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カバードワラント

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

カバードワラントえい: covered warrant)とは、オプション取引とりひき一種いっしゅ一般いっぱんてき民間みんかん会社かいしゃ発行はっこうするオプションを証券しょうけんしたものをす。購入こうにゅうしゃは、オプションのレバレッジを使つかって簡易かんい投資とうし手段しゅだんとしても、金融きんゆう商品しょうひんたいする価格かかく変動へんどうリスク回避かいひする保険ほけんのようなヘッジ手段しゅだんとしても利用りよう可能かのう

日本にっぽんにおけるカバードワラントは、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほうだい2じょうだい1こうだい19ごう規定きていされた有価ゆうか証券しょうけんで、市場いちばデリバティブ取引とりひききむ商法しょうほうだい2じょうだい1こうだい21ごうまた店頭てんとうデリバティブオプション取引とりひききむ商法しょうほうだい2じょうだい1こうだい22ごう)を表示ひょうじしたもの(証券しょうけん)である。かつては色々いろいろとあったが現在げんざい日本にっぽんでは店頭てんとうカバードワラントのeワラントのみ。

概要がいよう

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カバードワラントには、「指標しひょう資産しさん値上ねあがりによる利益りえきる」コールがたと、「指標しひょう資産しさん値下ねさがりによる利益りえきる」プットがたほか、オプションを内包ないほうするあらゆる設計せっけい可能かのうであるが、日本にっぽんではコールオプションを証券しょうけんしたもの、プットオプションを証券しょうけんしたもの、ゼロストライクコールオプションを証券しょうけんしたもの、コールオプションのりといをわせたもの(ニアピンがたワラント)のみが提供ていきょうされている。 カバードワラントは、オプション取引とりひきことなり、「オプションのり」による無限むげんだい損失そんしつリスクを発行はっこうしゃ専属せんぞくてきけるため、カバードワラントの購入こうにゅうしゃ一般いっぱん投資とうし)の最大さいだい損失そんしつがく最初さいしょ投資とうし金額きんがく限定げんていされている。(オプションのいのみに相当そうとうするため証拠しょうこきん制度せいど存在そんざいしない。)

きむ商法しょうほう規定きていでは、発行はっこうしゃ基準きじゅんさだめられていないが、発行はっこうしゃ無限むげんだい損失そんしつリスクをかかえる「オプションのり」をけるため、金融きんゆうかんする専門せんもんてき知識ちしきがあり、損失そんしつ無限むげんだいリスクをける財務ざいむ基盤きばんがある大手おおて金融きんゆう機関きかんまたはその子会社こがいしゃSPC(特別とくべつ目的もくてき会社かいしゃ)となることが一般いっぱんてきになっている。

店頭てんとうカバードワラント

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日本にっぽんにおいては、1999ねんより各社かくしゃ参入さんにゅうし、以前いぜんはクレディ・リヨネ証券しょうけん大和証券だいわしょうけん、シティ証券しょうけんBNPパリバ証券しょうけん、ドレスナー証券しょうけん、リーマン・ブラザーズ証券しょうけんもカバードワラントを発行はっこうしていたが、近年きんねん企業きぎょう撤退てったいしたためゴールドマン・サックス証券しょうけん市場いちば独占どくせんし「eワラント」とその姉妹しまい商品しょうひんであるニアピンeワラントとトラッカーeワラントの3しゅ発行はっこうしていた。2011ねん8がつゴールドマン・サックス証券しょうけんからeワラント証券しょうけんeワラント事業じぎょう譲渡じょうとされ、eワラント証券しょうけんeワラント発行はっこうおこなっている。2013ねんにはレバレッジ・トラッカー(プラス5ばいとマイナス3ばいの2しゅがある。経済けいざいせいはレバレッジETFとほとんどおなじだが、レバETFのような相場そうば振幅しんぷくによる目減めべりがない一方いっぽう自動じどうロスカットと1ねん程度ていど満期まんきがあるてんことなる)が追加ついかされ、2016ねん4がつ時点じてんで4種類しゅるい店頭てんとうカバードワラントが販売はんばいされている。すべてマーケットメイク流動りゅうどうせい提供ていきょうされる方式ほうしきである。

