グリーゼ367b

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グリーゼ367b
Gliese 367 b
仮かり符号ふごう・別名べつめい Tahay[1]
星座せいざ ほ座ざ
分類ぶんるい 太陽系たいようけい外がい惑星わくせい
地球ちきゅう型がた惑星わくせい
超ちょう短たん周期しゅうき惑星わくせい (USP)[2]
発見はっけん
発見はっけん年ねん 2021年ねん[3]
発見はっけん者しゃ Kristine W. F. Lam et al.
発見はっけん方法ほうほう トランジット法ほう[3]
現況げんきょう 確認かくにん[3]
位置いち
元もと期き:J2000.0[4]
赤あか経けい (RA, αあるふぁ)  09h 44m 29.8366584740s[4]
赤あか緯ぬき (Dec, δでるた) −45° 46′ 35.425593490″[4]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) 赤あか経けい: -462.549 ミリ秒びょう/年とし[4]
赤あか緯ぬき: -582.814 ミリ秒びょう/年とし[4]
年とし周しゅう視差しさ (πぱい) 106.2112 ± 0.0317ミリ秒びょう[4]
（誤差ごさ0%）
距離きょり 30.708 ± 0.009 光年こうねん[注ちゅう 1]
（9.415 ± 0.003 パーセク[注ちゅう 1]）
軌道きどう要素ようそと性質せいしつ
軌道きどう長ちょう半径はんけい (a) 0.00709 ± 0.00027 au[5]
（1,060,649 ± 40,391 km）
近きん点てん距離きょり (q) 0.00667 au
遠とお点てん距離きょり (Q) 0.00752 au
離はなれ心しん率りつ (e) 0.06+0.07
−0.04[5]
公転こうてん周期しゅうき (P) 0.3219225 ± 0.0000002 日ひ[5]
（7.7261400 ± 0.0000048 時間じかん）
軌道きどう傾斜けいしゃ角かく (i) 79.89+0.87
−0.85°[5]
近きん点てん引数ひきすう (ωおめが) 66+41
−108°[5]
通過つうか時刻じこく BJD 2,458,544.13635 ± 0.00040[5]
準じゅん振幅しんぷく (K) 1.003 ± 0.078 m/s[5]
グリーゼ367の惑星わくせい
物理ぶつり的てき性質せいしつ
直径ちょっけい 8,916 km
半径はんけい 0.699 ± 0.050 R⊕[5]
表面積ひょうめんせき 2.492×108 km2
体積たいせき 3.700×1011 km3
質量しつりょう 0.633 ± 0.050 M⊕[5]
平均へいきん密度みつど 10.2 ± 1.3 g/cm3[5]
（1.850 ± 0.236 ρろー⊕）
平衡へいこう温度おんど (Teq) 1,365 ± 32 K[5]
（1,092 ± 32 ℃）
他たのカタログでの名称めいしょう
GJ 367 b
HIP 47780 b
TIC 34068865 b
TOI-731 b
TOI-731.01[4]
TYC 8168-2031-1 b
2MASS J09442986-4546351 b
■Template （■ノート ■解説かいせつ） ■Project

グリーゼ367b（英語えいご: Gliese 367 b）または GJ 367 b は、地球ちきゅうから約やく31光年こうねん離はなれた位置いちにある赤色あかいろ矮星の恒星こうせいグリーゼ367を公転こうてんしている太陽系たいようけい外がい惑星わくせいである。

発見はっけん[編集へんしゅう]

グリーゼ367bは、ドイツ航空こうくう宇宙うちゅうセンター惑星わくせい研究所けんきゅうじょなどの国際こくさい研究けんきゅうチームによるTESSによって得えられた2019年ねん2月がつから3月がつにかけての観測かんそくデータの分析ぶんせきによって発見はっけんされた[2]。TESSによる観測かんそくデータの分析ぶんせきから発見はっけんされた後のち、チリのラ・シヤ天文台てんもんだいにある高こう精度せいど視線しせん速度そくど系けい外がい惑星わくせい探査たんさ装置そうち (HARPS) で行おこなわれた主しゅ星ほしの視線しせん速度そくど観測かんそくから、グリーゼ367bの質量しつりょうが判明はんめいし、その密度みつどが計算けいさんされた[6]。これらの研究けんきゅう結果けっかは2021年ねん12月3日にち付づけで科学かがく雑誌ざっしサイエンスにて掲載けいさいされた[6][7]。2021年ねん1月がつまでに行おこなわれたフォローアップ観測かんそくでもグリーゼ367を短たん周期しゅうきで公転こうてんする惑星わくせいの存在そんざいが示しめされていたが、このときは、得えられたデータが惑星わくせいに由来ゆらいするものではない誤報ごほう（False-Alarm）である確かく率りつが89.5%あると算出さんしゅつされており、存在そんざいの確実かくじつ性せいは低ひくいものであった[8]。TESSによる観測かんそく結果けっかから発見はっけんされたことから、グリーゼ367bはTESSによる観測かんそくで発見はっけんされた惑星わくせいのカタログである TESS object of interest (TOI) に基もとづく名称めいしょうが付与ふよされており、主しゅ星ほしグリーゼ357はTOI-731、その惑星わくせいグリーゼ367bはTOI-731 bもしくはTOI-731.01とも呼称こしょうされる[2][4]。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

