オゾン層 そう (オゾンそう、英 えい : ozone layer、ozonosphere )は、地球 ちきゅう の大気 たいき の層 そう の一 ひと つ。
地球 ちきゅう の大気 たいき 中 なか でオゾン の濃度 のうど が高 たか い部分 ぶぶん のことである。オゾンは、高度 こうど 約 やく 10–50 km ほどの成層圏 せいそうけん に多 おお く存在 そんざい し、特 とく に高度 こうど 約 やく 25 kmで最 もっと も密度 みつど が高 たか くなる。
一般 いっぱん 的 てき には、大気 たいき 中 ちゅう のオゾンの9割 わり が存在 そんざい する成層圏 せいそうけん の高 こう 濃度 のうど オゾン帯 たい を指 さ し、高度 こうど 10–50 km付近 ふきん とされる[3] 。以下 いか 、いくつかの定義 ていぎ を挙 あ げる。
高度 こうど 10–50 kmの成層圏 せいそうけん
国連 こくれん 環境 かんきょう 計画 けいかく (UNEP) のQ&A集 しゅう [4] 、およびそれを基 もと に作成 さくせい された環境省 かんきょうしょう の資料 しりょう [3] など
高度 こうど 15–60 km
アメリカ気象 きしょう 学会 がっかい の用語 ようご 集 しゅう による[5]
大気 たいき 境界 きょうかい 層 そう (高度 こうど 約 やく 1 km)より上 うえ の大気 たいき オゾンの層 そう
オゾン層 そう の保護 ほご のためのウィーン条約 じょうやく [6]
ちなみに、オゾン濃度 のうど が最 もっと も高 たか いのは高度 こうど 20 km付近 ふきん で、1立方 りっぽう センチメートル (cm²) あたり約 やく 10¹³個 こ (= 10兆 ちょう 個 こ )のオゾン分子 ぶんし が存在 そんざい する。また、オゾンの混合 こんごう 比 ひ (乾燥 かんそう 空気 くうき に対 たい する質量 しつりょう 比 ひ )が最 もっと も高 たか いのは高度 こうど 30 km付近 ふきん で、9–10 ppm である[5] 。
オゾン層 そう の発見 はっけん [ 編集 へんしゅう ]
1839年 ねん にスイス の化学 かがく 者 しゃ クリスチアン・シェーンバイン がオゾンを発見 はっけん し、その特有 とくゆう の臭 くさ いから、ギリシャ語 ご で "臭 くさ い" を意味 いみ する "ozein" に基 もと づいて命名 めいめい した。1879年 ねん にマリー・アルフレッド・コルニュ が太陽光 たいようあきら のスペクトル 観測 かんそく において、300 nm 付近 ふきん より短 みじか い波長 はちょう の紫外線 しがいせん が地表 ちひょう 付近 ふきん で観測 かんそく されず、大気 たいき による紫外線 しがいせん の遮蔽 しゃへい があることを発見 はっけん した。1881年 ねん にアイルランド の化学 かがく 者 しゃ ウォルター・ハートレイ は、実験 じっけん 室 しつ 内 ない で300 nmより短 みじか い波長 はちょう の紫外線 しがいせん がオゾンにより強 つよ く吸収 きゅうしゅう されることを発見 はっけん し(ハートレー帯 たい 吸収 きゅうしゅう )、大気 たいき による紫外線 しがいせん 隠蔽 いんぺい の原因 げんいん はオゾンであると提案 ていあん した。1913年 ねん にジョン・ウィリアム・ストラット (レイリー卿 きょう )は下層 かそう 大気 たいき では紫外線 しがいせん の吸収 きゅうしゅう が無 な いことを発見 はっけん した。そして、同 どう 1913年 ねん には、シャルル・ファブリ とアンリ・ビュイソン の2人 ふたり のフランス人 じん 科学 かがく 者 しゃ によって「オゾン層 そう 」の存在 そんざい が発見 はっけん された。1920年 ねん には、ゴードン・ドブソン が科学 かがく 的 てき 測定 そくてい によってオゾン層 そう の存在 そんざい を証明 しょうめい した[7] [8] [9] 。
高度 こうど (縦 たて 軸 じく :km)とオゾン濃度 のうど (横 よこ 軸 じく :ドブソン単位 たんい )のグラフ。地上 ちじょう 付近 ふきん の高 こう 濃度 のうど 帯 たい は光化学 こうかがく スモッグ の影響 えいきょう を反映 はんえい したもの。縦長 たてなが の帯 おび は各 かく 波長 はちょう 帯 たい における紫外線 しがいせん の透過 とうか 度 ど 。
成層圏 せいそうけん 内 ない では、酸素 さんそ 分子 ぶんし が、太陽 たいよう からの242 nm以下 いか の波長 はちょう の紫外線 しがいせん を吸収 きゅうしゅう して光 ひかり 解離 かいり し、酸素 さんそ 原子 げんし になる反応 はんのう が進行 しんこう する。この酸素 さんそ 原子 げんし が酸素 さんそ 分子 ぶんし と結 むす びついてオゾン となる。また生成 せいせい したオゾンは320 nm以下 いか の波長 はちょう を持 も つ紫外線 しがいせん を吸収 きゅうしゅう し、酸素 さんそ 分子 ぶんし と酸素 さんそ 原子 げんし に分解 ぶんかい するという反応 はんのう も同時 どうじ に進行 しんこう する(反応 はんのう 式 しき のMは主 おも に窒素 ちっそ や酸素 さんそ の分子 ぶんし で、反応 はんのう のエネルギーを受 う け取 と るという役割 やくわり をしている)。
