(Translated by https://www.hiragana.jp/)
かかし - Wikipedia コンテンツにスキップ

かかし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カカシから転送てんそう
日本にっぽん水田すいでんにあるかかし
オランダのかかし

かかし案山子かかし鹿しかおどろき[1])は、はたけなどのなか設置せっちして、作物さくもつらすとりなどのがいじゅうはらうための田畑たはたてるたけやわらなどでつくった人形にんぎょうやそれにるいするなんらかの仕掛しかけである。地域ちいきによっておどしそうずなどさまざまな異称いしょうがある。

名称めいしょう

[編集へんしゅう]

「かかし」の直接ちょくせつ語源ごげんは「がし」ではないかともわれる。鳥獣ちょうじゅうけるため獣肉じゅうにくかみさかなあたまなどをがしてくしとおし、てたものもカカシとばれるためである[2][3] 。これは嗅覚きゅうかくによる方法ほうほうであり、これが本来ほんらいのかかしのかたちであったとかんがえられる。また、「カガシ」ともばれ、にち葡辞しょ(17世紀せいき発行はっこうされた外国がいこくじんによる日本語にほんご辞典じてん)にもこちらで掲載けいさいされている。またカカシではなくソメ(あるいはシメ)という地方ちほうもあり、これは「め」につらなるかたりであろう。

案山子かかし」というをあてる理由りゆうについて、以下いかのような記述きじゅつきたまきげん梅園うめぞの日記にっき」(1845ねん)にられる。

玉池たまいけなんさんへんに、案山子かかしぜん文字もじ鹿しかおどろかしにあたことある禅師ぜんじとえしに、うん案山子かかしとは、大山おおやまに添し小山こやまうんひとならば、まえしょあんおけがたなり、かげゆう不用ふようやま影法師かげぼうしにて、用立ようだてひと案山子かかしうんと、にておもへば、わらにてつくじん影法師かげぼうし同前どうぜんものゆへ、みぎ文字もじをかりようひしなるべしとあり、あんずるに、いふにもたらぬ僻説へきせつなり、ずいとき諧話に、とりおどろき人形にんぎょう案山子かかしもちいひしは、友人ゆうじん芝山しばやま曰、案山子かかし文字もじは、伝燈でんとうろくひろしとうろく歴代れきだい高僧こうそうろくとうなみ面前めんぜん案山子かかしかたりあり、ちゅう曰、民俗みんぞく刈草かりくささく人形にんぎょうれいおけやま田之上たのかみぼう禽獣きんじゅうめい案山子かかしまたかいもと祖師そし戒禅あきらしゅ山高やまたかあんやまていまたしゅ山高やまたか嶮々、あんやまみどり青々せいせいなどあり、按るに、しゅやまたかく、やましゅたるしんあんやまひく上平かみひらかにつくえごとならん、ひくやまあいだには必田畑たはたをひらきて耕作こうさくす、とりおどしも、あんやまのほとりにだておく人形にんぎょう山僧さんそうなどおどけ案山子かかしづけしを、通称つうしょうするものならんといへり、徂徠そらいすずろくしゅやまあんやま輔山とうんことあり、おおくのやまなかに、きたにありて一番いちばんたか見事みごとやまあるをおもやまさだめて、しゅやまみなみにあたりて、はなれてやまありて、上手じょうずにつくゑのがたのごとくなるをあんやまとし、左右さゆうにつゞきてしゅやまをうけたるかたちあるやまを輔山といふとあり、またあんずるに、此面ぜん案山子かかしちゅうせるしょ、いまだ読ねども、ここのひとさくえてにたらず、此事は和板わいた伝燈でんとうろくまきじゅうななつういさお禅師ぜんじでんに、そうといまわりまわり、硝山巍巍ぎぎ如何いか曰孤迥峭巍巍ぎぎそう曰、かい曰、面前めんぜん案山子かかし、也不かいとあり、和本わほん句読くとうあやまれり、面前めんぜん案山子かかし也不かいとすべし、とはそうをさしていへり、鹿しかおどろきことにあらぬはろんなし、あんやまぞうしゅうぞく伝燈でんとうろくまきよん如?つてにもひね却門ぜんだいあんやま?、諸人もろびとひがし西にしなど、禅家ぜんかにてよくいふ也、按に、此語はもとこらえきょうとて、地理ちりのことをごうとするものゝいへること也、唐土とうどにてはひとほうむ土地とちむづかしくして、おやなどたるときほうむるべきせんに、かれこらえきょうをたのみてえらばするなり、もしよきあたらぬときは、すうねんそうらでおけごとなどあり、えらべみてそのかいもなきことあり、西湖さいこ遊覧ゆうらんこころざしあまり侫倖ばんあらろんに、そうきょうちちなずらえそう平山ひらやまため駝形じゅついい駝負じゅう乃行、とげさくとう山頂さんちょう浙江せっこうためたいすいたいもちためあんやまなに雄也ゆうや富貴ふうきすんでごく一旦いったん顛覆てんぷくいく于滅ぞくぞく風水ふうすいせつ安定あんてい憑哉、按にこれもとりくおよいへることなり、にゅうしょく 宿やど臨平しゃふとしそうきょうそう其父じゅん於此、以錢塘江ためすいかい稽山ためあん山形やまがた駱駝らくだろうがくあん日記にっきにもこのせつあり、なり、さて諧話に、あんやまひくく、上平かみひらかにつくえごとならんとあれど、たいらかならぬをもいふべし

