G-BOOK

G-BOOK（ジー・ブック）とは、かつてトヨタ自動車とよたじどうしゃが提供ていきょうしていたテレマティクスサービスである。レクサスが行おこなっているG-Linkとはサービス内容ないように違ちがいがあるもののほぼ同おなじシステムである。G-BOOKは一部いちぶのトヨタ車しゃのみに搭載とうさいされているが、G-Linkはすべてのレクサスの車種しゃしゅに搭載とうさいされる。

2022年ねん3月31日にちにサービスを終了しゅうりょうした。なお、トヨタは2014年ねん7月がつより新あたらしいテレマティクスサービスとして「T-Connect」（ティーコネクト）を展開てんかいしている。

概要がいよう

トヨタ自動車とよたじどうしゃのGAZOO事業じぎょう部ぶ（現在げんざいのe-TOYOTA部ぶ）が中心ちゅうしんとなり、デンソー、ガズーメディアサービス（現げん・トヨタコネクティッド）、トヨタコミュニケーションシステム（現げん・トヨタシステムズ）、富士通ふじつう、アイシンAW（現げん・アイシン）などが開発かいはつした。

ネットワークへの接続せつぞくはDCMと呼よばれる専用せんようの無線むせん機き、もしくは携帯けいたい電話でんわを用もちいる。ただし、ネットワーク構造こうぞう的てきにはダイヤルアップPPPを用もちいた独自どくじMVNOへの接続せつぞくとなっており、インターネットを介かいした接続せつぞくではなく、また内部ないぶ的てきに制限せいげんが設もうけられており、ユーザーがインターネット上じょうの任意にんいのウェブサイトに接続せつぞくすることはできない。カーナビゲーションシステム、GPS と連動れんどうしてサービスを提供ていきょうする。運転うんてん中ちゅうの利用りようを考慮こうりょし、端末たんまつでの読よみ上あげ機能きのうが備そなわる。また、インターネット上じょうのサイトも用意よういされており、車くるまを使用しようしていないときでもWebから利用りようできるようになっている。

操作そうさ画面がめんを通つうじたコンテンツの閲覧えつらんに主眼しゅがんをおいており、タウン情報じょうほうの検索けんさくなどを行おこなうことができる。また、MIDI再生さいせいによるカラオケ機能きのうも搭載とうさいしている。ただし走行そうこう中ちゅうはこれら画面がめん上じょうの表示ひょうじは大幅おおはばに制限せいげんされる。

走行そうこう中ちゅうの利用りように主眼しゅがんを置おき、渋滞じゅうたい予測よそくなどの機能きのうを持もった本田技研工業ほんだぎけんこうぎょうのインターナビに大おおきく出遅でおくれたため、その機能きのうを追加ついかしたG-BOOK ALPHA（ジー・ブック アルファ）を開始かいし、さらに無料むりょうプランも追加ついかし巻まき返かえしを図はかった。また、後のちにALPHAをさらに発展はってんさせたG-BOOK mX（ジー・ブック エムエックス）サービスも開始かいしされた。

元々もともとは1998年ねん4月がつにスタートした携帯けいたい電話でんわとメーカーオプションナビによる情報じょうほう通信つうしんサービス「MONET（モネ）」が発端ほったんだった。しかし、クラウンやセルシオといった高級こうきゅう車しゃにしか設定せっていがなかったことと、第だい二に世代せだい携帯けいたい電話でんわでの利用りようを前提ぜんていとしていたことで容量ようりょうの限界げんかいが生しょうじたため、新規しんきに規格きかくを作つくり直なおすこととなった。MONETサービスでは任意にんいのインターネットサイトに接続せつぞくすることができるなど細部さいぶが異ことなっている。その後ご2005年ねん12月がつをもってMONETはサービスを終了しゅうりょうし、MONETの接続せつぞくユニットは携帯けいたい電話でんわのハンズブリー装置そうちとしてしか利用りようできない場合ばあいが多おおい。なおMONETの名なはソフトバンクとの合弁ごうべん会社かいしゃとして立たち上あげられた「MONET Technologies」として復活ふっかつを遂とげている。

