いろはにほうさく

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『いろはにほうさく(いろはにほうさく)は、小林こばやしよしのりによる日本にっぽんギャグ漫画まんが作品さくひん。『週刊しゅうかん少年しょうねんチャンピオン』(秋田あきた書店しょてん)にて、1984ねん36ごうから1986ねん24ごうまで連載れんさいされた。単行本たんこうぼんぜん9かん

概要がいよう[編集へんしゅう]

小林こばやしがもっともっているキャラクターは、デビューさくはつ連載れんさいさく出世しゅっせさくである『東大とうだい一直線いっちょくせん』のめい脇役わきやく多分たぶん田吾作たごさくである。
東大とうだいかい進撃しんげき』の終了しゅうりょうはつのヒットさくくるしんでいた小林こばやしは、多分たぶんをあちこちの作品さくひんスター・システム出演しゅつえんさせていた。

この多分たぶんをアレンジさせたキャラクターでえがいた作品さくひんが、これまで小林こばやし作品さくひんつづけた雑誌ざっしでは比較的ひかくてきなが部類ぶるいはいる『週刊しゅうかんヤングジャンプ』(集英社しゅうえいしゃ)の1983ねん47ごう掲載けいさいされた、『ぬの抜呆さくでん』(ふぬけほうさくでん)である(単行本たんこうぼんとしては講談社こうだんしゃコミックスのう戦士せんし』3かん収録しゅうろく)。
そして『週刊しゅうかん少年しょうねんチャンピオン』ではじめてがけた作品さくひんが『ぬの抜呆さくでん』を原型げんけいとするほんさくだが、「ほけ」は差別さべつ用語ようごであるという理由りゆうでひらがな表記ひょうきとなり小林こばやし愕然がくぜんとしたという。

連載れんさいだい1かいにおいて小林こばやし漫画まんがとしてはひさしぶりに人気にんき投票とうひょう1となったが、そのはいくら頑張がんばっても3〜4まりで、この原因げんいん小林こばやしは「当時とうじのチャンピオンはまだ不良ふりょうケンカぶつ漫画まんが比較的ひかくてきおおめていたからではないか」と分析ぶんせきしている。

単行本たんこうぼんだい8かんから完結かんけつまでは『天才てんさいへん』となっている(通称つうしょうであり、サブタイトルとう正式せいしきうたわれているわけではない)。小林こばやし当時とうじ単行たんこうほんで「しんのアホはしん天才てんさいである」という持論じろん展開てんかいしており、それを証明しょうめいするものとして『天才てんさいへん』では主人公しゅじんこう・ほうさくきゅう天才てんさい物理ぶつり学者がくしゃとなる姿すがたえがかれている。
だい7かんまでは一部いちぶはなしのぞいていち完結かんけつであったが、『天才てんさいへん』は連続れんぞくしたストーリーとなっており、ときにシリアスな展開てんかいられる。

単行本たんこうぼんだい7かん最終さいしゅうばなしファミコンよくしか!」は『週刊しゅうかん少年しょうねんチャンピオン』には掲載けいさいされておらず単行本たんこうぼんのみにえがろされた新作しんさく

ほん作品さくひんでの原作げんさくしゃめいクレジットは「小林こばやしよしのり&NORMAL-ZOKU」。
小林こばやしはこの連載れんさいにはすでスタジオせいいており、当時とうじチーフアシスタントだった山田やまだ浩一こういちや、現在げんざいもアシスタントをつづける広井ひろい英雄ひでおふくめて4〜5にんのアシスタントがいた。かれらについては単行本たんこうぼんのおまけページ「よしりんのはらいせ日記にっき」などで、そのキャラクターをうかがることができる(ここでは小林こばやし自身じしんも「最近さいきんやたらとひげびる…これってうれずかしだい性徴せいちょう!?」、「仕事場しごとば夜中よなかいちにん徹夜てつやしてるときにいきなり大声おおごえさけんでしまった」、「仕事場しごとば夜中よなかいちにん徹夜てつやしてるときだいあくびしたらアゴがはずれた」など当時とうじ近況きんきょうつづっていた)。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

