ASA-PS

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ASA physical status classification system
医学いがく的てき診断しんだん
目的もくてき 手術しゅじゅつ前まえに患者かんじゃの健康けんこう状態じょうたいを評価ひょうかする

ASA-PS（ASA physical status classification system）は、アメリカ麻酔ますい科か学会がっかい（American Society of Anesthesiologists: ASA）（英語えいご版ばん）による全身ぜんしん状態じょうたい分類ぶんるいである。ASA-PSは、手術しゅじゅつ前まえの患者かんじゃの健康けんこう状態じょうたいを評価ひょうかするシステムであるが、単独たんどくで手術しゅじゅつリスクを評価ひょうかするものではない[1]。1963年ねんにASAは、5つのカテゴリーからなる身体しんたい状態じょうたい分類ぶんるいシステムを採用さいようした。手術しゅじゅつ前まえのASA-PSと予よ後ごは相関そうかんする[2]。

全身ぜんしん状態じょうたいを6クラスに分類ぶんるいしており、緊急きんきゅう手術しゅじゅつの場合ばあいは「E」を併記へいきする。これらは以下いかの通とおりである。

手術しゅじゅつが緊急きんきゅうの場合ばあいは、身体しんたい状態じょうたい分類ぶんるいの後のちに "E"（緊急きんきゅうの意味いみ）が付つく。クラス5は通常つうじょう緊急きんきゅう手術しゅじゅつであるため、通常つうじょう「5E」となる。脳死のうし患者かんじゃの臓器ぞうき摘出てきしゅつはすべて緊急きんきゅうに行おこなわれるため、クラス "6E "は存在そんざいせず、単たんにクラス "6 "として記録きろくされる。ASA-PSが最初さいしょに考案こうあんされた1940年ねん当時とうじの緊急きんきゅうの定義ていぎは、"外科げか医いの見解けんかいでは、遅滞ちたいなく行おこなうべき外科げか処置しょち "[3]であったが、2002年ねんに"（処置しょちの）遅滞ちたいが患者かんじゃの生命せいめいまたは身体しんたい部位ぶいに対たいする脅威きょういを著いちじるしく増大ぞうだいさせる場合ばあい "と再さい定義ていぎされている[4]。

2020年ねん改訂かいてい[編集へんしゅう]

