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クレジット・デフォルト・スワップ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨーロッパ各国かっこくソブリンさいCDS(2010-2011ねん)

クレジット・デフォルト・スワップ英語えいご: Credit default swap, CDS)は、デリバティブとくクレジットデリバティブ(=信用しんようリスク移転いてん目的もくてきとする)一種いっしゅ特定とくてい会社かいしゃとう倒産とうさんしたときとうに、一方いっぽう当事とうじしゃから他方たほう当事とうじしゃに、あらかじめさだめられた範囲はんい金額きんがく支払しはらわれる。

銀行ぎんこう自己じこ資本しほん比率ひりつたかめる手法しゅほうひとつとしても利用りようされる。

一般いっぱんけの説明せつめいでは保険ほけんとされているが、CDSは金融きんゆう商品しょうひんであり保険ほけん関連かんれん法律ほうりつ該当がいとうしないとの認識にんしきである。

仕組しく[編集へんしゅう]

クレジット・デフォルト・スワップのひとつの取引とりひき契約けいやく)は、2当事とうじしゃ合意ごういにより成立せいりつ約定やくじょう)する。これらの当事とうじしゃ一方いっぽうは「プロテクションの」、もう一方いっぽうは「プロテクションの」という役割やくわりになう。

ここでまずはCDSの一般いっぱんてき用途ようともとづいたケースをかんがえる。 あるものAは、X(くに企業きぎょうなど)にたいする債権さいけん(100おく)をつが、その信用しんようリスクをつづけたくはないとかんがえ、さらにAはBとCDS取引とりひきをすることで、前述ぜんじゅつ信用しんようリスクをBに移転いてんすることにしたとする。このCDS取引とりひきにおいてAは「プロテクションの」、Bは「プロテクションの」となる。プロテクションの(A)からると、定期ていきてき金銭きんせんの(プロテクションの(B)への)支払しはらい(「プレミアム」)とえに、取引とりひき条件じょうけんとしてさだめた範囲はんいくに企業きぎょうなど(「参照さんしょう組織そしき」。Aのケースでは、X)にたいする(A)の債権さいけんの、取引とりひき条件じょうけんとしてさだめた元本がんぽんがく(「仮想かそう元本がんぽんがく」または「想定そうてい元本がんぽんがく」。Aのケースでは、100おくとすれば全額ぜんがくヘッジとなるし、それよりひくくすることもかんがえられる)にたいする信用しんようリスクの保障ほしょうプロテクション)をれる取引とりひきである。結果けっかとして、プロテクションの信用しんようリスクを(に)移転いてんできたことになる。

CDSでは上述じょうじゅつとおり、CDS成立せいりつによりある一方いっぽう当事とうじしゃ保障ほしょう(プロテクション)がられる。このことから、CDSは保険ほけん類似るいじしたものとひょうされることもあるが、対照たいしょうさせれば、CDSのプロテクションの保険ほけん加入かにゅうしゃ保険ほけんしゃ)、CDSのプロテクションの保険ほけん会社かいしゃ保険ほけんしゃ)に相当そうとうすることになる。

より具体ぐたいてき取引とりひき詳細しょうさいていくと、プロテクションのは、仮想かそう元本がんぽんがくたいする一定いってい割合わりあい金額きんがく定期ていきてき支払しはらい、一方いっぽう、プロテクションのは、参照さんしょう組織そしきについての倒産とうさんその信用しんようリスクの顕在けんざいしめ一定いってい事由じゆう(「信用しんよう事由じゆう」または「クレジットイベント」)が発生はっせいした場合ばあいに、一定いってい方法ほうほう特定とくていされた参照さんしょう組織そしきたいする債権さいけん(「参照さんしょう債務さいむ」。貸付かしつけ債権さいけん公社債こうしゃさいなど。)について、あらかじ合意ごういしたところにしたがって、から参照さんしょう債務さいむ元本がんぽんがく購入こうにゅうする(「現物げんぶつ決済けっさい」)か、参照さんしょう債務さいむ価値かちがった部分ぶぶんおぎな金額きんがく支払しはらう(「現金げんきん決済けっさい」)か、いずれかの方法ほうほうによって決済けっさいおこなう。

