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無停電電源装置 - Wikipedia

停電ていでん電源でんげん装置そうち

停電ていでん電源でんげん装置そうち(むていでんでんげんそうち)とは、停電ていでんなどによって電力でんりょくたれた場合ばあいにも電力でんりょく供給きょうきゅうつづける電源でんげん装置そうちである。

パソコンよう停電ていでん電源でんげん装置そうち Scott Power Corporation Desklite

日本にっぽんでは一般いっぱんに、商用しょうよう交流こうりゅう電源でんげん接続せつぞくして使用しようする、交流こうりゅう入力にゅうりょく交流こうりゅう出力しゅつりょくのものをUPSえい: Uninterruptible Power Supply)とぶことがおおいが、本来ほんらい入出力にゅうしゅつりょく種類しゅるい関係かんけいなく、入力にゅうりょくだんたいして出力しゅつりょくだん(off)にならない電源でんげん装置そうちすべてをしめす。このため日本にっぽんでは、交流こうりゅう出力しゅつりょく停電ていでん電源でんげん装置そうち直流ちょくりゅう出力しゅつりょく停電ていでん電源でんげん装置そうち区別くべつするため、交流こうりゅう出力しゅつりょくのものをCVCFえい: Constant Voltage Constant Frequencyてい電圧でんあつてい周波数しゅうはすう電源でんげんぶこともある。以下いか交流こうりゅう入出力にゅうしゅつりょくのものを中心ちゅうしんとしてべる。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
データセンターよう大型おおがたUPS設備せつび
東芝とうしば TOSNIC

停電ていでん電源でんげん装置そうちは、おもに、商用しょうよう電源でんげんから電力でんりょくける装置そうち電力でんりょく蓄積ちくせきする装置そうちと、ぜん2しゃのいずれかから一定いってい規格きかく電力でんりょく一般いっぱんてきには、商用しょうよう電源でんげん同様どうようのもの)を供給きょうきゅうする装置そうち構成こうせいされる。接続せつぞくしている商用しょうよう電源でんげんだんになったときは、機器きき蓄積ちくせきしていた電力でんりょく供給きょうきゅうし、瞬時しゅんじ電圧でんあつ低下ていか停電ていでん機器ききたいしてこらないようにしている。なお現在げんざいでは、瞬時しゅんじ電圧でんあつ低下ていかとくかみなりによるものがおおく、かみなりサージ対策たいさくとしてもちいられることがおおいが、停電ていでん電源でんげん装置そうち自身じしんおおむサージ防護ぼうご機器ききではなく、かみなりサージをけると故障こしょうするので、別途べっと、サージ防護ぼうご機器ききあわせて使用しようする必要ひつようがある。

対応たいおうできる停電ていでん時間じかんは、すうふん - 30ふん程度ていどのものがおおい。停電ていでん電源でんげん装置そうち能力のうりょくえる長時間ちょうじかん停電ていでんたいしては、別途べっと発電はつでんなどとわせるか、停電ていでん停電ていでん電源でんげん装置そうちから電力でんりょく供給きょうきゅうつづいているあいだに、コンピュータなどの需要じゅよう機器きき使用しよう終了しゅうりょうさせるといった措置そち必要ひつようである。

停電ていでん補助ほじょ電源でんげんとして電池でんち電気でんき重層じゅうそうキャパシタなど(以下いかたんに「電池でんち」とあらわす。)電池でんち使用しようするものを静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうちといい、フライホイールもちいたものは回転かいてんがた停電ていでん電源でんげん装置そうちという[1]小規模しょうきぼ電源でんげんようにはふるくから真空しんくうかんもちいた静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうち実用じつようきょうされていたが、真空しんくうかんではだい電流でんりゅうることが困難こんなんであるため、だい規模きぼ電源でんげんようには過去かこ回転かいてんがた停電ていでん電源でんげん装置そうち実用じつようきょうされていた。その半導体はんどうたいデバイスの進歩しんぽともなって静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうちでもだい電流でんりゅうることが可能かのうになり、今日きょうではだい規模きぼ電源でんげんようにも静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうち一般いっぱんてきとなっている。