なお、かつて日興にっこうコーディアル証券しょうけんではたからくじのような要領ようりょう購入こうにゅう満期まんきまで保有ほゆうするデジタルがたのカバードワラント(デジワラ)を発行はっこうしていたこともある。

店頭てんとうカバードワラントは商品しょうひん設計せっけい取引とりひき時間じかんなどの自由じゆうたか反面はんめん証券しょうけん取引とりひきしょによる上場じょうじょう審査しんさおこなわれていないため、発行はっこうしゃ信用しんようリスクなどにかんするチェックが存在そんざいしない。このため、投資とうし自身じしん目論見もくろみしょ外国がいこく証券しょうけん情報じょうほうとう閲覧えつらんしたうえで、当該とうがい発行はっこうしゃ財務ざいむ基盤きばん店頭てんとうカバードワラントの発行はっこうにあたってじゅうふんかどうかを判断はんだんする必要ひつようがある。ただし、発行はっこうしゃ破綻はたんした場合ばあい満期まんききん返還へんかん減額げんがくされる可能かのうせい信用しんようリスク)は、発行はっこうたいおなじであれば店頭てんとうカバードワラントも上場じょうじょうカバードワラントもおなじである。

現在げんざいでは、日本にっぽんでは店頭てんとうカバードワラントはeワラントのみ。eワラントを売買ばいばい出来でき証券しょうけん会社かいしゃeワラント証券しょうけんSBI証券しょうけん

上場じょうじょうカバードワラント

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2008ねん9月26にちより、大阪おおさか証券しょうけん取引とりひきしょにおいて上場じょうじょうカバードワラントの取引とりひき開始かいしされた。上場じょうじょうカバードワラントは、店頭てんとうカバードワラントとことなり、取引とりひきしょさだめる上場じょうじょう基準きじゅんもとづいて発行はっこうしゃ財務ざいむ基盤きばん審査しんさしている(ただし、世界せかいてき格付かくづけ機関きかんがAAAとしていた証券しょうけんかみくずになり、リーマン・ブラザースが破綻はたんしたことからもかるように、どんな巨大きょだい金融きんゆう機関きかんでも破綻はたんしうる。最終さいしゅうてき投資とうし自己じこ責任せきにんであることにはわりはない)。

2008ねん時点じてんにおけるカバードワラントの発行はっこうしゃはドイツ銀行ぎんこう、ゴールドマン・サックス、ソシエテ・ジェネラル銀行ぎんこうの3しゃであったが3しゃとも日本にっぽんでの上場じょうじょうカバードワラントから撤退てったいした(各社かくしゃとも海外かいがいでは事業じぎょう継続けいぞくしている)。長期間ちょうきかん売買ばいばいだかゼロをきっかけに、大証だいしょう手数料てすうりょうげのてこれをし、2010ねん11月4にちに、大和証券だいわしょうけんキャピタル・マーケッツフィナンシャル・プロダクツ(ケイマン)Ltdが発行はっこうする15銘柄めいがら通称つうしょう「フリワラ」とばれている・・・売買ばいばい手数料てすうりょうゼロのキャンペーンの統一とういつ愛称あいしょう)が新規しんき上場じょうじょうするにいたった。しかし、商品しょうひんあつかいを終了しゅうりょうする現在げんざい発行はっこうしゃ大和やまとのみで、依然いぜんとして上場じょうじょう銘柄めいがらすうすくないてんいなめず、大和証券だいわしょうけん自身じしん店舗てんぽでは販売はんばいしていないという消極しょうきょくてき姿勢しせいであることも市場いちばがらない原因げんいんであった。結局けっきょく、2013ねん7がつ大阪おおさか証券しょうけん取引とりひきしょ東京とうきょう証券しょうけん取引とりひきしょとの現物げんぶつ市場いちば統合とうごうともない、日本にっぽんにおける上場じょうじょうカバードワラント市場いちば消滅しょうめつした。