決済けっさい方法ほうほうはかつては現物げんぶつ決済けっさい主流しゅりゅうであった。現金げんきん決済けっさい場合ばあいには参照さんしょう債務さいむ評価ひょうか必要ひつようとなり、その評価ひょうか妥当だとうせい問題もんだいとなる(※当事とうじしゃあいだ評価ひょうかがくあらそいがしょうじるひとし)ことがあったが、現物げんぶつ決済けっさいではこのような問題もんだいしょうじないからである。ところが現物げんぶつ決済けっさいでは、いざ信用しんよう事由じゆうしょうじた場合ばあい参照さんしょう債務さいむ現物げんぶつ不足ふそくし(※後述こうじゅつ)、決済けっさい困難こんなんとなるといった事態じたいしょうじることがあった。

参照さんしょう債務さいむ現物げんぶつ不足ふそくとはどういうことか。前述ぜんじゅつしたA・Bあいだれいのケースでは、プロテクションのAと参照さんしょう組織そしきXのあいだ債権さいけん債務さいむ関係かんけいがあったが、これはあくまで一般いっぱんてき用途ようともとづいたケースであった。のところ、CDS取引とりひきにおいては、参照さんしょう組織そしきになんら関係かんけいのない第三者だいさんしゃが、投機とうきとう目的もくてきでプロテクションの「」になることができる。このことから、かりにある会社かいしゃYの現実げんじつ負債ふさい総額そうがくが1000おくでも、Yを参照さんしょう組織そしきとするCDSの想定そうてい元本がんぽん合計ごうけいは、2000おくであるということもありるということになる。このようなCDS想定そうてい元本がんぽんおおぎる参照さんしょう組織そしき倒産とうさんしたらどうなるかというと、プロテクションの参照さんしょう債務さいむ現物げんぶつがあれば、それをプロテクションの額面がくめんってもらえるのだが、そもそも想定そうてい元本がんぽんぶん参照さんしょう債務さいむ現物げんぶつには存在そんざいしておらず、現物げんぶつっていない途方とほうれることになる。

そういった場合ばあいへの配慮はいりょとして、契約けいやくじょう現物げんぶつ決済けっさい取引とりひきであっても、事実じじつじょう現金げんきん決済けっさいおこなわれるようになった。より具体ぐたいてきには、ある企業きぎょうとうYに倒産とうさんとうのクレジットイベントが発生はっせいすると、その企業きぎょうとうYにたいする債権さいけんがく額面がくめんからなに%の価値かちであればえるのかをきそう、というオークションひらかれる。そこで最終さいしゅう結果けっか額面がくめんのp%の価値かちとなれば、企業きぎょうとうYを参照さんしょう組織そしきとするCDS取引とりひきのプロテクションのは、そのCDS取引とりひき想定そうてい元本がんぽんの(100 - p)%を、どうプロテクションのからることができる[1](※この「差額さがく受取うけとる」部分ぶぶんがまさに現金げんきん決済けっさい本質ほんしつである)。

かつては、リーマン・ブラザーズなど、個別こべつ企業きぎょうごとにオークションが特別とくべつおこなわれていたが、これが一般いっぱんてきかたちにルールされ、いわゆるBig Bang ProtocolやSmall Bang Protocolがさだめられるようになった。現在げんざいではこれらのProtocolにしたがった取引とりひき市場いちば取引とりひき大半たいはんめている。

契約けいやくしょは、ISDAのひながた契約けいやくしょISDAマスター契約けいやくやクレジット・デリバティブ定義ていぎしゅう)を採用さいようするのが通例つうれいであり、ほんこうもちいている用語ようごも、基本きほんてきにISDAのひながた契約けいやくしょ用法ようほうしたがっている。

