永野ながの護まもる

永野ながの 護まもる（ながの まもる、1960年ねん〈昭和しょうわ35年ねん〉1月がつ21日にち - ）は、日本にっぽんのメカニックデザイナー・キャラクターデザイナー・漫画まんが家か。株式会社かぶしきがいしゃEDIT代表だいひょう取締役とりしまりやく。京都きょうと府ふ舞鶴まいづる市し出身しゅっしん。身長しんちょう175cm。愛称あいしょう（自称じしょう）は「クリス」。妻つまは声優せいゆう・歌手かしゅ・俳優はいゆうの川村かわむら万梨阿まりあ。

ながの まもる 永野ながの 護まもる
生誕せいたん	(1960-01-21) 1960年ねん1月がつ21日にち（64歳さい） 日本にっぽん・京都きょうと府ふ舞鶴まいづる市し
国籍こくせき	日本にっぽん
職業しょくぎょう	メカニックデザイナー キャラクターデザイナー 漫画まんが家か アニメ映画えいが監督かんとく 実業じつぎょう家か
活動かつどう期間きかん	1983年ねん -
代表だいひょう作さく	『重じゅう戦機せんきエルガイム』 『ファイブスター物語ものがたり』 『花はなの詩し女おんな ゴティックメード』

人物じんぶつ

アニメ制作せいさく会社かいしゃ日本にっぽんサンライズ（サンライズを経へて、現げん・バンダイナムコフィルムワークス）に企画きかく部ぶのオールラウンド・デザイナーとして入社にゅうしゃすると、すぐにテレビアニメ『重じゅう戦機せんきエルガイム』のメインデザイナーに抜擢ばってきされる。永野ながのの生うみ出だしたロボット「ヘビーメタル」は、ロボットアニメ史上しじょう、初はじめて設定せってい上じょう齟齬そごなく動うごくデザインを提供ていきょうし、アニメ業界ぎょうかいに旋風せんぷうを巻まき起おこした。以後いご、アニメのデザイナー、漫画まんが家かとして活躍かつやく。

人間にんげんもメカ（ロボット）も両方りょうほうひっくるめて「キャラクター」として描えがける人間にんげんが本来ほんらいのデザイナーだと思おもっているので、「メカデザイン」という役職やくしょくは存在そんざいしないというのがポリシー。

趣味しゅみ・嗜好しこう

音楽おんがく

ロックに通暁つうぎょうし、作品さくひん中ちゅうの固有名詞こゆうめいしなどには、バンド名めい（主おもにプログレッシブ・ロック）やその作品さくひん名めい、メンバー名めいをオマージュとしてしばしば借用しゃくようしている。例たとえば、アモン・デュール、アトール、アシュ・ラ・テンペル、モーターヘッド等ひとしが挙あげられる。また、楽器がっきや機材きざいにも精通せいつうしておりフォーカスライト、SSL、インタシティ、Neve Electronics等ひとし、楽器がっき・機材きざいメーカー名めいを借用しゃくようする事こともある。学生がくせい時代じだい、バンドを組くんでおり、ベースを担当たんとうしていた。米べい軍ぐんキャンプで演奏えんそうをしていた経験けいけんもあり、一時期いちじきは本気ほんきでミュージシャンになろうかと考かんがえていたこともあるという。自身じしんが執筆しっぴつするマンガのイメージアルバム「THE FIVE STAR STORIES」を自みずから手てがけたこともある。サンライズの面接めんせつにもベースを背負せおって靴くつ底そこが15cmもあるロンドンブーツを履はいていったが、長髪ちょうはつで靴くつのせいで身長しんちょうが190cm近ちかくある永野ながのを見みた担当たんとう者しゃは、「使つかいものになりそうにないけどオモロイんで雇やとおうか」と言いったという。

ファッション

ファッションデザインを学まなんでおり、登場とうじょうキャラクターのファッションにも強つよいこだわりを持もってデザインをしている。『FSS』を始はじめとして、永野ながのの作品さくひんに登場とうじょうするキャラクターのコスチューム・デザインは、アニメ・マンガの世界せかいを超こえて高たかい評価ひょうかを得えている。こうしたファッションへのこだわりについて、永野ながのはデザイン集しゅう『F.S.S. DESIGNS1』において、実家じっかが呉服ごふく関係かんけいの仕事しごとをしていたため幼少ようしょう時じより布地ぬのじに囲かこまれて育そだったという原はら体験たいけんを語かたっている。「FSSのデザインは1980年代ねんだいファッションを引ひっ張ぱってきたという自負じふがある」とも語かたっている。洋服ようふくを着きても、基本きほん的てきに「服ふくを着きた俺おれを見みて」ではなく「洋服ようふくを見みて」というのが先さきに立たっている。ちょっと変かわった服ふくを着きていて街まちで馬鹿ばかにされたりからかわれたりすることもあるので、好すきな服ふくを着きることにはすごくパワーがいるが、それでも着きる。

ミリタリー

大だいのミリタリーファンであり、現実げんじつの兵器へいきの造形ぞうけい・デザイン面めんの様々さまざまな分野ぶんやに造詣ぞうけいが深ふかく、永野ながののデザインはそれらより強つよい影響えいきょうを受うけている。サンライズの面接めんせつでも、戦車せんしゃや戦闘せんとう機きなどを描えがいて提出ていしゅつした。実在じつざいの兵器へいきの中なかでは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん時どきのドイツ軍ぐんやソ連それん軍ぐんの戦車せんしゃへの愛好あいこうが強つよい。その嗜好しこうは、『パンツァーフロント』でのオリジナル戦車せんしゃデザインや、『ファイブスター物語ものがたり』における戦車せんしゃ戦せんの描写びょうしゃに反映はんえいしているほか、「バストーニュ」「トブルク」「マエッセン」「ケーニヒ」など、『FSS』に登場とうじょうする地名ちめいや人物じんぶつ名めいもその分野ぶんやに因ちなんだものが見みられる。そのためミリタリー色いろの強つよいアニメ『装甲そうこう騎兵きへいボトムズ』のファンでもある。また、『ボトムズ』の作画さくが監督かんとくの谷口たにぐち守泰もりやすとは、実家じっかが呉服ごふく関係かんけいの仕事しごとをしていたという永野ながののプロフィールと谷口たにぐちの西陣織にしじんおり図案ずあんデザイナー出身しゅっしんという異色いしょくの経歴けいれきとのつながりや、同おなじ京都きょうと人じんとして、永野ながのとの親交しんこうが知しられている。航空こうくう自衛隊じえいたい第だい204飛行ひこう隊たいが永野ながののイラストをノーズアートに採用さいようした際さい、その御礼おれいで、当時とうじ第だい204飛行ひこう隊たいが駐屯ちゅうとんしていた百里基地ひゃくりきちを訪問ほうもん。その時ときの興奮こうふんを『Takes of Joker』13号ごうに綴つづっている。

