シャーリー・テンプル

Shirley Temple シャーリー・テンプル
シャーリー・テンプル（1948年ねん）
本名ほんみょう	シャーリー・ジェーン・テンプル
別べつ名義めいぎ	Shirley Jane Temple
生年月日せいねんがっぴ	(1928-04-23) 1928年ねん4月がつ23日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(2014-02-10) 2014年ねん2月がつ10日とおか（85歳さい没ぼつ）
出生しゅっしょう地ち	カリフォルニア州しゅう
国籍こくせき	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
職業しょくぎょう	女優じょゆう、外交がいこう官かん
ジャンル	子役こやく、司会しかいなど
活動かつどう内容ないよう	映画えいが、テレビ、著作ちょさく
配偶はいぐう者しゃ	ジョン・エイガー（1945-1950） チャールズ・ブラック（1950-2005）
著名ちょめいな家族かぞく	リンダ・スーザン（娘むすめ） チャールズ（息子むすこ） ロリー（娘むすめ）
公式こうしきサイト	Official Shirley Temple Web Site
主おもな作品さくひん
『ハイジ』 『輝かがやく瞳ひとみ』 『テンプルちゃんお芽め出で度どう』 『テンプルの福ふくの神かみ』
受賞じゅしょう アカデミー賞しょう アカデミー賞しょう特別とくべつ賞しょう（1935年ねん） その他たの賞しょう 全米ぜんべい映画えいが俳優はいゆう組合くみあい賞しょう生涯しょうがい功労賞こうろうしょう

シャーリー・ジェーン・テンプル （英えい: Shirley Jane Temple、結婚けっこん後ごはシャーリー・テンプル・ブラック、英えい: Shirley Temple Black：1928年ねん4月がつ23日にち - 2014年ねん2月がつ10日とおか）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのハリウッド女優じょゆう。身長しんちょう157cm。

テンプルは1930年代ねんだいのアメリカを象徴しょうちょうするスター俳優はいゆうであった。フォックス・フィルム社しゃの子役こやくとして登場とうじょうした時とき、大物おおものプロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンは「シャーリーはいくつになっても素晴すばらしい才能さいのうを発揮はっきするだろう」と語かたったと伝つたえられる。その言葉ことばどおり、女優じょゆう、政治せいじ家か、外交がいこう官かん、企業きぎょうの社外しゃがい役員やくいんなど、6歳さいから85歳さいで亡なくなるまでアメリカの名士めいしであり続つづけた。なお、シャーリー・テンプル・ブラック大使たいし (英えい: Ambassador Shirley Temple Black)とも呼よばれた。2014年ねん2月がつ10日とおか、カリフォルニア州しゅうサンフランシスコ市し郊外こうがいのウッドサイドの邸宅ていたくで死去しきょ。

概説がいせつ

アメリカで定着ていちゃくしたシャーリー・テンプルのイメージは勤勉きんべんできまじめ、温あたたかく優雅ゆうがで品行ひんこう方正ほうせいな女性じょせいであり、伝説でんせつ的てきな映画えいが俳優はいゆうとしても著名ちょめいな人物じんぶつである。1930年代ねんだいから60年代ねんだいにハリウッド映画えいが界かいで女優じょゆうとして活躍かつやく、特とくに1930年代ねんだいに高たかい評価ひょうかを得えた。たった6歳さいで伝説でんせつ的てきな天才てんさい子役こやくと呼よばれ、またしばしばコカコーラや自由じゆうの女神めがみと比較ひかくされるほど、国外こくがいでも知名度ちめいどを得えていく。10代はアイドルとして芸能げいのう活動かつどうをつづけ、1950年ねん、幸福こうふくな結婚けっこんをして映画えいが界かいを引退いんたい。

テンプル自身じしんは人生じんせいに「女優じょゆう、母親ははおや、外交がいこう官かんの3つの時代じだいがあった」と述のべており、映画えいが界かいの人気にんきスター、10年ねんほど3人にんの子供こどもを育そだてるかたわらテレビ番組ばんぐみに出演しゅつえんした第だい2期き、やがて第だい3の時期じきにあたる40代だいより外交がいこう官かんや数すう社しゃの社外しゃがい役員やくいんなどを務つとめている。

経歴けいれき

家族かぞく

映画えいが『Glad Rags to Riches』（1933年ねん）の一いち場面ばめん

子役こやく時代じだいのシャーリー・テンプル（右みぎ）とエレノア・ルーズヴェルト大統領だいとうりょう夫人ふじん（1938年ねん）。アメリカ国立こくりつ公文こうぶん書記しょき録ろく管理かんり局きょく提供ていきょう。写真しゃしんは夫人ふじんにシャーリーが贈おくったサイン入いりのブロマイドで、実物じつぶつは現在げんざいルーズヴェルト大統領だいとうりょう記念きねん館かんに展示てんじ。

映画えいが『テンプルちゃんの小しょう公おおやけ女おんな』（1939年ねん）の一いち場面ばめん

テンプル家かは厳密げんみつにはペンシルバニア・ドイツ人じんが混まざった家系かけいでありながら、ワスプに数かぞえられた。一族いちぞくはキリスト教きりすときょうの宗派しゅうはの長老ちょうろう派は清教徒せいきょうとで、代々だいだい医者いしゃか弁護士べんごしか銀行ぎんこう員いんを職業しょくぎょうとしてきた。清教徒せいきょうとには伝統でんとう的てきに実業じつぎょうを重おもんじ、演劇えんげきや映画えいがを軽視けいしする傾向けいこうがあるため、シャーリーが少女しょうじょスターになった時とき、一族いちぞくの反応はんのうには複雑ふくざつなものがあったと伝つたえられる。

父方ちちかたの祖父そふは医師いし、父ちちジョージは銀行ぎんこう員いん（後のちに実業じつぎょう家か）で、娘むすめが生うまれたとき当時とうじの大手おおて銀行ぎんこう30社しゃのひとつカリフォルニア銀行ぎんこうのサンタモニカ支店してん長ちょう。

母方ははかたの祖父そふはドイツ系けいの宝石ほうせき・時計とけい商しょう、母ははガートルードは専業せんぎょう主婦しゅふである。

2人ふたりの兄あにはそれぞれスタンフォード大学だいがくと陸軍りくぐん士官しかん学校がっこうを卒業そつぎょう、FBIの幹部かんぶと海兵かいへい隊たいの士官しかんを務つとめている。

生おい立たち

1928年ねん生うまれ、カリフォルニア州しゅうサンタモニカの上品じょうひんな住宅じゅうたく街がいで育そだつ。この州しゅうで人生じんせいの大半たいはんを過すごしており、清教徒せいきょうとらしく勤勉きんべんでまじめなうえ、いかにもカリフォルニア生うまれらしい、明あかるく積極せっきょく的てきな性格せいかくだった。

母親ははおやは妊娠にんしん中ちゅう、音楽おんがくや美うつくしい絵え、きれいな風景ふうけいに接せっして胎教たいきょうにつとめた。生うまれてきた娘むすめが赤あかん坊ぼうの時ときからダンスと音楽おんがくに強つよい関心かんしんを示しめしたという「シャーリー・テンプルの胎教たいきょう」のエピソードは、アメリカではよく知しられている。家庭かていは円満えんまんで両親りょうしんに愛情あいじょうを注そそがれて育そだつ。栄養えいようを考かんがえた食事しょくじ、適度てきどな運動うんどうと日光浴にっこうよく、規則正きそくただしい生活せいかつによって3歳さいまでほとんど病気びょうきをしていない。既すでに10代だった2人ふたりの兄あにに手てがかからなかったため、母親ははおやはもっぱらシャーリーの世話せわをして一緒いっしょに歌うたったり踊おどったりして過すごした。3歳さいの頃ころ（1931年ねん）、娘むすめがダンスと音楽おんがくに強つよい関心かんしんを示しめすと母親ははおやはメグリン・ダンス学校がっこう（Meglin's Dance School）に入学にゅうがくさせる。ちなみにジュディ・ガーランドもこの学校がっこうの卒業生そつぎょうせい。

目めの色いろは茶色ちゃいろ、髪かみの色いろは生後せいご7歳さいぐらいまで金髪きんぱつ、8歳さいぐらいから赤あかみを帯おびておよそ10歳さいの時ときには茶色ちゃいろになった。やがて大人おとなになるとほぼ黒髪くろかみといっていい。

少女しょうじょスター誕生たんじょう

シャーリー・テンプルの映画えいがの題名だいめいについては混乱こんらんを避さけるため、現在げんざい販売はんばいされているDVDのタイトル他たもっとも一般いっぱん的てきなものに合あわせて記しるしておく。もちろんウィキペディアの日本語にほんご版ばんでは『小しょう聯隊れんたい長ちょう』『テムプルの愛国あいこく者しゃ』など、戦前せんぜん公開こうかい時じの表記ひょうきを当あてるものもある。日本にっぽんで公開こうかいされたときの題名だいめいはシャーリー・テンプルの出演しゅつえん作品さくひんを参照さんしょう。

