武田たけだ義統よしむね

武田たけだ 義統よしむね（たけだ よしずみ/よしむね）は、戦国せんごく時代じだいの武将ぶしょう・大名だいみょう。武田たけだ信しん豊ゆたかの長男ちょうなん。若狭わかさ国こく守護しゅご。若狭わかさ武田たけだ氏し8代だい当主とうしゅ。

凡例はんれい 武田たけだ 義統よしむね
時代じだい	戦国せんごく時代じだい
生誕せいたん	大だい永ひさし6年ねん（1526年ねん）
死没しぼつ	永えい禄ろく10年ねん4月がつ8日にち（1567年ねん5月16日にち）
改名かいめい	彦二ひこじ郎ろう（幼名ようみょう）→信しんじ統すべ（初はつ名な）→晴信はるのぶ→義統よしむね（異説いせつでは元もと栄さかえ（初はつ名な）→義元よしもと→義統よしむね）
別名べつめい	義元よしもと
戒名かいみょう	桂かつら林寺はやしじ殿どの聖せい寂さび宗そう清きよし
官位かんい	伊豆いず守まもる、治部じぶ少しょう輔、大膳だいぜん大夫たいふ
幕府ばくふ	室町むろまち幕府ばくふ 若狭わかさ守護しゅご
氏族しぞく	若狭わかさ武田たけだ氏し
父母ちちはは	父ちち：武田たけだ信しん豊ゆたか、母はは：六角ろっかく定頼さだより娘むすめ
兄弟きょうだい	義統よしむね、信しんじ方かた、信景さだかげ、信しんじ由ゆかり、義貞よしさだ
妻つま	正室せいしつ：足利あしかが義晴よしはる娘むすめ 側室そくしつ：京極きょうごく高だか吉きち養女ようじょ・松子まつこ
子こ	元明もとあき（元次もとつぐ）、義よし頼よりゆき

生涯しょうがい

大だい永ひさし6年ねん（1526年ねん）、武田たけだ信しん豊ゆたかの長男ちょうなんとして誕生たんじょう。初はつ名なは信しんじ統みつる（のぶずみ/のぶむね）。のちに室町むろまち幕府ばくふ12代だい将軍しょうぐん・足利あしかが義晴よしはるより偏へん諱いみな（「晴はれ」の字じ）を受うけて晴はれ信しんと改名かいめいし、さらに（「義よし」）を受うけて義統よしむねと改名かいめいしたともいわれている。一方いっぽう、木下きのした聡さとしは古文書こもんじょから確認かくにんできる初はつ名めいは細川ほそかわ晴はる元もとからの偏へん諱いみなを得えたとみられる元もと栄さかえで、その後ご永えい禄ろく元年がんねん（1558年ねん）頃ごろに将軍しょうぐん・足利あしかが義輝よしてるより偏へん諱いみなを受うけて義元よしもとと改名かいめいし、父ちちとの対立たいりつの最中さいちゅうの永えい禄ろく4年ねん（1561年ねん）頃ごろに義統よしむねに改名かいめいしたとしている。

天文てんもん17年ねん（1548年ねん）には義晴よしはるの娘むすめ（足利あしかが義輝よしてる・義昭よしあきの妹いもうと）を正室せいしつに迎むかえた。

弘治こうじ2年ねん（1556年ねん）、弟おとうと・信しんじ方かたを擁立ようりつする重臣じゅうしん・粟屋あわや勝久かつひさと争あらそい、勝久かつひさを追放ついほうして勝利しょうりした。永えい禄ろく元年がんねん（1558年ねん）には義統よしむねに代かえて弟おとうと・武田たけだ元康もとやす（信しん由よし）へ家督かとくを譲ゆずろうとした父ちち・信しんじ豊ゆたかを近江おうみ国こくに追放ついほうして実質じっしつ的てきに家督かとくを継ついだが、その後ごも父ちちとの対立たいりつは絶たえず、また粟屋あわや勝久かつひさなど被官ひかん達たちの反乱はんらんも続つづいた。永えい禄ろく4年ねん（1561年ねん）には重臣じゅうしんの逸見いつみ昌あきら経けいが反乱はんらんを起おこす。逸見いつみ氏しの水軍すいぐんを自身じしんの編成へんせいした水軍すいぐんで打うち破やぶるなどの戦果せんかも挙あげたが、昌あきら経けいが丹波たんば国こくの松永まつなが長ちょう頼よりゆきの支援しえんを受うけたこともあり独力どくりょくで鎮圧ちんあつすることはできなかった。このため越前えちぜん国こくの朝倉あさくら義景よしかげの援助えんじょを受うけて鎮圧ちんあつに成功せいこうするが、若狭わかさに朝倉あさくら氏しの影響えいきょう力りょくが強つよまる一因いちいんをなした。