大おおきさの比較ひかく
地球ちきゅう グリーゼ367b
地球 Exoplanet

グリーゼ367bは質量しつりょうと半径はんけいが共ともに地球ちきゅうより小ちいさく、半径はんけいは地球ちきゅうと火星かせいの中なか間あいだ程度ていどで、質量しつりょうは地球ちきゅうの6割わり余あまりとなっている[5]。半径はんけいが判明はんめいしている太陽系たいようけい外がい惑星わくせいの中なかでは特とくに小型こがたの惑星わくせいの一ひとつである[9]。主しゅ星ほしからはわずか100万まん km余あまりしか離はなれておらず、8時じ間あいだにも満みたない非常ひじょうに短みじかい公転こうてん周期しゅうきで軌道きどうを公転こうてんしている超ちょう短たん周期しゅうき惑星わくせい (USP) に分類ぶんるいされ、主しゅ星ほしから受うけるエネルギー放射ほうしゃの総量そうりょうは地球ちきゅうが太陽たいようから受うける量りょうの約やく580倍ばいにもなっていると考かんがえられている[2][5]。主しゅ星ほしに非常ひじょうに近ちかい軌道きどうを公転こうてんしているため、自転じてんと公転こうてんの同期どうき（潮汐ちょうせき固定こてい）が発生はっせいしているとみられ、常つねに主しゅ星ほしに同おなじ面めんを向むけながら公転こうてんしている可能かのう性せいが高たかいと考かんがえられている[6][10]。常つねに主しゅ星ほしの方向ほうこうを向むけている昼ひる側がわの表面ひょうめんの平衡へいこう温度おんどは 1,365 K（1,092 ℃）に達たっしていると推定すいていされている[5]。この超ちょう高温こうおんにより表面ひょうめんは溶岩ようがんで覆おおわれており[10]、また主しゅ星ほしに非常ひじょうに近ちかいため、大気たいきもすでに剥はぎ取とられていると考かんがえられている[6][9]。

密度みつどと内部ないぶ構造こうぞう[編集へんしゅう]

水星すいせいの内部ないぶ構造こうぞうのイラスト。グリーゼ367bは水星すいせいと類似るいじした内部ないぶ構造こうぞうを持もつと考かんがえられている。

グリーゼ367bは質量しつりょうと半径はんけいの値ねから計算けいさんされる密度みつどが非常ひじょうに高たかく、2023年ねんに公表こうひょうされた研究けんきゅう結果けっかでは、その密度みつどは 10.2 g/cm3 と推定すいていされている[5]。これは太陽系たいようけい内うちの惑星わくせいで最もっとも高密度こうみつどとなっている地球ちきゅう（5.514 g/cm3[11]）の約やく1.85倍ばいに相当そうとうし、密度みつどが知しられている他ほかのほとんどの太陽系たいようけい外がい惑星わくせいと比くらべても群ぐんを抜ぬいている[10]。この密度みつどは純粋じゅんすいな鉄てつに近ちかい値ねであり、この高密度こうみつどな特性とくせいからグリーゼ367bはその大だい部分ぶぶんが鉄てつで構成こうせいされている惑星わくせいであると考かんがえられている[6][5][7][9]。グリーゼ367bはその内部ないぶ半径はんけいの 86 ± 5 %が鉄てつやニッケルなどの金属きんぞくで構成こうせいされた核かくになっていると考かんがえられており[2]、半径はんけいの75[12]～85％[13]程度ていどの大おおきさの核かくを持もつとされる太陽系たいようけいの水星すいせいとよく似にた内部ないぶ構造こうぞうになっていると考かんがえられている。組成そせいが水星すいせいによく似にているので、グリーゼ367bはスーパーマーキュリー（Super Mercury）とも呼称こしょうされている[10]。これほど核かくが大おおきく高密度こうみつどな惑星わくせいになった理由りゆうは分わかっていないが、元々もともと海王星かいおうせいほどの大おおきさを持もつガス惑星わくせいだったのが主しゅ星ほしからの強つよいエネルギー放射ほうしゃにより大気たいきが剥はぎ取とられ核かくの部分ぶぶんが露出ろしゅつして残のこされた可能かのう性せい[14]、もしくは天体てんたい衝突しょうとつによって核かくの周まわりを包つつんでいる岩石がんせき質しつのマントルが失うしなわれてしまった可能かのう性せいが考かんがえられている[6]。

名称めいしょう[編集へんしゅう]

