ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき (ブラック–ショールズほうていしき、英 えい : Black–Scholes equation )とは、デリバティブ の価 あたい 格 かく づけに現 あらわ れる偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき (およびその境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい )のことである。
様々 さまざま なデリバティブに応用 おうよう できるが、特 とく にオプション に対 たい しての適用 てきよう が著名 ちょめい である。ブラック-ショールズ方程式 ほうていしき はヨーロピアンオプション[ 注 ちゅう 1] のオプション・プレミアム[ 注 ちゅう 2] の値 ね を解析 かいせき 的 てき に計算 けいさん できるが、アメリカンタイプのプット・オプション[ 注 ちゅう 3] については(解析 かいせき 的 てき には)計算 けいさん できない。ただし、ブラック-ショールズモデルにおけるアメリカンコールオプションの理論 りろん 価格 かかく はヨーロピアンコールオプションの理論 りろん 価格 かかく と一致 いっち する[ 2] 。
ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき は1973年 ねん にフィッシャー・ブラック とマイロン・ショールズ によりオプションの価格 かかく 付 づ け問題 もんだい についての研究 けんきゅう の一環 いっかん として発表 はっぴょう された[ 3] 。後 のち にロバート・マートン が彼 かれ らの方法 ほうほう に厳密 げんみつ な証明 しょうめい を与 あた えた[ 4] 。これらの理論 りろん は現代 げんだい 金融 きんゆう 工学 こうがく の先 さき がけとなったとも言 い われる。 [誰 だれ によって? ]
オプション価格 かかく の評価 ひょうか についての研究 けんきゅう は長 なが い歴史 れきし がある。ファイナンス研究 けんきゅう において先駆 せんく 的 てき な業績 ぎょうせき を残 のこ したことで知 し られるルイ・バシュリエ は1900年 ねん に発表 はっぴょう された博士 はかせ 論文 ろんぶん [ 5] の中 なか でオプションの評価 ひょうか 式 しき を考察 こうさつ していた。しかし、彼 かれ の評価 ひょうか 式 しき は価格 かかく が負 まけ になることもありうるために非 ひ 現実 げんじつ 的 てき であった。その後 ご 、1961年 ねん にCase Sprenkle[ 6] が、1965年 ねん にポール・サミュエルソン [ 7] が株価 かぶか 変動 へんどう に幾何 きか ブラウン運動 うんどう を用 もち いたオプション価格 かかく 式 しき を導出 みちびきだ した。しかしながら、彼 かれ らの評価 ひょうか 式 しき はオプションの価格 かかく 評価 ひょうか において、今日 きょう で言 い う所 ところ のリスクの市場 いちば 価格 かかく を明示 めいじ 的 てき に表現 ひょうげん できなかった為 ため に、実用 じつよう 性 せい に乏 とぼ しいものであった[ 8] 。
1965年 ねん にアーサー・D・リトル で職 しょく を得 え たフィッシャー・ブラック は同社 どうしゃ に在籍 ざいせき していたCAPM についての研究 けんきゅう で知 し られるジャック・トレイナー (英語 えいご 版 ばん ) の影響 えいきょう の下 した 、ワラント の評価 ひょうか 式 しき についての研究 けんきゅう を行 おこな っていた。その中 なか で1969年 ねん 頃 ころ に、ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の前 ぜん 段階 だんかい となるようなワラントについての評価 ひょうか 式 しき の導出 どうしゅつ に成功 せいこう していた。これにはサミュエルソン[ 9] やロバート・マートン [ 10] による多 た 期間 きかん においての株式 かぶしき と債券 さいけん の最適 さいてき 投資 とうし 比率 ひりつ を決定 けってい する問題 もんだい (マートンのポートフォリオ問題 もんだい )についての研究 けんきゅう に大 おお きく影響 えいきょう されたとブラックは述 の べている[ 11] 。しかし、ブラックはこの方程式 ほうていしき が熱 ねつ 伝導 でんどう 方程式 ほうていしき の一種 いっしゅ であることには気付 きづ かず、解 かい を導出 どうしゅつ できずにいた。ただ、ブラックはこの方程式 ほうていしき について考察 こうさつ を深 ふか める中 なか で、株式 かぶしき の期待 きたい リターンにワラントの価値 かち は依存 いぞん しないこと、つまりワラントの価値 かち を決定 けってい する上 じょう で重要 じゅうよう なのは株式 かぶしき 全体 ぜんたい のリスク(ボラティリティ [ 注 ちゅう 4] )であることに気付 きづ いている[ 11] 。
また、時 とき を同 おな じくして1969年 ねん ごろにマサチュ まさちゅ ーセッツ工科大学 せっつこうかだいがく (MIT)に所属 しょぞく していたマイロン・ショールズ とブラックは知 し り合 あ い、ショールズの紹介 しょうかい によりブラックはMITに職場 しょくば を移 うつ した。そこからブラックとショールズの共同 きょうどう 研究 けんきゅう が始 はじ まり、ワラントの研究 けんきゅう から転 てん じたオプションの評価 ひょうか 式 しき についての研究 けんきゅう は急速 きゅうそく に進展 しんてん した[ 11] 。