2020年ねんに下表かひょうの通とおり、改訂かいていされた[1]。小児しょうにや妊にん婦ふに関かんして具体ぐたい例れいが拡張かくちょうされている。

クラス 定義ていぎ 成人せいじん 小児しょうに 妊にん婦ふ
Ⅰ 正常せいじょう健常けんじょう者しゃ 非ひ喫煙きつえん、非ひ飲酒いんしゅ(またはほとんど飲のまない)の健常けんじょう者しゃ 健常けんじょう児じ(急性きゅうせい・慢性まんせい疾患しっかんを有ゆうさない)、年齢ねんれいに応おうじた正常せいじょうBMI域内いきない
Ⅱ 軽度けいどの全身ぜんしん疾患しっかん 機能きのう的てき障害しょうがいを伴ともなわない軽度けいどの疾患しっかん、喫煙きつえん者しゃ、機会きかい飲酒いんしゅ、30<BMI<40、コントロール良好りょうこうなDM/HT、軽症けいしょう肺はい疾患しっかん 無む症候しょうこう性せいの先天せんてん性せい心こころ疾患しっかん、コントロール良好りょうこうな不整脈ふせいみゃく・てんかん、急性きゅうせい増悪ぞうあくのない喘息ぜんそく、2型がた糖尿とうにょう病びょう、年齢ねんれい別べつ正常せいじょう域内いきないを逸脱いつだつしたBMI、軽けい・中等ちゅうとう症しょうのOSA、寛解かんかい期きの腫瘍しゅよう、生活せいかつ制限せいげんの少すくない自閉症じへいしょう 正常せいじょう妊娠にんしん、コントロール良好りょうこうな妊娠にんしん高だか血圧けつあつ、重症じゅうしょう症状しょうじょうを伴ともなわない子癇しかん前まえ症しょう、食事しょくじでコントロールされているDM
Ⅲ 重度じゅうどの全身ぜんしん疾患しっかん 実質じっしつ的てきな機能きのう制限せいげん；1つ以上いじょうの中等ちゅうとう度どから重度じゅうどの疾患しっかんがある。コントロール不良ふりょうのDM/HT、COPD、病的びょうてき肥満ひまん（BMI≥40）、活動かつどう性せい肝炎かんえん、アルコール依存いぞんまたは乱用らんよう、ペースメーカー植うえ込こみ、駆か出で率りつの中ちゅう程度ていど低下ていか、維持いじ透析とうせき、3ヶ月かげつ以上いじょう経過けいかしたMI、CVA、TIA、CADきゃど/ステントの病歴びょうれき。 未み修正しゅうせいの安定あんていした先天せんてん性せい心こころ疾患しっかん、急性きゅうせい増悪ぞうあくを伴ともなう喘息ぜんそく、コントロール不良ふりょうのてんかん、1型がた糖尿とうにょう病びょう、病的びょうてき肥満ひまん、栄養えいよう不良ふりょう、重度じゅうどのOSA、担癌、腎不全じんふぜん、筋きんジストロフィー、嚢胞のうほう性せい線維せんい症しょう、臓器ぞうき移植いしょく歴へ、脳のう/脊髄せきずい奇形きけい、症候しょうこう性せい水みず頭あたま症しょう、受胎じゅたい後ご週しゅう数すう60週しゅう未満みまんの未熟みじゅく児じ、重度じゅうどの生活せいかつ制限せいげんのある自閉症じへいしょう、代謝たいしゃ性せい疾患しっかん、困難こんなん気道きどう、長期ちょうき静脈じょうみゃく栄養えいよう。生後せいご6週しゅう以内いないの満期まんき産児さんじ 重症じゅうしょうの子癇しかん前まえ症しょう、併存へいそん症しょうのある又またはインスリンの必要ひつよう量りょうが多おおい妊娠にんしん性せいDM、抗こう凝固ぎょうこ療法りょうほうを必要ひつようとする血栓けっせん性せい疾患しっかん
Ⅳ 生命せいめいに脅威きょういを及およぼす重度じゅうどの全身ぜんしん疾患しっかん 最近さいきん(3ヶ月かげつ未満みまん)の心筋梗塞しんきんこうそく、CVA、TIA、またはCADきゃど/ステント、進行しんこう中ちゅうの心臓しんぞう虚きょ血ちまたは重度じゅうどの弁べん機能きのう障害しょうがい、重度じゅうどの駆か出で率りつ低下ていか、ショック、敗血症はいけつしょう、播種はしゅ性せい血管けっかん内ない凝固ぎょうこ症候群しょうこうぐん、非ひ維持いじ透析とうせきの急性きゅうせい腎不全じんふぜんまたは末期まっき腎不全じんふぜん 先天せんてん性せい心こころ疾患しっかん、うっ血けつ性せい心不全しんふぜん、未熟みじゅく児じ後遺症こういしょう、急性きゅうせい低てい酸さん素性すじょう脳症のうしょう、ショック、敗血症はいけつしょう、播種はしゅ性せい血管けっかん内ない凝固ぎょうこ症候群しょうこうぐん、自動じどう植込うえこみ型がた除じょ細ほそ動どう器き、人工じんこう呼吸こきゅう器き依存いぞん、内分泌ないぶんぴつ障害しょうがい、重症じゅうしょう外傷がいしょう、重症じゅうしょう呼吸こきゅう窮迫きゅうはく、進行しんこうした癌がんの状態じょうたい HELLP症候群しょうこうぐんやその他たの有害ゆうがい事象じしょうを合併がっぺいした重症じゅうしょうの子癇しかん前まえ症しょう、EF＜40の周しゅう産さん期き心筋しんきん症しょう、未み修正しゅうせい又または非ひ代償だいしょう性せいの心しん疾患しっかん(後天こうてん性せい・先天せんてん性せい)。
Ⅴ 手術しゅじゅつ無なしでは救命きゅうめい不可能ふかのうな瀕死ひんしの患者かんじゃ 腹部ふくぶ(胸部きょうぶ)大動脈だいどうみゃく瘤こぶ破裂はれつ、重度じゅうど外傷がいしょう、脳のう実質じっしつ圧あつ排はいのある脳のう内ない出血しゅっけつ、重大じゅうだいな心しん障害しょうがいや多た臓器ぞうき・多た系統けいとうの障害しょうがいを惹起じゃっきした虚きょ血ち性せい腸ちょう炎えん 重度じゅうど外傷がいしょう、脳のう実質じっしつ圧あつ排はいのある脳のう内ない出血しゅっけつ、ECMO下した、呼吸こきゅう不全ふぜん又または呼吸こきゅう停止ていし、悪性あくせい高だか血圧けつあつ、非ひ代償だいしょう性せいうっ血けつ性せい心不全しんふぜん、肝きも性せい脳症のうしょう、腸管ちょうかん虚きょ血ち、多た臓器ぞうき又または多た系統けいとうの機能きのう障害しょうがい 子宮しきゅう破裂はれつ
Ⅵ 脳死のうしドナー