1932年ねんから1933年ねんにかけて出演しゅつえんした短編たんぺん映画えいがはユニバーサル映画えいが社しゃの下請したうけだったエデュケーショナル社しゃ（英語えいご Educational Pictures）が製作せいさくした喜劇きげきのシリーズで、幼児ようじだけが登場とうじょうする「ベビー・バーレスク」（Baby Burlesks）やManaged Money（1934年ねん・日本にっぽん未み公開こうかい）等とう、十じゅう本ほんを超こえる。

フォックス・フィルム社しゃ（20世紀せいきフォックス社しゃの前身ぜんしん）に見出みいだされると1933年ねんに7年ねん契約けいやくを結むすび『歓呼かんこの嵐あらし』に出演しゅつえん、準じゅん主役しゅやくだが高たかい評価ひょうかを受うける。次つぎにパラマウント映画えいが社しゃに貸かし出だされて『可愛かわいいマーカちゃん』の主役しゅやくをつとめ、一夜いちやにしてアメリカを熱狂ねっきょうさせた。さらに『ベビイお目見得めみえ』も主演しゅえん、この作品さくひんを見みたフランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうは定期ていき的てきに行おこなうラジオ演説えんぜつ「炉辺ろへん談話だんわ」で「大だい不況ふきょうのさなか、わが国民こくみんが映画えいがで見みるシャーリー・テンプルの笑顔えがおに励はげまされ苦労くろうを忘わすれることは素晴すばらしい」と全ぜん国民こくみんに向むけて述のべている。

6歳さいにしてフォックス・フィルム社しゃの看板かんばん女優じょゆうになったばかりでなく、映画えいが会社かいしゃの予測よそくをはるかに超こえ、たちまちアメリカ映画えいが界かいで最もっとも人気にんきのあるスターの座ざへと昇のぼり詰つめる。一連いちれんの作品さくひんの成功せいこうは大だい恐慌きょうこう下したのメジャースタジオだったフォックス・フィルム社しゃを倒産とうさんから救すくい、『輝かがやく瞳ひとみ』から『小しょう連隊れんたい長ちょう』（1935年ねん）へと次々つぎつぎヒット作さくが生うまれた。

シャーリーの持もち味あじは、生真面目きまじめで勤勉きんべんな性格せいかくである。映画えいがの出演しゅつえんが決きまると撮影さつえいが始はじまる前まえに必かならず台本だいほんに載のった登場とうじょう人物じんぶつ全員ぜんいんの台詞せりふを暗記あんきし、台本だいほんには書かき込こみやマーク等とうは一切いっさいしない。決けっしてNGを出ださず一いち回かいの撮影さつえいで監督かんとくを満足まんぞくさせたことから、ジョン・フォードに「一いち回かい撮とりのシャーリー」("One-take Shirley") と褒ほめられるほどだった。決けっして遅刻ちこくをせず予定よていより少すこし早はやめにセットに入はいる几帳面きちょうめんさは成人せいじんしてもそのままで、終生しゅうせい、時間じかんに正確せいかくだった。

アメリカの国立こくりつ機関きかんケネディ・センターは次つぎのように称となえている。

「シャーリー・テンプルには最初さいしょから映画えいがのカメラに愛あいされるなにかがあった。輝かがやく瞳ひとみに巻まき毛げ、魔法まほうのような存在そんざい感かんと溢あふれる魅力みりょく――そして驚おどろくべき才能さいのうである。」

1930年代ねんだいの5、6歳さいの子役こやくで大人おとなのプロダンサーでも難むずかしいステップを楽々らくらくと踊おどり、正確せいかくな音程おんていとリズムで難むずかしい曲きょくを歌うたい、気難きむずかしい批評ひひょう家かすら唸うならせる絶妙ぜつみょうな間合まあいで台詞せりふが言いえて自然しぜんな演技えんぎが出来できる者ものは、彼女かのじょしかいなかったといえよう。映画えいが監督かんとくのデイヴィッド・バトラーが「あの子こと話はなしをした者ものはみんな人柄ひとがらに感動かんどうした」と語かたったとおり、生うまれつき人々ひとびとを惹ひきつけ相手あいての心しんを明あかるくしてしまう強つよい魅力みりょくがシャーリーにはあり、どんな時ときでも快活かいかつで不機嫌ふきげんそうにしたりすねたりグズったりしたことはない。1930年代ねんだいに「世界せかい最高さいこうのタップ・ダンサー」と言いわれた俳優はいゆうビル・ボージャングル・ロビンソンは、「神様かみさまはシャーリーを唯一ゆいいつ無二むにの存在そんざいとして創つくられた。あの子こに続つづく者ものは二度にどと現あらわれないであろう」と述のべている。

少女しょうじょスターとしての成功せいこう

『可愛かわいいマーカちゃん』（Little Miss Marker・1934年ねん・日本にっぽん未み公開こうかい）のころのこと。両親りょうしんとホテルに滞在たいざいしていると紳士しんしが近ちかづいてきて、この街まちのカトリック教きょう信者しんじゃを代表だいひょうする者ものだと名乗なのり、シャーリーにメダルをあげましょうと声こえをかけた。シャーリーはおもちゃのメダルを集あつめていて、ほしいと答こたえると男性だんせいは彼女かのじょを抱だき上あげてホテルの大広間おおひろまへと入はいっていく。両親りょうしんとフォックスフィルム社しゃの広報こうほう担当たんとうが止とめる間あいだもなく、数すう千せん人にんの信者しんじゃが集あつまる会場かいじょうの真まん中なかを抜ぬけると、シャーリーを連つれてステージに上あがりメダルを授与じゅよした男性だんせいは、何なにか挨拶あいさつをしてほしいと頼たのんだという。

両親りょうしんもフォックスの担当たんとう者しゃも真まっ青さおである。まだ有名ゆうめいになるかならないかという時ときでもあり、こんな時じどうふるまえばいいか誰だれも教おしえていない。たった5歳さいの子供こどもになにができるだろうかと固唾かたずを飲のんで見守みまもるほかなかった。すると、笑顔えがおでメダルのお礼れいをして「大会たいかいが成功せいこうしますように」と述のべ、「皆みなさんが大好だいすきです」と投なげキスで結むすんだという。心しんに浮うかんだまま、しゃべったこの言葉ことばに、大おおきな拍手はくしゅは鳴なり止やまなかった。両親りょうしんはホッと胸むねを撫なで下おろし、ステージから降おりるところを待まち構かまえていた担当たんとう者しゃは感かんに堪こたえない様子ようすで「君きみに教おしえなきゃならないことはもう何なにもない。いつだって自分じぶんをそのまま出だせばいいよ」と言いった。こうしてシャーリーはどんな時ときにも自然しぜんな自分じぶんを出だすことで、アメリカのファンに感動かんどうを与あたえ続つづけた。

そのころ受うけ取とったファンレターは週しゅうに4000通つう以上いじょう。同おなじ時期じき、アメリカで最もっともファンレターの多おおいスターである。たちまち週しゅう1万まん通つうを超こえるとフォックス社しゃはフルタイムの専属せんぞく秘書ひしょを10人にん付つけている。サインを求もとめられることも多おおく、あるクリスマスの時期じきに母親ははおやとデパートに行いったところ、アルバイトのサンタクロースがサインをほしがったという。サンタクロースはほんとうにいると信しんじていたのに、このときからそう思おもわなくなったと後のちに語かたっている。

『可愛かわいいマーカちゃん』公開こうかいの翌年よくねん、映画えいが界かいであげた功績こうせきに対たいしてアカデミー賞しょう特別とくべつ賞しょうを受賞じゅしょう。初はつのトーキー映画えいがを公開こうかいしたワーナー・ブラザース、チャーリー・チャップリン、ウォルト・ディズニーについで4番目ばんめである。シャーリーはこのとき6歳さい、アカデミー賞しょうのすべての分野ぶんやにおける最年少さいねんしょう記録きろくは2015年ねん現在げんざいも破やぶられていない。午前ごぜん1時半じはん過すぎにようやく授賞じゅしょうの番ばんが巡めぐってくると、大人おとなでも仕事しごとの疲つかれで眠ねむいはずであるが、にこやかに受賞じゅしょうの挨拶あいさつを済すませている。ところがステージから降おりて母親ははおやに「ママ、もう帰かえっていいの？」とささやいた声こえがマイクに拾ひろわれて会場かいじょうに大おおきな音おとで流ながれてしまった。会場かいじょうは爆笑ばくしょうに包つつまれ、やがてこんなに幼おさない女おんなの子こが疲つかれや眠気ねむけを全まったく表ひょうに出ださないことを称となえて拍手はくしゅ喝采かっさいを送おくった。