模型もけい製作せいさく

モデラーを自認じにんしており、模型もけいを趣味しゅみで制作せいさくしている。腕前うでまえはかなりのもので、模型もけい雑誌ざっしのプロモデラーと比較ひかくしてもあまり遜色そんしょくがないほどのもの。ミリタリー模型もけいファンであり、田宮たみや模型もけいが主催しゅさいする1/35ミリタリーフィギュアの改造かいぞうコンテスト「タミヤ人形にんぎょう改造かいぞうコンテスト」に18歳さいの時ときに入賞にゅうしょうした経験けいけんがあり、同社どうしゃが発行はっこうする作品さくひん集しゅうにも掲載けいさいされた。タミヤがMMタイガーIおよびキングタイガーをリリースした際さいは、『月刊げっかんニュータイプ』誌しの模型もけいコーナーに作例さくれいを提供ていきょうしたり、『FSS』の連載れんさいのトビラで同どうキットを紹介しょうかいした事ことがある。また、自みずからデザインしたモビルスーツ「リック・ディアス」の改造かいぞう作品さくひん「シュツルム・ディアス」の作例さくれいが模型もけい専門せんもん誌し「モデルグラフィックス」に掲載けいさいされた事ことがある。後のちにシュツルム・ディアスは明あきら貴き美加みかのクリンナップを経へて『機動きどう戦士せんしガンダムΖぜーたΖぜーた』の劇げき中ちゅうに登場とうじょうした。また『FSS』のモーターヘッド造形ぞうけいやWTMの原型げんけいで知しられる谷たに明あきらは、ワンダーフェスティバルにて、永野ながのに見みい出だされ、海洋かいよう堂どうに入社にゅうしゃした経緯けいいがある。

コスプレ

学生がくせい時代じだいから、「トミノコ族ぞく」の中心ちゅうしん的てき存在そんざいとして知しられ、1981年ねん2月がつ22日にちに新宿しんじゅくアルタ前まえで行おこなわれた、富野とみの由ゆかり悠ゆう季き主催しゅさいの『機動きどう戦士せんしガンダム』劇場げきじょう版ばん公開こうかい前まえのイベント「アニメ新しん世紀せいき宣言せんげん」に、シャア・アズナブルのコスプレをして現あらわれた。ちなみに同どうイベントでは、川村かわむら万梨阿まりあもララァ・スンのコスプレで登場とうじょうしている。2000年ねん7月がつ23日にちに幕張まくはりメッセで行おこなわれた、東京とうきょうキャラクターショー2000・角川書店かどかわしょてんブースでの『Schell Bullet』トークショーでは、著者ちょしゃである幾いく原はら邦彦くにひことともに、「厄落やくおとし」と称しょうして、『セーラームーン』（講談社こうだんしゃ作品さくひん）に登場とうじょうするキャラクターの女装じょそうコスプレでムーンライト伝説でんせつにあわせてダンスを披露ひろうし（永野ながのはセーラーヴィーナス、幾いく原はらはセーラーマーズにそれぞれ扮ふんした）、観客かんきゃくの度肝どぎもを抜ぬいた。この時とき、川村かわむらが振ふり付つけを担当たんとうした。

ゲーム

TVゲームに非常ひじょうに熱中ねっちゅうしやすく、スーパーファミコンのソフトが全盛期ぜんせいきだった頃ころは、親交しんこうのある佐藤さとう元はじめとよくソフトを交換こうかんし合あい、それが部屋へや中ちゅうに散乱さんらんしていたという。特とくにオンラインゲーム『ファンタシースターオンライン』には熱中ねっちゅうし、著名ちょめい人じんプレイヤーとしても知しられている。続編ぞくへん『ファンタシースターユニバース』においてもファンサイトと自身じしん専用せんようロビーを立たち上あげてプレイしたとされる。また、彼かれがデザインした武器ぶきが同どうゲーム内ないに登場とうじょうする。『ファンタシースターオンライン2』においても彼かれがデザインした武器ぶきおよびキャラクターが登場とうじょうし、キャラクターの声優せいゆうは妻つまである川村かわむら万梨阿まりあが担当たんとうした。『バーチャファイター』全盛期ぜんせいきには、印税いんぜいを投なげ打うって筐体きょうたいを購入こうにゅうした事ことを、川村かわむらがラジオで語かたっている。ドリームキャスト版ばん『ソウルキャリバー』に熱中ねっちゅうした際さいには、同どうゲームの攻略こうりゃく本ほんにて『アイヴィ』の攻略こうりゃく記事きじを執筆しっぴつした事ことがある。

家族かぞく

妻つまはアニメ『重じゅう戦機せんきエルガイム』のガウ・ハ・レッシィ/リリス・ファウ役やく（二に役やく）や、アニメ版ばん『ファイブスター物語ものがたり』でラキシス役やくを務つとめた声優せいゆう・川村かわむら万梨阿まりあである。互たがいに学生がくせい時代じだいの頃ころから12年ねんの交際こうさいを経へて1991年ねんに挙式きょしきし、富野とみの由ゆかり悠ゆう季き夫妻ふさいが仲人なこうどを、ガンダムの登場とうじょう人物じんぶつであるギレン・ザビ役やくの声優せいゆう・銀河万丈ぎんがばんじょうが披露宴ひろうえんの司会しかいを務つとめた。川村かわむら以外いがいの家族かぞくは非公開ひこうかいだが、夫婦ふうふ仲なかは良好りょうこうらしく、『Tales of Joker』8号ごうのインタビューでロボットデザインの話題わだいになった時とき、とある事ことで川村かわむらと夫婦ふうふ喧嘩けんかになった時とき、川村かわむらから「お前まえなんかロボットが描えがけなかったらただのクズ男おとこだよ」と言いわれて「あったりまえじゃん。オレはロボットが描えがけるから今いまの地位ちいがあるんだぜ」とい返いかえした逸話いつわを披露ひろうしている。

交友こうゆう関係かんけい

親交しんこうのあるアニメーター兼けん漫画まんが家か・佐藤さとう元はじめの漫画まんが『おやすみ!わたしのサイボーイ』（1985年ねん）の作画さくがに協力きょうりょくした。

『巨きょ神しんゴーグ』や『機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム』などで親交しんこうのある安彦やすひこ良和よしかずは、雑誌ざっし『ガンダムエース』での対談たいだんを経へて、永野ながのの考かんがえ方かたを堅実けんじつで合理ごうり的てき、「クールなおたく」であると評ひょうした。

ゲームデザイナーの遠藤えんどう雅まさ伸しんとも交遊こうゆうがあり、『ファイブスター物語ものがたり』の雑誌ざっし掲載けいさい版ばん再さい録ろくを行おこなっていた雑誌ざっし『Tales of Joker』に、遠藤えんどうが「Otaku of Chris」と題だいしたエッセイを寄稿きこうしていた時期じきもある。

