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イマヌエル・ヴェリコフスキー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
イマヌエル・ヴェリコフスキー（1974年ねん、アメリカ科学かがく振興しんこう協会きょうかいのサンフランシスコでの会議かいぎにて）

イマヌエル・ヴェリコフスキー（ロシア語ご: Иммануил Великовский、1895年ねん6月がつ10日とおか(NS) - 1979年ねん11月17日にち）は、ロシア出身しゅっしんのアメリカ人じんであり、一般いっぱんには疑似ぎじ科学かがく者しゃ[1][2]だと見みなされている人物じんぶつ。古代こだい史しを再さい解釈かいしゃくして天変地異てんぺんちい説せつを唱となえる著書ちょしょ『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』(1950) を発表はっぴょうし、主おもにアメリカでベストセラーとなった[3][4]。それ以前いぜんにはイスラエルでヘブライ大学だいがく創設そうせつに関かかわり、精神せいしん科か医いおよび精神せいしん分析ぶんせき学がく者ものとして尊敬そんけいされていた。

人物じんぶつ

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著書ちょしょ『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』は、比較ひかく神話しんわ学がくと聖書せいしょに代表だいひょうされる古代こだいの文献ぶんけんを駆使くしし、古代こだいに地球ちきゅうが他たの惑星わくせい（主おもに金星かなぼしと火星かせい）と極きわめて近ちかくまで接近せっきんするなどの天変地異てんぺんちいを経験けいけんしたと主張しゅちょうするものである。Hans Bellamy、Ignatius Donnelly、Johann Gottlieb Radlof,[5]など数かずある天変地異てんぺんちい説せつの中なかでの位置いちづけについてイギリスの天文学てんもんがく者しゃ Victor Clube と Bill Napier は「……ヴェリコフスキーは新しん天変地異てんぺんちい説せつの中なかでは最初さいしょというわけではない……むしろ彼かれは中世ちゅうせいやそれ以前いぜんから続つづく天変地異てんぺんちい説せつを唱となえる者ものの系譜けいふの中なかでは最もっとも新あたらしい」としている[6]。ヴェリコフスキーは天体てんたいの力学りきがくに電磁気でんじき力りょくが大おおきな役目やくめを果はたしたと主張しゅちょうしている。また、古代こだいエジプト、古代こだいギリシア、近東きんとうのイスラエルの地ちを含ふくむ各種かくしゅ文化ぶんかについても新あらたな年表ねんぴょうを提案ていあんしている。それは、前ぜん1200年ねんのカタストロフの原因げんいんを説明せつめいすると同時どうじに、考古学こうこがくの成果せいかと聖書せいしょの記述きじゅつとを強引ごういんに整合せいごうさせようとするものである。

ヴェリコフスキーの理論りろんは学界がっかいからは完全かんぜんに拒絶きょぜつされ、無視むしされている[7]。それでも著書ちょしょはよく売うれ、一部いちぶに熱狂ねっきょう的てきな支持しじ者しゃが生うまれた[2][8][9][10]。彼かれの著書ちょしょをめぐる賛辞さんじと批判ひはんの対立たいりつはしばしば「ヴェリコフスキー事件じけん」とも呼よばれる[11][12][13]。

生涯しょうがい

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※この節ふしはイマヌエル・ヴェリコフスキーの Days and Years を元もとに記しるされている[14]。

生おい立たち

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1895年ねん、ロシア帝国ていこくのヴィーツェプスク（現在げんざいはベラルーシ）で裕福ゆうふくなユダヤ教きょう徒との一家いっかに生うまれる。子供こどものころから複数ふくすうの言語げんごを学まなび、モスクワのギムナジウムに送おくり込こまれて教育きょういくを受うけ、特とくにロシア語ごと数学すうがくに才能さいのうを見みせた。1913年ねんに優秀ゆうしゅうな成績せいせきで卒業そつぎょう。その後ごヨーロッパとパレスチナを旅行りょこうし、フランスのモンペリエで医学いがくを簡単かんたんに勉強べんきょうした後のち、エディンバラ大学だいがくで医学部いがくぶ進学しんがく課程かていをとった。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつ前まえにロシアに戻もどり、1921年ねんにモスクワ大学だいがくで医学いがく博士はかせ号ごうを取得しゅとくした。

