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2024ねん5がつ8にち (水)すい 14:14時点じてんにおける最新さいしんばん

麻痺まひ
概要がいよう
診療しんりょう 神経しんけいがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 G72.3
MeSH D010243

麻痺まひ(まひ、痲痹とも)とは、一般いっぱんてきには、四肢ししなどが完全かんぜん機能きのう喪失そうしつしていることや、感覚かんかくにぶって、もしくは完全かんぜんうしなわれた状態じょうたいす。比喩ひゆてき使つかわれることもおおく、「金銭きんせん感覚かんかく麻痺まひする」「交通こうつう麻痺まひ(=極度きょくど交通こうつう渋滞じゅうたい災害さいがいとうにより、道路どうろ機能きのううしなわれること)」などの用例ようれいがある。

医学いがく用語ようごとしての麻痺まひは、中枢ちゅうすう神経しんけいあるいは末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいにより、身体しんたい機能きのう一部いちぶそこなわれる状態じょうたいをさす。たとえば運動うんどうしようとしても、四肢ししなどに十分じゅうぶんちからはいらない・四肢しし感覚かんかくにぶかんじる状態じょうたい不全ふぜん麻痺まひ)、またはまったくうごかすことができない・感覚かんかくがまったくかんじられない状態じょうたい完全かんぜん麻痺まひ)をし、一般いっぱん用語ようご不随ふずいちか意味いみつ。麻痺まひには、運動うんどう神経しんけい障害しょうがいされる運動うんどう麻痺まひと、感覚かんかく神経しんけい障害しょうがいされる感覚かんかく麻痺まひ知覚ちかく麻痺まひ)がある。また中枢ちゅうすう障害しょうがいされる中枢ちゅうすうせい麻痺まひ末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいされる末梢まっしょうせい麻痺まひ分類ぶんるいされる。狭義きょうぎ意味いみ麻痺まひりょう下肢かしのみの運動うんどう麻痺まひこすたい麻痺まひたいし、四肢しし麻痺まひばれる。

運動うんどう麻痺まひ[編集へんしゅう]

診断しんだんがくにおいては麻痺まひ(paralysis)とは運動うんどう障害しょうがいであり、感覚かんかく障害しょうがいしめ言葉ことばではないとかんがえられている。しかし、書物しょもつにより定義ていぎ一定いっていしておらず、混乱こんらんけるため、運動うんどう麻痺まひあるいは運動うんどう障害しょうがいといった言葉ことばもちいることがおおい。ここでは診断しんだんがくにおけるparalysis、すなわち運動うんどう麻痺まひかんしてべる。なお、運動うんどう機能きのうには随意ずいい運動うんどう随意ずいい運動うんどう協調きょうちょう運動うんどうられているが運動うんどう麻痺まひといった場合ばあい随意ずいい運動うんどう機能きのう障害しょうがいかんがえられている。

運動うんどう麻痺まひには程度ていど分布ぶんぷによる分類ぶんるいられている。完全かんぜん麻痺まひ(paralysis)は骨格こっかくすじ随意ずいい運動うんどう完全かんぜん喪失そうしつした状態じょうたいしめす。不全ふぜん麻痺まひ(paresis)は運動うんどう麻痺まひ分布ぶんぷ部分ぶぶんてきであったり、運動うんどう麻痺まひ程度ていど不完全ふかんぜん状態じょうたいしめす。分布ぶんぷではたん麻痺まひ(monoplegia)は四肢ししのうちいちのみの運動うんどう麻痺まひである。かた麻痺まひ(hemiplegia)は身体しんたいいちがわ限局げんきょくする運動うんどう麻痺まひであり、運動うんどう麻痺まひ頻度ひんどとしてはもっとおおい。神経しんけい診断しんだんがくとして重要じゅうようかた麻痺まひに、交代こうたいせいかた麻痺まひ交叉こうさせいかた麻痺まひがある。交代こうたいせいかた麻痺まひ(alternating hemiplegia)とはたいがわ脳神経のうしんけい麻痺まひともな片側かたがわ上下じょうげ麻痺まひである。これは脳幹のうかん病変びょうへん存在そんざい示唆しさする。大脳だいのう内包ないほう視床ししょうなどが障害しょうがいされた場合ばあい脳神経のうしんけい麻痺まひがわ四肢しし麻痺まひがわどうがわとなるため、重要じゅうよう所見しょけんである。交叉こうさせいかた麻痺まひ(crossed hemiplegia)はいちがわ上肢じょうし麻痺まひたいがわ下肢かし麻痺まひのことでありこれは延髄えんずい下部かぶきりたい交叉こうさ病変びょうへん所見しょけんかんがえられている。頻度ひんどとしては非常ひじょうすくない。たい麻痺まひ(paraplegia)はりょう下肢かし運動うんどう麻痺まひであり、脊髄せきずい大脳だいのう中心ちゅうしん前回ぜんかい正中せいちゅう占拠せんきょせい病変びょうへんなどでこる。四肢しし麻痺まひ(quadriplegiaまたはtetraplegia)は両側りょうがわ上下じょうげ運動うんどう麻痺まひである。またりょう麻痺まひ(diplegia)という言葉ことばもあり、四肢しし麻痺まひのうち下肢かし麻痺まひつよいものとされているがあまり使つかわない。

運動うんどう麻痺まひきるメカニズム[編集へんしゅう]

運動うんどう麻痺まひ随意ずいい運動うんどう障害しょうがいかんがえると、随意ずいい運動うんどう経路けいろである皮質ひしつ脊髄せきずい、すなわちきりからだ理解りかいするとメカニズムの説明せつめいができる。大脳だいのう中心ちゅうしん前回ぜんかいいち運動うんどう)に存在そんざいする神経しんけい細胞さいぼう興奮こうふんすることで随意ずいい運動うんどうははじまるとかんがえられている。1ニューロンのじくさく放線ほうせんかんむり内包ないほうあしちゅうのう大脳だいのうあし通過つうかする。延髄えんずい下部かぶ存在そんざいするきりたい交叉こうさにて左右さゆう線維せんい交叉こうさし、脊髄せきずいにて2ニューロンにシナプスチャンジし、ぜんかく細胞さいぼう興奮こうふんさせる。1ニューロンを上位じょうい運動うんどうニューロンといい、2ニューロンを下位かい運動うんどうニューロンαあるふぁ線維せんい)という。下位かい運動うんどうニューロンは末梢まっしょう神経しんけいとして感覚かんかく線維せんい併走へいそう神経しんけいすじ接合せつごういたり、すじ線維せんい興奮こうふんさせる。この経路けいろのどこかが障害しょうがいされれば運動うんどう麻痺まひこりえる。神経しんけい診断しんだんがくでは問診もんしん身体しんたい所見しょけんによって障害しょうがい部位ぶい決定けっていできるとかんがえている。感覚かんかく障害しょうがいなどの随伴ずいはん症状しょうじょう身体しんたい所見しょけんにて障害しょうがい部位ぶいしぼみ、画像がぞう検査けんさにて確認かくにんおこなう。障害しょうがい部位ぶい予測よそくなしに画像がぞう検査けんさおこなうと非特異ひとくいてき変化へんかとの区別くべつ困難こんなん疾患しっかんおおい。神経しんけいすじ接合せつごう作用さようして、神経しんけいから筋繊維きんせんいへの神経しんけい伝達でんたつ阻害そがいするのがすじ弛緩しかんやくであり、その結果けっかられる作用さようすじ弛緩しかんばれるが、英語えいごではparalysis(日本語にほんごではたんなる麻痺まひ意味いみする)と記載きさいされることがすくなくない[1]

上位じょうい運動うんどうニューロン 下位かい運動うんどうニューロン 神経しんけいすじ接合せつごう 筋肉きんにく
すじ萎縮いしゅく みとめない とおくらいすじ優位ゆうい みとめない きんすじ優位ゆうい
すじトーヌス 亢進こうしん(痙性麻痺まひ 低下ていか弛緩しかんせい麻痺まひ 正常せいじょうから低下ていか 正常せいじょうから低下ていか
深部しんぶけん反射はんしゃ 亢進こうしん 低下ていかから消失しょうしつ 低下ていかから消失しょうしつ 低下ていか
病的びょうてき反射はんしゃ みとめる みとめない みとめない みとめない
すじ線維せんいたばせい収縮しゅうしゅく みとめない みとめる みとめない みとめる
はりすじでん 正常せいじょう 神経しんけい伝導でんどう速度そくど 正常せいじょう すじばらせい
神経しんけい伝導でんどう速度そくど 正常せいじょう 低下ていか 正常せいじょう 正常せいじょう
反復はんぷく刺激しげき誘発ゆうはつすじでん 正常せいじょう 正常せいじょう 異常いじょう 正常せいじょう
テンシロンテスト 陰性いんせい 陰性いんせい 陽性ようせい 陰性いんせい

通常つうじょう障害しょうがい部位ぶいは1かしょかんがえ、診断しんだんすすめていく。上位じょういニューロン障害しょうがいではのう血管けっかん障害しょうがい下位かい運動うんどうニューロン障害しょうがいでは頸椎しょう頻度ひんどたかい。上位じょうい運動うんどうニューロン障害しょうがいでは脳神経のうしんけい外科げか神経しんけい内科ないか下位かい運動うんどうニューロン障害しょうがいすじ疾患しっかんでは整形せいけい外科げか神経しんけい内科ないか専門せんもんとする診療しんりょうことなる。なお、上位じょうい運動うんどうニューロン障害しょうがい下位かい運動うんどうニューロン障害しょうがい混在こんざいする疾患しっかんとしてすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうなどがあげられる。神経しんけい診断しんだんがくをすべておこなうと非常ひじょう専門せんもんてきとなるため、救急きゅうきゅうしつでは病歴びょうれきからのう血管けっかん障害しょうがいうたがわれた場合ばあいは痙性運動うんどう麻痺まひけん反射はんしゃ亢進こうしんおもてざい反射はんしゃ消失しょうしつ病的びょうてき反射はんしゃバビンスキー反射はんしゃ、チャドック反射はんしゃ)の出現しゅつげんひざクローヌス(間代まだい)、あしクローヌスといったきりからだ徴候ちょうこうのみ診察しんさつし、頭部とうぶCTにて出血しゅっけつ評価ひょうか出血しゅっけつがみられなければ頭部とうぶMRI(とくに拡散かくさん強調きょうちょう画像がぞう)といった手順てじゅんおこなう。というのは脳出血のうしゅっけつならば緊急きんきゅう手術しゅじゅつ適応てきおう評価ひょうかのう梗塞こうそくならば血栓けっせん溶解ようかい療法りょうほう適応てきおうなど緊急きんきゅうようする選択せんたくをしなければならないからである。

脳神経のうしんけい運動うんどう線維せんいふくみ、麻痺まひこりる。脳神経のうしんけい分類ぶんるいがくじょう末梢まっしょう神経しんけいであり視神経ししんけい神経しんけい以外いがいは、支持しじ細胞さいぼうシュワン細胞さいぼうである。顔面がんめん神経しんけい麻痺まひがマネジメントとして非常ひじょう重要じゅうようである。のう血管けっかん障害しょうがいによるもの以外いがいでは顔面がんめん神経しんけい麻痺まひ原因げんいんとしてはベル麻痺まひおおい。ベル麻痺まひは29%に後遺症こういしょうのこり、致死ちしてきではないものの機能きのうはよいとはえない。口角こうかくがり、みずむとこぼしてしまい、とき眼瞼がんけんじることができないなど非常ひじょう機能きのうわるい。ストレスが発生はっせい関与かんよしており、春先はるさき非常ひじょうおおい。原因げんいんとしてはヘルペスウイルス関与かんよかんがえられており、こうウイルスやくステロイド使用しようによって後遺症こういしょうのこすリスクを軽減けいげんできることがられている、そのため救急きゅうきゅうしつでもこれらのくすり処方しょほうができることがのぞましく、不慣ふなれならば翌日よくじつ耳鼻じび受診じゅしんうながすような配慮はいりょのぞましいとかんがえられている。

運動うんどう麻痺まひ臨床りんしょう解剖かいぼうがく[編集へんしゅう]

運動うんどう麻痺まひ大脳皮質だいのうひしつ[編集へんしゅう]

運動うんどう小人こども感覚かんかく小人こども

骨格こっかくすじ随意ずいい運動うんどう発動はつどうする運動うんどう細胞さいぼう分布ぶんぷする大脳だいのう運動うんどう皮質ひしつ運動うんどう)はブロードマン4ばれ、中心ちゅうしん前回ぜんかいのほぼ後半こうはん中心ちゅうしんはたしょう前半ぜんはんめている。かく身体しんたい部位ぶい対応たいおうするからだせい機能きのう局在きょくざい(somatotopy)がある。運動うんどう代表だいひょうするベッツ細胞さいぼう巨大きょだいきりたい細胞さいぼう)はこの4だい5そうにある。 運動うんどう皮質ひしつからだせい機能きのう局在きょくざいは1901ねんDeijerine臨床りんしょう病理びょうり所見しょけんもとづき記述きじゅつされた。1952ねんPenfieldらはのう手術しゅじゅつちゅう局所きょくしょ麻酔ますい大脳皮質だいのうひしつからだせい運動うんどう中心ちゅうしん前回ぜんかい、ブロードマン4)を電気でんき刺激しげきし、反対はんたいがわ身体しんたいしょうじる運動うんどう痙攣けいれん局在きょくざい詳細しょうさい検討けんとうたいせい機能きのう局在きょくざい小人こどもあいだぞう(homunculus、ホムンクルス)として作成さくせいした。 大脳だいのう運動うんどう皮質ひしつ中心ちゅうしん前回ぜんかい)では大脳だいのうきれ(シルビウスきれ)にせっするべんぶたから円錐えんすい頂上ちょうじょうたっし、さらに内側うちがわじょうめん中心ちゅうしんはたしょう)にいたるまで、くち顔面がんめん上肢じょうしからだみき下肢かしじゅんからだせい機能きのう局在きょくざい存在そんざいし、身体しんたい逆立さかだじょう配列はいれつされている。

  • 下肢かしはRolando皮質ひしつ上方かみがたにあり、円蓋えんがい中心ちゅうしん前回ぜんかいさい上部じょうぶから大脳だいのう半球はんきゅうない側面そくめんじょうめん)の中心ちゅうしんはたしょうにかけて位置いちしている。
  • 下肢かしつづからだ幹部かんぶ相対そうたいてきせまい。
  • 下肢かしからだみきくらべてとくははゆびおおきく円蓋えんがい中央ちゅうおうめている。
  • ははゆびつづいてしめせゆび中指なかゆび薬指くすりゆび小指こゆびそしてじゅん上方かみがたならんでいる。各々おのおのゆびからだせい機能きのう局在きょくざい独立どくりつしているようであるが、たがいにかさなりあい存在そんざいしているというせつもある。
  • 顔面がんめんおおきな部位ぶいめている。

また運動うんどう麻痺まひ症候しょうこう大脳皮質だいのうひしつ関連かんれん下記かきのようにまとめることができる。

たん麻痺まひ

上肢じょうし下肢かしなかいち運動うんどう麻痺まひたん麻痺まひという。たん麻痺まひ末梢まっしょう神経しんけいけい病変びょうへんでしばしばみられる(神経しんけいくさむら病変びょうへん末梢まっしょう神経しんけい病変びょうへん)。その一方いっぽう大脳皮質だいのうひしつ病変びょうへんでもたん麻痺まひていすることがある。その分布ぶんぷ形式けいしき一見いっけん末梢まっしょう神経しんけい麻痺まひ分布ぶんぷることからにせせい末梢まっしょう神経しんけいがた麻痺まひとよばれる。このような現象げんしょうがみられるのは運動うんどう皮質ひしつ前述ぜんじゅつからだせい機能きのうがあるためである。

上肢じょうし運動うんどう麻痺まひ

大脳だいのう運動うんどうからだせい機能きのう局在きょくざいなか手指しゅしめる範囲はんいおおきいため、限局げんきょくせい大脳だいのう運動うんどう皮質ひしつ病変びょうへん上肢じょうしたん麻痺まひ、あるいはしゃくこつ神経しんけい麻痺まひ橈骨神経しんけい麻痺まひ正中せいちゅう神経しんけい麻痺まひなど末梢まっしょう神経しんけい病変びょうへんおもわせることがある。そのような皮質ひしつせい運動うんどう麻痺まひなか末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい類似るいじかたていするものはにせせい末梢まっしょう神経しんけいがた皮質ひしつせい運動うんどう麻痺まひばれる。この皮質ひしつせい運動うんどう麻痺まひでは、麻痺まひ目立めだたないゆびでも1ほん、1ほん分離ぶんり運動うんどうがうまくできず連合れんごう運動うんどうしょうじ、微細びさい運動うんどうがしにくい。通常つうじょう麻痺まひすじすじ委縮いしゅくがみられないという特徴とくちょうがある。