経歴けいれき

1982年ねん、第だい2回かいSFアート大賞たいしょう（月刊げっかん「スターログ」主催しゅさい）で入選にゅうせん。拓殖大学たくしょくだいがくを中退ちゅうたい。永野ながのも参加さんかしていた地元じもと京都きょうとの『機動きどう戦士せんしガンダム』ファンのグループに、サンライズの関係かんけい者しゃが運営うんえいする『伝説でんせつ巨きょ神しんイデオン』の映画えいが化か記念きねんイベントでコスプレパフォーマンスをしてくれないかという打診だしんがあった。そこで永野ながのが絵えを描えがけることを知しっていた友人ゆうじんがサンライズの人間にんげんに彼かれを推薦すいせんしてくれた。当時とうじ、『超ちょう時空じくう要塞ようさいマクロス』の成功せいこうでサンライズでも若わかい人材じんざいを求もとめており、新人しんじんデザイナーを募集ぼしゅうしていた。その頃ころ、永野ながのはまだ巨大きょだいロボットもアニメ的てきなキャラクターも描えがけなかったので、面接めんせつには一般いっぱん的てきなアニメとは違ちがう写実しゃじつ的てきなタッチの建造けんぞう物ぶつや自分じぶんの考かんがえた世界せかい観かんの絵えなどを持もち込こみ、担当たんとう者しゃからはっきりと「絵えは使つかえないが経歴けいれきが面白おもしろいから雇やとう」と言いわれた。入社にゅうしゃ後ご、プロデューサーの植田うえだ益えき朗ろうに自分じぶんの絵えを見みせた時ときも、「プロとしてやっていけるかどうかはわからないけど、いろいろやってみなさい」と言いわれた。

1983年ねん、サンライズに入社にゅうしゃ。とりあえず3月がつに新設しんせつされる第だい3スタジオに配属はいぞくされることになり、企画きかく部長ぶちょうの山浦やまうら栄二えいじの下したで仕事しごとをすることになった。1月から3月がつまでは試用しよう期間きかんで、練習れんしゅうとして描えがくよう言いわれた神田かんだ武幸たけゆき監督かんとくの『銀河ぎんが漂流ひょうりゅうバイファム』用ようのメカのデザインが採用さいようされ、4月がつから正式せいしきに入社にゅうしゃするよう言いわれた。デザイナーとして入社にゅうしゃしたものの、実際じっさいには「何なんでもやれ」と言いわれており、プロデューサーと一緒いっしょに企画きかくを立たて、プレゼンし、そして財政ざいせい面めんも考かんがえた。またスタッフを管理かんりし、実質じっしつ的てきにプロダクションマネージャーのような役割やくわりも担になうことになった。4-6月がつに「銀河ぎんが漂流ひょうりゅうバイファム」、7月がつからは『重じゅう戦機せんきエルガイム』の制作せいさくに参加さんか、その合間あいまに『巨きょ神しんゴーグ』も手伝てつだうというスケジュールだった。

第だい3スタジオでは、神田かんだ監督かんとくとキャラクターデザインの芦田あしだ豊雄とみおに挟はさまれた席せきで絵えコンテの描えがき方かたやキャラクターの描えがき方かたを教おそわり、そこに毎日まいにち数すう十じゅう枚まい上あがってくるメカデザインの大河原おおかわら邦男くにおのデザイン画がを見みせられてレクチャーを受うけるという英才えいさい教育きょういくのような仕事しごとの叩はたきこまれ方かたをした。安彦やすひこ良和よしかず監督かんとくのもとで『巨きょ神しんゴーグ』の作業さぎょうが始はじまると安彦やすひこに兵器へいきや機械きかいの構造こうぞうに詳くわしい人間にんげんとして呼よばれ、会社かいしゃ側がわに「安彦やすひこさんはとても大切たいせつな人ひとだから要望ようぼうを無視むしするわけにはいかない」と言いわれて掛かけ持もちすることになった。その頃ころ、第だい2スタジオに呼よばれて『機動きどう戦士せんしガンダム』シリーズの富野とみの由ゆかり悠ゆう季き監督かんとくの『聖戦せいせん士しダンバイン』の新しん主役しゅやく機き、ビルバインのコンペにデザインを提出ていしゅつすることになった。富野とみの監督かんとくはすでに永野ながのが描えがいた小物こものの設定せってい書しょを50枚まいほど見みたことがあり、彼かれを呼よぶよう頼たのんでいた。当時とうじ、富野とみのには「永野ながののような才能さいのうを拾ひろい上あげなくては」という意識いしきがあったという。

6月がつ頃ごろ、永野ながのは上司じょうしの山浦やまうらから『バイファム』の後のち番組ばんぐみの企画きかくを第だい3スタジオで作つくるように言いわれた。「これまでに誰だれも見みたことのない新あたらしいタイプのメカを考かんがえ出だすように」と言いわれ、「メカだけでいいのか」とき返きかえすと「企画きかくもストーリーも全部ぜんぶだ」と言いわれたので、永野ながのはもう一人ひとりの人物じんぶつと一緒いっしょに『スターウォーズ』をベースにした誰だれも知しらない惑星わくせいでのロードムービー風ふうの話はなしを考かんがえた。6月がつ末まつ、大おおきなメカと少年しょうねん少女しょうじょが旅たびをするという設定せっていで最初さいしょの企画きかくデザインを提出ていしゅつした。7月、永野ながのがバンダイにプレゼンテーションを行おこなったところ気きに入いられ、7月がつ末まつにサンライズに対たいして『Explorer』という仮かりタイトルで企画きかくにゴーサインが出でた。8月に『ダンバイン』のスポンサーだったクローバーが倒産とうさんし、代かわってバンダイがスポンサーになった。しかし、植田うえだプロデューサーが探さがしていたのは永野ながのも所属しょぞくする第だい3スタジオの『バイファム』の後のち番組ばんぐみで、バンダイがスポンサーの『ダンバイン』は第だい2スタジオの作品さくひんだった。そのため、山浦やまうらと植田うえだはスタッフの再編さいへんを考かんがえなければならなかった。彼かれらは監督かんとくも探さがし始はじめ、第だい2スタジオに移うつった永野ながのはバイファムやゴーグから手てを引ひいてこの企画きかくに専念せんねんすることになり、企画きかくを練ねり上あげ、玩具おもちゃ用ようの図面ずめんを引ひき、企画きかく案あんのリライトも行おこなった。9月、富野とみのが監督かんとくを務つとめることが決定けっていし、それまでの企画きかくを引ひき継ついだ。これが『重じゅう戦機せんきエルガイム』となった。