一方いっぽう鹿しかおどろき」という表記ひょうきもある。

機能きのう前提ぜんてい

[編集へんしゅう]

古典こてんてきには、かかしはたけわら造形ぞうけいした人形にんぎょうであることが通例つうれいであった。これは機能きのうめんからえば、鳥獣ちょうじゅうたいして「人間にんげんがいる」ようにせかけることを目的もくてきとしている。人間にんげん農作業のうさぎょうをおこなっているときには鳥獣ちょうじゅうちかづかないからである。『和漢わかんさんさい図会ずえ』の「案山子かかし」の絵図えずには、かさをかぶり、みのさせ、たけあしは3ほんで、弓矢ゆみやかまえて威嚇いかくする狩人かりゅうどタイプがられる。

現代げんだいにおいては巨大きょだい目玉めだました風船ふうせんなどももちいられる。これは、おおきなおそれるという動物どうぶつ本能ほんのう利用りようしたものである。

カラスなどはとくにその能力のうりょくたかいが、田畑たはたねらがわ当然とうぜんながら学習がくしゅう能力のうりょくがあり、うごかないかかしは無害むがいなものと認識にんしきされてしまう。そのため、ふうやその動力どうりょくによって不規則ふきそく動作どうさをするものも工夫くふうされた。田畑たはたうえいとはしらせ、そこに風車かざぐるまるいとおしたり、銀色ぎんいろテープ多数たすうげることで、きらきらとひか鳥獣ちょうじゅう威嚇いかくする効果こうかすものなどがある。

また、カラスの死体したいをつりげた状態じょうたいした(ビニールせいなどの)かかしも考案こうあんされ、実際じっさい使用しようされている[4]。「仲間なかま死体したい」=「そこにはわながあり危険きけんである」という理解りかいがなされるためである。実際じっさいにカラスの死体したいげることもあったが、いずれもカラスのれによって効果こうかがなくなる場合ばあいおおい。

また、視覚しかくてきなものにたよらない手段しゅだん道具どうぐもあり、これもまたかかしに分類ぶんるいできるかもしれない。近年きんねん考案こうあんされた、爆音ばくおんもちいて威嚇いかくする装置そうちや、ふるくは「鹿しかおどし」もそのひとつとえる。ただしカラスは、実質じっしつてき無害むがいなものと認識にんしきしてしまうので、爆音ばくおん一定いってい期間きかんのち無効むこうになってしまったという観察かんさつれいもある[4]

嗅覚きゅうかく利用りようするものには、肉食にくしょくじゅうにおいのするもの(屎尿しにょうなどをふくむ)を田畑たはたちかくに設置せっちするという方法ほうほうこころみられている[4]ライオンなど、日本にっぽん存在そんざいしない肉食にくしょくじゅうであっても、イノシシなどはそれを警戒けいかいし、ちかづかないという。そもそも、かかしの本来ほんらいかたちはこうした嗅覚きゅうかく利用りようしたものであったともかんがえられる。

農耕のうこう社会しゃかいとかかし

[編集へんしゅう]

かみとかかし

[編集へんしゅう]

かかしは、民間みんかん習俗しゅうぞくなかではかみだいやまかみ権現ごんげんともわれる)であり、れいはら効用こうよう期待きたいされていた。というのも、鳥獣ちょうじゅうがいにはわるれい関係かんけいしているとかんがえられていたためである。人形にんぎょうとしてのかかしは、かみだいとして呪術じゅじゅつてき需要じゅようから形成けいせいされていったものではないかとも推察すいさつできる。みのかさけていることは、かみ異人いじんなどの他界たかいからの来訪らいほうしゃであることをしめしている。

