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アメリカン・コミックス

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アメリカンコミックから転送てんそう
The Yellow Kid in McFadden's Flats (1897)

アメリカン・コミック()(英語えいご: American comics)は、アメリカ漫画まんが作品さくひん総称そうしょうである。アメコミともりゃくされる。アメリカン・コミックスという名称めいしょうは、アメリカの漫画まんが他国たこく漫画まんが区別くべつするためのかたであり、アメリカ国内こくないでは「コミック・ブックComic book)」あるいは単純たんじゅんに「コミック(Comic)」とばれる。

通常つうじょう場合ばあい、アメリカン・コミックスはうす逐次ちくじ刊行かんこうぶつ形式けいしきつきごとに発行はっこうされる(作品さくひん混載こんさいされる雑誌ざっしではない)。「コミック(滑稽こっけい)」という英語えいごでのはんし、あつかわれる主題しゅだいかならずしもユーモラスなものであるとはかぎらない。実際じっさいは、ドラマティックでシリアスな作品さくひんがアメリカン・コミックのおおくをめている。

日本にっぽん漫画まんがベルギーフランスバンド・デシネならんで世界せかい3だいコミック産業さんぎょうひとつである[1]

ゴールデンエイジ、シルバーエイジ、ブロンズエイジのスーパーヒーローコミックを発行はっこうする主要しゅようなコミック出版しゅっぱんしゃ: DCコミックス (スーパーマンバットマンワンダーウーマン など) および マーベル・コミック (スパイダーマンハルクX-メン など)。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ジャンル[編集へんしゅう]

アメリカン・コミックスの特徴とくちょうとされるのがスーパーヒーローものである。1960年代ねんだい以前いぜんには、大小だいしょうぜた無数むすう出版しゅっぱんしゃにより、ファニーアニマル・コミックや西部せいぶげき漫画まんが恋愛れんあい漫画まんが恐怖きょうふ漫画まんが戦記せんき漫画まんが犯罪はんざい漫画まんがなどの有名ゆうめいなアメリカン・コミックが存在そんざいした。ふたつの要因よういんから、この多様たようせいは1950年代ねんだい急速きゅうそくうしなわれてしまった。

いち番目ばんめ要因よういんは、きわめて規制きせいてきなコミックコード委員いいんかい設立せつりつへとむすびついた、「有害ゆうがいな」子供こども漫画まんがたいする一連いちれん公的こうてきキャンペーンのたかまりであった。この規制きせいきびしい制約せいやくるがスーパーヒーロー漫画まんが認可にんかし、それ以外いがいのジャンルを禁止きんしした。結果けっかとして、おおくの弱小じゃくしょう出版しゅっぱんしゃ作品さくひん一掃いっそうされてしまったが、スーパーヒーローぶつあつか大手おおて出版しゅっぱんしゃ無傷むきずなままにのこされた。

番目ばんめ要因よういんは、1950年代ねんだい後半こうはんから1960年代ねんだい前半ぜんはんにかけて、テレビがライトな購読こうどくしゃそうおおくをせたことである。出版しゅっぱんしゃがコミックコードからはなれてライトな購読こうどくそう以外いがいのグリッター・ジャンル作品さくひん制作せいさくするようになるまでのあいだ、テレビや映画えいがほうはるかにたか収益しゅうえきられた。しかしながらアメリカン・コミックは、スーパーヒーローぶつのようなアクション志向しこうつよ世界せかいでの冒険ぼうけんを、特撮とくさつかねをかけることなく、映画えいが産業さんぎょうより高度こうどなボリュームでえがくことができたのである。

日本にっぽん漫画まんがおおスポーツ漫画まんがはアメリカン・コミックスでは非常ひじょうすくない[2]

出版しゅっぱん形態けいたい[編集へんしゅう]