富野とみの、安彦やすひこ、神田かんだがなぜか優やさしく接せっしてくれたが、そのことについて、後のちに山浦やまうらが「当時とうじのアニメ業界ぎょうかいには会話かいわや挨拶あいさつがきちんとできる人間にんげんがいなかったからだ」と説明せつめいしてくれた。

1984年ねん、『エルガイム』放映ほうえい中ちゅうに富野とみの監督かんとくから『機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム』のコンセプトデザインを依頼いらいされる。そしてメイン・デザイナーに指名しめいされ、MSや戦艦せんかんから衣装いしょうや小物こもの類るいまで様々さまざまなデザインを手掛てがける。しかし制作せいさく会社かいしゃやスポンサーなどに最初さいしょに提出ていしゅつしたMSのデザインを酷評こくひょうされ、代かわりのスタッフが投入とうにゅうされたことから番組ばんぐみ開始かいし前まえに降板こうばん。その後ご、一時いちじ復帰ふっきするが、数すう点てんのデザインを残のこして番組ばんぐみを去さった。

1985年ねん、アニメ雑誌ざっし「月刊げっかんニュータイプ」（角川書店かどかわしょてん）創刊そうかん号ごうから「フール・フォー・ザ・シティ」の連載れんさい開始かいし。漫画まんが家かとしても活動かつどうを始はじめる。同年どうねん、『Ζぜーたガンダム』の続編ぞくへんの『機動きどう戦士せんしガンダムΖぜーたΖぜーた』で監督かんとくの富野とみのによりメイン・デザイナーに指名しめいされ、メカデザインを一いち手てに引ひき受うけることになった。主役しゅやくのガンダムや敵てきMSなどのデザインを行おこなっていたが、年末ねんまつに事態じたいが急変きゅうへんし、数すう点てんを除のぞいてΖぜーたΖぜーただけでなくほとんどの永野ながのデザインのメカが画面がめんから消きえることになった。

1986年ねん、「月刊げっかんニュータイプ」で「ファイブスター物語ものがたり」連載れんさい開始かいし。同年どうねん、映画えいが『機動きどう戦士せんしガンダム 逆襲ぎゃくしゅうのシャア』で、富野とみの監督かんとくの指名しめいにより再度さいどメイン・デザイナーに起用きようされる。しかし、スタッフなどの制作せいさくサイドやスポンサーと衝突しょうとつして降板こうばん。全すべてのデザインが没ぼつとなる。

1989年ねん、サンライズ退社たいしゃ。席せきがなくなる代かわりに、原作げんさくを持もち込こんだ時ときの版権はんけんが自分じぶんに帰属きぞくすることになった。株式会社かぶしきがいしゃトイズプレス副ふく社長しゃちょうに就任しゅうにん。

1994年ねん頃ころ、富野とみの監督かんとくから『聖戦せいせん士しダンバイン』シリーズの劇場げきじょう版ばんデザイナーとしてオファーを受うけるが、企画きかくの頓挫とんざにより実現じつげんしなかった。

1998年ねん、『ブレンパワード』で富野とみの監督かんとくの指名しめいでタッグを組くみ、久ひさしぶりにアニメのデザインワークスを担当たんとうした。

1999年ねん、幾いく原はら邦彦くにひこのヴィジュアルストーリー『シェルブリット』のビジュアルデザインを担当たんとう。

2012年ねん11月1日にち、原作げんさく・監督かんとく・脚本きゃくほん・絵えコンテ・レイアウト・原画げんが・全ぜんデザインを永野ながの護まもるが担当たんとうした『花はなの詩し女おんな ゴティックメード』が劇場げきじょう公開こうかいされる。

デザインワークス

銀河ぎんが漂流ひょうりゅうバイファムと巨きょ神しんゴーグ

サンライズ入社にゅうしゃ直後ちょくごに神田かんだ武幸たけゆき監督かんとくの『銀河ぎんが漂流ひょうりゅうバイファム』と安彦やすひこ良和よしかず監督かんとくの『巨きょ神しんゴーグ』に登用とうようされ、それぞれメインのメカデザイナーの大河原おおかわら邦男くにお・安彦やすひこ良和よしかずの両りょう巨匠きょしょうのかたわらでサブのメカデザインを任まかされた。

『バイファム』では、大河原おおかわらがデザインしなかった一部いちぶのゲストメカのデザインを担当たんとうした。中なかでも正式せいしき採用さいようのきっかけとなったパペットファイターはメカデザイン初はつ仕事しごとだった。それ以外いがいにも登場とうじょうロボットのラウンドバーニアン（RV）のラフデザインやディティールアップ、地球ちきゅう軍ぐんとククト軍ぐん両方りょうほうの制服せいふくのデザイン（クリンナップはキャラクターデザイナーの芦田あしだ豊雄とみお）、一部いちぶゲストキャラクターのデザイン（芦田あしだの不在ふざい時じ）なども行おこなっている。RVのラフデザインは、監督かんとくの神田かんだから説明せつめいを受うけながらなんとか描えがいたラフを大河原おおがわらがクリンナップしてバザムになった。永野ながのは直なおされた自分じぶんのデザインの全すべてのパーツとフォルムがきちんと形かたちになっていて、かつ大河原おおかわらデザインにもなっていることにショックを受うけたと語かたっている。

『ゴーグ』では、大型おおがた重機じゅうきダイノソアとヘリコプターをデザインしたほか、水陸すいりく両用りょうよう装甲車そうこうしゃのキャリア・ビーグルや戦車せんしゃ（メルカバ93型がた）などの三面さんめん図ずと作画さくが参考さんこう用ようの各部かくぶディティールやコックピットや内部ないぶ機構きこうの設定せっていなどを描えがいている。また安彦やすひこが永野ながのを呼よんだのは、デザイナーというよりも自身じしんがあまり詳くわしくないミリタリー関係かんけいや機械きかい類るいの作動さどう方法ほうほうのアドバイザーとしてだった。

