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渦鞭毛藻 - Wikipedia

うずむち(うずべんもうそう)るいは2ほんむち単細胞たんさいぼう藻類そうるい一群いちぐんである。細胞さいぼう表面ひょうめん縦横じゅうおうみぞつ、独特どくとくかたちをしている。

うずむち
うずむち Dinophysis acuminata
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
階級かいきゅうなし : ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級かいきゅうなし : SARスーパーグループ Sar
うえもん : アルベオラータ Alveolata
もん : うずむち毛虫けむしもん Dinoflagellata
つな : うずむちつな Dinophyceae
下位かい分類ぶんるい
本文ほんぶん参照さんしょう

特徴とくちょう

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形態けいたい非常ひじょう多岐たきにわたるが、縦横じゅうおう2ほんむちつことが最大さいだい特徴とくちょうである。一本いっぽんむちじょうのものをうしろにひき、もう一本いっぽんはねじょうのものを横向よこむきのみぞ沿ってけるようにしている。推進すいしんりょくことなる2系統けいとうむちそなえるために、細胞さいぼうきゅう停止ていしきゅう発進はっしん方向ほうこう転換てんかんなど、多彩たさい遊泳ゆうえい可能かのうとなっている。また、細胞さいぼう表面ひょうめん鎧板よろいいたばれるかたいたじょう構造こうぞうならび、ときには突起とっきゆうする角張かくばった形態けいたいつ。ただし、からのものもある。

うずむち細胞さいぼうかくつね染色せんしょくたい凝集ぎょうしゅうする特殊とくしゅかくで、dinokaryon (うずむちかく)とばれる。かくヒストンH1ふくまず、それゆえ一般いっぱんてきかく生物せいぶつられるヌクレオソーム構造こうぞうはない。また、かくちゅうDNA自体じたいもヒドロキシメチルウラシル (hydroxymethyluracil) を大量たいりょう含有がんゆうするなど、かく生物せいぶつとは一線いっせんかく特徴とくちょうおおそなえる。ふるくは、このような特殊とくしゅかくうずむちたいして、原核げんかく生物せいぶつからかく生物せいぶつへの過渡かとであるという意味いみめて中間ちゅうかんかく生物せいぶつ (Mesokaryota) なる呼称こしょうもちいられたこともあるが、現在げんざいでは撤回てっかいされている。うずむち原始げんしてきなものではなく、高度こうど特殊とくしゅしたかく生物せいぶつ一群いちぐんなのである。

生態せいたい

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海洋かいようプランクトンおおいが、淡水たんすい環境かんきょうにも普通ふつうられる。

うずむちやく半分はんぶんみどりたいち、光合成こうごうせいをおこなう。のこりの半分はんぶん従属じゅうぞく栄養えいようせいで、原生動物げんせいどうぶつ捕食ほしょくして生活せいかつする。また光合成こうごうせいおこなうずむちのなかにも活発かっぱつ捕食ほしょく行動こうどうおこなうものもいる。光合成こうごうせいのうつものも、おおくは溶存ようぞんの、あるいは粒子りゅうしじょう有機物ゆうきぶつむことができる。このような栄養えいよう摂取せっしゅ混合こんごう栄養えいようい、藻類そうるいにもれいおおいが、このぐん圧倒的あっとうてきかずおおい(井上いのうえ、2006.p.414)。なかには寄生きせいせいのものもある。

光合成こうごうせいのううずむちいち生産せいさんしゃとして食物しょくもつ連鎖れんさなか重要じゅうよう位置いちめるが、なかでも褐虫海洋かいよう動物どうぶつ原生動物げんせいどうぶつ細胞さいぼうない共生きょうせいたいであり、サンゴ礁さんごしょう生成せいせいきわめて重要じゅうよう役割やくわりになっている。

水圏すいけんにおけるいち生産せいさんしゃとして重要じゅうようであるが、水産すいさん資源しげんとして直接ちょくせつ利用りようされる局面きょくめんはない。ヤコウチュウ (Noctiluca) など、発光はっこうするものはとき観賞かんしょう対象たいしょうとなる。ヤコウチュウは物理ぶつりてき刺激しげき応答おうとうしてひか特徴とくちょうがあるため、波打なみうぎわとくあかるくひか様子ようすることができる。または、ヤコウチュウのいる水面すいめんいしげても発光はっこううながすことが可能かのうである。