信用しんよう事由じゆう(クレジットイベント)

日本にっぽんにおいては、以下いかの3つをクレジットイベントとするのが市場いちば慣行かんこうである(3CE)。

  • 破産はさんBankruptcy
  • 債務さいむ不履行ふりこうFailure to Pay
  • 債務さいむ条件じょうけん変更へんこうRestructuring

効果こうか[編集へんしゅう]

参照さんしょう組織そしき想定そうてい元本がんぽんがくかか信用しんようリスクの移転いてんである。

たとえば、参照さんしょう組織そしきたいして貸付かしつけ債権さいけんなどをゆうする銀行ぎんこうがCDS取引とりひきによってプロテクションを購入こうにゅうすることにより、貸倒かしだおのリスクを移転いてんすることが可能かのうとなる。

保証ほしょう契約けいやく類似るいじしているとはいえるが、特定とくてい担保たんぽ債権さいけん存在そんざいせず、プロテクションの参照さんしょう組織そしきたいして参照さんしょう債務さいむ保有ほゆうしている必要ひつようがないてんおおきくことなる(ただし、現物げんぶつ決済けっさい場合ばあいにはプロテクションの参照さんしょう債務さいむ用意よういする必要ひつようがある。)。

会計かいけいじょう取扱とりあつか[編集へんしゅう]

CDSの会計かいけいじょう取扱とりあつかいについては日本にっぽんでは明確めいかく基準きじゅんがなく、実務じつむじょうでは保証ほしょうとしてあつか場合ばあいとオプションとしてあつか場合ばあいがある。

保証ほしょうする場合ばあい保証ほしょうりょう(フィー)は発生はっせい主義しゅぎ(デフォルト発生はっせい)にもとづき貸借たいしゃく対照たいしょうひょう計上けいじょうされる。デフォルトのさいCDSの通常つうじょう保証ほしょう同様どうよう契約けいやくがく貸借たいしゃく対照たいしょうひょうじょう計上けいじょうする必要ひつようはないが、偶発ぐうはつ債務さいむとして開示かいじもとめられる。銀行ぎんこう場合ばあい保証ほしょう貸借たいしゃく対照たいしょうひょう能力のうりょくあたえられており、偶発ぐうはつ債務さいむを「支払しはらい承諾しょうだく」、偶発ぐうはつ債権さいけんたる求償きゅうしょうけんを「支払しはらい承諾しょうだく見返みかえし」としてりょうけん処理しょりする。

デリバティブとしてあつか場合ばあい、オプションとかいされればフィーが権利けんり行使こうしまたは消滅しょうめつまで資産しさんないし負債ふさい計上けいじょうされ、スワップとかいされれば発生はっせい主義しゅぎもとづき損益そんえき計上けいじょうされる(銀行ぎんこう特定とくてい取引とりひき勘定かんじょうであつかう場合ばあいには時価じか評価ひょうかする)。CDSの契約けいやく額面がくめん貸借たいしゃく対照たいしょうひょう計上けいじょうされないがデリバティブにかんする注記ちゅうきをおこなう必要ひつようがある[2]

価格かかく設定せってい(プライシング)[編集へんしゅう]

プレミアムの決定けっていには金融きんゆう工学こうがくてき手法しゅほう利用りようされる。それはたんが、両者りょうしゃ期待きたい一致いっちさせる価格かかく支払しはらえばよいのではなく、けるリスクにたいする対価たいかリスクプレミアム)をも支払しはら必要ひつようがあるからである。リスクプレミアムは通常つうじょうおな参照さんしょう企業きぎょうAが発行はっこうする社債しゃさいなどにまれたものを使つかう。