オゾン生成 せいせい のプロセス [ 編集 へんしゅう ]
各 かく 反応 はんのう 素 もと 過程 かてい は以下 いか の4つの式 しき で示 しめ される。h はプランク定数 ていすう で、hν にゅー は振動 しんどう 数 すう ν にゅー の光 ひかり の光子 こうし が持 も つエネルギーを表 あらわ している。(それぞれの式 しき における ν にゅー は、酸素 さんそ 分子 ぶんし やオゾン分子 ぶんし の吸収 きゅうしゅう 帯 たい に対応 たいおう する太陽 たいよう からの紫外線 しがいせん の振動 しんどう 数 すう に当 あ たる。)
自然 しぜん 界 かい でオゾンを生成 せいせい する唯一 ゆいいつ の反応 はんのう
O
+
O
2
+
M
⟶
O
3
+
M
{\displaystyle {\ce {O\ + O2\ + M -> O3\ + M}}}
生成 せいせい したオゾンは紫外線 しがいせん を吸収 きゅうしゅう して解離 かいり
O
3
+
h
ν にゅー
⟶
O
+
O
2
{\displaystyle {\ce {O3\ + h\nu -> O\ + O2}}}
上記 じょうき 2式 しき の反応 はんのう 速度 そくど は非常 ひじょう に早 はや く、O₃ と O は平衡 へいこう 状態 じょうたい にあり、両者 りょうしゃ の和 やわ である奇数 きすう 酸素 さんそ Ox = O₃ + O は変化 へんか しない。Ox を変化 へんか させる次 つぎ の2つの反応 はんのう は、比較的 ひかくてき ゆっくりと進 すす む。
生成 せいせい 反応 はんのう
O
2
+
h
ν にゅー
⟶
2
O
{\displaystyle {\ce {O2\ + h\nu -> 2O}}}
分解 ぶんかい 反応 はんのう
O
+
O
3
⟶
2
O
2
{\displaystyle {\ce {O\ + O3 -> 2O2}}}
この反応 はんのう のメカニズムは1930年 ねん にチャップマン によって考 かんが え出 だ され、チャップマン機構 きこう と呼 よ ばれる。大気 たいき 中 ちゅう のオゾンは、その90%以上 いじょう が成層圏 せいそうけん に存在 そんざい し、オゾン層 そう では濃度 のうど は2–8 ppm と、地表 ちひょう の0.03 ppmと比較 ひかく すれば非常 ひじょう に高 たか い。
酸素 さんそ 分子 ぶんし の密度 みつど は、空気 くうき の密度 みつど に比例 ひれい するので高度 こうど が高 たか くなるほど低 ひく くなる。他方 たほう 、酸素 さんそ 分子 ぶんし が吸収 きゅうしゅう する紫外線 しがいせん は、太陽 たいよう 入射 にゅうしゃ 光 こう の強度 きょうど に比例 ひれい するため高度 こうど が高 たか いほど強 つよ い。オゾン生成 せいせい はこれら高 たか さと共 とも に増大 ぞうだい する量 りょう と減少 げんしょう する量 りょう の両方 りょうほう に依存 いぞん するので、オゾン密度 みつど はある高度 こうど で極大 きょくだい となり、成層圏 せいそうけん 中部 ちゅうぶ の20–30 km付近 ふきん がそれにあたる[9] 。
オゾンの輸送 ゆそう と分布 ぶんぷ [ 編集 へんしゅう ]
オゾンは主 おも に、日射 にっしゃ 量 りょう の多 おお い赤道 あかみち 上 うえ の熱帯 ねったい 成層圏 せいそうけん 下部 かぶ で最 もっと も活発 かっぱつ に生成 せいせい されている。生成 せいせい されたオゾンは赤道 せきどう から両極 りょうきょく に向 む かうブリューワー・ドブソン循環 じゅんかん によって高緯度 こういど の成層圏 せいそうけん に運 はこ ばれるので、中 なか 〜高緯度 こういど 地域 ちいき の方 ほう が熱帯 ねったい 地域 ちいき よりもオゾンが多 おお くなる。
ブリューワー・ドブソン循環 じゅんかん は成層圏 せいそうけん 下部 かぶ にあたる高度 こうど 20 km付近 ふきん で1年 ねん 中 ちゅう 続 つづ いているため、オゾン輸送 ゆそう は年中 ねんじゅう 途切 とぎ れない。しかし、冬 ふゆ に当 あ たる成層圏 せいそうけん には極 ごく 付近 ふきん に極 ごく 渦 うず というジェット気流 きりゅう 帯 おび があり、その南北 なんぼく をまたぐ熱 ねつ や物質 ぶっしつ の輸送 ゆそう が起 お こりにくいので、熱 ねつ の輸送 ゆそう が遮断 しゃだん されて低温 ていおん になり、南極 なんきょく では冬 ふゆ の間 あいだ に大量 たいりょう の極 ごく 成層圏 せいそうけん 雲 くも (PSC) が生成 せいせい される。春 はる 〜初夏 しょか にかけて、この氷 こおり の雲 くも が融解 ゆうかい すると同時 どうじ に塩素 えんそ 原子 げんし が大量 たいりょう に発生 はっせい する。PSCの表面 ひょうめん ではオゾンの分解 ぶんかい 反応 はんのう が促進 そくしん され、オゾン濃度 のうど が急 きゅう 低下 ていか し春季 しゅんき にオゾンホール が発生 はっせい する主因 しゅいん となる。一方 いっぽう 、北極 ほっきょく ではロスビー波 は の影響 えいきょう で極 ごく 渦 うず が南北 なんぼく に乱 みだ されるため、PSCの生成 せいせい に至 いた るほど気温 きおん は低下 ていか せず、オゾン濃度 のうど の低下 ていか も起 お こりにくい。