ゆび運動うんどう麻痺まひ

限局げんきょくせい大脳だいのう運動うんどう皮質ひしつしょう病変びょうへんにより、あるいは手指しゅしのみに限局げんきょくした運動うんどう麻痺まひたいして、isokated hand palsyなどとばれ、様々さまざま運動うんどう麻痺まひだい1ゆびのみの麻痺まひだい2ゆびのみの麻痺まひ手指しゅし全体ぜんたい麻痺まひなど)が報告ほうこくされている。大脳だいのう運動うんどう皮質ひしつからだせい局在きょくざいのうち相当そうとうする皮質ひしつ部位ぶい同定どうてい頭部とうぶMRIで可能かのうであるとの報告ほうこくがあり、臨床りんしょうてき活用かつようされている。運動うんどう部位ぶいはprecentral knobとばれている。

下肢かし運動うんどう麻痺まひ

大脳だいのう運動うんどうからだせい機能きのう局在きょくざいなか下肢かしめる範囲はんい相対そうたいてきちいさいが大脳だいのう半球はんきゅうない側面そくめん中心ちゅうしんはたしょう限局げんきょくせい大脳皮質だいのうひしつ病変びょうへんで、そう腓骨ひこつすじ麻痺まひおもわせるにせせい末梢まっしょう神経しんけいがた麻痺まひていしたり、下肢かしたん麻痺まひ下肢かしとおくらい優位ゆうい麻痺まひていすることがある。さらには病変びょうへん両側りょうがわ半球はんきゅうおよんで、りょう下肢かし麻痺まひたい麻痺まひ)をきたすことがある、

特異とくい運動うんどう麻痺まひ

運動うんどう皮質ひしつおか病変びょうへんおおくは動脈どうみゃく梗塞こうそくせい病変びょうへん腫瘍しゅようせい病変びょうへんでその麻痺まひ分布ぶんぷは、上肢じょうしでも下肢かしでもきんよりとおくらいつよおかされる。これにたいし、のう静脈じょうみゃく血栓けっせんしょう(Roland静脈じょうみゃく閉塞へいそく)による運動うんどう麻痺まひ分布ぶんぷとおくらいよりきんつよおかされる(Merwarth症候群しょうこうぐん)。

運動うんどう麻痺まひ脊髄せきずいずいぶし神経しんけい[編集へんしゅう]

脊髄せきずい各々おのおの神経しんけいたかさにおうじて31のずいぶしけられる。内訳うちわけだい1〜8頸髄(C1〜C8)、だい1〜12むねずい(T1〜T12)、だい1〜5こしずい(L1〜L5)、だい1〜5せんずい(S1〜S5)およびずい(Co)である。各々おのおのずいぶし一定いってい部位ぶい筋肉きんにく支配しはいしており、ずいぶしぜんかく)から神経しんけいぜん)がて、しいあいだあなから脊柱せきちゅうかんそとぜんえだこうえだかれる。しいあいだあなるまでが神経しんけいであり、そこからぶんえだするぜんえだこうえだ末梢まっしょう神経しんけいぞくする。脊髄せきずい脊柱せきちゅうかんなかにあり、上方かみがた延髄えんずいきりたい交叉こうさ下端かたんからはじまり、下方かほう脊髄せきずい円錐えんすいになり、だい1〜だい2腰椎ようついレベルのたかさでわる。脊髄せきずい脊椎せきついはしら)、神経しんけい発生はっせいがくてき分節ぶんせつ構造こうぞうをなし、神経しんけいはそれに相応そうおうする脊髄せきずいずいぶしからて、上下じょうげ脊椎せきついあいだ脊椎せきついあいだあな)をとおって脊柱せきちゅうかんそとる。しかし頸髄と頚椎けいついとは同数どうすうでないため、だい1〜だい7頸神経しんけいはそれぞれ対応たいおうする脊椎せきついうえしいあいだあなからるがだい8頚椎けいつい神経しんけいだい7頚椎けいついだい1胸椎きょうついあいだしいあいだあなからる。それ以下いか神経しんけいはそれぞれの対応たいおうする脊椎せきついしたしいあいだあなからる。脊椎せきつい脊髄せきずい発育はついく均衡きんこう結果けっかとして相対そうたいてき脊髄せきずい脊椎せきついよりもみじかく(脊髄せきずい最下さいかはし脊椎せきついL1のたかさ)、かくずいぶししいたいたかさにずれがしょうじる。このことはXせん撮影さつえいやMRIでのしいたいたかさからずいぶしたかさを決定けっていするじょう重要じゅうようでその対比たいひひょうしめす。

脊髄せきずい 脊椎せきつい 支配しはいすじ 対応たいおうする検査けんさ デルマトーム
C1 C1/2
C2 C2 後頭部こうとうぶ
C3 C2/3   みみかい
C4 C3/4 横隔膜おうかくまく 呼吸こきゅう不全ふぜん有無うむ 頸部、かた上部じょうぶ
C5 C4 三角さんかくすじとげうえすじとげすじ上腕じょうわんとうすじ かた関節かんせつそとてんひじ関節かんせつ屈曲くっきょく かた下部かぶ上腕じょうわん外側そとがわ
C6 C4/5 うでたわわこつすじ、橈側しゅしんすじ 関節かんせつこごめ 前腕ぜんわん外側そとがわははゆびしめせゆび
C7 C5/6 上腕じょうわんさんとうすじ手指しゅししんすじ手指しゅしこごめすじ 関節かんせつてのひらこごめ手指しゅし伸展しんてん 中指なかゆび
C8 C6/7 手指しゅしこごめすじ 手指しゅし屈曲くっきょく 薬指くすりゆび小指こゆび
T1 C7/T1 手指しゅしがいてんすじぐん 小指こゆびそとてん 前腕ぜんわん内側うちがわ
T2 T1 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん 上腕じょうわん内側うちがわうえ胸部きょうぶ
T3 T2 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T4 T3 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん 乳首ちくび
T5 T4 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T6 T5 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T7 T6 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T8 T7 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T9 T8 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T10 T9 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん ほぞ
T11 T10 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
T12 T10/11 肋間ろっかんすじ腹筋ふっきん
L1 T11 ちょうこしすじ   鼠径そけい
L2 T11/12 ちょうこしすじ大腿だいたいよんとうすじ股関節こかんせつないてんすじぐん 股関節こかんせつ屈曲くっきょく(L1〜3) 大腿だいたい内側うちがわ
L3 T12 ちょうこしすじ大腿だいたいよんとうすじ股関節こかんせつないてんすじぐん 股関節こかんせつうちうたてひざ関節かんせつ伸展しんてん(L2〜4) 大腿だいたい前部ぜんぶひざ
L4 T12/L1 大腿だいたいよんとうすじ股関節こかんせつないてんすじぐんぜん脛骨けいこつすじ あし関節かんせつこごめ 大腿だいたい外側そとがわ下腿かたい内側うちがわ
L5 T12/L1 ちょうははゆびしんすじちょう趾伸すじ はは趾のこごめ 下腿かたい外側そとがわあしはは
S1 L1 ちょうははゆびこごめすじ腓腹筋ひふくきん、ヒラメすじ はは趾のそここごめあし関節かんせつそここごめ 大腿だいたい後部こうぶ下腿かたい外側そとがわしょう
S2 L1     大腿だいたい後部こうぶ下腿かたい内側うちがわかかと内側うちがわ
S3 L1     大腿だいたい内側うちがわ
S4 L2     臀部でんぶそと陰部いんぶ
S5 L2     肛門こうもん周囲しゅうい
Co L2    

一方いっぽう神経しんけい脊髄せきずい下部かぶにいくにつれて次第しだい走行そうこうなめらかになり、腰椎ようつい仙骨せんこつレベルでは脊柱せきちゅう管内かんないをほとんど垂直すいちょくしたぎょうする。このこしせんずい神経しんけいあつまりをその外観がいかんから馬尾ばびという。脊髄せきずいふとさは一様いちようではなく、2箇所かしょ膨大ぼうだい、頸髄膨大ぼうだいこしずい膨大ぼうだいがある。前者ぜんしゃはC4〜T1ずいぶし(C3/4〜C7/T1しいたい)に相当そうとうし、後者こうしゃはL1〜S3ずいぶし(T11〜L1しいたい)に相当そうとうする。それぞれ上肢じょうし下肢かし支配しはいするところで、このたかさの神経しんけいふとく、ぜんかくおおきい。  かくずいぶし一定いってい部位ぶい筋肉きんにくぐん支配しはいしており、これをすじぶし(myotome、ミオトーム)という。おおくの筋肉きんにく上下じょうげつらなる複数ふくすうずいぶし神経しんけいぜん)の支配しはいけている。これをずいぶしせい支配しはいという。その主要しゅようずいぶし神経しんけいることにより、障害しょうがいされた筋肉きんにく分布ぶんぷからずいぶし神経しんけい病変びょうへん局在きょくざい推定すいていすることができる。 上肢じょうしではひじ屈曲くっきょくのC5、手首てくびこごめC6、ひじ伸展しんてんC7が有名ゆうめいである。下肢かしではあし関節かんせつこごめでL4〜5、はは趾のこごめL5〜S1、はは趾のそここごめL5〜S2がよく確認かくにんされる。かかとちはL5、つま先立さきだちはS1、ひざくずれはL1〜3とかんがえられる。

頸髄ぶし神経しんけい支配しはいすじ

頸部を中心ちゅうしんとした筋肉きんにくおもにC1〜C4ずいぶし支配しはいされている。代表だいひょうてき筋肉きんにくむねくさりちち突筋(C2、C3)、そうぼうすじ(C3、C4)、ふか頸筋(C1、C2)であり、特異とくいてきなものとしては横隔膜おうかくまく(C3、C4だがとくにC4)がある。なお、むねくさりちち突筋とそうぼうすじふく神経しんけいにも支配しはいされているため、上位じょうい頸髄あるいは延髄えんずいのいずれの病変びょうへんでも障害しょうがいされうる。 かたかぶと上腕じょうわん筋肉きんにくおもにC5、C6ずいぶし支配しはいされている。代表だいひょうてき筋肉きんにく三角さんかくすじ(C5、C6)、とげすじ(C5、C6)、上腕じょうわんとうすじ(C5、C6)、うで橈骨すじ(C5、C6、C7)、上腕じょうわんさんとうすじ(C7、C8、T1)などである。前腕ぜんわん筋肉きんにくおもにC6、C7、C8頸髄に支配しはいされている。代表だいひょうてき筋肉きんにくえんかいないすじ(C6、C7)、橈側およびしゃくがわしゅこごめすじ(C6、C7)、橈側およびしゃくがわしゅしんすじ(C7、C8)そうゆびしんすじおよびちょうたんははゆびしんすじ(C7、C8)、ちょうははゆびがいてんすじ(C7、C8)などである。筋肉きんにくおもにC8、T1ずいぶし支配しはいされている。代表だいひょうてき筋肉きんにくたんははゆびがいてんすじ(C8、T1)、むしさますじ(C7、C8、T1)、てのひらがわこつあいだすじ(C8、T1)、ははゆび対立たいりつすじ(C7、C8)ははゆびないてんすじ(C8、T1)、がわこつあいだすじ(C8、T1)、小指こゆびがいてんすじ(C8、T1)などがある。

むねずいぶし神経しんけい支配しはいすじ

胸部きょうぶ腹部ふくぶ背部はいぶ筋肉きんにくはT1〜T12(L1)ずいぶし支配しはいされている。

こしせんずいぶし神経しんけい支配しはいすじ

下肢かしたいおよび下肢かしすじこしずいぶしおよびせんずいぶし支配しはいされている。こしずいぶし支配しはい代表だいひょうてき筋肉きんにくちょうこしすじちょうこつすじだいこしすじ)(L2、L3)、大腿だいたいよんとうすじ(L2、L3、L4)、ぬいこうすじ(L2、L3、L4)、大腿だいたいないてんすじぐん(L3、L4)などである。こしせんずいぶし支配しはい代表だいひょうてき筋肉きんにくだいしりすじ(L5、S1、S2)、ちゅうしりすじおよびしょうしりすじ(L4、L5、S1)、大腿だいたいとうすじなどひざこごめすじぐん(L4、L5、S1、S2)、ぜん脛骨けいこつすじおよびあしあし趾のこごめすじぐん(L4、L5、S1)、ちょうたんはは趾屈すじなどあし趾屈すじぐん(L5、S1、S2、S3)である。せんずいぶし支配しはい代表だいひょうてき筋肉きんにく下腿かたいさんとうすじ腓腹筋ひふくきんとヒラメすじ)(S1、S2)である。

運動うんどう麻痺まひ神経しんけいくさむら末梢まっしょう神経しんけい[編集へんしゅう]

脊髄せきずいぜんかく細胞さいぼうから運動うんどう神経しんけい線維せんいからなるぜん感覚かんかく神経しんけいからなるのち合流ごうりゅうして脊髄せきずい神経しんけい形成けいせいする。脊髄せきずい神経しんけいしいあいだあなから脊柱せきちゅう管外かんがいぜんえだこうえだぶんえだする。ぜんえだは頸部、腰部ようぶせんたかさでは上下じょうげのものが吻合ふんごうして神経しんけいくさむら形成けいせいする。むね腹部ふくぶでは神経しんけいくさむら形成けいせいしない。そのはレベルにより神経しんけいみき神経しんけいたば区分くぶんされ、そのさき末梢まっしょう神経しんけいとなり、四肢ししすじぐんからだみきぜんかべ側壁そくへきすじぐん運動うんどう神経しんけい線維せんいとして支配しはいする。一方いっぽうこうえだ神経しんけいくさむらつくらずに、それぞれのたかさのからだじくすじはた脊柱せきちゅうすじなどからだみきかべすじぐん)に運動うんどう神経しんけいおくる。 末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいかんしてはちょうははゆびがいてんすじ(APL、ははゆびそとてん)がたわわこつ神経しんけい支配しはいたんははゆびがいてんすじ(APB ははゆび垂直すいちょくにたてる)が正中せいちゅう神経しんけい支配しはいははゆびないてんすじ(AP ははゆびうちてん)がしゃくこつ神経しんけい支配しはいであり、ははゆびうごきである程度ていど診断しんだんおこなうことができる。

神経しんけいくさむら[編集へんしゅう]

神経しんけいくさむら(C1〜C4のぜんえだ)は上肢じょうし支配しはいする神経しんけいはなく、頸部のすじぐん支配しはいしている。すじえだふく神経しんけいとともにむねくさりちち突筋そうぼうすじ分布ぶんぷしており、その横隔膜おうかくまくぜん頸部の深部しんぶ筋肉きんにく支配しはいしている。

うで神経しんけいくさむら[編集へんしゅう]

うで神経しんけいくさむら(C5〜T1のぜんえだ)はうえ(C5、C6)、なか(C7)、した(C8、T1)の3ほん神経しんけいみきとしてはじまり、それぞれの神経しんけいみき前後ぜんごぶんえだし、それらが吻合ふんごうして3ほん神経しんけいたば形成けいせいする。腋窩えきか動脈どうみゃく位置いち関係かんけいからそれぞれがわ(C6〜C8)・外側そとがわ(C6〜T1)・内側うちがわ(C8、T1)神経しんけいたばとよばれる。こう神経しんけいたば腋窩えきか神経しんけい分岐ぶんきしたのちに橈骨神経しんけいに、外側そとがわ神経しんけいたばすじがわ神経しんけい分岐ぶんきしたのち内側うちがわ神経しんけいたば成分せいぶん合流ごうりゅう正中せいちゅう神経しんけいに、内側うちがわ神経しんけいたばのこりはしゃくこつ神経しんけいになる。

橈骨神経しんけい

橈骨神経しんけいうで神経しんけいくさむら最大さいだいぶんえだであり上腕じょうわんさんとうすじへのぶんえだしたのち上腕じょうわんこつ中央ちゅうおうがわまわ前面ぜんめんる。橈骨神経しんけいみぞ通過つうかして腋窩えきか外側そとがわあさえだふかえだかれ、上腕じょうわんしんすじ上腕じょうわんさんとうすじ)と前腕ぜんわんすべてのしんすじぐん支配しはいする。