レギュラー・シリーズとばれるほとんどのアメリカン・コミックは、ちゅうてい製本せいほんによる32ページのうす月刊げっかん逐次ちくじ刊行かんこうぶつ英語えいごではコミック・ブック、日本にっぽんではリーフとばれる)として発行はっこうされる。リーフ1さつ価格かかくは1ドルから2ドルきょうである。1さつのリーフには1タイトルのみが22ページ前後ぜんこうで、広告こうこく読者どくしゃらんとも掲載けいさいされる。日本にっぽん漫画まんがのように最新さいしんタイトルが複数ふくすう連載れんさい作品さくひんとして1さつ雑誌ざっしに併載されることはない。一部いちぶ人気にんきエピソードはトレード・ペーパーバックのかたちで1さつほんにまとめられることもあるが、日本にっぽん単行本たんこうぼんのようにすべてのエピソードが発行はっこうされるわけではい。

大手おおて出版しゅっぱんしゃによるアメリカン・コミックのほとんどはフルカラー印刷いんさつである。初期しょきのアメリカンコミックは、くろインクの輪郭りんかくせんあかあお3しょくの100%・50%・20%の3かい調ちょうかさりによる単純たんじゅん彩色さいしきほどこされていたが、現在げんざいはコンピューターによるかい調ちょう彩色さいしき導入どうにゅうされている。作画さくがにおいては、下絵したええがペンシラー、ペンをれるインカー彩色さいしきおこなうカラーリスト、文字もじレタラーによる分業ぶんぎょう体制たいせいれられている。

作品さくひんやキャラクターの著作ちょさくけん慣例かんれいとして出版しゅっぱんしゃ帰属きぞくする。このシステムは、特定とくていのキャラクターの物語ものがたり複数ふくすうのアーティストがえがぐことにより、なんじゅうねんおなじキャラクターを使つかいまわせたり、ことなる作品さくひん登場とうじょうするキャラクターのクロスオーバー容易よういおこなえるという利点りてんをもたらした。その一方いっぽうで、本来ほんらいはアーティストがられるべき権利けんりそこなわれたり、作品さくひん作家さっかせいうしなわれる欠点けってんがあった。とく有名ゆうめいなのは、『スーパーマン』の作者さくしゃジョー・シャスターとジェリー・シーゲルのれいである。1947ねんに、DCコミックスたいする利益りえき配分はいぶんもとめる裁判さいばんこして解雇かいこされた二人ふたりは、1975ねん全米ぜんべい漫画まんが協会きょうかい英語えいごばん支援しえんによりDCとの示談じだん成立せいりつさせるまでの30年間ねんかん、『スーパーマン』にたいする権利けんり主張しゅちょうできなかった。1992ねんには、マーベル・コミック看板かんばん作家さっか7にん独立どくりつし、アーティスト本人ほんにん作品さくひん著作ちょさくけん帰属きぞくするイメージ・コミック設立せつりつした。

歴史れきし[編集へんしゅう]

アメリカン・コミックの歴史れきしは、以下いか時代じだいべつ区分くぶんされる。

プラチナ・エイジ[編集へんしゅう]

アメリカで最初さいしょ出版しゅっぱんされた漫画まんがほんは、近代きんだいコマ漫画まんが創始そうししゃとしてられるスイス漫画まんがロドルフ・テプフェール1799ねん1846ねん)による『ヴィユボワ恋愛れんあい(fr:Les Amours de monsieur Vieux Bois)』(1837ねん出版しゅっぱん)の海賊かいぞく翻訳ほんやくばん『オバディア・オールドバック冒険ぼうけん(The Adventures of Mr. Obadiah Oldbuck)』(1842ねん)であるとかんがえられている。

ゴールデン・エイジ[編集へんしゅう]

アメリカにおけるコミック・ブックは、19世紀せいき後半こうはん新聞しんぶん紙上しじょう掲載けいさいされた初期しょきコミック・ストリップ(コマ漫画まんが)から発展はってんした。1920年代ねんだいから1930ねんだいにかけて、新聞しんぶんすんで掲載けいさいのコミック・ストリップをパルプ・マガジン収録しゅうろくした初期しょきのコミック・ブックが出現しゅつげんした。このころのコミック・ストリップはおもユーモラス性質せいしつそなえていたために、「コミック・ストリップ」からられた「コミック・ブック」という適用てきようされた。「コミック・ブック」という用語ようごが、あつかっている出版しゅっぱんぶつ内容ないようではなく出版しゅっぱん媒体ばいたいしめすようになったときに、この呼称こしょう混乱こんらんをもたらした。