オゾン層 そう の役割 やくわり [ 編集 へんしゅう ]
オゾン層 そう は、太陽 たいよう からの有害 ゆうがい な波長 はちょう の紫外線 しがいせん の多 おお くを吸収 きゅうしゅう し、地上 ちじょう の生態 せいたい 系 けい を保護 ほご する役割 やくわり を果 は たしている。
紫外線 しがいせん は波長 はちょう によってUV-A (400–315 nm)、UV-B (315–280 nm)、UV-C(280 nm未満 みまん )に分類 ぶんるい される。最 もっと も波長 はちょう が短 みじか く有害 ゆうがい なUV-Cは大気 たいき 中 ちゅう のオゾン分子 ぶんし や酸素 さんそ 分子 ぶんし によって完全 かんぜん に吸収 きゅうしゅう され、地表 ちひょう に届 とど くことはない。UV-AとUV-Cの中間 ちゅうかん の波長 はちょう を持 も つUV-Bは、そのほとんどがオゾン層 そう によって吸収 きゅうしゅう されるが、その一部 いちぶ は地表 ちひょう に到達 とうたつ し、皮膚 ひふ の炎症 えんしょう や皮膚 ひふ がん の原因 げんいん となる。最 もっと も波長 はちょう の長 なが いUV-Aは、大半 たいはん が吸収 きゅうしゅう されずに地表 ちひょう に到達 とうたつ するが、有害 ゆうがい 性 せい はUV-Bよりも小 ちい さい。UV-Aは、しわやたるみの原因 げんいん になる。
地球 ちきゅう 上 じょう のある地点 ちてん における大気 たいき 中 ちゅう のオゾン量 りょう を表 あらわ す単位 たんい としてドブソン単位 たんい (ドブソンたんい、Dobson units)がしばしば用 もち いられる。これは計測 けいそく 地点 ちてん における地上 ちじょう から上空 じょうくう までの大気 たいき 中 ちゅう に存在 そんざい する全 ぜん オゾンを集積 しゅうせき して、0℃、1気圧 きあつ の状態 じょうたい に換算 かんさん した時 とき の厚 あつ さとして表現 ひょうげん される。これが1cmの厚 あつ さであれば 1 atm−cm であるが、通常 つうじょう はこの1/1000である m atm−cm(ミリアトムセンチメートル)を用 もち い、これをドブソン単位 たんい とよび DU と略 りゃく することもある。
オゾン量 りょう は緯度 いど 、あるいは季 き 節 ぶし などにも大 おお きく左右 さゆう されるが、赤道 あかみち 付近 ふきん で約 やく 250 DUと少 すく なく、中 なか 〜高緯度 こういど 地域 ちいき では300–450 DU程度 ていど となる。極 ごく 地域 ちいき にオゾンホールが生成 せいせい した場合 ばあい は中心 ちゅうしん 部 ぶ が100 DU程度 ていど になることもある。
オゾン層 そう 形成 けいせい の歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
オゾン層 そう は、46億 おく 年 ねん 前 まえ に地球 ちきゅう が誕生 たんじょう した当初 とうしょ から存在 そんざい したわけではない。誕生 たんじょう 当初 とうしょ の地球 ちきゅう の原始 げんし 大気 たいき は、主 おも に二酸化炭素 にさんかたんそ からなり、酸素 さんそ 分子 ぶんし はほとんど存在 そんざい しなかったため、オゾンもほとんど存在 そんざい しなかった。大気 たいき 中 ちゅう に酸素 さんそ 分子 ぶんし が増 ふ え始 はじ めたと同時 どうじ に、オゾンも増 ふ え始 はじ めたと考 かんが えられている。
原始 げんし 大気 たいき には紫外線 しがいせん を吸収 きゅうしゅう する物質 ぶっしつ が無 な いため、地上 ちじょう まで強 つよ い紫外線 しがいせん が降 ふ り注 そそ いでいたが、酸素 さんそ 濃度 のうど が上昇 じょうしょう するとオゾンが増 ふ えて、地上 ちじょう に降 ふ り注 そそ ぐ紫外線 しがいせん の量 りょう は急速 きゅうそく に減少 げんしょう していった。しかし当時 とうじ 、オゾン濃度 のうど が高 たか いオゾン層 そう が存在 そんざい したのは、成層圏 せいそうけん ではなく地上 ちじょう 付近 ふきん であった。これは、酸素 さんそ 濃度 のうど が薄 うす いため、酸素 さんそ を光 ひかり 解離 かいり させる紫外線 しがいせん が地上 ちじょう 近 ちか くまで届 とど くからである。酸素 さんそ 濃度 のうど が上 あ がると同時 どうじ に、紫外線 しがいせん の到達 とうたつ できる限界 げんかい 高度 こうど が高 たか くなり、これに伴 ともな いオゾン層 そう も上空 じょうくう へと移 うつ っていった。