正中せいちゅう神経しんけい

正中せいちゅう神経しんけい外側そとがわ神経しんけいたば一部いちぶ内側うちがわ神経しんけいたば合流ごうりゅうし、上腕じょうわん動脈どうみゃく沿ってしたぎょうする。腋窩えきかたっしたのち前腕ぜんわんてのひらがわ中央ちゅうおう下降かこうしゅかんとおっててのひらたっする。しゃくがわしゅこごめすじのぞく、前腕ぜんわんすべてのこごめすじ支配しはいし、固有こゆう手筋てすじではははゆびうごきに関連かんれんしたすじぐん支配しはいする。

しゃくこつ神経しんけい

しゃくこつ神経しんけい内側うちがわ神経しんけいたばおわりえだで、上腕じょうわんとうすじ内側うちがわしたぎょうし、徐々じょじょ上腕じょうわんのちめんまわり、上腕じょうわんこつひじ関節かんせつ部分ぶぶんしゃくがわじょう顆後めんしゃくこつ神経しんけいみぞとおる。前腕ぜんわんてのひらめんて、しゃくがわしゅこごめすじ沿ってしたぎょうし、でGuyonかんとおっててのひらたっする。前腕ぜんわんではしゃくがわしゅこごめすじふかゆびこごめすじ支配しはいし、ははゆび球筋たますじではははゆびないてんすじ小指こゆび球筋たますじではすべてのすじ支配しはいする。またほねあいだすじ支配しはいする。

こし神経しんけいくさむら[編集へんしゅう]

こし神経しんけいくさむら(L1〜L4)はL1〜L4神経しんけい形成けいせいされ、だいこしすじこし方形ほうけいきんかこまれ、しも腹腔ふくこうだい骨盤こつばん腔ののちめんめる。神経しんけいくさむら主要しゅよう部位ぶい部分ぶぶんしたぎょうし、陰部いんぶ大腿だいたい神経しんけい大腿だいたい神経しんけい閉鎖へいさ神経しんけいとして鼠径そけい靭帯じんたい下方かほうふか大腿だいたいたっする。

大腿だいたい神経しんけい

大腿だいたい神経しんけいこし神経しんけいくさむら最大さいだいぶんえだである。L2〜L4神経しんけい吻合ふんごうして形成けいせいされ、だいこしすじちょうこつすじあいだみぞしたぎょうし、鼠径そけい靭帯じんたい中央ちゅうおうをくぐり大腿だいたい前面ぜんめんにでる。分岐ぶんきして運動うんどうえだ大腿だいたい前面ぜんめんしょすじ、すなわち大腿だいたいよんとうすじぬいこうすじ恥骨ちこつすじ支配しはいする。

閉鎖へいさ神経しんけい

閉鎖へいさ神経しんけい閉鎖へいさあなとお骨盤こつばんそと大腿だいたい内側うちがわいたり、大腿だいたいないてんすじぐん支配しはいする。

仙骨せんこつ神経しんけいくさむら[編集へんしゅう]

仙骨せんこつ神経しんけいくさむら(L4〜Co)は坐骨ざこつ神経しんけいくさむら陰部いんぶ神経しんけいくさむらからなる。坐骨ざこつ神経しんけいそうは下部かぶこし神経しんけい(L4、L5)と仙骨せんこつ神経しんけい(S1〜S3)が形成けいせいし、下肢かしたい下肢かし支配しはいする。陰部いんぶ神経しんけいくさむら仙骨せんこつ神経しんけい下部かぶ主体しゅたい(S4〜Co)とし、骨格こっかくすじ以外いがい骨盤こつばんない臓器ぞうき生殖せいしょく支配しはいする。

坐骨ざこつ神経しんけい

坐骨ざこつ神経しんけい坐骨ざこつしん神経しんけいくさむらから最大さいだい神経しんけいである。だい坐骨ざこつあなしたはんなしじょうすじあなとおり、骨盤こつばん後方こうほうて、大腿だいたいめんしょすじ支配しはいする。大腿だいたいめんしたぎょうし、大腿だいたいした1/3のたかさで脛骨けいこつ神経しんけい内側うちがわえだ)とそう腓骨ひこつ神経しんけい外側そとがわえだ)に分岐ぶんきする。

脛骨けいこつ神経しんけい

脛骨けいこつ神経しんけいひざ中央ちゅうおうしたぎょうし、腓腹筋ひふくきん前面ぜんめんとおり、ちょうはは趾屈すじちょう趾屈すじとのあいだしたぎょうし、腓腹筋ひふくきんをはじめとするあしそここごめすじぐん支配しはいする。

そう腓骨ひこつ神経しんけい

そう腓骨ひこつ神経しんけい大腿だいたいとうすじ沿ってしたぎょうし、あさふかえだかれる。あさ腓骨ひこつ神経しんけい腓骨ひこつすじ運動うんどう支配しはいし、ふか腓骨ひこつ神経しんけいぜん脛骨けいこつすじ以下いかあしこごめすじぐん支配しはいする。

まとめ[編集へんしゅう]

障害しょうがい部位ぶい決定けっていするには中枢ちゅうすうおよび末梢まっしょう神経しんけい解剖かいぼう重要じゅうようとなる。脊髄せきずい末梢まっしょう神経しんけいレベルでの支配しはいすじをまとめる。また深部しんぶけん反射はんしゃ病的びょうてき反射はんしゃわせて内部ないぶリンクを参考さんこうのこと。

上肢じょうし
筋肉きんにく 末梢まっしょう神経しんけい 脊髄せきずい
そうぼうすじ上部じょうぶ ふく神経しんけい頚部けいぶ脊髄せきずい神経しんけい C2〜C4
三角さんかくすじ中部ちゅうぶ 腋窩えきか神経しんけい C5〜C6
上腕じょうわんとうすじ すじがわ神経しんけい C5〜C6
上腕じょうわんさんとうすじ 橈骨神経しんけい C6〜C8
手首てくびしんすじぐん 橈骨神経しんけい C6〜C8
橈側しゅこごめすじ 正中せいちゅう神経しんけい C6〜C7
しゃくがわしゅこごめすじ しゃくこつ神経しんけい C7〜Th1
ははゆび対立たいりつすじ 正中せいちゅう神経しんけい C6〜Th1
だいいちがわこつあいだすじ しゃくこつ神経しんけい C8〜Th1
ちょうははゆびがいてんすじ(APL) 橈骨神経しんけい C7
たんははゆびないてんすじ(AP) しゃくこつ神経しんけい C8
たんははゆびがいてんすじ(APB) 正中せいちゅう神経しんけい C8
小指こゆびがいてんすじ しゃくこつ神経しんけい C8〜Th1
からだみき
筋肉きんにく 末梢まっしょう神経しんけい 脊髄せきずい
頚部けいぶこごめすじぐん ふく神経しんけい頚部けいぶ脊髄せきずい神経しんけい C1〜C4
頚部けいぶしんすじぐん ふく神経しんけい頚部けいぶ脊髄せきずい神経しんけい C1〜C8
横隔膜おうかくまく よこへだた神経しんけい C3〜C5
ぜんのこすじ ちょうむね神経しんけい C5〜C7
背部はいぶしんすじぐん 脊髄せきずい神経しんけい Th1〜S3
腹筋ふっきんぐん 肋間ろっかん神経しんけい Th6〜Th12
下肢かし
筋肉きんにく 末梢まっしょう神経しんけい 脊髄せきずい
ちょうこしすじ 大腿だいたい神経しんけい腰部ようぶ脊髄せきずい神経しんけい L1〜L4
だいしりすじ 下殿しもとの神経しんけい L5〜S2
股関節こかんせつがいてんすじ 上殿かみどの神経しんけい L4〜S1
股関節こかんせつないてんすじ 閉鎖へいさ神経しんけい坐骨ざこつ神経しんけい L2〜L4
大腿だいたいよんとうすじ 大腿だいたい神経しんけい L2〜L4
ひざこごめすじぐん 坐骨ざこつ神経しんけい L4〜S3
ちょう腓骨ひこつすじ あさ腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
たん腓骨ひこつすじ あさ腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
ぜん脛骨けいこつすじ ふか腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
こう脛骨けいこつすじ 脛骨けいこつ神経しんけい L4〜S1
下腿かたいさんとうすじ 脛骨けいこつ神経しんけい S1〜S2
ちょうはは趾伸すじ ふか腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
たんはは趾伸すじ ふか腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
ちょう趾伸すじ ふか腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1
たん趾伸すじ ふか腓骨ひこつ神経しんけい L4〜S1

かた麻痺まひのマネジメント[編集へんしゅう]

かた麻痺まひこす疾患しっかん頻度ひんどとしてはのう血管けっかん障害しょうがい圧倒的あっとうてきおおく、急性きゅうせい治療ちりょうによってまったことなる可能かのうせいもあることから前述ぜんじゅつのように救急きゅうきゅうしつでは神経しんけい診断しんだんがくとはことなるアプローチをおこな場合ばあいおおい。まずはバイタルサイン確認かくにんをし、蘇生そせいほうにて対応たいおうする。脳幹のうかん病変びょうへん有無うむ評価ひょうかうたがわしければ気管きかんない挿管施行しこうする。麻痺まひがわにて静脈じょうみゃく確保かくほおこなうと、のう血管けっかん障害しょうがいでは感覚かんかく障害しょうがい合併がっぺいがあるため、静脈じょうみゃくえん発生はっせい点滴てんてきれにがつかない場合ばあいがあるためけんがわ静脈じょうみゃく確保かくほおこなう。けんがわ静脈じょうみゃく確保かくほしなければならない状況じょうきょうとしてはかた麻痺まひなど感覚かんかく障害しょうがいともな場合ばあい乳癌にゅうがんにて腋窩えきかリンパぶしかくきよしおこなった場合ばあいなどがあげられる。腋窩えきかリンパぶしかくきよしおこなった場合ばあい静脈じょうみゃくえんからSIRSなどに進展しんてんするリスクがあるとかんがえられている。血栓けっせん溶解ようかい療法りょうほう適応てきおうからはずれないようにするためにNGチューブやフォーレーカテーテルの挿入そうにゅうひかえ、動脈血どうみゃくけつ採血さいけつおこなわない。できるだけすみやかに頭部とうぶCTをおこない、脳出血のうしゅっけつ有無うむ確認かくにんする。心電図しんでんずなどのルーチン検査けんさはCTを優先ゆうせんし、時間じかん利用りようしておこなうべきである。またきりからだ徴候ちょうこう確認かくにんなども時間じかん利用りようしておこなう。なお、厳密げんみつにはてい血糖けっとうやその原因げんいんにてかた麻痺まひこることもありるが、てい血糖けっとう場合ばあい意識いしき障害しょうがいがある場合ばあいがほとんどであるし、その疾患しっかんかんしてものう血管けっかん障害しょうがい否定ひていできてからでもおそくはない場合ばあいおおい。

脳出血のうしゅっけつのマネジメント

救急きゅうきゅうしつおこなうべきこととしては、出血しゅっけつ部位ぶい同定どうていふくめた診断しんだんヘルニアみずあたましょうといった合併症がっぺいしょう評価ひょうかである。緊急きんきゅう手術しゅじゅつ適応てきおうとなる脳出血のうしゅっけつにはから出血しゅっけつ小脳しょうのう出血しゅっけつ皮質ひしつ出血しゅっけつ視床ししょう出血しゅっけつがあげられる。から出血しゅっけつ小脳しょうのう出血しゅっけつ皮質ひしつ出血しゅっけつでは血腫けっしゅ除去じょきょじゅつ視床ししょう出血しゅっけつではのうしつドレナージが標準ひょうじゅんてきじゅつしきである。手術しゅじゅつ適応てきおう施設しせつによってもことなるが、から出血しゅっけつ場合ばあい血腫けっしゅりょうが31ml以上いじょうとき意識いしき障害しょうがいがあるとき、のう圧迫あっぱく所見しょけんつよとき緊急きんきゅう手術しゅじゅつとなる。小脳しょうのう出血しゅっけつでは血腫けっしゅみちが3cm以上いじょうのとき、意識いしき障害しょうがいとくにJCS III-100以上いじょう)があるとき緊急きんきゅう手術しゅじゅつとなる。皮質ひしつ出血しゅっけつ場合ばあい血腫けっしゅりょうが30ml以上いじょうとき意識いしき障害しょうがい昏迷こんめい以上いじょうであるとき、正中せいちゅうへんが1cm以上いじょうあるとき、ちゅうのう周囲しゅういそう変形へんけいがあるとき緊急きんきゅう手術しゅじゅつとなる。視床ししょう出血しゅっけつではのうしつ穿ほじやぶみずあたましょうみとめられるとき緊急きんきゅう手術しゅじゅつとなる。

のう梗塞こうそくのマネジメント

のう血管けっかん障害しょうがいでCTにて出血しゅっけつみとめられなければのう梗塞こうそく可能かのうせいたかい。発症はっしょうから3時間じかん以内いないであれば血栓けっせん溶解ようかい療法りょうほう症状しょうじょう改善かいぜんしえるので適応てきおう評価ひょうかおこなわなければならない。病歴びょうれきからアテローム血栓けっせんせいなどのやまいがた診断しんだんおこない、MRIまたはMRAにて発症はっしょう時期じき特定とくていしていく。血栓けっせん溶解ようかい療法りょうほう適応てきおう基準きじゅん慎重しんちょう投与とうよなどがさだめられているため、かならず専門せんもんにコンサルトしてから血栓けっせん溶解ようかい療法りょうほうおこなうべきである。このさい適応てきおうからはずれる行為こういとしてかんてき処置しょちがあるためにNGチューブやフォーレーカテーテルの挿入そうにゅうひかえておいたほうがよい。

感覚かんかく麻痺まひ[編集へんしゅう]

診断しんだんがくにおいてはしび感覚かんかく麻痺まひ相当そうとうする言葉ことばかんがえられているものの、一般いっぱん用語ようごでは運動うんどう麻痺まひもしびれると表現ひょうげんするために感覚かんかく麻痺まひといった言葉ことばしめされることがおおい。感覚かんかく異常いじょうには異常いじょう感覚かんかく感覚かんかく知覚ちかく過敏かびん知覚ちかく鈍麻どんま無感覚むかんかくの5つがられている。異常いじょう感覚かんかく(Dysesthesia)とは外的がいてき刺激しげきによらない感覚かんかく異常いじょうであり、誘因ゆういんなくあつさやいたみなどをかんじるということである。一般いっぱん用語ようごしびれなどがこれに相当そうとうする。感覚かんかく(Paresthesia)とは外的がいてき刺激しげきによる感覚かんかく異常いじょうであり、さわられただけでつめたくかんじたりなどすることである。知覚ちかく過敏かびん(Hyperesthesia)とは感覚かんかくつよかんじてしまうことで、感覚かんかく鈍麻どんま(Hypesthesia)とは感覚かんかくよわかんじることである。接尾せつびのesthesiaがかんじるという意味いみであり無感覚むかんかく(anesthesia)は麻酔ますいという意味いみもちいられることがおおいが、症候しょうこう学的がくてきには感覚かんかくまったかんじないことである。

感覚かんかく麻痺まひきるメカニズム[編集へんしゅう]

感覚かんかく小人こども中心ちゅうしんかいせい中部ちゅうぶ占拠せんきょせい病変びょうへんこるとりょう下肢かし感覚かんかく麻痺まひがおこる。中心ちゅうしん前回ぜんかい障害しょうがいされ感覚かんかく麻痺まひともなたい麻痺まひとなることがおおい。

