讃岐 弁
概要
編集
また、
アクセント
編集
四国 各地 や関西 に共通 する特徴
編集
名詞 の否定 (〜ではない)の表現 。「〜と違 う」「〜ちゃう」などと表現 する。動詞 の否定 (原則 )未然 形 +「ん/へん」。「食 べん」「かまへん」関西 弁 と違 い、「へん」は「かまへん」など、特定 の使用 に限定 される。
- 1
拍 1音節 の語 が2拍 化 する。(例 )蚊 を「カァ」、木 を「キィ」と発音 する。 - 「よう」+
動詞 の否定 形 で、能力 が無 くて出来 ない意味 を示 す(古語 の「え〜ず」)。 - コピュラ「や」。
讃岐 弁 は他 に「だ」「じゃ」があり、これらの三種 を方言 として全 て使 う地域 は稀 で、香川 県 以外 では四国 の極 一部 の地域 があるのみである。(例 )ほ"だ"きん、あれが屋島 "や"って言 いよる"じゃ"ろ。 強調 の助詞 「んや/んじゃ」「のや/ねや」。「のや/ねや」は否定 の強調 に使 う場合 が多 い。(例 )あれが屋島 なんや。動詞 の過去 を示 す助詞 「た」に「んや」が付 いた場合 は、「〜したんよ」「〜したんや」と話 す(関西 の「〜てん」は用 いない)。
強調 の終 助詞 「で」(例 )あれが高松 駅 やで。- しかし、
香川 県 では「ぜ」が本流 であったという見方 も有 る。(例 )ここで待 っちょるぜ。
- しかし、
強調 の終 助詞 「が/がな」(例 )そんなん知 っとるが(関西 では「がな」のみ使 われる)。- 「が」は
先述 の「で」よりも強 い表現 。注意 を促 す際 によく使用 される。
- 「が」は
疑問 ・反語 の終 助詞 「かいの(東 讃 )/かいな(西 讃 )」(例 )この時計 めげとんかいの。終 助詞 「わ」(例 )あれが屋島 やわ。仮定 に「ば」はあまり使 わず、「たら」を使 う場合 が多 い(関西 では「ば」は全 く使用 されない)。- シク
活用 の形容詞 に否定 の助詞 「ない」をつける場合 、「ク」が消 え、直前 の母音 が長 母音 化 する(ただし、地域 によっては長 母音 化 しないこともある)。(例 )楽 しくない→楽 しぃない おもしろくない→おもしろぉない/おもっしょぉない - 「
連用形 +とる」(現在 完了 アスペクト)と「連用形 +よる」(現在 進行 アスペクト)を区別 して会話 に用 いている(他 の四国 方言 、中国 方言 、播州 弁 ・神戸 弁 と共通 )。例 1:「うわ、雪 ふっとるでないん!」・・・発話 の時点 で雪 が降 り始 めてから時間 が経 っていることを発話 者 が意識 している場合 を表 す例 2:「うわ、雪 ふんりょる/ふりよる/ふっりょる/ふっぢょる(西部 沿岸 地域 )でないん!」・・・今 まさに雪 が降 っている状態 例 3:「宿題 やっとん?」・・・もう既 に宿題 が終 わっているかどうか質問 している例 4:「宿題 やんりょん/やりよん/やっりょん/やっぢょん(西部 沿岸 地域 )?」・・・今 まさに宿題 をしている最中 なのかを質問 している(普段 から宿題 をする習慣 があるのか質問 している)例 5:「何 ができよん?」・・・調子 はどう?
上 の例 にある通 り、西部 沿岸 地域 ではラ行 活用 動詞 の現在 進行 アスペクトは「〜っりょる」ではなく「〜っじ(ぢ)ょる」となる。例 :「繰 る→繰 っじょる/操 る→操 っじょる/切 る→切 っじょる/喋 る→喋 っじょる」
動詞 の疑問 で「〜しとるん?/〜しよるん?(〜しているの?)」の形 となる場合 、「る」を抜 くことが多 い(徳島 弁 ・岡山 弁 ・播州 弁 ・神戸 弁 と共通 )。例 1:何 やっとるん?→何 やっとん?例 2:宿題 やんりょるんか?→宿題 やんりょんか?