今日きょう停電ていでん電源でんげん装置そうちには、データセンターなどで使用しようされる大型おおがた集中しゅうちゅうがた[2]のものと、パーソナルコンピュータなどの個人こじんよう機器ききなどをふくめ、小規模しょうきぼなサーバーよう医療いりょうようモニタなどにもちいられる小型こがた分散ぶんさんがた[3]のものがある。いずれにしても停電ていでん電源でんげん装置そうちにはたか信頼しんらいせい要求ようきゅうされることから、おおむね、専門せんもんによる定期ていき予防よぼう保守ほしゅにより長期ちょうき継続けいぞく使用しようをするものと、規定きてい期間きかん使用しよう、いわゆる「使つかり」にしたもののふたつにかれる。停電ていでん電源でんげん装置そうち価格かかくは、規模きぼ保守ほしゅせいなどの要素ようそによってまるが、一般いっぱん大型おおがた集中しゅうちゅうがたになるほど高価こうかになる傾向けいこうがある。

信頼しんらいせい確保かくほ手段しゅだんには、故障こしょう保守ほしゅ点検てんけん正常せいじょう給電きゅうでんするためのインバータや電池でんち冗長じょうちょう設置せっち、インバータの機能きのう完全かんぜんうしなわれたときに、商用しょうよう電源でんげん瞬断しゅんだんえることが可能かのうなバイパス機能きのうなどがある。しかし使用しよう部品ぶひんすう増加ぞうか故障こしょうりつげる原因げんいんとなるため、できるだけすくない部品ぶひんすう必要ひつよう信頼しんらいせい確保かくほする配慮はいりょがなされる。

 
停電ていでん電源でんげん装置そうち出力しゅつりょくコンセントれい

停電ていでん電源でんげん装置そうちは、たか供給きょうきゅう信頼しんらいせい必要ひつよう一瞬いっしゅんたりとも電圧でんあつ低下ていか停電ていでんゆるされない、病院びょういんない人工じんこう呼吸こきゅうなどをはじめとした、生命せいめい維持いじ装置そうちやコンピュータ・通信つうしん防災ぼうさい制御せいぎょ機器きき、および放送ほうそう機器きき演奏えんそうしょ送信そうしんしょだい規模きぼ中継ちゅうけいきょく)などで使用しようされている。そのほか、クリーンルーム溶鉱炉ようこうろ制御せいぎょ装置そうち発電はつでんしょ航空こうくう管制塔かんせいとうなど、停電ていでん電源でんげん装置そうち用途ようと多岐たきにわたる。

一方いっぽう最近さいきんでは、コンピュータの停電ていでん防止ぼうしなどを目的もくてきに、家庭かていよう停電ていでん電源でんげん装置そうち製造せいぞう発売はつばいされている。また、ひかり回線かいせん終端しゅうたん装置そうち電源でんげんようする「ひかり電話でんわ」(FTTH) においても、停電ていでん通話つうわ不能ふのう回避かいひする手段しゅだんとして有効ゆうこうである[4]

その停電ていでん電源でんげん装置そうち電力でんりょくピークカット(ピークシフト)にも応用おうよう可能かのうである[5]普通ふつう短時間たんじかんのピークカットを目的もくてきとしたものになるが、蓄電ちくでんりょくおおきくすれば長時間ちょうじかんのピークシフトにも適用てきよう可能かのうなものとなる[6]

バッテリー自体じたい値下ねさがりにより、防災ぼうさい観点かんてんから一般いっぱん家庭かてい小規模しょうきぼ事務所じむしょでもまんいちそなえて設置せっちされる場合ばあいえている。くわしくはポータブル電源でんげん参照さんしょう

停電ていでん電源でんげん装置そうち需要じゅようふるくからあったようで、静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうち太平洋戦争たいへいようせんそう以前いぜんには真空しんくうかんしきマルチバイブレータによるものが世界せかいてき通信つうしんようとしてすで実用じつようされていたことが、のこされている当時とうじのいくつかの通信つうしん通信つうしん設備せつびなどよりることができる。また動力どうりょくようとしては、1946ねん応用おうようがたといえるジャイロバスつくられている[7]

