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燃油サーチャージ - Wikipedia

燃油ねんゆサーチャージ(ねんゆサーチャージ)とは、燃料ねんりょうとする石油せきゆケロシン軽油けいゆ重油じゅうゆなど)の価格かかく追随ついずいする、運賃うんちんとはべつてで徴収ちょうしゅうされる料金りょうきんのこと。名称めいしょうとしては、燃油ねんゆ特別とくべつ付加ふか運賃うんちん燃料ねんりょう価格かかく変動へんどう調整ちょうせいきん燃料ねんりょう加算かさんきん燃料ねんりょう課徴かちょうきん燃料ねんりょうサーチャージ、フューエルサーチャージ(英語えいご: Fuel Surcharge[1]などともばれる。

燃料ねんりょう価格かかく急激きゅうげき変動へんどうにより契約けいやく、または料金りょうきんひょう設定せってい運賃うんちんでは、運航うんこうする燃料ねんりょうだいまかなえない事態じたい対応たいおうする措置そちとして海運かいうん業界ぎょうかい1970年代ねんだいから導入どうにゅうし、2000年代ねんだいには航空こうくう陸運りくうん業界ぎょうかいにもひろまった。

料金りょうきんひょう設定せっていし、運行うんこう時点じてんでの燃料ねんりょう価格かかくおうじた価格かかくサーチャージとして追加ついか徴収ちょうしゅうする形式けいしき一般いっぱんてきで、燃料ねんりょう価格かかく一定いってい以下いか下落げらくした場合ばあい徴収ちょうしゅうしない料金りょうきんひょうとする場合ばあいもある。

航空こうくう

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湾岸わんがん戦争せんそう以降いこう原油げんゆ価格かかく高騰こうとうたいする措置そちとして、1997ねん平成へいせい9ねん)に国際こくさい航空こうくう運送うんそう協会きょうかいが、制度せいど認可にんかした。2001ねん平成へいせい13ねん)から導入どうにゅうされている。

ただし、国際こくさい航空こうくう運送うんそう協会きょうかい協定きょうてい料金りょうきんではなく、適用てきよう有無うむやタリフについては基本きほんてきかく航空こうくう会社かいしゃ判断はんだんにより、航空こうくう当局とうきょく申請しんせいして審査しんさされたのち認可にんかされる。

一般いっぱん指標しひょうは、ケロシンタイプジェット燃料ねんりょう市場いちばスポット価格かかくで、北米ほくべい地域ちいきではガルフコーストメキシコわんきし地域ちいき[2]アジア地域ちいきではシンガポール[3]ヨーロッパではロッテルダム市場いちば価格かかく利用りようされている。

通常つうじょう航空こうくう会社かいしゃ荷主にぬしフォワーダー、または搭乗とうじょうきゃく請求せいきゅうするが、航空こうくう便びん利用りようした小口おぐち貨物かもつ宅配たくはい便びんなど)について運送うんそう会社かいしゃ顧客こきゃく設定せっていする場合ばあいもある。

国際こくさい便びんでは、航空こうくう運賃うんちんこくあいだ協定きょうていによりさだめられることが一般いっぱんてきなため、燃油ねんゆサーチャージ料金りょうきんについては、通常つうじょう双方そうほう航空こうくう会社かいしゃあいだ調整ちょうせいしたのち政府せいふたいして申請しんせいして、認可にんかされる。

日本にっぽんでは「燃油ねんゆ特別とくべつ付加ふか運賃うんちん」の名目めいもく届出とどけでされており、貨物かもつについては2001ねん平成へいせい13ねん)、旅客りょかくについては2005ねん平成へいせい17ねん)から導入どうにゅうされた。国内線こくないせんでもフジドリームエアラインズ(FDA)が2011ねん平成へいせい23ねん9月1にち搭乗とうじょうぶんより導入どうにゅうしている[4]

日本航空にほんこうくう全日本空輸ぜんにほんくうゆでは、シンガポールケロシン市場いちば過去かこ2ヶ月かげつ平均へいきん価格かかくが、60あめりかドル廃止はいしするとしていたが、2015ねん平成へいせい27ねん)4がつ1にちから日本円にほんえんてとなり、あめりかドルとの為替かわせレート変動へんどうサーチャージを加味かみして、1バレル6,000えん下回したまわった場合ばあいに、廃止はいしされることになっている。このきゅう変更へんこうについて、旅行りょこう会社かいしゃ利用りようしゃから「為替かわせレート変動へんどうリスクを利用りようしゃばかりが負担ふたんするのは、おかしい」と、不満ふまんており、大韓民国だいかんみんこく大韓航空だいかんこうくうアシアナ航空こうくうでは、この時点じてん燃油ねんゆサーチャージ費用ひよう撤廃てっぱいしていたため、利用りようきゃく不満ふまんこえげていた[5]

一部いちぶ格安かくやす航空こうくう会社かいしゃ旅行りょこう会社かいしゃでは、燃油ねんゆサーチャージ自体じたい徴収ちょうしゅうしていないか、しくはパッケージツアー代金だいきんんでいる。