永えい禄ろく8年ねん（1565年ねん）、義兄ぎけいにあたる13代だい将軍しょうぐん・足利あしかが義輝よしてるが三好みよし三さん人にん衆しゅらに殺害さつがいされ（永えい禄ろくの変へん）、義輝よしてるの弟おとうとである義秋よしあき（義昭よしあき）が自身じしんの将軍しょうぐん就任しゅうにんへの協力きょうりょくを求もとめて、永えい禄ろく9年ねん（1566年ねん）に若狭わかさを訪おとずれた。若狭わかさ武田たけだ氏しは偏へん諱いみなや婚姻こんいんなどを通つうじて交流こうりゅうするなど、足利あしかが将軍家しょうぐんけから格別かくべつな信頼しんらいを受うけていたが、この頃ころの義統よしむねは内乱ないらんのために若狭わかさから出兵しゅっぺいすることができなかった。そこで、義統よしむねは実弟じっていの信景さだかげを室町むろまち将軍家しょうぐんけに出仕しゅっしさせた。

永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）4月がつ8日にち、死去しきょした。享年きょうねん42。異説いせつとして同年どうねん11月がつ9日にちに死去しきょしたとも伝つたえられ、『高野山こうのやま過去かこ帳ちょう』・『諸家しょか系図けいず纂』によれば天正てんしょう8年ねん（1580年ねん）4月がつ8日にちを没ぼつ日びとする記述きじゅつがあるが、武田たけだ信玄しんげんが朝倉あさくら義景よしかげに充あてた書状しょじょうに義統よしむねが既すでに亡なくなっていることを示唆しさする文言もんごんがあり、元もと亀かめ4年ねん（1573年ねん）に没ぼっした信玄しんげんより前まえに死去しきょしているのは確実かくじつである。木下きのした聡さとしは朝倉あさくら義景よしかげが元もと亀かめ3年ねん（1572年ねん）に出だした安堵あんど状じょうから同年どうねん時点じてんで信しんじ豊ゆたかの健在けんざいが確認かくにんできることを指摘してきして、『高野山こうのやま過去かこ帳ちょう』・『諸家しょか系図けいず纂』に記しるされている天正てんしょう8年ねんの記事きじは通説つうせつでは没年ぼつねん不ふ詳しょうとされる父ちち・信しんじ豊ゆたかの死去しきょを誤認ごにんした可能かのう性せいを指摘してきしている。

家督かとくは子この元明もとあきが継まましいだが、逸見いつみ氏し・粟屋あわや氏しなどの反乱はんらんはおさまることがなく、若狭わかさ武田たけだ氏しの統治とうちは一向いっこうに安定あんていしなかった。義統よしむねの死しの翌年よくねんには朝倉あさくら義景よしかげが若狭わかさに出兵しゅっぺいし、武力ぶりょくで平定へいてい、元明もとあきは一いち乗じょう谷たにに定住ていじゅうすることを促うながされ、朝倉あさくら氏しの保護ほご下かに置おかれた。

人物じんぶつ

• 「文ぶん彩いろどり風流ふうりゅう独ひとり群ぐんを出でず」と言いわれ（『枯木かれき稿こう』）、武家ぶけ故実こじつにも関心かんしんを示しめしたと伝つたえられているが、代々だいだいの若狭わかさ武田たけだ氏し当主とうしゅのように具体ぐたい的てきな記録きろくは残のこっていない。

参考さんこう文献ぶんけん

• 木下きのした聡さとし 編へん『若狭わかさ武田たけだ氏し』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん〈シリーズ・中世ちゅうせい西国さいこく武士ぶしの研究けんきゅう 第だい四よん巻かん〉、2016年ねん。ISBN 978-4-86403-192-9。 

関連かんれん項目こうもく

• 畿内きない・近国きんごくの戦国せんごく時代じだい