いろはに ほうさく(いろはに ほうさく)
ほんさく主人公しゅじんこう小学校しょうがっこう5年生ねんせいなつから中学校ちゅうがっこう入学にゅうがくまでが作中さくちゅうえがかれる。
コピーライター目指めざし(連載れんさい開始かいし当初とうしょ並行へいこうしてデザイナーも志望しぼうしていた)、九州きゅうしゅう馬尻うまじりむら[1]から上京じょうきょう安田やすだにやって居候いそうろうすることになる。
その外見がいけん言動げんどうともに底抜そこぬけのアホで、つね鼻水はなみずらしている。頭頂とうちょうがハゲており、ハゲの部分ぶぶんなんたたいて刺激しげきかみやそうとしているが効果こうかられない。
身長しんちょうは5年生ねんせいが99cm、6年生ねんせいに102cm。大食漢たいしょくかんかつふとりやすい体質たいしつ両親りょうしん梨子なしご体型たいけいても血統けっとうてきものもあるとおもわれる)で、あまりにふとりすぎたためダイエットにはげ場面ばめんもある。
ところかまわず堂々どうどう脱糞だっぷんし、とき自分じぶんからだなんばいものおおきさの大便だいべんこともある。また性欲せいよくつよさも小学生しょうがくせいばなれしており、とく物語ものがたり前半ぜんはんせい犯罪はんざいレベルの行動こうどう目立めだつ。平気へいき性器せいき露出ろしゅつすることおおく、天才てんさいへんではみみせんをした状態じょうたい担任たんにん森田もりた首筋くびすじ性器せいきをくっつけて声帯せいたい振動しんどうからなにったかをるというはなわざをやってのけた。
一人称いちにんしょうは「あて」で博多はかたべんはなす。
連載れんさい終盤しゅうばんの『天才てんさいへん』ではおもねとめらにいじめられまわされた挙句あげくみずのない校内こうないプールにあたまからんで大量たいりょう出血しゅっけつなんはりうというだい怪我けがう。そのさい頭部とうぶけたショックにより天才てんさいてき頭脳ずのうとなってしまい(ただしいつもの言動げんどう自体じたいはアホのまま)、天才てんさい物理ぶつり学者がくしゃへと変貌へんぼう。そして巡航じゅんこうミサイル搭載とうさいした原子げんしばくだん製造せいぞうはじまり、おわりいには現実げんじつ世界せかいでは4つのちから電気でんきりょく磁力じりょくつよ相互そうご作用さようよわ相互そうご作用さよう)まで集約しゅうやくされた理論りろん物理ぶつりがく終結しゅうけつさせてしまうという究極きゅうきょくの「ほうさく理論りろん」を発見はっけんするなど、クライマックスが展開てんかいされる。
小林こばやしによると「たんなるアホをえがきたかった」。『ぬの抜呆さくでん』からの改変かいへんにあたり、ほうさくちち傑作けっさく)のかおはほぼそのまま継承けいしょうされたが、名前なまえはは素性すじょう全般ぜんぱん出身しゅっしん牛頚うしくびむら馬尻うまじりむら)などが変更へんこうされている。

安田やすだ住人じゅうにん[編集へんしゅう]