讃岐 弁 の地域 差
編集
例 :あれはね(共通 語 )=あれはの(東 讃 弁 ) / あれはな(西 讃 弁 )
〜から | 〜けん/けに/きん/きに | 〜けん/けに | 〜さかい/せに/から |
---|---|---|---|
〜だね | 〜やな/じゃな | 〜やな/〜やの/じゃの/だの | 〜やな |
〜なんか | 〜や/やかし/やか | 〜や/やこし/やこ | |
〜してみなさい | 〜してご/〜してごんな/しまい/せぇ | 〜しまい/せぇ | 〜してみい |
ください | つか/つかさい/つかいな | いた/たー | いた |
〜けれど | 〜けど/けんど/きんど | 〜けど/けんど |
表現
編集
あ行 ・か行
編集
- あかい(
明 い)暖色 の。明 るい。「七 時 やゆうのにまだ外 があかいの」 - あかん
駄目 だ(いかん)。小豆島 弁 。小豆島 以外 の香川 では若者 言葉 。 - 〜あげる
動詞 の後 について、動詞 の意味 を強 める。下品 な言葉 になる。主 に「叩 く」系統 の意味 の動詞 に付 く。「たたっきゃげる」「けっりゃげる」「おがっしゃげる」「ちゃっしゃげる」「きゃっしゃげる」「おごっきゃげる」「しばっきゃげる」「くらっしゃげる」「はっりゃげる」 - あずる 【
動 】苦労 する。「あずんじょったんなあ?」「がいにあずったがあ」「もうあずんじょるけん、代 わりに食 うてた」 - あななん あんなもの 「あななんいかんわ」
- あほ
馬鹿 。「お前 あほやのお」 - あんじゃるい 【
形 】気持 ち悪 い、気味悪 い。 - いいかげん 【
副 】たくさん。多 く。十分 。中 讃 での表現 。「これまでした旅 の記録 調 べたら、意外 にいいかげん方々 行 っとったわい」 - いかさま 【
形 】ものすごく。「いかさま、おとっちゃまやのぉ」 - いごく 【
動 】動 く。古 い日本語 の転訛 である。「なんいごっきょん?」 - いで 【
名 】道 の端 などにある細 く浅 い水路 (溝 )のこと。上代 の言葉 に水路 の堰 の意 で「いで」とあり、それに関係 か。 - いぬ 【
動 】帰 る。古語 の保存 。「ぼちぼちいぬんな?」「そうやなぁ、いのか」 - いまさっき つい
先程 やまさに今 の意味 。「いまさっき帰 ったとこじゃが」 - うれしげな
調子 に乗 っている、図 に乗 っている、思 いあがっている、というような様子 をさすが、讃岐 弁 独特 の感覚 であり、完全 に同 じ使 い方 が出来 る単語 というのは共通 語 には無 いと思 われる。ニュアンスは名古屋 弁 の「ちょうすいとる」(=調子付 いている)に近 い。讃岐 弁 を知 らない人 には、単純 に嬉 しそうという意味 ととられがちであるが違 う。「うれしげにしとるのお」(侮蔑 的 なニュアンスが強 い言葉 であり、不用意 に使 うと揉 めごとの発端 になるので注意 ) - うまげな・うまたげな
素敵 な。「うまげな車 やのぉ」(西 讃 方言 ) - えらい 【
形 】疲 れた。しんどい。古語 の保存 。「えろうて動 けんわ」【副 】とても かなり 「えらい遅 い車 やのう」 - おおかた もうちょっとで。「おおかたやられるとこやったがー」
- おがす 【
動 】(土 等 を底 から)掘 り返 す。田 の端 の土 を耕 す際 に「田 んぼのへりをおがす」と言 う。 - おがっしゃげる 【
動 】ぶん殴 る。「ちゃっしゃげる」→「くらっしゃげる」→「おがっしゃげる」の順 に強 くなる。
類語 に「おごっきゃげる」「きゃっしゃげる」「しばっきゃげる」「はっりゃげる」等 がある。すべて同様 の意味 だが、強 さのニュアンスに差 がある。
