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サタニック・マジェスティーズ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
『サタニック・マジェスティーズ』
ローリング・ストーンズスタジオ・アルバム
リリース
録音ろくおん 1967ねん2がつ9にち – 10がつ23にち (1967-02-09 – 1967-10-23)
ジャンル
時間じかん
レーベル
プロデュース ローリング・ストーンズ
専門せんもん評論ひょうろんによるレビュー
  • All Music Guide 星4 / 5 link
チャート最高さいこう順位じゅんい
  • イギリスの旗 3[6]
  • アメリカ合衆国の旗 2[7]
  • ローリング・ストーンズ U.K. 年表ねんぴょう
    • サタニック・マジェスティーズ
    • (1967ねん (1967)
    ローリング・ストーンズ U.S. 年表ねんぴょう
    • サタニック・マジェスティーズ
    • (1967ねん (1967)
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    サタニック・マジェスティーズ』(Their Satanic Majesties Request)は、1967ねんにリリースされたローリング・ストーンズオリジナル・アルバム。グループはつのセルフ・プロデュース作品さくひんである。レコーディング・エンジニアはグリン・ジョンズ

    解説かいせつ

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    前々まえまえさくアフターマス』、前作ぜんさくビトウィーン・ザ・バトンズ』からつづいてきた実験じっけんてき作風さくふう極地きょくちともえるアルバム。ストーンズの作品さくひんちゅうもっとサイケデリック仕上しあがりとなった。ミック・ジャガーは、ほんさく作風さくふうドラッグ使用しよう相当そうとう影響えいきょうおよぼしたことをみとめている[8]。その内容ないようやアルバム・ジャケットのデザインから、同年どうねん発表はっぴょうされたビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の模倣もほうともひょうされた[9]ほんさくはストーンズのオリジナル・アルバムではじめて収録しゅうろくきょくぜん世界せかい統一とういつされたものとなった。ストーンズの初代しょだいマネージャーで、それまでのグループのぜん作品さくひんをプロデュースしてきたアンドリュー・ルーグ・オールダムは、ほんさく制作せいさくちゅう録音ろくおん、リリースされたシングル『この世界せかいあい』を最後さいごに、1967ねん9がつを以って、かれらとの関係かんけい終止符しゅうしふった[10]。また、ビル・ワイマン自作じさくきょく(「イン・アナザー・ランド」)がはじめて採用さいようされている。ほんさくのタイトルは、イギリスじんようパスポート記載きさいされている女王じょおう陛下へいかからのメッセージ「Her Britanic Majesty...Requests and Requires...」をパロディにしたものである[11]

    イギリスではほんさくからいちまいもシングルをらなかったが、アメリカおよびすうカ国かこくで「イン・アナザー・ランド/ランターン」と「シーズ・ア・レインボー2000光年こうねんのかなたに」がシングルカットされている。ステージでの再現さいげんむずかしいきょくおおく、収録しゅうろくきょくのほとんどがコンサートで披露ひろうされたことがないが、「2000光年こうねんのかなたに」が1989ねんの「スティール・ホイールズ・ツアー」ではつ披露ひろうされた。キース・リチャーズ自身じしんは「シーズ・ア・レインボー」、「2000光年こうねんのかなたに」、「シタダル」の3きょくきだが、アルバムはくだらないまけ荷物にもつだとひょうしている[12]。また「シーズ・ア・レインボー」が1997ねんの「ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー」で披露ひろうされている。

    経緯けいい

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    レコーディングは前作ぜんさく『ビトウィーン・ザ・バトンズ』のリリースからあいだもない1967ねん2がつ9にちから、ロンドンオリンピック・スタジオにて開始かいしされた。だがそれからすぐの2がつ12にち、ミック・ジャガーとキース・リチャーズ警察けいさつ手入ていれをけ、大麻たいま所持しょじ容疑ようぎ立件りっけんされた[13]。3がつ下旬げじゅんからのヨーロッパ・ツアーはつつがなくおこなわれたが、5がつ10日とおかには今度こんどブライアン・ジョーンズおなじく大麻たいま所持しょじ現行げんこうはん逮捕たいほされた(翌日よくじつには保釈ほしゃくきんおさめ、保釈ほしゃくされている)[14]