安田やすだ ぐりかい(やすだ くりのすけ)
次男じなん。ほうさく従兄弟いとこ眼鏡めがねをかけた少年しょうねんで、垢抜あかぬけている典型てんけいてき都会とかい。コピーライター志望しぼうだというほうさく人物じんぶつぞう期待きたいせていたが、現実げんじつとのギャップにおどろく。
とおっている「大中おおなか小学校しょうがっこう」でも有名ゆうめい秀才しゅうさいで、「ぐりかいさま」とばれておおくのおんな生徒せいとあこがれのまと。ほうさくぐりかいおもねとめ日和ひよりの4にんは5年生ねんせい・6年生ねんせいともにおなじクラスであり、6年生ねんせい途中とちゅう転校てんこうしてきた姫子ひめこおなじクラスになる(経堂きょうどうべつのクラス)。梨子なしごからは「クリちゃん」とばれている(あに普通ふつうに「桃太郎ももたろう」とばれている)。
以下いか安田やすだ家族かぞくした名前なまえはすべて果物くだものから命名めいめいされている。
安田やすだ かき衛門えもん(やすだ かきえもん)
ちち。ほうさくにとっては義理ぎり叔父おじにあたり、ほうさくからは「おいちゃん」とばれている。ほうさく数々かずかず奇行きこうをなぜか「かれ天才てんさいだ!」と評価ひょうかし、かれをかわいがっている。
その対比たいひとして息子むすこぐりかいたいする評価ひょうかきびしく、2人ふたりを『アマデウス』におけるモーツァルトサリエリたとえたこともある(経堂きょうどうたいしても「ほうさくくんをアホばわりするきみこそバカ」という発言はつげんあり)。
仕事しごとだい日本にっぽん安田やすだ商事しょうじ社長しゃちょうだが、ほんさく連載れんさいちゅう発表はっぴょうされた読切よみき作品さくひん愛社あいしゃ一丸いちがんはかくはたらき』にも主人公しゅじんこう勤務きんむさき社長しゃちょうやく出演しゅつえんしており『異常いじょう天才てんさい図鑑ずかん』では『ほうさく』の最終さいしゅうページと同時どうじかおることができる。東京とうきょう世田谷せたがや豪邸ごうていかまえている。
安田やすだ 梨子なしご(やすだ なしこ)
はは。ほうさく父親ちちおやである傑作けっさくいもうとで、ほうさくにとっては叔母おばである。外見がいけんはいかにもなふとった中年ちゅうねんオバサンで、ブタはなつ。おこっているときには頭髪とうはつすうほんトゲのように逆立さかだつのが特徴とくちょう
登場とうじょう当初とうしょ田舎いなかしゃであるほうさくきらっており、ほうさくにとってはもっとこわ存在そんざいであった。はつ登場とうじょうする単行本たんこうぼん2かんわり〜3かんあたりまでは2人ふたりこうそう物語ものがたりじくになっているが、連載れんさいすすむにつれてほうさく色々いろいろ心配しんぱいするような描写びょうしゃえている。
わかころ写真しゃしんによると当時とうじ小太こぶとりだが美人びじんだった模様もようかき衛門えもんがその写真しゃしんっているのをたほうさくが、かき衛門えもん浮気うわきをしていると勘違かんちがいしたこともある。
安田やすだ 桃太郎ももたろう(やすだ ももたろう)
長男ちょうなん米国べいこく留学りゅうがくからかえってことになる物語ものがたり終盤しゅうばんから登場とうじょう後述こうじゅつのシュワルツ博士はかせ助手じょしゅであり、ほうさく天才てんさいぶりにおどろいて博士はかせにほうさくわせることになる。
インディ
安田やすだ愛犬あいけんいぬしゅコリー梨子なしご帰国きこく当初とうしょ、ほうさく彼女かのじょからこのいぬ以下いか存在そんざいのようなわれかたをされていた。
インディ自身じしんはほうさくにもそれなりになついており、おもねとめにいじめられたほうさくかれ打倒うちたおすべくはじめた特訓とっくんったりもしている。

そののレギュラー[編集へんしゅう]