同 どう 時期 じき にオプション評価 ひょうか 式 しき の研究 けんきゅう に取 と り組 く んでいたマートンとの議論 ぎろん はブラックとショールズの研究 けんきゅう に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えている。両者 りょうしゃ の関係 かんけい は共同 きょうどう 関係 かんけい であり、またライバル関係 かんけい であったとブラックは述 の べている。そのような中 なか でブラックとショールズは伊藤 いとう 清 きよし らにより創始 そうし された確 かく 率 りつ 微分 びぶん 方程式 ほうていしき の理論 りろん とマートンとの議論 ぎろん によってもたらされた複製 ふくせい ポートフォリオ の概念 がいねん を用 もち いて導出 みちびきだ されたブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の解 かい を見出 みいだ すことに成功 せいこう した。ブラックとショールズは1970年 ねん の夏 なつ に開 ひら かれたカンファレンスでコーポレートファイナンス においてのブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の応用 おうよう についての研究 けんきゅう 成果 せいか を発表 はっぴょう したが、マートンは寝坊 ねぼう してしまい、ブラックとショールズの発表 はっぴょう を聞 き くことが出来 でき なかった[ 11] 。
1970年 ねん の10月 がつ にブラックとショールズはオプション評価 ひょうか 式 しき としてのブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の利用 りよう についての研究 けんきゅう をまとめた論文 ろんぶん をシカゴ大学 だいがく が発行 はっこう している学術 がくじゅつ 雑誌 ざっし であるJournal of Political Economy (英語 えいご 版 ばん ) に投稿 とうこう したが、彼 かれ らの論文 ろんぶん はアメリカファイナンス学会 がっかい (英語 えいご 版 ばん ) が発行 はっこう しているThe Journal of Finance (英語 えいご 版 ばん ) に投稿 とうこう する方 ほう がふさわしいということで掲載 けいさい 拒否 きょひ となってしまった。その後 ご 、しばらく論文 ろんぶん を学術 がくじゅつ 雑誌 ざっし に発表 はっぴょう できずにいたが、シカゴ大学 だいがく のマートン・ミラー とユージン・ファーマ の目 め に留 と まり、彼 かれ らのアドバイスを受 う けて修正 しゅうせい された論文 ろんぶん が1973年 ねん にJournal of Political Economyで投稿 とうこう を受理 じゅり され発表 はっぴょう された。これが広 ひろ く知 し られる"The Pricing of Options and Corporate Liabilities "[ 3] の論文 ろんぶん である[ 11] 。
その後 ご 、マートンは無 む 裁定 さいてい 価格 かかく 理論 りろん の厳密 げんみつ な理論 りろん を展開 てんかい した論文 ろんぶん [ 4] を発表 はっぴょう し、さらにブラックとショールズ自身 じしん によってブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の実用 じつよう 性 せい 、データに対 たい する当 あ てはまりの良 よ さが検証 けんしょう されたことで、ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき は不動 ふどう の地位 ちい を確立 かくりつ した[ 11] 。今日 きょう では"The Pricing of Options and Corporate Liabilities "はJournal of Political Economyで最 もっと も引用 いんよう される論文 ろんぶん の一 ひと つとなっている[ 12] 。
これらの功績 こうせき を称 とな え、1997年 ねん のノーベル経済 けいざい 学 がく 賞 しょう はショールズとマートンに授与 じゅよ された。ブラックは1995年 ねん に亡 な くなっていたために、この栄誉 えいよ にあずかることはできなかった。
ブラック–ショールズモデルとは、1種類 しゅるい の配当 はいとう のない株 かぶ と1種類 しゅるい の債券 さいけん の2つが存在 そんざい する証券 しょうけん 市場 いちば のモデルである。さらに連続 れんぞく 的 てき な取引 とりひき が可能 かのう で、市場 いちば は完全 かんぜん 市場 いちば であることを仮定 かてい している。
そして、時刻 じこく t における株価 かぶか を S t 、債券 さいけん 価格 かかく を B t とする。株価 かぶか は以下 いか の確 かく 率 りつ 微分 びぶん 方程式 ほうていしき に従 したが うとする。
d
S
t
=
σ しぐま
S
t
d
W
t
+
μ みゅー
S
t
d
t
{\displaystyle dS_{t}=\sigma S_{t}dW_{t}+\mu S_{t}dt}
ここで、W t は標準 ひょうじゅん ウィーナー過程 かてい であり、σ しぐま , μ みゅー は定数 ていすう で、σ しぐま はボラティリティ 、μ みゅー はドリフト (英語 えいご 版 ばん ) [ 注 ちゅう 5] である。よって株価 かぶか は幾何 きか ブラウン運動 うんどう で表 あらわ される。
また、債券 さいけん 価格 かかく は次 つぎ で表 あらわ されるとする。
B
t
=
B
0
exp
(
r
t
)
{\displaystyle B_{t}=B_{0}\exp(rt)}
ここで、r は定数 ていすう の無 む リスク利子 りし 率 りつ である。
さらに、0 ≤ t ≤ T で発展 はってん 的 てき 可 か 測 はか (英 えい : progressively measurable )な確 かく 率 りつ 過程 かてい の組 くみ (a t (ω おめが ), b t (ω おめが )) を取 と る。a t は t 時点 じてん で状態 じょうたい が ω おめが の場合 ばあい の株式 かぶしき の保有 ほゆう 量 りょう 、b t (ω おめが ) は同 どう 債券 さいけん の保有 ほゆう 量 りょう である。このような組 くみ (a , b ) を、株式 かぶしき と債券 さいけん の取引 とりひき 戦略 せんりゃく という。区間 くかん [0, T ] における取引 とりひき 戦略 せんりゃく (a , b ) が自己 じこ 資本 しほん 充足 じゅうそく 的 てき (英 えい : self-financing )であるとは、0 ≤ t ≤ T の各 かく 時点 じてん t に対 たい し、次 つぎ の式 しき が満 み たされることである。