日本にっぽんでの本格ほんかくてき需要じゅよう鉄道てつどう近代きんだいともなう。太平洋戦争たいへいようせんそう鉄道てつどう車両しゃりょううちでの電気でんき機器きき利用りようなどの目的もくてきで、発電はつでん蓄電ちくでん装置そうち鉄道てつどう車両しゃりょう搭載とうさいされ、たとえば1500Vの直流ちょくりゅうモーターで交流こうりゅう100Vあるいは200Vの発電はつでんまわすもの(電動でんどう発電はつでん)、走行そうこうようとは別途べっと搭載とうさいした小型こがたのディーゼル機関きかん交流こうりゅう発電はつでんまわすもの、あるいはそのふくごうがた応用おうようがたなど用途ようとおうじたものが数多かずおおつくられ、実用じつようきょうされてきた。しかしこれらはここでいうところの停電ていでん電源でんげん装置そうち応用おうようがたであるものがおおく、以下いか本稿ほんこうでは割愛かつあいする。

当初とうしょだい規模きぼ電源でんげん実用じつようされたのは回転かいてんがた停電ていでん電源でんげん装置そうちであった。これは電動でんどう発電はつでん応用おうようふるくからあるワードレオナード方式ほうしき(よりただしくはイルグナ方式ほうしき)の応用おうようである。すなわち交流こうりゅう電動でんどう交流こうりゅう発電はつでん発動はつどう、フライホイールのわせであり、それぞれを1つの回転かいてんじく直結ちょっけつ商用しょうよう電源でんげんによって交流こうりゅう電動でんどうまわし、常時じょうじ交流こうりゅう発電はつでんからられた電力でんりょく負荷ふか供給きょうきゅうするものである。商用しょうよう電源でんげんまどかとま交流こうりゅう電動でんどうみだれても、フライホイールのおおきな慣性かんせいモーメントにより、交流こうりゅう発電はつでんしばらくのあいだ安定あんていして回転かいてんつづけることができることから、電圧でんあつ周波数しゅうはすう変動へんどうおさえることができる。さらにフライホイールにたくわえられている回転かいてんエネルギーによって発動はつどう起動きどうさせると、商用しょうよう電源でんげん停電ていでんにより交流こうりゅう電動でんどう停止ていししても、発動はつどうによって交流こうりゅう発電はつでんまわつづけることができ、停電ていでんとすることができる。これが「CVCF」の原型げんけいである。日本にっぽんではおも日本電気にほんでんきせいがこの方式ほうしきのものを生産せいさんした。また上述じょうじゅつ、ピークカットへの応用おうよう当初とうしょ回転かいてんがた停電ていでん電源でんげん装置そうちでなされており、これはちょう大型おおがたのフライホイールをもちいたものであった。すなわち発動はつどうたないもので、小型こがた電動でんどうでゆっくりとフライホイールをまわはじめて回転かいてんエネルギーを蓄積ちくせき所定しょてい回転かいてん速度そくどまでたっしたところで大型おおがた発電はつでん負荷ふか接続せつぞく負荷ふか瞬発しゅんぱつてきだい電力でんりょく供給きょうきゅうするものである。かく融合ゆうごう実験じっけんなどの特殊とくしゅ用途ようともちいられてきた。現在げんざいもこれはフライホイール・バッテリーとして、研究けんきゅう開発かいはつつづけられている。

1960年代ねんだい静止せいしレオナード方式ほうしき登場とうじょう並行へいこうするようにサイリスタ使用しようした静止せいしがた停電ていでん電源でんげん装置そうち製品せいひんはじまった。このサイリスタ自身じしんには自分じぶん電流でんりゅうを0にする能力のうりょく自己じこ遮断しゃだん能力のうりょく)がく、べつ回路かいろ電流でんりゅう遮断しゃだんおこな必要ひつようがあった。

1980年代ねんだいになると、自己じこ遮断しゃだん能力のうりょくったGTO・パワートランジスタあらわれ、素子そし自体じたい電流でんりゅう遮断しゃだんする回路かいろてんりゅう回路かいろ)が不要ふようになった。これにより、こう効率こうりつ小型こがたすすみ、最大さいだい容量ようりょうもかつての300kVA程度ていどから500kVA程度ていどまでのおおきなものが実用じつようできるようになった[8]