1933ねんマックス・ゲインズ英語えいごばんにより出版しゅっぱんされた『ファニーズ・オンパレード』が、今日きょうられている形式けいしきでの最初さいしょのアメリカン・コミックであると、おおくの人々ひとびとから認識にんしきされている。 ゲインズは、漫画まんが印刷いんさつされた9インチ×12インチの広告こうこくかさねた8ページからなる漫画まんがほん出版しゅっぱんした。べつ人々ひとびとは、それ以前いぜんの10年間ねんかんでアメリカン・コミックは出現しゅつげんしたと主張しゅちょうしている。1931ねんには、すでベルギー漫画まんがタンタンコンゴへ原題げんだい:Tintin au Congo)』が発表はっぴょうされていた。

1935ねん2がつに、ナショナル・ピリオディカル・パブリケーションズ(DCコミックス)は、オリジナルなキャラクターと物語ものがたりによる「New Fun Comics」シリーズを発表はっぴょうした。このシリーズはパルプ・マガジンからつよ影響えいきょうけた冒険ぼうけんぶつ探偵たんていぶつからっていた。

アメリカン・コミック史上しじょうもっと重大じゅうだい出来事できごとは、1938ねんにナショナルの「Action Comics」だい1ごうしょうじた。ジェリー・シーゲルおよびジョー・シャスター英語えいごばんによる世界せかい最初さいしょスーパーヒーローである『スーパーマン』が、このごう登場とうじょうしたのである。パルプ・マガジンのしょ作品さくひんや、プラハゴーレム伝説でんせつフィリップ・ワイリーのSF小説しょうせつ闘士とうし』などに影響えいきょうされたスーパーマンは、ちょう人的じんてき腕力わんりょく素早すばやさ、そのちょう能力のうりょくっており、サーカスの怪力かいりきおとこ彷彿ほうふつとさせるあざやかな衣装いしょうつつんで犯罪はんざいしゃたたかい、優男やさおとこ新聞しんぶん記者きしゃクラーク・ケントとして秘密ひみつ正体しょうたいかくし、日々ひび生活せいかつおくっている。アメリカン・コミックスかいに『スーパーマン』があたえた衝撃しょうげきはあまりにもおおきく、そのの2年間ねんかんでほとんどのアメリカン・コミック出版しゅっぱんしゃがスーパーヒーローぶつのシリーズを発表はっぴょうすることとなり、スーパーマンは世界せかいもっと有名ゆうめいなキャラクターのひとりとなった。

1930ねんから1951ねんまでの期間きかんは、アメリカン・コミックの黄金おうごん時代じだいとしてられている。この期間きかんのアメリカン・コミックは、大量たいりょう印刷いんさつと(だい世界せかい大戦たいせんなかのコミック・ブックは、安価あんかかつ人気にんきのある娯楽ごらくであった)、安定あんていしないストーリーと作画さくがおよび印刷いんさつしつ、そしててい賃金ちんぎんかつ搾取さくしゅ労働ろうどうではあるものの、アメリカの複数ふくすう人種じんしゅまたがって仕事しごとあたえた数少かずすくない業界ぎょうかいであることによって特徴付とくちょうづけられる。しかしながら、この期間きかんのアメリカン・コミックはおも子供こどもけのジャンルであったことから、おおくの成人せいじん愛情あいじょうちた批判ひはん態度たいどで、この時代じだいふる黄金おうごん時代じだいとして回顧かいこしている。

戦後せんごあらたなジャンルがくわえられ、ふるいジャンルは拡張かくちょうされた。アーチー・コミック代表だいひょうされるティーン・ユーモア、ウォルト・ディズニーのキャラクターが活躍かつやくするファニーアニマル・コミック(動物どうぶつ漫画まんが)、サイエンス・フィクション西部せいぶげきものロマンス風刺ふうしユーモア漫画まんがなどが、各々おのおの居場所いばしょ見出みいだした。長期ちょうき連載れんさいされていたオリジナル3作品さくひん『スーパーマン』『バットマン』『ワンダーウーマン』をのぞいて、1952ねんまでにスーパーヒーローぶつはほぼ一掃いっそうされていた。