- おかっこまり
正座 。地域 によっては、まりが取 れて「おかっこ」となることもある。 - おきる 【
動 】腹 が膨 れる。「腹 おきてもう食 えんわ」「腹 、おきたんな?(=「お腹 、いっぱいになりましたか?」) - おじゅっさん 【
名 】お坊 さん。 - おたし 【
代 】私 。老人 語 。「おたしは知 らんぜ。」
その
- おとっちゃま 【
名 】臆病者 。「いかさま、おとっちゃまやのお」 - おどれ お
前 。「おどれなめとんか」 - おび
魚 (幼児 語 ) - おぴっぴ うどん(
幼児 語 ) - おらぶ 【
動 】叫 ぶ。古語 の保存 。「何 おらんびょんな?」 - おもっしょい【
形 】面白 い。「この漫画 おもっしょいのお」 - がいな 【
形 】すごい。きつい。強 い。古語 の保存 。「がいに飛 ばすなぁ」「あの人 はがいな」
香川 オリーブガイナーズ(四国 アイランドリーグplus)の名称 は、この讃岐 弁 (がいな)に由来 している。愛媛 県 では「意外 な」、高知 県 では「乱暴 な」の意味 で使 われる。中 四国 と九州 の一部 に分布 する言葉 である。
- かく 【
動 】かつぐ。若干 の意味 の変化 はあるが、古語 の保存 である。「ちょっとそっちかいてつか(西 讃 )」「ちょっとそっちかいていた(東 讃 )」 - がち
卑 しい。意地汚 い。「がちげにすな!」(もの欲 しげにするな) - かど 【
名 】(漠然 と)家 の外 。玄関 先 。共通 語 の「表 (おもて)」。「かどんとこに、誰 かおるで」 - かまへん(かまん)
構 わない。〜でも良 い。 - 〜がん 〜だけ、〜
分 。「あるがんまんで(あるだけ全部 )」「遠足 の菓子 は三 百 円 がんまでの」 - きにょう 【
名 】昨日 。「きんにょ」とも - 〜きん(〜きに) 【
助 】〜から。理由 ・原因 を表 す。西 讃 ・中 讃 での表現 。「暑 いきん、クーラーつけようで」「かかんきんこん、こんきんかかん(〔手紙 を〕書 かんきん来 ん、来 んきん書 かん=書 かないので来 ない、来 ないので書 かない)」 - く
家 。「友達 んく遊 びに行 った(友達 の家 に遊 びに行 った)」「うちんくに来 るな?(私 の家 に来 るかい?)」極 西部 では「き」とも言 う。 - くらっしゃげる
殴 る。ちゃっしゃげる・くらっしゃげる・おがっしゃげるの順 に強 くなる。 - けっこい 【
形 】きれいな。美 しい。「あの子 いかさまけっこい子 やの」「けっこにしてどこ出 かけるん」 - 〜げな 〜のような。
動詞 、形容詞 、名詞 に付 く。これの多用 も讃岐 弁 の特徴 である。これに近 い表現 が古語 にも多々 見 られる。「もうせんげなな(もうしないみたいだね)」「え? するげに言 いよったで(え? するように言 っていたよ)」「あれげなな(あれっぽいね)」 - 〜けん(〜けに) 【
助 】〜から。理由 ・原因 を表 す。東 讃 から西 讃 での表現 。「〜きん」と同意 。「明日 早 いけん、もう寝 まい」(明日 早 いからもう寝 なさい) - けんびき
口内 炎 や肩 こりなど体 の不調 の状態 。 - ご
下 述 の「ごんな」の縮 まった形 。 - ごじゃはげ
無茶苦茶 。「ごじゃ」とも「もうごじゃはげじゃわ」禿 とは無関係 だが、県内 出身 者 が県 外 出身 者 の禿 の人 もいる場 で言 いかけてあせることも。 - こそばい くすぐったい。
- こらえん 【
動 】承知 しない。許 さない。「〜したらこらえんぞー」 - こんこ 【
名 】たくあん - ごんな 〜してください。
丸亀 周辺 で使 われる。「廻 ってごんな、見 てごんな」 - こんぴらさん 【