原始 げんし 大気 たいき では、酸素 さんそ 濃度 のうど の上昇 じょうしょう ペースに比 くら べて、オゾン濃度 のうど の上昇 じょうしょう ペースの方 ほう が非常 ひじょう に大 おお きかった。例 たと えば、酸素 さんそ が現在 げんざい の100分 ぶん の1と薄 うす かった20億 おく 年 ねん 前 まえ の大気 たいき でも、オゾンは現在 げんざい の5分 ぶん の1であった。オゾンの濃度 のうど は酸素 さんそ に比 くら べれば非常 ひじょう に薄 うす く、酸素 さんそ が少 すく ない原始 げんし 大気 たいき でも、紫外線 しがいせん の量 りょう は過去 かこ においても大 おお きな変化 へんか は無 な いためで、現在 げんざい と比 くら べてそれほど少 すく なくない量 りょう のオゾンが生成 せいせい されていた[10] [11] 。
また、5億 おく 4,000万 まん –5億 おく 3,000万 まん 年 ねん 前 まえ のカンブリア爆発 ばくはつ や、4億 おく 年 ねん 前 まえ の脊椎動物 せきついどうぶつ の陸上 りくじょう 進出 しんしゅつ (両生類 りょうせいるい の誕生 たんじょう )に関 かん しても、生物 せいぶつ に有害 ゆうがい な紫外線 しがいせん を低減 ていげん するオゾン層 そう との関係 かんけい が考 かんが えられている。このころは、酸素 さんそ 濃度 のうど の上昇 じょうしょう によってオゾン層 そう の高度 こうど が高 たか くなり、地上 ちじょう 付近 ふきん のオゾン濃度 のうど が低下 ていか した時期 じき および、オゾン濃度 のうど が高 たか くなり地上 ちじょう の紫外線 しがいせん が更 さら に減少 げんしょう した時期 じき に一致 いっち する。ただし、カンブリア爆発 ばくはつ の原因 げんいん を、多 た 細胞 さいぼう 生物 せいぶつ の接着 せっちゃく 分子 ぶんし の生 なま 合成 ごうせい に必要 ひつよう とされる酸素 さんそ 濃度 のうど の上昇 じょうしょう や、浅海 あさみ 域 いき の拡大 かくだい による生物 せいぶつ の生息 せいそく 範囲 はんい の増加 ぞうか に求 もと める説 せつ もあり、オゾン層 そう とカンブリア爆発 ばくはつ の関連 かんれん 性 せい は証明 しょうめい されているわけではない[12] 。
なお、近年 きんねん 化石 かせき 燃料 ねんりょう の消費 しょうひ に伴 ともな い、大気 たいき 中 ちゅう の酸素 さんそ 濃度 のうど が減少 げんしょう しているとの報告 ほうこく がある。平衡 へいこう 関係 かんけい にある酸素 さんそ の減少 げんしょう はオゾン濃度 のうど の低下 ていか に繋 つな がる。ただし酸素 さんそ の減少 げんしょう 量 りょう は2005年 ねん 時点 じてん では極 きわ めて小 ちい さな値 ね (年 とし 平均 へいきん 0.0004%、224億 おく トン)に留 とど まっている[13] 。
オゾンはヒドロキシラジカル 、一酸化 いっさんか 窒素 ちっそ 、塩素 えんそ 原子 げんし などの存在 そんざい によって分解 ぶんかい される。これらは成層圏 せいそうけん で自然 しぜん にも発生 はっせい するものであり、オゾンの生成 せいせい と分解 ぶんかい のバランスが保 たも たれてきた。
ところが20世紀 せいき に入 はい り、冷蔵庫 れいぞうこ 、クーラー などの冷媒 れいばい やプリント基板 きばん の洗浄 せんじょう 剤 ざい として使用 しよう されてきたフロン など、塩素 えんそ を含 ふく む化学 かがく 物質 ぶっしつ が大気 たいき 中 ちゅう に排出 はいしゅつ された。1974年 ねん にアメリカ の大気 たいき 化学 かがく 者 しゃ フランク・シャーウッド・ローランド とマリオ・モリーナ は、成層圏 せいそうけん で活性 かっせい 化 か した塩素 えんそ 原子 げんし はオゾンを分解 ぶんかい することを指摘 してき (両者 りょうしゃ はドイツのパウル・クルッツェン とともに1995年 ねん にノーベル化学 かがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう )[14] していたが、1985年 ねん にイギリス のジョゼフ・ファーマン (英語 えいご 版 ばん ) 、ブライアン・ガーディナー (英語 えいご 版 ばん ) 、ジョナサン・シャンクリン (英語 えいご 版 ばん ) が南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾンが春季 しゅんき に減少 げんしょう する現象 げんしょう を論文 ろんぶん で発表 はっぴょう したことでこれが国際 こくさい 的 てき な問題 もんだい として浮上 ふじょう し、同年 どうねん にはオゾン層 そう の保護 ほご のためのウィーン条約 じょうやく が採択 さいたく 、2年 ねん 後 ご の1987年 ねん にはモントリオール議定 ぎてい 書 しょ が採択 さいたく され、世界 せかい 的 てき にフロン規制 きせい が始 はじ まった。なお、日本 にっぽん の忠鉢 ちゅうばち 繁 しげる らは1984年 ねん に春季 しゅんき の南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾン減少 げんしょう に関 かん する論文 ろんぶん [15] を発表 はっぴょう していたが、このときは問題 もんだい 提起 ていき には至 いた らなかった。