ヘブライ大学だいがく

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医学いがく博士はかせとなると即座そくざにロシアを離はなれ、ベルリンへと向むかった。そこで父ちちの経済けいざい的てき援助えんじょを受うけつつ Scripta Universitatis Atque Bibliothecae Hierosolymitanarum（エルサレムの大学だいがくと図書館としょかんの文書ぶんしょ）と題だいした科学かがく論ろん文集ぶんしゅうのヘブライ語ご訳わけ版ばんの編集へんしゅうと出版しゅっぱんを行おこなった。数学すうがくと物理ぶつり学がくの巻まきについてはアルベルト・アインシュタインを助手じょしゅとして雇やとった。完成かんせいするとこのプロジェクトはヘブライ大学だいがく創設そうせつの基盤きばんとなった。出来できたばかりだったヘブライ大学だいがくはこの著作ちょさくを世界せかい各地かくちの学術がくじゅつ組織そしきに贈呈ぞうていし、代かわりに別べつの本ほんを贈おくってもらい、同どう大学だいがくの図書館としょかんの蔵書ぞうしょを充実じゅうじつさせた。

1923年ねん、ヴェリコフスキーはヴァイオリン奏者そうしゃの Elisheva Kramer と結婚けっこんした。

精神せいしん科か医いとしての経歴けいれき

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1924年ねんから1939年ねんまで、ヴェリコフスキーはイギリス委任いにん統治とうち領りょうパレスチナに住すみ、医師いしとして開業かいぎょうし（一般いっぱん医療いりょうと精神せいしん科か）、精神せいしん分析ぶんせき学がくも行おこなった（ウィーンでジークムント・フロイトの弟子でし Wilhelm Stekel に学まなんだ）。この間あいだに彼かれは十じゅう数すうの医学いがくや精神せいしん分析ぶんせき学がくの論文ろんぶんを学術がくじゅつ誌しに発表はっぴょうしている。例たとえば、てんかんを特徴付とくちょうづける異常いじょうな脳波のうはについての論文ろんぶんを発表はっぴょうしており[15]、これは今いまではてんかんの診断しんだんに普通ふつうに使つかわれている。またフロイトの Imago にもよく論文ろんぶんを発表はっぴょうしており、フロイト自身じしんの夢ゆめを分析ぶんせきした論文ろんぶんもある[16]。

アメリカ移住いじゅうと作家さっかとしての経歴けいれき

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1939年ねん、戦争せんそうが近ちかいという観測かんそくがなされる中なかヴェリコフスキーは家族かぞくと共ともにニューヨークに旅行りょこうし、そこでサバティカルを過すごし Oedipus and Akhnaton という本ほんを書かくための調査ちょうさをしようと考かんがえていた。これはフロイトの『モーゼと一神教いっしんきょう』に触発しょくはつされたもので、ファラオのイクナートンが伝説でんせつのオイディプースのモデルだった可能かのう性せいを検証けんしょうする構想こうそうだった。フロイトは、一神教いっしんきょうを創始そうししたとされるイクナートンが、イスラエルの砂漠さばくで民衆みんしゅうにモーゼが説といた宗教しゅうきょう原理げんりの原典げんてんだったと主張しゅちょうした。フロイト（およびその先駆せんく者しゃ）の主張しゅちょうの根拠こんきょとなっているのは、聖書せいしょの賛美さんび歌か104番ばんとアケトアテンにあるイクナートンの墓はかの壁かべに刻きざまれていた文章ぶんしょうの類似るいじ性せいである。フロイトへの反証はんしょうと出でエジプト記きが実際じっさいにあったことを証明しょうめいするため、ヴェリコフスキーはエジプト側がわの文献ぶんけんに出でエジプト記きに対応たいおうするものがないかを捜さがした。その1つが Ipuwer Papyrus で、彼かれは聖書せいしょに出でてくる伝染でんせん病びょうの記述きじゅつと似にていると考かんがえた。従来じゅうらいのエジプト学がくでは Ipuwer Papyrus の成立せいりつ年代ねんだいが非常ひじょうに古ふるいと想定そうていされており、聖書せいしょの出いでエジプト記きの年代ねんだい（紀元前きげんぜん1500-1450年ねんごろ）や従来じゅうらいのエジプト史しとの整合せいごうで言いわれている出いずるエジプト記きの年代ねんだい（紀元前きげんぜん1250年ねんごろ）よりも古ふるいとされていた。このため、ヴェリコフスキーは従来じゅうらいの歴史れきしの定説ていせつが間違まちがっていて、それを訂正ていせいする必要ひつようがあると考かんがえた。