    6がつまつくだされた判決はんけつは、ジャガーが3ヶ月かげつの、リチャーズが1ねん禁固きんこけいであった。彼等かれら即日そくじつ上訴じょうそ[15]、7がつ31にち判決はんけつで、ジャガーが12ヶ月かげつ条件じょうけんづけ釈放しゃくほう、リチャーズは無罪むざいとなり、収監しゅうかんまぬかれた[16]裁判さいばんのために中断ちゅうだんされていたレコーディングは8がつになってから再開さいかいされ[17]、9月7にちを以って終了しゅうりょうした[17]。ジョーンズは12月に1000ポンド罰金ばっきんと3年間ねんかん保護ほご観察かんさつ処分しょぶんとなった[18]

    当時とうじのグループの様子ようすについて、ワイマンは「ストーンズは精神せいしんてきにも肉体にくたいてきにも完全かんぜん分裂ぶんれつ状態じょうたいにあった」と自著じちょつづっており[19]相当そうとう苦難くなんちた状況じょうきょうったことがうかがえる。そんなかれらの救援きゅうえん名目めいもくで、ザ・フーがストーンズの「ラスト・タイム/アンダー・マイ・サム」をレコーディングし、シングルカットしたこともあった。ジョーンズはこれにくわえて、このとしの3がつに、みずからの暴力ぼうりょく原因げんいん恋人こいびとアニタ・パレンバーグをリチャーズにうばわれるという出来事できごともあり、このショックがえないうちの逮捕たいほ完全かんぜんちのめされ、さらに投獄とうごくされるかもしれないという恐怖きょうふかんにもかられ、ひどいうつ状態じょうたいにあったという[20]当時とうじ、ジョーンズがストーンズをはなれ、後釜あとがまジミー・ペイジはいるといううわさまでてられたほどである[21]。このため、一説いっせつにはジョーンズはほんさくにほとんどかかわらなかったとかたられ、ワイマンも「ブライアンはやすんでばかりだった」とかえっているが[22]実際じっさいのところジョーンズは全曲ぜんきょく参加さんかしており、メロトロンシタール、さらにぜん管楽器かんがっきいちけ、ほんさくのサウンドめんおおきく貢献こうけんしている[23]

    アートワーク

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    ジャケットのデザインも、サウンド同様どうようにサイケデリックなものとなっている。オリジナルばんのジャケットには3D写真しゃしんレンチキュラー)がもちいられ、角度かくどによって絵柄えがらうごくようになっていた。撮影さつえいはマイケル・クーパーで、日本にっぽんせい高価こうかな3Dポラロイドカメラ使用しようされた。おもてジャケットのなかにビートルズのメンバーのかおまぎんでいる。これはビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットにおいて、シャーリー・テンプルろう人形にんぎょうていたセータにかれている「WELCOME TO ROLLING STONES」にたいする返答へんとうだと推測すいそくされる。

    背景はいけいのセットはストーンズのメンバーもくわわり、3にちかけてげた[10]。また、ジャガーは、このジャケットの撮影さつえいちゅう麻薬まやくをやっていたことのちけている[8]見開みひらきジャケットの左側ひだりがわにある迷路めいろは、ジョーンズの考案こうあんである。迷路めいろのゴール地点ちてんおもてジャケットの背景はいけいにあるとりでつながっている、という趣向しゅこうである[24]

    3Dジャケットは、リイシューばんでははいされ固定こてい写真しゃしんとなっているが、2010ねん日本にっぽんばんSHM-CDで、この3Dジャケットが再現さいげんされた。