コミックス・コード[編集へんしゅう]

1940年代ねんだい後半こうはんから1950年代ねんだい前半ぜんはんにかけて、多数たすう暴力ぼうりょく表現ひょうげん流血りゅうけつ沙汰ざたふくんだ作品さくひん悪名あくめいたかECコミックおおきな成功せいこうともない、恐怖きょうふ漫画まんが実録じつろく犯罪はんざい漫画まんが台頭たいとうした。これらの漫画まんが漫画まんが標的ひょうてきにして、政治せいじ規制きせい活動かつどう犯罪はんざい少年しょうねん非行ひこう薬物やくぶつ使用しよう学力がくりょく低下ていか原因げんいんとして漫画まんが非難ひなんした。スーパーヒーローぶつ根底こんていにはサディズムと同性愛どうせいあい嗜好しこうがあるというかんがえにかれた精神せいしんフレデリック・ワーサム著書ちょしょ無垢むくへの誘惑ゆうわく英語えいごばん』が漫画まんがたいする懸念けねんげ、同書どうしょ少年しょうねん非行ひこうかんする上院じょういんしょう委員いいんかい漫画まんがへの関心かんしんいだかせた。それらの結果けっかとしてモラル・パニック発生はっせいし、学校がっこうおよび保護ほごしゃのグループによる公的こうてき漫画まんが出版しゅっぱん禁止きんし運動うんどうおこなわれ、いくつかのでは漫画まんがほん焚書ふんしょおこなわれた。アメリカにおける漫画まんが業界ぎょうかい急速きゅうそく衰退すいたいした。

うえ出来事できごとにより、ナショナルやアーチーに代表だいひょうされるおおくのアメリカン・コミック出版しゅっぱんしゃは、1954ねんコミックス倫理りんり規定きてい委員いいんかい設立せつりつし、「現存げんそんするコミュニケーション・メディアのなかもっと厳格げんかく規制きせい」を目標もくひょうとしたコミックス・コード(Comics Code)の試案しあん起草きそうした。コミックス・コードの認可にんかシールは、販売はんばいてんはこばれる実質じっしつじょうすべての漫画まんがうえすみやかにあらわれた。ECコミックは、たいして論争ろんそうにもならなかったすうさつ漫画まんがほんにおける試行錯誤しこうさくごのちに、風刺ふうし雑誌ざっしMAD』に専念せんねんするために漫画まんが出版しゅっぱんラインを廃止はいしした。この『MAD』は、規制きせいのがれるため、雑誌ざっし形式けいしき変更へんこうされた漫画まんがほんであった。

シルバー・エイジ[編集へんしゅう]

1950年代ねんだい中頃なかごろ連続れんぞくテレビシリーズ『スーパーマン(原題げんだい:The Adventures of Superman)』が人気にんきはくしたのちに、かく出版しゅっぱんしゃふたたびスーパーヒーローぶつ出版しゅっぱんこころみた。「Showcase」のだい4ごう(ナショナル、1956ねん)は、過去かこのヒーローであるザ・フラッシュ復活ふっかつさせた。『ザ・フラッシュ』の復活ふっかつから、アメリカン・コミックの白銀はくぎん時代じだいSilver Age of comic books)としてられるだいスーパーヒーローブームがはじまった。ナショナルはそのの6年間ねんかんにわたってスーパーヒーローぶつ出版しゅっぱんラインを拡大かくだいし、『グリーンランタン』や『ザ・アトム英語えいごばん』、『ホークマン』、そののスーパーヒーローたちあらたなバージョンを紹介しょうかいした。