アメリカに来きて数すう週間しゅうかん後ご、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんが勃発ぼっぱつした。間あいだもなく元々もともとの著書ちょしょの構想こうそうから発展はってんさせ、ヴェリコフスキーは過激かげきな天変地異てんぺんちい的てき宇宙うちゅう論ろんを生うみ出だし、定説ていせつをくつがえす新あらたな歴史れきしを考案こうあんした（後述こうじゅつ）。結局けっきょくニューヨークに定住ていじゅうすることになり、研究けんきゅうと執筆しっぴつを継続けいぞくし、彼かれの理論りろんを学界がっかいや一般いっぱん社会しゃかいに広ひろめる方法ほうほうを捜さがし求もとめた。まず、1945年ねんに Scripta Academica という理論りろんの概要がいようを記しるした小しょう冊子さっしを2冊さつ（Theses for the Reconstruction of Ancient History と Cosmos Without Gravitation）自費じひ出版しゅっぱんした。1947年ねん、天文学てんもんがく者しゃハーロー・シャプレーにそれらを送おくり、そこである程度ていどの反響はんきょうを得えることになった。

1950年ねん、『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』の原稿げんこうを8社しゃの出版しゅっぱん社しゃに持もち込こんで断ことわられ[17]、最終さいしゅう的てきに学術がくじゅつ出版しゅっぱん界かいの大手おおてである Macmillan で出版しゅっぱんすることが決きまった。その出版しゅっぱん前まえに Harper's Magazine でリーダーズ・ダイジェスト誌しがよくやるような非常ひじょうに肯定こうてい的てきな特集とくしゅうが組くまれ、激はげしい論争ろんそうが起おきた。ヴェリコフスキーに小しょう冊子さっしを送おくりつけられていたシャプレーがこの論争ろんそうに気きづき、本ほんの出版しゅっぱんに反対はんたいの立場たちばで参戦さんせんした。シャプレーは『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』を出版しゅっぱんし続つづけるなら Macmillan の本ほんを教科書きょうかしょとして採用さいようしないと脅おどした。結局けっきょく同書どうしょの出版しゅっぱん元もとは2カ月かげつもしないうちにダブルデイに移うつった。そのころにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでベストセラーになっていた。1952年ねん、ダブルデイはヴェリコフスキー版ばんの歴史れきし書しょの第だい1弾だんである『混沌こんとん時代じだい』を出版しゅっぱん。1955年ねんには『激変げきへんの地球ちきゅう』を出版しゅっぱんした。ヴェリコフスキーは1952年ねん11月、マンハッタンからニュージャージー州しゅうプリンストンに引ひっ越こしている。

1950年代ねんだいから1960年代ねんだい初はじめにかけて、ヴェリコフスキーは各かく大学だいがくにとって「ペルソナ・ノン・グラータ ＝ 好このましからざる人物じんぶつ」とされた。しかしその後ごは講演こうえんを依頼いらいされるようになる。彼かれの講演こうえんには毎回まいかい大変たいへんな人数にんずうの聴衆ちょうしゅうが集あつまった。1972年ねん、カナダ放送ほうそう協会きょうかいがヴェリコフスキーとその業績ぎょうせきを紹介しょうかいする1時じ間あいだ番組ばんぐみを放送ほうそうし、ヴェリコフスキーの名声めいせいはさらに高たかまった。1973年ねんにはBBCが30分ぶんのドキュメンタリー番組ばんぐみを放送ほうそうしている。

1970年代ねんだい中ちゅうごろ以降いこう、ヴェリコフスキーは学界がっかいにおける批判ひはん的てき論者ろんしゃへの反駁はんばくに時間じかんを費ついやすようになり、同時どうじに北米ほくべいやヨーロッパ各地かくちで講演こうえんを行おこなった。糖尿とうにょう病びょうと間欠かんけつ的てきなうつ病びょうを患わずらった（娘むすめによれば学界がっかいに批判ひはんされ続つづけたために悪化あっかしたという[18][19]）。また、予定よていされていた続編ぞくへん（『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』の前まえの話はなしと『混沌こんとん時代じだい』の続編ぞくへん）の出版しゅっぱんは微妙びみょうとなった。

生涯しょうがい最後さいごの2年間ねんかんに『混沌こんとん時代じだい』の続編ぞくへん2冊さつ Peoples of the Sea (1977) と Rameses II and his Time (1978) がようやく出版しゅっぱんされた。1979年ねん11月17日にち、妻つまに看取みとられながら自宅じたくで亡なくなった。

死後しご

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ヴェリコフスキーは死後しごに残のこっている著作ちょさくを出版しゅっぱんさせるため、Lynn E. Rose を後見人こうけんにんに指定していしていた。しかし、遺族いぞくはどうにかして遺稿いこうを管理かんり下かにおき、未亡人みぼうじんの監督かんとく下かで2冊さつの遺稿いこう集しゅう Mankind in Amnesia (1982) と Stargazers and Gravediggers (1983) が出版しゅっぱんされた。前者ぜんしゃは精神せいしん分析ぶんせき学がく関係かんけいの著作ちょさくで、後者こうしゃは1955年ねんまでのヴェリコフスキーに対たいする学界がっかいからの批判ひはんをまとめたものである。