2016ねん平成へいせい28ねん4がつ1にち発券はっけんぶんから、JALとANAは原油げんゆ価格かかく大幅おおはば下落げらくにより、日本にっぽんはつ国際線こくさいせんにて燃油ねんゆサーチャージを6ねんはんぶりにゼロにすることになったが、たいべいドルえんやす進行しんこうにより、航空こうくう会社かいしゃ業績ぎょうせき絶好調ぜっこうちょうにもかかわらず、10ヶ月かげつ2017ねん平成へいせい29ねん2がつ1にち発券はっけんぶんより、燃油ねんゆサーチャージの徴収ちょうしゅう復活ふっかつした[6]

海運かいうん

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だいいちオイルショックともな原油げんゆ高騰こうとうたいする措置そちとして1975ねん昭和しょうわ50ねんごろから導入どうにゅうはじまった。

BAF(Bunker Adjustment Factor)、BS(Bunker Surcharge)、あるいは重油じゅうゆサーチャージとばれる。そと航海こうかいうんでは海運かいうん同盟どうめい指標しひょう価格かかくさだめていることがおおいが、拘束こうそくりょくはなく、最終さいしゅうてきには船主せんしゅ荷主にぬしとの交渉こうしょう決定けっていする。太平洋たいへいよう航路こうろ安定あんてい協定きょうていでは、A重油じゅうゆC重油じゅうゆ加重かじゅう平均へいきん欧州おうしゅう同盟どうめいではC重油じゅうゆ価格かかく指標しひょうとして採用さいようしている。

日本にっぽんでは認可にんか運賃うんちんである一般いっぱん旅客りょかく運賃うんちんフェリーひとし)について、燃料ねんりょう価格かかく変動へんどう調整ちょうせいきん名目めいもく届出とどけでがされている。

国内こくないでは従来じゅうらいうちこう燃料ねんりょう研究けんきゅう懇話こんわかい答申とうしん価格かかく内燃ないねんけん価格かかく)を基準きじゅんとしていたが、2008ねん平成へいせい20ねん)からは、かみパルプ価格かかくしん日本石油にほんせきゆ王子製紙おうじせいし取引とりひき価格かかく)を基準きじゅんとする会社かいしゃおおくなっている。

クルーズについては、スター・クリッパーズスタークルーズロイヤル・カリビアン・インターナショナルカーニバルクルーズラインなどおおくのクルーズ会社かいしゃにおいて、ニューヨークマーカンタイル取引とりひきしょのWTIアメリカ標準ひょうじゅんあぶらしゅウェスト・テキサス・インターミディエイト)を指標しひょうとしている。燃油ねんゆ価格かかく下落げらくにより、大半たいはんのクルーズ会社かいしゃ2010ねん平成へいせい22ねん以降いこう廃止はいしされている。

陸運りくうん

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湾岸わんがん戦争せんそう以降いこう原油げんゆ価格かかく高騰こうとうともな措置そちとして貨物かもつ運送うんそう分野ぶんや導入どうにゅうはじまった。設定せってい有無うむ金額きんがくについては基本きほんてきかく運送うんそう会社かいしゃ判断はんだんによる。

カナダカナダポストでは2003ねん平成へいせい15ねん)からfuel surchargeとしてレギュラー無鉛むえんガソリン価格かかく指標しひょうとした割増わりまし料金りょうきん設定せっていした。

米国べいこくユナイテッド・パーセル・サービスフェデックスでは、2008ねん平成へいせい20ねん)からGround fuel surchargeとして高速こうそく道路どうろスタンドでのディーゼル燃料ねんりょう指標しひょうとした割増わりまし料金りょうきん設定せってい

日本にっぽんでは2008ねん平成へいせい20ねん3月14にち国土こくど交通省こうつうしょう中小ちゅうしょう運送うんそう業者ぎょうしゃけに「トラック運送うんそうぎょうにおける燃料ねんりょうサーチャージ緊急きんきゅうガイドライン」を策定さくてい以後いご軽油けいゆ価格かかく指標しひょうとした燃料ねんりょうサーチャージの運賃うんちん届出とどけでおこなわれているが、小口おぐち貨物かもつ輸送ゆそう宅配たくはい便びん)には適用てきようされていない。

燃油ねんゆサーチャージの問題もんだい

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燃油ねんゆサーチャージ表示ひょうじ

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国土こくど交通省こうつうしょう旅行りょこう業界ぎょうかいたいし、燃油ねんゆサーチャージをふくんだ総額そうがく表示ひょうじ指示しじする通達つうたつ2008ねん6月30にちした。[7]