a
t
S
t
+
b
t
B
t
=
a
0
S
0
+
b
0
B
0
+
∫
0
t
a
s
d
S
s
+
∫
0
t
b
s
d
B
s
{\displaystyle a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}=a_{0}S_{0}+b_{0}B_{0}+\int _{0}^{t}a_{s}dS_{s}+\int _{0}^{t}b_{s}dB でしべる _{s}}
よって
d
(
a
t
S
t
+
b
t
B
t
)
=
a
t
d
S
t
+
b
t
d
B
t
{\displaystyle d{\Big (}a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}{\Big )}=a_{t}dS_{t}+b_{t}dB でしべる _{t}}
となる。
ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の導出 どうしゅつ [ 編集 へんしゅう ]
ブラック–ショールズモデルの下 もと で、満期 まんき T において行使 こうし 価格 かかく が K であるヨーロピアン・コールのオプションプレミアム C = C (S t , t ) が無 む 裁定 さいてい となるように適正 てきせい な価格 かかく となる条件 じょうけん を求 もと める。区間 くかん [0, T ] で自己 じこ 資本 しほん 充足 じゅうそく 的 てき な取引 とりひき 戦略 せんりゃく (a , b ) を、各 かく t 時点 じてん で次 つぎ のように定 さだ める。これを複製 ふくせい ポートフォリオ (replicating portfolio ) という。
C
(
S
t
,
t
)
=
a
t
S
t
+
b
t
B
t
{\displaystyle C(S_{t},t)=a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}}
上 うえ 式 しき 右辺 うへん の複製 ふくせい ポートフォリオの自己 じこ 資金 しきん 充足 じゅうそく 性 せい により、次 つぎ の式 しき が導 みちび かれる。
d
C
=
d
(
a
t
S
t
+
b
t
B
t
)
=
a
t
d
S
t
+
b
t
d
B
t
=
(
μ みゅー
a
t
S
t
+
r
b
t
B
t
)
d
t
+
σ しぐま
a
t
S
t
d
W
t
{\displaystyle dC=d{\Big (}a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}{\Big )}=a_{t}dS_{t}+b_{t}dB でしべる _{t}=(\mu a_{t}S_{t}+rb_{t}B_{t})dt+\sigma a_{t}S_{t}dW_{t}}
他方 たほう 、伊藤 いとう の公式 こうしき により次 つぎ の式 しき が立 た つ。
d
C
=
∂
C
∂
t
d
t
+
∂
C
∂
S
t
d
S
t
+
σ しぐま
2
2
S
t
2
∂
2
C
∂
S
t
2
d
t
=
(
∂
C
∂
t
+
μ みゅー
S
t
∂
C
∂
S
t
+
σ しぐま
2
2
S
t
2
∂
2
C
∂
S
t
2
)
d
t
+
σ しぐま
S
t
∂
C
∂
S
t
d
W
t
{\displaystyle {\begin{aligned}dC&={\frac {\partial C}{\partial t}}dt+{\frac {\partial C}{\partial S_{t}}}dS_{t}+{\frac {\sigma ^{2}}{2}}S_{t}^{2}{\frac {\partial ^{2}C}{\partial S_{t}^{2}}}dt\\&=\left({\frac {\partial C}{\partial t}}+\mu S_{t}{\frac {\partial C}{\partial S_{t}}}+{\frac {\sigma ^{2}}{2}}S_{t}^{2}{\frac {\partial ^{2}C}{\partial S_{t}^{2}}}\right)\!dt+\sigma S_{t}{\frac {\partial C}{\partial S_{t}}}dW_{t}\end{aligned}}}
係数 けいすう を比較 ひかく してやると、次 つぎ の式 しき が得 え られる。
a
t
=
∂
C
∂
S
t
,
{\displaystyle a_{t}={\frac {\partial C}{\partial S_{t}}},}
μ みゅー
a
t
S
t
+
r
b
t
B
t
=
∂
C
∂
t
+
μ みゅー
S
t
∂
C
∂
S
t
+
σ しぐま
2
2
S
t
2
∂
2
C
∂
S
t
2
{\displaystyle \mu a_{t}S_{t}+rb_{t}B_{t}={\frac {\partial C}{\partial t}}+\mu S_{t}{\frac {\partial C}{\partial S_{t}}}+{\frac {\sigma ^{2}}{2}}S_{t}^{2}{\frac {\partial ^{2}C}{\partial S_{t}^{2}}}}
これらの式 しき と
C
(
S
t
,
t
)
=
a
t
S
t
+
b
t
B
t
{\displaystyle C(S_{t},t)=a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}}
から a t , b t を消去 しょうきょ すると、次 つぎ の偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき が得 え られる。
r
C
=
∂
C
∂
t
+
1
2
σ しぐま
2
S
t
2
∂
2
C
∂
S
t
2
+
r
S
t
∂
C
∂
S
t