重じゅう戦機せんきエルガイム

キャラクターデザインとメカデザインの両方りょうほうを一いち手てに引ひき受うけた。発端ほったんは当時とうじの日本にっぽんサンライズで新人しんじんデザイナーとして活動かつどうを始はじめた永野ながのが「自分じぶんが描えがきたいロボット」として描えがいた画がを富野とみの由ゆかり悠ゆう季き監督かんとくが見みたことだったという。しかも永野ながのがロボットのイラストの端はしに描えがいていたキャラクター達たちも目めに留とまり、キャラクターデザインまで担当たんとうするという前代未聞ぜんだいみもんの人事じんじとなった。結果けっか的てきに、富野とみの監督かんとくの意向いこうで主人公しゅじんこうメカを含ふくむメカデザイナーとキャラクターデザイナーの両方りょうほうを駆かけ出だしの新人しんじんが務つとめるという異例いれいの事態じたいにつながったが、反対はんたい意見いけんも多おおかったという。ただし、当時とうじの永野ながのはまだ新人しんじんであり、印象いんしょう的てきなメカデザインで注目ちゅうもくされていたものの、その画が力りょくはアニメーションの設定せってい画が（誰だれもが同どうじ画がを描えがけるようにする指示しじ書しょ）というレベルではなかったため、最初さいしょの内うちは実際じっさいのアニメ制作せいさく用ようの設定せってい画がの一部いちぶはアニメーションディレクターを務つとめた湖みずうみ川かわ友とも謙けん率ひきいるビーボォーのスタッフが永野ながのの絵えから起おこしていた。また永野ながのも湖みずうみ川かわらの設定せってい画がに直接ちょくせつ解説かいせつ文ぶんや注釈ちゅうしゃくを書かき込こんだりしている。

デザインは単たんにキャラ表ひょうを起おこすだけでなく、劇げき中ちゅうで「ヘビーメタル」と呼よばれるロボットの内部ないぶ構造こうぞうや駆動くどう系けいに関かんする科学かがく的てき・技術ぎじゅつ的てき考証こうしょうから人物じんぶつの衣装いしょう・小道具こどうぐに至いたるまで、いわゆるコンセプトデザインの領域りょういきに踏ふみ込こんだデザインを行おこなった。それまでのアニメロボットが現実げんじつ的てきな可動かどうをある程度ていど無視むししていたのに対たいして、『エルガイム』において永野ながのは、ムーバルフレームや二に重じゅう関節かんせつなどの導入どうにゅうにより、フィルム上じょうでロボットが合理ごうり的てきに動うごいているように見みえる機械きかい的てきに矛盾むじゅんの無ない可動かどうを視聴しちょう者しゃにイメージさせることに成功せいこうした。

『エルガイム』ではデザインにとどまらず、ほとんどのセクションを手掛てがけ、演出えんしゅつや脚本きゃくほんに口くちを出だしたり一部いちぶ原画げんがを描えがいたりもしている。

また以前いぜんから温あたためていた画面がめんには登場とうじょうしない「裏うら設定せってい」を数多かずおおく盛もり込こみ、積極せっきょく的てきに各かく媒体ばいたいで公表こうひょう。「ファイブスター物語ものがたり」のプロトタイプともいうべき独自どくじの世界せかいを構築こうちくするなど、アニメファンの間あいだにセンセーションを巻まき起おこした。

機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム

富野とみの監督かんとくにより、メイン・デザイナーに指名しめいされた。富野とみの監督かんとくからは「キャラクター以外いがいのビジュアルイメージを出だしてデザインに専念せんねんして欲ほしい」と言いわれ、富野とみのとSF設定せってい考証こうしょう担当たんとうの永瀬ながせ唯ゆいとの3人にんでスペースコロニーや宇宙船うちゅうせんなどの作品さくひんの基本きほん設定せっていも考かんがえた。

メカニックデザインではなく「デザインワークス」とクレジットされているのは、全ぜん天てん周囲しゅういモニターとリニアシート、ムーバブル・フレーム、多重たじゅう関節かんせつといったΖぜーたガンダムとそれ以降いこうの続編ぞくへんに出でてくるメカニックの基本きほんデザイン、あるいはノーマルスーツや制服せいふくなどの衣装いしょうや拳銃けんじゅうなどの小物こもの類るいといった、メカニックの範疇はんちゅうを超こえたデザインを行おこなっているためである。またヤザン・ゲーブルのキャラクター設定せってい画がは、永野ながのがオリジナルを描えがいている。

モビルスーツではΖぜーたガンダム（百ひゃく式しき）とガンダムMk-IIのラフ、ガルバルディβべーた、リック・ディアス、キュベレイ、ハンブラビ、戦艦せんかんではアーガマ、グワンバン、エンドラをデザインした。

Ζぜーたガンダムのラフは、『エルガイム』放映ほうえい期間きかん中ちゅう、富野とみの監督かんとくに「アメリカで行おこなわれるコンベンションに新あたらしいガンダムに関かんするアイデアをいくつか持もって行いきたい」と言いわれて描えがいた新しんガンダムのコンセプト案あん。富野とみの監督かんとくにはまったく新あたらしいMS像ぞうを作つくりたいという意識いしきが強つよかったようで、好すきに描えがいていいからとにかく永野ながのバージョンのガンダムではなく新あたらしいロボットを作つくるようにと言いわれて描えがいた。画稿がこうには「ZETA」や「ZETA GUNDAM」と記しるされているが、あくまで『Ζぜーたガンダム』に登場とうじょうする新あたらしいMSのコンセプトをイメージしたもので、既存きそんのMSのイメージを大おおきく変かえるものとなっている。またこれらのラフについては、このコンセプトを基もとに永野ながの自身じしんがリック・ディアスとガルバルディβべーたをデザインしたり、藤田ふじた一己かずみがのちにクリンナップして百ひゃく式しきとΖぜーたガンダム頭部とうぶの決定けってい稿こうを描えがいたり、大河原おおかわら邦男くにおが参考さんこうにして自身じしんのΖぜーたガンダムやガンダムMk-IIのラフデザインを描えがいたりしている。

一方いっぽうで永野ながのは、前作ぜんさくのデザインの流ながれも取とり入いれた保守ほしゅ的てきなMSのデザイン作業さぎょうも進すすめており、それがリック・ディアスとガルバルディβべーただった。しかし、最初さいしょに提出ていしゅつされたその2つのデザインに対たいするサンライズ上層じょうそう部ぶやバンダイなどのスポンサーの評価ひょうかは低ひくく、「こんなのモビルスーツじゃない」などと酷評こくひょうされた。そこで作品さくひんに使つかえるメカデザイナーを探さがすことになり、36人にんの候補こうほの中なかから藤田ふじた一己かずみが選えらばれた。また前回ぜんかいのガンダムのデザイナーの大河原おおかわら邦男くにおの復帰ふっきも決きまった。

ガンダムMk-IIは、永野ながのが描えがいたΖぜーたガンダムのラフを基もとに復帰ふっきした大河原おおかわらがΖぜーたガンダムとガンダムMk-IIのラフを描えがき、それらを基もとに永野ながのがガンダムMk-IIのラフを描えがき、大河原おおかわらがまたそれに手てを入いれるというやり取とりを繰くり返かえした後のち、最終さいしゅう的てきに新人しんじんの藤田ふじたがクリンナップしてデザインを完成かんせいさせた。

まだ若わかかった永野ながのはΖぜーたガンダムのデザインから外はずされたことに反発はんぱつして辞やめることを宣言せんげんするが、他たの仕事しごともあって多忙たぼうなキャラクター担当たんとうの安彦やすひこのデザイン数すうがまた十分じゅうぶんではなかったので、それをサポートしてから辞やめることにした。そしてその仕事しごとが終おわると、一旦いったんプロジェクトから外はずれた。