1961ねん原作げんさくしゃけん編集へんしゅうしゃスタン・リー作画さくがけん共同きょうどう原作げんさくしゃジャック・カービーは、マーベル・コミックように『ファンタスティック・フォー』を製作せいさくした。『ファンタスティック・フォー』のだい1では、人間にんげんてき欠点けってん恐怖きょうふしんうちなるあくしんそなえ、くちげんかをしたり借金しゃっきんなどの心配しんぱいをするスーパーヒーローたち自然しぜんなスタイルが導入どうにゅうされ、アメリカン・コミック業界ぎょうかい変遷へんせんしめ記念きねんとなった。当時とうじ確立かくりつされていた堅物かたぶつ社会しゃかい改良かいりょうたちであるスーパーヒーローぞう一線いっせんかくするこれらのキャラクターは、業界ぎょうかい革命かくめいをもたらした。カービーやスティーブ・ディッコドン・ヘック英語えいごばん、その作画さくがらによるダイナミックなアートワークにおぎなわれた、リーの多彩たさいにして魅力みりょくてき脚本きゃくほんによるこのあたらしいスタイルは、スーパーヒーローをあいする子供こどもたちから、作品さくひんふかいテーマをたのしむ大学生だいがくせいあいだにまで読者どくしゃ見出みいだした。最初さいしょはマーベルの競争きょうそう相手あいてであるナショナルによりほん配給はいきゅうされていたため、マーベルが生産せいさん可能かのうほんのタイトルすう制限せいげんされていた。この状況じょうきょう1960年代ねんだいわりまで改善かいぜんされなかった。

ナショナル(DCコミックス)、マーベル、アーチーが、1960年代ねんだいにおけるアメリカン・コミックの代表だいひょう選手せんしゅであった。その注目ちゅうもくあたいする出版しゅっぱんしゃとしては、ディック・ジョルダーノ英語えいごばんはじめとする大勢おおぜいのプロ作家さっか出発しゅっぱつてんとなったてい予算よさんブランドのチャールトン・コミック英語えいごばんデル・コミック英語えいごばんゴールドキー・コミック英語えいごばん、『おばけのキャスパー』や『リッチー・リッチ』のハーヴェイ・コミック英語えいごばん、『T.H.U.N.D.E.R. Agents英語えいごばん』でられる タワー・コミック英語えいごばんがある。

アンダーグラウンド・コミックス[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい後半こうはんから1970年代ねんだい前半ぜんはんにかけて、アンダーグラウンド・コミックスなみしょうじた。これらのアングラ漫画まんが確立かくりつされたアメリカン・コミック出版しゅっぱんしゃとは無関係むかんけい出版しゅっぱんされ、そのだい部分ぶぶん若者わかものによる当時とうじのカウンター・カルチャーとドラッグ・カルチャーを反映はんえいしていた。それ以前いぜん漫画まんがにはられなかった自由じゆう闊達かったつ無礼ぶれいせんまんなスタイルにより、そのおおくは注目ちゅうもくあたいする。アングラ漫画まんがのムーブメントは1968ねんに、アングラ漫画まんが巨匠きょしょうロバート・クラムによる『Zap Comix英語えいごばん創刊そうかんごう出版しゅっぱんによりはじまったのであるとかんがえられている。クラムはフリッツ・ザ・キャットみのおやでもある。

ブロンズ・エイジ[編集へんしゅう]

ブロンズ・エイジ青銅せいどう時代じだい)という用語ようごは、1970ねん前後ぜんこうに(とくにDCとマーベルにかんして)こったアメリカン・コミックの変化へんか集中しゅうちゅうした時期じきはじまる、アメリカのメインストリーム・コミックでの歴史れきし区分くぶんたいして一般いっぱんてきもちいられる。ゴールデン・エイジからシルバー・エイジにかけての変遷へんせんとはことなり、シルバー・エイジからブロンズ・エイジの変遷へんせんおおくの継続けいぞくして出版しゅっぱんされていた作品さくひんかかわっており、それほど急激きゅうげきなものではない。すべての作品さくひん同時どうじにブロンズ・エイジをむかえたとはえない。