1990年代ねんだいには、だい電力でんりょくかつ、GTO・パワートランジスタのやく10ばい以上いじょう[9]にあたる高速こうそくスイッチング動作どうさ可能かのうな、IGBT停電ていでん電源でんげん装置そうち使つかわれるようになった。これにより、従来じゅうらい素子そしではむずかしかった高周波こうしゅうはによるPWM制御せいぎょ可能かのうになり、効率こうりつがさらに向上こうじょうした。

給電きゅうでん方式ほうしき

編集へんしゅう

常時じょうじインバータ給電きゅうでん方式ほうしき

編集へんしゅう

オンライン方式ほうしき・ダブルコンバージョンがたともばれ、商用しょうよう電源でんげん整流せいりゅう直流ちょくりゅう変換へんかんし、電池でんち充電じゅうでんしながら常時じょうじ商用しょうよう電源でんげん同期どうきした交流こうりゅうてい電圧でんあつてい周波数しゅうはすう制御せいぎょインバータ発生はっせいさせるものである。原理げんりてき商用しょうよう電源でんげん停止ていし変動へんどうこらないため、とく電圧でんあつ低下ていか電力でんりょく波形はけいみだれのゆるされない用途ようともちいられる。

インバータおよ電池でんち常時じょうじ動作どうさしているため、機器きき劣化れっか電力でんりょく損失そんしつおおきいという欠点けってんがある[ちゅう 1][10]電気でんき重層じゅうそうコンデンサ電池でんちとして使用しようした場合ばあいには、蓄電ちくでんりょうすくないため停電ていでん補償ほしょう時間じかんみじかく、負荷ふかおおきい場合ばあい、インバータの機能きのう停止ていしのバイパスえで瞬断しゅんだん発生はっせいすることもある。

電池でんち充電じゅうでんは、たとえばなまり蓄電池ちくでんち使用しようしているものでは、インバータへの直流ちょくりゅう本線ほんせん分岐ぶんきして、浮動ふどう充電じゅうでん(バッテリーフロート)としているものがおおいが、発展はってんがたとして、後述こうじゅつ常時じょうじ商用しょうよう給電きゅうでん方式ほうしきるいし、スイッチング素子そし利用りようして常時じょうじ電池でんち分離ぶんりべつ充電じゅうでん回路かいろより充電じゅうでんするものがある。このようにすると、トリクル充電じゅうでん均等きんとう充電じゅうでん、あるいは長時間ちょうじかん停電ていでん補償ほしょうによってそらになった電池でんちへの、緊急きんきゅうやむなしのてい電流でんりゅう充電じゅうでん急速きゅうそく充電じゅうでん)と、電池でんち消耗しょうもうまでかんがみたこまかな使用しようができる、また電池でんち種類しゅるい変更へんこうへの対応たいおう容易よういになるといったメリットがられる。その小型こがたのためにチョッパなどをもちい、変圧へんあつ省略しょうりゃくしたものなどもある。

常時じょうじ商用しょうよう給電きゅうでん方式ほうしき

編集へんしゅう

オフラインスタンバイ方式ほうしきともいう。商用しょうよう電源でんげん正常せいじょうなときは商用しょうよう電源でんげん負荷ふか供給きょうきゅうしながら、商用しょうよう電源でんげん整流せいりゅう直流ちょくりゅう変換へんかんし、電池でんち充電じゅうでんする方式ほうしきである。商用しょうよう電源でんげん停止ていしまたは周波数しゅうはすうみだれたとき、商用しょうよう電源でんげんはなしインバータから機器きき供給きょうきゅうする。常時じょうじインバータ給電きゅうでん方式ほうしき比較ひかくして、商用しょうよう電源でんげん正常せいじょうなときはインバータが動作どうさしないか負荷ふかになり、損失そんしつちいさくなる利点りてんがある。その反面はんめん商用しょうよう電源でんげん停止ていし変動へんどうがややおおきくなる欠点けってんがある。