須田すだ 日和びより(すだ ひより)
安田やすだとなりぐりかい彼女かのじょで、ほんさく当初とうしょのヒロイン。ほうさくれて坊主ぼうずあたまにしてしまったほど。ほうさくいわく「あての博多はかたラーメン」(大好だいすきなものにたとえている)。ほうさく彼女かのじょ失恋しつれんするエピソードもある。
おもねとめ彼女かのじょきと明言めいげんしているが、とく告白こくはくとうはしていない模様もよう姫子ひめご登場とうじょう以後いご出番でばん減少げんしょう傾向けいこうにあった。
おもねとめ たけし(あびる たける)
ふとめのガキ大将がきだいしょうキャラクター。「おもねとめ一派いっぱ」というグループをひきいており、子分こぶんたちからは「大将たいしょう」とばれている。作中さくちゅう実在じつざい人物じんぶつをモデルにしていることかたられている。
ガキ大将がきだいしょうだけにうでぷしつよいが、100てん満点まんてんのテストで10てんるなど学力がくりょくレベルはほうさくより多少たしょうましな程度ていど。アホのほうさく馬鹿ばかにしつつもいつしか友達ともだちいをするようになっていったが、物語ものがたり後半こうはん天才てんさいになってしまったほうさくたいして態度たいどおおきくえ、ほうさく戸惑とまどわせる。
序盤じょばんにおけるほうさく最大さいだいのライバルキャラクターであるが、中盤ちゅうばんはその役割やくわりしゅとして経堂きょうどうになっていたこともあり、ややかげうす存在そんざいになってしまった。単行本たんこうぼん7かんあたりからはふたた出番でばんおおくなっている。
名前なまえは「たける」だが、単行本たんこうぼん8かんなどでは「たけし」とかれていることもある(作中さくちゅうでほうさくたちからした名前なまえばれることはほぼ皆無かいむ)。あしふとく「ナウマンぞうのふくらはぎ」とわれることもあった。
黒田くろだ 姫子ひめこ(くろだ ひめこ)
馬尻うまじりむらむほうさく幼馴染おさななじみはつ登場とうじょうはほうさくが6年生ねんせい夏休なつやすみに旅行りょこうねてぐりかい経堂きょうどうとともに馬尻うまじりむら帰省きせいしたとき単行本たんこうぼん6かん)。心底しんそこほうさくれており、ほうさく東京とうきょうもどった直後ちょくごいかけるように東京とうきょうにやってた。両親りょうしんもう反対はんたいなん実家じっかもどそうとしたが、ほうさくはたらすという本人ほんにんかた決意けついんでれた。その東京とうきょうらす従姉じゅうしのアパートにせている。
馬尻うまじりむらでの彼女かのじょもんぺ姿すがたでいかにも田舎いなかむすめという雰囲気ふんいきであったが、東京とうきょうらしがながくなるとそれなりに服装ふくそうなどは洗練せんれんされるようになった。
ほうさくのクラスに転校てんこうしてきた直後ちょくごおもねとめらに「カッペル(田舎いなかっぺのカップル、の意味いみ)」とほうさくとともにバカにされたが、ムキになって否定ひていするほうさくをよそに姫子ひめごはむしろうれしがっていた。とはえほうさく自身じしんいじめられてピンチにおちいったとき大声おおごえ姫子ひめごたすけをもとめており、ほうさく自身じしん全然ぜんぜんきらっていないどころか姫子ひめごきではいられなくなっている。
ふっくらしたほおにぽっちゃりとした体型たいけいだが、じつ結構けっこう美人びじん学芸がくげいかい白雪姫しらゆきひめえんじたときは、そのうつくしさが賞賛しょうさんされたほどである。
豪徳寺ごうとくじ 経堂きょうどう(ごうとくじ きょうどう)
単行本たんこうぼん4かんから登場とうじょう眼鏡めがねドラキュラ伯爵はくしゃくのようなとがった犬歯けんしせたほお特徴とくちょうのインテリがつど文芸ぶんげい部員ぶいん祖父そふ著名ちょめい小説しょうせつ単行本たんこうぼん6かん死去しきょ)。
文芸ぶんげい入部にゅうぶしてきたほうさくをそので「しんのアホではないか?」とうたがし、すぐにしんのアホと見抜みぬく。その真相しんそう見極みきわめるべくのちをつけまわし、調査ちょうさ結果けっかをノートにまとめている(ほうさく帰省きせい同行どうこうしたのも、アホのルーツをさぐるため)。とはなんだかんだでほうさくへのやくおさまっており、ほうさく手助てだすけをすることもある。
単行本たんこうぼん4かんわりから5かんにかけてはかれとほうさくこうそうじくになっており、この時期じきさいもほうさく必殺ひっさつわざつづけたのがかれである。