略語りゃくご）DM: 糖尿とうにょう病びょう、CADきゃど: 冠動脈かんどうみゃく疾患しっかん、HT: 高血圧こうけつあつ、MI: 心筋梗塞しんきんこうそく、CVA: 脳卒中のうそっちゅう、TIA: 一過性脳虚血性発作、OSA: 閉塞へいそく性せい睡眠すいみん時じ無む呼吸こきゅう、HELLP: Hemolysis, Elevated Liver enzymes, Low Platelet、DIC: 播種はしゅ性せい血管けっかん内ない凝固ぎょうこ。

制限せいげん事項じこうおよび修正しゅうせい案あん[編集へんしゅう]

これらの定義ていぎは、"ASA Relative Value Guide"の各かく年度ねんど版ばんに記載きさいされている。これらのカテゴリーをさらに定義ていぎするのに役立やくだつ追加ついか情報じょうほうはない[5]。

ASAの状態じょうたい分類ぶんるいシステムの一いち例れいとして、歯科しかの専門せんもん家かが使用しようしているものがある[6]。多おおくの場合ばあい、分類ぶんるいを決定けっていするために「機能きのう的てき制限せいげん」または「不安ふあん」を含ふくめるが、これは実際じっさいの定義ていぎには記載きさいされていないが、特定とくていの複雑ふくざつな症例しょうれいに対処たいしょする際さいに有益ゆうえきであることが判明はんめいする可能かのう性せいがある。同おなじ症例しょうれいでも、麻酔ますい科か医いによってグレードが異ことなることがよくある[7][8][9][10]。

一部いちぶの麻酔ますい科か医いは、緊急きんきゅう事態じたい（Emergency）に対たいする「E」修正しゅうせい記号きごうのように、妊娠にんしん（Pregnancy）に対たいする「P」修正しゅうせい記号きごうをASAスコアに加くわえるべきだと提案ていあんしている[11]。

適応てきおう[編集へんしゅう]

麻酔ますい科か医いは、ASA-PSを術じゅつ前まえの患者かんじゃの全体ぜんたい的てきな健康けんこう状態じょうたいを示しめすために用もちいるが、病院びょういん、法律ほうりつ事務所じむしょ、認証にんしょう機関きかん[注釈ちゅうしゃく 1]、その他たの医療いりょう機関きかんでは、ASA-PSが手術しゅじゅつリスクを予測よそくする尺度しゃくど（麻酔ますいリスクでは無むく）として誤解ごかいされ[12]、その結果けっか、患者かんじゃが手術しゅじゅつを受うけるべきか、受うけるべきであったかを決定けっていすることになりかねない[13]。手術しゅじゅつリスクの予測よそくには、年齢ねんれい[14]、併存へいそん疾患しっかん（comorbidity）（英語えいご版ばん）の有無うむ[14][15]、手術しゅじゅつ手技しゅぎの性質せいしつと範囲はんい[16][17]、麻酔ますい法ほうの選択せんたく[15]、手術しゅじゅつチーム（外科げか医い、麻酔ますい科か医い、補助ほじょスタッフ）の能力のうりょく[16][17]、手術しゅじゅつや麻酔ますいの時間じかん[16][17]、設備せつび・薬剤やくざい・輸血ゆけつ・インプラントの利用りよう可能かのう性せい[16][17]、適切てきせつな術後じゅつごケア[16][15]などの他ほかの要因よういんも重要じゅうようである。