感覚かんかく伝導でんどうおもてざい感覚かんかく原始げんし触覚しょっかく温度おんどさとし痛覚つうかく)と深部しんぶ感覚かんかく位置いちさとし振動しんどうさとし識別しきべつさとし)でことなる。どちらも末梢まっしょう神経しんけいのレベルでは運動うんどう神経しんけい併走へいそうする。神経しんけいのレベルでは感覚かんかくこう神経しんけいぶし存在そんざいすること、運動うんどう神経しんけいぜんとおるのにたいして感覚かんかく神経しんけいこうとおるというてんことなる。ひょうざいさとし脊髄せきずいかくニューロンとなり、中心ちゅうしんかん周辺しゅうへん通過つうか反対はんたい側側そくそくさくへいく。がわさく沿って外側そとがわ脊髄せきずい視床ししょう形成けいせいじょうぎょうし、視床ししょうさんニューロンとなり放線ほうせんかんむり通過つうか頭頂とうちょう中心ちゅうしんかい(1感覚かんかく)で4ニューロンとなる。深部しんぶ感覚かんかくどうがわのちさくうえぎょうする。延髄えんずいのちさくかくニューロンとなり反対はんたいがわじくさくばし、内側うちがわたい形成けいせいし、視床ししょうさんニューロンとなり放線ほうせんかんむり通過つうか頭頂とうちょう中心ちゅうしんかい(1感覚かんかく)で4ニューロンとなる。このように脊髄せきずいでの走行そうこうまったことなるため、脊髄せきずい障害しょうがいでは解離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいとなることがある。触覚しょっかく深部しんぶ感覚かんかくひょうざいさとし両方りょうほう経路けいろがあるとかんがえられており、おもてざいさとしほう原始げんし触覚しょっかくとして区別くべつすることがある。上記じょうき感覚かんかく伝導でんどうのうちどこかが障害しょうがいされれば感覚かんかく麻痺まひこりえる。

感覚かんかく麻痺まひ分類ぶんるい[編集へんしゅう]

デルマトーム。よんほんあし時代じだい名残なごりとして、下肢かしよりも肛門こうもん周辺しゅうへんほう下位かいであることに注意ちゅういする。うでがCであり、後頭部こうとうぶC2、拇指ぼしC6、中指なかゆびC7、乳頭にゅうとうTh4、ほぞTh10、はは趾L5、肛門こうもんS5といった項目こうもく目安めやすとして重要じゅうようである。

感覚かんかく麻痺まひ感覚かんかく障害しょうがい)は障害しょうがい部位ぶいによって分類ぶんるいされることがおおい。のう疾患しっかんであるのか、ミエロパチーしょうニューロパチーかentrap syndromeであるのかによって分類ぶんるいすることでコンサルトすべき診療しんりょう決定けっていされてくる。分類ぶんるい仕方しかた神経しんけい診断しんだんがくもとづくが、緊急きんきゅう場合ばあいはそのかぎりではないのは運動うんどう麻痺まひ同様どうようである。感覚かんかく障害しょうがい部位ぶいとくにデルマトームに沿うのかということ、合併がっぺいする運動うんどう障害しょうがい評価ひょうかとくにUMD(上位じょうい運動うんどうニューロン障害しょうがい)かLMD(下位かい運動うんどうニューロン障害しょうがい)かといったてん、その神経しんけいがくてき異常いじょう所見しょけんによって評価ひょうかされる。ミエロパチー、ニューロパチー、しょう鑑別かんべつはSEP(深部しんぶ感覚かんかく検査けんさ)、神経しんけい伝導でんどう速度そくどといった電気でんき生理学せいりがくずいえき検査けんさなどを駆使くしすることがおおい。

のう疾患しっかん

頻度ひんどとしてはほとんどがのう血管けっかん障害しょうがいによるものである。運動うんどう麻痺まひ一致いっちした部分ぶぶん感覚かんかく麻痺まひしょうじている。脳幹のうかんより上位じょうい障害しょうがいであると脳神経のうしんけい障害しょうがい部位ぶいかた麻痺まひどうがわとなっている。

ミエロパチー(myelopathy)

脊髄せきずい障害しょうがいのことである。解離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいなどがおこることもある。デルマトーム分節ぶんせつにわたり感覚かんかく麻痺まひしょうじる。典型てんけいてきには障害しょうがい部位ぶいよりもしたはすべて障害しょうがいされる。臀部でんぶはS領域りょういきとなるため感覚かんかく麻痺まひ評価ひょうかてきしている。また、脊髄せきずい障害しょうがいでは膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいなど症状しょうじょう出現しゅつげんしやすい。後頭部こうとうぶC2、拇指ぼしC6、中指なかゆびC7、乳頭にゅうとうTh4、ほぞTh10、はは趾L5、肛門こうもんS5のデルマトームが有名ゆうめいである。

しょう(radiculopathy)

神経しんけい障害しょうがいである。感覚かんかく麻痺まひ部位ぶいはデルマトームの1分節ぶんせつとなる。こう神経しんけいぶし障害しょうがいというものもある。

ニューロパチー(neuropathy)

ニューロパチーは、末梢まっしょう神経しんけい正常せいじょう伝導でんどう障害しょうがいされる病態びょうたいである。典型てんけいてきには手足てあし先端せんたんから感覚かんかく麻痺まひしょうじて、中枢ちゅうすうがわかって進行しんこうしてくる。あしからしょうじてくるのが一般いっぱんてきでglove&stockingがた感覚かんかく障害しょうがい有名ゆうめいである。神経しんけい解剖かいぼうがくてき説明せつめいがつかず、ADLの低下ていかもみられない場合ばあい放置ほうちしても致死ちしてき疾患しっかんでない場合ばあいおおい。こういった場合ばあいしんいんせい疾患しっかんとする。例外れいがいとしては、時間じかんてき空間くうかんてき多発たはつするだつずいせい疾患しっかんである。障害しょうがいされる神経しんけい種類しゅるい運動うんどう神経しんけい感覚かんかく神経しんけい自律じりつ神経しんけいおよび、ミクロてき障害しょうがい部位ぶいじくさくであったりずいさや(シュワン細胞さいぼう)であったりする。マクロてきにどこが障害しょうがいされるかによって、たん神経しんけいえん多発たはつせいたん神経しんけいえん多発たはつ神経しんけいえん区別くべつされる。

おも疾患しっかんは、ギラン・バレー症候群しょうこうぐんフィッシャー症候群しょうこうぐん慢性まんせい炎症えんしょうせいだつずいせい多発たはつニューロパチー炎症えんしょうせい感染かんせんせいのものとして有名ゆうめいであり、その原因げんいんによるものに糖尿とうにょうびょうせいニューロパチー腫瘍しゅよう随伴ずいはんせいニューロパチーCrow-Fukase症候群しょうこうぐん、あるいはSLE、PNとうにかわばらびょうせい血管けっかんえんともなうニューロパチー、シャルコー・マリー・トゥースびょう家族かぞくせいアミロイド多発たはつニューロパチーひとしがある。外因がいいんせいとしてはアルコール、ヒ素ひそ水銀すいぎん、タリウム、スチレン、nヘキサン、またビタミン欠乏けつぼうによりベリベリなども有名ゆうめいである。薬剤やくざいせいとしてはイソニアジトやビンクスリチンによるものがおおい。

ニューロパチーは大雑把おおざっぱだつずいせいのものとじくさく変性へんせいせいのものにけられる。じくさく変性へんせいせい場合ばあい急性きゅうせいのものではmyelin ovoidが、慢性まんせいのものではaxonal sproutingがみとめられる。じくさく変性へんせいせいニューロパチーの場合ばあい障害しょうがいする神経しんけい線維せんい選択せんたくせいみとめられることがある。だいみち線維せんい優位ゆういがたはAβべーた線維せんい障害しょうがいのため深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい目立めだつ。とくこう神経しんけいぶし病変びょうへんしゅがある場合ばあい感覚かんかく失調しっちょうともなう。こういった病気びょうきはPNSやシェーグレン症候群しょうこうぐんられている。小径しょうけい線維せんい優位ゆういがたAδでるたおよびC線維せんいおもてざい感覚かんかく自律じりつ神経しんけい障害しょうがい目立めだち、いたみをともなうことがおおい。これはアミロイドーシス一部いちぶ糖尿とうにょうびょうられている。いたみのメカニズムは内部ないぶリンク疼痛とうつうくわしい。 こう神経しんけいぶし病変びょうへんがあるとかんがえられる場合ばあいシェーグレン症候群しょうこうぐんはた腫瘍しゅよう症候群しょうこうぐん(PNS)をかんがえる。こう神経しんけいぶし障害しょうがいでは経過けいかながくともaxonal aproutingがみとめられないのが特徴とくちょうである。

entrap syndorome

かん症候群しょうこうぐん胸郭きょうかく出口でぐち症候群しょうこうぐんである。末梢まっしょう神経しんけいほね靭帯じんたいによって圧迫あっぱくされ、それ以下いか末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいされる。

感覚かんかく麻痺まひ臨床りんしょう解剖かいぼうがく[編集へんしゅう]

感覚かんかく障害しょうがいのそれぞれの分布ぶんぷ様式ようしきにはそれぞれ対応たいおうする特徴とくちょうてき病変びょうへん局在きょくざいゆうする。しかし感覚かんかく障害しょうがい分布ぶんぷおなじか類似るいじしていても本来ほんらい病変びょうへん局在きょくざいことなる場合ばあいがあり病変びょうへんあやま分布ぶんぷとしてられている。代表だいひょうれい下記かき列記れっきする。

大脳だいのう病変びょうへんによるにせせい神経しんけいがた

脳卒中のうそっちゅうによるにせせいじゃくこつ神経しんけい麻痺まひとしてしばしばみとめられる。

頸髄病変びょうへんによるにせせい多発たはつ神経しんけいえんがた
頸髄中位ちゅうい病変びょうへんによる胸部きょうぶ帯状おびじょうつう
胸部きょうぶ神経しんけい障害しょうがいによる宙吊ちゅうづがた感覚かんかく障害しょうがい
高度こうど末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいによるにせせい脊髄せきずいせい感覚かんかく障害しょうがいにせせい脊髄せきずい

感覚かんかく麻痺まひ脊髄せきずいずいぶし神経しんけい[編集へんしゅう]

皮膚ひふ分節ぶんせつ[編集へんしゅう]

皮膚ひふ分節ぶんせつ(dermatome、デルマトーム)とは単一たんいつ脊髄せきずいずいぶし分節ぶんせつ)・神経しんけい支配しはいする皮膚ひふ領域りょういき意味いみする。からだみきでは発生はっせいがくてきからだぶし機構きこうがそのままのこされ、皮膚ひふ分節ぶんせつ輪切わぎじょう規則きそくてきに吻側からがわ配列はいれつされている。これにたいして四肢ししでは発生はっせいにおける移動いどうのために、皮膚ひふ分節ぶんせつ分布ぶんぷ領域りょういき複雑ふくざつである。このため、中部ちゅうぶ頸髄にあたるC4分節ぶんせつむねずい上部じょうぶのT2分節ぶんせつあたまがわせっし、こしずい上部じょうぶのL1〜L2分節ぶんせつ(L3〜L4分節ぶんせつせつもある)が臀部でんぶから大腿だいたい後方こうほうせんずい分節ぶんせつせっする。 臨床りんしょう医学いがくもちいられる皮膚ひふ分節ぶんせつからだたがいにことなる手法しゅほうによって作成さくせいされた3つの起源きげん由来ゆらいしている。HeadとCampbellは帯状疱疹たいじょうほうしんかわ分布ぶんぷもとからだ作成さくせいした。Foersterは慢性まんせい疼痛とうつう患者かんじゃにおいて後部こうぶrhizotomyを施行しこうしたさい神経しんけいだんはし刺激しげきし、皮膚ひふ血管けっかん拡張かくちょうしょうじる範囲はんい観察かんさつしてからだ作成さくせいした(これは自律じりつ神経しんけい支配しはいによる可能かのうせいのこしている)。この検討けんとうによって皮膚ひふ分節ぶんせつあいだ重複じゅうふくあきらかになった。KeeganとGarrettは障害しょうがいゆうする、おも外科げか手術しゅじゅつれい感覚かんかく障害しょうがい観察かんさつからからだ作成さくせいした。 このような背景はいけいまえて1938ねん野崎のさき作成さくせいしたデルマトーム臨床りんしょう応用おうようにふさわしいとかんがえられている。しかしどのからだ利用りようする場合ばあいでも、個人こじんがあることと、皮膚ひふ分節ぶんせつ境界きょうかい領域りょういき隣接りんせつする2つのずいぶし支配しはい重複じゅうふくすることに注意ちゅういする。

不連続線ふれんぞくせんとcervical line[編集へんしゅう]

皮膚ひふ分節ぶんせつ図上ずじょうの頸髄とむねずい境界きょうかいせんではC4分節ぶんせつとT2分節ぶんせつせっしている。ここに不連続ふれんぞくせいがあり、不連続線ふれんぞくせんという。そのことが脊髄せきずい疾患しっかん診察しんさつじょう重要じゅうようがかりになる。感覚かんかく鈍麻どんま予想よそうされる下方かほうからpinにて皮膚ひふをこすっていくとあるしゅ患者かんじゃではこのせん急激きゅうげきいたみをうったえる。この不連続線ふれんぞくせんなかぜん胸部きょうぶにあるところは頸、むねずい病変びょうへんさかい見当けんとうづけるのに有用ゆうようであり、これをcervical lineという。不連続線ふれんぞくせんはcervical lineのみならずしもあごかく三叉みつまた神経しんけいだいさんえだとC3分節ぶんせつあいだやL1〜L2分節ぶんせつとS2分節ぶんせつあいだにもみられ臨床りんしょう応用おうようされる。

脊髄せきずい由来ゆらい感覚かんかく麻痺まひ分布ぶんぷ様式ようしき[編集へんしゅう]
脊髄せきずい横断おうだんせい障害しょうがい(あるレベル以下いか両側りょうがわせいぜん感覚かんかく障害しょうがい

このかた感覚かんかく障害しょうがいは、入浴にゅうよくしたときに水面すいめんぼっする部分ぶぶん障害しょうがいがみられることから入浴にゅうよくがたばれる。脊髄せきずい横断おうだんせい病変びょうへん脊髄せきずいえん脊髄せきずい出血しゅっけつ脊髄せきずい腫瘍しゅようなど)、急性きゅうせい感覚かんかくせい自律じりつ神経しんけいせいニューロパチーなどで、顔面がんめん頭部とうぶ障害しょうがいまぬかれ頸部以下いかぜん感覚かんかく障害しょうがいがみられることがある。

こしせん回避かいひ

脊髄せきずい横断おうだんせい病変びょうへんにより病変びょうへん以下いかぜん感覚かんかく障害しょうがいがみられるときに、下部かぶ脊髄せきずい神経しんけいこしせんあるいはせん)の支配しはい領域りょういき感覚かんかく障害しょうがいがないか非常ひじょうかる場合ばあいがあり、こしせん回避かいひないしせん回避かいひという。ずいない病変びょうへん内方ないほうから脊髄せきずい視床ししょう圧迫あっぱく障害しょうがいするためとわれてきたが、ずいがい病変びょうへんでもしょうじる。病変びょうへん増大ぞうだい速度そくど脊髄せきずい表面ひょうめんがわふく血行けっこう状態じょうたいによってこのかたになるとされる。

サドルじょうくらじょう感覚かんかく障害しょうがい

せん回避かいひ反対はんたいせんのみに感覚かんかく障害しょうがいがみられる場合ばあいをいう。

ブラウン・セカール症候群しょうこうぐん(あるレベル以下いか片側かたがわひょうざい感覚かんかく反対はんたいがわ深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい

ブラウン・セカール症候群しょうこうぐん脊髄せきずい半切はんせつ病変びょうへんによってしょうじる。病変びょうへんたかさでぜん帯状おびじょう感覚かんかく障害しょうがいがみられ、その直上ちょくじょう感覚かんかく過敏かびんたいがみられる。病変びょうへんより下方かほうどうがわ半身はんしんにいわゆる深部しんぶ感覚かんかく鈍麻どんまを、反対はんたいがわ半身はんしんおもてざい感覚かんかく鈍麻どんまをきたす。病変びょうへんひろがりでいろいろなやまいがたがある。

宙吊ちゅうづがた感覚かんかく障害しょうがい

感覚かんかく障害しょうがい分布ぶんぷ上半身じょうはんしんのある範囲はんいかぎられ、地面じめんせっするかたちでないときに宙吊ちゅうづがたといわれる。変則へんそくがた両側りょうがわがたとがある。脊髄せきずい空洞くうどうしょうなどの脊髄せきずい中心ちゅうしんはいしろしつ)のずいぶしせい病変びょうへんによることがおおい。脊髄せきずい癆、糖尿とうにょうびょうせい神経しんけい障害しょうがいサルコイドーシスなど脊髄せきずい神経しんけい病変びょうへんによることもある。