母ははのガートルードは映画えいがデビューした娘むすめにぴったりと付つき添そい、「映画えいが界かいの悪わるい影響えいきょう」を受うけないように守まもった。フォックス・フィルム社しゃも同おなじく保護ほごが必要ひつようだと認みとめ、撮影さつえい所内しょないに専用せんようの家いえとおもちゃを用意よういしている。会社かいしゃは他たの子役こやくや裏方うらかたと遊あそぶことを禁きんじた。法律ほうりつ上じょう、1日にち4時じ間あいだしか働はたらかせてはならないため仕事しごとに専念せんねんさせたがり、切実せつじつな事情じじょうとして西部せいぶ劇げきのウィル・ロジャースの事故死じこしで看板かんばん俳優はいゆうを失うしなったことからシャーリー・テンプル一いち人にんに社運しゃうんを託たくすほかはなく、子役こやくや裏方うらかたと遊あそぶうちに病気びょうきや怪我けがをしないかとひどく用心ようじんした。成功せいこうを妬ねたんだ他ほかの子役こやくの母親ははおやが硫酸りゅうさんを顔かおに浴あびせようとしたり、毒どく入いりのキャンディーを送おくりつけたりしてからはなおさらである。『輝かがやく瞳ひとみ』で共演きょうえんした子役こやくのジェーン・ウィザースとも友ともだち付つき合あいはなかった。撮影さつえいのとき、毎日まいにちシャーリーが彼女かのじょに物真似ものまねでからかわれ、撮影さつえいの本番ほんばんでは台詞せりふを先回さきまわりして横よこで大声おおごえで言いわれ、とても演技えんぎがやりにくかったという理由りゆうによる。ディック・モーア『ハリウッドのピーターパンたち』の中なかでジェーンは、シャーリーの母親ははおやのせいで共演きょうえんは二度にどとなかったと述のべているが事実じじつではなかったらしく、1985年ねんに全米ぜんべいに放送ほうそうされたテレビ番組ばんぐみで自みずから訂正ていせいした。

撮影さつえい所しょでは仕事しごとが4時じ間あいだ、勉強べんきょうが3時じ間あいだ。1時じ間あいだの昼休ひるやすみにさえ名士めいしの訪問ほうもんを受うけることもしばしばだった。帰宅きたくは毎日まいにち4時じか5時じごろで夕食ゆうしょくまで近所きんじょの子供こどもたちと遊あそび、最もっとも親したしかったのはナンシー・メジャーズ。夕食ゆうしょく後ごはごく普通ふつうに遊あそんだりラジオを聴きいたり、家いえのお手伝てつだいをしたりして、寝ねる前まえには必かならず次つぎの日ひの撮影さつえいの準備じゅんびをした。母ははガートルードも会社かいしゃも他たの早熟そうじゅくな子役こやくから悪わるい影響えいきょうを受うけて「品行ひんこう方正ほうせいな子供こども」というイメージに傷きずがつかないように心しんを配くばり、彼女かのじょは大人おとなに守まもられ明あかるく品行ひんこう方正ほうせいに育そだった。

フォックス・フィルム社しゃは20世紀せいき映画えいが会社かいしゃと合併がっぺい、1935年ねんから20世紀せいきフォックス となる。合併がっぺい祝賀しゅくがパーティの席上せきじょう、ある脚本きゃくほん家かが6歳さいのシャーリーを抱だいて「高たかい高たかい」をしたところ、パーティの出席しゅっせき者しゃ全員ぜんいん、怪我けがをさせるのではと恐怖きょうふで凍こおりついた。そのとき両手りょうてで高たかく差さし上あげている少女しょうじょは会社かいしゃの全ぜん財産ざいさんにも等ひとしいと気きづくと、脚本きゃくほん家かは恐おそろしさにめまいを起おこして危あやうく彼女かのじょを取とり落おとしそうになったという。

看板かんばん俳優はいゆうの座ざを継ついだシャーリーにはスタンドインが付つき、マリリン・グラナス (Marilyn Granas) やメリー・ルー・イズライブ (Mary Lou Isleib) 等とうが務つとめた。初期しょきの担当たんとうだったマリリンは1歳さい年上としうえ、以前いぜんにベビー・バーレスク作品さくひん（The Kid's Last FightやKid in Hollywoodほか）で競演きょうえんした仲なかである。『ベビイお目見得めみえ』（Baby Take a Bow・1934年ねん）や『輝かがやく瞳ひとみ』ほかのスタンドインを務つとめ、やがてキャスティング・ディレクターに転身てんしん。メリー・ルー・イズライブはマリリンの後のちに付つき、撮影さつえい所しょでは他たの子役こやくから離はなされたシャーリーにとってただのスタンドインではなく、学友がくゆうであり親友しんゆうでもある。シャーリーは小学校しょうがっこう入学にゅうがくの年齢ねんれいになっても通学つうがくはせず、20世紀せいきフォックスの撮影さつえい所しょで専任せんにんの家庭かてい教師きょうしを付つけられて数学すうがく年上としうえの授業じゅぎょう内容ないようを勉強べんきょうしたという。6歳さいのときの知能ちのう検査けんさでIQは10歳さい相当そうとう。12歳さいでは155以上いじょう、「天才てんさい」の範疇はんちゅうに分類ぶんるいされる評価ひょうかである。

子役こやくの少女しょうじょは成長せいちょうするとマーガレット・オブライエンやナタリー・ウッド、テータム・オニールのようにどこか影かげのある子供こどもあるいはブルック・シールズやジョディ・フォスターなど妖艶ようえんさが売うり物ものという性せい格かくづけがされる。しかしシャーリー・テンプルは20世紀せいきのアメリカ映画えいが唯一ゆいいつの大物おおもの少女しょうじょスターとして、どこまでも純粋じゅんすいで無邪気むじゃきで明あかるく、子こどもらしい子こどもを演えんじ続つづけた。

ハリウッドの頂点ちょうてんへ

20世紀せいきフォックスと契約けいやく以後いご、シャーリーが会社かいしゃにもたらした興行こうぎょう収益しゅうえきは1930年代ねんだい当時とうじの金額きんがくで3000万まんドル以上いじょうと言いわれる。1930年代ねんだい、アメリカ映画えいが界かい最高さいこうのスターであり、1935年ねんから1938年ねんまで4年ねん連続れんぞくで興行こうぎょう収益しゅうえき1位いという歴史れきし的てきな記録きろくを打うち立たてる。これは子役こやくとしては不動ふどうの記録きろくであり1940年代ねんだいに史上しじょう最高さいこうの5回かいを獲得かくとくしたビング・クロスビーに破われるものの、女優じょゆうでこの記録きろくを抜ぬき去さる者ものは2009年ねんにいたるまで現あらわれていない。また他たのスターは俳優はいゆう業ぎょうに一生いっしょうを捧ささげ、その総決算そうけっさんとして興行こうぎょう収益しゅうえきトップの座ざを手てに入いれるのであって、彼女かのじょのケースは10歳さい未満みまんで易々いいと4回かいも取とると別べつの分野ぶんやに転進てんしんして顕著けんちょな功績こうせきを挙あげ、非常ひじょうに際立きわだっていると言いえよう。なお20世紀せいきフォックスを含ふくむ日本にっぽんの一部いちぶの情報じょうほう源げんにはシャーリー・テンプルの映画えいが1作品さくひんあたりの出演しゅつえん料りょうが100万まんドルだと述のべてあるがそれは完全かんぜんな誤あやまり。女優じょゆうの映画えいが1作品さくひんあたりの出演しゅつえん料りょうが100万まんドルになったのは1960年代ねんだい、エリザベス・テイラーの『クレオパトラ』（20世紀せいきフォックス）やオードリー・ヘプバーンの『マイ・フェア・レディ』からである。出演しゅつえん料りょうトップのシャーリー・テンプルさえ、1930年代ねんだいは10万まんドルである。

この時期じきの代表だいひょう的てきな映画えいが作品さくひんには上述じょうじゅつに続つづきファンの多おおいものが連続れんぞくしていて、一作いつさくごとの成功せいこうの詳くわしい事情じじょうはシャーリーの自伝じでん上巻じょうかんpp.147-424を参照さんしょうのこと。このうち『テンプルの福ふくの神かみ』と『農園のうえんの寵児ちょうじ』は公的こうてき機関きかんであるアメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) が「ミュージカル傑作けっさく180選せん」（ミュージカル映画えいがベスト）に選えらんだ。また『輝かがやく瞳ひとみ』は正確せいかくに言いえば準じゅんミュージカルであり、イギリスのチャンネル4テレビが選えらぶ「傑作けっさくミュージカル100選せん」 (2003) の97位いを占しめる。

この時期じき、ゲイリー・クーパーとスペンサー・トレイシー、キャロル・ロンバードとジャネット・ゲイナー、フランク・モーガンとライオネル・バリモア、アリス・フェイ、ランドルフ・スコット等ひとし、錚々たるトップスターと共演きょうえんしている。また世界せかい最高さいこうのタップ・ダンサーといわれたビル・ボージャングル・ロビンソンとの共演きょうえんは特筆とくひつすべきで、この二人ふたりはアメリカ史上しじょう初はつの黒人こくじんと白人はくじんのダンス・ペアである。彼女かのじょは共演きょうえんした相手あいての中なかでロビンソンが最もっとも好すきだったと語かたった。