その後ごヴェリコフスキーの遺稿いこうは2人ふたりの娘むすめ[20]の管理かんり下かに置おかれ、彼女かのじょたちはその出版しゅっぱんを拒こばみ続つづけた。例外れいがいとして父親ちちおやの伝記でんき ABA — the Glory and the Torment: The Life of Dr. Immanuel Velikovsky を1995年ねんに出版しゅっぱんし、やや疑うたがわしいレビューがいくつか書かかれている[21][22][23]。また『混沌こんとん時代じだい』をヘブライ語ごに翻訳ほんやくした The Dark Age of Greece がイスラエルで出版しゅっぱんされた。ヴェリコフスキーとアインシュタインの対談たいだん集しゅうもヘブライ語ごでイスラエルで出版しゅっぱんされている（娘むすめが編集へんしゅう）。1990年代ねんだい末まつごろ未み発表はっぴょうの手て稿こうなども含ふくめた資料しりょうが Velikovsky Archive で公開こうかいされた。2005年ねんには娘むすめがヴェリコフスキーの全すべての蔵書ぞうしょをプリンストン大学ぷりんすとんだいがく図書館としょかんに寄贈きぞうした。

アイデア

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ヴェリコフスキーは1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけて医療いりょうや精神せいしん分析ぶんせき学がくの著作ちょさくをいくつも出版しゅっぱんしているが[24]、彼かれを有名ゆうめいにした著作ちょさくが生うまれたのはニューヨークに住すみ始はじめた1940年代ねんだいのことである。彼かれは1942年ねん11月に自分じぶんの考かんがえの中核ちゅうかく部ぶを宣誓せんせい供述きょうじゅつ書しょという形かたちでまとめ[25]、Scripta Academica という小しょう冊子さっし2冊さつをそれぞれ Theses for the Reconstruction of Ancient History (1945) と Cosmos without Gravitation (1946) として自費じひ出版しゅっぱんした[26]。

その考かんがえは総合そうごう的てきなものでいろいろな面めんで完全かんぜんとはいえないものだったため、ヴェリコフスキーは古代こだい史し関連かんれんと物質ぶっしつ科学かがく関連かんれんを別々べつべつにして一連いちれんの本ほんの形かたちで出版しゅっぱんするという形態けいたいを選択せんたくし、それを世よに出だすことにした。ヴェリコフスキーは熱心ねっしんなシオニストで[27][28]、そのことが彼かれの考かんがえ方かたの根底こんていにあるのは確たしかだが、単たんなるシオニストの考かんがえというには広範囲こうはんいに渡わたっている。彼かれの著作ちょさく全体ぜんたいは、聖書せいしょに描えがかれている歴史れきしとエジプト史しなどの考古学こうこがくや古代こだいの文献ぶんけんから構築こうちくされている歴史れきしとを整合せいごうさせたいという考かんがえに端はしを発はっしている[29]。

ヴェリコフスキーは両方りょうほうの文献ぶんけんに共通きょうつうする事象じしょうの記述きじゅつを捜さがし求もとめ、Ipuwer papyrus を見みつけ、これが当時とうじのエジプト人じんが出でエジプト記きの出来事できごとを記録きろくしたものだと信しんじた。さらに彼かれはこの両者りょうしゃが大だい規模きぼな自然しぜん災害さいがいを記述きじゅつしたものだと解釈かいしゃくした。ヴェリコフスキーはユダヤ教徒きょうとがエジプトを脱出だっしゅつした物理ぶつり的てき原因げんいんを求もとめ、その前後ぜんごの歴史れきしを調査ちょうさ・推定すいていし、世界せかい各地かくちの歴史れきし的てき文献ぶんけんや神話しんわを比較ひかくし、世界せかい的てき規模きぼで周期しゅうき的てきに大だい災害さいがいが起おきていたと信しんじるようになった。

