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オーバーナイト・インデックス・スワップ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

オーバーナイト・インデックス・スワップえい: Overnight Indexed SwapりゃくしてOIS)や翌日よくじつぶつ金利きんりスワップ(よくじつものきんりスワップ)は、固定こてい金利きんりとその期間きかんちゅう日次にちじ変動へんどう金利きんり交換こうかんする金利きんりスワップす。スワップ期間きかんはオーバーナイトではない。オーバーナイトレートは、あくまでも参照さんしょうレートである。OISは、固定こてい金利きんりを、スワップの期間きかんちゅう複利ふくり計算けいさんされた日次にちじ参照さんしょう金利きんり(オーバーナイト金利きんり)の幾何きか平均へいきん交換こうかんする。 日次にちじ複利ふくり金利きんり参照さんしょうは、オーバーナイト金利きんり日本にっぽんでは担保たんぽコール翌日よくじつぶつ)であり、正確せいかく平均へいきん計算けいさんしきは、参照さんしょう金利きんり種別しゅべつによりことなる。

インデックス金利きんり通常つうじょう担保たんぽまたはゆう担保たんぽのインターバンクオーバーナイト貸付かしつけ金利きんりである。たとえば、あめりかドルであれば、フェデラル・ファンド金利きんりSOFR 、ユーロであれば、€STR (もとEONIA )、スターリング・ポンドの場合ばあいはSONIAをもちいる。 OISの固定こてい金利きんりは、カウンターパーティリスクが限定げんていされているため、通常つうじょう対応たいおうするインターバンク金利きんりLIBOR)よりもリスクがひく金利きんりであるとされる[1][2]

LIBOR-OISスプレッドとは、 LIBORとOISの金利きんりのことをす。 この2つの金利きんりあいだのスプレッドは、銀行ぎんこうシステムの健全けんぜんせい尺度しゃくどとみなされている[3]短期たんき金融きんゆう市場いちばにおけるリスクと流動りゅうどうせいはか重要じゅうよう指標しひょうであり[4]もとべい連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじかい(FRB)のアラン・グリーンスパン議長ぎちょうなどのおおくの人間にんげんが、短期たんき金融きんゆう市場いちばにおける相対そうたいてきなストレスをあらわ強力きょうりょく指標しひょうであるとかんがえている[5]。スプレッドがたかまると(LIBORがたか場合ばあい)、通常つうじょう大手おおて銀行ぎんこうによる貸付かしつけ意欲いよく低下ていかしていると解釈かいしゃくされ、スプレッドがちいさくなると、市場いちば流動りゅうどうせいたかまっていると解釈かいしゃくされる。このように、ほんスプレッドをもちいると、金融きんゆう機関きかん信用しんようりょく銀行ぎんこうがどうているか、貸付かしつけにどれほどの資金しきんまわっているかをることができる[6]

LIBOR-OISスプレッドは、ながあいだやく10ベーシスポイント(bps)で推移すいいしてきた。しかし、 2007ねんから2010ねんまでつづいた金融きんゆう危機きき只中ただなかで、スプレッドは2008ねん10がつ過去かこ最高さいこうの364ベーシスポイント(3.64%)まで急上昇きゅうじょうしょうし、深刻しんこく信用しんよう収縮しゅうしゅくこっていることしめした。それ以降いこう、スプレッドは不規則ふきそくながら大幅おおはば減少げんしょうし、2009ねん1がつ中旬ちゅうじゅんに100ベーシスポイントをり、2009ねん9がつまでに10〜15ベーシスポイントにもどった[7]

リスクのバロメーター[編集へんしゅう]

3かげつLIBORは変動へんどう金利きんりであり、ける銀行ぎんこうれる銀行ぎんこうたいしてどの程度ていどのリスクを見積みつもるか次第しだい変動へんどうする。 OISはオーバーナイト金利きんりから派生はせいしたスワップであるが、オーバーナイト金利きんり通常つうじょう各国かっこく中央ちゅうおう銀行ぎんこうによって固定こていされている。 OISにより、LIBORベースの銀行ぎんこうおな期間きかんちゅう固定こてい金利きんりりることができるようになる。米国べいこくでは、スプレッドはLIBORユーロドル金利きんり連邦れんぽう準備じゅんび制度せいどフェデラル・ファンド金利きんり依拠いきょしている[3]日本にっぽん国内こくないでは、LIBORユーロえん金利きんり担保たんぽコール翌日よくじつぶつ依拠いきょする[8]