機能きのう

ニュースなどの情報じょうほうや、現在げんざい位置いち付近ふきんの観光かんこう情報じょうほうや渋滞じゅうたい情報じょうほう、天気てんき予報よほうなども運転うんてん中ちゅうに得えることができる。パソコンなどで目的もくてき地ちを検索けんさく・設定せっていを行おこない、それをカーナビゲーションで受信じゅしんして設定せっていする機能きのうもある。搭載とうさいされた自動車じどうしゃの現在げんざい位置いちがカーナビゲーションのGPSにより把握はあくできるので、トラブル時じの救援きゅうえんや、盗難とうなんに遭あった場合ばあいの追跡ついせきが可能かのう。カーナビゲーションのハンズフリー通話つうわ機能きのうを利用りようしてオペレータと通話つうわし、情報じょうほうの検索けんさくや目的もくてき地ちの設定せっていを依頼いらいすることもできる（搭載とうさい車種しゃしゅによりサービス内容ないようは異ことなる）。

他たに専用せんようの電子でんしメールアドレスが付与ふよされメールの送受信そうじゅしんを行おこなうことも可能かのう。またプロバイダなどの外部がいぶサーバのメールも送受信そうじゅしんできる。ただし電子でんしメールクライアントが搭載とうさいされている訳わけではなく、Webメール形式けいしきでメールの送受信そうじゅしんを行おこなう。

G-BOOK ALPHA、G-BOOK ALPHA Proではセンターより渋滞じゅうたい予測よそく情報じょうほうを取得しゅとくし、それを利用りようした道案内みちあんないをする機能きのうなどが追加ついかされた。さらにG-BOOK mX、G-BOOK mX Proでは最新さいしん地図ちずデータを一定いってい期間きかん無料むりょうで更新こうしんできるサービス「マップオンデマンド」などが追加ついかされた。

T-Connectではデータは「トヨタスマートセンター」と呼よばれるクラウドサービスへと送おくられた上うえで自動じどう音声おんせいガイダンスで案内あんないされ、さらに道路どうろ状況じょうきょうや燃料ねんりょう残ざん量りょうなどを考慮こうりょした案内あんないを行おこなう「先読さきよみ情報じょうほうサービス」を開始かいし。さらにスマートフォンで使用しようするアプリケーションソフトも用意よういし、専用せんようナビとの連動れんどうで目的もくてき地ち近辺きんぺんの駐車ちゅうしゃ場じょう到着とうちゃく後ごから最終さいしゅう目的もくてき地ちへの徒歩とほ移動いどうを案内あんないする「ラストワンマイル」も行おこなう。

採用さいようメーカー

サービス提供ていきょう元もとのトヨタ以外いがいでも、ダイハツ工業だいはつこうぎょう、富士重工業ふじじゅうこうぎょう、マツダでもG-BOOKサービスが提供ていきょうされている。トヨタは2003年ねん9月がつ3日にち付づけで三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうともサービス提供ていきょうで提携ていけいしたが、2005年ねん7月がつ15日にち付づけで提携ていけいを凍結とうけつ。また、サービスの一ひとつであるマップオンデマンドに関かんしては富士通ふじつうテンのカーナビ「ECLIPSE」でも採用さいようされている。

問題もんだい点てん

G-BOOKは登場とうじょうから10年ねん程ほど経過けいかしているサービスであり、陳腐ちんぷ化かしている。そのため、2010年代ねんだい以降いこうに普及ふきゅうした多おおくのスマートフォンや大半たいはんの携帯けいたい電話でんわ料金りょうきんサービスでは使用しようが出来できず、接続せつぞく手段しゅだんは限かぎられている。