有名ゆうめいなユーモア作家さっかアービン・コッブが「（子供こどもたちへの）サンタクロースの最大さいだいの贈おくり物もの」と呼よんだように、シャーリーは世界中せかいじゅうの少女しょうじょから熱狂ねっきょう的てきに支持しじされた。アイデアル社しゃ（Ideal Toy Company）が発売はつばいしたシャーリー・テンプル人形にんぎょうは爆発ばくはつ的てきな売うれ行ゆきを示しめし、シャーリー・テンプルにちなむ少女しょうじょ向むけ子供こども服ふくやアクセサリーも飛とぶように売うれ、アメリカ・ヨーロッパ・日本にっぽんだけでなく文字通もじどおり世界中せかいじゅうの少女しょうじょたちがこういう商品しょうひんを欲ほしがった。その陰かげでシャーリーは何なん度どか誘拐ゆうかい事件じけんがらみの脅迫きょうはくを受うけたり、気きのおかしい女性じょせいから射殺しゃさつされそうになったりしたが、いずれも間一髪かんいっぱつで難なんを逃のがれた。

1937年ねんにニューヨーク・タイムズはシャーリーを「アメリカ国民こくみんの天使てんし」に選出せんしゅつ。同おなじ年ねんに『テンプルの軍使ぐんし』が撮影さつえいされ、ガッツを見みせて長ながくジョン・フォード監督かんとくに高たかく評価ひょうかされた。後のちにフォードは彼女かのじょの長女ちょうじょの名付なづけ親おやにもなる。『テンプルの軍使ぐんし』については大物おおもの小説しょうせつ家かのグレアム・グリーンが9歳さいのシャーリー・テンプルに中年ちゅうねん男性だんせいの観客かんきゃくは欲情よくじょうを感かんじるという趣旨しゅしの批評ひひょうを書かき、イギリス世論せろんの怒いかりと20世紀せいきフォックスの告訴こくそを招まねいた（この件けんに関かんしては後述こうじゅつの「グレアム・グリーン事件じけん」を参照さんしょう）。

1939年ねんの『オズの魔法使まほうつかい』のドロシー役やくもシャーリーが演えんじる予定よていだった。非公式ひこうしきにメトロ・ゴールドウィン・メイヤーがカメラテストをして衣装いしょうをつけて主題歌しゅだいかを歌うたわせてみたところ出来できが素晴すばらしく、ルイス・メイヤー社長しゃちょうは彼女かのじょ以外いがいにこの役やくを演えんじられる者ものはないと惚ほれ込こんだ。しかし20世紀せいきフォックスとの話はなし合あいがつかず、結局けっきょくジュディ・ガーランドに役やくが回まわった。 だがシャーリー個人こじんの語かたる降板こうばん理由りゆうは、アシスタントプロデューサーのアーサー・フリードがまだ12才さいだった彼女かのじょが一人ひとりでフリードの部屋へやに面接めんせつに入はいった時ときに、彼かれは下半身かはんしんを出だして陰部いんぶを見みせ付つけたというセクシャルハラスメントがあったことが原因げんいんだと自伝じでんで明あかしている。 フリードは女優じょゆう相手あいてに「キャスティング・カウチ（セックスをした相手あいてに役やくや契約けいやくを回まわすこと）」を頻繁ひんぱんに行おこなう悪名あくめい高たかいな人物じんぶつであった。

フリードにような倫理りんり観かんに乏とぼしい人物じんぶつの魔まの手てを逃のがれたシャーリーは、もはやただの少女しょうじょ子役こやくにとどまらず、「アメリカン・イノセンス（無垢むくなアメリカ）」の象徴しょうちょうとなった。

無垢むくなアメリカの象徴しょうちょう

アメリカ国内外こくないがいの名士めいしが頻繁ひんぱんにシャーリーと顔かおを合あわせた1930年代ねんだい、フランクリン・ルーズヴェルト大統領だいとうりょうと社会しゃかい運動うんどう家かのエレノア夫人ふじんはじめ、アインシュタインからH・G・ウェルズ、フーバーFBI長官ちょうかんまで、政治せいじ家かや著名ちょめい人じんと知しり合あう。ルーズヴェルト大統領だいとうりょう就任しゅうにん式しき（1933年ねん）では膝ひざに乗のり「ハッピーバースデートゥーユー」を歌うたって新あたらしい大統領だいとうりょうの誕生たんじょうを祝いわっている。

人気にんきがどれほど過熱かねつしたか伝つたえるエピソードは数かぞえ切きれない。雑誌ざっしやニュース映画えいがに毎号まいごう、大おおきく取とり上あげられ、旅先たびさきのボストンで熱ねつを出だして寝込ねこんだときなど、新聞しんぶん各紙かくしの一いち面めんトップに大だい見出みだしが踊おどり、テレビでは相次あいつぐニュース速報そくほう。宿泊しゅくはく先さきのホテルは病状びょうじょうを案あんじる1万まん人にん以上いじょうもの大だい群衆ぐんしゅうに囲かこまれてしまう。また1935年ねん12月に家族かぞく旅行りょこうでハワイを訪おとずれたおりには、シャーリー・テンプルの姿すがたを一目いちもく観みようと行いく先々さきざきに押おし寄よせた人々ひとびとが10万まんにも達たっしたという。ハワイ到着とうちゃく予定よていの日ひ、州しゅう内ないの公立こうりつ学校がっこうが臨時りんじ休校きゅうこうになる騒さわぎだった。彼女かのじょの言葉ことばは頻繁ひんぱんに新聞しんぶんの見出みだしに取とり上あげられ、「シャーリー・テンプル語かたる 喫煙きつえんは悪わるい習慣しゅうかん」、「シャーリー・テンプル ムッソリーニに占領せんりょう地ちエチオピアから退去たいきょを命令めいれい」などと書かき立たてられた。

明あかるく健気けなげ、楽天的らくてんてきで清楚せいそというイメージのシャーリーは国民こくみんの誇ほこりであり、また大だい恐慌きょうこうに直面ちょくめんする人々ひとびとの心しんの支ささえとなる象徴しょうちょう的てき存在そんざいとなった。作家さっかのアン・エドワーズはほぼ同どう世代せだいのエリザベス英国えいこく王女おうじょ（後ごのイギリス女王じょおう）と対比たいひさせ、シャーリーはある意味いみ「アメリカの王女おうじょ」であり「敬意けいいをもってうやうやしく」扱あつかわれたと述のべている。実際じっさい、1930年代ねんだい以来いらい「アメリカのプリンセス」と呼よべる存在そんざいがいるとすればシャーリーをおいてほかにないと言いわれてきた。初はじめて表紙ひょうしを飾かざった『ライフ』誌し1938年ねん7月がつ11日にち号ごう には既すでに「プリンセスさながらの独得どくとくの地位ちいを自然しぜんに受うけ入いれている」という記述きじゅつがある。

少女しょうじょスター時代じだいの映画えいがについて

ケネディ・センターは「子供こどものとき、彼女かのじょは歌うたとダンスでアメリカ的てき精神せいしんを体現たいげんし、アメリカ人じんに計はかり知しれないほどの喜よろこびと希望きぼうを与あたえた」と述のべている。少女しょうじょスター時代じだいに出でた映画えいがは家族かぞく向むけで、『足長あしながおじさん』や『小しょう公おおやけ女おんな』、『少女しょうじょレベッカ』など人気にんきの少女しょうじょ小説しょうせつの映画えいが化かが多おおい。ヒロインはたいてい当時とうじの児童じどう文学ぶんがくのパターン通どおり明あかるく健気けなげな孤児こじの少女しょうじょという設定せっていである。また多おおくの作品さくひんはディズニーの長編ちょうへんアニメと同様どうようにミュージカル仕立したてで、当時とうじの英えい米べいの児童じどう劇げきの伝統でんとうに則のっとったものである。

ミュージカル作品さくひんはシャーリーの映画えいがの呼よび物ものの一ひとつで歌うたい手てとして魅力みりょく的てきであり、さらに踊おどり手しゅとして非常ひじょうに優すぐれたタップダンサーで、フレッド・アステアやエレノア・パウエルと並ならぶ1930年代ねんだいを代表だいひょうする大だいスターに加くわえられる実力じつりょくの持もち主ぬしだった。『歓呼かんこの嵐あらし』と『ベビイお目見得めみえ』でジェームズ・ダンと共演きょうえん、『テンプルちゃんお芽め出で度どう』ではピアノの上うえでソロで踊おどってみせ、『小しょう連隊れんたい長ちょう』や『テンプルの愛国あいこく者しゃ』と『農園のうえんの寵児ちょうじ』で組くんだ相手あいてはビル・ロビンソン。『テンプルの灯台守とうだいもり』の踊おどりの相手あいてはバディ・イブセン、『テンプルの福ふくの神かみ』で共演きょうえんした相手あいてはアリス・フェイとジャック・ヘイリーであり、『テンプルの上海しゃんはい脱出だっしゅつ』でフレッド・アステア人形にんぎょうと踊おどり、『天てん晴ばれテンプル』でジョージ・マーフィとの踊おどりが有名ゆうめいである。