{\displaystyle rC={\frac {\,\partial C\,}{\partial t}}+{\frac {1}{2}}\sigma ^{2}S_{t}^{2}{\frac {\,\partial ^{2}C\,}{\partial S_{t}^{2}}}+rS_{t}{\frac {\partial C}{\,\partial S_{t}\,}}}
この偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき をブラック–ショールズ方程式 ほうていしき (英 えい : Black–Scholes equation )、またはブラック–ショールズ偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき (英 えい : Black–Scholes partial differential equation )と言 い う。この方程式 ほうていしき の境界 きょうかい 条件 じょうけん は以下 いか の3つである。
C (0, t ) = 0 (t (≤ T ) は任意 にんい )
C (S t , t ) ∼ S t as S t → ∞ (t (≤ T ) は任意 にんい )
C (S T , T ) = max{S T − K , 0}
同 どう 方程式 ほうていしき において、次 つぎ のように変数 へんすう 変換 へんかん する。
C
(
S
t
,
t
)
=
e
r
(
t
−
T
)
u
(
S
t
,
t
)
,
z
=
log
(
S
t
K
)
+
(
r
−
σ しぐま
2
2
)
(
T
−
t
)
σ しぐま
,
s
=
T
−
t
{\displaystyle {\begin{aligned}&C(S_{t},t)=e^{r(t-T)}u(S_{t},t),\\&z={\frac {\log({\frac {S_{t}}{K}})+(r-{\frac {\sigma ^{2}}{2}})(T-t)}{\sigma }},\\&s=T-t\end{aligned}}}
これは、次 つぎ のような1次元 じげん 熱 ねつ 伝導 でんどう 方程式 ほうていしき (拡散 かくさん 方程式 ほうていしき )の初期 しょき 値 ち 問題 もんだい となる。
∂
u
∂
s
=
1
2
⋅
∂
2
u
∂
z
2
{\displaystyle {\frac {\partial u}{\partial s}}={\frac {1}{2}}\cdot {\frac {\partial ^{2}u}{\partial z^{2}}}}
これを解 と いて元 もと の変数 へんすう に戻 もど すと、ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき の解 かい は次 つぎ の形 かたち で与 あた えられる。
C
(
S
t
,
t
)
=
S
t
N
(
d
1
)
−
K
e
−
r
(
T
−
t
)
N
(
d
2
)
{\displaystyle C(S_{t},t)=S_{t}N(d_{1})-Ke^{-r(T-t)}N(d_{2})}
ただし、下記 かき の条件 じょうけん においてである。
N
(
x
)
=
1
2
π ぱい
∫
−
∞
x
e
−
y
2
2
d
y
,
{\displaystyle N(x)={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\infty }^{x}e^{-{\frac {y^{2}}{2}}}dy,}
d
1
=
log
(
S
t
K
)
+
(
r
+
σ しぐま
2
2
)
(
T
−
t
)
σ しぐま
T
−
t
,
{\displaystyle d_{1}={\frac {\log({\frac {S_{t}}{K}})+(r+{\frac {\sigma ^{2}}{2}})(T-t)}{\sigma {\sqrt {T-t}}}},}
d
2
=
log
(
S
t
K
)
+
(
r
−
σ しぐま
2
2
)
(
T
−
t
)
σ しぐま
T
−
t
{\displaystyle d_{2}={\frac {\log({\frac {S_{t}}{K}})+(r-{\frac {\sigma ^{2}}{2}})(T-t)}{\sigma {\sqrt {T-t}}}}}
これが「適正 てきせい 価格 かかく 」と呼 よ ばれる背景 はいけい としては、上述 じょうじゅつ のとおり株 かぶ と債券 さいけん を使 つか ってヨーロピアン・コールオプションを複製 ふくせい することができるという事実 じじつ から来 き ている。もし、コールオプション価格 かかく と複製 ふくせい ポートフォリオの組成 そせい 費用 ひよう が異 こと なれば、無限 むげん に資金 しきん を増 ふ やすことが可能 かのう になる[ 13] 。それは非 ひ 現実 げんじつ 的 てき であるのでコールオプション価格 かかく と複製 ふくせい ポートフォリオの組成 そせい 費用 ひよう は、理論 りろん 的 てき には、一致 いっち しなくてはならないのである。またここでは S t は株価 かぶか であるとしたが、実際 じっさい は株式 かぶしき だけに限 かぎ らず、為替 かわせ レート や投資 とうし 信託 しんたく 、株価 かぶか 指数 しすう などの市場 いちば 性 せい のある投資 とうし 商品 しょうひん や指標 しひょう であれば全 すべ て上述 じょうじゅつ の議論 ぎろん が成立 せいりつ する。
配当 はいとう 込 こ みのブラック–ショールズ方程式 ほうていしき [ 編集 へんしゅう ]
もし株式 かぶしき に配当 はいとう が含 ふく まれたとしても、ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき は細部 さいぶ の変更 へんこう のみで成立 せいりつ する。ここで S t で表 あらわ される株式 かぶしき には配当 はいとう が存在 そんざい し、その配当 はいとう は連続 れんぞく 的 てき に支払 しはら われるものとする。単位 たんい 時間 じかん 当 あ たりの配当 はいとう 利回 りまわ り を q とする。この時 とき 、株価 かぶか の従 したが う確 かく 率 りつ 微分 びぶん 方程式 ほうていしき は