航空こうくう会社かいしゃ苦境くきょう

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日本にっぽんにおいては、2001ねん平成へいせい13ねん)に航空こうくう貨物かもつ導入どうにゅうし、2005ねん平成へいせい17ねん)から航空こうくう旅客りょかくでも導入どうにゅうしているが、原油げんゆ価格かかく高騰こうとうともな値上ねあげがつづき、その金額きんがくは2008ねんには世界せかい最高さいこうレベルにたっしたため、日系にっけい航空こうくう会社かいしゃ乗客じょうきゃくすう低迷ていめいまねいている[8]原油げんゆ価格かかくは2008ねんまつには30~40ドルとサーチャージ導入どうにゅう以前いぜん価格かかくになっているが、サーチャージは撤廃てっぱいではなく、ようやく最高さいこうがく半額はんがく程度ていど下落げらくはばはかなりちいさくとどまる見通みとおしである。なお、どういち路線ろせんでも航空こうくう会社かいしゃによってサーチャージのがくことなるほか、コードシェア便びん場合ばあいは、どういちフライトでも購入こうにゅうする便びんめいによってことなることがある[8]

燃油ねんゆサーチャージ導入どうにゅう背景はいけいにある燃油ねんゆ価格かかく高騰こうとうは、航空こうくう会社かいしゃ海運かいうん会社かいしゃ収益しゅうえき相当そうとう悪化あっかさせており、たとえば、2005ねん平成へいせい17ねん9月にはデルタ航空こうくうスウエスト航空すうえすとこうくう連邦れんぽう倒産とうさんほうだい11しょう適用てきようけている。

トラック業界ぎょうかい苦境くきょう

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原油げんゆ価格かかく高騰こうとうにより日本にっぽん国内こくないトラック運送うんそうでも燃料ねんりょうコスト上昇じょうしょうしょうじたが、十分じゅうぶん価格かかく転嫁てんかおこなわれず、陸運りくうん業者ぎょうしゃ深刻しんこく負担ふたんぞういている。全日本ぜんにほんトラック協会きょうかい調査ちょうさによれば一部いちぶでも価格かかく転嫁てんかできたのは4わりほどであった[9]

2008ねん平成へいせい20ねん3月14にち国土こくど交通省こうつうしょう軽油けいゆ価格かかく上昇じょうしょうぶん運賃うんちんへの転嫁てんかすすめるために、「トラック運送うんそうぎょうにおける燃料ねんりょうサーチャージ緊急きんきゅうガイドライン」を発表はっぴょうした[10]

同年どうねん5がつには、日本にっぽんでの陸運りくうん最大手さいおおて日本通運にほんつううん燃料ねんりょうサーチャージ導入どうにゅうめ、ヤマト運輸やまとうんゆ佐川急便さがわきゅうびん導入どうにゅう前向まえむきである。しかし、トラック運送うんそうの9わり以上いじょうめる中小ちゅうしょう零細れいさい企業きぎょうでは交渉こうしょうりょくよわいため、ガイドラインどおりに実施じっしできていない。

関連かんれん項目こうもく

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参照さんしょう

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  1. ^ 重要じゅうよう至急しきゅう]フューエルサーチャージ、金額きんがく改定かいていのおらせ スタークルーズ日本にっぽんオフィス、2008ねん5がつ8にちづけ発表はっぴょう
  2. ^ Fuel Surcharge FedEx
  3. ^ JAPAN FUEL SURCHARGE Delta Air Lines
  4. ^ 燃油ねんゆ特別とくべつ付加ふか運賃うんちん設定せっていについて (PDF) - フジドリームエアラインズ(FDA) おらせ・プレスリリース 2011ねん6月29にち
  5. ^ 柳澤やなぎさわ里佳さとか (2015ねん9がつ8にち). 燃油ねんゆサーチャージの円建えんだ旅行りょこう会社かいしゃ困惑こんわく. 週刊しゅうかんダイヤモンド (ダイヤモンド社だいやもんどしゃ). http://diamond.jp/articles/-/78017 2016ねん7がつ17にち閲覧えつらん 
  6. ^ 須賀すか彩子あやこ (2017ねん1がつ31にち). 燃油ねんゆサーチャージ、航空こうくう会社かいしゃこう業績ぎょうせきなのに復活ふっかつした理由りゆう. 週刊しゅうかんダイヤモンド (ダイヤモンド社だいやもんどしゃ). http://diamond.jp/articles/-/115908 2017ねん9がつ23にち閲覧えつらん 
  7. ^ 航空こうくう会社かいしゃ賦課ふかする燃油ねんゆサーチャージの旅行りょこう取引とりひきにおける取扱とりあつかいにかんする通達つうたつ改定かいていについて 国土こくど交通省こうつうしょう
  8. ^ a b 杉浦すぎうらいち、「サーチャージでもうけたのはだれだ?」、日経にっけいWagaMaga、2008ねん11月12にちづけ同日どうじつ閲覧えつらん
  9. ^ 軽油けいゆ価格かかく影響えいきょう運賃うんちん転嫁てんかかんする調査ちょうさ結果けっか(2008ねん5がつ)
  10. ^ トラック運送うんそうぎょうにおける燃料ねんりょうサーチャージ緊急きんきゅうガイドライン

外部がいぶリンク

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