劇げき中歌なかうたは『輝かがやく瞳ひとみ』で歌うたった「こんぺい糖とうのお舟ふね」（On the Good Ship Lollipop）が特とくに有名ゆうめいで大だいヒットし、その後ご、彼女かのじょのテーマソングになる。劇げき中ちゅうで歌うたわれたものはヒット曲きょくが多おおく、たとえば『テンプルちゃんお芽め出で度どう』で歌うたった"Animal Crackers in My Soup"（Animal Crackers in My Soup）、『テンプルの愛国あいこく者しゃ』の"Polly Wolly Doodle"、『テンプルの福ふくの神かみ』から"Oh, My Goodness"、『テンプルの灯台守とうだいもり』は"At the Codfish Ball"、『テンプルの上海しゃんはい脱出だっしゅつ』"Goodnight, My Love"（Goodnight My Love）、『農園のうえんの寵児ちょうじ』で歌うたった"An Old Straw Hat"である。2009年ねん現在げんざいにおいても彼女かのじょの歌うたは愛あいされ、欧米おうべいでCDの全集ぜんしゅうと選集せんしゅうを発行はっこうし続つづけている。アメリカの小学校しょうがっこうの音楽おんがくの教科書きょうかしょに載のり、幼稚園ようちえんでも歌うたわせている。

少女しょうじょスター時代じだいをめぐるシャーリーの思おもい

ほとんどの子役こやくスターは、ハリウッドの子役こやく時代じだいに対たいして何なんらかの心しんの傷きずを抱かかえている。しかしシャーリーは、ハリウッドという危険きけんな虎とらの穴あなに入はいって、その体験たいけんを楽たのしみ、けろりとして無傷むきずで出でてきたほとんど唯一ゆいいつの存在そんざいだった。その時期じきを振ふり返かえり、おごることなく慎つつましやかに語かたっている。

「私わたしは最高さいこうの子供こども時代じだいを過すごした。神話しんわや小説しょうせつとかの素晴すばらしい物語ものがたりを読よんでもらう代かわりに、実際じっさいに物語ものがたりの中なかで生いきることが出来できたのだから。幼おさない頃ころ母ははは雑誌ざっしや新聞しんぶんに私わたしの記事きじが載のると、私わたしの目めに触ふれないようにしていた。後のちに、もし読よみたいなら読よんでもいいと認みとめられたのだが、二に、三さんの記事きじを読よんだだけで止とめてしまった。確たしかに私わたしについて書かいてはあるものの、他たの人ひとが作つくり上あげたシャーリー・テンプル像ぞうで、たいていは理想りそう化かしてあったからだ。私わたしはプリンセスではないし女神めがみでもないし、なりたいとも思おもわない。最高さいこうの人生じんせいを送おくってきたのは運うんがよかったのだし、映画えいがで人々ひとびとに喜よろこびをもたらしたと思おもいたい。その反面はんめん、チャンスがまわってきたのは運命うんめいつまりタイミングのいたずらだと感かんじている」。

ティーン・アイドル・スター

やがて思春期ししゅんきになると子役こやくとして微妙びみょうな時期じきにさしかかる。本来ほんらいは13歳さいで中学校ちゅうがっこうへ進すすむところ、成績せいせき優秀ゆうしゅうのため12歳さいでアメリカ最さい難関なんかんの私立しりつ中高なかだか一貫いっかん校こう（プレップ・スクール）の一ひとつに飛とび級きゅうで入学にゅうがく。したがって高校こうこう卒業そつぎょうは18歳さいではなく17歳さいである。学校がっこうはウェストレイク女子じょし校こう（Harvard-Westlake School）といい、多おおくの優すぐれた人材じんざいを送おくり出だすことで定評ていひょうがあった。授業じゅぎょうが始はじまると夏休なつやすみだけ映画えいがの撮影さつえいにあて、残のこりの時期じきは学業がくぎょうに専念せんねんし始はじめる。主演しゅえん作さく『青あおい鳥とり（1940年ねんリメイク版ばん）』のプレミア試写ししゃ会かいに出席しゅっせきして舞台ぶたい挨拶あいさつと記者きしゃ会見かいけんをするように会社かいしゃに命めいじられても校長こうちょうの許可きょかが出でなかったと仕事しごとを断ことわり、20世紀せいきフォックス幹部かんぶを唖然あぜんとさせた。

1944年ねん、第だい12代だいカナダ首相しゅしょうウィリアム・ライアン・マッケンジー・キング（William Lyon Mackenzie King）と（ティーン・アイドル・スター時代じだい）。

1944年ねん、カナダ首相しゅしょうキングと。

20世紀せいきフォックスの最後さいごの2作品さくひん『青あおい鳥とり』と『ヤング・ピープル』は興行こうぎょう的てきに赤字あかじである。『青あおい鳥とり』はMGMの『オズの魔法使まほうつかい』の大だい成功せいこうを受うけて急いそいで作つくられ、大作たいさくだが脚本きゃくほんの象徴しょうちょう主義しゅぎが時代じだいを先取さきどりしすぎて観客かんきゃくには理解りかいできない部分ぶぶんがあった。さらにグリム童話どうわの雰囲気ふんいきを出だそうと衣装いしょうや小道具こどうぐをドイツ風ふうにしたところ、おりしもナチス・ドイツのポーランド侵攻しんこうが勃発ぼっぱつし観客かんきゃくの不興ふきょうを買かい、脚本きゃくほんもシャーリーのイメージと大おおきくずれていると受うけ取とられる。『ヤング・ピープル』も筋立すじだてがひたすらセンチメンタルでお粗末そまつである。ただし彼女かのじょの回想かいそう録ろくによれば『青あおい鳥とり』は1970年代ねんだいになって再さい評価ひょうかの動うごきがあったという。

フォックスからMGMに移うつっても在籍ざいせきは10か月げつばかり。1940年代ねんだいのMGMは、『オズの魔法使まほうつかい』にシャーリーの出演しゅつえんを切望せつぼうした1930年代ねんだいとは大おおきく様変さまがわりしていた。かつて売うり物ものはルイス・B・メイヤーとアーサー・フリード、ロジャー・イーデンスのラインで製作せいさくされたミュージカルだったが、彼女かのじょが加くわわったときはすでにルイス・B・メイヤーの子飼こがいのジュディ・ガーランド（『若草わかくさの頃ころ』）やキャスリン・グレイソン（『錨いかりを上あげて』）やラナ・ターナー（『美人びじん劇場げきじょう』）の全盛期ぜんせいきであり、13歳さいの新参しんざん者しゃにはグレイソンが断ことわった低てい予算よさんで脚本きゃくほんにも魅力みりょくのない『キャスリーン』(Kathleen) が回まわってきただけである。もっとも子役こやくとティーンの中間ちゅうかんの時期じき、なかなか合あう企画きかくがなかったとも言いえるかもしれない。移籍いせき先さきのデヴィッド・O・セルズニックのプロダクションは一切いっさいミュージカルを作つくらなかったため『キャスリーン』が最後さいごのミュージカル作品さくひんである（シャーリーの自伝じでん下巻げかんpp.99-127も参照さんしょう）。

プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニック（『風ふうと共ともに去さりぬ』他た）のプロダクションはアメリカで最高さいこうの品質ひんしつの映画えいがを作つくると定評ていひょうがあった。当時とうじはユナイテッド・アーティスツ映画えいが社しゃと密接みっせつな関係かんけいにあり、同時どうじにどの映画えいが会社かいしゃとも取引とりひきがあった。セルズニックはジェニファー・ジョーンズと大だい恋愛れんあいの最中さいちゅうで一番いちばんよい娘むすめ役やく（たとえば『ジェニーの肖像しょうぞう』や『聖せい処女しょじょ』）はジェニファーに回まわる。シャーリーも映画えいが界かいでたった数すう人にんのティーン・アイドルの一人ひとりとして立派りっぱに成功せいこうをおさめていく。セルズニックのもとで撮とった作品さくひんはすべて黒字くろじである。