歴史れきし[編集へんしゅう]

麻酔ますい薬やくを投与とうよしているエメリー・ロベンシュタイン（Emery Rovenstine）（英語えいご版ばん）。1962年ねんより、彼かれの名なを冠かんした記念きねん講演こうえんがアメリカ麻酔ますい科か学会がっかいで毎年まいとし行おこなわれている。

1940年ねんから41年ねんにかけて、ASAは3人にんの医師いしからなる委員いいん会かい（Meyer Saklad、エメリー・ロベンシュタイン（Emery Rovenstine）（英語えいご版ばん）、Ivan Taylor）に、麻酔ますいにおける統計とうけいデータの収集しゅうしゅうと集計しゅうけいについて調査ちょうさ、検討けんとう、実験じっけんを行おこない、どのような状況じょうきょうでも適用てきようできるシステムを考案こうあんするよう依頼いらいした[3]。この努力どりょくは、リスクを層そう別べつ化かした最初さいしょの医療いりょう専門せんもん分野ぶんやであった[18]。彼かれらの使命しめいは手術しゅじゅつリスクの予測よそく因子いんしを決定けっていすることであったが、彼かれらはこの課題かだいを考案こうあんすることは不可能ふかのうであるとすぐに却下きゃっかした。彼かれらはこう述のべている。

「これまで "手術しゅじゅつリスク "と考かんがえられてきたものを標準ひょうじゅん化かし、定義ていぎしようと試こころみたところ、この用語ようごは...使用しようできないことがわかった。麻酔ますい記録きろくや、将来しょうらい的てきな麻酔ますい薬やくや手術しゅじゅつ手技しゅぎの評価ひょうかのためには、身体しんたい的てき状態じょうたいのみに関連かんれんして分類ぶんるいし、評価ひょうかすることが最善さいぜんであると考かんがえられた。」[13]

彼かれらが提案ていあんした尺度しゃくどは、患者かんじゃの術じゅつ前ぜん状態じょうたいのみを扱あつかうものであり、手術しゅじゅつ手技しゅぎや手術しゅじゅつ結果けっかに影響えいきょうしうる他ほかの因子いんしには対応たいおうしていない。彼かれらは、全国ぜんこく各地かくちの麻酔ますい科か医いが彼かれらの「共通きょうつう用語ようご」を採用さいようし、手術しゅじゅつ手技しゅぎ『と併あわせて』患者かんじゃの術じゅつ前ぜん状態じょうたいと転帰てんきを比較ひかくすることで、罹患りかん率りつと死亡しぼう率りつの統計とうけい的てき比較ひかくが可能かのうになることを望のぞんでいた。
—Scott Segal、Women Presenting in Labor Should be Classified as ASA E（SOAP 2003 newsletter）、[19]

彼かれらは、健康けんこうな人ひと（クラス1）から、生命せいめいに差さし迫せまった脅威きょういである極度きょくどの全身ぜんしん性せい障害しょうがいを持もつ人ひと（クラス4）までの6段階だんかいの尺度しゃくどを説明せつめいした（下表かひょう）。彼かれらの尺度しゃくどの最初さいしょの4点てんは、今日きょうのASAのクラス1～4にほぼ対応たいおうしており、1963年ねんに初はじめて発表はっぴょうされた[3][7]。原著げんちょ者しゃたちは、後のちに最初さいしょの2つのクラス（クラス1又または2）または後ごの2つのクラス（クラス3または4）のいずれかに分類ぶんるいされたであろう緊急きんきゅう事態じたいを包含ほうがんする2つのクラスを含ふくめていた。1963年ねんに現在げんざいの分類ぶんるいが発表はっぴょうされるまでに、2つの修正しゅうせいが加くわえられた。第だい一いちに、以前いぜんのクラス5と6が削除さくじょされ、手術しゅじゅつの有無うむにかかわらず、24時じ間あいだ生存せいぞんする見込みこみのない病的びょうてき状態じょうたいの人ひとのために、新あたらしいクラス5が追加ついかされた。第だい二にに、緊急きんきゅう事態じたいのためのクラス5、6が廃止はいしされ、別べつ系統けいとうの "E "接尾せつび辞じが追加ついかされた[19][20]。6番目ばんめのクラスは現在げんざい、脳死のうし臓器ぞうき提供ていきょう者しゃに使用しようされている。Sakladは、統一とういつを促うながすために、各かくクラスの患者かんじゃの例れいを示しめした。しかし、残念ざんねんなことに、ASAは後のちに各かくカテゴリーについて患者かんじゃの例れいを挙あげて説明せつめいしなかったため、かえって混乱こんらんを招まねいた。