このことから、電圧でんあつ低下ていか電力でんりょく波形はけいみだれがある程度ていどゆるされる需要じゅよう機器ききもちいられることがおおい。比較的ひかくてき安価あんかであり、商用しょうよう電源でんげん停止ていし電源でんげん補償ほしょう時間じかんない負荷ふか機器きき停止ていしする装置そうちわせて、端末たんまつ機器ききよう分散ぶんさん配置はいちされることもおおい。

なお、常時じょうじ商用しょうよう給電きゅうでん方式ほうしきでのインバータの動作どうさ形態けいたいには、インバータが負荷ふか運転うんてん待機たいきしているホットスタンバイ、商用しょうよう電源でんげん供給きょうきゅうちゅうはインバータが停止ていししているコールドスタンバイの2種類しゅるいがある。

具体ぐたいてき回路かいろ構成こうせいとしては、以下いか方法ほうほうなどがある。

スタンバイパワーシステム(SPS)
商用しょうよう電源でんげん停止ていし、または周波数しゅうはすうみだれたとき、素早すばや商用しょうよう電源でんげんからインバータ供給きょうきゅうえる。この目的もくてきから半導体はんどうたいスイッチが使つかわれることがおおい。
トライポートUPS
2入力にゅうりょく・1出力しゅつりょくのトライポート変圧へんあつ利用りようして、供給きょうきゅうもと電源でんげんえる方式ほうしきをとる。2つの入力にゅうりょくあいだ絶縁ぜつえんされている。
系統けいとう連携れんけいがた
電池でんち接続せつぞくようとして、充電じゅうでんようコンバータとインバータを兼用けんようした回路かいろ使用しようする。常時じょうじ商用しょうよう電源でんげんから充電じゅうでんようコンバータとして電池でんち充電じゅうでんし、異常いじょうにインバータ動作どうさえ、商用しょうよう電源でんげん同期どうき連携れんけいはかりながら供給きょうきゅうする。

電圧でんあつ補償ほしょう機能きのう

編集へんしゅう

常時じょうじ商用しょうよう給電きゅうでん方式ほうしき停電ていでん電源でんげん装置そうちには、商用しょうよう電源でんげん電圧でんあつみだれたときに電圧でんあつ補償ほしょうするものがある。

ラインインタラクティブ方式ほうしき
タップ変圧へんあつをバイパス回路かいろ設置せっちするものである。負荷ふかおうじて変圧へんあつのタップ接続せつぞくえるため不連続ふれんぞく出力しゅつりょく、また変圧へんあつもちいていることから重量じゅうりょうおおきくなる。
パワーマルチプロセッシング方式ほうしき
インバータを利用りようした個別こべつ昇圧しょうあつ回路かいろ降圧こうあつ回路かいろにより電圧でんあつ補償ほしょうおこなうものである。こまかく連続れんぞくした電圧でんあつ調整ちょうせいほか高調こうちょう流出りゅうしゅつ電源でんげんノイズをらすことができる。電池でんちからコンバータ・変圧へんあつとおして直列ちょくれつ電源でんげん供給きょうきゅうする直列ちょくれつ補償ほしょう方式ほうしきと、前述ぜんじゅつ系統けいとう連携れんけいがた同様どうように、商用しょうよう電源でんげん並列へいれつにコンバータを経由けいゆして電源でんげん供給きょうきゅうする並列へいれつ補償ほしょう方式ほうしきがある。
デュアルコンバージョン(ちょく並列へいれつ補償ほしょう方式ほうしき
負荷ふかへの供給きょうきゅう回路かいろ並列へいれつ直列ちょくれつそれぞれのコンバータを接続せつぞく電圧でんあつ補償ほしょうおこなうものである。電圧でんあつ補償ほしょう範囲はんいおおきくすることができる。

インバータの構成こうせい

編集へんしゅう
 
商用しょうよう正弦せいげん交流こうりゅう波形はけいむらさき)と、UPS出力しゅつりょく矩形くけい交流こうりゅう波形はけい)の比較ひかく

停電ていでん電源でんげん装置そうちのインバータで生成せいせいする波形はけいは、正弦せいげんステップ矩形くけいなどがある。矩形くけいインバータのものは交流こうりゅう電動でんどう商用しょうよう電源でんげん直結ちょっけつ利用りようする機器ききや、電源でんげんからのノイズによわ機器きき電源でんげんユニットにPFC(ちからりつ改善かいぜん回路かいろ)を搭載とうさいしたパーソナルコンピュータには使用しようできない。