姫子ひめごについて当初とうしょたんにほうさくしかけ女房にょうぼうとしかていなかったが、のち学芸がくげいかい姫子ひめごえんじた白雪姫しらゆきひめ姿すがた一目惚ひとめぼれ。おわりいには姫子ひめごこうとほうさくのヘアスタイル、行動こうどうなどを真似まねるようになり、また「さこさこのだい移動いどう」(#一発いっぱつギャグ参照さんしょう)もマスターしてしまうなど、自身じしんもある意味いみアホとしていった。
ネーミングは当時とうじ小林こばやしんでいた成城せいじょうちかくをはし小田急おだきゅう小田原おだわらせん駅名えきめい豪徳寺ごうとくじえき経堂きょうどうえき)から。ほうさくおとこ友達ともだち場合ばあい基本きほんてき名字みょうじ&くんけだが(ぐりかいのぞく)、かれだけは「経堂きょうどうくん」と名前なまえばれている。
たちばな ユリ子ゆりこ(たちばな ゆりこ)
文芸ぶんげい部長ぶちょう経堂きょうどうおなじく、単行本たんこうぼん4かんから登場とうじょうおなばなしでの登場とうじょうだが、彼女かのじょ登場とうじょうほうはやい)。背景はいけいはな似合にあ名前なまえとおりの美少女びしょうじょで、校庭こうてい読書どくしょしている姿すがたにほうさく一目惚ひとめぼれ。ちかづこうとするがおもねとめに「アホは相手あいてしない」とバカにされたことから、ほうさく眼鏡めがねをかけたインテリふう格好かっこう文芸ぶんげい入部にゅうぶしてしまう(5かん以後いごではほとんど文芸ぶんげい部員ぶいんとしての活動かつどうはしていない)。
本人ほんにんも「アホはきらい」と言及げんきゅうしているが、なぜかほうさくたいしてはアホというより「天才てんさいでもたまにいる奇人きじん」と做している。経堂きょうどう彼女かのじょまえでほうさくのアホをさらそうとするも結局けっきょく失敗しっぱい、「ちょんたかししゅう立体りったいちんぽ」(#一発いっぱつギャグ参照さんしょう)をらってぎゃく自分じぶんこそじつはアホだとおもわれてしまった。
ひん(ひんの)
物語ものがたり中盤ちゅうばん単行本たんこうぼん3〜5かんごろまで)に登場とうじょうするおなじクラスの少年しょうねんした名前なまえ作中さくちゅう明記めいきされていない。
せい物語ものがたるように大変たいへん貧乏びんぼういえ子供こどものようで、いつも襤褸らんるをまとっており頭髪とうはつもボサボサにばしている。口癖くちぐせは「こなくそ」。
後半こうはんには登場とうじょうせず物語ものがたりから自然しぜん消滅しょうめつしてしまったような状態じょうたいであったが、単行本たんこうぼん9かん卒業そつぎょうしき場面ばめんなみだながしている姿すがた確認かくにん出来できる。
いぬい 雄一郎ゆういちろう(いぬい ゆういちろう)
単行本たんこうぼん6かん(6年生ねんせい夏休なつやすけ)から登場とうじょう。ほうさくいわく「学校がっこういちのプレイボーイ」の美少年びしょうねんで、それにちがわずつねきのおんな多数たすうれている。自分じぶんまわりにはいないタイプである姫子ひめごをつけてきの一人ひとりくわえようと画策かくさくするものの、ほうさく邪魔じゃまはいったりめぐわせのわるさも手伝てつだったりしてなかなか上手うまくいかない。
前述ぜんじゅつ学芸がくげいかいさいに、バカにするクラスメイトを説得せっとく姫子ひめご白雪姫しらゆきひめやくにキャスティングしたのもかれである(王子おうじやくいぬい自身じしん下心したごころあり)。
花井はない(はない)
ほうさくが5年生ねんせいとき担任たんにん女性じょせい教師きょうし美人びじんだがしつけにきびしく、なにとかほうさく品行ひんこう矯正きょうせいしようとしたが失敗しっぱいわった。
森田もりた 健太郎けんたろう(もりた けんたろう)
ほうさくが6年生ねんせいとき担任たんにん男性だんせい教師きょうし性格せいかく外見がいけんとも森田もりた健作けんさくがモデルになっている。登場とうじょう当初とうしょはおおむねほうさく好意こういてきだったが、天才てんさいへんでは天才てんさいしたほうさく戸惑とまどうような場面ばめんもある。
シュワルツ博士はかせ
プリンストン大学ぷりんすとんだいがくから来日らいにちした物理ぶつりがく世界せかいてき権威けんいで、天才てんさいてき頭脳ずのうとなったほうさくあずまきよし(とうきょ)大学だいがくでの研究けんきゅう協力きょうりょく依頼いらいする。梨子なしごのようなブタはなくわえてブルドッグたとてもこわかおつためほうさく苦手にがてとする(そのため博士はかせらとの共同きょうどう研究けんきゅう当初とうしょことわった)が、博士はかせ自身じしんしんやさしく、ほうさくのことをっておりかき衛門えもん同様どうようつね好意こういてきる。日本語にほんご堪能たんのう