d
S
t
=
σ しぐま
S
t
d
W
t
+
(
μ みゅー
−
q
)
S
t
d
t
{\displaystyle dS_{t}=\sigma S_{t}dW_{t}+(\mu -q)S_{t}dt}
となる[ 注 ちゅう 6] 。ただし、この株式 かぶしき を保有 ほゆう していると配当 はいとう が得 え られるので、自己 じこ 資金 しきん 充足 じゅうそく 的 てき なポートフォリオは次 つぎ の確 かく 率 りつ 積分 せきぶん 方程式 ほうていしき を満 み たす。
a
t
S
t
+
b
t
B
t
=
a
0
S
0
+
b
0
B
0
+
∫
0
t
a
s
d
S
s
+
∫
0
t
b
s
d
B
s
+
∫
0
t
a
s
q
S
s
d
s
{\displaystyle a_{t}S_{t}+b_{t}B_{t}=a_{0}S_{0}+b_{0}B_{0}+\int _{0}^{t}a_{s}dS_{s}+\int _{0}^{t}b_{s}dB でしべる _{s}+\int _{0}^{t}a_{s}qS_{s}ds}
あとは全 まった く同様 どうよう の議論 ぎろん を繰 く り返 かえ すことで次 つぎ の偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき が得 え られる。
r
C
=
∂
C
∂
t
+
1
2
σ しぐま
2
S
t
2
∂
2
C
∂
S
t
2
+
(
r
−
q
)
S
t
∂
C
∂
S
t
{\displaystyle rC={\frac {\,\partial C\,}{\partial t}}+{\frac {1}{2}}\sigma ^{2}S_{t}^{2}{\frac {\,\partial ^{2}C\,}{\partial S_{t}^{2}}}+(r-q)S_{t}{\frac {\partial C}{\,\partial S_{t}\,}}}
境界 きょうかい 条件 じょうけん は配当 はいとう なしの場合 ばあい と同一 どういつ である。この偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき の解 かい は以下 いか のようになる[ 14] 。
C
(
S
t
,
t
)
=
e
−
q
(
T
−
t
)
S
t
N
(
d
1
)
−
K
e
−
r
(
T
−
t
)
N
(
d
2
)
{\displaystyle C(S_{t},t)=e^{-q(T-t)}S_{t}N(d_{1})-Ke^{-r(T-t)}N(d_{2})}
ただし、
N
(
x
)
=
1
2
π ぱい
∫
−
∞
x
e
−
y
2
2
d
y
,
{\displaystyle N(x)={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\infty }^{x}e^{-{\frac {y^{2}}{2}}}dy,}
d
1
=
log
(
S
t
K
)
+
(
r
−
q
+
σ しぐま
2
2
)
(
T
−
t
)
σ しぐま
T
−
t
,
{\displaystyle d_{1}={\frac {\log({\frac {S_{t}}{K}})+(r-q+{\frac {\sigma ^{2}}{2}})(T-t)}{\sigma {\sqrt {T-t}}}},}
d
2
=
log
(
S
t
K
)
+
(
r
−
q
−
σ しぐま
2
2
)
(
T
−
t
)
σ しぐま
T
−
t
{\displaystyle d_{2}={\frac {\log({\frac {S_{t}}{K}})+(r-q-{\frac {\sigma ^{2}}{2}})(T-t)}{\sigma {\sqrt {T-t}}}}}
である。この配当 はいとう 込 こ みのブラック–ショールズ方程式 ほうていしき は通貨 つうか オプションについても重要 じゅうよう な意味 いみ を持 も つ。自国 じこく とある外国 がいこく の間 あいだ の(自国 じこく 通貨 つうか 建 だ て)為替 かわせ レートを Q t として、Q t が以下 いか の確 かく 率 りつ 微分 びぶん 方程式 ほうていしき に従 したが うとする。
d
Q
t
=
σ しぐま
Q
t
d
W
t
+
γ がんま
Q
t
d
t
{\displaystyle dQ_{t}=\sigma Q_{t}dW_{t}+\gamma Q_{t}dt}
γ がんま は定数 ていすう であるとする。また自国 じこく 債券 さいけん 価格 かかく を B t 、外国 がいこく 債券 さいけん 価格 かかく を B f t として、それぞれ
B
t
=
B
0
e
x
p
(
r
t
)
,
B
t
f
=
B
0
f
e
x
p
(
r
f
t
)
{\displaystyle B_{t}=B_{0}\mathrm {exp} (rt),\quad B_{t}^{f}=B_{0}^{f}\mathrm {exp} (r_{f}t)}
と表 あらわ されるとする。ただし、r と r f はそれぞれ自国 じこく の金利 きんり と外国 がいこく の金利 きんり を表 あらわ し、共 とも に定数 ていすう であるとする。ここで自国 じこく 通貨 つうか 建 だ て通貨 つうか オプションを自国 じこく 債券 さいけん と外国 がいこく 債券 さいけん からなる自己 じこ 資金 しきん 充足 じゅうそく 的 てき なポートフォリオで複製 ふくせい することを考 かんが える。つまり
C
(
Q
t
,
t
)
=
a
t
B
t
+
b
t
Q
t
B
t
f
{\displaystyle C(Q_{t},t)=a_{t}B_{t}+b_{t}Q_{t}B_{t}^{f}}
である自己 じこ 資金 しきん 充足 じゅうそく 的 てき なポートフォリオ (a , b ) を考 かんが える[ 注 ちゅう 7] 。すると、前節 ぜんせつ と同様 どうよう の議論 ぎろん から無 む 裁定 さいてい ならば次 つぎ の偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき が成立 せいりつ しなくてはならない。
r
C
=
∂
C
∂
t
+
1
2
σ しぐま
2