商用しょうよう電源でんげんとの同期どうき

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商用しょうよう同期どうき

編集へんしゅう

常時じょうじ商用しょうよう電源でんげん同期どうきした交流こうりゅうてい電圧でんあつてい周波数しゅうはすう制御せいぎょインバータで発生はっせいさせるものである。インバータの機能きのう完全かんぜんうしなわれた場合ばあいは、商用しょうよう電源でんげん瞬断しゅんだんえることが可能かのうである。従来じゅうらい高炉こうろはいねつ利用りようした製鉄せいてつしょの汽力発電はつでんしょ電力でんりょく会社かいしゃとの電力でんりょく融通ゆうずうシステム(売買ばいばいでんシステム)にもちいるものなどに必須ひっすであったが、近年きんねんでは家庭かていよう太陽光たいようこう発電はつでんシステム、燃料ねんりょう電池でんち発電はつでんシステムにもちいるものなどにも必須ひっすになっている。

商用しょうよう非同期ひどうき

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商用しょうよう電源でんげん無関係むかんけいてい電圧でんあつてい周波数しゅうはすう交流こうりゅうてい電圧でんあつてい周波数しゅうはすう制御せいぎょインバータで発生はっせいさせるものである。回路かいろ構成こうせい簡単かんたん安価あんかたん寿命じゅみょう部品ぶひんすくなくすることができることから長寿ちょうじゅいのちである。パーソナルコンピュータや医療いりょうようモニタなどの小型こがた機器ききもちいられるようになってきている。

直流ちょくりゅうによる電源でんげん供給きょうきゅう

編集へんしゅう

そもそも交流こうりゅう変圧へんあつ(トランス)による変圧へんあつ容易よういであることから、ひろもちいられているのであるが、需要じゅよう機器ききおおくは実際じっさいには直流ちょくりゅう需要じゅよう機器ききである[11]。これらの機器きき内部ないぶ、もしくはACアダプタ内部ないぶでは交流こうりゅう直流ちょくりゅう変換へんかんしてもちいており、ここで電力でんりょく損失そんしつしょうじる。また従来じゅうらい交流こうりゅう入出力にゅうしゅつりょく停電ていでん電源でんげん装置そうちでは交流こうりゅう直流ちょくりゅう交流こうりゅう変換へんかんおこなうため、同様どうよう電力でんりょく損失そんしつおおきくなり、変換へんかん段数だんすうおおぶん装置そうち大型おおがたとなる。そこで近年きんねん直流ちょくりゅう直接ちょくせつ機器きき供給きょうきゅうする方式ほうしき見直みなおされ、非常ひじょうおおくの機器ききあつか大型おおがたデータセンターなどでは交流こうりゅう入力にゅうりょく直流ちょくりゅう出力しゅつりょく停電ていでん装置そうちひろ使つかわれるようになってきている[12]

直流ちょくりゅう給電きゅうでん優位ゆういせいふるくからられており、交流こうりゅう入力にゅうりょく直流ちょくりゅう出力しゅつりょく停電ていでん装置そうち回転かいてんがた静止せいしがたのいずれもふるくからある。静止せいしがたについてみると、過去かこ小規模しょうきぼでも重要じゅうよう無線むせん設備せつびなどには固体こたい、すなわち機器きき半導体はんどうたい素子そしによって構成こうせいされ、てい電圧でんあつ動作どうさとなった時点じてんで、バッテリーフロート方式ほうしき採用さいようされ、商用しょうよう交流こうりゅうをトランスで降圧こうあつダイオード整流せいりゅうして(初期しょきおもセレン整流せいりゅう)、なまり蓄電池ちくでんちあるいはアルカリ蓄電池ちくでんち充電じゅうでん、この蓄電池ちくでんち端子たんしから無線むせん機器ききへの直流ちょくりゅう停電ていでん給電きゅうでんがなされた。これは現在げんざいのものと基本きほんてきおな構造こうぞうである。過去かこのものとのちがいは、トランスとダイオードの構成こうせい部分ぶぶんを、効率こうりつのよいスイッチングレギュレータえていること、より効率こうりつのよい電池でんち使用しようしていることぐらいである。すなわち直流ちょくりゅう停電ていでん給電きゅうでんへの「回帰かいき」は、需要じゅよう機器きき進歩しんぽにより消費しょうひ電力でんりょくおさえられ、必要ひつよう蓄電ちくでん容量ようりょう、すなわち施設しせつない電池でんちめる容積ようせきおさえられるようになったことが最大さいだい理由りゆうである。このため従来じゅうらい、ごく一部いちぶ重要じゅうよう無線むせんきょくなどに適用てきようされてきた直流ちょくりゅう停電ていでん給電きゅうでんシステムは今後こんご事業じぎょうベースではひろ一般いっぱん展開てんかいされる方向ほうこうにある。