CDSのがデフォルトしないという仮定かていしたではプレミアムの算出さんしゅつ容易よういである。しかし、もデフォルトする場合ばあいにはのリスクが増大ぞうだいする。さらに参照さんしょう企業きぎょうAとのデフォルトに相関そうかんがある場合ばあいには、プライシングは容易よういではない。

CDSのプレミアムを単純たんじゅんして数式すうしきあらわすと

s:1年間ねんかんのCDSプレミアム、d:1ねんデフォルトかくりつ、r:デフォルトしたさい回収かいしゅうりつ

あらわせる。ひだりこう期待きたい損失そんしつりつみぎこう期待きたい収益しゅうえきりつといえる。ただし、この理論りろんは、カウンターパーティーリスクや流動りゅうどうせいリスクなどをふくんだプレミアムではないことに注意ちゅういすべきである。うえしきでは、ひだりこうほうおおきく、等式とうしきではなかった。

およそ、1000bpsをえる一部いちぶ銘柄めいがらについて、UP front取引とりひきがなされていた。計算けいさんは、ディールスプレッドを500bpと仮定かていし、その満期まんきまでのかくキャッシュフローにたいして累積るいせき生存せいぞんかくりつとディスカウントファクターをわせたものの合計ごうけいを、通常つうじょうのフラットカーブのスプレッドで計算けいさんした満期まんきまでのかくキャッシュフローにたいして累積るいせき生存せいぞんかくりつとディスカウントファクターをわせたものの合計ごうけいからげんじた金額きんがく想定そうてい元本がんぽんることでもとめられる。現在げんざいではCDS取引とりひき標準ひょうじゅんともないほぼすべての銘柄めいがらがUP front取引とりひきされている。

ISDA Japan Credit Derivatives Committee Research Working Group の解説かいせつによれば、日本にっぽん企業きぎょう対象たいしょうとしたCDSの固定こていプレミアムは25bp、100bp、500bpの3とおりである。市場いちば実勢じっせいプレミアムは当然とうぜんそのみっつと一致いっちしないこともあるが、その場合ばあいの、固定こていプレミアムと市場いちば実勢じっせいプレミアムとのについては、契約けいやく締結ていけつ(アップフロント)の支払しはらい調整ちょうせいする[4]

マーケット[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、1999ねんから個別こべつ銘柄めいがらのCDSが開始かいしされた。2013ねん現在げんざいおも日本にっぽん主要しゅよう金融きんゆう機関きかんみずほ証券しょうけんなど)と外資がいしけい証券しょうけん会社かいしゃゴールドマン・サックスなど)の合計ごうけい15しゃ程度ていどがマーケットでけをおこない、数社すうしゃのブローカー(ひがしたん、GFIなど)を経由けいゆして取引とりひきおこなっている。

ISDA提供ていきょうしているISDA Master Agreementばれる基本きほん契約けいやく相対そうたい事前じぜん締結ていけつすることで、Confirmationとばれる差入さしいれしょのみを利用りようして取引とりひきおこなうことができる。

かく個別こべつ企業きぎょう信用しんようリスクを取引とりひきする通常つうじょうのCDS・インデックスCDSとして、流動りゅうどうせいたか主要しゅよう企業きぎょう50しゃ信用しんようリスク参照さんしょうとしたiTraxx Japan 50(アイフルソニーなど)、プレミアムたか企業きぎょう参照さんしょうとしたiTraxx Hivol(ソフトバンク日本航空にほんこうくうなど)がある(しかしながら、Series 10以降いこうはHivolインデックスは消滅しょうめつした[5])。

インデックスのライセンスはMarkit Groupがライセンスを保有ほゆうし、6カ月かげつごとにインデックスの見直みなおしをおこなっている[6]通常つうじょう、シングルのCDSについては期間きかんが5ねんで5おくえん単位たんい、インデックスについては5ねん10おくえん単位たんい取引とりひきされている。