固 名 】金刀比羅宮
さ行 ・た行
編集
- さいさい たびたび。よく。
漢字 で書 くと「再々 」。「あの人 さいさい来 よるで」 - さかし
逆 さ。反対 。「シャツさかしに着 とるで」 - さきおととい
一昨日 。「さきおとつい」とも - さら
新 しいもの。新品 。西日本 ではよく見 られる表現 。「このテレビさらやで」 - 〜しい 〜する
人 。主 に悪 い意味 で使 われる。「お前 いらんことしいやな」 - 〜しいまわる 〜して
回 る、〜ばかりする 「訳 分 からんことしいまわらんの!」「昔 っからげんしゃさんくの子 はごじゃしいまわるの」 - 〜していた 〜して
下 さい。東 讃 での表現 。「それ取 っていた」「これいた(これをください)」 - 〜してた 〜して
下 さい。〜していたの省略形 。 - 〜してつか 〜して
下 さい。西 讃 での表現 。「あれ取 ってつか」「これつか(これをください)」 - 〜しな 〜の
途中 、〜の際 。略 して「〜し」とも。「いきしな」=行 く途中 に。「帰 りしな」=帰 る途中 に。「ちょっと、ついでに」の意味 を暗 に含 む。用例 :「帰 りしなにパンこうてきて」=帰 る途中 に、(ついでに)パンを買 ってきて。「立 てりしに腰 がいとうてかなわん」=立 てる時 に腰 が痛 くて仕方 が無 い←「立 てる」も方言 なので、正 しくは「立 つ時 に・・・」 - 〜しますな 〜するもんじゃないですよ、〜しないほうがいいですよ。「そななことしますな!」「そなんめんどげに
言 いますな」 - 〜かしゃん 〜(しよう)かな、〜だろうか、「〜かしら」の
転訛 「まだあかいきん畑 行 こかしゃん(まだ明 るいし畑 に行 こうかな)」「それでえんかしゃんな(それでよいのだろうか)?」 - しゃんしゃん
手際 よく、てきぱき、元気 よく、など。「しゃんしゃんしまい」 - じゅじゅむ にじむ
- じゅるい【
形 】(地面 が)ぬかるんでいる(西 讃 。伊予 弁 起源 )。「地 緩 い」の転訛 か。 - しよい やりやすい、しやすい。「こなんしたらしよいで」「そっちのほうがしよいやろ」
- しょうたれ
見苦 しい、締 まりがない、だらしがない、体裁 が悪 い、愚鈍 な、など。「あれはいかさましょうたれげなやっちゃの」 - 〜じょる 〜ている。ラ
行 活用 動詞 の語尾 につけて現在進行形 を作 る。「作 んじょる」=作 っている。「売 んじょる」=(西 讃 沿岸 部 )売 っている。 - じょんならん
役 にたない。どうしようもない。手 に負 えない。「じょんならんやっちゃのぉ(役 にたない奴 だなぁ)」「最近 暑 くてじょんならんわ~」 - しんや
新家 。分家 のこと。 - すい
酸 っぱい。古 い日本語 の転訛 。「この漬 け物 ちょっとすいんちゃん」 - すかん
好 かない。嫌 い。「私 納豆 すかんのや」「俺 あいつのことほんますかん」 - すばる しなびる「ミカンがすばってしもとる」
- ずんやり
引 き続 いて、ずっと、延々 と。主 にマイナスイメージに使 われる。「あいつ、ずんやりあれにはまってすんだわ」 - ぞろい
雑 な 「いかさまぞろげなかっこしょってからに」 - たいぎ
面倒 「宿題 するんたいぎなわ」 - だい だるい 「
歩 きすぎて足 がだいわ」 - たく
煮 る。標準 語 と同 じ意味 だが、ご飯 以外 におかずにも用 いる「おかずをたく」 立 てる立 つ 「立 てってみて(立 ってみて)」共通 語 の「立 てる」は讃岐 では「立 てらす」になる。- たる 【
動 】飽 きる。古語 の保存 。「そのおもちゃもぅたったわ」 - ちっか 【