ずいぶしせい感覚かんかく障害しょうがい

脊髄せきずいずいぶしせい障害しょうがいデルマトームにあてはめて理解りかいする。そのさいずいぶしあいだ重複じゅうふく左右さゆうあいだ重複じゅうふく存在そんざい注意ちゅういする必要ひつようがある。大脳だいのう病変びょうへんによりずいぶしせい類似るいじ感覚かんかく障害しょうがいがみられることがある。

乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい[編集へんしゅう]

乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいとは要素ようそてき感覚かんかくなかのあるしゅるいのものよりつよ障害しょうがいされていることである。とく重要じゅうようなのがおもてざい感覚かんかく深部しんぶ感覚かんかく乖離かいりである。これはこの2つの感覚かんかくけい走行そうこう中枢ちゅうすう神経しんけいないことなる経路けいろとおることが原因げんいんでおこる。臨床りんしょう解剖かいぼうがくでは乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい局在きょくざい診断しんだんにおいて非常ひじょう重要じゅうよう情報じょうほうとなる。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]
末梢まっしょう神経しんけいせい乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいでは感覚かんかくぜん種類しゅるい平行へいこうして障害しょうがいされることがおおいが、あるしゅ小径しょうけい線維せんい優位ゆうい末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいではひょうざい感覚かんかく鈍麻どんまがあるのに深部しんぶ感覚かんかくたもたれる。家族かぞくせいアミロイドポリニューロパチーシャルコー・マリー・トゥースびょうとく遺伝いでんせい感覚かんかくせい自律じりつ神経しんけいせいニューロパチーIがた)、糖尿とうにょうびょうせい神経しんけい障害しょうがい一部いちぶなどがあげられる。反対はんたいだいみち線維せんいによって伝導でんどうされる深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい目立めだゆたか痛覚つうかくまぬかれる疾患しっかんとしてははた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんなどの免疫めんえき異常いじょうせいニューロパチー、ビタミンB12欠乏症けつぼうしょう糖尿とうにょうびょうせいにせせい脊髄せきずい癆のような糖尿とうにょうびょうせい神経しんけい障害しょうがい一部いちぶがあげられる。

脊髄せきずい癆型(脊髄せきずいさく乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがいされ、ゆたか痛覚つうかくたもたれる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいはかつて脊髄せきずい癆でおおくみられた。脊髄せきずい癆の減少げんしょうとともに近年きんねんではこうさく内側うちがわたいだつずいゆうする多発たはつせい硬化こうかしょうこう脊髄せきずい動脈どうみゃく領域りょういき梗塞こうそく典型てんけいてきにみられる。また障害しょうがい末梢まっしょう神経しんけいから脊髄せきずいにおよぶ急性きゅうせい連合れんごうせい脊髄せきずい変性へんせいしょう(ビタミンB12欠乏症けつぼうしょう)でもみられる。またフリードリッヒ運動うんどう失調しっちょうしょうビタミンE欠乏症けつぼうしょう類似るいじする感覚かんかく乖離かいりしめす。このかた感覚かんかく障害しょうがいでは感覚かんかくせい運動うんどう失調しっちょうやロンベルグ試験しけんほか、ジンジンするしびれや電撃でんげきつうらんきりつう、レルミット徴候ちょうこう放電ほうでんつう)がみられることがおおい。

脊髄せきずい空洞くうどうしょうがた脊髄せきずいはいしろしつがた乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

脊髄せきずい空洞くうどうしょうでは脊髄せきずい中心ちゅうしんしろしつ病変びょうへんにより、ゆたか痛覚つうかく脊髄せきずい視床ししょう)の神経しんけい線維せんい脊髄せきずい中心ちゅうしん交叉こうさする部位ぶい障害しょうがいされて、そのたかさに相当そうとうする皮膚ひふゆたか痛覚つうかく鈍麻どんまするが、こうさく障害しょうがいおよばないため深部しんぶ感覚かんかくたもたれる。脊髄せきずい視床ししょう脊髄せきずいさい外側そとがわ表層ひょうそうはしちょう経路けいろで、ここが障害しょうがいされないため、病変びょうへんたかさよりした感覚かんかくたもたれ感覚かんかく障害しょうがい範囲はんい病変びょうへんのあるたかさにかぎられるので宙吊ちゅうづがたていする。脊髄せきずい空洞くうどうしょう以外いがい脊髄せきずいはいしろしつ病変びょうへんゆうする脊髄せきずいない出血しゅっけつ脊髄せきずいずいない腫瘍しゅようなどでもみられる。

ぜん脊髄せきずい動脈どうみゃく症候群しょうこうぐんにみられる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

病変びょうへん以下いかゆたか痛覚つうかく障害しょうがいされるが、深部しんぶ感覚かんかくまぬかれる感覚かんかく障害しょうがい乖離かいりていする。脊髄せきずい先方せんぽうはらがわ)の2/3を灌流するぜん脊髄せきずい動脈どうみゃく循環じゅんかん障害しょうがいしょうじる。ちょう経路けいろ脊髄せきずい視床ししょう障害しょうがいされるため、ゆたか痛覚つうかく障害しょうがい範囲はんい障害しょうがいレベル以下いか全体ぜんたいにみられる。こうさくせい感覚かんかく障害しょうがい原則げんそくとしてみとめられない。このような乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい脊椎せきつい椎間板ついかんばんヘルニアや脊髄せきずいずいがい腫瘍しゅようなどでもみとめられる。

ブラウン・セカール症候群しょうこうぐんにみられる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

脊髄せきずい横断おうだんめん半分はんぶん障害しょうがいされてしょうじるブラウン・セカール症候群しょうこうぐん解離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいのよくられたれいである。病変びょうへんがわ反対はんたいがわのちさく障害しょうがいされて、そのがわ深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがいされるとともに、反対はんたいがわゆたか痛覚つうかく伝導でんどうする脊髄せきずい視床ししょう障害しょうがいされて、病変びょうへん反対はんたいがわゆたか痛覚つうかく障害しょうがいされる。病変びょうへんたかさに相当そうとうしてどうがわぜん感覚かんかく障害しょうがいがみられる。ブラウン・セカール症候群しょうこうぐん外傷がいしょうなど脊髄せきずいずいがい病変びょうへん典型てんけいてきしょうじるが、不全ふぜんがたふくめればおおくの脊髄せきずい疾患しっかんしょうじる。

病変びょうへん拡大かくだいともな乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい推移すいい

病変びょうへん拡大かくだいすることにより病変びょうへん分布ぶんぷ推移すいいする。それが乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいとき病変びょうへん性質せいしつ示唆しさする。代表だいひょうれいとしてはFoix-Alajouanineびょう急性きゅうせい壊死えしせい脊髄せきずいえん)などがあげられる。

延髄えんずい外側そとがわ症候群しょうこうぐんにみられる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

延髄えんずい外側そとがわ症候群しょうこうぐんでは特徴とくちょうてき感覚かんかく障害しょうがいがみられる。すなわち、ゆたか痛覚つうかく障害しょうがい病変びょうへんどうがわからだ反対はんたいがわ顔面がんめんにみられるが、深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがいまぬかれる。病変びょうへんたかさによっては顔面がんめんからだ交叉こうさはみられないことがあるが、乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいみとめられる。すなわち、延髄えんずい外側そとがわ症候群しょうこうぐんでは交叉こうさせい感覚かんかく障害しょうがいみとめられないことがあるが、乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい原則げんそくとしてみとめられる。

延髄えんずい内側うちがわ症候群しょうこうぐんにみられる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

延髄えんずい内側うちがわ症候群しょうこうぐんでは内側うちがわたい障害しょうがい病変びょうへん反対はんたいがわ深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがいされるがゆたか痛覚つうかくたもたれる。

大脳皮質だいのうひしつせい乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがい

大脳皮質だいのうひしつ病変びょうへんみとめられる乖離かいりせい感覚かんかく障害しょうがいひょうざいさとし障害しょうがい優位ゆういのものと深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい優位ゆういなものの2種類しゅるいられている。深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい優位ゆういなものは延髄えんずい内側うちがわ症候群しょうこうぐん分布ぶんぷとなる。ゆたか痛覚つうかく原始げんし触覚しょっかくたもたれているかごくわずかに障害しょうがいされているだけであるのにたいして深部しんぶ感覚かんかく固有こゆう感覚かんかく立体りったいさとしなど識別しきべつせい感覚かんかく高度こうど障害しょうがいされるが振動しんどうさとしはあまり障害しょうがいされない。障害しょうがい四肢ししとおくらい優位ゆういであり、ははゆびさが試験しけん異常いじょう顕著けんちょていする。症状しょうじょう運動うんどう障害しょうがい深部しんぶ感覚かんかくせい運動うんどう失調しっちょう)としてあらわれるので受動じゅどうてき運動うんどう姿勢しせいさとし(いわゆる位置いちさとし障害しょうがい軽度けいどのときは、運動うんどう麻痺まひによる運動うんどう障害しょうがいかんがえられることがある。皮質ひしつ特有とくゆう感覚かんかくせい消去しょうきょ現象げんしょう見出みいだすこともできる。ひょうざい感覚かんかく優位ゆうい障害しょうがいされるものはにせせい神経しんけいがたといわれるものもふくまれる。

緊急きんきゅうようする感覚かんかく麻痺まひとプライマリケア[編集へんしゅう]

動脈どうみゃく閉塞へいそく急性きゅうせい動脈どうみゃく解離かいり脳出血のうしゅっけつのう梗塞こうそくといった、血管けっかん障害しょうがい脊髄せきずいかたまくがい膿瘍のうよう急性きゅうせい脊髄せきずいかたまく血腫けっしゅなどミエロパチーをこす疾患しっかんギラン・バレー症候群しょうこうぐん重症じゅうしょうすじ無力むりょくしょう皮膚ひふ筋炎きんえん多発たはつせい筋炎きんえん多発たはつせい硬化こうかしょうといった呼吸こきゅう麻痺まひをおこす神経しんけいすじ疾患しっかん注意ちゅうい必要ひつようである。とくギラン・バレー症候群しょうこうぐん進行しんこうはやいため注意ちゅうい必要ひつようである。これらの疾患しっかんあらかじ診断しんだんがついている場合ばあいおおく、また感覚かんかく障害しょうがい単独たんどく来院らいいんされることはまずかんがえにくい。

基本きほんてきにはのしびれでは頸椎しょうはじめとする頸椎疾患しっかんかん症候群しょうこうぐんあしのしびれならば脊髄せきずい病変びょうへん頚椎けいつい胸椎きょうつい腰椎ようついどれでもよい)か多発たはつ神経しんけいえんけい4つを診断しんだんできれば、日常にちじょう診療しんりょうでは十分じゅうぶんである。

あししび[編集へんしゅう]

脊髄せきずい病変びょうへん
頚部けいぶ胸部きょうぶ腰部ようぶどこの障害しょうがいでもあしのしびれはこりえる。脊髄せきずい病変びょうへん積極せっきょくてきうたが所見しょけんとしては膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいである。歩行ほこう障害しょうがいみとめる場合ばあいおおく、大抵たいてい階段かいだんくだるときがつらいという。階段かいだんくだるときつらいというのは下肢かしの痙性麻痺まひ運動うんどう失調しっちょうつようたがうエピソードである。のぼりがつらいという場合ばあい筋力きんりょく低下ていかうたがえるものの診断しんだんがくてき価値かちはかなりひく情報じょうほうとなってしまう。いかせめせき、くしゃみによって放散ほうさんつうしょうじることも脊髄せきずい病変びょうへんでは特徴とくちょうてきである。脊髄せきずい病変びょうへんこしやすい職業しょくぎょうれきとして柔道じゅうどう、ラグビー、レスリングの選手せんしゅやタクシーの運転うんてんしゅおおいということも念頭ねんとうくべきである。
多発たはつ神経しんけいえん
脊髄せきずい病変びょうへんうたがえるエピソードがない場合ばあい多発たはつ神経しんけいえん(ポリニューロパチー)をかんがえる。この病気びょうきではつまさきから徐々じょじょ症状しょうじょううえぎょうしてきて、運動うんどう神経しんけいよりも感覚かんかく神経しんけいほう優位ゆうい障害しょうがいされるのが特徴とくちょうてきである。多発たはつ神経しんけいえん原因げんいん疾患しっかん検索けんさく重要じゅうようである。糖尿とうにょうびょう、アルコール、薬剤やくざいせいなどがこう頻度ひんどである。悪性あくせい腫瘍しゅよう全身ぜんしんせい血管けっかんえんでもしょうじうる。

しび[編集へんしゅう]

けいずい病変びょうへん
脊髄せきずい病変びょうへんでもしびれはしょうじうる。がしびれる場合ばあい、その責任せきにん病巣びょうそうけいずいであり、頸椎しょう原因げんいん疾患しっかんであることが非常ひじょうおおい。しびれの領域りょういき基本きほんてきにはデルマトームにしたがう。あししびれの場合ばあいおなじで膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがい階段かいだんくださいつらい、いかせめ放散ほうさんつうしょうじる、スポーツ選手せんしゅやタクシードライバーにおおい。
かん症候群しょうこうぐん
かん症候群しょうこうぐん特発とくはつせいのものでは中年ちゅうねん女性じょせいおおい。長時間ちょうじかんのパソコン、キーボード操作そうさやピアノの演奏えんそうなどが誘発ゆうはつ因子いんしになることもある。基礎きそ疾患しっかんとしては妊娠にんしん透析とうせき甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう先端せんたん巨大きょだいしょうといったものがある。とく甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうかん症候群しょうこうぐん受診じゅしん契機けいきになることもある。すじ肥大ひだいしゃがれごえといった症状しょうじょうにも注意ちゅういしたい。ファーレンテスト(Phalen Test、手首てくび関節かんせつ屈曲くっきょくさせることでしびれを誘発ゆうはつする)やティネル徴候ちょうこう(Tinel Sign、かん部分ぶぶん正中せいちゅう神経しんけいたたくことでしびれを誘発ゆうはつする)といった神経しんけい徴候ちょうこう有名ゆうめいである。感度かんど特異とくいともにすぐれている検査けんさとしてはハンドダイアグラムという検査けんさがある。これはしびれている領域りょういき患者かんじゃえがいてもらうもので、正中せいちゅう神経しんけい支配しはい領域りょういきであるだい1〜3ゆびのみである場合ばあいはかなりかん症候群しょうこうぐんうたがわしい。てのひらにまでおよぶとほかの疾患しっかん合併がっぺい可能かのうせいもある。この

脳卒中のうそっちゅうとの関係かんけい[編集へんしゅう]

しびれをおも訴にする患者かんじゃおおく、のう血管けっかん障害しょうがい可能かのうせいかんがえて来院らいいんする。近年きんねんはTIAという概念がいねん確立かくりつのう血管けっかん障害しょうがい前兆ぜんちょうであるのではないかと受診じゅしんする場合ばあいおおい。基本きほんてきにはしびれはのう血管けっかん障害しょうがい関係かんけいない。ただし以下いか場合ばあいのう血管けっかん障害しょうがい可能かのうせいがある。

あきらかな急性きゅうせい発症はっしょうでありすじ脱力だつりょくともな場合ばあい
片側かたがわ上下じょうげ分布ぶんぷであるとき
のう血管けっかん障害しょうがい積極せっきょくてきうたが分布ぶんぷ場合ばあいかお片側かたがわ反対はんたいがわ上下じょうげとかくちてのひらなど)

こういった場合ばあいのぞき、のう血管けっかん障害しょうがい心配しんぱいはないことをげることが大切たいせつである。安易あんいこう血栓けっせんやくアスピリンなど)を処方しょほうするべきではない。高齢こうれいしゃはしびれをおも訴に来院らいいんする場合ばあいおおいが、どんなに検索けんさくしても重要じゅうよう疾患しっかんつからず特発とくはつせい良性りょうせい慢性まんせいしびれという診断しんだんになってしまうことがおおい。

しびれで重要じゅうよう疾患しっかんとしては顔面がんめんしびれというものがある。これはのう血管けっかん障害しょうがい悪性あくせい腫瘍しゅよう可能かのうせいたかく、精査せいさ必要ひつようである。また急性きゅうせい、すなわちすう週間しゅうかん経過けいかする四肢しししびれも悪性あくせい腫瘍しゅよう血管けっかんえん可能かのうせいたかい。

救急きゅうきゅうしつにおける神経しんけい診断しんだんがく[編集へんしゅう]