また、日本にっぽんでは取引とりひきされていないが、レバレッジローンを参照さんしょうにしたLCDXや、ABS参照さんしょうにしたABXなどが海外かいがいマーケットには存在そんざいし、日本にっぽんマーケットにおいてもリスクヘッジ手法しゅほうとして今後こんご発展はってん見込みこまれる。

しん国際こくさい会計かいけい基準きじゅん導入どうにゅうは、日本にっぽんにおいてもCDSのヘッジ対象たいしょうとなるローンの時価じか会計かいけいともない、CDSのヘッジ取引とりひき拡大かくだい見込みこまれている。

東京とうきょう金融きんゆう取引とりひきしょ(TFX)[編集へんしゅう]

東京とうきょう金融きんゆう取引とりひきしょは、大手おおて12金融きんゆう機関きかんからの情報じょうほう提供ていきょうけて、CDSの相場そうば気配けはい参照さんしょう)を毎日まいにち公表こうひょうしていた(現在げんざいおこなわれていない)[7]

CDSを使つかった商品しょうひん[編集へんしゅう]

CDSを使つかい、FTD(First to Default)、Nth to Default、シンセティックCDOなどの金融きんゆう商品しょうひんをつくることができる。時価じか評価ひょうかされないFTDリンクローンは仕組しくみが非常ひじょうかりやすいものであり、投資とうしがわ(プレミアムの支払しはらいをけるがわ)にとっては管理かんり非常ひじょうらくであるため、CDSスプレッドが急激きゅうげき上昇じょうしょうしたときなどはこのまれる傾向けいこうにある。

シンセティックCDOは、CDS取引とりひきもちいた証券しょうけん手法しゅほうによるCDOである。すなわち、通常つうじょうのCDOとはことなり、現物げんぶつ債権さいけん購入こうにゅうするのではなく、CDS取引とりひきによってプロテクションをり、これによりられるキャッシュフローを裏付うらづけとしてCDOを発行はっこうするのである。

想定そうてい元本がんぽんがく推移すいい[編集へんしゅう]

世界せかい総計そうけい[編集へんしゅう]

  • 2001ねん6がつまつ 6315おく$
  • 2001ねんまつ 9189おく$
  • 2002ねんまつ 2.2ちょう$
  • 2003ねんまつ 3.8ちょう$
  • 2004ねんまつ 8.4ちょう$
  • 2005ねんまつ 17.1ちょう$
  • 2006ねんまつ 34.5ちょう$
  • 2007ねん6がつまつ 45.5ちょう$
  • 2007ねんまつ 62.2ちょう$[8]
  • 2008ねん6がつまつ 54ちょう$ 史上しじょうはつ減少げんしょう

日本にっぽん総計そうけい[編集へんしゅう]

日本銀行にっぽんぎんこう資料しりょうとその報道ほうどうによる

  • ?    2007ねん上半期かみはんき 1457おく$
  • 大手おおて13ぎょう 2007ねん6がつ 2700おく$
  • 日本にっぽん全体ぜんたい 2007ねん6がつ 8128おく$
  • 大手おおて13ぎょう 2008ねん6がつ 5541おく$

取引とりひきがく[編集へんしゅう]

想定そうてい元本がんぽんおく$。数字すうじ想定そうてい元本がんぽん。2008ねん10がつまつ(DTCC)のもの)

以下いか数値すうちは2008ねん10がつまつ(DTCC)のもの[9][10][11]

世界せかい企業きぎょう[編集へんしゅう]

日本にっぽん企業きぎょう[編集へんしゅう]

国家こっか[編集へんしゅう]

ドイツ銀行ぎんこうでは世界せかいの9つの主要しゅよう新興しんこうこくかんして数値すうち毎日まいにち調査ちょうさ発表はっぴょうしている。

マークイットによる2010ねん7がつ1にち現在げんざいこうリスクこく[12]