シルバー・エイジからブロンズ・エイジへの変遷へんせんしめすとかんがえられる変化へんかは、以下いかとおりである。

  • スーパーマン・ブックスの編集へんしゅうしゃモート・ワイジンガー英語えいごばん引退いんたいや、ジャック・カービーのDCへの移籍いせきふくむ、人気にんき作家さっかたち交代こうたい
  • 『コナン (マーヴルコミック)(ロバート・E・ハワード原作げんさくジョン・バスセマ英語えいごばん作画さくが)』『カマンディ英語えいごばん』『ジョナ・ヘックス』『スワンプシング』『ゴーストライダー』、そしてリバイバルばんドクター・ストレンジ』などの、スーパーヒーロー作品さくひんおよびスーパーヒーロー境界きょうかい作品さくひんのブーム
  • スパイダーマン』での薬物やくぶつ乱用らんよう問題もんだいや、『グリーンランタン/グリーンアロー』シリーズなどの、重大じゅうだい社会しゃかい問題もんだいあつかおうとこころみた「適切てきせつな」アメリカン・コミックの出現しゅつげん
  • 1971ねんきたコミックコード委員いいんかい規制きせい緩和かんわ
  • オリジナルばんちかい「よりダーク」にされたバットマンや、職業しょくぎょうがテレビレポーターになりクリプトナイトの設定せっていのぞかれたスーパーマン、一時いちじてき常人じょうじんとなったワンダーウーマンなど、いくにんかの人気にんきキャラクターの設定せってい改変かいへんすうねんしんX-メン改変かいへんも、この傾向けいこう一部いちぶかもしれない。
  • スパイダーマンのガールフレンドであるグウェン・ステイシー、ドゥームパトロール英語えいごばんリージョン・オブ・スーパーヒーローズいくにんかのメンバーなどの、人気にんきキャラクターの

モダン・エイジ[編集へんしゅう]

メインストリーム・コミックの情勢じょうせい[編集へんしゅう]

1970年代ねんだいにおける書店しょてん形式けいしきによる直販ちょくはん制度せいどダイレクト・マーケット)は、コミック専門せんもんてん登場とうじょうによってきたアメリカ全土ぜんど同時どうじ発生はっせいした。これらの専門せんもんてん社会しゃかい偏見へんけんこえからの避難ひなんしょであったが、同時どうじにコミックを衆目しゅうもくからおおかくすことになった。よりおおくのごう読者どくしゃ購入こうにゅうさせるために、連載れんさいされるコミックのストーリーはさらなが複雑ふくざつになっていった。1970ねんから1990ねんあいだに、複数ふくすう原因げんいん全国ぜんこくてきかみ不足ふそく出版しゅっぱんしゃすう増加ぞうか雑誌ざっしたいするコミックの商品しょうひん単価たんかひくさによる販売はんばいてん利益りえきりつひくさなど)から、コミックの価格かかく高騰こうとうした。アメリカにおけるコミック人気にんき凋落ちょうらくについてかんがえるさいに、これらの要素ようそはしばしば指摘してきされる。

1980年代ねんだいなかばから後半こうはんにかけて、DCコミックスより出版しゅっぱんされたふたつのコミック・シリーズ『バットマン: ダークナイト・リターンズ』(フランク・ミラー)と『ウォッチメン』(アラン・ムーア&デイブ・ギボンズ英語えいごばん)は、アメリカン・コミック業界ぎょうかい重大じゅうだい衝撃しょうげきをもたらした。この2シリーズの驚異きょういてき人気にんきは、メジャーけい出版しゅっぱんしゃ(DCとマーベル)にかれらのタイトルをよりリアリスティックな、くら雰囲気ふんいきのものへと変化へんかさせた。これらの作風さくふうはしばしば冷笑れいしょうてきに「グリム・アンド・グリッティ(grim-and-gritty)」とばれる。この変化へんかは『パニッシャー』『ウルヴァリン』『スポーン』などのアンチヒーロー人気にんき拡大かくだいや、ファースト・コミックダークホースコミックスなどおおくのインディペンデントけい出版しゅっぱんしゃの「くらい」雰囲気ふんいきによっても強調きょうちょうされた。すう年間ねんかんにわたり、メインストリーム・アメリカン・コミックの誌上しじょうは、みどろのミュータントやみ復讐ふくしゅうしゃによってめられていた。この暗闇くらやみとニヒリズムへの志向しこうは、DCの看板かんばん漫画まんがであるバットマンシリーズの「A Death in the Family」や、同様どうようにマーベルの看板かんばん漫画まんがX-メン』シリーズの「Mutant Massacre」や「Acts of Vengeance」によっても促進そくしんされた。