その後ご、富野とみのから物語ものがたり中盤ちゅうばんから登場とうじょうするMSをデザインして欲ほしいと声こえがかかって復帰ふっきする。今度こんどは誰だれの意見いけんも聞きかず、子供こどもが落書らくがきでも描えがけるようにとシルエットを重視じゅうししたハンブラビとキュベレイというキャラクター性せいの強つよいMSをデザインした後のち、完全かんぜんに現場げんばを離はなれた。

小説しょうせつ版ばん「機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム」（講談社こうだんしゃ）の表紙ひょうしイラストや扉絵とびらえも描えがいており、こちらは最後さいごまで担当たんとうしている。またMSや戦艦せんかん、航空機こうくうきなどのデザインはほとんどがアニメ本編ほんぺんに登場とうじょうするものとは別べつデザインとなっている。

機動きどう戦士せんしガンダムΖぜーたΖぜーた

富野とみの監督かんとくによりメイン・デザイナーに指名しめいされ、メカデザインを一いち手てに引ひき受うけることになっていた。しかし番組ばんぐみ開始かいし前まえに降板こうばんすることになり、ΖぜーたΖぜーたを含ふくむほとんどの永野ながのデザインのメカが画面がめんから消きえることになった。結局けっきょく、作品さくひんに登場とうじょうしたのは、前作ぜんさく『Ζぜーたガンダム』から引ひき続つづき登場とうじょうしているデザイン以外いがいでは、ガザDとゲゼ（ともにラフのみ）、プチ・モビルスーツ、ミドル・モビルスーツ、そしてずっと以前いぜんにデザインしていたシュツルム・ディアスだけだった。

永野ながのは富野とみの監督かんとくの「ロボットアニメの原点げんてんに戻もどって子供こどもにもわかりやすい『明あかるいガンダム』にしよう」という意図いとをくみ、敵てきMSを作品さくひん初期しょきのコミカルなムードに合あわせた3-5頭とう身みのSDガンダム風ふうのデザインにした。富野とみの監督かんとくの評価ひょうかも「今回こんかいのZZといわれるガンダムは、いわゆる永野ながのメカではありません。大河原おおかわらマシンに近ちかい線せんがあります。それは彼かれが従来じゅうらいのデザインと、大河原おおかわらデザインの二に種しゅを意識いしきしてそれぞれをデザインしているということなんです。（中略ちゅうりゃく）だからこれからの彼かれのメカのバリエーションには期待きたいできます。今いま描えがかせているヤラレメカに近ちかいメカなどはかつての手塚てづか治虫おさむをほうふつさせる、漫画まんが的てきなものまであります。それに加くわえてオーソドックスなデザインをすることで、彼かれのフィールドは良よい方向ほうこうに、一気いっきに広ひろがるかもしれません」と上々じょうじょうだった。しかし、「子供こどもたちにひと目めで敵てきロボットの特徴とくちょうをわからせるための巨大きょだいな一ひとつ目めに5頭とう身みのガルスJ」「ハマーン・カーン専用せんようMSとしてデザインされ、女性じょせい用ようということで『おっぱいミサイル』を胸むねに2発はつ搭載とうさいするハンマ・ハンマ」など、 ユニークではあるがあまりにも従来じゅうらいのMS像ぞうとはかけ離はなれたそのデザインは波紋はもんを呼よんだ。

一方いっぽう、主役しゅやくのΖぜーたΖぜーたガンダムに関かんしては、前作ぜんさくとは違ちがってサンライズとスポンサーの「とにかくガンダムに見みえるように」「合体がったい変形へんけいするように」という要望ようぼう通どおりにデザインした（ただし、合体がったい変形へんけい機構きこうは永野ながのの案あんではない）。しかし、永野ながののデザインでは模型もけいにした際さいに合体がったい変形へんけい機構きこうに問題もんだいがあるとされるなどスポンサーサイドの了解りょうかいが得えられず、何なん度どかのデザイン修正しゅうせいが行おこなわれ、一部いちぶ媒体ばいたいでは永野ながの案あんのデザインも公開こうかいされたものの、土壇場どたんばで没ぼつとなった。

最終さいしゅう的てきにはΖぜーたΖぜーたのデザインだけでなくメイン・デザイナーの座ざからも外はずれることになり、一部いちぶのデザインを除のぞいて永野ながののメカは番組ばんぐみから姿すがたを消けした。またハンマ・ハンマやガルスJは、名称めいしょうだけ残のこして別べつのデザイナーによるデザインに差さし替かえられた。

機動きどう戦士せんしガンダム 逆襲ぎゃくしゅうのシャア

富野とみの監督かんとくによりメイン・デザイナーに指名しめいされた。富野とみの監督かんとくからは「テレビシリーズではないから全すべてのデザインをお前まえに託たくす」と言いわれ、旧作きゅうさく（ファースト・ガンダム、Z、ZZ）に登場とうじょうしたメカは一切いっさい使用しようしないという条件じょうけんで、敵てき味方みかたのMSと艦艇かんてい、コックピットのシステム、サイコミュ用ようヘルメットやノーマルスーツまで、劇げき中ちゅうのほぼ全すべてのデザインを担当たんとうする予定よていだった。しかし、富野とみの監督かんとくの要求ようきゅうを受うけて提案ていあんしたデザインラインにクライアントからのOKが出でず、また彼かれ自身じしんが周囲しゅういのスタッフと衝突しょうとつしたこともあり、またも途中とちゅう降板こうばんすることになった。全すべてのデザインが白紙はくしに戻もどされ、急遽きゅうきょメカニックデザインの発注はっちゅうやMSデザインのコンペが行おこなわれることになった。

MSは主役しゅやくのアムロ・レイ用ようのHi-S（ハイエス）ガンダム（劇場げきじょう版ばんでのνにゅーガンダム）とΖぜーたガンダム（劇場げきじょう版ばんでのリ・ガズィ）、ネオ・ジオン側がわのシャア・アズナブル用ようのナイチンゲール（劇場げきじょう版ばんでのサザビー）、そしてギラ・ドーガやヤクト・ドーガにあたる機体きたいなどをデザインした。しかし、当時とうじ、永野ながのが富野とみの監督かんとくと考かんがえていたMSのデザインラインは「ごつく怖こわい」というものだったため、ネオ・ジオン側がわのMSはすべて恐竜きょうりゅうや怪獣かいじゅうをモチーフとしており、リック・ディアスのラインを推おし進すすめた超ちょう重じゅう装甲そうこうの怪異かいいなデザインとなっていた。その影響えいきょうで再さい登場とうじょう予定よていだったΖぜーたガンダムも同様どうように重じゅう武装ぶそう・重じゅう装甲そうこうとなっており、唯一ゆいいつ、アムロ用ようの新しんガンダムのみが細身ほそみでシンプルだった。その新しんガンダムも、いわゆるガンダムの常識じょうしきを覆くつがえすデザインで作業さぎょうが進行しんこうしていたが、途中とちゅう降板こうばんとなったために完成かんせい度ど7割わり程度ていどのところでストップした。結局けっきょく、超ちょう重じゅう装甲そうこうのコンセプトがバックウェポンシステムとして引ひき継つがれたリ・ガズィを除のぞき、全すべてのデザインが他たのデザイナーたちによって一いちからやり直なおされた。