後述こうじゅつするDCMを搭載とうさいしない車両しゃりょうの場合ばあい、Bluetoothを用もちいて携帯けいたい電話でんわの無線むせんネットワークを介かいして接続せつぞくを行おこなう必要ひつようがあるが、BluetoothのDUN（Dial Up Netowork）プロファイルを使用しようするため、iPhoneを始はじめとする2014年ねん現在げんざいの大半たいはんのスマートフォンは使用しようできない。

現代げんだいのスマートフォンの多おおくはPAN（Personal Area Network）プロファイルを用もちいて他たの機器ききと接続せつぞくするため、旧来きゅうらいの方法ほうほうであるDUNプロファイルは実装じっそうしておらず、富士通ふじつうなど一部いちぶのメーカーを除のぞいては、今後こんごも実装じっそうされる可能かのう性せいは低ひくい。また、アプリケーション等とうでDUNプロファイルを使用しよう可能かのうとしたとしても、スマートフォン向むけパケットサービスではDUNの定額ていがく料金りょうきんサービスを対象たいしょう外がいとしている事ことが多おおく（SoftBank・auなど）、実質じっしつ的てきにスマートフォンでG-Bookを利用りようすることはほぼ不可能ふかのうである。

システムの根本こんぽん的てきな原理げんりは、携帯けいたい電話でんわ網もう（インターネットではない）を利用りようして独自どくじAPNへダイヤルアップし、インターネットへは独自どくじサーバ上じょうで内部ないぶ接続せつぞくされる仕組しくみとなっているMVNOのため、携帯けいたい電話でんわで接続せつぞくしている最中さいちゅうは着信ちゃくしんができなくなる。またインターネットへ直接ちょくせつ接続せつぞくするわけではないため、インターネットへの直接ちょくせつ接続せつぞくを行おこなうスマートフォンのテザリング機能きのうを介かいした接続せつぞくも行おこなえない。独自どくじのMVNOであるため他たのMVNOを使つかった接続せつぞくにも対応たいおうしておらず、MNO（国内こくないではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスのみ）と直接ちょくせつ契約けいやくしている端末たんまつでのみ使用しよう可能かのうという制限せいげんもある。

2014年ねん8月がつ1日にち発売はつばいのT-Connectナビでは、G-BOOKでは難むずかしかったスマートフォンを経由けいゆした通信つうしんが可能かのうとなり、上記じょうきの問題もんだいは解消かいしょうされている。

DCMは一部いちぶのディーラーオプション製品せいひんを除のぞき、新車しんしゃ購入こうにゅう時じもしくはナビゲーションシステムの購入こうにゅう時じに同時どうじ購入こうにゅうしない限かぎり、後こう付づけできないことがほとんどであり、注意ちゅういが必要ひつようである。

サービス終了しゅうりょう日び

• 2019年ねん2月がつ28日にち：「MAZDA G-BOOK ALPHA」
• 2019年ねん3月31日にち：「G-BOOK」
• 2022年ねん3月31日にち：「G-BOOK ALPHA」「G-BOOK mX」「G-BOOK ALPHA Pro」「G-BOOK mX Pro」

DCM

Data Communication Moduleの略りゃくである。携帯けいたい電話でんわの無線むせんネットワークに接続せつぞくして無線むせん通信つうしんを行おこなう装置そうちである。DCMの製造せいぞう者しゃはデンソー。

G-BOOK専用せんようDCMはデでータ通信たつうしんにKDDI／沖縄おきなわセルラー電話でんわのauブランドと共通きょうつうのCDMA2000 1x（CDMA 1X、現げん・au 3G）方式ほうしきもしくはcdmaOne方式ほうしきを使用しようしており、最大さいだい144kbpsでのデータ受信じゅしんが可能かのうである。

G-BOOK ALPHA Pro専用せんようDCMでは、同様どうようにCDMA2000 1xEV-DO（CDMA 1X WIN、現げん・au 3G）方式ほうしきにより最大さいだい2.4Mbpsのデータ受信じゅしんが可能かのうとなっており、DCMでの通信つうしんを使用しようしたハンズフリー通話つうわに対応たいおうしている。