フロンは非常 ひじょう に安定 あんてい な物質 ぶっしつ であるため、ほとんど分解 ぶんかい されないまま成層圏 せいそうけん に達 たっ し、太陽 たいよう からの紫外線 しがいせん によって分解 ぶんかい され、オゾンを分解 ぶんかい する働 はたら きを持 も つ塩素 えんそ 原子 げんし ができる。普段 ふだん 、成層圏 せいそうけん では塩素 えんそ 原子 げんし はメタン や二酸化 にさんか 窒素 ちっそ 等 ひとし と化合 かごう 物 ぶつ を作 つく って不 ふ 活性 かっせい 化 か するが、これがブリューワー・ドブソン循環 じゅんかん を通 とお して両極 りょうきょく に運 はこ ばれ、-80℃前後 ぜんこう と低温 ていおん の冬 ふゆ の極 きょく 上空 じょうくう にできる極 ごく 成層圏 せいそうけん 雲 くも が触媒 しょくばい となって塩素 えんそ 分子 ぶんし が生成 せいせい ・集積 しゅうせき される。そして、春季 しゅんき にこれが融 と けた時 とき に活性 かっせい 化 か した塩素 えんそ 原子 げんし が大量 たいりょう に発生 はっせい する。極 ごく 成層圏 せいそうけん 雲 くも は二酸化 にさんか 窒素 ちっそ (NO₂) を取 と り込 こ んでいるのでこれが解 と ける夏 なつ まで反応 はんのう は続 つづ く。これにより春季 しゅんき にあたる9–10月 がつ 頃 ごろ の南極 なんきょく のオゾン濃度 のうど が急 きゅう 低下 ていか し、オゾンホール ができると考 かんが えられている[14] 。
一酸化 いっさんか 窒素 ちっそ (NO) もオゾンの分解 ぶんかい に寄与 きよ するが、亜 あ 酸化 さんか 窒素 ちっそ (N₂O) は紫外線 しがいせん により分解 ぶんかい されるなどして一酸化 いっさんか 窒素 ちっそ を生成 せいせい するため、亜 あ 酸化 さんか 窒素 ちっそ の増加 ぞうか もオゾン層 そう 破壊 はかい につながる。特 とく に、塩素 えんそ による破壊 はかい の影響 えいきょう がない環境 かんきょう 下 か で、一酸化 いっさんか 窒素 ちっそ による反応 はんのう が強 つよ く働 はたら く[16] 。また、アメリカNOAA の研究 けんきゅう チームの試算 しさん によると、オゾンの分解 ぶんかい 力 りょく はフロンより弱 よわ いが寿命 じゅみょう が長 なが いことや、フロン類 るい の濃度 のうど が低下 ていか してきていることなどから、21世紀 せいき 中 ちゅう におけるオゾン層 そう 破壊 はかい への寄与 きよ 度 ど は、フロンよりも亜 あ 酸化 さんか 窒素 ちっそ の方 ほう が大 おお きくなると考 かんが えられる[17] 。また、亜 あ 酸化 さんか 窒素 ちっそ は温室 おんしつ 効果 こうか ガス でもあることから京都 きょうと 議定 ぎてい 書 しょ の削減 さくげん 対象 たいしょう にもなっている。
産業 さんぎょう 活動 かつどう や自動車 じどうしゃ の排煙 はいえん に含 ふく まれる大気 たいき 汚染 おせん 物質 ぶっしつ であり、火山 かざん ガスにも含 ふく まれる硫黄 いおう 酸化 さんか 物 ぶつ が反応 はんのう して生成 せいせい される硫酸 りゅうさん エアロゾルも、触媒 しょくばい としてオゾンの分解 ぶんかい に寄与 きよ する。フィリピン のピナトゥボ山 さん が噴火 ふんか して硫酸 りゅうさん エアロゾル濃度 のうど が大 おお きく増加 ぞうか した後 のち の1992年 ねん ・1993年 ねん には、北半球 きたはんきゅう のオゾン濃度 のうど も大 おお きく低下 ていか した[14] 。
オゾン層 そう を破壊 はかい する物質 ぶっしつ としては、クロロフルオロカーボン (CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン (HCFC)、臭 におい 化 か メチル 、四 よん 塩化 えんか 炭素 たんそ 、ハロン 、トリクロロエタン などがある。
オゾン分解 ぶんかい のプロセス [ 編集 へんしゅう ]
成層圏 せいそうけん における、塩素 えんそ 原子 げんし による触媒 しょくばい 反応 はんのう 系 けい はダイマー駆動 くどう 機構 きこう (dimer-driven mechanism) と呼 よ ばれ、その反応 はんのう 素 もと 過程 かてい は次 つぎ のように示 しめ される。
Cl
+
O
3
⟶
ClO
+
O
2
{\displaystyle {\ce {{Cl}+ O3 -> {ClO}+ O2}}}
ClO
+
ClO
+
M
⟶
Cl
2
O
2
+
M
{\displaystyle {\ce {{ClO}+ {ClO}+ M -> {Cl2O2}+ M}}}
Cl
2
O
2
+
h
ν にゅー
⟶
Cl
+
ClOO
{\displaystyle {\ce {{Cl2}{O2}+ h\nu -> {Cl}+ ClOO}}}
ClOO
+
M
⟶
Cl
+
O
2
+
M
{\displaystyle {\ce {{ClOO}+ M -> {Cl}+ {O2}+ M}}}