2022年ねん、ジェイムズ・ウェッブ宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうの優先ゆうせん観測かんそく目標もくひょう候補こうほとなっている太陽系たいようけい外がい惑星わくせいのうち、20の惑星わくせいとその親おや星ぼしを公募こうぼにより命名めいめいする「太陽系たいようけい外がい惑星わくせい命名めいめいキャンペーン2022（NameExoWorlds 2022）」において、グリーゼ367とグリーゼ367bは命名めいめい対象たいしょうの惑星わくせい系けいの1つとなった[15][16]。このキャンペーンは、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう（IAU）が「持続じぞく可能かのうな発展はってんのための国際こくさい基礎きそ科学かがく年ねん（英語えいご版ばん）（IYBSSD2022）」の参加さんか機関きかんの一ひとつであることから企画きかくされたものである[17]。2023年ねん6月がつ、IAUから最終さいしゅう結果けっかが公表こうひょうされ、グリーゼ367はAñañuca、グリーゼ367bはTahayと命名めいめいされた[1]。Añañucaは、チリのコキンボ州しゅうからマウレ州しゅうにかけて自生じせいする赤あかい花はな（Phycella cyrtanthoides）の名なで、グリーゼ367の色いろを暗示あんじする[1]。Tahayは、チリ中央ちゅうおう地域ちいきに固有こゆうの小ちいさい花はな（Calydorea xiphioides）で、1年ねんのうち7時じ間あいだから8時じ間あいだしか開花かいかせず、その短みじかさがグリーゼ367bの公転こうてん周期しゅうきを暗示あんじする[1]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）より計算けいさん、光年こうねんは1÷年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）×3.2615638より計算けいさん

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d “2022 Approved Names”. NameExoWorlds. IAU (2023年ねん6月がつ). 2023年ねん6月がつ15日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d e Kristine W. F. Lam; et al. (2021). “GJ 367b: A dense, ultrashort-period sub-Earth planet transiting a nearby red dwarf star”. Science 374 (6572): 1271-1275. arXiv:2112.01309. Bibcode: 2021arXiv211201309L. doi:10.1126/science.aay3253. 
  3. ^ a b c Jean Schneider (2021年ねん12月2日にち). “Planet GJ 367 b”. The Extrasolar Planet Encyclopaedia. Paris Observatory. 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b c d e f g h “Results for TOI-731.01”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Goffo, Elisa; Gandolfi, Davide; Egger Jo; et al. (18 July 2023). "Company for the Ultra-high Density, Ultra-short Period Sub-Earth GJ 367 b: Discovery of Two Additional Low-mass Planets at 11.5 and 34 Days". arXiv:2307.09181v1 [astro-ph.EP]。
  6. ^ a b c d e f Mike Wall (2021年ねん12月3日にち). “Newfound rocky exoplanet has a year less than 8 hours long”. Space.com. 2021年ねん12月3日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b “大半たいはんが鉄てつの惑星わくせい　３０光年こうねん先さきで発見はっけん―国際こくさいチーム”. 時事じじドットコム (2021年ねん12月3日にち). 2021年ねん12月3日にち閲覧えつらん。
  8. ^ Palatnick, Skyler; Kipping, David; Yahalom, Daniel (2021). “Validation of HD 183579b Using Archival Radial Velocities: A Warm Neptune Orbiting a Bright Solar Analog”. The Astrophysical Journal Letters 909 (1): 9. arXiv:2101.12137. Bibcode: 2021ApJ...909L...6P. doi:10.3847/2041-8213/abe0bb. L6. 
  9. ^ a b c “Iron-Rich Sub-Earth Exoplanet Found Orbiting Gliese 367”. Sci News (2021年ねん12月3日にち). 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  10. ^ a b c d Adam Mann (2021年ねん12月2日にち). “Metal Planet Orbits Its Star Every 7.7 Hours”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2021/12/02/science/iron-exoplanet-super-mercury.html 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。 
  11. ^ David R. Williams. “Earth Fact Sheet”. NASA. 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Charles Q. Choi, Scott Dutfield (2021年ねん10月がつ31日にち). “Planet Mercury: Facts about the planet closest to the sun”. Space.com. 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  13. ^ “MESSENGER Provides New Look at Mercury's Surprising Core and Landscape Curiosities”. NASA (2012年ねん5月がつ22日にち). 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  14. ^ Coel Hellier (2021年ねん12月3日にち). “A new exoplanet: Meet GJ 367b, an iron planet smaller and denser than Earth”. Phys.org. 2021年ねん12月5日にち閲覧えつらん。
  15. ^ “NameExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年ねん8月がつ). 2023年ねん6月がつ15日にち閲覧えつらん。
  16. ^ “List of ExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年ねん8月がつ). 2023年ねん6月がつ15日にち閲覧えつらん。
  17. ^ “太陽系たいようけい外がい惑星わくせい命名めいめいキャンペーン2022”. 国立こくりつ天文台てんもんだい (2022年ねん9月がつ5日にち). 2023年ねん6月がつ15日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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