赤松あかまつ晴はれ政まさし

赤松あかまつ 晴はれ政まさし（あかまつ はるまさ）は、日本にっぽんの戦国せんごく時代じだいの武将ぶしょう、大名だいみょう。赤松あかまつ氏しの第だい11代だい当主とうしゅ。赤松あかまつ義よし村むらの子こ。播磨はりま・備前びぜん・美作みさくの守護しゅご。播磨はりま置おけ塩しお城じょう城主じょうしゅ。

凡例はんれい 赤松あかまつ晴はれ政まさし
時代じだい	戦国せんごく時代じだい
生誕せいたん	明あかり応おう4年ねん（1495年ねん）、または永えい正ただし10年ねん（1513年ねん）
死没しぼつ	永えい禄ろく8年ねん1月がつ16日にち（1565年ねん2月がつ16日にち）
改名かいめい	才ざい松丸まつまる（幼名ようみょう）、政せい村むら→晴はれ政まさし
別名べつめい	政せい村むら、通称つうしょう：次郎じろう
戒名かいみょう	常つね照あきら院いん殿どの前ぜん左京さきょう兆天柱性熙大禅定門
墓所はかしょ	松まつ安寺あてら跡あと（兵庫ひょうご県けん姫路ひめじ市し）
官位かんい	従したがえ五ご位い下か・左京さきょう大夫たいふ
幕府ばくふ	室町むろまち幕府ばくふ、播磨はりま・備前びぜん・美作みさく守護しゅご
主君しゅくん	足利あしかが義晴よしはる
氏族しぞく	赤松あかまつ氏し
父母ちちはは	父ちち：赤松あかまつ義よし村むら
兄弟きょうだい	晴はれ政まさし、政せい元もと
子こ	義よし祐ゆう、政せい祐ゆう、則のり家か、女おんな（赤松あかまつ政秀まさひで室しつ）、女おんな（三木みき通明みちあき室しつ）

幼名ようみょうは才ざい松丸まつまる（さいまつまる）。通称つうしょうは次郎じろう。初はつ名なは政せい村むら（まさむら）、また政せい祐ゆうとも名乗なのったとされるが政せい祐ゆうの署名しょめいの書状しょじょうは確認かくにんされていない。本ほん項目こうもくでは便宜上べんぎじょう、「晴はれ政まさし」で統一とういつ表記ひょうきする。従したがえ五ご位い下か・左京さきょう大夫たいふ。

生涯しょうがい

長福山ちょうふくざん松まつ安寺あてら跡あとに残のこる赤松あかまつ晴はる政せいの墓はか(右みぎ)

晴はれ政まさしの墓石はかいし

生年せいねんは、明あかり応おう4年ねん（1495年ねん）と永えい正ただし10年ねん（1513年ねん）の二に説せつがある。

永えい正ただし17年ねん（1520年ねん）、守護しゅご代だいの浦上うらかみ氏しとの対立たいりつに敗やぶれ、強制きょうせい隠居いんきょへ追おいやられた父ちちの義ぎ村むらから、僅わずか8歳さいで家督かとくを譲ゆずられる。その後ご、備前びぜん守護しゅご代だい・浦上うらかみ村宗むらむねへの再さい反攻はんこうに失敗しっぱいした父ちちを、翌よく大だい永ひさし元年がんねん（1521年ねん）9月がつに殺ころされている。山名やまな氏しの侵攻しんこうに対抗たいこうするため、一時いちじ的てきに村宗むらむねと手てを結むすんだこともあるが、山名やまな氏しの脅威きょういが去さると再ふたたび争あらそい、一時いちじは居城きょじょうの置おけ塩しお城じょうを追おわれ美作みさくの新庄しんじょう山城やましろへ避難ひなんを余儀よぎなくされたこともある。

享とおる禄ろく4年ねん（1531年ねん）、細川ほそかわ晴はる元もとと対立たいりつする管領かんりょう・細川ほそかわ高だか国こくを擁ようした浦上うらかみ村宗むらむねが摂津せっつ国こくへ侵攻しんこうすると、村宗むらむねたちの後詰ごづめとして参戦さんせんしたが、実じつは堺さかい公方くぼうの足利あしかが義よし維へ人質ひとじちを送おくって裏切うらぎりを確約かくやくしていた。

6月4日にち、神呪かんのう寺てらに布陣ふじんしていた晴はれ政まさしが晴はれ元方もとかたに内応ないおうして高こう国こく・村宗むらむね軍ぐんを背後はいごから攻撃こうげき。晴はれ元方もとかたからも挟撃きょうげきされた高こう国こく・村宗むらむね軍ぐんは壊滅かいめつし、村宗むらむねを戦死せんしさせ、高こう国こくも自害じがいへと追おい込こんだ（大物おおもの崩くずれ）。

これにより、ある程度ていどは実権じっけんを回復かいふくしたものの、村宗むらむねの子こである浦上うらかみ政まさし宗むねや浦上うらかみ宗景むねかげとの対立たいりつはその後ごも続つづき、天文てんもん3年ねん（1534年ねん）8月がつには朝日山あさひやま（姫路ひめじ市し）にて戦闘せんとうを繰くり広ひろげている。