彼かれは過激かげきな学際がくさい的てき考かんがえ方かたに到達とうたつした。それをまとめると次つぎのようになる。

  • 地球ちきゅうという惑星わくせいは、人類じんるいが歴史れきしを記録きろくする以前いぜんも以後いごも世界せかい的てき規模きぼの自然しぜん災害さいがいに見舞みまわれてきた。
  • それら大だい災害さいがいの証拠しょうこは地質ちしつ記録きろく（この点てんでヴェリコフスキーは斉一せいいつ説せつではなく天変地異てんぺんちい説せつを採用さいようしている）にも考古こうこ記録きろくにもある。多おおくの種たねの絶滅ぜつめつは突発とっぱつ的てきに同時どうじに起おきており、ダーウィンの進化しんか論ろんのような緩ゆるやかな自然しぜん淘汰とうたではない。
  • 人類じんるいが経験けいけんした大だい災害さいがいは、全すべての古代こだい文化ぶんか・文明ぶんめいの神話しんわ・伝説でんせつ・文献ぶんけんに記録きろくされている。ヴェリコフスキーは様々さまざまな文化ぶんか・文明ぶんめいの記録きろくの中なかで一致いっちしていると思おもわれるものを指摘してきし、それらが実際じっさいに起おきた同おなじ事象じしょうを指さしているとした。例たとえば、大だい洪水こうずいの記録きろくは旧約きゅうやく聖書せいしょ、ギリシャ神話しんわのデウカリオーンの伝説でんせつ、インド神話しんわのマヌの伝説でんせつなどにある。これらが単たんなる神話しんわや伝説でんせつとみなされるようになった機構きこうとして、ヴェリコフスキーは精神せいしん分析ぶんせき学がく的てきな「文化ぶんか的てきな記憶きおく力りょく欠如けつじょ」という考かんがえ方かたを提案ていあんしている。
  • これらの天災てんさいの原因げんいんは、太陽系たいようけい内うちの他ほかの天体てんたいと地球ちきゅうが接近せっきん遭遇そうぐうしたことにある。土星どせい、木星もくせい、火星かせい、金星かなぼしといった惑星わくせいは、人類じんるいが誕生たんじょうして以降いこうも現在げんざいとは違ちがう軌道きどうだったことがあるとした。
  • そのような惑星わくせい軌道きどうの変化へんかを可能かのうにする力ちからとして、ヴェリコフスキーは電磁気でんじき力りょくが重力じゅうりょく以上いじょうに強つよく働はたらいたのではないかと考かんがえた。

ヴェリコフスキーが具体ぐたい的てきに提唱ていしょうした大だい災害さいがい（大だい変動へんどう）としては次つぎのものがある。

  • 地球ちきゅうは現在げんざいの軌道きどうに落おち着つく以前いぜんに「原始げんし土星どせい」の衛星えいせいだったことがあるとする仮説かせつ。
  • ノアの大だい洪水こうずいは原始げんし土星どせいが新星しんせい状態じょうたいになり、その質量しつりょうの大半たいはんを宇宙うちゅう空間くうかんに放出ほうしゅつしたために起おきたとする仮説かせつ。
  • バベルばべるの塔とうの崩壊ほうかいは水星すいせいによって引ひき起おこされたとする仮説かせつ。
  • ソドムとゴモラの滅亡めつぼうは木星もくせいによって引ひき起おこされたとする仮説かせつ。
  • （木星もくせいから飛とび出だしたとされる）金星かなぼしが彗星すいせいのような軌道きどうを描えがき、定期ていき的てきに地球ちきゅうに接近せっきんして大だい災害さいがいを起おこしたとする仮説かせつ。紀元前きげんぜん1500年ねんごろの出でエジプト記きやヨシュア記きにある「太陽たいようが静止せいしした」という記述きじゅつの原因げんいんが金星きんぼしの接近せっきんだとしている。
  • 火星かせいも周期しゅうき的てきに地球ちきゅうに接近せっきんし、紀元前きげんぜん8世紀せいきと7世紀せいきの大だい破壊はかいを引ひき起おこしたとする仮説かせつ。

上述じょうじゅつしたようにヴェリコフスキーはこれらを1940年代ねんだい初はじめに構築こうちくした。しかし、本ほんの形かたちで一般いっぱんに公表こうひょうしたのはその一部いちぶだけであり、彼かれは生涯しょうがいをかけて研究けんきゅうと拡張かくちょうに努つとめた。それぞれの本ほんには次つぎのような部分ぶぶんが記載きさいされている。

  • 『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』(1950) は金星きんぼしと火星かせいが引ひき起おこした災害さいがいについて文献ぶんけんや神話しんわを論ろんじている。
  • 『混沌こんとん時代じだい』(1952) に始はじまる一連いちれんの本ほんは、ヴェリコフスキー版ばん古代こだい史しとなっている。
  • 『激変げきへんの地球ちきゅう』(1955) は地球ちきゅう規模きぼの大だい災害さいがいの地質ちしつ学がく的てき証拠しょうこを論ろんじている。

ヴェリコフスキーの土星どせい・水星すいせい・木星もくせいに関かんする仮説かせつは出版しゅっぱんされなかったし、それらに関かんする現存げんそんする手て稿こうもあまり詳細しょうさいではない。