ただし品しなが良よすぎ、皆みなから愛あいされる天真爛漫てんしんらんまんなティーンは上手じょうずに演えんじられてもセクシーさやダークな面めんはどうしても出だせない。役柄やくがらは極きわめて限定げんていされて「明あかるい健全けんぜんな夢見ゆめみるティーン」タイプ。1930年代ねんだいに無垢むくなアメリカの象徴しょうちょうになったためそういう役やくは演えんじにくかったことも事実じじつで、観客かんきゃくはセクシーなあるいはダークなシャーリーを見みたいとはどうしても思おもわなかっただろう。ワーナー・ブラザースに貸かし出だし中ちゅうに撮とった『That Hagen Girl』（1947年ねん・日本にっぽん未み公開こうかい）の台本だいほんに相手あいて役やくのロナルド・レーガン（後ごのアメリカ大統領だいとうりょう）から「アイ・ラブ・ユー」と言いわれる台詞せりふがあったところ、イメージにそぐわないと判断はんだんしてその台詞せりふを削けずらせたほど、ワーナー・ブラザースは気きをつかった。品行ひんこう方正ほうせいなスターという評判ひょうばんはとても高たかく、有名ゆうめいなゴシップ記者きしゃでスターのスキャンダルを暴あばくルエラ・パーソンズやヘッダ・ホッパーですら常つねに賞賛しょうさんしたほどである（このふたりはジュディ・ガーランドの薬物やくぶつ依存いぞん、ディアナ・ダービンの「不倫ふりん」等とうをスクープした）。

ティーン・アイドル時代じだい、彼女かのじょ自身じしんが最もっとも気きに入いた作品さくひんはコメディ『接吻せっぷん売うります』(Kiss and Tell) だったという。

映画えいが界かいを離はなれて

最初さいしょの結婚けっこん

女子じょし校こうを卒業そつぎょうした17歳さいの1945年ねん、同級生どうきゅうせいの兄あにでシカゴの大手おおて食品しょくひん加工かこう会社かいしゃ社長しゃちょうの孫まご、ジョン・エイガー軍曹ぐんそうというハンサムな青年せいねんと結婚けっこんする。婚約こんやくが決きまるとアメリカ議会ぎかいで祝福しゅくふくの演説えんぜつがなされるほど、この結婚けっこんは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにまつわるさまざまな出来事できごとと共ともに終戦しゅうせんの年としに最もっとも多おおく報道ほうどうされた事柄ことがらだった。

ところが夫おっとは人格じんかくに問題もんだいがあり一いち児じをもうけてからも連日れんじつ、家いえを空あけて酒さけに溺おぼれ浮気うわきをした。家いえに戻もどるとシャーリーに罵声ばせいを浴あびせ続つづけた。この夫おっとはのちに脇役わきやく俳優はいゆうになり芸能げいのう界かい入いりした。シャーリーは1949年ねん、ハリー・トルーマン大統領だいとうりょうの就任しゅうにん式しきで舞踏ぶとう会かいの主賓しゅひんをつとめる。翌よく1月がつに離婚りこん。別わかれたジョンは離婚りこん後ごも素行そこうが悪わるく、数すう年ねん後ごには常習じょうしゅう的てきな飲酒いんしゅ運転うんてんで数すうか月げつ投獄とうごくされている。また２番目ばんめのモデル出身しゅっしんの妻つまと再婚さいこんする際さい、酔よっぱらった状態じょうたいで結婚式けっこんしき場じょうに現あらわれたので、牧師ぼくしが彼かれの酔よいが少すこしさめるまで挙式きょしきを拒否きょひするというスキャンダルを巻まき起おこし先行さきゆきが不安ふあん視しされた。そして再婚さいこん後ごも彼かれは飲酒いんしゅ運転うんてんで数すう回かい逮捕たいほされ、俳優はいゆうの仕事しごとを干ほされた時期じきもあったが、２番目ばんめの妻つまが献身けんしん的てきに彼かれを支ささえアルコール依存いぞん症しょうから更生こうせいさせ、亡なくなるまで49年間ねんかん添そい遂とげた。エイガーは低てい予算よさん映画えいがの主演しゅえんで復活ふっかつし、テレビドラマの仕事しごとにも恵めぐまれ晩年ばんねんまで活躍かつやくした。

離婚りこんが決きまるとセルズニックからティーン・アイドルは卒業そつぎょうして、ほんものの大人おとなの女優じょゆうを目指めざすべきだとアドバイスされ、何なん年ねんかイタリアに行いってリアリズム映画えいがの演技えんぎを本格ほんかく的てきに勉強べんきょうするようにとまで勧すすめられた。しかし旅行りょこう先さきに選えらんだハワイで好こう青年せいねんのチャールズ・ブラック海軍かいぐん少佐しょうさと、まるで映画えいがのような運命うんめい的てきな出会であいをする。パーティーで視線しせんを交かわしたふたりは、おたがいに一目いちもくぼれをしてしまった。セルズニックとの契約けいやくは1950年ねん10月がつで終おえた。

幸福こうふくな結婚けっこん

1950年ねん12月に、22歳さいで結婚けっこん歴れきのないチャールズ・ブラック（英語えいご：Charles Alden Black）海軍かいぐん少佐しょうさと再婚さいこんする。この結婚けっこんにあたってFBI長官ちょうかんジョン・エドガー・フーバーは前回ぜんかいの結婚けっこんの轍わだちを踏ふませないよう、部下ぶかに結婚けっこん相手あいての素行そこうを調査ちょうささせた。彼女かのじょはFBIから非常ひじょうによい報告ほうこくを受うけたという。

ブラック家かは先祖せんぞが1620年ねんにメイフラワー号ごうでイギリスからマサチューセッツへ移民いみんしてきた、清教徒せいきょうとの名門めいもんだった。チャールズの父ちちはアメリカ最大手さいおおてに数かぞえられるパシフィック・ガス電気でんき会社かいしゃ (Pacific Gas and Electric Company (PG&E)) 会長かいちょうで、チャールズは次男じなん。地元じもとカリフォルニアでは指折ゆびおりの資産しさん家かの生うまれでしかも独身どくしんだとよく噂うわさの種たねにされた。アメリカ最さい難関なんかんの中高なかだか一貫いっかん私立しりつ男子校だんしこう（プレップ・スクール）の一ひとつで全寮ぜんりょう制せいのホッチキス校こう (en:The Hotchkiss School) からスタンフォード大学だいがくに進すすみ、ハーバード大学だいがく大学院だいがくいんでMBAを取得しゅとく、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの徴兵ちょうへいで海軍かいぐん情報じょうほう将校しょうこうに任命にんめいされる。二人ふたりが知しり合あった頃ころは予備よび役やくであり、パイナップル栽培さいばい加工かこうで有名ゆうめいなドール社しゃの社長しゃちょう室しつ付づけだった。結婚けっこんすると海軍かいぐんに戻もどり1951年ねん5月がつに中佐ちゅうさとしてペンタゴンに赴任ふにんするため首都しゅとワシントンへ転出てんしゅつ。数すう年ねんして退役たいえきするとテレビ会社かいしゃアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー（ABCネットワーク）の幹部かんぶを経へてスタンフォード研究所けんきゅうじょの財務ざいむ担当たんとう理事りじに就任しゅうにん、同どう研究所けんきゅうじょを退職たいしょく後ごはアンペックス社しゃの副ふく社長しゃちょうから牡蠣かき・鮑あわび・鮭さけの養殖ようしょくに転てんじてマディーラ社しゃを起業きぎょうする。社長しゃちょう業ぎょうと並行へいこうしてサンタ・クララ大学だいがく (en:Santa Clara University) の評議ひょうぎ員いんに選えらばれた。海洋かいよう学がくの専門せんもん家かでもあるチャールズはタイタニック号ごう発見はっけんにも貢献こうけん。また世界せかい最高さいこうの超ちょうエリート会員かいいん制せいクラブボヘミアンクラブ・オブ・サンフランシスコ (Bohemian Club) の会員かいいんでもあり、趣味しゅみはサーフィンで結婚けっこん前まえは毎日まいにちのように海うみに通かよっていたという。

二人ふたりの結婚けっこんは「おとぎ話ばなしのような結婚けっこん」として注目ちゅうもくされた。彼女かのじょは彼かれが当時とうじのアメリカで指折ゆびおりの裕福ゆうふくな一族いちぞくの生うまれと知しらず、勉強べんきょうと軍務ぐんむとサーフィンに明あけ暮くれた彼かれは12歳さいからずっと映画えいがを見みなかったため彼女かのじょがシャーリー・テンプルだと分わからず、そんな二人ふたりの恋こいが成就じょうじゅしたからである。

結婚けっこん直後ちょくご、女優じょゆうと結婚けっこんしたことを理由りゆうに夫おっとチャールズが社交しゃこう界かい名士めいし録ろくから名前なまえを消けされる事態じたいがおきる。アメリカの上流じょうりゅう社会しゃかいでは演劇えんげきや映画えいがを軽視けいしするという清教徒せいきょうとの伝統でんとうがまだ強つよく、結婚けっこん相手あいてが俳優はいゆうの場合ばあいは社交しゃこう界かいから締しめ出だすという規則きそくがあった。国くにの誇ほこりとまで言いわれ、上品じょうひんさで有名ゆうめいな映画えいがスターのシャーリーでさえ、例外れいがいではなかった。夫おっとは社交しゃこう界かい名士めいし録ろくから名前なまえを外はずされたことなど気きにしなかったが、1950年ねん12月に妻つまは22歳さいで映画えいが界かいを引退いんたい。その3年ねん後ごの1953年ねんに1歳さい年下とししたのオードリー・ヘプバーンが、『ローマの休日きゅうじつ』で映画えいがデビューをしたことを思おもえば、あまりにも早はやい引退いんたいだったと言いえよう。それ以後いご、上流じょうりゅう階級かいきゅうという言葉ことばを使つかうことを彼女かのじょ自身じしんは嫌きらっても、富裕ふゆう層そうの一員いちいんとしての生活せいかつが2014年ねんに至いたるまで続つづいた。