LIBORでは、貸付かしつけ銀行ぎんこう借入かりいれ銀行ぎんこう現金げんきんけるという意味いみリスク存在そんざいし、OISは、りょうカウンターパーティが変動へんどう金利きんり固定こてい金利きんり交換こうかんするだけであるため、安定あんていしている。したがって、LIBORとOISあいだのスプレッドは、借入かりいれ銀行ぎんこうがデフォルトする可能かのうせいあらわす。流動りゅうどうせいリスクプレミアムとは対照たいしょうてきに、カウンターパーティの信用しんようリスクプレミアムを反映はんえいしている[3]。ただし、資金しきん調達ちょうたつ期間きかん不一致ふいっちかんがえると、流動りゅうどうせいリスクへの懸念けねん反映はんえいしているといえる。

歴史れきしてき水準すいじゅん[編集へんしゅう]

米国べいこくでは、LIBOR-OISあいだのスプレッドは、一般いっぱんてきやく10bps程度ていど推移すいいする。金融きんゆう市場いちばがリスク環境かんきょうたかまりを価格かかく反映はんえいさせはじめた2007ねん8がつ初旬しょじゅんにスプレッドがやく50 bps急上昇きゅうじょうしょうし、この傾向けいこう急激きゅうげき変化へんかした。数ヶ月すうかげつ以内いないに、イングランド銀行いんぐらんどぎんこう破綻はたん瀬戸際せとぎわにあったノーザンロックを救済きゅうさいすることをせまられた。危機きき深刻しんこくするなか、スプレッドは歴史れきしてきたか水準すいじゅん維持いじした[3]

市場いちば改善かいぜんするにつれ、スプレッドは低下ていかし、2009ねん10がつ時点じてんふたたび10 bpsにいたが、 PIIGS諸国しょこく債務さいむ危機きき欧州おうしゅう銀行ぎんこう脅威きょういとなり、ふたた上昇じょうしょうするがねとなった。スプレッドは2018ねん2がつまで10から50bpsまで変化へんかした。 2018ねん3がつ時点じてんで、スプレッドはふたたび50bps以上いじょうのレベルにある[9]

流動りゅうどうせい金融きんゆう政策せいさく当局とうきょくによって過剰かじょう供給きょうきゅうされているが、LIBOR-OISスプレッドはストレスの指標しひょうというわけではない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ CSFB Zurich note on OIS
  2. ^ Overnight Index Swaps (OIS), thisMatter.com
  3. ^ a b c d Sengupta, Rajdeep and Yu Man Tam. (2008) The LIBOR–OIS Spread as a Summary Indicator. Economic Synopses, Number 25, 2008. Federal Reserve Bank of St. Louis
  4. ^ Zeng, Min (2008ねん9がつ20日はつか). “Money Flows Back to Commercial Paper”. The Wall Street Journal. https://www.wsj.com/articles/SB122182900317256613 
  5. ^ Brown (2009ねん1がつ12にち). “Libor for Dollars Slides Most Since Dec. 17 on Cash Injections”. Bloomberg.com. 2020ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ Capo McCormick (2008ねん1がつ24にち). “Interest-Rate Derivatives Signal Banks Still Reluctant to Lend”. Bloomberg.com. 2020ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  7. ^ 3 MO LIBOR – OIS SPREAD”. Bloomberg.com (2009ねん1がつ12にち). 2020ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  8. ^ 孝洋たかひろ, 服部はっとり. “金利きんりスワップ入門にゅうもん基礎きそへん”. 財務省ざいむしょう. 2021ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  9. ^ Why It Matters That the Libor-OIS Spread Is Widening: QuickTake”. Bloomberg.com (2018ねん3がつ9にち). 2020ねん1がつ16にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]