ヴェリコフスキーは天体てんたい力学りきがくに電磁気でんじき力りょくが大おおきな役割やくわりを果はたしたとする説せつについてはあまり多おおくを語かたっていない。1946年ねんの小しょう冊子さっし Cosmos without Gravitation でその仮説かせつを提唱ていしょうして以来いらいほとんどそれについて語かたらず撤回てっかいしたように思おもわれていたが、死後しごに出版しゅっぱんされた Stargazers and Gravediggers ではそれが復活ふっかつしている[30]。ヴェリコフスキーは Cosmos without Gravitation を大学だいがくの図書館としょかんや各地かくちの科学かがく者しゃに送おくり、これに対たいする反応はんのうとして天文学てんもんがく者しゃや物理ぶつり学者がくしゃから激はげしい反論はんろんがあった[31]。しかし一部いちぶにはこの仮説かせつに惹ひきつけられた人々ひとびともいて、恒星こうせいはその内部ないぶの核かく融合ゆうごう反応はんのうを動力どうりょく源げんとするのではなく、銀河ぎんが規模きぼの電磁でんじエネルギーの流ながれによって動うごかされるという仮説かせつに発展はってんさせていった。しかしそのような考かんがえには通常つうじょうの文献ぶんけんによる裏うらづけが全まったくない[32][33][34]。

ヴェリコフスキー版ばん古代こだい史し

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ヴェリコフスキーは中東ちゅうとうを中心ちゅうしんとした古代こだいの年代ねんだい設定せっていがエジプトのソティス周期しゅうきとマネトによる歴代れきだい王おうの一覧いちらんに基もとづいたものであるとし、全体ぜんたい的てきに間違まちがっているとした。そしてそれによって聖書せいしょの記述きじゅつと周辺しゅうへん文化ぶんかの記録きろくに齟齬そごが生しょうじているとし、ギリシャやその他たの地域ちいきに見みられる暗黒あんこく時代じだいの不可解ふかかいさの原因げんいんだとした。ヴェリコフスキーは一部いちぶの年代ねんだい設定せっていや王朝おうちょうの時代じだいをエジプト古こ王国おうこくからプトレマイオス朝あさ時代じだいに移うつし（これを Revised Chronology と称しょうした）、出でエジプト記きの時期じきをエジプト中ちゅう王国おうこく末期まっきに設定せっていした。彼かれは他ほかにも様々さまざまな歴史れきし上じょうの事件じけんの年代ねんだいを差さし替かえ、それによって「暗黒あんこく時代じだい」という幻影げんえいが消きえ去さり、聖書せいしょの記述きじゅつとヘロドトスの記しるした歴史れきしが完全かんぜんに一致いっちするようになるとした。

この考かんがえ方かたはまず『混沌こんとん時代じだい』で発表はっぴょうされ、後のちに関連かんれんする著作ちょさくである Oedipus and Akhnaton（世紀せいき末まつの黙示録もくしろく -甦よみがえる古代こだいの伝説でんせつと真実しんじつの歴史れきし）、Peoples of the Sea、Rameses II and His Time が出版しゅっぱんされた。ヴェリコフスキーの亡なくなった時点じてんではあと2冊さつが未み発表はっぴょうだったが、後のちにインターネット上じょうで The Assyrian Conquest と The Dark Ages of Greece が公開こうかいされた。

この考かんがえ方かたは歴史れきし学界がっかいからは拒絶きょぜつされており、ヴェリコフスキーの信奉しんぽう者しゃにもこれについては支持しじしない人ひとがいる。

評価ひょうか

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ヴェリコフスキー主義しゅぎ

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1960年代ねんだいから1970年代ねんだいにかけて、ヴェリコフスキーに触発しょくはつされた追随ついずい者しゃが多数たすう出現しゅつげんした。政治せいじ学者がくしゃ Alfred de Grazia は自身じしんの雑誌ざっし American Behavioral Scientist の1963年ねんの号ごうでヴェリコフスキーを特集とくしゅうし、さらにそれを単行たんこう本ほんに発展はってんさせ1966年ねんに The Velikovsky Affair を出版しゅっぱんした。de Grazia の後のちの著書ちょしょ Cosmic Heretics (1984) についての The Skeptical Inquirer の書評しょひょうでは、ヴェリコフスキーが1970年代ねんだいにも忘わすれ去さられなかったのは de Grazia の努力どりょくの賜物たまものかもしれないとしている[35]。

1974年ねん、現代げんだい版ばん（特とくにヴェリコフスキー版ばんの）天変地異てんぺんちい説せつへの高たかまる興味きょうみに呼応こおうして Society for Interdisciplinary Studies (SIS) が創設そうせつされた。1985年ねんには SIS から Institute for the Study of Interdisciplinary Sciences (ISIS) が独立どくりつした。これは David Rohl が新あらたに自説じせつの古代こだい史しを構築こうちくし、ヴェリコフスキー版ばん古代こだい史しを否定ひていしたことから分離ぶんりに至いたったものである。