Q
t
2
∂
2
C
∂
Q
t
2
+
(
r
−
r
f
)
Q
t
∂
C
∂
Q
t
{\displaystyle rC={\frac {\,\partial C\,}{\partial t}}+{\frac {1}{2}}\sigma ^{2}Q_{t}^{2}{\frac {\,\partial ^{2}C\,}{\partial Q_{t}^{2}}}+(r-r_{f})Q_{t}{\frac {\partial C}{\,\partial Q_{t}\,}}}
この式 しき は配当 はいとう 込 こ みの株式 かぶしき を原資 げんし 産 さん としたブラック-ショールズ方程式 ほうていしき における配当 はいとう 利回 りまわ りを外国 がいこく 金利 きんり に置 お き換 か えただけの式 しき なので、その解 かい も配当 はいとう 利回 りまわ りを外国 がいこく 金利 きんり に置 お き換 か えるだけでよいことが分 わ かる。つまり通貨 つうか オプションの理論 りろん 価格 かかく は配当 はいとう 込 こ みの株式 かぶしき オプションの理論 りろん 価格 かかく と同 おな じ形 がた をすることが分 わ かる。
ヨーロピアンタイプのプットオプションについてもコールオプションの場合 ばあい と全 まった く同様 どうよう の議論 ぎろん から次 つぎ の偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき が成 な り立 た つ。
r
P
=
∂
P
∂
t
+
1
2
σ しぐま
2
S
t
2
∂
2
P
∂
S
t
2
+
r
S
t
∂
P
∂
S
t
{\displaystyle rP={\frac {\,\partial P\,}{\partial t}}+{\frac {1}{2}}\sigma ^{2}S_{t}^{2}{\frac {\,\partial ^{2}P\,}{\partial S_{t}^{2}}}+rS_{t}{\frac {\partial P}{\,\partial S_{t}\,}}}
ただし、P はプットオプションの現在 げんざい 価格 かかく である。つまり、原 はら 資産 しさん の価格 かかく 変動 へんどう が幾何 きか ブラウン運動 うんどう で、債券 さいけん 利子 りし 率 りつ が一定 いってい ならば、どのようなデリバティブについても偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき の形 かたち は同 おな じとなる。異 こと なるのは境界 きょうかい 条件 じょうけん で、プットオプションの場合 ばあい の境界 きょうかい 条件 じょうけん は
P (0, t ) = Ke-r(T-t) (t (≤ T ) は任意 にんい )
P (S t , t ) → 0 as S t → ∞ (t (≤ T ) は任意 にんい )
P (S T , T ) = max{K − S T , 0}
となる。解 かい は
P
(
S
t
,
t
)
=
−
S
t
N
(
−
d
1
)
+
K
e
−
r
(
T
−
t
)
N
(
−
d
2
)
{\displaystyle P(S_{t},t)=-S_{t}N(-d_{1})+Ke^{-r(T-t)}N(-d_{2})}
となる[ 15] 。関数 かんすう や変数 へんすう の定義 ていぎ はコールオプションの場合 ばあい と同様 どうよう である。ここで同一 どういつ の原資 げんし 産 さん 、満期 まんき 、行使 こうし 価格 かかく であるヨーロピアンコールオプションとプットオプションをコールオプションについては1単位 たんい 買 か い、プットオプションについては1単位 たんい 売 う ることを考 かんが える。そのようなポートフォリオの価値 かち 額 がく は
C
(
S
t
,
t
)
−
P
(
S
t
,
t
)
=
S
t
−
K
e
−
r
(
T
−
t
)
{\displaystyle C(S_{t},t)-P(S_{t},t)=S_{t}-Ke^{-r(T-t)}}
となる。つまり0時点 じてん において株式 かぶしき を1単位 たんい 買 か い、債券 さいけん を Ke -rT / B 0 単位 たんい 空売 からう りし、満期 まんき までそれを保有 ほゆう し続 つづ けるポートフォリオの価値 かち 額 がく と常 つね に一致 いっち する。この関係 かんけい をプットコールパリティ (英 えい : put-call parity )と言 い う[ 16] 。より一般 いっぱん 的 てき には、T 期 き を満期 まんき とした額面 がくめん が1円 えん の債券 さいけん の t 時点 じてん での価格 かかく がB ( t , T ) = e -r ( T -t ) で表 あらわ されることから
C
(
S
t
,
t
)
−
P
(
S
t
,
t
)
=
S
t
−
K
B
(
t
,
T
)
{\displaystyle C(S_{t},t)-P(S_{t},t)=S_{t}-KB(t,T)}
と書 か ける。このポートフォリオの満期 まんき でのペイオフは
C
(
S
T
,
T
)
−
P
(
S
T
,
T
)
=
S
T
−
K
{\displaystyle C(S_{T},T)-P(S_{T},T)=S_{T}-K}
となる。このポートフォリオでの満期 まんき でのペイオフは同 どう 一 いち 残存 ざんそん 期間 きかん の先 さき 渡 わたり 価格 かかく K の先 さき 渡 わたり 契約 けいやく の満期 まんき でのペイオフと同 おな じである。よって満期 まんき を T とする t 時点 じてん で締結 ていけつ された先 さき 渡 わたり 契約 けいやく の先 さき 渡 わたり 価格 かかく を F ( t , T ) とすると、無 む 裁定 さいてい 条件 じょうけん から
C
(
S
t
,
t
;
F
(
t
,
T
)
)
−
P
(
S
t
,
t
;
F
(
t
,
T
)
)
=
S
t
−
F
(
t
,
T
)
B
(
t
,
T
)
{\displaystyle C(S_{t},t;F(t,T))-P(S_{t},t;F(t,T))=S_{t}-F(t,T)B(t,T)}