ワシントンへ引ひっ越こしたシャーリーはやがて室内しつない装飾そうしょくの趣味しゅみが高こうじて1954年ねんにインテリア・デザイナーの資格しかくを取とり、仕事しごとをしようとしたことがある。富裕ふゆう層そうの個人こじんの邸宅ていたくを対象たいしょうにすることから、アメリカの上流じょうりゅう階級かいきゅうの女性じょせいは当時とうじよくこの分野ぶんやで働はたらいていた。その時ときの名刺めいしには旧姓きゅうせい「テンプル」は入いれず、「インテリア・デコレーター、シャーリー・T・ブラック」とだけ記しるしており、仕事しごとを始はじめたばかりなのに相当そうとうな問とい合あわせがあったという。ただし初はじめて仕事しごと先さきの邸宅ていたくに出向でむいたところ、シャーリー・テンプルに興味津々きょうみしんしんの女性じょせいが何人なんにんも待まち構かまえていたので、回まわれ右みぎをして引ひき返かえすとそれきり仕事しごとは辞やめてしまった。

二人ふたりは非常ひじょうに仲なかむつまじい夫婦ふうふで、シャーリーは子供こどもが3人にんいる専業せんぎょう主婦しゅふとして子育こそだてに専念せんねんした。義理ぎりの父ちちはドワイト・アイゼンハワー大統領だいとうりょうと親交しんこうがあり、シャーリーと夫おっとチャールズも大統領だいとうりょうと親したしくなる。彼女かのじょは後のちに、歴代れきだいの大統領だいとうりょうで一番いちばん好すきな人物じんぶつとしてアイゼンハワーの名なを挙あげている。

テレビ出演しゅつえん

NBCのテレビ番組ばんぐみ、『スケルトン大だい笑劇しょうげき場じょう』（1963年ねん9月がつ6日にち放送ほうそう）

夫おっとの海軍かいぐん退役たいえきを機きに1954年ねんにカリフォルニア州しゅうへ戻もどり、アサートン (英語えいご：Atherton) で日本にっぽん風ふう庭園ていえんのついた家いえに落おち着つくと1961年ねんまで暮くらす。つぎの引越ひっこし先さきはサンフランシスコ市し郊外こうがいウッドサイド (英語えいご:Woodside)、テューダー朝あさ風ふうの邸宅ていたくだった。

末すえ娘むすめが3歳さいになってあまり手しゅがかからなくなると、1958年ねんから1961年ねんにかけてNBCのテレビ番組ばんぐみに出演しゅつえんする。一流いちりゅうのスターをゲストに招まねく子供こども向むけ番組ばんぐみの司会しかい兼けんナレーターである。多額たがくの予算よさんをかけた『シャーリー・テンプル・ストーリーブック』（1958年ねん・英語えいご：Shirley Temple's Storybook）と『シャーリー・テンプル・シアター』（1960年ねん・英語えいご：The Shirley Temple Show）の両りょうシリーズに出演しゅつえんする契約けいやくの条件じょうけんには、主婦しゅふとして子育こそだてをメインに据すえるため一いちか月げつの拘束こうそく時間じかんは最長さいちょう3日にちに限かぎることが盛もり込こまれた。29歳さいから31歳さいの時期じきにあたり、優やさしい声こえと清楚せいそな雰囲気ふんいきは子供こども向むけ番組ばんぐみの司会しかいにうってつけで視聴しちょう率りつは高たかかった。

その後ごもNBCのテレビ番組ばんぐみ「The Red Skelton Show (英語えいご)」 などにゲスト出演しゅつえんする。

やがて1999年ねんにはアメリカン・フィルム・インスティチュートの選えらぶ「映画えいがスターベスト100」（CBS特別とくべつ番組ばんぐみ）で総合そうごう司会しかいを務つとめ、さらに自伝じでんに基もとづく映画えいが 『シャーリー・テンプル物語ものがたり』（ウォルト・ディズニー・カンパニー）（2001） を監修かんしゅうした。

第だい2波は、第だい3波はのブーム

アメリカの子供こども向むけ番組ばんぐみの開始かいしにあわせてゴールデン・アワーに繰くり返かえし放送ほうそうされた番組ばんぐみがある。『シャーリー・テンプル・フェスティバル』という題だいで人気にんき絶頂ぜっちょうだった1930年代ねんだいの映画えいがを見みせ、毎回まいかい高たかい視聴しちょう率りつを得えた。人気にんきに導みちびかれて第だい2波はのブームが起おきると、デザインを変かえたシャーリー・テンプル人形にんぎょう（アイデアル社しゃ）、『ベビイお目見得めみえ』でシャーリーが着きた水玉みずたま模様もようの服ふくにそっくりの子供こども服ふくほか、彼女かのじょの名前なまえを冠かんした少女しょうじょ向むけの服飾ふくしょく品ひんやアクセサリーが再ふたたび売上うりあげを大おおきく伸のばし、さらに絵本えほんやぬり絵えも加くわわった。人形にんぎょうは発売はつばい6か月げつで30万まん体たい、絵本えほんのシリーズは3か月げつで22万まん5000冊さつを売うり上あげた。夏休なつやすみやクリスマス休暇きゅうか、イースター休暇きゅうかには少女しょうじょスター時代じだいの作品さくひんをテレビで放送ほうそうするのが恒例こうれいになっていく。

子役こやく時代じだいの出演しゅつえん作さくが1980年代ねんだいにすべてカラー化かされるとディズニー・チャンネルで放送ほうそうするたび高こう視聴しちょう率りつで、ビデオやLDも人気にんきを集あつめた。第だい3のブームである。シャーリー・テンプル人形にんぎょうはまたも大だいヒット。テレビ放送ほうそうを引ひき継ついだフォックス放送ほうそうは来くる年としも来くる年としもクリスマス当日とうじつにシャーリーの映画えいがを放映ほうえい、彼女かのじょの誕生たんじょう日びには恒例こうれいの特集とくしゅう番組ばんぐみを見みせた。すると放送ほうそう日び前後ぜんこうに20世紀せいきフォックス版ばんDVDの売うれ行ゆきが伸のびたという。テレビ番組ばんぐみ『大だい草原そうげんの小ちいさな家いえ』シリーズで人気にんき子役こやくだったメリッサ・ギルバート（1964年ねん生うまれ）も大だいファンで、毎日まいにちビデオを見みてはシャーリーに合あわせて歌うたったり踊おどったりしたと2005年ねんに語かたっている。アメリカ人じんは成長せいちょう過程かていのどこかで必かならずディズニーのアニメ、1939年ねんの映画えいが『オズの魔法使まほうつかい』、シャーリー・テンプルの映画えいがに接せっするという。小ちいさなファンはあらわれ続つづけた。

子役こやく時代じだいの映画えいがは家族かぞく向むけのDVDとして世界中せかいじゅうで発売はつばいされている。子供こどもにも理解りかいできるように音声おんせいを吹ふき替かえた各国かっこく語ご版ばんにはイタリア語ご・スペイン語ご・チェコ語ご・中国ちゅうごく語ご・デンマーク語ご・ドイツ語ご・ヒンディ語ご・フランス語ふらんすご・ロシア語ごがある。ただし、日本にっぽん向むけ商品しょうひんだけは例外れいがいで日本語にほんご音声おんせいはなく字幕じまくのみである。

財政ざいせい状況じょうきょう

シャーリー・テンプルが得えた収入しゅうにゅうの高たかさは伝説でんせつとして語かたり継つがれている。

1937年ねんを例れいに挙あげよう。この年としのアメリカ成人せいじんの平均へいきん年収ねんしゅうは860ドル、彼女かのじょのスタンドインを務つとめた親友しんゆうのメリー・ルー・イズライブは週給しゅうきゅう50ドルだった。映画えいが俳優はいゆうの出演しゅつえん料りょう第だい1位いはシャーリーで30万まん7014ドルである。大物おおもの俳優はいゆうと比くらべてみよう。

• クラーク・ゲーブル 27万まん2000ドル
• グレタ・ガルボ 27万まんドル
• フレッド・アステア 26万まん6837ドル
• スペンサー・トレイシー 21万まん2000ドル
• ジンジャー・ロジャース 20万まん8000ドル

