比重ひじゅう (医学いがく)

脊髄せきずいくも膜まく下か麻酔ますいに用もちいられるアミド型がた局所きょくしょ麻酔ますい薬やく、ブピバカインの等とう比重ひじゅう液えき

脊髄せきずいくも膜まく下か麻酔ますいに用もちいられるアミド型がた局所きょくしょ麻酔ますい薬やく、ブピバカインの高こう比重ひじゅう液えき

比重ひじゅう（ひじゅう、英えい: baricity）とは、物質ぶっしつの密度みつどをヒトの脳のう脊髄せきずい液えきの密度みつどと比較ひかくしたものである。麻酔ますい科か領域りょういきで、髄ずい腔内投与とうよにおける薬物やくぶつの拡散かくさん性せいを判断はんだんするために用もちいられる。

解説かいせつ

脳のう脊髄せきずい液えきの密度みつどがおよそ1.003+/-0.003であることから、比重ひじゅうが1.000に近ちかい溶液ようえきは等とう比重ひじゅう(英えい: isobaric)と呼よばれる。比重ひじゅうが0.999未満みまんの溶液ようえきは低てい比重ひじゅう(英えい: hypobaric)と呼よばれ、通常つうじょう、局所きょくしょ麻酔ますい薬やくを蒸留じょうりゅう水すいと混合こんごうすることで作成さくせいされる。高こう比重ひじゅう液えき(英えい: hyperbaric)は、5～8％のブドウ糖ぶどうとう液えきと目的もくてきの局所きょくしょ麻酔ますい薬やくを混合こんごうして作成さくせいされる。日本にっぽんでは粉末ふんまつ製剤せいざいのテトラカインが多おおく使つかわれてきた。2023年ねん現在げんざいでは調整ちょうせい済ずみのブピバカインの高こう比重ひじゅう液えきと等とう比重ひじゅう液えきが市販しはんされており、それらが使用しようされることも多おおい。

高こう比重ひじゅう液えきは重力じゅうりょくの方向ほうこうに流ながれ、髄ずい腔内の最もっとも下したの領域りょういきに沈降ちんこうする。逆ぎゃくに、低てい比重ひじゅう液えきは、重力じゅうりょくの反対はんたい方向ほうこうに上昇じょうしょうする。これらの特性とくせいにより、麻酔ますい科か医いは比重ひじゅう、麻酔ますい薬やくの選択せんたくと患者かんじゃの体位たいいによって、脊髄せきずいくも膜まく下か麻酔ますいの広ひろがりを優先ゆうせん的てきに制御せいぎょすることができる。同おなじ濃度のうどでも、比重ひじゅうが異ことなると力ちから価かが異ことなる。例たとえば、ブピバカインであれば、同おなじ運動うんどうブロックを得えるのに必要ひつような量りょうの比ひは高こう比重ひじゅう/等とう比重ひじゅう = 0.72と等とう比重ひじゅうの方ほうが力ちから価かが低ひくくなる