が成 な り立 た つ。ヨーロピアンプットオプションの理論 りろん 価格 かかく についてはブラック-ショールズ方程式 ほうていしき を解 と かずにプットコールパリティから計算 けいさん した方 ほう が簡単 かんたん である。
ブラック–ショールズモデルにおけるコールオプション価値 かち 。call option's value long before expiry dateで示 しめ される曲線 きょくせん が満期 まんき までの期間 きかん が比較的 ひかくてき 長 なが いヨーロピアンコールオプション価値 かち でcall option's value before expiry dateで示 しめ される曲線 きょくせん が満期 まんき までの期間 きかん が比較的 ひかくてき 短 みじか いヨーロピアンコールオプション価値 かち である。call option's payoff at expiry dateは満期 まんき 時点 じてん でのペイオフを表 あらわ している。オプション価値 かち は右 みぎ 上 あ がりの凸 とつ 状 じょう の曲線 きょくせん であり、時間 じかん 経過 けいか にしたがって下方 かほう に異動 いどう し、満期 まんき 時点 じてん でのペイオフに近 ちか づいていくことが分 わ かる。 ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき によるオプション価格 かかく を決定 けってい するのは株価 かぶか 、満期 まんき までの残存 ざんそん 期間 きかん もしくは経過 けいか 時間 じかん 、行使 こうし 価格 かかく 、金利 きんり 、ボラティリティの5つとなる。よってオプション価格 かかく をこの5つの変数 へんすう の関数 かんすう と見 み なし、それぞれの偏 へん 微分 びぶん を持 も って各 かく 変数 へんすう についてのオプション価格 かかく の感応 かんおう 度 ど として表 あらわ したものをグリークス (英 えい : The Greeks )と言 い う[ 17] 。代表 だいひょう 的 てき なものとして、株価 かぶか についての1階 かい 偏 へん 微分 びぶん をデルタ(英 えい : delta )、2階 かい 偏 へん 微分 びぶん をガンマ(英 えい : gamma )、経過 けいか 時間 じかん の1階 かい 偏 へん 微分 びぶん をセータ(英 えい : theta )、金利 きんり の1階 かい 偏 へん 微分 びぶん をロー(英 えい : rho )、ボラティリティの1階 かい 偏 へん 微分 びぶん をベガ(英 えい : vega )またはカッパ(英 えい : kappa )と言 い う。それぞれの配当 はいとう 無 な しヨーロピアンコールオプションにおける具体 ぐたい 形 がた は以下 いか の通 とお りとなる。ただし記号 きごう 等 とう は前節 ぜんせつ のものと同 おな じである。
デルタ
Δ でるた
:=
∂
C
∂
S
t
=
N
(
d
1
)
{\displaystyle \Delta :={\frac {\partial C}{\partial S_{t}}}=N(d_{1})}
ガンマ
Γ がんま
:=
∂
2
C
∂
S
t
2
=
1
σ しぐま
S
t
T
−
t
1
2
π ぱい
e
x
p
{
−
1
2
d
1
2
}
{\displaystyle \Gamma :={\frac {\partial ^{2}C}{\partial S_{t}^{2}}}={\dfrac {1}{\sigma S_{t}{\sqrt {T-t}}}}{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\mathrm {exp} \left\{-{\frac {1}{2}}d_{1}^{2}\right\}}
セータ
Θ しーた
:=
∂
C
∂
t
=
−
r
K
e
−
r
(
T
−
t
)
N
(
d
2
)
−
σ しぐま
S
t
2
T
−
t
1
2
π ぱい
e
x
p
{
−
1
2
d
1
2
}
{\displaystyle \Theta :={\frac {\partial C}{\partial t}}=-rKe^{-r(T-t)}N(d_{2})-{\dfrac {\sigma S_{t}}{2{\sqrt {T-t}}}}{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\mathrm {exp} \left\{-{\frac {1}{2}}d_{1}^{2}\right\}}
ロー
ρ ろー
:=
∂
C
∂
r
=
(
T
−
t
)
K
e
−
r
(
T
−
t
)
N
(
d
2
)
{\displaystyle \rho :={\frac {\partial C}{\partial r}}=(T-t)Ke^{-r(T-t)}N(d_{2})}
ベガ
κ かっぱ
:=
∂
C
∂
σ しぐま
=
S
t
T
−
t
1
2
π ぱい
e
x
p
{
−
1
2
d
1
2
}
{\displaystyle \kappa :={\frac {\partial C}{\partial \sigma }}=S_{t}{\sqrt {T-t}}{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\mathrm {exp} \left\{-{\frac {1}{2}}d_{1}^{2}\right\}}
デルタとガンマが共 とも に常 つね に正 せい であることから、Y軸 じく をオプション価値 かち としX軸 じく を原資 げんし 産 さん 価格 かかく とした座標 ざひょう 平面 へいめん でのオプション価値 かち の曲線 きょくせん は右 みぎ 上 あ がりの凸 とつ 状 じょう の曲線 きょくせん になる。さらにセータが負 まけ であることからこの曲線 きょくせん は時間 じかん 経過 けいか と共 とも に下方 かほう へ移動 いどう していく。プットオプションや配当 はいとう 込 こ みオプションの場合 ばあい のグリークスは英語 えいご 版 ばん wikipedia のen:Greeks (finance)#Formulas for European option Greeks を参照 さんしょう のこと。