1990年代ねんだい前半ぜんはん投機とうきブームは、一時いちじてき専門せんもんてんでの販売はんばい増加ぞうかさせたが、これらのブームはコレクターズアイテムの供給きょうきゅう過剰かじょうによって終焉しゅうえんむかえた。そしてコミックの販売はんばいは1990年代ねんだいなかばから急速きゅうそく減少げんしょうしつつあり、すうひゃく専門せんもんてん閉店へいてんした。今日きょうきたアメリカで販売はんばいされているアメリカン・コミックの部数ぶすうは、出版しゅっぱん史上しじょう最低さいていのものである。マーベルやDCのようなスーパーヒーローけい大手おおて出版しゅっぱんしゃは、いまでも「メインストリーム」とばれているが、もはや過去かこすうじゅう年間ねんかんのような大型おおがたメディアではない。

プレスティージ形式けいしき[編集へんしゅう]

プレスティージ形式けいしきによるコミックは、標準ひょうじゅんてきなアメリカン・コミックがすうまい広告こうこくかさねた単純たんじゅん製本せいほんであるのにたいし、それよりあつい48ページから72ページのながさで光沢こうたく印刷いんさつされ、表紙ひょうしとカバーをそなえている。プレスティージ形式けいしき単行本たんこうぼんは、DCコミックスによるフランク・ミラーのバットマン作品さくひん『ダークナイト・リターンズ』においてはじめて使用しようされた。この作品さくひん成功せいこうはプレスティージ形式けいしき確立かくりつにつながり、現在げんざいこの形式けいしきはビッグネーム作家さっか手掛てがけた作品さくひん披露ひろうや、重要じゅうようなストーリーにスポットをてるのに使用しようされている。

プレスティージ形式けいしき発表はっぴょうされるストーリーは、一連いちれんのシリーズの一部いちぶであるか、独立どくりつ作品さくひんのいずれかである。独立どくりつ作品さくひん発表はっぴょうされる場合ばあいは、アラン・ムーアの『バットマン: キリングジョーク』のように、グラフィックノベルやグラフィックノヴェラとして発表はっぴょうされる。

インディペンデント・コミックとオルタナティヴ・コミック[編集へんしゅう]

コミック専門せんもんてん存在そんざいは、1970年代ねんだい後半こうはんよりはじまったインディペンデントけいコミックのすうかいにわたるなみ活気かっきけた。これらのなみ最初さいしょ作品さくひんは、一般いっぱんにはインディペンデント・コミックあるいはオルタナティヴ・コミックばれた。これらのあるものは、アンダーグラウンド・コミックの伝統でんとうむものであった。べつものは、形式けいしきやジャンルにおいてメインストリーム出版しゅっぱんしゃ出版しゅっぱんぶつ類似るいじしていたが、より小規模しょうきぼなアーティスト本人ほんにん所有しょゆうするベンチャー会社かいしゃか、アーティスト個人こじんにより出版しゅっぱんされたものであった。さらにべつ少数しょうすうは、コミックをファインアート世界せかいもうとする実験じっけんてきこころみの産物さんぶつであった(特筆とくひつすべきれいとして、アート・スピーゲルマンフランソワーズ・モーリー英語えいごばんによるアンソロジー雑誌ざっしRAW』がげられる)。

アメリカン・コミックの形式けいしき流通りゅうつうを、より一般いっぱん書籍しょせきちかづけようと変化へんかさせていった1990年代ねんだい小規模しょうきぼ出版しゅっぱんしゃによって、この「スモールプレス(小規模しょうきぼ出版しゅっぱん)」のシーンは拡大かくだい多様たようつづけた。自費じひ出版しゅっぱんによるきわめて非公式ひこうしきなバージョンである「ミニコミック」形式けいしきは1980年代ねんだい発生はっせいし、スモール・プレスとくらべても限定げんていされた読者どくしゃもとにしかとどかないにもかかわらず、1990年代ねんだいのアーティストたちあいだ人気にんきた。「アートコミック」は、アメリカン・コミックの伝統でんとうてきなメインストリームの外部がいぶ活動かつどうつづけるオルタナティヴ・コミックやスモールプレス、ミニコミックをしめ一般いっぱんてき用語ようごとして、ときおり使用しようされた。これらの形式けいしきにおいて活動かつどうつづける出版しゅっぱんしゃやアーティストは、コミックをひとつの芸術げいじゅつ形式けいしきとしてより洗練せんれんさせたいという願望がんぼうっていた。