うずむちラフィドならび、赤潮あかしお代表だいひょうてき構成こうせい生物せいぶつである。うずむちにおける赤潮あかしお形成けいせいぞくは、前述ぜんじゅつのヤコウチュウ、ヘテロカプサ (Heterocapsa)、カレニア (Karenia)、ギムノディニウム (Gymnodinium) などである。これらのぞくなかにはどくさんせいするものもあり、直接ちょくせつ魚介ぎょかいるい死滅しめつさせるほか、うずむち捕食ほしょくした貝類かいるい蓄積ちくせきされてかいどく原因げんいんとなる。神経しんけいせいかいどくとしては Karenia breve (Gymnodinium breve) によるブレベトキシン (brevetoxin, BTX) が、下痢げりせいかいどくとしては Dinophysisつくディノフィシストキシン (dinophysistoxin, DTX) などが有名ゆうめいである。

とくつよ毒性どくせいうずむちとして、アメリカのノースカロライナしゅう発見はっけんされたフィエステリア (Pfiesteria piscicida) がいる。フィエステリアはその複雑ふくざつ生活せいかつたまきなかむち毛虫けむしやシスト、アメーバかたなど多彩たさい形態けいたいをとり、原生げんせい生物せいぶつからさかないたるまでの生物せいぶつ捕食ほしょくして生活せいかつするとされているが、毒性どくせいやその特徴とくちょうかんしては論争ろんそうがあり議論ぎろんつづいている。フィエステリアのさんせいする毒素どくそごく微量びりょうでヒトの神経しんけいけい影響えいきょうあたえ、たとえばフィエステリアの生息せいそくする海水かいすいエアロゾル吸引きゅういんしただけでも、倦怠けんたいかん頭痛ずつう呼吸こきゅう困難こんなん記憶きおく障害しょうがいなどのしょ症状しょうじょういたるという。このうずむちは1998ねん邦訳ほうやく発売はつばいされたロドニー・T・バーカーちょかわちるとき」でげられ、日本にっぽんでもられるところとなった。

分類ぶんるい

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その形態けいたいとう独特どくとくであり、ぐんとの関連かんれんなぞおおいが、現在げんざいでは、アピコンプレックスるいマラリア原虫げんちゅうなどをふくむ)・繊毛せんもうちゅうとともにアルベオラータたんけいぐんをなすとかんがえられている。

伝統でんとうてきには、うずむち藻類そうるいうずむち植物しょくぶつもん(Dinophyta)として、もん階級かいきゅうあたえられてきたが、パーキンサスるい、オキシリスるいといった原生動物げんせいどうぶつとのきんえんせいから、これらをふくめたDinozoa、もしくはDinoflagellataが、もん階級かいきゅうあたえられるようになってきている。これにともない、うずむち藻類そうるいうずむちつな(Dinophyceae)となる。ヤコウチュウふく場合ばあいふくまない場合ばあいとがある。

淡水たんすいから海水かいすいまで幅広はばひろ生息せいそくし、およそ130ぞく2,000しゅられる。

うずむちつな (Dinophyceae)
  • ヤコウチュウ (Noctilucales)
  • プロロケントルム (Prorocentrales)
    • Mesoporos, Prorocentrum
  • ディノフィシス (Dinophysales)
    • コウガイフタヒゲムシぞく (Amphisolenia), Mesoporos, Dinophysis, Histoneis, Metaphalacroma, Ornithocercus, Oxyphysis, Triposolenia
  • ギムノディニウム (Gymnodiniales)
    • Amphidinium, Cochlodinium, ヒメハダカオビムシぞく (Gymnodinium), Gyrodinium, Erythropsodinium, Hemidinium, Katodinium, Nematodinium, Oxyrrhis, Polykrikos, Torodinium, Symbiodinium, Warnowia, Woloszynskia, Zooxanthella
  • ペリディニウム (Peridiniales)
    • Cachonina, Diplosalis, Dissodinium, Ensiculifera, Heterocapsa, マルウズオビムシぞく(Peridinium), Podolampas, Protoperidinium, Scrippsiella
  • ゴニオラクス (Gonyaulacales)
    • Alexandrium, ツノオビムシ(ツノモ)ぞく (Ceratium), Coolia, Gambierdiscus, Gessnerium, Gonyaulax, Heteraulacus, Ostreopsis, Protoceratium, Protogonyaulax, Triadinium
  • ブラストディニウム (Blastodiniales)
  • ゆうむち (Phytodiniales)
  • ディノコックス (Dhinococcales)
    • Cystodinium, Gloedinium, Spiniferodinium, Stylodinium

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 千原ちはら光男みつお編集へんしゅうがんけやき邦男くにお馬渡まわたりたかし監修かんしゅう藻類そうるい多様たようせい系統けいとう』,(1999),はなぼう
  • 井上いのうえいさお、『藻類そうるい30おくねん自然しぜん 藻類そうるいから生物せいぶつ進化しんか』、2006、東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかいISBN 4-486-01644-0

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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