オルニトミムス

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オルニトミムス
生息せいそく年代ねんだい: 75-65.5 Ma
Ornithomimus edmontonicus成体せいたい全身ぜんしん骨格こっかく
標本ひょうほん番号ばんごうTMP 1995.110.1。ロイヤル・ティレル生物せいぶつがく博物館はくぶつかん所蔵しょぞう
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか
絶滅ぜつめつ化石かせき
地質ちしつ時代じだい
やく7500まんねんまえ-6550まんねんまえ
中生代ちゅうせいだい後期こうきはく亜紀あき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
階級かいきゅうなし : テタヌラるい Tetanurae
階級かいきゅうなし : コエルロサウルスるい Coelurosauria
階級かいきゅうなし : オルニトミモサウルスるい Ornithomimosauria
: オルニトミムス Ornithomimidae
ぞく : オルニトミムスぞく Ornithomimus
学名がくめい
Ornithomimus
Marsh1890
シノニム

Dromiceiomimus Russel, 1972

和名わみょう
オルニトミムス
たね

オルニトミムスOrnithomimusオルニソミムス表記ひょうきられる)は、はく亜紀あき後期こうきマーストリヒトに、現在げんざい北米ほくべい大陸たいりく生息せいそくしていた、オルニトミムスぞくふくまれる鳥類ちょうるいがたじゅうあしるい恐竜きょうりゅう総称そうしょうである。学名がくめい意味いみは「とり(ornith)にたもの(mimus)」(中国ちゅうごくでも『似鳥にたどりりゅう(スーニャオロン)』とばれる)。一般いっぱんダチョウ恐竜きょうりゅうとも形容けいようされる[1]オルニトミムス代表だいひょうする恐竜きょうりゅうで、さんほんゆびあし細長ほそながうでながくびとりのようなあたま特徴付とくちょうづけられる。ダチョウ姿すがた同様どうようあしはやかったとされる[2]。2012ねんには、カルガリー大学だいがく北海道大学ほっかいどうだいがくなどの研究けんきゅうチームより羽毛うもうやしていた可能かのうせい報告ほうこくされた(後述こうじゅつ)。[3]

生物せいぶつがくてき特徴とくちょう[編集へんしゅう]

ロイヤル・ティレル博物館はくぶつかんられる、オルニトミムスのイメージ(羽毛うもうたないいちれい

全長ぜんちょうやく3.5メートル。オルニトミムスるいなかでももっとはや記載きさいされたぞくであるが、生息せいそく年代ねんだいはグループのなかでも最後さいごにあたる。グループの名称めいしょうもとになったぞくであるが、化石かせき資料しりょうストルティオミムス(ダチョウにたもの、の)のほう豊富ほうふであり、オルニトミムスるいとしてられる特徴とくちょうはこちらによるところがおおきい。

肉食にくしょく恐竜きょうりゅうからなるししあしるいでありながらくちにはがなく、くちばしじょうであった。そのためしょくせい不明ふめいであったが、長年ながねんはおそらくしょう動物どうぶつ丸呑まるのみにしていたのだろうとかんがえられてきた。しかし、1995ねんにカナダで発見はっけんされた非常ひじょう保存ほぞん状態じょうたいのよい同属どうぞく一種いっしゅO. edmontonicus頭部とうぶ化石かせき研究けんきゅうからくちばしにアヒルのくちばしにたスリットを多数たすうつことがわかった[4]。この特徴とくちょうから現生げんなま水鳥みずとりのように植物しょくぶつってべる植物しょくぶつしょく恐竜きょうりゅうであった可能かのうせいがある。

のオルニトミムスとの相違そういてんとしては非常ひじょうほそく、まっすぐなあしゆび、およびほぼおなながさの中手なかてこつゆびこつがある。とくナマケモノ特徴とくちょうてきで、かつて生物せいぶつ学者がくしゃオズボーンはこれは食事しょくじさいえだけるためではないかと指摘してきしていた[5]

羽毛うもう発見はっけん[編集へんしゅう]

