一いち次じ攻撃こうげき隊たいを指揮しきして、米べい空母くうぼ「ホーネット」を肉薄にくはく雷撃らいげき後ごに乗じょう機きが被弾ひだん炎上えんじょう、そのまま同艦どうかんに突入とつにゅうし自爆じばく。その様子ようすは鈴木すずき武雄たけお・長ちょう曾我そが部ぶ明あきら中尉ちゅういによって報告ほうこくされ、1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）1月がつ、山本やまもと五十六いそろく連合れんごう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんの名なで、彼かれの戦死せんしと殊勲しゅくんが全ぜん軍ぐんに布告ふこくされた。3月、南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせん当時とうじの第だい三さん艦隊かんたい（南雲なぐも機動きどう部隊ぶたい）司令しれい長官ちょうかんで佐世保させぼ鎮守ちんじゅ府ふ司令しれい長官ちょうかんに異動いどうしていた南雲なぐも忠一ただかず中将ちゅうじょうが村田むらたの生家せいかを弔問ちょうもんに訪おとずれた。死後しご二に階かい級きゅう特進とくしんで海軍かいぐん大佐たいさに昇進しょうしん（昭和しょうわ19年ねん2月がつ10日とおか附ふ）。

年譜ねんぷ

• 1909年ねん（明治めいじ42年ねん）
  • 4月がつ9日にち- 長崎ながさき県けん南高来みなみたかき郡ぐん島原しまばら村むら（現げん・島原しまばら市し）に生うまれる
• 1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）4月がつ- 海軍兵学校かいぐんへいがっこうに入校にゅうこう
• 1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）11月 - 海軍兵学校かいぐんへいがっこうを卒業そつぎょう
• 1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）4月がつ - 海軍かいぐん少尉しょうい任官にんかん
• 1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）11月 - 霞ヶ浦かすみがうら海軍かいぐん航空こうくう隊たいで飛行ひこう学生がくせい・海軍かいぐん中尉ちゅうい任官にんかん
• 1934年ねん（昭和しょうわ9年ねん）7月がつ - 館山たてやま海軍かいぐん航空こうくう隊たい付づけ
• 1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）10月がつ - 空母くうぼ「加賀かが」乗組のりくみ
• 1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）10月がつ - 霞ヶ浦かすみがうら航空こうくう隊たい教官きょうかん・海軍かいぐん大尉たいい任官にんかん
• 1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）7月がつ - 第だい十じゅう三さん航空こうくう隊たい分隊ぶんたい長ちょうとして日にち中ちゅう戦争せんそう（支ささえ那な事変じへん）に参加さんか
  • 12月12日にち - パナイ号ごう事件じけん発生はっせい
• 1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）3月がつ - 第だい十じゅう二に航空こうくう隊たい分隊ぶんたい長ちょう
  • 12月 - 空母くうぼ「赤城あかぎ」分隊ぶんたい長ちょう
• 1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）10月がつ - 横須賀よこすか海軍かいぐん航空こうくう隊たい付づけ
• 1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）8月がつ25日にち - 空母くうぼ「龍りゅう驤」飛行ひこう隊長たいちょう
  • 10月15日にち - 海軍かいぐん少佐しょうさ任官にんかん
  • 11月 - 空母くうぼ「赤城あかぎ」飛行ひこう隊長たいちょう
  • 12月8日にち - 真珠湾しんじゅわん攻撃こうげき
• 1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）1月がつ20日はつか - ラバウル攻略こうりゃく
  • 2月がつ29日にち - ダーウィン空襲くうしゅう
  • 4月がつ5日にち - セイロン沖おき海戦かいせん
  • 6月5日にち - ミッドウェー海戦かいせん
  • 7月がつ - 空母くうぼ「翔しょう鶴づる」飛行ひこう隊長たいちょう
  • 8月がつ24日にち - 第だい二に次じソロモン海戦かいせん
  • 10月26日にち - 南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんで空母くうぼ「ホーネット」攻撃こうげき後ごに戦死せんし。享年きょうねん34。

参考さんこう文献ぶんけん

• 山本やまもと悌一ていいち朗ろう『海軍かいぐん魂たましい 若わかき雷撃らいげき王おう村田むらた重治しげはるの生涯しょうがい』

（光人みつひと社しゃ、1985年ねん） ISBN 4-7698-0256-0

（光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ、1996年ねん） ISBN 4-7698-2129-8

• 『歴史れきし群ぐん像ぞう・太平洋たいへいよう戦史せんしシリーズ1 奇襲きしゅうハワイ作戦さくせん 長駆ちょうく3000浬かいりの波なみ濤を越こえて敢行かんこうされた大だい作戦さくせん その戦略せんりゃくと戦術せんじゅつ』（学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1994年ねん） ISBN 4-0560-0367-X
• 『歴史れきし群ぐん像ぞう・太平洋たいへいよう戦史せんしシリーズ6 死闘しとうガダルカナル 連合れんごう艦隊かんたい最後さいごの勝利しょうり南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんを中心ちゅうしんにガ島とうを巡めぐる争奪そうだつの後半こうはん戦せんを分析ぶんせきする』（学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1995年ねん） ISBN 4-05-401262-0
• 豊田とよだ穣みのる『新しん・蒼空そうくうの器うつわ 大空おおぞらのサムライ七なな人にんの生涯しょうがい』（光人みつひと社しゃ、1980年ねん）
• 日本にっぽん近代きんだい史料しりょう研究けんきゅう会かい編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐんの制度せいど・組織そしき・人事じんじ』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい

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