Sakladらによる原案げんあん[編集へんしゅう]

クラス 定義ていぎ
1 器質きしつ的てき病変びょうへんがない、または病変びょうへんが局所きょくしょ的てきで全身ぜんしん的てきな障害しょうがいや異常いじょうを引ひき起おこさない患者かんじゃ。

例れい：クラス1に該当がいとうする患者かんじゃは、ショック、出血しゅっけつ、塞ふさが栓せん、全身ぜんしん性せいの障害しょうがいの徴候ちょうこうがない限かぎり、骨折こっせつ患者かんじゃを含ふくむ。先天せんてん性せいの奇形きけいも含ふくまれるが、全身ぜんしん的てきな障害しょうがいを引ひき起おこしている場合ばあいは除のぞく。局所きょくしょ的てきで発熱はつねつのない感染かんせん症しょう、多おおくの骨ほね変形へんけい、合併症がっぺいしょうのないヘルニアも含ふくまれる。患者かんじゃの身体しんたい状態じょうたいのみが考慮こうりょされるため、どのような手術しゅじゅつもこのクラスに入はいる可能かのう性せいがある。

2 中等ちゅうとう度どであるが明あきらかな全身ぜんしん性せいの障害しょうがいで、治療ちりょう対象たいしょう疾患しっかんまたは外科げか的てき介入かいにゅうによって引ひき起おこされるもの、あるいは他たの既存きそんの病的びょうてき過程かていによって引ひき起おこされるものがこのクラスに属ぞくする。

例れい: 軽度けいどの糖尿とうにょう病びょう、機能きのう的てき能力のうりょくIまたはIIa、自分じぶんで自分じぶんのケアができない精神病せいしんびょう患者かんじゃ、軽度けいどのアシドーシス、中等ちゅうとう度どの貧血ひんけつ、敗血症はいけつしょうまたは急性きゅうせい咽頭いんとう炎えん、後こう鼻はな漏もを伴ともなう慢性まんせい副ふく鼻腔びこう炎えん、急性きゅうせい副ふく鼻腔びこう炎えん、全身ぜんしん性せい反応はんのうを引ひき起おこす軽症けいしょうまたは表おもて在ざい性せいの感染かんせん症しょう(全身ぜんしん反応はんのうがない場合ばあいは、発熱はつねつ、倦怠けんたい感かん、白血球はっけっきゅう増加ぞうかなどが分類ぶんるいの助たすけとなる)、部分ぶぶん的てきな気道きどう閉塞へいそくを引ひき起おこす非ひ機能きのう性せいの甲状腺こうじょうせん腺腫せんしゅ、軽度けいどの甲状腺こうじょうせん中毒ちゅうどく症しょう、急性きゅうせい骨髄こつづい炎えん（早期そうき）、慢性まんせい骨髄こつづい炎えん、活動かつどうに支障ししょうをきたすほどの肺はい組織そしきの浸潤しんじゅんがあり、他たの症状しょうじょうを伴ともなわない肺結核はいけっかく。

3 何なんらかの原因げんいんによる全身ぜんしん性せいの重じゅう篤あつしな障害しょうがい。これは臨床りんしょう的てき判断はんだんの問題もんだいであるため、重症じゅうしょう度どの絶対ぜったい的てきな尺度しゃくどを示しめすことはできない。以下いかの例れいは、このクラスとクラス2との違ちがいを示しめすための参考さんこう例れいである。