  • 中南米ちゅうなんべい:11390bpベネズエラ、21000bpアルゼンチン、5750bpジャマイカ
  • 欧州おうしゅう:3910bpギリシャ、6660bpウクライナ、10420bpルーマニア、11380bpラトビア、11380bpブルガリア、13360bpハンガリー、14340bpクロアチア、28210bpロシア、(ベスト6ドイツ40bp、英国えいこく70bp、フランス90bp)
  • アジア:4750bpパキスタン(ベスト21日本にっぽん100bp、中国ちゅうごく90bp、シンガポール50bp)
  • 中東ちゅうとう:7490bpドバイ、9430bpイラク、30200bpトルコ
  • アフリカ:8470bpガーナ

日本にっぽん企業きぎょう(2012ねん[編集へんしゅう]

単位たんいbp(100bp=1%)。小数しょうすう以下いかて。J-CDS[13]

問題もんだいてん[編集へんしゅう]

ベア・スターンズフレディマックファニーメイリーマン・ブラザーズ経営けいえい破綻はたんのちかくのボタン匹敵ひってきする」とわれている。

世界せかいてき投資とうしウォーレン・バフェットは、CDSのことを「時限じげんばくだんえい: time bomb)」「金融きんゆう大量たいりょう破壊はかい兵器へいきえい: financial weapons of mass destruction)」とんで、自社じしゃバークシャー・ハサウェイによる投資とうし禁止きんししたとかたったことがある(のち実際じっさいには投資とうしちゅうであることがあきらかになった。2014ねんまでの債務さいむがあるという)。

CDSの想定そうてい元本がんぽん毎年まいとしやく2ばい増加ぞうかして、2007ねんまつで62.2ちょう$(6500ちょうえん)あったが、2008ねん6がつまつで54ちょう$(やく5500ちょうえん)とはじめて減少げんしょうした。

その10がつ10日とおかにリーマンを参照さんしょう企業きぎょうとしたCDSの清算せいさん価格かかく元本がんぽんの8.625%に決定けっていした[3]。フレディマック、ファニーメイのCDS清算せいさん価格かかくは、ファニーメイが優先ゆうせん債務さいむ91.51%、劣後れつご債務さいむ99.9%、フレディマックが優先ゆうせん債務さいむ94%、劣後れつご債務さいむ98%[4]

10月23にちにリーマンの精算せいさん支払しはらがく結局けっきょく52おく$にとどまることがかった[14]報道ほうどうによればCDS投資とうしおおくがだまだまりょうてにしていたためヘッジされていないエクスポージャーは想定そうていされたよりすくなかったためとしている。10月24にちこめワシントン・ミューチュアルのCDS清算せいさん価格かかくが57%と決定けっていした[15]

現在げんざいJPモルガン・チェース想定そうてい元本がんぽんは7.85ちょう$、シティバンクが3.2ちょう$である[16]

ニューヨークしゅう政府せいふは、2009ねん1がつからCDSのしゅたい保険ほけん会社かいしゃ同様どうよう規制きせいをすると発表はっぴょうした。2008ねん11がつ20日はつかNYしゅう保険ほけんきょくのディナロ局長きょくちょう規制きせいあん撤回てっかい発表はっぴょう

2008ねん10がつソフトバンクCDOにより、最大さいだい750おくえん損害そんがいこうむるおそれがあるとあきらかにした[17]紙面しめんによると、ゴールドマンサックスつくり、組成そせい160銘柄めいがらちゅう8銘柄めいがらがデフォルトすると全額ぜんがく損失そんしつになるとう。