かけだけは立派りっぱだが、ただっているだけでなにもしない(=無能むのうな)人物じんぶつのことをかかしとひょうすることがある。たしかにかかしは物質ぶっしつてきにはっているだけあり、積極せっきょくてき鳥獣ちょうじゅう駆逐くちくすることはしない。だがしかし農耕のうこう社会しゃかい構造こうぞうからすると、農作物のうさくもつ生計せいけい手段しゅだん)をまも役割やくわりあたえられたかかしは、間接かんせつてきには共同きょうどうたい保護ほごしゃであったとえよう。

古事記こじきにおいてはひさのべ毘古(くえびこ)というかみ=かかしであるという。かれ知恵者ちえしゃであり、あるちからっていなかったともわれる。っているかみっている人形にんぎょう、との関連かんれん指摘してきするまでもないともかんがえられるが、上記じょうきとお語源ごげんとの関係かんけいで、明確めいかくではない。

かかし

[編集へんしゅう]
役割やくわりえ、供養くようつためにあつめられたかかし(2016ねん9がつ)

かかしき、ソメの年取としとり、ともう。農耕のうこう社会しゃかい一部いちぶおこなわれる行事ぎょうじで、旧暦きゅうれき10がつ10日とおかに かかしをからにわてる。これはかかしがかみとしてまつられる重要じゅうようれいひとつで、蓑笠みのかさをかぶせてほうき熊手くまでなどをたせ、もちなどをそなえる。かかしのかみてんがる、あるいはやまかみになる(もどる)にちであるとされる。また、関東かんとうには1がつ14にちにかかしのかみまつ風習ふうしゅうをもつところもある。

かかしまつ

[編集へんしゅう]

自作じさくのかかし作品さくひんのコンテストをおこなう「かかしまつり」が、日本にっぽん全国ぜんこく各地かくちおこなわれている。

かかしを題材だいざいにした作品さくひん

[編集へんしゅう]

小説しょうせつ

[編集へんしゅう]

音楽おんがく

[編集へんしゅう]

映画えいが

[編集へんしゅう]

漫画まんが

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 木村きむら修次しゅうじ黒澤くろさわ弘光ひろみつだいおさむかん現代げんだい漢和かんわ辞典じてんだいおさむかん出版しゅっぱん、1996ねん12がつ10日とおか発行はっこう(1283ページ)
  2. ^ 飯島いいじま吉晴よしはる ちょ「カカシ」、桜井さくらい徳太郎とくたろう へん民間みんかん信仰しんこう辞典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1980ねん、72ぺーじ 
  3. ^ 語源ごげん由来ゆらい辞典じてん (2005ねん9がつ16にち). “案山子かかし/かかし”. 語源ごげん由来ゆらい辞典じてん. 2023ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん,世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんない言及げんきゅう, ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん,デジタル大辞泉だいじせん,百科ひゃっか事典じてんマイペディア,とっさの日本語にほんご便利べんりちょう,世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん だいはん,大辞林だいじりん だいさんはん,精選せいせんばん. “案山子かかし(かかし)とは”. コトバンク. 2020ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  5. ^ 株式会社かぶしきがいしゃつみき (2023ねん8がつ8にち). “映画えいが『キートンの案山子かかし/キートンのスケアクロウ』の感想かんそう・レビュー[265けん | Filmarks]”. filmarks.com. 2023ねん9がつ14にち閲覧えつらん
  6. ^ 詳細しょうさい検索けんさく結果けっか|「へのへのもへじ 水島みずしま新司しんじ」に一致いっちする資料しりょう: 2けんちゅう1から1けん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ”. iss.ndl.go.jp. 2022ねん12月7にち閲覧えつらん
  7. ^ 詳細しょうさい検索けんさく結果けっか|「伊藤いとうじゅん 案山子かかし」に一致いっちする資料しりょう: 6けんちゅう1から2けん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ”. iss.ndl.go.jp. 2022ねん12月7にち閲覧えつらん
  8. ^ 伊藤いとうじゅんコレクション 74かん / 伊藤いとう じゅん | 無料むりょうため漫画まんが(マンガ)コミック・電子でんし書籍しょせきはよむるん”. よむるん. 2022ねん12月7にち閲覧えつらん
  9. ^ ひなこのーと | 作品さくひん紹介しょうかい”. コミックキューン. 2023ねん10がつ3にち閲覧えつらん
  10. ^ あらすじ|TVアニメ「ひなこのーと」公式こうしきサイト”. hinakonote.jp. 2023ねん10がつ3にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]