さらに、天文てんもん6年ねん（1537年ねん）12月に始はじまる出雲いずも国こくの尼子あまこ詮かい久ひさし（後ごの尼子あまこ晴久はるひさ）に侵攻しんこうにより、対立たいりつしていた浦上うらかみ兄弟きょうだいは恭順きょうじゅんするも、晴はれ政まさしの領国りょうごくは混乱こんらんし、宍粟しそうの宇野うの村むら頼よりゆきが寝返ねがえる。

天文てんもん7年ねん（1538年ねん）7月がつには高砂たかさご城じょう（高砂たかさご市し）の梶原かじはら氏しを頼たよるも、寝返ねがえった小寺こでら則のり職しょく・明石あかし正風まさかぜらの攻撃こうげきを受うけ、淡路あわじ国こく郡家ぐげの田村たむら能登のと守まもるのもとへ逃亡とうぼうする。

天文てんもん8年ねん（1539年ねん）4月がつ8日にち、阿波あわ細川ほそかわ氏しの援助えんじょを取とり付つけた晴はれ政まさしは、明石あかしに上陸じょうりくして枝吉えだよし城しろを攻略こうりゃくしたが、最後さいごまで尼子あまご勢ぜいに抵抗ていこうしていた三木みき城しろの別所べっしょ氏しも内通ないつうしているとの噂うわさが流ながれ、11月25日にちに堺さかいの海うみ会かい寺てらへと落おち延のびた。

天文てんもん9年ねん（1540年ねん）から翌年よくねんにかけての尼子あまこ氏しの安芸あき国こく遠征えんせい失敗しっぱい（吉田よしだ郡ぐん山城やましろの戦たたかい）によって、播磨はりまから尼子あまこ氏しが撤退てったい。領国りょうごくの危機ききは去さったとはいえ、赤松あかまつ氏しの権威けんい失墜しっついまでは止とまらなかった。なお、将軍しょうぐん・足利あしかが義晴よしはるより「晴はれ」の字じを賜たまわり、晴はれ政まさし（はるまさ）と改名かいめいしたのはこの時期じきである。

天文てんもん21年ねん（1552年ねん）、尼子あまこ晴久はるひさが幕府ばくふから備前びぜん・美作みさく守護しゅご職しょくに任にんぜられた事ことで、晴はれ政まさしは守護しゅごとしての2国こくの権限けんげんを喪失そうしつする。残のこる播磨はりまでの主権しゅけんも浦上うらかみ氏しに奪うばわれ続つづけるなか、永えい禄ろく元年がんねん（1558年ねん）8月がつには小寺こでら政まさし職しょくが嫡子ちゃくし・義よし祐ゆうを擁立ようりつするクーデタを起おこし、娘むすめ婿むこの赤松あかまつ政秀まさひでの居城きょじょう・龍野たつの城じょうに逃のがれた。これにより赤松あかまつ氏し惣領そうりょう家かは分裂ぶんれつしてしまい、守護しゅご大名だいみょう赤松あかまつ家かは領主りょうしゅ層そうから推戴すいたいされる一いち地方ちほう権力けんりょくへと凋落ちょうらくしていったのである。

その後ごは、政秀まさひでの庇護ひごのもと播磨はりま北部ほくぶや美作みさくに勢力せいりょく基盤きばんを移うつし、毛利もうり氏しや在地ざいち領主りょうしゅ（嵯峨さが山さん氏し・広戸ひろと氏し・豊福とよふく氏しなど）らと連携れんけいして領国りょうごく経営けいえいを行おこなった晴はれ政まさしであったが、永えい禄ろく8年ねん（1565年ねん）1月がつ16日にちに死去しきょした。

墓所はかしょは姫路ひめじ市しの松まつ安寺あてら跡あとに存在そんざいする。

偏へん諱いみなを与あたえた人物じんぶつ

晴はれ政まさし時代じだい

• 赤松あかまつ政せい秀しゅう（従兄弟いとこ・娘むすめ婿むこ、宇野うの政秀まさひでとも）
• 宇野うの政せい頼よりゆき（→詳くわしくはこちら - archive.today（2013年ねん12月15日にちアーカイブ分ぶん）を参照さんしょう。）
• 浦上うらかみ政せい宗そう
• 小寺こでら政せい職しょく

参考さんこう文献ぶんけん

• 渡邊わたなべ大門だいもん『戦国せんごく期き赤松あかまつ氏しの研究けんきゅう』岩田いわた書院しょいん、2010年ねん。
• 渡邊わたなべ大門だいもん『中世ちゅうせい後期こうきの赤松あかまつ氏し―政治せいじ・史料しりょう・文化ぶんかの視点してんから―』日本にっぽん史し史料しりょう研究けんきゅう会かい、2011年ねん。
• 渡邊わたなべ大門だいもん「天文てんもん・永えい禄ろく年間ねんかんにおける赤松あかまつ氏しの権力けんりょく構造こうぞう」『戦国せんごく・織お豊ゆたか期きの西国さいこく社会しゃかい』日本にっぽん史し史料しりょう研究けんきゅう会かい、2012年ねん。

関連かんれん項目こうもく

• 細川ほそかわ政権せいけん (戦国せんごく時代じだい)
• 中嶋なかじまの戦たたかい
• 第だい一いち次じ枝吉えだよし城じょうの戦たたかい
• 赤松あかまつ氏し
• 置おけ塩しお城じょう
• 畿内きない・近国きんごくの戦国せんごく時代じだい