正味 しょうみ :
2
O
3
+
h
ν にゅー
⟶
3
O
2
{\displaystyle {\ce {{2 O3}+ h\nu -> 3 O2}}}
この塩素 えんそ 原子 げんし は、たった1つでオゾン分子 ぶんし 約 やく 10万 まん 個 こ を連鎖 れんさ 的 てき に分解 ぶんかい していくと考 かんが えられており、分解 ぶんかい 力 りょく が高 たか い。
一酸化 いっさんか 窒素 ちっそ は、下記 かき の触媒 しょくばい 反応 はんのう によってオゾンを分解 ぶんかい する。
NO
+
O
3
⟶
NO
2
+
O
2
{\displaystyle {\ce {{NO}+ O3 -> {NO2}+ O2}}}
NO
2
+
O
⟶
NO
+
O
2
{\displaystyle {\ce {{NO2}+ O -> {NO}+ O2}}}
ヨウ素 もと は、下記 かき の触媒 しょくばい 反応 はんのう によってオゾンを分解 ぶんかい する[18] 。
CH
3
I
+
h
ν にゅー
⟶
CH
3
+
I
{\displaystyle {\ce {{CH3I}+ h\nu -> {CH3}+ I}}}
I
+
O
3
⟶
IO
+
O
2
{\displaystyle {\ce {{I}+ O3 -> {IO}+ O2}}}
IO
+
IO
⟶
2
I
+
O
2
{\displaystyle {\ce {{IO}+ IO -> {2I}+ O2}}}
オゾン層 そう の現状 げんじょう [ 編集 へんしゅう ]
このままオゾン層 そう が破壊 はかい され地表 ちひょう に有害 ゆうがい な紫外線 しがいせん が増 ふ えると、皮膚 ひふ がん や結膜炎 けつまくえん などが増加 ぞうか すると考 かんが えられている。紫外線 しがいせん のUV-Bは、皮膚 ひふ がんのうち特 とく に有 ゆう 棘 とげ 細胞 さいぼう 癌 がん の主因 しゅいん の1つであることが知 し られているほか、白内障 はくないしょう の原因 げんいん の1つでもあり紫外線 しがいせん 量 りょう と白内障 はくないしょう 有 ゆう 病 びょう 率 りつ ・進行 しんこう 度 ど の有意 ゆうい な関係 かんけい を示 しめ す疫学 えきがく 的 てき 研究 けんきゅう もある[19] 。気象庁 きしょうちょう の観測 かんそく によると、日本 にっぽん 上空 じょうくう においても、オゾンの減少 げんしょう 傾向 けいこう が確認 かくにん されている。しかし近年 きんねん になってフロンガスの全 ぜん 世界 せかい 的 てき な使用 しよう 規制 きせい が功 こう を奏 そう したとみられ、徐々 じょじょ にではあるがオゾンの減少 げんしょう に歯止 はど めがかかってきており、問題 もんだい は解決 かいけつ されつつある。
なお、「これまでに放出 ほうしゅつ されたフロンが成層圏 せいそうけん に届 とど くまでには数 すう 十 じゅう 年 ねん かかるので、オゾン層 そう 破壊 はかい はこれから更 さら に進行 しんこう する」というのは誤解 ごかい である。実際 じっさい 、対流圏 たいりゅうけん でフロン濃度 のうど が最大 さいだい になってから成層圏 せいそうけん でフロン濃度 のうど が最大 さいだい になるまでに要 よう する時間 じかん は、3–4年 ねん 程度 ていど である。一方 いっぽう 、最近 さいきん の研究 けんきゅう によると、オゾン層 そう の厚 あつ さは年 とし によって違 ちが っており、その要因 よういん として季 き 節 ぶし 変動 へんどう やQBO 、南極 なんきょく 振動 しんどう などとの関連 かんれん が指摘 してき されている[20] [21]
成層圏 せいそうけん ではオゾン分子 ぶんし や酸素 さんそ 分子 ぶんし が紫外線 しがいせん を吸収 きゅうしゅう する光化学 こうかがく 反応 はんのう によって大気 たいき が加熱 かねつ され、それと大気 たいき 自身 じしん が放出 ほうしゅつ する赤 あか 外 がい 放射 ほうしゃ とが釣 つ り合 あ うことで気温 きおん が決 き まっているが[22] 、近年 きんねん 、成層圏 せいそうけん では上空 じょうくう に放射 ほうしゃ される赤 あか 外 がい 放射 ほうしゃ の増加 ぞうか により対流圏 たいりゅうけん とは逆 ぎゃく に気温 きおん の低下 ていか が報告 ほうこく されている。
オゾン層 そう に関 かん する近年 きんねん の動 うご き・フロン規制 きせい 以後 いご [ 編集 へんしゅう ]
2006年 ねん 、オゾンホールは2050年 ねん 頃 ころ にふさがると予想 よそう された
国立 こくりつ 環境 かんきょう 研究所 けんきゅうじょ の記者 きしゃ 発表 はっぴょう [23] によると、今後 こんご しばらくは大 だい 規模 きぼ なオゾンホールが残 のこ るものの、2020年 ねん 頃 ころ からオゾンホールが縮小 しゅくしょう し始 はじ め、2050年 ねん 頃 ごろ には1980年 ねん レベルまで回復 かいふく されるという結果 けっか が得 え られたとのこと。今 いま の規制 きせい の中 なか で2050年 ねん 頃 ごろ にオゾンホール消滅 しょうめつ の期待 きたい が持 も てるものの、同時 どうじ に今後 こんご 数 すう 十 じゅう 年間 ねんかん に渡 わた ってオゾンホールの大 おお きい状態 じょうたい が続 つづ くという予測 よそく 結果 けっか が出 で ている。またフロンなどがモデルの想定 そうてい 以上 いじょう 使用 しよう された場合 ばあい には、オゾンホールの回復 かいふく は更 さら に遅 おく れるとも述 の べられている。