ゲストキャラクター[編集へんしゅう]

いろはに 傑作けっさく(いろはに けっさく)
ほうさくちち馬尻うまじりむら在住ざいじゅう農業のうぎょういとなんでいる。ほうさくからは「パピイ」とばれている。息子むすことはことなり、かみはフサフサ。牛乳ぎゅうにゅうびんそこのようなメガネをかけている。
基本きほんてきには厳格げんかく性格せいかくなのだが、「瞑想めいそうする」などといつつ布団ふとんうえばくねむするなど何処どこかズレており、経堂きょうどういわく「ものすごあまがする」というほど息子むすこ溺愛できあいしているような場面ばめんもある。
いろはに うずら(いろはに うずら)
ほうさくはは。ほうさくからは「マミイ」とばれている。小太こぶとりの体型たいけいでほうさく容貌ようぼう彼女かのじょている。温厚おんこう性格せいかくで、上京じょうきょうしたほうさく安田やすだ迷惑めいわくをかけてはいないかとあんじている。
こえぬま ためみやつこ(こえぬま ためぞう)
馬尻うまじりむらガキ大将がきだいしょう村長そんちょう息子むすこ姫子ひめごれており、ほうさく敵視てきししている。相撲すもううしたおせるほどの怪力かいりきぬし
姫子ひめご上京じょうきょうしたさいには両親りょうしん依頼いらいけて彼女かのじょもどしにやってたがたせなかった。
奈津美なつみ(なつみ)
単行本たんこうぼん4かん登場とうじょうするアイドル志望しぼう上級生じょうきゅうせいせい不明ふめい歌唱かしょうりょく相応そうおうにあるようだが、いつも非常ひじょう猥褻わいせつ歌詞かしうたうたっている。傲慢ごうまん性格せいかくから同級生どうきゅうせいにはきらわれている。
美少女びしょうじょれやすいほうさく色仕掛いろじかけで籠絡ろうらくし、ステージわりのだいにするなどこき使つかう。えかねたほうさく彼女かのじょけようとするが、なみだながらに感謝かんしゃ言葉ことばのこしてった彼女かのじょしんたれて卒業そつぎょうしきけつけ、親衛隊しんえいたいのような声援せいえんおくっておくした(そのさいにはおもねとめだいやくつとめた)。
小林こばやしよしのり
作者さくしゃ本人ほんにん。ほうさくらが漫画まんが仕事しごと現場げんば訪問ほうもんするというエピソードで、作者さくしゃ主人公しゅじんこうによるコラボレーション実現じつげん。このとき小林こばやしはほうさくをモチーフにした(とうよりそっくりそのままの)主人公しゅじんこうのギャグ漫画まんがえがいていることになっている。スタジオにはすでに現在げんざいもアシスタントをつとめる広井ひろい英雄ひでお姿すがたもある。
れいによってかおはハンサムにえがかれている。最後さいごにはスタッフ全員ぜんいんがさこさこのだい移動いどうをやってのけた。

一発いっぱつギャグ[編集へんしゅう]

東大とうだい』『おぼっちゃまくん』ほどではないものの、それにいで一発いっぱつギャグおお登場とうじょうするのもほんさく特徴とくちょうである。ほうさくがいじめられたりピンチにおちいったりしたさい逆転ぎゃくてんわざとして発動はつどうされることおおい。おもなものを以下いかしるす。