神経しんけい診断しんだん神経しんけい診断しんだんがくもとづき、病因びょういん診断しんだん解剖かいぼうがくてき診断しんだん臨床りんしょう診断しんだんと3stepでおこなうのが通常つうじょうである。解剖かいぼうがくてき診断しんだんおこなうための診察しんさつ項目こうもく非常ひじょうおおい。救急きゅうきゅうしつではこのような対応たいおう不可能ふかのうなことがおおく、頻度ひんどとしても救急きゅうきゅうしつ来院らいいんする神経しんけいびょううたがわれる患者かんじゃおおくはのう血管けっかん障害しょうがいであるため、より簡便かんべんなスクリーニングほう発達はったつしてきた。スクリーニング診察しんさつはあくまでも神経しんけいびょう存在そんざい診断しんだんのためにおこなうものであり、体系たいけいだった神経しんけい診断しんだんがくもとづく診断しんだんくらべ、局所きょくしょ診断しんだん病因びょういん診断しんだん情報じょうほうすくないものの、短時間たんじかんおこなえることから救急きゅうきゅうしつではこのまれる。スクリーニング診察しんさつ項目こうもくとしては、意識いしき脳神経のうしんけい運動うんどう神経しんけい感覚かんかく神経しんけい歩行ほこう姿勢しせいずいまく刺激しげき症状しょうじょう自律じりつ神経しんけい協調きょうちょう運動うんどう深部しんぶけん反射はんしゃとく病的びょうてき反射はんしゃ)などをいちとおおこな場合ばあいおおい。

スクリーニングの項目こうもくだけでものう血管けっかん障害しょうがいのかなりの情報じょうほうることができる。ほとんどののう血管けっかん障害しょうがいかた麻痺まひおも訴とするため、これを想定そうていする。まず顔面がんめん麻痺まひ存在そんざいしない頸部以下いかかた麻痺まひであれば脊髄せきずいレベルの血管けっかん障害しょうがいかんがえることができる[よう出典しゅってん医学いがく]かた麻痺まひたいがわ顔面がんめん麻痺まひがある場合ばあい、すなわち交代こうたいせいかた麻痺まひであれば脳幹のうかん障害しょうがいである。脳幹のうかん障害しょうがい気管きかんない挿管必要ひつようたかくなる。咽頭いんとう反射はんしゃ消失しょうしつなどたま麻痺まひ症状しょうじょう交代こうたいせいかた麻痺まひはいずれも気管きかんない挿管を積極せっきょくてきかんがえる状態じょうたいである。 頭部とうぶCTを緊急きんきゅうおこな必要ひつようがある(救急きゅうきゅうしつのマネジメントとしては脳出血のうしゅっけつ診断しんだんがついた時点じてん局在きょくざい診断しんだんおこなっても治療ちりょう方針ほうしんとしては影響えいきょうない。)。あいまにおこな神経しんけい診断しんだんとしては脳神経のうしんけい検査けんさである。脳神経のうしんけいI〜IV麻痺まひならばちゅうのう脳神経のうしんけいV〜VIII麻痺まひならばはし脳神経のうしんけいIX〜XII麻痺まひならば延髄えんずい責任せきにん病巣びょうそうである可能かのうせいたかい。かた麻痺まひどうがわ顔面がんめん麻痺まひみとめられる場合ばあい皮質ひしつレベル[よう出典しゅってん]皮質ひしつレベルの障害しょうがいである。この場合ばあいテントじょう病変びょうへんであるので瞳孔どうこうへん存在そんざいすればそれだけでへん方向ほうこう皮質ひしつレベルの障害しょうがいである(瞳孔どうこうへんはテントじょう病変びょうへんではやまいがわき、テント病変びょうへんではけんがわく)。瞳孔どうこうへんみとめられなければ、皮質ひしつ症状しょうじょうみとめられるか、みとめられないかで鑑別かんべつする。皮質ひしつ症状しょうじょう存在そんざいすれば皮質ひしつレベルの障害しょうがいであり、皮質ひしつ症状しょうじょう存在そんざいしない、あるいは感覚かんかく障害しょうがい存在そんざいしなければ皮質ひしつレベル、すなわちラクナ梗塞こうそくである。皮質ひしつ症状しょうじょう優位ゆうい半球はんきゅう皮質ひしつ症状しょうじょうとしては失語しつご有名ゆうめいであり、劣位れつい半球はんきゅう皮質ひしつ症状しょうじょうとしてはそれ以外いがい高次こうじ機能きのう障害しょうがいしつみとめしつぎょうはんがわ空間くうかん無視むしがあげられる。また両側りょうがわ大脳皮質だいのうひしつ機能きのうとして、ふくあい感覚かんかくもあるため、これも皮質ひしつ症状しょうじょうとする。広範こうはん皮質ひしつ症状しょうじょうとしては意識いしき障害しょうがいもあげられる。 障害しょうがい血管けっかんかんしては皮質ひしつレベルの障害しょうがい場合ばあい前部ぜんぶ大脳だいのう循環じゅんかんけい障害しょうがいうたがわしい。下肢かし障害しょうがいつよければぜん大脳だいのう動脈どうみゃく領域りょういき顔面がんめん上肢じょうし障害しょうがいつよければちゅう大脳だいのう動脈どうみゃく領域りょういき同名どうめいはんめくら幻視げんしみとめられればこう大脳だいのう動脈どうみゃく領域りょういきうたがわしい。皮質ひしつとく内包ないほう視床ししょう大脳だいのう基底きていかく穿ほじどおりえだによっておもに灌流されているため、皮質ひしつ症状しょうじょう存在そんざいしなかったり、感覚かんかく麻痺まひともなわない運動うんどう麻痺まひ運動うんどう麻痺まひともなわない感覚かんかく麻痺まひはラクナ梗塞こうそくうたがう。

ヒステリーとの鑑別かんべつ[編集へんしゅう]

転換てんかんせい障害しょうがいあるいはヒステリーによる神経症しんけいしょうじょう鑑別かんべつがしばしば重要じゅうようとなる。

ヒステリーによる運動うんどう麻痺まひ[編集へんしゅう]

ヒステリーによる運動うんどう麻痺まひ場合ばあいかおしたこう頚筋くびすじむねくさりちち突筋は麻痺まひしていない場合ばあいおおい。むねくさりちち突筋の場合ばあいみぎ筋肉きんにく収縮しゅうしゅくするとひだりをむくため、みぎ麻痺まひでもかおみぎけないがひだりける場合ばあいはヒステリーの可能かのうせいたかい。

Drop test

麻痺まひがわ上肢じょうし顔面がんめんとすとき、ヒステリーではかおちないがしん麻痺まひではかおちる。

Hoover test

フーバーテストではヒステリーの場合ばあい仰臥ぎょうが下肢かし伸展しんてんけんがわきょじょうで患側かかとつよ圧力あつりょくかんじる。しん麻痺まひではけんがわきょじょうで患側のかかとかんじる圧力あつりょくよわい。

Adductor sign

両側りょうがわ大腿だいたいすじさわりながら、けんがわ大腿だいたいうちころがしてもらう。ヒステリーの場合ばあい麻痺まひがわうちてんすじにもちからがはいる。

SCIテスト(spinal injuries center test)

SCIテストはヒステリーせい下肢かし麻痺まひたいする試験しけんである。みずかひざちが出来できない患者かんじゃ他動的たどうてきひざちさせ、ささえたはなして膝立ひざたて出来でき場合ばあい陽性ようせいでありヒステリーせい下肢かし麻痺まひうたがう。

ヒステリーによる感覚かんかく麻痺まひ[編集へんしゅう]

ヒステリーによる感覚かんかく麻痺まひでは正常せいじょう部位ぶい感覚かんかく障害しょうがい部位ぶい境界きょうかいがしわであったり解剖かいぼうがくてき支配しはい領域りょういき一致いっちしない。触覚しょっかく痛覚つうかくあつしさとし固有こゆうさとしがすべて一律いちりつ障害しょうがいされるという。陰部いんぶなど両側りょうがわ支配しはい部位ぶい片側かたがわ感覚かんかく鈍麻どんまうったえる。

音叉おんさ試験しけん

音叉おんさほねにあてて固有こゆうさとし調しらべる。骨盤こつばんあたまではほね伝導でんどう左右さゆう両方りょうほうどもわかるはずだがヒステリーでは患側をわからないという。

Bowlus and Currier test

りょううでまえばし、うち旋して小指こゆびうえになるようにする。うで交差こうささせ、てのひらをあわせゆびをからませる。うでをしたにおろし、内側うちがわからうえかってうごかし、からませたゆびむねまえるようにする。この結果けっかははゆび以外いがいゆびうでどうがわははゆびたいがわ位置いちする。この状態じょうたい指先ゆびさき感覚かんかく左右さゆう交互こうご検査けんさする。ヒステリーでは間違まちがえたり、返答へんとう時間じかんがかかる。

ヒステリーによる疼痛とうつう[編集へんしゅう]

皮膚ひふをつまむだけでちょあかりやめがる。だて患者かんじゃあたまさえて、じくせい圧力あつりょくこしつう誘発ゆうはつされる。だてをつけでりょうかた回旋かいせんしてこしつう誘発ゆうはつ。フリップテスト陽性ようせい必要ひつよう過剰かじょう反応はんのう。これら5つのうち2つ以上いじょう該当がいとうがあればしんいんせいこしつう可能かのうせいたかい。

フリップテスト

被験者ひけんしゃ診察しんさつだいすわらせて下腿かたい以下いか下垂かすいさせる。けんしゃひざのやや中枢ちゅうすうがわをおさえ他方たほうひざ伸展しんてんさせる。腰椎ようついぜん弯が消失しょうしつし、後方こうほうたおれそうになれば陽性ようせいであり、さらにSLRが陽性ようせいならばいつわりびょう可能かのうせいたかくなる。

末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい[編集へんしゅう]

主要しゅよう圧迫あっぱくせいニューロパチーをまとめる。しぼ扼性ニューロパチーでは障害しょうがいされた末梢まっしょう神経しんけい限局げんきょくした症状しょうじょう出現しゅつげんする。しびれかんいたみに先行せんこうし、病変びょうへん進行しんこうとともに支配しはいすじ萎縮いしゅく筋力きんりょく低下ていかあきらかになってくる。しぼ扼部は刺激しげきせい更新こうしんし叩打で支配しはい領域りょういき放散ほうさんするしびれかんいたみが出現しゅつげんする。これをチネル徴候ちょうこうという。NCSやEMGで検査けんさ可能かのうである。原因げんいん外傷がいしょう圧迫あっぱく微小びしょう外傷がいしょう)、反復はんぷくせいストレスの結果けっかしょうじている。

疾患しっかんめい 障害しょうがい神経しんけい部位ぶい 症状しょうじょう 原因げんいんその
かん症候群しょうこうぐん Carpal tunnel syndrome 正中せいちゅう神経しんけいかん入口いりくち 疼痛とうつう、しびれかん知覚ちかく異常いじょうははゆび対立たいりつ筋力きんりょく低下ていかよるあいだつう 橈骨骨折こっせつ腫瘍しゅよう、ガングリオン、妊娠にんしん糖尿とうにょうびょうなど。中年ちゅうねん女性じょせいおおい。
ひじかん症候群しょうこうぐん Cubital tunnel syndrome しゃくこつ神経しんけいしゃくこつ神経しんけいみぞひじかん IV、Vゆび放散ほうさんつう感覚かんかく異常いじょう脱力だつりょくすじ萎縮いしゅく巧緻こうち運動うんどう障害しょうがい 原因げんいん不明ふめいのものがおおいが頻度ひんどたかい。そとはんひじによるおそはつせいじゃくこつ神経しんけい麻痺まひ
Guyonかん症候群しょうこうぐん Ulnar tunnel syndrome しゃくこつ神経しんけい、Guyonかん IV、Vゆび放散ほうさんつう感覚かんかく異常いじょう脱力だつりょくすじ萎縮いしゅく巧緻こうち運動うんどう障害しょうがい ガングリオンがおおい。骨折こっせつ脱臼だっきゅう手首てくび酷使こくしする職業しょくぎょう
たわわこつ神経しんけい麻痺まひ Radial nerve palsy 橈骨神経しんけい上腕じょうわんこつがい側部そくぶ 関節かんせつこごめ障害しょうがい感覚かんかく障害しょうがいかるい(腋窩えきかでの圧迫あっぱくでは上腕じょうわんさんとうすじ麻痺まひ 泥酔でいすい(Saturday night palsy)など比較的ひかくてき回復かいふくしやすい。
異常いじょう感覚かんかくせい大腿だいたい神経痛しんけいつう Meralgia paresthetica 大腿だいたい外側そとがわがわ神経しんけい鼠径そけい 疼痛とうつう灼熱しゃくねつかん知覚ちかく異常いじょうだて歩行ほこう増悪ぞうあく 肥満ひまん妊娠にんしん、コルセット着用ちゃくよう圧迫あっぱく
そう腓骨ひこつ神経しんけい麻痺まひ Common peroneal nerve palsy そう腓骨ひこつ神経しんけいそう腓骨ひこつあたま 感覚かんかく障害しょうがいあし関節かんせつこごめ障害しょうがいあしにわとり 手術しゅじゅつ病気びょうきでの長期ちょうき臥床がしょう泥酔でいすい、ギプスや下肢かし装具そうぐによる圧迫あっぱく
あしかん症候群しょうこうぐん Taral tunnel syndrome こう脛骨けいこつ神経しんけいあしかん あしそこ疼痛とうつう、しびれかん灼熱しゃくねつかん筋力きんりょく低下ていかうったえはすくない あし関節かんせつ外傷がいしょう、ガングリオン、妊娠にんしん

コンパートメント症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

ほねおよびすじまくによって構成こうせいされた閉鎖へいさ空間くうかんをコンパートメントという。コンパートメントのあつ上昇じょうしょうによって阻血せい神経しんけい麻痺まひ、さらによこもんすじ融解ゆうかい壊死えし進行しんこうする。そのクラッシュ症候群しょうこうぐんとなる。この一連いちれん症候群しょうこうぐんをコンパートメント症候群しょうこうぐんという。

正中せいちゅう神経しんけい麻痺まひ[編集へんしゅう]

ははゆび対立たいりつ運動うんどうたんははゆびがいてんすじ(APB ははゆび垂直すいちょくにたてる)の筋力きんりょく低下ていかははゆび球筋たますじ萎縮いしゅく結果けっかさるしゅ有名ゆうめいである。えんかいないすじ症候群しょうこうぐんぜん骨幹こっかん神経しんけい障害しょうがいふくんだ、きんにおける神経しんけい障害しょうがい非常ひじょうめずらしい。これらはうで神経しんけいくさむらえん部分ぶぶんがたとしておこることがおおい。

かん症候群しょうこうぐん Carpal tunnel syndrome CTS

かん底部ていぶこつ上部じょうぶこごめすじささえたい形成けいせいされるせま空間くうかんである。このなか正中せいちゅう神経しんけいと9ほんけん通過つうかする。なんらかの原因げんいん管内かんない圧力あつりょくたかまると正中せいちゅう神経しんけいしぼ扼性障害しょうがい出現しゅつげんする。橈骨骨折こっせつ腫瘍しゅよう、ガングリオン、こつ骨折こっせつ妊娠にんしん糖尿とうにょうびょう甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう長期ちょうき血液けつえき透析とうせきなどが原因げんいんとしてられているが原因げんいん不明ふめいなこともおおい。通常つうじょうはききてがわ発症はっしょう症状しょうじょうつよいが、中年ちゅうねん女性じょせい半数はんすう以上いじょう両側りょうがわせいである。橈側の3ゆび異常いじょう感覚かんかく発症はっしょう夜間やかん増悪ぞうあくする。じゅう症例しょうれいではたんははゆびがいてんすじ筋力きんりょく低下ていかははゆびだま萎縮いしゅくにいたる。関節かんせつてのひらがわ正中せいちゅう神経しんけい直上ちょくじょうでチネル徴候ちょうこうがよくみとめられる。ファーレン徴候ちょうこうみとめられる。けい症例しょうれい夜間やかん副木ふくぼく手首てくび可動かどうせい制限せいげんさせたり、副腎ふくじん皮質ひしつステロイドきょくちゅう有効ゆうこうである。進行しんこうれにたいしてはかん開放かいほうじゅつおこなう。すじ萎縮いしゅくあきらかになるまえおこなうのがよいとされる。ははゆび球筋たますじ萎縮いしゅくした場合ばあいさるしゅという。