    評価ひょうか

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    前作ぜんさくおなじくぜんえい3全米ぜんべい2にまで上昇じょうしょうし、アメリカではリリースもされないうちにゴールド・アルバム獲得かくとくしたが[24]げはすぐに減少げんしょうした。リリース当初とうしょ評価ひょうか惨憺さんたんたるもので、レコード・ミラーのように「これはストーンズのしたレコードのなかではびぬけたベストアルバムだ」と絶賛ぜっさんしたのはごくわずかだった[18]。ほとんどの批評ひひょうほんさくを「悲劇ひげきてき失敗しっぱいさく」とだん[25]、ビートルズの『サージェント・ペパーズ』の猿真似さるまねとこきろした。とうのビートルズのメンバーであるジョン・レノンもまた、ほんさくきらった[26]。アメリカのロック批評ひひょうのジョン・ランドウは、「ストーンズはあたらしいもの=進歩しんぽしたものとちがえる、よくあるジレンマのわなにかかった…彼等かれら音楽おんがく成長せいちょうつづけるには、ほんさく以上いじょう満足まんぞくできる方法ほうほう解決かいけつしなくてはならないほど、深刻しんこく危機ききである」と手厳てきびしくひょうした。ワイマンはこれに同意どういしている[27]

    ストーンズ自身じしんほんさくへの自己じこ評価ひょうかひくく、ジョーンズは当時とうじ、このアルバムをストーンズのブルージーな方向ほうこうせいとはかけはなれているともう反対はんたいし、リチャーズも「クソのかたまり」とけなしている[28]。ジャガーはリリース当時とうじ、「おれたちすじ音楽おんがくいてるんじゃない、きたいものをいてるんだ。グループないだい混乱こんらんがあってもなにかをつくせた、これは奇跡きせきだ」と自己じこ弁護べんごしたが[26]1995ねんのインタビューでは「きょく体験たいけんするというより、おと体験たいけんするアルバムだ」とし、ほんさくを「ひとつの段階だんかい、つかの幻想げんそう」と表現ひょうげんしている[29]。だが1974ねんには「またこういうのをやってもいい」と肯定こうていてき意見いけんべていた[28]

    リイシュー

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    2002ねん8がつにイギリス、アメリカりょうヴァージョンがアブコ・レコードよりリマスターされたうえで、SACDとのハイブリッドCDとしてデジパック仕様しよう再発さいはつされた。2016ねんデッカ・レコード時代じだいのオリジナル・アルバムのモノラルはん復刻ふっこくしたボックス・セット『ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX』で、モノラルばんはじめてCDされた。

    発売はつばいからちょうど50ねんとなる2017ねん、「50周年しゅうねん記念きねんスペシャル・エディション」がユニバーサルミュージックよりリリースされた。ボブ・ラドウィックによる最新さいしんリマスターで、ステレオ、モノラルのりょうバージョンをLPとハイブリッドSACDそれぞれ2まいぐみ収録しゅうろく。パッケージもオリジナルのレンチキュラージャケットを再現さいげんし、さらに20ページのオールカラーブックレットが付属ふぞくされている。

    収録しゅうろくきょく

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    特記とっきなきかぎり、ジャガー/リチャーズ作詞さくし作曲さっきょく

    SIDE A
    #タイトル作詞さくし作曲さっきょく編曲へんきょく時間じかん
    1.魔王まおう讃歌さんか - Sing This All Together  
    2.魔王まおうのおしろ - Citadel  
    3.「イン・アナザー・ランド[注釈ちゅうしゃく 1] - In Another Land(ビル・ワイマン)  
    4.「2000マン - 2000 Man  
    5.魔王まおう讃歌さんか[注釈ちゅうしゃく 2] - Sing This All Together (See What Happens)  
    合計ごうけい時間じかん:
    SIDE B
    #タイトル作詞さくし作曲さっきょく編曲へんきょく時間じかん
    6.シーズ・ア・レインボー - She's a Rainbow  
    7.「ランターン - The Lantern  
    8.「ゴンパー - Gomper  
    9.2000光年こうねんのかなたに - 2000 Light Years From Home  
    10.「オン・ウィズ・ザ・ショウ - On With the Show  
    合計ごうけい時間じかん:

    パーソナル

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    出典しゅってん[30]

    ローリング・ストーンズ
    参加さんかミュージシャン

    チャート成績せいせき

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    脚注きゃくちゅう

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    注釈ちゅうしゃく

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    1. ^ アメリカではワイマンのソロ名義めいぎでシングルリリースされた。なお、ほんさく収録しゅうろくのテイクではエンディングでワイマンのいびきがこえるが、シングルではカットされている。
    2. ^ 演奏えんそう終了しゅうりょう、7ふん58びょうからかくしトラック「Cosmic Christmas」が収録しゅうろくされている。
    3. ^ かくしトラック「Cosmic Christmas」の演奏えんそう時間じかんわせたトータル