アメリカン・コミックの認知にんち[編集へんしゅう]

いくつかのアメリカン・コミックは社会しゃかいてき認知にんちされており、ピューリッツァーしょう受賞じゅしょうしたアート・スピーゲルマンの『マウス――アウシュヴィッツをきのびた父親ちちおや物語ものがたり』や世界せかい幻想げんそう文学ぶんがく大賞たいしょう短編たんぺん部門ぶもん受賞じゅしょうしたニール・ゲイマンの『サンドマン』など、作者さくしゃにはジャンルがいからのしょうあたえられている。それ自体じたいはアメリカン・コミックではないが、アメリカン・コミックを題材だいざいにしたマイケル・シェイボンの『カヴァリエ&クレイのおどろくべき冒険ぼうけん英語えいごばん』は、2001ねんのピューリッツァーしょうフィクション部門ぶもん受賞じゅしょうした。

大衆たいしゅうによるスーパーヒーローぶつへの関心かんしんは、『X-メン』(2000ねん)や『スパイダーマン』(2002ねん)のような特撮とくさつ映画えいが成功せいこうによって増加ぞうかした。この関心かんしん利用りようするため、出版しゅっぱんしゃ2002ねん5月5にちからはじまったFree Comic Book Day(コミックの無料むりょう配布はいふサービス)のような宣伝せんでん活動かつどうはじめた。くわえて、『ゴーストワールド』『ロード・トゥ・パーディション』『アメリカン・スプレンダー』のようなスーパーヒーロー作品さくひん映画えいがが、コミックメディアのイメージ改善かいぜんつながるのではないかと期待きたいされている。

連載れんさいコミック形式けいしき衰退すいたい[編集へんしゅう]

2000年代ねんだい前半ぜんはん小売こうりてんでのグラフィックノベル販売はんばいすう増加ぞうかともなって、22~30ページばん月刊げっかん連載れんさいされるアメリカン・コミックのげは減少げんしょうつづけた。コミック出版しゅっぱんしゃのグラフィックノベルへの路線ろせん変更へんこうくわえて、パンテオンのような一般いっぱん書籍しょせき出版しゅっぱんしゃが、知名度ちめいどひくいコミック出版しゅっぱんしゃから販売はんばいされていた作品さくひんふくむ、無数むすうのグラフィックノベルをこのじゅう年間ねんかん販売はんばいした。

アメリカン・コミック業界ぎょうかい関係かんけいしゃたちは、業界ぎょうかい席捲せっけんするグラフィックノベルの出版しゅっぱんにより、月刊げっかん連載れんさいされるアメリカン・コミックの時代じだい終焉しゅうえんむかえつつあるのかもしれないと、公的こうてき意見いけんべた。おおくの出版しゅっぱんしゃが、連載れんさい形式けいしきのストーリーをグラフィックノベルに適用てきようするための計画けいかくてている。

しかし、危惧きぐされていた月刊げっかん連載れんさいされるアメリカン・コミックのげは2001ねん以降いこう年々ねんねん増加ぞうかしており、それにともないコミック市場いちばも1990年代ねんだいばい以上いじょう成長せいちょうしている。

おも出版しゅっぱんしゃ[編集へんしゅう]

実写じっしゃされたおもなアメコミ一覧いちらん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Bramlett, Frank; Cook, Roy; Meskin, Aaron (2016-08-05) (英語えいご). The Routledge Companion to Comics. Routledge. ISBN 978-1-317-91538-6. https://books.google.com/books?id=EevLDAAAQBAJ&pg=PA106 
  2. ^ アメリカに野球やきゅうマンガはない? ベースボール大国たいこくになるコミック事情じじょう | 文春ぶんしゅんオンライン

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]