名 】竹輪 。阿波 弁 でも使 われているが、西 讃 で多 く使 われる。 - ちみきる(
爪 の先 くらいで)つねる。痛 さ度合 いは「ひにしる」<「ちみきる」 - 〜ちゃ 〜も(〜ない)。
否定 で用 いる。「なんちゃ無 いやん」「誰 ちゃおらんけん」 - 〜ちゃう 「〜じゃない」の
意味 。否定 で用 いる。「それ鉛筆 ちゃうわ」 - ちゃっしゃげる
叩 くの意味 。ちゃっしゃげる・くらっしゃげる・おがっしゃげるの順 に強 くなる。 - 〜ちゃん 「〜じゃないの?」の
意味 。否定 の疑問 で用 いる。「お前 アホちゃんな? 」 - ちょっとこま
少 しの間 。「ちっとこま」「ちょっとくま」「ちっとくま」とも「ちょっとこま出 てくるわ」 - つい
似 ている、同 じ。似 ている度合 いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」 - つぶれる
故障 する。「さらのテレビつぶれてもうたが」 - つめる
挟 む。「昨日 のぉ、玄関 のドアで指 つめもうたんやが」 - つむ (
鋏 状 の物 で)切 る。共通 語 の場合 は目的 語 が枝葉 などに限定 されるが、讃岐 弁 の場合 はほとんどの場合 に使 える。「まっちゃえて指 つんでもうた」 - てがう 【
動 】からかう、あやす、遊 んでやる。「なにあいつのことてがいよんな?」「うちの犬 もてごてやって」 手袋 を履 く手袋 をはめる、手袋 をつける、手袋 する北海道 でも同 じ表現 が使用 される。- どくれる 【
動 】ふくれる。不満 げにする。「何 どくれとんな?」 - どせこむ
転落 する。「田 んぼにどせこんで泥 まみれになる」 - とっしょり お
年寄 り「お前 、とっしょりみたいなの」 - どっかしゃん どこかしら。どこか。「オモチャがどっかしゃんいった」「あの
子 やったらさっきどっかしゃん行 ったで」 - どっちゃこっちゃ どうにもこうにも。どうしようも。
主 に後 ろに否定 語 を伴 う。「ここまでごじゃやとどっちゃこっちゃならん」 - どな どう(どのように) 「どなしよん?」
- どななんな?
状況 とか様子 とか調子 を確認 する質問 文 。共通 語 だと「どんな様子 (状況 /調子 )なの?」 鳥 の子紙 模造 紙 - どんどろさん 【
名 】雷 。「どんどろはん」
な行 ・は行
編集
テレビ |
- な
語尾 について疑問 の意 を表 す。「濡 れよるの、傘 ん乗 ってくんな?」=塗 れているね、傘 に入 って行 くかい?讃岐 弁 では「な」は疑問 、禁止 (〜しますな、間違 えな〔間違 えるな〕)、詠嘆 (〜やな、西 讃 )、感動 詞 (なぁ、西 讃 )など多 くの意味 が有 り、非 讃岐 弁 話者 が讃岐 弁 を聞 く際 の大 きなハードルとなることもある。 何 がでっきょんな時候 のあいさつ。そのままの意味 である「何 を作 っているの?/何 をしているの?」という質問 文 で用 いることもある。植松 おさみが西日本放送 在籍 時 に『ズームイン!!朝 !』でキャスターを務 めていた頃 、地元 の人 にインタビューする時 の第一声 は必 ずこの言葉 だった。- なんちゃでっきょらん
時候 のあいさつとして「何 がでっきょんな」と聞 かれた場合 の定型 的 な返答 句 。直訳 すると「(別 に)何 もしていない」。 - なんしょん
何 をしているのという意味 。さらに疑問 の意 を込 めて「なんしょんな」とも。強 く読 むことで叱 るときにも用 いられることもある。意味 としては「なんてことしてくれたの!?」に近 い。 何 とかー!(なんとか!)何 だって!?驚 きを表 す。地域 によっては「何 とな!」になる。麺 通 団 著 『恐 るべきさぬきうどん』の香川 県 外 読者 が寄 せた「本文 中 の不可解 な方言 」の一 つ。- なし