フロンガス規制 きせい が効果 こうか を発揮 はっき - オゾン層 そう が回復 かいふく 中 ちゅう
フロンガスなどの排出 はいしゅつ 規制 きせい の効果 こうか で、破壊 はかい が進 すす んでいたオゾン層 そう は1997年 ねん を境 さかい に回復 かいふく 傾向 けいこう にあることが分 わ かった(2006年 ねん 8月 がつ 31日 にち )。フロンガス排出 はいしゅつ 規制 きせい の効果 こうか で、破壊 はかい が進 すす んでいたオゾン層 そう は1997年 ねん をピークに回復 かいふく 傾向 けいこう にあるという研究 けんきゅう 報告 ほうこく が、8月 がつ 20日 はつか に発表 はっぴょう された[24] 。この研究 けんきゅう は、米 べい ジョージア工科 こうか 大学 だいがく の研究 けんきゅう チームが米 べい 航空 こうくう 宇宙 うちゅう 局 きょく (NASA) と米 べい 海洋 かいよう 大気 たいき 庁 ちょう (NOAA) のデータに基 もと づき行 い ったもの。地球 ちきゅう の成層圏 せいそうけん 内 ない のオゾンの量 りょう について、気球 ききゅう や地上 ちじょう に設置 せっち された機器 きき 、NASAやNOAAの衛星 えいせい などから得 え られた25年 ねん 分 ぶん の観察 かんさつ 結果 けっか を分析 ぶんせき した。今回 こんかい の研究 けんきゅう 報告 ほうこく によると、北極 ほっきょく /南極 なんきょく 上空 じょうくう の成層圏 せいそうけん 内 ない のオゾンは、1979年 ねん から1997年 ねん にかけて減少 げんしょう が続 つづ いていたが、1997年 ねん を境 さかい に増加 ぞうか 傾向 けいこう にあるという。オゾン量 りょう の増加 ぞうか のうちの約 やく 半分 はんぶん は、成層圏 せいそうけん 上部 じょうぶ (地表 ちひょう から11マイル以上 いじょう )で観察 かんさつ されている。オゾン量 りょう の変化 へんか には、太陽 たいよう の黒点 こくてん 周期 しゅうき や季 き 節 ぶし 要因 よういん 、成層圏 せいそうけん 内 ない の風向 かざむ きなど様々 さまざま な要因 よういん が考 かんが えられるものの、この成層圏 せいそうけん 上部 じょうぶ のオゾン量 りょう の増加 ぞうか は、ほぼ完全 かんぜん にフロンガスなどの排出 はいしゅつ 規制 きせい の効果 こうか によるものだという。オゾン層 そう 破壊 はかい の人体 じんたい への悪影響 あくえいきょう が最初 さいしょ に認識 にんしき され始 はじ めたのは1980年 ねん 。このレベルまでオゾンの量 りょう が回復 かいふく するのは、今世紀 こんせいき 半 なか ばごろになる見込 みこ みだという。
2006年 ねん 、気温 きおん の変動 へんどう によって南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾンホールが過去 かこ 最大 さいだい に
NASAなどによると、南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾンホールが過去 かこ 最大 さいだい になる見込 みこ み[25] 。南半球 みなみはんきゅう の冬期 とうき に、南極 なんきょく 上空 じょうくう の気温 きおん が例年 れいねん よりも低 ひく かったことが原因 げんいん 。これから夏 なつ に向 む かう南半球 みなみはんきゅう では、紫外線 しがいせん の量 りょう が例年 れいねん 以上 いじょう になりそうだという(2006年 ねん 10月 がつ 21日 にち )。米 べい 航空 こうくう 宇宙 うちゅう 局 きょく (NASA) と米国 べいこく 海洋 かいよう 大気 たいき 庁 ちょう (NOAA) は10月19日 にち 、南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾンホールが拡大 かくだい し、9月 がつ 下旬 げじゅん には過去 かこ 最大 さいだい となったと発表 はっぴょう した。オゾンは、太陽 たいよう からの有害 ゆうがい な紫外線 しがいせん の多 おお くを吸収 きゅうしゅう し、地上 ちじょう の生態 せいたい 系 けい を保護 ほご する役割 やくわり を果 は たしているとされている。特 とく に北極 ほっきょく ・南極 なんきょく 上空 じょうくう を中心 ちゅうしん に、1979年 ねん 以降 いこう 減少 げんしょう 傾向 けいこう にあったが、フロンガス排出 はいしゅつ 規制 きせい の効果 こうか もあり、1997年 ねん を境 さかい に増加 ぞうか 傾向 けいこう にある、とNASAとNOAAは8月 がつ に報告 ほうこく していた。