ブレンパワード

『ブレンパワード』では人物じんぶつを担当たんとうしたいのまたむつみとともにメインデザインとクレジットされ、メカ関係かんけいの基本きほん設定せっていを担当たんとう。金属きんぞく板ばんの積層せきそうをモチーフにした斬新ざんしんなロボットデザインを発表はっぴょうした。薄うすい装甲そうこうが何なん枚まいも重かさなった「積層せきそう」というアイデアと、必かならずしも関節かんせつ部ぶが「関節かんせつ」として可動かどうする必要ひつようはないという発想はっそうから出でて来きた重かさね板ばんバネの力ちからを取とり入いれるというアイデアとが合あわさって出来できたデザイン。ガンダムシリーズに登場とうじょうするモビルスーツのように内燃ないねん機関きかんと機械きかい的てきな関節かんせつで動うごく兵器へいきではなく、積層せきそう構造こうぞうの幾何きか学がく的てきな筋肉きんにくを持もつ、軽かるくてデジタル的てきなロボットである。またそれ以外いがいにも主役しゅやくロボットの出現しゅつげんするシーンのイメージボードやコックピット内部ないぶと駆動くどう筋すじシステムの図解ずかい、2種類しゅるいのパイロットスーツ、近きん未来みらい的てきなデザインの艦船かんせんや戦闘せんとう機きなども描えがいている。

代表だいひょう作さく「ファイブスター物語ものがたり」

「ファイブスター物語ものがたり」も参照さんしょう

1986年ねんよりアニメ誌し『月刊げっかんニュータイプ』で連載れんさいを開始かいし。以後いご、20年ねん以上いじょうにわたって断続だんぞく的てきに連載れんさいが続つづいている。

『FSS』は、永野ながのが『重じゅう戦機せんきエルガイム』放映ほうえい中ちゅうに雑誌ざっし媒体ばいたいなどで発表はっぴょうした関連かんれんイラストや自身じしんが考かんがえた裏うら設定せっていなどがベースになり、発展はってんして行いった作品さくひんである。『エルガイム』の制作せいさくに参加さんかしていて自分じぶんの手てでストーリーを作つくりたくなった永野ながのが描えがき始はじめた漫画まんがで、永野ながのが最初さいしょに考かんがえていた企画きかくから監督かんとくの富野とみの由ゆかり悠ゆう季きにバトンタッチして以降いこうの部分ぶぶんを切きり離はなして作つくった。富野とみのが『エルガイム』では一切いっさいやらせなかった要素ようそで『FSS』が出来できたとも言いえる。

永野ながのは『エルガイム』制作せいさく中ちゅうに自身じしんの考かんがえた設定せっていをメディアに積極せっきょく的てきに公表こうひょうしていた。それは作品さくひんの公式こうしきの設定せっていではない部分ぶぶんも多おおかったが、どの媒体ばいたいでも「裏うら設定せってい」として普通ふつうに扱あつかっていた。さらにムック本ほん「ザ テレビジョン別冊べっさつ 重じゅう戦機せんきエルガイム②」では、この裏うら設定せっていをベースにした永野ながの自身じしんによるイラスト10点てんと作品さくひん年表ねんぴょうも掲載けいさいされ、これらが漫画まんが「FSS」の源流げんりゅうになって行いく。

永野ながのは驚異きょうい的てきな遅筆ちひつで知しられ、本編ほんぺん単行たんこう本ほんよりもイラスト集しゅう・設定せってい集しゅうの冊数さっすうの方ほうが遥はるかに多おおい。物語ものがたりの進行しんこうが遅おそい上うえに、度々たびたび連載れんさいが（しかもいきなり読者どくしゃに予告よこく抜ぬきで）休載きゅうさいとなる。この遅筆ちひつの理由りゆうの一ひとつには作画さくが手段しゅだんへのこだわりがある。作中さくちゅうでのメカの描写びょうしゃには相当そうとうな時間じかんをかけており、一いちページに大写おおうつしにモーターヘッドが出でてくる場合ばあいなどは2・3日にちも時間じかんをかけて描えがき込こむという。カラーイラストでは主おもにアクリルガッシュを用もちいているが、イラストボードに鉛筆えんぴつで下絵したえを描えがいて彩色さいしきするという手法しゅほうもあり、単行本たんこうぼんの表紙ひょうし画がなどには制作せいさくに1ヶ月かげつ以上いじょうかかると言いわれている（単行本たんこうぼん第だい12巻かんの表紙ひょうしイラストには1ヵ月かげつ半はんを費ついやしている（『F.S.S. DESIGNS2』によれば、アクリルガッシュを使つかい出だしたのは1991年ねん頃ころからで、以前いぜんは透明とうめい水彩すいさい、のちにアクリル水彩すいさいを使用しようしていた。アクリル水彩すいさいに変かえたのは肌はだの色いろが確実かくじつに出だせるのと着色ちゃくしょく後ごの安定あんてい感かんから、アクリルガッシュに移行いこうしたのは自分じぶんの絵えに対たいする理想りそうが固かたまる中なかでアクリル水彩すいさいの透明とうめい感かんが気きに入いらなくなったからだという）。

また、公式こうしきに設定せってい画がを公表こうひょうしたMHも気きに入いらなくなれば手てを加くわえて直なおしてしまうため、作中さくちゅうで登場とうじょうするたびに微妙びみょうに細部さいぶのデザインが変かわることもある。デザイン画がの公表こうひょうから年月としつきが経たち古ふるくなってしまったMHは、大幅おおはばにリファインがなされることもある。その場合ばあい、元もとのイメージを多少たしょう残のこした他ほかは、デザインがまるっきり別物べつものに変貌へんぼうしてしまうことも多おおい。MHのみならずキャラクターのファッションも同様どうようで、こうしたデザインに対たいするこだわりの強つよさも遅筆ちひつの一ひとつの要因よういんであると考かんがえられる。「デザイン画がのために『FSS』本編ほんぺんが存在そんざいする」とまで発言はつげんしたこともある。