1975年ねんにはヴェリコフスキーの説せつを扱あつかう雑誌ざっし Kronos: A Journal of Interdisciplinary Synthesis が創刊そうかん。1972年ねんから1975年ねんにかけては、Pensée: Immanuel Velikovsky Reconsidered という雑誌ざっしが10号ごうまで発刊はっかんされていた。ヴェリコフスキーをめぐる論争ろんそうは1970年代ねんだい中ちゅうごろにピークに達たっし、1980年代ねんだいには沈静ちんせい化かした。1984年ねんにはかつてヴェリコフスキー主義しゅぎ者しゃだった C. Leroy Ellenberger が積極せっきょく的てきな反対はんたい派はに鞍替くらがえしている。2000年代ねんだいに入はいって以降いこうも David Talbott などのヴェリコフスキー主義しゅぎ者しゃが活動かつどうしている。

批判ひはん

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ヴェリコフスキーのアイデアは学界がっかいからは否定ひていされており、その結論けつろんの詳細しょうさいは至いたる所ところで間違まちがっていると見みなされている。比較ひかく神話しんわ学がくを使つかって天体てんたいの動うごきを導みちびき出だすといった学者がくしゃから見みて一般いっぱん的てきでない手法しゅほうは、結論けつろんを導みちびき出だす手段しゅだんとして受うけ入いれられないとされている。スティーヴン・ジェイ・グールド[36]はヴェリコフスキーへの学界がっかいの反応はんのうをまとめ、「ヴェリコフスキーは変人へんじんでもペテン師ぺてんしでもない。しかし私わたしの意見いけんと友人ゆうじんの意見いけんを引用いんようするなら、彼かれは壮絶そうぜつに間違まちがっている（中略ちゅうりゃく）ヴェリコフスキーは古代こだいの伝説でんせつの不正確ふせいかくさを補おぎなおうとして天体てんたい力学りきがくという科学かがくを再さい構築こうちくしようとした」と記しるしている。

ヴェリコフスキーの最大さいだいのベストセラー『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』は、最大さいだいの批判ひはんを受うけた本ほんでもある。天文学てんもんがく者しゃハーロー・シャプレーはセシリア・ペイン＝ガポーシュキンらとともに、Macmillanがこの本ほんを出版しゅっぱんすると決定けっていしたことを強烈きょうれつに批判ひはんした。天文学てんもんがく界かいからの根本こんぽん的てき批判ひはんは、この本ほんに描えがかれた天体てんたい力学りきがくが物理ぶつり学がく的てきにあり得えないという点てんであり、エネルギー保存ほぞんの法則ほうそくや角かく運動うんどう量りょう保存ほぞんの法則ほうそくを無視むししている点てんである。

ヴェリコフスキーは Stargazers & Gravediggers の中なかで、天体てんたい力学りきがくについて批判ひはんされることを予想よそうして『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』に本来ほんらいあった付録ふろくを削除さくじょし、比較ひかく神話しんわ学がく的てき観点かんてんでのみ評価ひょうかされることを望のぞんでいたと記しるしている。しかし、それでも批判ひはんを受うける結果けっかとなった。その付録ふろくとは1940年代ねんだいにシャプレーなどの学者がくしゃに送おくった Cosmos Without Gravitation を発展はってんさせたものだった。

1974年ねんまでにヴェリコフスキーをめぐる論争ろんそうはアメリカ国内こくないに深ふかく浸透しんとうし、アメリカ科学かがく振興しんこう協会きょうかいがそれに関かんする会議かいぎを開催かいさいし、ヴェリコフスキーとカール・セーガンを招待しょうたいするまでになった。UFOが話題わだいを独占どくせんしたときにもアメリカ科学かがく振興しんこう協会きょうかいは同様どうようの対応たいおうを迫せまられていた。セーガンはヴェリコフスキーへの批判ひはんを展開てんかいした。その内容ないようは Scientists Confront Velikovsky[37] にあり、それを改訂かいていして本ほんにしたのが Broca's Brain: Reflections on the Romance of Science 〔邦訳ほうやく『サイエンス・アドベンチャー』（新潮社しんちょうしゃ、新潮しんちょう選書せんしょ）〕である[38]。セーガンは一般いっぱんの聴衆ちょうしゅうに向むけて意見いけんを述のべ、ヴェリコフスキー個人こじんとは議論ぎろんしなかったが、その点てんが後のちにヴェリコフスキー信奉しんぽう者しゃに攻撃こうげきする隙すきを与あたえることになった[39]。セーガンはそれらについても後のちに反論はんろんし、PBSの自身じしんの番組ばんぐみ Cosmos でもヴェリコフスキーへの批判ひはんを展開てんかいし、同時どうじにヴェリコフスキーの考かんがえを封ふうじようとした科学かがく者しゃらも批判ひはんしている。