2012ねん10がつには、そのからだひょう羽毛うもう存在そんざいしたことが報告ほうこくされた。[3]これはロイヤル・ティレル生物せいぶつがく博物館はくぶつかん所蔵しょぞうされる、生後せいご1ねんたないとおもわれるようわか個体こたいから成体せいたいまでの3つのO. edmontonicus標本ひょうほん(TMP 2008.70.1, TMP 2009.110.1, TMP 1995.110.1)を精査せいさしたことによりられたものである。ようわか個体こたいではあきらかなじょう羽毛うもう確認かくにんされ、成体せいたい標本ひょうほんとくにTMP 1995.110.1(ほん記事きじのトップ画像がぞう化石かせき)では、とくぜんあしほねに、じくった(現生げんなま鳥類ちょうるいあめくつがえはねちかいとおもわれる)羽毛うもうあと発見はっけんされた。このことから、幼体ようたいのような構造こうぞうおおわれ、成体せいたいでは両前りょうまえあしにpennibrachia(ラテン語らてんごで「つばさうで」のとり翼状よくじょうぜんあしだが、飛行ひこう滑空かっくうおこなうにはてきさない状態じょうたい)をつことが示唆しさされた。それまで羽毛うもう恐竜きょうりゅうといえば中国ちゅうごく遼寧りょうねいしょうなどでおおつかっていたが、この発見はっけんにより北米ほくべい大陸たいりくなどでもおおくの羽毛うもう恐竜きょうりゅうつかる(あるいは保存ほぞん状態じょうたいわるさからこれまで見落みおとされていた)可能かのうせい示唆しさされる。[3]

オルニトミムス発見はっけん経緯けいい[編集へんしゅう]

最初さいしょのオルニトミムスぞくはマーストリヒトアメリカのデンバーるいそうから発見はっけんされたあし基部きぶ部分ぶぶんてきほねもとづきO. ヴェロックス O. velox である。そのエドモントニアンのO. エドモントニクス O.edmontonicus恐竜きょうりゅう州立しゅうりつ公園こうえん (Dinosaur Provincial Park) の完璧かんぺきちか標本ひょうほんたねしょう)などより状態じょうたいのよい標本ひょうほんがカナダからつかっている。 オルニトミムスのガリムス ブラッス(Gallimius bullatus)はモンゴルが産地さんちである。

系統けいとうじょう位置いち[編集へんしゅう]

以下いかに、ししあしるいにおけるオルニトミムスるい系統けいとうてき位置いち一説いっせつしめす。[6]

ししあしるいTheropoda
Ceratosauria

コエロフィシスるいCoelophysoidea

Neoceratosauria

ケラトサウルスるいCeratosauridae

アベリサウルスるいAbelisauroidea

テタヌラTetanurae

メガロサウルスるいMegalosauroidea

Avetheropoda
Carnosauria

モノロフォサウルスMonolophosaurus

アロサウルスるいAllosauroidea

コエルロサウリアCoelurosauria

Compsognathidae

Tyrannoraptora

ティラノサウルスるいTyrannosauroidea

Maniraptoriformes

オルニトミムスるいOrnithomimosauria

マニラプトラManiraptora

オヴィラプトルるいOviraptorosauria

テリジノサウルスるいTherizinosauroidea

Paraves

デイノニクスるいDeinonychosauria

Avialae鳥類ちょうるい

文化ぶんかめん[編集へんしゅう]

ジュラシックパークシリーズではきんえんしゅのガリミムスと役回やくまわりがこうむっているため目立めだった活躍かつやくはない。

だいいちかいにおいて度々どど登場とうじょうし、主人公しゅじんこうナイジェル・マーヴェン素手すで捕獲ほかくされたり、ひとつがまるごとタイムゲートをとおって現代げんだいおくられたり、メスのティラノサウルスにられるなど、脇役わきやくながら印象いんしょうのこ場面ばめんおおい。 パークでも繁殖はんしょくしょくについてくわしくれられている。

かくメディアに先駆さきがけて最新さいしん研究けんきゅうれ、前腕ぜんわんつばさやした姿すがた登場とうじょうした。

出典しゅってん脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ "オルニトミムス". 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ). コトバンクより2022ねん2がつ7にち閲覧えつらん
  2. ^ "オルニトミムス". デジタル大辞泉だいじせん. コトバンクより2022ねん2がつ7にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c Zelenitsky, D. K.; Therrien, F.; Erickson, G. M.; Debuhr, C. L.; Kobayashi, Y.; Eberth, D. A.; Hadfield, F. (2012). “Feathered Non-Avian Dinosaurs from North America Provide Insight into Wing Origins”. Science 338 (6106): 510. doi:10.1126/science.1225376. 
  4. ^ Norell, M.A., Makovicky, P.J., & Currie, P.J. 2001. The beaks of ostrich dinosaurs. Nature 412: 873-874.
  5. ^ Osborn, H.F. 1917. Skeletal adaptations of Ornitholestes, Struthiomimus, and Tyrannosaurus. Bulletin of the American Museum of Natural History 35: 733–771.
  6. ^ Weishampel, D.B., Dodson, P., and Osmólska, H. (eds.) (2004). The Dinosauria, Second Edition. Berkeley: University of California Press, 861 pp.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]