一時期いちじき『FSS』の執筆しっぴつには、Macintoshを用もちいた2次元じげんコンピュータグラフィックスが多用たようされていた。しかし永野ながのは、「やはり自分じぶんの求もとめる表現ひょうげんはデジタルでは無理むり」と考かんがえ、以後いご基本きほん的てきにマンガ制作せいさくではコンピューターを使用しようしていない。もっとも、アニメ製作せいさくにおけるコンピュータを使つかった作業さぎょうについては否定ひてい的てきではなく、『F.S.S. DESIGNS2』において「原画げんがのベクタライズにかかるコストさえクリアされれば、2Dセルアニメーションでも高度こうどなコンピュータでの作業さぎょうが必須ひっすとなってくる」と述のべ、自身じしんによる劇場げきじょうアニメ『花はなの詩し女おんな ゴティックメード』の制作せいさくでは、ベクター画像がぞうを用もちいた動画どうがの導入どうにゅうを試こころみている。

主おもな作品さくひん

漫画まんが

• フール・フォー・ザ・シティ（1985年ねん）
• ファイブスター物語ものがたり（1986年ねん - 現在げんざい）

アニメ映画えいが

• 花はなの詩し女おんな ゴティックメード（2012年ねん、原作げんさく・脚本きゃくほん・監督かんとく・デザイン・原画げんが・撮影さつえい）

デザイン

アニメーション

• 銀河ぎんが漂流ひょうりゅうバイファム（1983年ねん、ゲストメカデザイン）
• 巨きょ神しんゴーグ（1984年ねん、ゲストメカデザイン）
• 重じゅう戦機せんきエルガイム（1984年ねん、キャラクターデザイン・メカデザイン）
• 機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム（1985年ねん、デザインワークス）
• 機動きどう戦士せんしガンダムΖぜーたΖぜーた（1986年ねん、メカデザイン）
• デルパワーX 爆発ばくはつみらくる元気げんき!!（1986年ねん、キャラクターデザイン）
• ブレンパワード（1998年ねん、メインデザイン）

ゲーム

• エアーズアドベンチャー（1996年ねん、キャラクターデザイン）
• 鉄拳てっけん3（PlayStation版はん） （1998年ねん、アンナ・ウィリアムズのスペシャルコスチュームのデザイン）
• パンツァーフロントシリーズ（Ausf.B 除のぞく） （1999年ねん - 2001年ねん、架空かくう戦車せんしゃデザイン、コンストラクションモードサンプルゲーム “最後さいごの戦闘せんとう” 監修かんしゅう（bisのみ））
• ファンタシースターオンラインver2（2001年ねん、武器ぶき「ハート・オブ・ポウム」「アリス・クロー」デザイン）
• 鉄拳てっけん5（PlayStation 2版はん）（2005年ねん、アンナ・ウィリアムズのスペシャルコスチュームのデザイン）
• 鉄拳てっけん6（PlayStation 3版はん、Xbox 360版はん、PSP版はん）（2009年ねん - 2010年ねん、風間かざま飛鳥あすかおよびアンナ・ウィリアムズのスペシャルコスチュームのデザイン）
• ファンタシースターオンライン2（2014年ねん、一部いちぶキャラクター、特典とくてん武器ぶき、および特典とくてんマグのデザイン）

テレビ番組ばんぐみ

• NHK教育きょういくテレビ子供こども向むけ教育きょういく番組ばんぐみ『天才てんさいてれびくん』（1995年ねん、CGキャラクター「玉三郎たまさぶろう」デザイン）

イラスト

小説しょうせつ

• 富野とみの由ゆかり悠ゆう季き『機動きどう戦士せんしΖぜーたガンダム』全ぜん5巻かん（1985年ねん - 1986年ねん、講談社こうだんしゃ、表紙ひょうしカバー・扉絵とびらえなど）
• 幾いく原はら邦彦くにひこ『Schell Bullet』全ぜん2巻かん（1999年ねん - 2000年ねん、角川書店かどかわしょてん、ビジュアルイメージ・デザイン設定せってい）

ムック

• 「Gerry Anderson's THE MAKING OF TERRAHAWKS ザ・テレビジョン アニメシリーズ3」（1985年ねん、角川書店かどかわしょてんニュータイプ100%コレクション、表紙ひょうし）

その他た

• 航空こうくう自衛隊じえいたい第だい204飛行ひこう隊たい1998年ねん度ど戦せん技わざ競技きょうぎ会かい特別とくべつ塗装とそう - 同隊どうたい配備はいびのF-15J戦闘せんとう機きのノーズアート（航空機こうくうきの機体きたいに描えがかれる絵画かいが）として、園田そのだ健一けんいち、貞さだ本義ほんぎ行ぎょう、出渕いずぶち裕ひろしらのイラストとともに『ファイブスター物語ものがたり』のイマラ・ロウト・ジャジャスが採用さいようされた。なお、この時ときの第だい204飛行ひこう隊たい1998年度ねんど戦せん技わざ競技きょうぎ会かい仕様しようモデルはハセガワから限定げんてい発売はつばいされた。

音楽おんがく作品さくひん

CD

• SUPER NOVA（1987年ねん11月21日にち） - 『FOOL for THE CITY』のイメージアルバム。
• The Five Star Stories Sound Version（1987年ねん5月がつ21日にち） - 『ファイブスター物語ものがたり』のイメージアルバム第だい1弾だん。
• GREEN and GOLD（1988年ねん6月がつ21日にち） - 『ファイブスター物語ものがたり』のイメージアルバム第だい2弾だん。
• THE FIVE STAR STORIES MAMORU NAGANO（1990年ねん9月がつ21日にち） - 『ファイブスター物語ものがたり』のイメージアルバム第だい3弾だん。
• Mr.ROBOT/GEAR ROBOT（1990年ねん9月がつ） - ビデオ作品さくひん『Mr.ROBOT』ならびに『GEAR ROBOT』のサウンドトラック。

出演しゅつえん

テレビ

• 『重じゅう戦機せんきエルガイムスペシャル』（1984年ねん1月がつ28日にち）…前ぜん番組ばんぐみ『聖戦せいせん士しダンバイン』終了しゅうりょう翌週よくしゅうに放送ほうそうされた放送ほうそう直前ちょくぜん特番とくばん。永野ながのは番組ばんぐみ放送ほうそう中ちゅう、透明とうめいのアクリルボードにホワイトマーカーで特大とくだいイラストを完成かんせいさせるというパフォーマンスを披露ひろうした。イラストは未み完成かんせいのまま番組ばんぐみ終了しゅうりょう。

脚注きゃくちゅう

外部がいぶリンク

• オートマチック・フラワーズ （日本語にほんご） - （Edit / Automatic Flowers Studio）
• 永野ながの護まもる作品さくひん (naganomamoru) - Facebook
• 永野ながの護まもる作品さくひん (@naganomamoru) - X（旧きゅうTwitter）