『衝突しょうとつする宇宙うちゅう』における神話しんわや文献ぶんけんの扱あつかい方かたについて非常ひじょうに詳細しょうさいな批判ひはんがなされるようになったのは1980年代ねんだいのことで、Bob Forrest が重要じゅうような検証けんしょうを行おこない公表こうひょうした[40][41][42]。1974年ねん以前いぜんに James Fitton がヴェリコフスキーの神話しんわ解釈かいしゃくを簡単かんたんに批評ひひょうしているが、ヴェリコフスキーやその信奉しんぽう者しゃには無視むしされた。Fitton の文章ぶんしょうは「ヴェリコフスキーの神話しんわの扱あつかい方かたは少すくなくとも3つの重要じゅうような点てんで不健全ふけんぜんである。第だい一いちに彼かれは全すべての神話しんわを独立どくりつした価値かちがあるものとして扱あつかう傾向けいこうがある。第だい二にに仮説かせつに一致いっちする素材そざいだけを扱あつかう傾向けいこうがある。第だい三さんに手法しゅほう全体ぜんたいが体系たいけい的てきでない」と始はじまっていた[43]。かつてヴェリコフスキー信奉しんぽう者しゃだった C. Leroy Ellenberger は A Lesson from Velikovsky の中なかでヴェリコフスキーの位置いちづけを簡単かんたんに分析ぶんせきしている。

近年きんねん氷こおり床ゆかコアの研究けんきゅうが進すすみ（グリーンランドや南極なんきょくのボストーク基地きちなど）、ヴェリコフスキーが完かん新しん世よ末期まっきにあったとした地球ちきゅう規模きぼの災害さいがいの痕跡こんせきが見みつからないことが判明はんめいしている。

「ヴェリコフスキー事件じけん」

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ヴェリコフスキーへの批判ひはんはいくつかの面めんから行おこなわれたため（ハーロー・シャプレーによる初期しょきのキャンペーンなど）、その論争ろんそう自体じたいを分析ぶんせきする者ものも現あらわれた。特とくに American Behavioral Scientist 誌しの研究けんきゅうが傑出けっしゅつしており、後のちに The Velikovsky Affair という本ほんにまとめられている[44]。そこでの観点かんてんは学界がっかいの閉鎖へいさ性せいであり、専せん門外もんがいの人間にんげんが新あたらしいアイデアを出だしたときの学問がくもん分野ぶんやの反応はんのうや、学際がくさい的てき研究けんきゅうへの反感はんかんといったことを論ろんじている。最近さいきんでは メリーランド大学だいがくの歴史れきし学がく教授きょうじゅ James Gilbert がこの見方みかたへの反論はんろんを試こころみ、ヴェリコフスキー信奉しんぽう者しゃのホレイス・カレンとハーロー・シャプレーの関係かんけいに注目ちゅうもくして分析ぶんせきを試こころみている[45]。それ以前いぜんに Henry Bauer がヴェリコフスキー事件じけんを科学かがく者しゃの新あたらしい考かんがえ方かたへの抵抗ていこうとする見方みかたに反論はんろんを試こころみ、「あの事件じけんを新あたらしいアイデアへの科学かがくの反応はんのうの典型てんけい例れいと決きめ付つける前まえに、ヴェリコフスキーの主張しゅちょうの性質せいしつと妥当だとう性せいを検証けんしょうしなければならない」と記しるしている[46]。

科学かがく出版しゅっぱん界かいはヴェリコフスキーが批判ひはんに対たいして反論はんろんする公開こうかい討論とうろんの場ばを決けっして設もうけようとしなかった。このためヴェリコフスキーは自身じしんを "suppressed genius"（抑圧よくあつされた天才てんさい）だとし、自みずからを火ひあぶりになったジョルダーノ・ブルーノにたとえた[47][48][49]。

ヴェリコフスキーの出版しゅっぱんによって巻まき起おこされた論争ろんそうは、20世紀せいき後半こうはんの天変地異てんぺんちい説せつ復活ふっかつの一因いちいんとなった。しかし同時どうじにいわゆる「ヴェリコフスキー事件じけん」がそれらに悪影響あくえいきょうを与あたえた面めんもあるとされている[50][51]。

著作ちょさく

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脚注きゃくちゅう・出典しゅってん

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  44. ^ ただし、その3人にんの著者ちょしゃはヴェリコフスキー信奉しんぽう者しゃであり、客観きゃっかん的てき研究けんきゅうとは言いえない面めんがある。
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参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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批判ひはん

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