また、世界せかい取引とりひきしょ連合れんごう(WFE)の統計とうけいによれば、カバードワラントは欧州おうしゅうはじめとする世界せかい各地かくち証券しょうけん取引とりひきしょ上場じょうじょうされており、2009ねん1がつ現在げんざい香港ほんこん取引とりひきしょでの月間げっかん売買ばいばい代金だいきんが265おくあめりかドルと世界せかい最大さいだい取引とりひきとなっている 。

特徴とくちょう

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コールワラントとプットワラントという標準ひょうじゅんてきなカバードワラントにかんしてオプション取引とりひき同様どうようてんおよことなるてんは、以下いかのとおりである。

同様どうようてん

  1. 満期まんきあらかじ設定せっていされているので、投資とうし期間きかん限定げんていされている商品しょうひんである。
  2. 時間じかん経過けいかとともにプレミアム(オプション価格かかく)にふくまれる時間じかん価値かち減少げんしょうしてゆく(タイム・ディケイ)。かり原資げんしさん価格かかくまった変動へんどうしない場合ばあいは、ワラントの価格かかく時間じかんとともに徐々じょじょ低下ていかしてゆく。
  3. 権利けんり行使こうしまで決済けっさいをしなかった場合ばあいはら資産しさん価格かかく権利けんり行使こうし価格かかく下回したまわる(コールの場合ばあい)、ないしは上回うわまわる(プットの場合ばあい)と、ワラントの価値かちは0になる。

ことなるてん

  1. 「オプションのり」が専属せんぞくてき発行はっこうしゃぞくするため、権利けんり行使こうしける立場たちば移転いてんしない。
  2. 「オプション取引とりひき」は市場いちばデリバティブ取引とりひきまた店頭てんとうデリバティブ取引とりひきであるが、カバードワラントは株式かぶしき同様どうよう有価ゆうか証券しょうけん取引とりひきである。

問題もんだいてん

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カバードワラントは、上場じょうじょうデリバティブのオプション取引とりひき日経にっけい225オプション取引とりひきひとし)とことなり、利便りべんせい観点かんてんから、以下いか特徴とくちょうがある。

  1. 店頭てんとうカバードワラントは、証券しょうけん取引とりひきしょでの売買ばいばいおこなわないため、販売はんばい会社かいしゃによって時間じかんことなるが夜間やかん取引とりひき可能かのうである。
  2. 国内こくない個別こべつかぶ海外かいがい個別こべつかぶ原油げんゆきむどう・トウモロコシなどのコモディティ、国内こくない株価かぶか指数しすう海外かいがい株価かぶか指数しすうなど、種類しゅるいきわめておおい。
  3. カバードワラントは、「権利けんり行使こうしける立場たちば」が発行はっこうしゃ固定こていされているてん債務さいむ不履行ふりこうリスクの軽減けいげんメリットがあるため、「コールい」、「プットい」または「そののオプションのい」しかできず、オプションのりがおこなえない。日経にっけい225オプション取引とりひきでは、「権利けんり行使こうしける立場たちば」になってもいと判断はんだんした投資とうしが「オプションり」を選択せんたくできる。ただし、危機ききさい流動りゅうどうせいなんがある日経にっけい225オプション取引とりひきでは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいさいとなった個人こじん投資とうしおおくが巨額きょがく損失そんしつこうむり、顧客こきゃく損失そんしつ回収かいしゅうできなかった中小ちゅうしょう証券しょうけん会社かいしゃ廃業はいぎょうしたことをかんがえると個人こじん投資とうし商品しょうひんとしては、オプションのりができない設計せっけいとなっているカバードワラントのほうてきしているという見方みかたおおい。
  4. 店頭てんとうカバードワラントは、つね発行はっこう会社かいしゃであるため、時間じかんてき価値かちやインプライドボラティリティが発行はっこう会社かいしゃによりコントロールされており、投資とうし不利ふりとなることもありうるが、機械きかいてきなマーケット・メイクにより裁定さいてい機会きかいしょうじる可能かのうせいもある。また、相場そうばがパニックりに見舞みまわれても日経にっけい225オプションのように理論りろんてきにありえない価格かかくでしか取引とりひきができない状態じょうたいにはならないてん素人しろうとのミスプライスやあま指値さしねものにする大手おおて金融きんゆう機関きかんのデリバティブトレーダーの餌食えじきとならないてん利点りてんといえる。
  5. 売値うりねつね買値かいねより多少たしょうひく設定せっていされる(かりにあるワラントをった直後ちょくごった場合ばあいでも、手数料てすうりょう以外いがい売値うりね買値かいね差額さがくぶん(スプレッド)による差損さそん発生はっせいする。そと売買ばいばい手数料てすうりょうがないわりに売値うりね買値かいねがあるてんで、債券さいけん、FX、CFDや金地きんじきんなどと同様どうようといえる)。