    出典しゅってん

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    1. ^ The Stones may be old, but they can still rock”. Today. 2018ねん12月13にち閲覧えつらん
    2. ^ Lester, Paul (10 July 2007). “These albums need to go to rehab”. guardian.co.uk (London: Guardian News and Media Limited). https://www.theguardian.com/music/musicblog/2007/jul/10/rehab 2018ねん12月13にち閲覧えつらん 
    3. ^ Chicago Tribune
    4. ^ Martin, Bill (1998) (英語えいご). Listening to the Future: The Time of Progressive Rock, 1968-1978. Open Court Publishing. ISBN 9780812693683. https://books.google.com/books?id=APmUFlgm0R4C&=onepage&q=experimental%20rock%20satanic%20majesties&f=false 
    5. ^ DeRogatis, Jim (2003). Turn On Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock. Milwaukee: Hal Leonard Corporation. pp. 55-60. ISBN 0-634-05548-8 
    6. ^ Official Charts Company:
    7. ^ a b The Rolling Stones | Billboard
    8. ^ a b SIGHT VOL.14 特集とくしゅう「ロックの正義まさよし!!ストーンズぜん100ページ」株式会社かぶしきがいしゃロッキング・オン(2003ねん)、50ぺーじ
    9. ^ Their Satanic Majesties Request - The Rolling Stones | Songs, Reviews, Credits, Awards | AllMusic:
    10. ^ a b ロウリングス、バッドマン、ネイル・p157
    11. ^ ワイマン、コールマン・p278
    12. ^ St Michael, Mick (1994). Keith Richards – In His Own Words. Omnibus Press. p. 27. ISBN 0-7119-3634-X. https://archive.org/details/keithrichardsinh00rich/page/27 
    13. ^ ロウリングス、バッドマン、ネイル・p143
    14. ^ ロウリングス、バッドマン、ネイル・p149
    15. ^ ロウリングス、バッドマン、ネイル・p152
    16. ^ ロウリングス、バッドマン、ネイル・p154
    17. ^ a b ロウリングス、バッドマン、ネイル・p155
    18. ^ a b ロウリングス、バッドマン、ネイル・p160
    19. ^ ワイマン、コールマン・p250
    20. ^ ワイマン、コールマン・p235
    21. ^ ワイマン、コールマン・p248
    22. ^ ワイマン、コールマン・p238
    23. ^ ロウリングス、バッドマン、ネイル・p159
    24. ^ a b ワイマン、コールマン・p270
    25. ^ ワイマン、コールマン・p271
    26. ^ a b ワイマン、コールマン・p272
    27. ^ ワイマン、コールマン・p273
    28. ^ a b Their Satanic Majesties Request:” (英語えいご). 2016ねん12月12にち閲覧えつらん
    29. ^ SIGHT VOL.14 特集とくしゅう「ロックの正義まさよし!!ストーンズぜん100ページ」株式会社かぶしきがいしゃロッキング・オン(2003ねん)、52ぺーじ
    30. ^ Margotin, Philippe; Guesdon, Jean-Michel (25 October 2016). Rolling Stones All the Songs: The Story Behind Every Track. Hachette Books. pp. 203-237. ISBN 978-0-316-31773-3. https://books.google.com/books?id=KwEsDAAAQBAJ 
    31. ^ a b c d e https://lescharts.com/
    32. ^ Everyhit.com Archived 25 October 2015 at the Wayback Machine. Type "Rolling Stones" under "Name of Artist"
    33. ^ Award - bpi
    34. ^ Gold & Platinum - RIAA

    参考さんこう文献ぶんけん

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    • 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマンちょ、筌尾せいやくシンコーミュージックかん2000ねんISBN 978-4401616541
    • 『ストーン・アローン/した』(ビル・ワイマン/レイ・コールマンちょ野間のまけいやく、ソニー・マガジンズかん1992ねんISBN 4-7897-0781-4

    外部がいぶリンク

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