無 く 「全部 なし(ん)なってもうた」 - なに【
名 】あれ。あのもの。(第 一 音節 に高 アクセント)「あの、なにがもうなかったやろ?(あの、あれがもう足 りなくなっていただろ?)」 未然 形 +なんだ 〜なかった否定 の過去 形 。「知 らなんだ」(知 らなかった)未然 形 +なんだら 〜なかったら。〜なければ。逆接 (否定 )の仮定 。 「やらなんだら」(やらなければ)何 ちゃ →「〜ちゃ」を参照 。- なんな
声 をかけられた時 の返答 。共通 語 の「なにか御用 ?」に相当 。 - なんなんな
何 なんだい。「なぁ、あななんはなんなんな?(ねぇ、ああいうのって何 なんだい?)」 - なんぼ いくら(
数 )物 の数 を聞 くときに使用 される。 「テストなんぼやったん?」「なんぼなんでもそれは・・・」「こりばでなんぼいや(これだけで幾 らだい)」 - 〜なんや 〜なの。「〜なんじゃ」とも。 「
私 、抹茶 が好 きなんや」 - なんや(じゃ)・・・
何 だか・・・ 「なんやほっこげなのぅ」 - 〜なんやんか 〜なんだよね。
相手 が話 の内容 を知 っていることを前提 に使 う。「俺 、病気 なんやんか」「寄 るとこあるんやんか」関西 弁 で言 う「〜やねんやん(か)/〜やねんか」に当 たる。
- ねき
側 ・近 く 「駅 のねきのうどん屋 」 - ねぶる
舐 める、舐 め回 す。古語 の保存 。「そなんねぶりまわりますな(=そんなに舐 め回 してはいけませんよ)」「飴 ちゃんでもねぶっじょりな(=飴 でも舐 めておきなさい)」 - はがい はがゆい。むかつく。 「あいつは、はがいなあ」「てれる
前 に西瓜 カラスに食 われてよいよはがい」状況 によって、ニュアンスが異 なる。 - はじかい ちくちく、むずむずする
様子 。「痒 い」とはニュアンスが違 う。「このセーター、ウールやきん、はじかいわ」「藁 の上 に横 になってみたけど、はじかかった」 - はみ 【
名 】(1)まむし、毒蛇 。(2)家畜 のエサ。 - はみる
仲間外 れになる。香川 の若者 言葉 。 - ばんげ
夜 。夕飯 後 くらいの時間 。「ばんげに来 まい(=今晩 いらっしゃい)」 - ひしてがい【
名 】一 日 交替 。「晴 れと雨 とがひしてがいじゃ」 - ひど (
主 に後 に否定 語 を伴 って)大 して、ほとんど。「なんしたってひど変 わらんわ」「ひどおもっしょもないきんかしゃん、言 われんな」 - ひにしる(
指 の腹 で)つねる。痛 さ度合 いは「ひにしる」<「ちみきる」 - ひろげさがす
散 らかしている - ぶいぶい コガネムシ。「ぶいぶい
使 うて魚 釣 るんや」 - ふが
悪 い体裁 が悪 い。格好 が悪 い。「ふうが悪 い」とも「ぞろげにしてからによいよふが悪 いわ」 - ふたかわめ
二重 まぶた - ぶる 【
動 】漏 れる。 「水 が堰 からぶっじょるが」 - ベエスケ
大型 のあなご。 - へらこい 【
形 】ずるい。「ずべらこい」とも。「あんた、へらこいわ!」/「小才 が利 く」の意味 で、讃岐 人 (時 に阿波 人 )気質 を示 す表現 としても用 いられる[2]。 - ぼしこむ
押 し込 む。 - ぼてこむ
落 ちる。どせこむとほぼ同義 だが若干 意味 が軽 い。「こないだいでにぼてこんでケガしたんじゃが」 - ほっこ 【
名 】ばか、あほ。強 めて「ほっこたれ」とも。「あんたがいにほっこやのお」さらに強 い侮蔑 的 表現 になると「くそぼっこ」と変化 する場合 もある。 - ほんに
本当 に - ほんま