2012ねん5がつにJPモルガンの巨額きょがく評価ひょうかそん発覚はっかくした、チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部門ぶもんでのクレジット・デリバティブ取引とりひき失敗しっぱい原因げんいんとなり、58おくドルの損失そんしつとなった。損失そんしつ大半たいはんは「マークイットCDX北米ほくべい投資とうし適格てきかく指数しすうシリーズ9(125しゃ程度ていど信用度しんようどたかべい企業きぎょう構成こうせいするバスケット)[18]」というCDSであり、欧州おうしゅう債務さいむ危機ききこり市場いちば不安定ふあんていになった2012ねん4がつ以降いこう評価ひょうかそんふくらんだ。「ロンドンのくじら」とばれたロンドン支店してんの30だいのフランスじんイクシルがアイナ・ドリュー最高さいこう投資とうし責任せきにんしゃ(CIO)の指揮しきしたちポジション投資とうしをふくらませたわれている。原因げんいんひとつとして、世界せかい最高さいこう水準すいじゅんほこった信用しんようリスク計測けいそくモデル「バリュー・アット・リスク(VaR)」が機能きのうしなかったことがげられている。

CDS清算せいさん事例じれい[編集へんしゅう]

日本にっぽん

日本にっぽんにおけるクレジットイベント認定にんてい以下いかの5けん

  • アイフル(2010ねん3がつ25にち)33.875%:ISDA(国際こくさいスワップデリバティブ協会きょうかい)による日本にっぽんではじめての入札にゅうさつれい
  • 日本航空にほんこうくう(2010ねん4がつ22にち)20%:日本にっぽんで2れい[19]
  • 武富士たけふじ(2010ねん10がつ28にち)14.75%:破産はさん
  • 日本にほんビクター(2011ねん11月9にち)93.75%:リストラクチャリング
  • エルピーダメモリ(2012ねん3がつ22にち)21%:破産はさん

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ https://web.archive.org/web/20190715161243/https://www.shigeru-sato.com/entry/2018/07/21/224028
  2. ^ この項目こうもく『デリバティブ類似るいじ取引とりひき会計かいけい処理しょり秋葉あきば賢一けんいち日本銀行にっぽんぎんこう金融きんゆう研究所けんきゅうじょ/金融きんゆう研究けんきゅう/2000.3)[1]から起筆きひつ。pdfでP.6
  3. ^ CDS Q&A”. 2019ねん7がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん10がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ 資料しりょうPDF[3] P.18
  5. ^ Markitしゃ発表はっぴょう、2008ねん9がつ24にちづけ
  6. ^ en:iTraxx参照さんしょう
  7. ^ 【J-CDS】CDS参考さんこう東京とうきょう金融きんゆう取引とりひきしょ
  8. ^ ISDA Market Survey Notional amounts outstanding, semiannual data, all surveyed contracts, 1987-present
  9. ^ [2]
  10. ^ [2008ねん11月7にち日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 7めん 損失そんしつ肩代かたがわり商品しょうひん「CDS」、残高ざんだか上位じょうい1000銘柄めいがら公表こうひょう まい機関きかん]
  11. ^ Table6:Top 1000 Reference Entities (Gross and Notional)
  12. ^ [日経にっけいヴェリタス][よう文献ぶんけん特定とくてい詳細しょうさい情報じょうほう]
  13. ^ J-CDS
  14. ^ べいリーマンのCDS清算せいさん支払しはらいがく52おくドルにとどまる=決済けっさい機関きかん
  15. ^ べいワシントン・ミューチュアルのCDS清算せいさんは57%、推定すいてい下回したまわる”. ロイター. (2008ねん10がつ24にち). http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34493520081024 2011ねん2がつ15にち閲覧えつらん 
  16. ^ 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん2008ねん10がつ24にち リスクえぬ金融きんゆう保証ほしょう商品しょうひん金融きんゆうサミットでも議論ぎろん
  17. ^ ソフトバンク、最大さいだい750おくえん損失そんしつおそれ 債務さいむ担保たんぽ証券しょうけんへの投資とうしで=HPじょう開示かいじ、30にちよる9
  18. ^ Markit CDX Series9
  19. ^ 日本航空にほんこうくうのCDS清算せいさんは20%、国内こくない2けん入札にゅうさつ実施じっし. ロイター. (2010ねん4がつ22にち). http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-14946320100422 2011ねん2がつ15にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]