えんかいないすじ症候群しょうこうぐん

正中せいちゅう神経しんけいひじえんかいないすじ双頭そうとうあいだ通過つうかする。この双頭そうとうあいだしぼ扼がおこるのがえんかいないすじ症候群しょうこうぐんである。正中せいちゅう神経しんけい障害しょうがいなのでCTSとも類似るいじするが前腕ぜんわんかいないひじ屈曲くっきょくしめせゆびあさゆびこごめすじ収縮しゅうしゅくによって症状しょうじょう悪化あっかする。しぼ扼部のチネル徴候ちょうこう陽性ようせいだが、ファーレン徴候ちょうこう症状しょうじょう夜間やかん増悪ぞうあくまれである。

しゃくこつ神経しんけい麻痺まひ[編集へんしゅう]

ははゆびないてんすじ(AP ははゆびうちてん)の筋力きんりょく低下ていかのほか、ははゆびだま以外いがいないすじ萎縮いしゅく結果けっかわししゅとなる。Guyonかん症候群しょうこうぐんまれである。

ひじかん症候群しょうこうぐん Cubital tunnel syndrome

しゃくこつ神経しんけいひじかんたかさで上腕じょうわんこつ内側うちがわじょう顆の背後はいごからしゃくこつ神経しんけいみぞ通過つうかし、つづいて内側うちがわがわふく靭帯じんたいしゃくがわしゅこごめすじ上腕じょうわんあたましゃくこつあたまあいだゆみじょう靭帯じんたいかこまれた場所ばしょ、すなわちひじかんとおる。しぼ扼はしゃくこつ神経しんけいみぞでもひじかんでもこりえる。ひじかん症候群しょうこうぐんしぼ扼性ニューロパチーでもっとおおいがおおくの症例しょうれいでは原因げんいんあきらかにできない。しゃくこつ神経しんけい麻痺まひ症状しょうじょう特徴とくちょうてきである。まずはしゃくこつ神経しんけい領域りょういき感覚かんかく障害しょうがいだいV、だいIVゆびわししゅ変形へんけい(PIP関節かんせつ屈曲くっきょくともなう)、小指こゆびだま萎縮いしゅくしょうじる。がわこつあいだすじ萎縮いしゅくする、最初さいしょおかされるのがだいいちがわこつあいだすじおかされかたもっとつよい。ははゆびないうたて障害しょうがい出現しゅつげんする。ははゆびないてんすじ麻痺まひちょうははゆびこごめすじ機能きのう代償だいしょうするため、ははゆびないてんゆびぶしあいだ関節かんせつ屈曲くっきょくし、これをフローマン徴候ちょうこうという。

Guyonかん症候群しょうこうぐん Ulnar tunnel syndrome

しゃくこつ神経しんけいひじだけでなく関節かんせつでもしぼ扼される。しゃくこつ神経しんけい関節かんせつではまめじょうこつゆうかぎこつかぎとのあいだのGuyonかん通過つうかする。

橈骨神経しんけい麻痺まひ[編集へんしゅう]

ちょうははゆびがいてんすじ(APL、ははゆびそとてん)の筋力きんりょくほか関節かんせつ手指しゅし伸展しんてん障害しょうがい結果けっかこる下垂かすいしゅうで橈骨すじ筋力きんりょく低下ていかみとめられる。

橈骨神経しんけい麻痺まひ Radial nerve palsy

橈骨神経しんけい病変びょうへん上腕じょうわんこつ神経しんけいみぞ(ラセンみぞ)でもっと頻度ひんどたかい。意識いしき障害しょうがい睡眠すいみんちゅう圧迫あっぱく損傷そんしょうされるためSaturday night palsyともわれる。下垂かすいしゅうで橈骨すじ筋力きんりょく低下ていかみとめられる。腋窩えきかなど高位こういしぼ扼されないかぎ上腕じょうわんさんとうすじ通常つうじょうおかされない。感覚かんかく障害しょうがいははゆびしめせゆびゆびあいだ限局げんきょくするか、さらに中指なかゆびきんまでおよぶこともある。

こうほねあいだ神経しんけい症候群しょうこうぐん

外傷がいしょうや橈骨あたま骨折こっせつによっておこる。

外側そとがわ大腿だいたいがわ神経しんけい障害しょうがい[編集へんしゅう]

大腿だいたい外側そとがわ異常いじょう感覚かんかくいたみを症状しょうじょうとする。症状しょうじょうたてまた歩行ほこう増強ぞうきょうすわくらい軽減けいげんする。筋力きんりょく正常せいじょうひざぶたけん反射はんしゃたもたれる。末梢まっしょう神経しんけい血管けっかん障害しょうがいであり、ふとっているひとがきつい下着したぎやジーンズをはいたさいなどにおこりえる。

大腿だいたい神経しんけい麻痺まひ[編集へんしゅう]

大腿だいたい神経しんけい麻痺まひ後腹あとばらまく血腫けっしゅ砕石さいせき股関節こかんせつ形成けいせいじゅつ股関節こかんせつ脱臼だっきゅうちょうこつ動脈どうみゃく閉塞へいそく大腿だいたい動脈どうみゃく処置しょち悪性あくせい腫瘍しゅよう血行けっこうせい浸潤しんじゅん鼠径そけい穿ほじ通性つうせい外傷がいしょう子宮しきゅう摘出てきしゅつじゅつじん移植いしょくじゅつといった骨盤こつばん手術しゅじゅつ糖尿とうにょうびょう続発ぞくはつしてこる。特発とくはつせい大腿だいたい神経しんけい麻痺まひもある。大腿だいたい神経しんけい麻痺まひではひざ進展しんてん屈曲くっきょく困難こんなんとなる。

坐骨ざこつ麻痺まひ[編集へんしゅう]

坐骨ざこつ神経しんけい麻痺まひ股関節こかんせつ形成けいせいじゅつ長時間ちょうじかん砕石さいせきにおかれた患者かんじゃにおける骨盤こつばん処置しょち外傷がいしょう血腫けっしゅ腫瘍しゅよう浸潤しんじゅん血管けっかんえん併発へいはつしてこる。さらにおおくの坐骨ざこつ神経しんけい障害しょうがい特発とくはつせいである。代表だいひょうれい股関節こかんせつ骨折こっせつによるほねあたま後方こうほう脱臼だっきゅう大腿だいたい後方こうほうコンパートメントへの出血しゅっけつでおこる。なしじょうすじでは坐骨ざこつ神経しんけいそう腓骨ひこつ神経しんけい上殿かみどの神経しんけいあるいはこう大腿だいたいがわ神経しんけいしぼ扼されることも報告ほうこくされておりなしじょうすじ切開せっかい治療ちりょうされる。

腓骨ひこつ麻痺まひ[編集へんしゅう]

腓骨ひこつ神経しんけい麻痺まひ腓骨ひこつあたまそとからの外傷がいしょう損傷そんしょうされることがもっとおおい。通常つうじょう下肢かしむことで圧迫あっぱくくわわる。体重たいじゅう減少げんしょうした患者かんじゃでは神経しんけいおかされやすい。腓骨ひこつ神経しんけい麻痺まひではあし下垂かすいあし)とふか腓骨ひこつ神経しんけい領域りょういきあさ腓骨ひこつ神経しんけい領域りょういきにおよぶ様々さまざま感覚かんかく障害しょうがいこす。通常つうじょういたみはない。L5神経しんけいしょうとの鑑別かんべつ必要ひつようである。

前足まえあしかん症候群しょうこうぐん

ふか腓骨ひこつ神経しんけいあし関節かんせつがわしんすじささえたい通過つうかするときにしょうじる。

脛骨けいこつ神経しんけい麻痺まひ[編集へんしゅう]

脛骨けいこつ神経しんけい坐骨ざこつ神経しんけいの1ふんえだであり、坐骨ざこつ神経しんけい病変びょうへん同様どうようじょ損傷そんしょうされる。あしかん症候群しょうこうぐん通常つうじょうまれである。

後足あとあしかん症候群しょうこうぐん

あし関節かんせつうちはて後方こうほう脛骨けいこつ神経しんけいしぼ扼される。後足あとあしかん症候群しょうこうぐんあしそこ感覚かんかく障害しょうがいあし内在ないざいすじ筋力きんりょく低下ていかからなる。かかと感覚かんかくはしばしば正常せいじょうである。こむら腹部ふくぶあるいは大腿だいたいにまでおよぶきんへの放散ほうさんつうがあり、このいたみは歩行ほこう長時間ちょうじかんだてによって増悪ぞうあくし、夜間やかん増悪ぞうあくもある。感覚かんかく障害しょうがい圧迫あっぱくやあるいはあし部内ぶないがえし強制きょうせいでも悪化あっかする。

脊髄せきずいしょう(ミエロパチー)[編集へんしゅう]

代表だいひょうてき脊髄せきずい症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

脊髄せきずい病変びょうへんはその高位こうい横断おうだんめんひろがりによって障害しょうがいパターンがことなり、脊髄せきずい症候群しょうこうぐんとしてまとめられている。一般いっぱんろんとして運動うんどう感覚かんかく障害しょうがいくわえ、膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいともな場合ばあい脊髄せきずい障害しょうがいうたがう。たい麻痺まひ四肢しし麻痺まひ高位こうい(レベル)のある感覚かんかく障害しょうがい脊髄せきずい障害しょうがい示唆しさする。脊髄せきずい高位こうい診断しんだんにはずいぶし徴候ちょうこう(segmental sign)を、横断おうだんめん局在きょくざい診断しんだんにはちょう経路けいろ徴候ちょうこう(long tract sign)が有用ゆうようである。ずいぶし徴候ちょうこうとしては分節ぶんせつせい運動うんどう麻痺まひどう分節ぶんせつぜん感覚かんかく鈍麻どんまけん反射はんしゃ消失しょうしつすじ萎縮いしゅく線維せんいたば攣縮が重要じゅうようである。またちょう経路けいろ徴候ちょうこうとしては痙縮やけん反射はんしゃ亢進こうしん病的びょうてき反射はんしゃられている。

日本語にほんごめい 英語えいごめい 感覚かんかく障害しょうがい 運動うんどう障害しょうがい 括約筋かつやくきん障害しょうがい
横断おうだんせい脊髄せきずい障害しょうがい transverse cord syndrome 障害しょうがい部位ぶい以下いかぜん感覚かんかく障害しょうがい 障害しょうがい高位こうい下位かいニューロン障害しょうがい障害しょうがい部位ぶい以下いか上位じょういニューロン障害しょうがい
脊髄せきずい前方ぜんぽう障害しょうがい anterior cord syndrome 障害しょうがい部位ぶい以下いか解離かいりせいゆたか痛覚つうかく障害しょうがい 障害しょうがい高位こうい下位かいニューロン障害しょうがい障害しょうがい部位ぶい以下いか上位じょういニューロン障害しょうがい さまざま
脊髄せきずい後方こうほう障害しょうがい posterior cord syndrome 障害しょうがい部位ぶい以下いか解離かいりせい深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがい 感覚かんかくせい運動うんどう失調しっちょう さまざま
脊髄せきずいはんがわ障害しょうがい brown séquard syndrome 障害しょうがい部位ぶい以下いかどうがわ深部しんぶ感覚かんかく障害しょうがいたいがわゆたか痛覚つうかく障害しょうがい 障害しょうがいだかどうがわ下位かいニューロン障害しょうがい障害しょうがい部位ぶい以下いかどうがわ上位じょういニューロン障害しょうがい さまざま
脊髄せきずい中心ちゅうしん症候群しょうこうぐん central cord syndrome 障害しょうがいだか解離かいりせいゆたか痛覚つうかく障害しょうがい 障害しょうがいだか随意ずいい運動うんどう障害しょうがい さまざま
脊髄せきずい円錐えんすい症候群しょうこうぐん conus medullaris syndrome かい陰部いんぶのサドルがた解離かいり障害しょうがい 下肢かし上位じょういニューロン障害しょうがい あり
馬尾ばび症候群しょうこうぐん cauda equine syndrome かい陰部いんぶのサドルがた解離かいりせい障害しょうがい 下肢かし下位かいニューロン障害しょうがい あり

脊髄せきずいしょうでよくもちいられる解剖かいぼうがく[編集へんしゅう]

脊椎せきついレベルと脊髄せきずいレベル

脊椎せきつい脊髄せきずいずいぶし位置いち関係かんけいについてべる。脊椎せきつい脊髄せきずい成長せいちょうにはがある。原則げんそくとして脊髄せきずいよりも脊椎せきついほう成長せいちょうはやい。そのため脊髄せきずい下端かたん出生しゅっしょうはL3しい体高たいこうであるが成人せいじんはL1しいたい下端かたん位置いちする。このように脊髄せきずい位置いち変化へんかしたとしても神経しんけいとおしいあいだあな不変ふへんである。脊髄せきずいずいぶし局在きょくざいかんしては諸説しょせつがあり脊椎せきつい脊髄せきずい高位こういかんしては1964ねんのDejongによるものと1979ねんのHaymakerのものがられている。頚椎けいついレベルでは脊椎せきつい脊髄せきずいのレベルは脊髄せきずいレベルのほうが上位じょういである。頚椎けいついC7のレベルにC8けいずいがある。胸椎きょうついレベルでは胸椎きょうついTh10レベルにむねずいTh11と脊髄せきずいレベルのほうが下位かいとなる。胸椎きょうついTh11レベルにこしずいL1からL3が存在そんざいする。脊髄せきずい円錐えんすいこしずいせんずい)になるとズレはさらにおおきくなる。脊髄せきずい円錐えんすい円錐えんすい上部じょうぶ円錐えんすいかれる。円錐えんすい上部じょうぶ胸椎きょうついTh12に位置いち脊髄せきずいL4からS2である。円錐えんすい腰椎ようついL1に位置いちこしずいS3以下いかである。S5以下いかずいCOがある。腰椎ようついL2またはL3以下いか馬尾ばびとなる。これらの原則げんそく個人こじんおおきいので画像がぞう診断しんだんがくでの利用りようでは注意ちゅうい必要ひつようである。とく脊髄せきずい下端かたんはL1/2とされるが実際じっさいにL1/2が下端かたんとなるのは30%程度ていどである。

脊髄せきずいレベル 対応たいおうするしいたい
上位じょういけいずい 脊髄せきずいレベルとほぼおなじ(脊髄せきずいレベルのほう上位じょうい
下位かいけいずい 1レベルじょう頚椎けいついC7レベルにC8けいずいがある)
むねずい 1〜2レベルじょう胸椎きょうついTh10レベルにむねずいTh11)
こしずい Th11〜Th12
せんずい Th12〜L1
デルマトーム

後頭部こうとうぶC2、拇指ぼしC6、中指なかゆびC7、乳頭にゅうとうTh4、ほぞTh10、はは趾L5、肛門こうもんS5のデルマトームが有名ゆうめいであり高位こうい診断しんだんでよくもちいられる。その有名ゆうめいがこととして、皮膚ひふ感覚かんかくとなりあう神経しんけいによる重複じゅうふく支配しはいであるため、単一たんいつ神経しんけい障害しょうがいされた場合ばあい感覚かんかく鈍麻どんまこるが、感覚かんかく消失しょうしつ通常つうじょうしょうじない。単一たんいつ神経しんけい障害しょうがいされた場合ばあい感覚かんかく鈍麻どんま範囲はんい皮膚ひふ分節ぶんせつよりせまい。感覚かんかく消失しょうしつ境界きょうかい明瞭めいりょう場合ばあい末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいニューロパチー)の可能かのうせいたかい。触覚しょっかくより痛覚つうかく感覚かんかく鈍麻どんまほうがデルマトームに一致いっちしやすい。

ミオトーム

ミオトームとは1ほんぜんにより支配しはいされているすじ支配しはい単位たんいである。1つの骨格こっかくすじ複数ふくすう神経しんけい支配しはいされている。神経しんけい病変びょうへん脊髄せきずいぜんかく病変びょうへん麻痺まひすじによる鑑別かんべつ困難こんなんである。末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいではしばしば単一たんいつすじ麻痺まひがみられるが、ぜんかく神経しんけい障害しょうがいでは通常つうじょう複数ふくすうすじ麻痺まひこる。

急性きゅうせい脊髄せきずいしょう[編集へんしゅう]