本当 - ほんだら さようなら。または「それじゃあ」。
例 :「ほんだらな。」<[要 説明 ]「ほんだらの。」
ま行 ・や行
編集
- 〜まい 〜しなさい/〜してみてください。
強 く発音 すると前者 、やさしく言 うと後者 の意味 になる。「食 べまい」 - まける 【
動 】こぼれる。「汁 がまけよるが」 - まけまけいっぱい 【
形 】(器 に入 れた水 などが)こぼれそうなほど、いっぱいに入 っている様子 。単 に「まけまけ」とも。また、用 を足 すことを我慢 していて限界 の時 にも使 われる。「ちょっと水 入 れすぎた。まけまけいっぱいやわ」「一時 間 以上 我慢 しょおるきんもうまけまけじゃ」 - まっちゃう
間違 える。 「まっちゃうこともあるわ」 - まっつい とても
似 ている、同 じ。似 ている度合 いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」注 :「つい」は実質 上 、使 わない。 - まっつくつい ものすごく
似 ている、同 じ。「まっついつい」とも。似 ている度合 いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」 - 〜まへ =〜まい。この
変化 から「まい」が「給 え(い)」の変化 と推測 できる。「そななもん我 がでにしまへ(そんなこと自分 でしなさいよ)」 - まるた まるごと。そのまま
全部 。「お向 かいがこっこまるたでくれたが(お向 かいさんがたくあんを丸 ごとくれたよ)」 - まんで
全部 。「泥棒 にやられて、まんで持 っていかれた」 - まんでがん
全部 。非常 に意味 が広 い言葉 で、最大限 の意味 を持 つ。「まんで」に比 べて有 る「だけ」全部 、と言 う意味 が強 い。「まんでがん遊 んでえろおてえろおて(全力 で遊 んでつかれてて、つかれてて)」「まんでがん走 った(全部 走 った/全速力 で走 った)」 - 〜みい 〜みろ。(
命令 ) 「走 ってみい」 - むつごい 【
形 】あぶらっこい。くどい。食 べ物 以外 にも用 いる。「天 かす入 れすぎてむつごいが」「この絵 むつごいわ」感覚 としては、たくさんケーキを食 べたあとに再 びケーキを見 たときの感情 。 - めぐ 【
動 】(1)壊 す。「あんたはよう物 めぐ子 やのお」「まためいだんか?」 (2)両替 する。「この千 円 、百 円 にめいでいた」 - めげる 「つぶれる」に
同 じ。 - めんて おでこ
- めんどい
難 しい 「がいにめんどいが」 - めんめ めいめいで。
自分 で。「めんめでしぃまい」(自分 でやりなさい) - もうた (1)
貰 った。「お土産 もうたん?」 (2)しまった。「テレビつぶしてもうた」 - もっかい もう
一 回 - もろた 「もうた」(1)に
同 じ。 「〜してもらった」の意 で使 うこともしばしば。「部下 に仕事 してもろた」 - やぎろし うっとうしい。「やぎろし
事 言 うな」(うっとうしい事 を言 わないで) - 〜や 〜なんか。「
姉 ちゃんやどっか行 ってしまえ!」 - 〜やかし 〜なんか。〜なんて。 「〜や」と
意味 は同 じだが、限定 の意味 の強調 の度合 いがより強 い。「私 やかしなぁ、昨日 熱 が40度 もあったんで(私 なんてね、昨日 熱 が40度 もあったのよ)」 - 〜やないんな
近代 の関西 弁 の影響 で入 ってきた言葉 。讃岐 弁 では「ない」は「で」で受 ける(例 :それは犬 でない)ため、讃岐 弁 では「でないんな(でん)」が正 しいといえる。「やん」は戦後 、女性 語 として使 われ始 めたらしい。「まえまえから言 よるやないんな!」 - やむ 【