例れい: 合併症がっぺいしょうがある、または重度じゅうどの糖尿とうにょう病びょう、機能きのう的てき能力のうりょくⅡb、心臓しんぞう病びょうと呼吸こきゅう器き疾患しっかんの合併がっぺい、またはその他たの正常せいじょう機能きのうを著いちじるしく損そこなうもの、重じゅう篤あつしな生理せいり的てき障害しょうがいを引ひき起おこすのに十分じゅうぶんな期間きかん存在そんざいする完全かんぜんな腸閉塞ちょうへいそく。病変びょうへんの程度ていどまたは治療ちりょう[注釈ちゅうしゃく 2]のため、頻しき脈みゃくまたは呼吸こきゅう困難こんなんを引ひき起おこすほどに肺活量はいかつりょうが低下ていかした肺結核はいけっかく。長期ちょうきにわたる病気びょうきで衰弱すいじゃくし、全身ぜんしんまたはいくつかの臓器ぞうきが弱よわっている患者かんじゃ、事故じこによる重度じゅうどの外傷がいしょうで、治療ちりょうにより改善かいぜんする可能かのう性せいのあるショック、肺はい膿瘍のうよう。

4 治療ちりょうの種類しゅるいにかかわらず、すでに生命せいめいに差さし迫せまった脅威きょういとなっている重じゅう篤あつしな全身ぜんしん疾患しっかん。その期間きかんまたは性質せいしつのために、すでに不ふ可逆かぎゃく的てきな損傷そんしょうが生体せいたいに生しょうじている。このクラスは、身体しんたい状態じょうたいが極端きょくたんに悪わるい患者かんじゃのみを対象たいしょうとする。この分類ぶんるいを使用しようする機会きかいはあまりないかもしれないが、非常ひじょうに状態じょうたいの悪わるい患者かんじゃを他たの患者かんじゃと区別くべつする目的もくてきには役立やくだつはずである。

例れい: 機能きのう的てき能力のうりょくⅢ-(心臓しんぞう機能きのうの非ひ代償だいしょう的てき低下ていか)、修復しゅうふく不可能ふかのうな重度じゅうどの外傷がいしょう、すでに衰弱すいじゃくしている患者かんじゃにおける、長期間ちょうきかんにわたる完全かんぜんな腸閉塞ちょうへいそく、著いちじるしい腎じん機能きのう障害しょうがいを伴ともなう心こころ血管けっかん系けい-腎じん疾患しっかんの合併がっぺい、二に次じ出血しゅっけつを止とめるために麻酔ますいが必要ひつようだが、著ちょ明あかりな出血しゅっけつに伴ともなって患者かんじゃの状態じょうたいが悪わるい場合ばあい。

緊急きんきゅう手術しゅじゅつ： 緊急きんきゅう手術しゅじゅつとは、外科げか医いの見解けんかいにより、遅滞ちたいなく行おこなわれるべき手術しゅじゅつとして任意にんいに定義ていぎされる。

5 クラス1またはクラス2に分類ぶんるいされる緊急きんきゅう事態じたい。
6 クラス3またはクラス4に分類ぶんるいされる緊急きんきゅう事態じたい。

2014年ねんアメリカ麻酔ますい学会がっかいの術じゅつ前ぜん身体しんたい状態じょうたい分類ぶんるいに参考さんこうとなる具体ぐたい例れいが追加ついかされた[21]（ASA Physical Status Classification System. Last approved by the ASA House of Delegates on October 15, 2014）。下記かきの通とおりである。

妊娠にんしんは病気びょうきではないが、出産しゅっさん時じの生理せいり的てき状態じょうたいは通常つうじょう時じと大おおきく異ことなるため、合併症がっぺいしょうのない妊娠にんしん中ちゅうの女性じょせいは Class Ⅱ に分類ぶんるいされる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 日本にっぽんでは、日本にっぽん医療いりょう機能きのう評価ひょうか機構きこうや日本にっぽん専門医せんもんい機構きこうなど
  2. ^ かつては結核けっかくの治療ちりょうのために肋骨あばらぼねを数すう本ほん切除せつじょする胸郭きょうかく形成けいせい術じゅつが行おこなわれ、そのために肺はい容量ようりょうが大幅おおはばに縮小しゅくしょうした。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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