以上いじょうのことから、カバードワラントは「ハイリスク・ハイリターン」の投機とうきてき商品しょうひん性質せいしつと、損失そんしつ限定げんてい保険ほけんてき性質せいしつあわ商品しょうひんであるといえる。ただし、レバレッジ商品しょうひんといってもオプションせい先物さきものやFXなどとは時間じかん価値かち減少げんしょう損失そんしつ限定げんてい有無うむというめんにおいて同一どういつではない。

投資とうし銀行ぎんこうがカバードワラントを発行はっこうする理由りゆう標準ひょうじゅんされたオプションのマーケット・メイクをおこなうためである(ヘッジに必要ひつよう資金しきんがカバードワラントの価格かかくよりおおくなることも想定そうていされ、資金しきん調達ちょうたつ手段しゅだんとしてもちいられることはない)。投資とうしがカバードワラントを購入こうにゅうするということは、投資とうし銀行ぎんこう莫大ばくだい資金しきん運用うんようしているプロの専門せんもん集団しゅうだん)にたい正面しょうめんから相場そうばかたちになるという懸念けねんもあるが、マーケット・メーカーは手元てもとにリスクをのこさないように行動こうどうし、また、企業きぎょうめい前面ぜんめんした商品しょうひんになるので、匿名とくめい取引とりひきする上場じょうじょうデリバティブのようにF1と自転車じてんしゃ勝負しょうぶするという構図こうずではないというてん利点りてんといえる。

ドイツ銀行ぎんこうがベトナムかぶ市場いちばへの投資とうし手段しゅだんとして発行はっこうした証券しょうけん楽天らくてん証券しょうけんあつかい)もカバードワラントの1しゅといえるが、日本にっぽんではこのような柔軟じゅうなん設計せっけいのカバードワラントの提供ていきょう限定げんていされている。

2011ねん4がつ18にち大和証券だいわしょうけんキャピタル・マーケッツフィナンシャル・プロダクツが発行はっこう・マーケットメイクする上場じょうじょうカバードワラントにおいて、きから前場まえばけまで2あいだにわたり、マーケットメイカーが提示ていじするべき気配けはい配信はいしんされず、マーケットメイクがまったく出来できないという障害しょうがいきた。これについて、大和やまとがわも、上場じょうじょう市場いちばである大証だいしょうも、唯一ゆいいつ取引とりひき証券しょうけん会社かいしゃであるカブドットコム証券しょうけんも、なん障害しょうがい情報じょうほう発信はっしんしなかった。

日本にっぽん税制ぜいせい個人こじん

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個人こじん場合ばあい税金ぜいきんめんでは「先物さきもの取引とりひきかかざつ所得しょとくとう課税かぜい特例とくれい」の対象たいしょう以前いぜん店頭てんとうカバードワラントと上場じょうじょうカバードワラントであつかいがことなっていたが、2012ねん1がつ以降いこうはともにざつ所得しょとく分離ぶんり課税かぜい(20.315%)となった。この結果けっか外国がいこく為替かわせ証拠しょうこきん取引とりひき(FX)、差金さしがね決済けっさい取引とりひき(CFD)、株価かぶか指数しすう先物さきもの取引とりひきなどと損益そんえき通算つうさんができるようになり、利便りべんせいおおきく向上こうじょうした。株式かぶしき取引とりひきよりもFX取引とりひきほう普及ふきゅうしている現状げんじょうにおいては、カバードワラントを株式かぶしき投資とうしわりに利用りようするメリットがおおきいといえる。また、満期まんき保有ほゆうしても、満期まんきまえ譲渡じょうとしても税制ぜいせいじょうあつかいはおなじである。

関連かんれん項目こうもく

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