動 】湿気 (しけ)る。湿気 (しっけ)るの意味 では無 い。特 に西 讃 の方言 。「そのお菓子 やんどるが」 - 〜やんか 〜じゃないか・〜だよね
後者 は相手 が話 の内容 を知 っていることを前提 に使 う(「〜なんやんか」を参照 )。 - 〜やんな/〜やんの 〜だよね。
付加 疑問 ・確認 の意味 。 「あの家 最近 できたんやんな」 - 〜よおる(ゆーよる) 〜
言 っている(現在 進行 ) 「何 よぉるんかサッパリ分 からん」 - よっけ(ようけ) 【
副 】たくさん。 「人 がよっけおんのお」 - よもよも ぐずぐず。「よもよも
言 うな」→ よもい(とろい) - 〜よん(〜ゆん) 〜
言 っているんだ。〜言 っているのか。 「お前 によんや。」「ほなけん、お前 のことやとよん」
ら行 ・わ行
編集
- わが
自分 自身 。「わがの都合 ばっかり言 わんと、わがの事 はわがでせんか(自分 の都合 ばっかり言 わないで、自分 の事 は自分 でしなさい)」 - わがでに
自分 で。 - わや =ごじゃ。
無茶苦茶 。関西 や北海道 など全国 各地 で使 われるが、香川 県 では「ごじゃ」の存在 も有 ってか影 は薄 い。「台風 で家 が、わやなってもうたわ」 - わやくちゃ =ごじゃはげ。
無茶苦茶 をさらに強 く言 った言葉 。「お前 の髪型 わやくちゃやな」 - んごんご=
蝉 の抜 け殻 。小豆島 の坂手 でのみ使 われる言葉 。
近畿 方言 との違 い
編集
この
- 「〜やん」(〜でん)【〜じゃないか】
- 「あかん」(いかん)【ダメだ】
- 「なんでやねん」(なんでなんな・なんしにな)【
何故 なんだ】(「〜ねん」という表現 はそれほど広 まってはいないものの、「なんでやねん」に限定 しては使 う若者 が多 い)
だ | じゃ/や/だ | や |
---|---|---|
〜ない | 〜ん | 〜へん |
〜なんだ | 〜なんや/じゃ 〜なんよ |
〜やねん |
〜たのだ | 〜たんや/たんじゃ 〜たんよ |
〜てん/〜たんや |
〜している | 〜しょうる( |
〜しとる/してる |
〜しとる( | ||
いかん/あかん | あかん | |
バカ | ホッコ | アホ |
えらい | えらい しんどい | |
おもしろい | おもっしょい | おもろい |
〜かな? | 〜かいの? | 〜かいな? |
から | けん/きん | から さかい/よって |
〜じゃないの? | 〜ちゃん?/ちゃあん? | 〜ちゃうん? |
どう/どのように | どな | どない |
よおる( |
ゆうとる/ゆうてる | |
してみろ | してみい・してんまい したれ・してんま してご・してごんなしてみい |
してみい |
たくさん | よっけ・ようけ | ようけ ぎょうさん/ようさん |
〜してしまう | 〜してしまう | 〜してまう |
まっちゃいよる( |
まちごうとる/まちごうてる | |
まっちゃっとる( | ||
ほんま・ほんに ほん・ほんどり |
ほんま |
讃岐 弁 の現況
編集
脚注
編集
参考 文献
編集
関連 項目
編集
外部 リンク
編集
讃岐 弁 (県内 全域 )-21世紀 へ残 したい香川 |四国新聞社 - 10
分間 讃岐 人 育成 講座 - ウェイバックマシン(2004年 5月 17日 アーカイブ分 ) -東洋 総合 開発 の広報 サイト内 に設 けられていた讃岐 弁 コンテンツのアーカイブ。 高松 の方言 - ウェイバックマシン(2006年 3月 8日 アーカイブ分 ) -高松 市役所 - てんちゃんの
讃岐 弁 講座 - YouTube(高松 ケーブルテレビ)[リンク切 れ]