ブラック-ショールズ方程式 ほうていしき によるオプション価格 かかく において、株価 かぶか 、満期 まんき までの残存 ざんそん 期間 きかん 、行使 こうし 価格 かかく 、金利 きんり は全 すべ て市場 いちば で観測 かんそく 可能 かのう であるが、ボラティリティのみが直接 ちょくせつ 観測 かんそく 不可能 ふかのう で何 なん らかの方法 ほうほう で推定 すいてい しなくてはならない。そこでブラック-ショールズ方程式 ほうていしき による理論 りろん 上 じょう のオプション価格 かかく が現実 げんじつ 価格 かかく と等 ひと しいと仮定 かてい して実際 じっさい のオプションの市場 いちば 価格 かかく から逆算 ぎゃくさん されたボラティリティのことをインプライド・ボラティリティ (英 えい : implied volatility )と言 い う。ブラック-ショールズ方程式 ほうていしき が正 ただ しければ、あらゆる水準 すいじゅん の株価 かぶか 、満期 まんき までの残存 ざんそん 期間 きかん 、行使 こうし 価格 かかく 、金利 きんり においてインプライド・ボラティリティは等 ひと しいはずだが、実際 じっさい に計算 けいさん されるインプライド・ボラティリティはそうではないことが知 し られている。
オプションの理論 りろん 価格 かかく 算定 さんてい 方式 ほうしき が数学 すうがく 上 じょう 非常 ひじょう に明晰 めいせき な形 かたち で提供 ていきょう されたことはSPAN証拠 しょうこ 金 きん (英語 えいご 版 ばん ) [ 注 ちゅう 8] に決定的 けっていてき な示唆 しさ を与 あた えている。
オプション価格 かかく の理論 りろん 値 ち が得 え られることから、適正 てきせい プレミアムの獲得 かくとく や現実 げんじつ の取引 とりひき 価格 かかく との乖離 かいり が投資 とうし 戦略 せんりゃく として裁定 さいてい 取引 とりひき 上 じょう の利益 りえき 目標 もくひょう となり得 え ると考 かんが えられた。この点 てん 、実際 じっさい にはテイルリスク[ 注 ちゅう 9] に対 たい する脆弱 ぜいじゃく 性 せい などが指摘 してき されている。そしてショールズが参加 さんか したロングターム・キャピタル・マネジメント 破綻 はたん により現実 げんじつ 的 てき 妥当 だとう 性 せい まで疑問 ぎもん 視 し された。しかし、投資 とうし 中 ちゅう に発生 はっせい するイベントの定性 ていせい 情報 じょうほう [ 注 ちゅう 10] を無視 むし したポートフォリオ戦略 せんりゃく [ 注 ちゅう 11] としては依然 いぜん として強力 きょうりょく であり、それまでアナロジー やアフォリズム 、アノマリー やテクニカル分析 ぶんせき などといった従来 じゅうらい の「投資 とうし の慣行 かんこう 」を超 こ えた学術 がくじゅつ 的 てき バックグラウンドを持 も つものとして、現代 げんだい ポートフォリオ理論 りろん や資本 しほん 資産 しさん 価格 かかく モデル などと同様 どうよう に大 おお きな影響 えいきょう をもたらしている。
ブラック–ショールズ方程式 ほうていしき は、価格 かかく の変化 へんか 率 りつ の分布 ぶんぷ が正規 せいき 分布 ぶんぷ に従 したが うという仮定 かてい を置 お いている。しかし現実 げんじつ の金融 きんゆう 商品 しょうひん では必 かなら ずしも正規 せいき 分布 ぶんぷ が成立 せいりつ しない[ 18] 。そのような批判 ひはん にこたえる形 かたち でブラック–ショールズモデルが持 も つ仮定 かてい を緩 ゆる めたものとして、ボラティリティが時間 じかん 経過 けいか にしたがって確 かく 率 りつ 的 てき に変動 へんどう する確 かく 率 りつ 的 てき ボラティリティモデル[ 19] や原資 げんし 産 さん (株式 かぶしき など)の価格 かかく の不連続 ふれんぞく な変動 へんどう を許容 きょよう するマートンモデル[ 20] などが考案 こうあん されている。
^ 満期 まんき 日 び のみ行使 こうし 可能 かのう なオプション。
^ コール・オプションとプット・オプションの両方 りょうほう について。オプション取引 とりひき 参照 さんしょう 。
^ 購入 こうにゅう 日 び から満 まん 期日 きじつ までのいつでも権利 けんり 行使 こうし することのできるオプション。その分 ぶん 、アメリカンプットオプションのプレミアムは割高 わりだか になっている。
行使 こうし 日 び が分 わ からないため価格 かかく 付 づ けが難 むずか しい(※)。良 よ い計算 けいさん 方法 ほうほう が理論 りろん 化 か できていない。しかし格子 こうし モデル や ブレネン (英語 えいご 版 ばん ) -シヴァルツ (英語 えいご 版 ばん ) アルゴリズムなどがよく用 もち いられている[ 1]
^ 株価 かぶか の変動 へんどう の激 はげ しさ。
^ 株価 かぶか の平均 へいきん 増加 ぞうか 率 りつ
^ よって
μ みゅー
{\displaystyle \mu }
はトータルリターンを表 あらわ している
^ C は自国 じこく 通貨 つうか 単位 たんい での価値 かち 額 がく である。
^ 1988年 ねん にシカゴ・マ しかごま ーカンタイル取引所 かんたいるとりひきしょ が開発 かいはつ したリスクベースの証拠 しょうこ 金 きん 計算 けいさん 方法 ほうほう 。
^ 過去 かこ に無 な い相場 そうば に遭遇 そうぐう したり、とりわけ統計 とうけい 的 てき に検定 けんてい 除外 じょがい されてしまうほどめったに発生 はっせい しない局面 きょくめん でのリスク
^ 文章 ぶんしょう や画像 がぞう 、音声 おんせい といった、数値 すうち 化 か のむずかしい情報 じょうほう 。対義語 たいぎご は定量 ていりょう 情報 じょうほう 。
^ 将来 しょうらい 何 なに が起 お きるかは知 し りえないことを前提 ぜんてい とした投資 とうし 戦略 せんりゃく
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