G-BOOK mX Pro専用せんようDCMは、標準ひょうじゅん装備そうび・メーカーオプション及および'08～10年ねんモデルの販売はんばい店てん装着そうちゃくオプション品ひんはG-BOOK ALPHA Pro専用せんようDCMと同様どうようにCDMA-20001xEV-DO（au）方式ほうしきにより、上のぼり144kbps下くだり2.4Mbpsのデータの送受信そうじゅしんが可能かのう。2011年ねんモデル以降いこうではW-CDMA HSPA（ドコモ）方式ほうしきにより、上のぼり5.7Mbps下くだり7.2Mbpsのデータの送受信そうじゅしんが可能かのう。

T-Connect専用せんようDCMは基本きほん的てきに2011年ねんモデル以降いこうのDCMと共通きょうつう。

搭載とうさい車種しゃしゅによっては、DCM自体じたいにGPS受信じゅしん機能きのうを搭載とうさいしており、盗難とうなん時じの搭載とうさい機き追跡ついせきや、エアバッグの展開てんかいと連動れんどうして発生はっせい地点ちてんの緊急きんきゅう通知つうちを行おこなう機能きのうなどを備そなえている。これはエアバッグが展開てんかいするような事故じこが発生はっせいした際さい、カーナビゲーションのGPS機能きのうが常つねに使用しようできるとは限かぎらないためである。

DCMユニット認証にんしょう情報じょうほう

• OGTT01 デでータ通信たつうしんモジュール（デンソー製造せいぞう）
  • 2001年ねん11月20日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう （TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 01XZAB1003）
  • 2001年ねん11月がつ20日はつか - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていの設計せっけい認証にんしょう（JATE実施じっし）（認証にんしょう番号ばんごう A01-1042JP）

• OGTT01（同上どうじょう）
  • 2004年ねん10月がつ20日はつか - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAB1001）

• OGTT02 デでータ通信たつうしん無線むせん機き（同上どうじょう）
  • 2002年ねん11月26日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1037）
  • 2003年ねん2月がつ10日とおか - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていの設計せっけい認証にんしょう（JATE実施じっし）（認証にんしょう番号ばんごう A03-0036JP）
  • 2003年ねん12月29日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1094）
  • 2004年ねん10月14日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（同上どうじょう）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1129）

• OGTT03 デでータ通信たつうしん無線むせん機き（同上どうじょう）
  • 2003年ねん7月がつ3日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1069）
  • 2003年ねん8月がつ1日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていの設計せっけい認証にんしょう（JATE実施じっし）（認証にんしょう番号ばんごう A03-0036JP）
  • 2003年ねん12月29日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1095）

• OGTT04 デでータ通信たつうしん無線むせん機き（同上どうじょう）
  • 2004年ねん2月がつ18日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1100、001NXAA1012）
  • 2005年ねん1月がつ4日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていの設計せっけい認証にんしょう（JATE実施じっし）（認証にんしょう番号ばんごう AD04-0679001）
  • 2005年ねん7月がつ11日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAA1168、001NXAA1050）

• OGTT05 デでータ通信たつうしん無線むせん機き（同上どうじょう）
  • 2005年ねん6月7日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいの工事こうじ設計せっけい認証にんしょう（TELEC実施じっし）（工事こうじ設計せっけい認証にんしょう番号ばんごう 001XZAB1102、001NXAB1001）
  • 2005年ねん6月8日にち - 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていの設計せっけい認証にんしょう（JATE実施じっし）（認証にんしょう番号ばんごう AD05-0233001）

注ちゅう TELECはテレコムエンジニアリングセンター、JATEは電気でんき通信つうしん端末たんまつ機器きき審査しんさ協会きょうかいの略称りゃくしょう

関連かんれん項目こうもく

• トヨタケータイ TiMO W44T II
• T003
• PiPit

脚注きゃくちゅう

外部がいぶリンク

• G-BOOK
• G-Link
• トヨタのコネクティッドサービス