たとえば携帯けいたい電話でんわ基地きちきょく場合ばあい従来じゅうらい無線むせん設備せつびから付帯ふたい設備せつびいたるまですべ交流こうりゅう需要じゅよう機器ききであったが、1998ねんころさかいに、ほとんどが直流ちょくりゅう需要じゅよう機器ききとされた。これにより、かく機器ききないでの交流こうりゅう - 直流ちょくりゅう変換へんかん不要ふようになり、一層いっそうしょう電力でんりょく大幅おおはば設備せつび小型こがた容積ようせきでおよそ1/3)が実現じつげんされた。また太陽たいよう電池でんち利用りようし、商用しょうよう電力でんりょく必要ひつようとしない設備せつびなどではすべ直流ちょくりゅう需要じゅよう機器ききによって構成こうせいされるようになっている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ とく電池でんち劣化れっかについては致命ちめいてき欠点けってんひとつとなり、経年けいねんによって非常ひじょうおおきな劣化れっか発生はっせいする。製品せいひんにもよるが出荷しゅっかのバッテリー容量ようりょうの20%から50%を下回したまわった段階だんかいでいわゆる"寿命じゅみょう"がおとずれ、内蔵ないぞうバッテリーの交換こうかんもしくは製品せいひんえをおこな必要ひつようがある。

出典しゅってん

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  1. ^ 松崎まつざき 2007, だい2しょう.
  2. ^ UPSの選定せんてい方法ほうほう : だい規模きぼ設備せつび”. 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ 小規模しょうきぼのサーバルームようUPS”. 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ 停電ていでん場合ばあいも、通話つうわできるのですか? | よくあるご質問しつもん | NTT東日本ひがしにっぽん | フレッツこう”. NTT東日本ひがしにっぽん. 2020ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん
  5. ^ 日立製作所ひたちせいさくしょニュースリリース:小規模しょうきぼ店舗てんぽ事務所じむしょようピークカット機能きのう停電ていでん電源でんげんシステムを発売はつばい”. 日立製作所ひたちせいさくしょ (2002ねん2がつ8にち). 2020ねん5がつ10日とおか閲覧えつらんなど。
  6. ^ 基礎きそ講座こうざ Vol.141『電気でんきエネルギー蓄積ちくせき技術ぎじゅつ現状げんじょうてきよう”. 社団しゃだん法人ほうじん建設けんせつ電気でんき技術ぎじゅつ協会きょうかい (2003ねん3がつ). 2020ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん
  7. ^ 自動車じどうしゃのパワーげんなに使つかうか」矢田やた技術ぎじゅつ事務所じむしょ (PDF)
  8. ^ 松崎まつざき 2007, p. 206.
  9. ^ 松崎まつざき 2007, p. 201.
  10. ^ UPSバッテリの基礎きそ知識ちしき”. 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  11. ^ 直流ちょくりゅう交流こうりゅうってなにちがうの?直流ちょくりゅう電源でんげん装置そうちとは”. 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  12. ^ こう電圧でんあつ直流ちょくりゅう給電きゅうでん(HVDC) データセンターのしょうエネ電源でんげん技術ぎじゅつ”. NTTデータ. 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 松崎まつざきかおる停電ていでん電源でんげんシステム実務じつむ読本とくほんム社むしゃ、2007ねん11月。ISBN 978-4-274-20482-1 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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