今回 こんかい 報告 ほうこく された南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾンホール拡大 かくだい には、成層圏 せいそうけん の気温 きおん が関係 かんけい しているという。NOAAのデータによると、2006年 ねん 9月 がつ 後半 こうはん の南極 なんきょく 上空 じょうくう の成層圏 せいそうけん の気温 きおん が、華氏 かし で約 やく 9度 ど 、平均 へいきん よりも低 ひく かったという。この時期 じき のオゾンホールの大 おお きさは、890万 まん –930万 まん 平方 へいほう マイル(北米 ほくべい 大陸 たいりく ほどの大 おお きさ)から、1,060万 まん 平方 へいほう マイルほどに拡大 かくだい していた。対流圏 たいりゅうけん および成層圏 せいそうけん のフロンガス量 りょう は減少 げんしょう 傾向 けいこう にあるが、40年 ねん 以上 いじょう も大気 たいき の中 なか に留 と まるため、南極 なんきょく 地域 ちいき 上空 じょうくう での成層圏 せいそうけん 内 ない のフロンガスの減少 げんしょう は、今後 こんご 5–10年 ねん の間 あいだ は年 とし 0.1–0.2%程度 ていど にすぎないという。このため年 とし によっては、南極 なんきょく 上空 じょうくう の気温 きおん 変動 へんどう の影響 えいきょう が、ガス減少 げんしょう の効果 こうか を上回 うわまわ ってしまうことがあるという。
2008年 ねん 時点 じてん での最新 さいしん 状況 じょうきょう ・気象庁 きしょうちょう 「オゾン層 そう 観測 かんそく 報告 ほうこく :2007」[26]
気象庁 きしょうちょう の最新 さいしん データ・「オゾン層 そう 観測 かんそく 報告 ほうこく :2007」/2008/04/23によると、オゾンホールが注目 ちゅうもく された1980年代 ねんだい を中心 ちゅうしん にオゾン量 りょう の減少 げんしょう が進 すす み現在 げんざい も少 すく ない状況 じょうきょう が継続 けいぞく しており、南極 なんきょく オゾンホールは最大 さいだい 面積 めんせき は依然 いぜん として大 おお きいと見 み られている。
しかし
1980年 ねん の南極 なんきょく 付近 ふきん のオゾンホールは300万 まん km² 南極大陸 なんきょくたいりく 比 ひ 0.2倍 ばい 程度 ていど であったが、2005年 ねん 以後 いご の現状 げんじょう では2500-3000万 まん km²大陸 たいりく 比 ひ 2.2倍 ばい 程度 ていど に達 たっ している。(1992年 ねん には既 すで に2500万 まん km²に達 たっ していた)
1980年 ねん 時点 じてん の世界 せかい のオゾン総量 そうりょう を基準 きじゅん に考 かんが えた場合 ばあい 、2005年 ねん 以後 いご の現状 げんじょう では-3%強 きょう となっている。(1992–2001のピーク時 じ で-6%)
「オゾン層 そう 観測 かんそく 報告 ほうこく :2007」の図 ず 1世界 せかい のオゾン全量 ぜんりょう 月 がつ 平均 へいきん 値 ち の推移 すいい 、図 ず 5南極 なんきょく オゾンホールの最大 さいだい 面積 めんせき の推移 すいい 、を見 み ると有意 ゆうい な変化 へんか が著 いちじる しい。
2008年 ねん 現在 げんざい 、いまだオゾン総量 そうりょう は少 すく なくオゾンホールは大 おお きいが1980–2001頃 ごろ までのようにオゾン総量 そうりょう 減少 げんしょう 一途 いっと オゾンホール拡大 かくだい 一途 いちず な状況 じょうきょう から停滞 ていたい 、若 も しくは底 そこ を打 う っており事態 じたい の悪化 あっか 傾向 けいこう は止 と まって年度 ねんど ごとの振幅 しんぷく を繰 く り返 かえ しながら緩慢 かんまん な回復 かいふく 傾向 けいこう を示 しめ している状況 じょうきょう である。
国連 こくれん 環境 かんきょう 計画 けいかく などの予測 よそく
2023年 ねん 1月 がつ 9日 にち 、国連 こくれん 環境 かんきょう 計画 けいかく (UNEP)などは、南極 なんきょく 上空 じょうくう のオゾン層 そう が2066年 ねん ごろに回復 かいふく する見込 みこ みだとする予測 よそく を公表 こうひょう した。30年 ねん 以上 いじょう 前 まえ から続 つづ けてきたオゾン層 そう 破壊 はかい 物質 ぶっしつ の規制 きせい を進 すす めることが前提 ぜんてい で、「オゾンの回復 かいふく は軌道 きどう に乗 の っている」とした。オゾン層 そう が出現 しゅつげん する前 まえ の1980年 ねん の水準 すいじゅん までオゾン層 そう が回復 かいふく するのは南極 なんきょく で2066年 ねん ごろ、北極 ほっきょく で2045年 ねん ごろ、その他 た の地域 ちいき で2040年 ねん ごろまでとみられている[27] 。
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