毎度まいどぼっきにん
性的せいてき興奮こうふん有無うむわず、おどろいたときよろこびをあらわとき使用しようりょうのひらを上下じょうげかさね、股間こかんをすりわせて片足かたあしげる。
うずりゃんたま
初期しょきにおける最大さいだい必殺ひっさつわざ。ムシャクシャして感情かんじょう爆発ばくはつしたとき使用しよう手足てあしをバタバタさせながら真上まうえにジャンプすると、脳天のうてんからウズラたまごだい楕円だえんがた物体ぶったい噴水ふんすいのようにあふれす。「うずりゃんたま」というのは、「うずらのたまご」のなまったいいかた応用おうようばんとして南京玉なんきんだますだれをもじった「うずりゃんたますだれ」もある。
ふまんたれぶー
そのとお不満ふまんまっているとき使用しようするが、フランス語ふらんすご挨拶あいさつである"Comment allez-vous?"(コマン タ レ ブー)にひっかけている(小林こばやし福岡大学ふくおかだいがくフランス語ふらんすご学科がっか出身しゅっしんであるため)。「うずりゃんたま」のとき出現しゅつげんする楕円だえんがた物体ぶったいくちから大量たいりょうされる。ほうさく自身じしんなんかえし、またかれのアホにこまった周囲しゅうい人間にんげん使つかうこともある。
若松わかまつマネージャー
当時とうじしん日本にっぽんプロレス悪徳あくとくマネージャーとして活躍かつやくしていた将軍しょうぐんKYワカマツのコスプレをして拡声かくせい相手あいてののしる。本家ほんけよりも罵声ばせい内容ないよう格段かくだんにひどく、相手あいておもねとめなど)のいかりをことも。
いろはにブロディ
当時とうじ全日本ぜんにほんプロレスしん日本にっぽんプロレスで活動かつどうしたブルーザー・ブロディになりきりあばれまわる。おもねとめらにめられたとき「ハウッ! ハウッ!!」といながらかみ口髭くちひげなどをやしていき、おわりいにはブロディそのものの姿すがたでチェーンなどをまわす。
猛虎もうこ! ちょうやぶやま 爆裂ばくれつ●●
相撲すもうのように早業はやわざし、相手あいてをなぎたおす。「●●」は「暴風ぼうふうけん」や「奥様おくさまとっき」などそのときのシチュエーションによりことなる。中盤ちゅうばん以降いこうはほとんど使つかわれていない。
どぼちて
単行本たんこうぼん3かんごろから登場とうじょうりょうはなあなから鼻汁はなしる両手りょうてめ「どぼちて~?」とう。普通ふつうに「どうして?」という疑問ぎもんていする場合ばあいにも使つかわれるが、アホな言動げんどうおこられたときにそれを誤魔化ごまかすために使つかわれることおおい。
ちょんたかししゅう立体りったいちんぽ
単行本たんこうぼん4かん登場とうじょう相手あいてに3D眼鏡めがね左右さゆう赤色あかいろ青色あおいろのフィルムをけたもの)をかけさせ、360°から陰茎いんけいまえせまってくるようにせる。これをらった経堂きょうどうこわれてアホとしてしまった(たちばなに「豪徳寺ごうとくじくんってインテリのふりしてほんとはアホだったのね」とわれてしまったほど)。
小林こばやしによると、連載れんさい当時とうじ開催かいさいされていたつくば万博ばんぱくにスタッフらとかけたさい富士通ふじつうパビリオンにあったコスモドームでちょんたかししゅう立体りったい映像えいぞう衝撃しょうげきけたとのこと
どんどどどぼちて
連載れんさい中盤ちゅうばん単行本たんこうぼん5かん)からしん登場とうじょうした「どぼちて」の強化きょうかばん過剰かじょうなアホをおこられたりいつめられた状況じょうきょうになったりしたほうさくが、「どぼちて~?」とうと、つぎ見開みひらきページで分裂ぶんれつしただい人数にんずうのほうさく神輿しんよをかついで「どんどど、どんどど、どんどど、どぼちて…」とおどくるう。かおインディアンのようなペインティングをほどこし、腰蓑こしみのをつけているのがお約束やくそく格好かっこう
読者どくしゃからだい反響はんきょうがあり、以後いご連載れんさい中盤ちゅうばんでは『8だョ!全員ぜんいん集合しゅうごう』や『オレたちひょうきんぞく』の番組ばんぐみちゅうコント同様どうよう恒例こうれい一発いっぱつギャグとして毎回まいかいクライマックスでかならはいるようになった(単行本たんこうぼん6かん前半ぜんはんあたりまで)。このわざ餌食えじきになっているのは大半たいはん経堂きょうどうであるが、最後さいごらったのはほうさくちち傑作けっさくであり、このときぐりかい経堂きょうどうもどんどどどぼちてにくわわっている。
ルーツは故郷こきょう馬尻うまじりむら一揆いっきにあるらしいことが、作中さくちゅう言及げんきゅうされている。『おぼっちゃまくん』でも中盤ちゅうばんから茶魔ちゃまの1つとして借用しゃくようされた。
さこさこのだい移動いどう
単行本たんこうぼん5かんから登場とうじょう中腰ちゅうごし蟹股がにまたとなり、両手りょうてそろえたままうで地面じめん平行へいこうになるよう上下じょうげさせながら、両足りょうあしのつまさきだけでよこ一方いっぽう移動いどうする。このさいに「さこさこさこ」という擬音ぎおん発生はっせいする。単行本たんこうぼん5かんでは経堂きょうどうとともに地下鉄ちかてつえきでホームに進入しんにゅうする車両しゃりょうのスピードにわせて移動いどうしていることから、かなりの高速こうそく移動いどうできる模様もよう。ただし終盤しゅうばんいちだけしか使用しようされなかった。
経堂きょうどうはほうさくたいし「ほうさくのアホに対抗たいこうするため」としてぎゃく方向ほうこう移動いどうする「おきてやぶりのぎゃくさこさこ」を披露ひろうした。
しりおとこ
単行本たんこうぼん5かん登場とうじょう臀部でんぶ全身ぜんしんおおかくすほど巨大きょだいしてかべのように相手あいて視界しかいさえぎる。相手あいてかおられたくないときなどに効果こうか発揮はっきし、さこさこのだい移動いどうわせて逃走とうそう使用しようしたことがある。
はにゅ~
ほうさくとくこわれたとき左右さゆう犬歯けんしながく、おおきく地面じめんまでびる。一度いちどこの「はにゅ~」でびた犬歯けんし竹馬たけうまのようにして学校がっこう廊下ろうか闊歩かっぽしたことも。