脊髄せきずい圧迫あっぱくによる障害しょうがいけやすく、時間じかんとともに可逆かぎゃく変化へんかをきたす。急性きゅうせい脊髄せきずい圧迫あっぱく病因びょういんとしては外傷がいしょう腫瘍しゅよう転移てんいせい脊椎せきつい腫瘍しゅようとく前立腺ぜんりつせんがんほね転移てんいなど)、血管けっかん障害しょうがい脊髄せきずいかたまくがい血腫けっしゅ)や感染かんせんしょう脊髄せきずいかたまくがい膿瘍のうようなど)がある。圧迫あっぱくせい脊髄せきずい障害しょうがい症状しょうじょう下肢かしからうえぎょうせい進展しんてんするため、ちょう経路けいろ徴候ちょうこうからうたがわれる病変びょうへんだかよりも上位じょうい実際じっさい病変びょうへんみとめられることがある。これをにせせい局在きょくざい徴候ちょうこうという。ずいぶし徴候ちょうこう背部はいぶ自発じはつつう、叩打つうがあれば病変びょうへんだかがかりとなるが、それがとぼしい場合ばあいちょう経路けいろ徴候ちょうこうから推定すいていされる病変びょうへんだかよりも上位じょうい脊髄せきずいふくめて画像がぞう検査けんさおこなう。圧迫あっぱく解除かいじょによる脊髄せきずい機能きのう回復かいふく期待きたいできるgolden timeは8時間じかん以内いないとされており、すみやかに外科げかてき減圧げんあつ処置しょち適応てきおう検討けんとうする。脊髄せきずいショック弛緩しかんせい麻痺まひけん反射はんしゃ消失しょうしつていすることがあり、急性きゅうせい多発たはつニューロパチーとの鑑別かんべつ必要ひつようとなる。

馬尾ばび症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

脊髄せきずい下端かたん高位こうい診断しんだん困難こんなんなことがおおい。それはしいたい脊髄せきずい高位こういことなるからである。脊髄せきずい円錐えんすい円錐えんすい上部じょうぶ円錐えんすいけられる。円錐えんすい上部じょうぶだい12胸椎きょうつい位置いちし、L4からS2ずいぶしである。円錐えんすいだい1腰椎ようつい位置いちし、ずいぶしはS3以下いかである。そしてだい2またはだい3腰椎ようつい以下いか馬尾ばびになる。これらは原則げんそくであり個体こたい非常ひじょうおおきい。脊髄せきずい下端かたんはL1/2がもっとおおいとされているがそれでも30%にたないのである。馬尾ばび脊髄せきずい円錐えんすいより下位かい(L2しいたい以下いか)にある神経しんけいあつまりで、L2以下いか神経しんけいが1ほんまたは複数ふくすう障害しょうがいされる。したがって臨床りんしょう症状しょうじょうたん神経しんけい症状しょうじょうないし複数ふくすう神経しんけい症状しょうじょう膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがい性腺せいせん機能きのう障害しょうがい)をていする。この部位ぶい病変びょうへんではこし下肢かしつううったえることがおおい。SLR、FNSTなど誘発ゆうはつやでおおよその局在きょくざいめていく。なお、バビンスキー反射はんしゃ反射はんしゃ中枢ちゅうすうはL4〜S1であり、ひざぶたけん反射はんしゃではL2〜L4であり、アキレス腱あきれすけん反射はんしゃではS1〜S2とかんがえる。

  円錐えんすい上部じょうぶ症候群しょうこうぐん(L4〜S2) 円錐えんすい症候群しょうこうぐん(S3〜) 馬尾ばび症候群しょうこうぐん
自発じはつつう + + +++
知覚ちかく障害しょうがい 下肢かし かい陰部いんぶ かい陰部いんぶ下肢かし
運動うんどう障害しょうがい 下肢かし下垂かすいあしすじ萎縮いしゅく線維せんいたば攣縮) - 下肢かし下垂かすいあしすじ萎縮いしゅく
深部しんぶけん反射はんしゃ ひざぶたけん反射はんしゃ(-)〜(+)、アキレス腱あきれすけん反射はんしゃ(-)〜(+) ひざぶたけん反射はんしゃ(+)、アキレス腱あきれすけん反射はんしゃ(+) ひざぶたけん反射はんしゃ(-)、アキレス腱あきれすけん反射はんしゃ(-)
病的びょうてき反射はんしゃ バビンスキー反射はんしゃ(+) バビンスキー反射はんしゃ(-) バビンスキー反射はんしゃ(-)
おもてざい反射はんしゃ   肛門こうもん反射はんしゃ(-) 肛門こうもん反射はんしゃ(-)
膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがい ++ +++ +
間欠かんけつせい跛行はこう - - +

神経しんけいしょう[編集へんしゅう]

頚椎けいついしょう[編集へんしゅう]

頚椎けいついしょうではくびいたみ、かたこり、上枝ほつえいたみ、しびれ、感覚かんかく鈍麻どんま手指しゅしうごきのぎこちなさ(巧緻こうち運動うんどう障害しょうがい)、あるきにくさ(歩行ほこう障害しょうがい)などをうったえることがおおい。いたみは起床きしょうつよく、あたたまることでちゅうらくになり、すじ疲労ひろう夕方ゆうがたいたみが増強ぞうきょうすることがおおい。

神経しんけい C5 C6 C7 C8
けん反射はんしゃ 上腕じょうわんとうすじ反射はんしゃ低下ていか 上腕じょうわんとうすじ反射はんしゃ低下ていか 上腕じょうわんさんとうすじ反射はんしゃ低下ていか 上腕じょうわんさんとうすじ反射はんしゃ低下ていか
筋力きんりょく低下ていか 三角さんかくすじ筋力きんりょく低下ていか上腕じょうわんとうすじ筋力きんりょく低下ていか 上腕じょうわんとうすじ筋力きんりょく低下ていか 上腕じょうわんさんとうすじ筋力きんりょく低下ていか 上腕じょうわんさんとうすじ筋力きんりょく低下ていか)、しょう手筋てすじ筋力きんりょく低下ていか
感覚かんかく障害しょうがい かた周辺しゅうへん ははゆびしめせゆび しめせゆび中指なかゆび 薬指くすりゆび小指こゆび

腰椎ようついしょう[編集へんしゅう]

腰椎ようついしょうをはじめ腰椎ようつい疾患しっかんでは腰痛ようつう臀部でんぶいたみといった脊柱せきちゅう症状しょうじょう下肢かしいたみ、しびれ、感覚かんかく鈍麻どんま間歇かんけつせい跛行はこう下肢かしいたみのため長距離ちょうきょりあるけない)、膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいといった神経症しんけいしょうじょうみとめられる。腰椎ようついしょうでは慢性まんせい腰痛ようつう特徴とくちょうであり、起床きしょうなどのうごはじめや長時間ちょうじかんどういち作業さぎょうでの疼痛とうつう増強ぞうきょう特徴とくちょうである。夜間やかん睡眠すいみん疼痛とうつう増強ぞうきょうする場合ばあい馬尾ばび腫瘍しゅようるいこつほねしゅ考慮こうりょされる。間欠かんけつせい跛行はこうかんしては閉塞へいそくせい動脈どうみゃく硬化こうかしょうによる血管けっかんせい間欠かんけつせい跛行はこうとの区別くべつ必要ひつようとなる。腰椎ようついしょうではまえかがみで下肢かしつう軽減けいげんすることがおおい。すなわち腰椎ようついしょうならば自転車じてんしゃならば長時間ちょうじかんはしれて、シルバーカーを使つかってあるくとらくになる。血管けっかんせいでは関係かんけいしない。

腰痛ようつう疾患しっかんにおいて問診もんしん確認かくにん推奨すいしょうされる項目こうもくは(腰椎ようつい疾患しっかん治療ちりょう成績せいせき判定はんてい基準きじゅん自覚じかく症状しょうじょうでは腰痛ようつう下肢かしつうおよびしびれ、歩行ほこう能力のうりょくかんしてである。日常にちじょう生活せいかつ動作どうさでは寝返ねがえ動作どうさがり動作どうさ洗顔せんがん動作どうさ中腰ちゅうごし姿勢しせいまたはだて持続じぞく長時間ちょうじかん(1あいだくらい)、重量じゅうりょうぶつきょじょうまたは保持ほじ歩行ほこうなどである。膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいかんしては遷延せんえんせい排尿はいにょうしき尿にょう(1にち10かい以上いじょう)、ざん尿にょうかん失禁しっきんなどの有無うむ確認かくにんする。

神経しんけい 放散ほうさんつう 知覚ちかく障害しょうがい 脱力だつりょく すじ萎縮いしゅく 反射はんしゃ 誘発ゆうはつ試験しけん
L1 鼡径大腿だいたい内側うちがわ 鼡径大腿だいたい内側うちがわ       なし
L2 こし背部はいぶがわ腹部ふくぶ大腿だいたいぜん内側うちがわ 大腿だいたいぜん内側うちがわ ひざ伸展しんてん筋力きんりょく低下ていか 大腿だいたいよんとうすじ ひざぶたけん反射はんしゃ低下ていか FNST
L3 こし背部はいぶ股関節こかんせつ大腿だいたいぜん外側そとがわ 大腿だいたいぜん外側そとがわ ひざ伸展しんてん筋力きんりょく低下ていか 大腿だいたいよんとうすじ ひざぶたけん反射はんしゃ低下ていか FNST
L4 臀部でんぶ大腿だいたい外側そとがわ下腿かたい前面ぜんめんあし内側うちがわ 下腿かたい内側うちがわあし趾内えん あしないはんくらいこごめ筋力きんりょく低下ていか 大腿だいたいよんとうすじぜん脛骨けいこつすじ ひざぶたけん反射はんしゃ低下ていか FNST
L5 せんちょう関節かんせつうえからまた下肢かし外側そとがわあしまで 下腿かたい下部かぶ外側そとがわ、1〜2趾間あし あしはは趾のこごめ低下ていかかかと困難こんなん ちゅうしりすじひざこごめすじちょうはは趾伸すじちょうたん趾伸すじ こう脛骨けいこつすじけん反射はんしゃ SLR
S1 せんちょう関節かんせつうえからまた下肢かしめんあし外縁がいえんまで こむら腹部ふくぶがわあし趾外えん あしはは趾のそここごめ低下ていか、つま先立さきだ困難こんなん だいしりすじちょうたん腓骨ひこつすじ腓腹筋ひふくきん、ヒラメすじ アキレス腱あきれすけん反射はんしゃ低下ていか SLR

麻痺まひ治療ちりょう[編集へんしゅう]

運動うんどう麻痺まひ感覚かんかく麻痺まひ徴候ちょうこうであり、治療ちりょう原因げんいん疾患しっかん治療ちりょうおこなうのが一般いっぱんてきである。しかししびれをおも訴とした来院らいいんおおいため、対症療法たいしょうりょうほう一部いちぶしめす。

特発とくはつせい良性りょうせい慢性まんせいしびれ

軽症けいしょうであればアリナミンF®(ビタミンB1)50mg 1×やメチコバール(メコバラミン、ビタミンB12)1500μみゅーg 3×、ユベラN®(トコフェノール、ビタミンE)100mg 2×、ビタメジンカプセル®50mg 1×(ふくあいビタミンざい)などを使用しようする。またこころいんせい場合ばあいおおいため、こう不安ふあんやく併用へいようすることもある。

末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい

糖尿とうにょうびょうせいニューロパチーの場合ばあい軽症けいしょう場合ばあいはキネダック®150mg 3×(エパレスタット)がよくもちいられる。キネダックはアルドース還元かんげん酵素こうそ阻害そがいやくでありアルドース還元かんげん酵素こうそ特異とくいてき阻害そがい神経しんけいないソルビトール蓄積ちくせき抑制よくせいする。神経しんけい可逆かぎゃくてき阻害そがいけていなければ有効ゆうこうとされている。糖尿とうにょうびょうせい神経症しんけいしょう疼痛とうつうやしびれに使用しようされることがおおい。尿にょうあかくなるが、それはとく問題もんだいとならない。いたみがつよくなってきた場合ばあいはキネダック®150mg 3×にくわえてメキシチール®(メキシレチン)300mg 3×を併用へいようする場合ばあいおおい。メキシチールはI bぐんこう不整脈ふせいみゃくやくであり、不整脈ふせいみゃく誘発ゆうはつすることがあるので投与とうよまえに心電図しんでんず検査けんさすることがのぞましい。1かげつをめどに使用しよう効果こうかがなければ2週間しゅうかん退すさくすりする。またいたみが難治なんじせいとなった場合ばあいはテグレトール®400mg 2×(カルバマゼピン)を使用しようすることもおおい。このいたみによってうつ状態じょうたいとなることもおおく、こううつやくこう不安ふあんやく効果こうかてき場合ばあいもある。トフラニール®30mg 3×(イミプラミン)はさんたまきけいこううつやくであり、セルシン6mg 3×(ジアゼパム)はこう不安ふあんやくである。セルシン®とテグレトール®の併用へいようはしばしばおこなわれる。だが、日常にちじょう生活せいかつ支障ししょうがでるほどの糖尿とうにょうびょうせい神経症しんけいしょうでは神経しんけい可逆かぎゃくてき変化へんかこしておりこれらの薬物やくぶつ効果こうかてきでない場合ばあいおおい。その場合ばあいいたみ、しびれはうったえないこともある。

アルコールや栄養えいよう障害しょうがいのニューロパチーをうたがった場合ばあいはビタメジンカプセル(50)3C3×とメチコバール 1500μみゅーg 3×を併用へいようすることもある。

かん症候群しょうこうぐん

この場合ばあいげん疾患しっかん治療ちりょうとNSAIDsによる疼痛とうつうおこな場合ばあいおおい。浮腫ふしゅたいしてラシックス&reg(フロセミド);40mg1×も使用しようされる。

神経痛しんけいつう

テグレトール®(カルバマゼピン)が頻用ひんようされる。帯状疱疹たいじょうほうしんなどではフランドルテープ®が効果こうかてきなこともある。

急性きゅうせい腰痛ようつうしょう

急性きゅうせい腰痛ようつうしょう薬物やくぶつ療法りょうほうとしてはNSAIDs、すじ弛緩しかんやくミオナールアロフト)、ワクニシアウイルス接種せっしゅうさぎ炎症えんしょう皮膚ひふ抽出ちゅうしゅつえきノイロトロピン)、ビタミンB12製剤せいざい、プロスタグランジン製剤せいざいこううつやく漢方薬かんぽうやくこう不安ふあんやくこうてんかんやくなどがもちいられる。プロスタグランジン製剤せいざいではプロレナールオパルモンなどがもちいられる。プロスタグランジンE1誘導体ゆうどうたいであり腰部ようぶ脊柱せきちゅうかん狭窄きょうさくしょうによる下肢かしのしびれやいたみにたいしてもちいる。循環じゅんかん障害しょうがい軽快けいかいにて症状しょうじょう緩和かんわさせる。軽症けいしょうから中等ちゅうとうしょうでは効果こうかがあるが重症じゅうしょうれいでは効果こうか限定げんていてきであり有効ゆうこうりつは50%程度ていどとされる。副作用ふくさよう消化しょうか症状しょうじょう動悸どうき、ほてりなどである。漢方薬かんぽうやくでは牛車うしぐるまじんまるはちあじ地黄じおうまるなどがもちいられる。はちあじ地黄じおうまる腰部ようぶ脊柱せきちゅうかん狭窄きょうさくしょうたいしてはRCTで70%の効果こうかがありNSIDsより有効ゆうこうとされている。牛車うしぐるまじんまるはちあじ地黄じおうまるに2つの生薬きぐすり配合はいごう効果こうか増強ぞうきょうされている。

ギャラリー[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Cook, Danielle; Simons, David J. (2023), Neuromuscular Blockade, StatPearls Publishing, PMID 30855885, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK538301/ 2023ねん10がつ21にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • カラーイラストでまな神経しんけい症候しょうこうがく ISBN 978-4-8306-1541-2
  • 問題もんだい解決かいけつがた 救急きゅうきゅう初期しょき診療しんりょう ISBN 4-260-12255-X
  • 問題もんだい解決かいけつがた 救急きゅうきゅう初期しょき検査けんさ ISBN 4-260-00463-8
  • Step By Step! 初期しょき診療しんりょうアプローチ(だい4かんISBN 4-903331-68-7
  • 神経しんけい内科ないかケーススタディ ISBN 4-88002-425-2
  • Q&Aとイラストでまな神経しんけい内科ないか ISBN 4-88002-463-5
  • マッシー池田いけだ神経しんけい内科ないか快刀かいとう乱麻らんま!(下巻げかんISBN 4-903331-26-1

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]