その[編集へんしゅう]

  • ほんさく終了しゅうりょうわりに『おぼっちゃまくん』がはじまったが、りょう作品さくひんにはいくつかの関係かんけいられる。
    • 『おぼっちゃまくん』でほうさく故郷こきょうはなしがあり、ほうさくがおしている。ただしかお程度ていどで、キャラ同士どうしのからみはない。
    • 『おぼっちゃまくん』がヒットしたさい小林こばやしによって読切よみきべつ連載れんさいが『月刊げっかんコロコロコミック』に多数たすう掲載けいさいされたが、『ほうさく』もなん掲載けいさいされた。これは新作しんさくでなくさいろくで、巻末かんまつには「チャンピオンはつ発表はっぴょう作品さくひん」とかれていた。
    • 『ほうさく終了しゅうりょう、『おぼっちゃまくん』と並行へいこうして『チャンピオン』でも小林こばやし漫画まんがなんほん連載れんさいされたが、『ほうさく』ほどなが連載れんさいにはなっていない。このうちろまんちっくうしかい』には、『おぼっちゃまくん』のメインキャラクターである柿野かきのが、高校生こうこうせいとなって登場とうじょうする。
  • 小林こばやし当時とうじ北斗ほくとこぶし』・『AKIRA』・『ガラスの仮面かめん』などにはまっており、表紙ひょうしのファンレターコーナーやげきちゅう他社たしゃ作品さくひんでありながらこれらをよく登場とうじょうさせていた。
  • 単行本たんこうぼん5かん最終さいしゅうばなしは『ゴルゴ13ふうえがかれている(劇画げきが調ちょう絵柄えがらいち場面ばめんごとに区切くぎ手法しゅほうかき衛門えもんにお使つかいをたのまれたほうさく報酬ほうしゅう(お駄賃だちん)を要求ようきゅうする・ほうさく他人たにん背後はいごたれるのをはげしくいやがる…などの描写びょうしゃがある)。
  • 作中さくちゅうでは小林こばやし本人ほんにん趣味しゅみであるプロレスをネタにしたギャグ(上述じょうじゅつ若松わかまつマネージャー、おきてやぶりのぎゃくさこさこなど)がおおられるが、それ以外いがいにも当時とうじ世相せそう流行りゅうこうなどをパロディにしたネタもおおられる。

単行本たんこうぼん[編集へんしゅう]

連載れんさい全体ぜんたい刊行かんこうされたのは上記じょうきのみで、『ゴーマニズム宣言せんげん』のヒットをきっかけに小林こばやし作品さくひん再版さいはん多数たすうおこなわれたにもかかわらず、ほんさく再版さいはんされていない。連載れんさい期間きかん2ねん単行たんこうほん9かんは、当時とうじ小林こばやし作品さくひんでは『東大とうだい』の3ねん・13かん番目ばんめ記録きろくである。ただし前述ぜんじゅつどおり『おぼっちゃまくん』いで『ゴーせん』というメガヒットがまれたため、小林こばやし作品さくひん全体ぜんたいとしては現在げんざいとく知名度ちめいどたかくはない。

参考さんこう文献ぶんけん出典しゅってん[編集へんしゅう]

どちらもエピソードを1ほんずつ収録しゅうろく

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 九州きゅうしゅうのとある片田舎かたいなかにあるむら。いかにも田舎いなか、という雰囲気ふんいきかもしている。とくにためみやつこ姫子ひめごもどしにとき新幹線しんかんせんかえろうとするもその肝心かんじん新幹線しんかんせんなになのかかっていなかった(ほうさくにはジェットコースター新幹線しんかんせんだとだまされた)ことからも、閉鎖へいさてき現代げんだい社会しゃかいからのこされたような集落しゅうらくとしてえがかれている。むらはなれる人間にんげんすくないのか、ほうさく帰省きせいしたおり村長そんちょうらに挨拶あいさつったさいには当初とうしょむら英雄えいゆうのようなあつかいをされた(過去かこにもむらから東京とうきょう人間にんげんはいるようだが、都会とかいらしに馴染なじめずぐにいてかえってきたらしい)。