制作せいさく陣じんはというと、プロデューサーで脚本きゃくほん家かのダリル・ザナックは26万まん5000ドル、同おなじくセルズニックが10万まん6000ドルだった。ふつう俳優はいゆうは映画えいが会社かいしゃからの報酬ほうしゅうを除のぞくと副ふく収入しゅうにゅうはほとんどなく、それでも大だい恐慌きょうこう下かのアメリカで最もっとも豊ゆたかな層そうに属ぞくしていた。その点てん、シャーリーにはそれに加くわえて人形にんぎょう等とうの商品しょうひんからライセンス料りょう450万まんドルがあり、映画えいが会社かいしゃから受うける出演しゅつえん料りょうのじつに約やく15倍ばいに相当そうとうする。こうして見みると1930年代ねんだい、彼女かのじょがどれほど図抜ずぬけて裕福ゆうふくな存在そんざいだったか明あきらかだろう。

年代ねんだい順じゅんに映画えいが会社かいしゃから受うけ取とった収入しゅうにゅうを並ならべた場合ばあいである。

1932年ねん The Red-Haired Alibi 50ドル（端役はやく・撮影さつえいは2日間にちかん）

1932年ねん Kid in Hollywood 週休しゅうきゅう150ドル

1934年ねんフォックス・フィルム社しゃと契約けいやく

• 『歓呼かんこの嵐あらし』週給しゅうきゅう4150ドル
• Pardon My Pups 週給しゅうきゅう1000ドル、契約けいやく金きん3万まん5000ドル（受うけ取とりは契約けいやく終了しゅうりょう後ご）
• 母ははガートルードの手当てあては週しゅう250ドルに昇給しょうきゅう

1936年ねん 『テンプルの福ふくの神かみ』 週給しゅうきゅう1万まん5000ドル、契約けいやく金きん5万まんドル

20世紀せいきフォックスと契約けいやくが終了しゅうりょうしセルズニックと契約けいやくすると、1944年ねんから1年ねんの試用しよう期間きかんが始はじまり、『君きみ去さりし後のち』は週給しゅうきゅう2200ドル。この作品さくひんの成功せいこうにより契約けいやく期間きかんは7年ねんに、週給しゅうきゅうは5000ドルにそれぞれ伸のび、1本ほん当あたり契約けいやく金きん5万まんドルが上乗うわのせされる。『アパッチ砦とりで』が契約けいやく金きん11万まんドルだった1948年ねん、シャーリーは「アメリカの恋人こいびと（アメリカン・スイートハート）」と呼よばれ、娘むすめ役やくの人気にんきをジューン・アリソンと二分にぶんするまでになった。収入しゅうにゅうはティーン・アイドル・スターの最高さいこう額がくに達たっする。エリサベス・テイラーはまだ後うしろから彼女かのじょを追おう存在そんざいだった。

女優じょゆう業ぎょうにカムバックした1958年ねん、テレビシリーズ2本ほんの出演しゅつえん料りょうは1話わあたり10万まんドル、これに歩合ぶあい給きゅうとして販売はんばい益えきの4分ぶんの1を加くわえることが決きまった。合計ごうけい41話わで出演しゅつえん料りょうの総計そうけい410万まんドル。テレビ界かいの最さい高額こうがくであることは言いうまでもない。同どう時期じきの映画えいが女優じょゆうの出演しゅつえん料りょうと比くらべるなら、シャーリーのテレビ出演しゅつえん料りょうがどれほど別格べっかくの扱あつかいだったことか。例たとえば同おなじティーン・アイドル出身しゅっしんのエリザベス・テイラーの場合ばあい、撮影さつえいに足掛あしかけ4年ねんを費ついやした『クレオパトラ』（1963年ねん）により、ようやく100万まんドルに達たっする（歩合ぶあい収入しゅうにゅう含ふくまず）。その金額きんがくはその当時とうじ、映画えいが女優じょゆうのトップでもあった。

出演しゅつえん料りょうを含ふくむシャーリーの財政ざいせい状態じょうたいが明あかされるのは、チャールズと結婚けっこんしたばかりのころである。未成年みせいねんのあいだの出演しゅつえん料りょうおよそ320万まんドル（実じつ収入しゅうにゅう）を含ふくむ資産しさんのほとんどは父ちちジョージ名義めいぎにしてあり、父ちちが投資とうしに失敗しっぱい、資産しさんは大おおきく目減めべりして総額そうがく81万まんドルばかりが残のこっていた。この話題わだいは今いまも多おおくの本ほんやネット上じょうの記事きじで大おおきく取とり上あげられるものの、子役こやくのジャッキー・クーガン（英語えいご：Jackie Coogan）ほか親おやが蓄たくわえを使つかい切きり無一文むいちもんになった例れいとは、全まったく状況じょうきょうが異ことなる。

シャーリーは豊ゆたかだった。22歳さいで父ちちから引ひき継ついだ資産しさんの内訳うちわけは首都しゅとワシントン郊外こうがいに敷地しきち約やく2.5エーカー（約やく1万まん2000平方へいほうメートル・東京とうきょうドームのグラウンドよりやや狭せまい面積めんせき）の土地とちと邸宅ていたく、自分じぶん名義めいぎに書かき換かえた預貯金よちょきんと有価ゆうか証券しょうけんをあわせて8万まん9000ドル。それ以前いぜんも以後いごも、父ちちから毎週まいしゅう75ドルほど仕送しおくりを受うけている。

選挙せんきょ

シャーリー・テンプル・ブラック　1965年ねん

義父ぎふは世界せかい最大さいだいの企業きぎょうUSスチールの重役じゅうやくを兼かねており、親交しんこうのあった同社どうしゃの副ふく社長しゃちょうに連つれられてシャーリー夫妻ふさいはアメリカ最高さいこうのパワーエリートの内輪うちわの会合かいごうに加くわわる。子供こどものときから名士めいしたちと親交しんこうのあった彼女かのじょは、すんなりとその会かいにとけこんでいった。

結婚けっこん後ご、共和党きょうわとうの活動かつどうに参加さんか、一貫いっかんして共和党きょうわとう中道ちゅうどう派はに属ぞくする一方いっぽうで環境かんきょう保護ほごに関かんして熱心ねっしんに活動かつどうをしたことで知しられる。1967年ねんにはドワイト・アイゼンハワー元もと大統領だいとうりょうのバックアップで共和党きょうわとうから下院かいん選挙せんきょに出馬しゅつばするが落選らくせん。共和党きょうわとうが掲かかげたベトナム戦争せんそうの北きた爆ばく続行ぞっこうを選挙せんきょ区くの有権者ゆうけんしゃが嫌きらったこと、彼女かのじょの立場たちばを無所属むしょぞくで立候補りっこうほした共和党きょうわとう員いんピート・マクロスキー (英語えいご Pete McCloskey) から徹底てっていしたネガティブ・キャンペーンを受うけたためである。

結果けっか的てきにはマクロスキーが当選とうせんするが、彼女かのじょ自身じしんは選挙せんきょ公約こうやくの第だい一いち条じょうにベトナムからの早期そうきの名誉めいよある撤退てったいを掲かかげたように、戦争せんそう拡大かくだいを続つづける民主党みんしゅとうのリンドン・ジョンソン大統領だいとうりょうに強つよく反対はんたいした。また減税げんぜい、環境かんきょう保護ほご、ドラッグおよびポルノの規制きせい強化きょうかを訴うったえている。女性じょせいの地位ちい向上こうじょうには賛成さんせいしていたものの、その進展しんてんを妨さまたげる女性じょせい解放かいほう運動うんどうの過か激化げきかには懐疑かいぎ的てきだった。

外交がいこうに尽つくす

外交がいこう関係かんけいの職歴しょくれきはハリウッド映画えいが界かいのキャリアよりもはるかに長ながく、1967年ねん以後いご、70歳さいの引退いんたい(1998年ねん)の時期じきまで通算つうさん30年間ねんかん、外交がいこう関係かんけいの公務こうむおよび非ひ政府せいふ組織そしきとNPOの要職ようしょくに就つく。

国際こくさい政治せいじでは民主みんしゅ主義しゅぎと複数ふくすう政党せいとうによる自由じゆう選挙せんきょを擁護ようごする。人権じんけん侵害しんがいに強つよく反対はんたいしたことから第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうは独裁どくさい者しゃヒトラーとムッソリーニ、国内こくないでそれに追随ついずいする者ものに対たいして、戦後せんごの冷戦れいせん期きはソビエトの独裁どくさい者しゃスターリンとアメリカの信奉しんぽう者しゃに対たいして、相あいいれない立場たちばを強つよめてきた。背景はいけいには第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの個人こじん的てきな事情じじょうもあるといわれる。住居じゅうきょのある地域ちいきが東ひがしドイツに組くみ込こまれたため、母方ははかたのドイツ系けいの遠縁とおえんが抑圧よくあつを受うけたという。

シャーリーは東西とうざいの緊張きんちょう緩和かんわに動うごき、スターリンを批判ひはんしたフルシチョフ首相しゅしょう(1958年ねん3月がつ27日にち – 1964年ねん10月がつ14日にち)に対たいして好意こうい的てきだった。またフルシチョフ失脚しっきゃく後ごのソビエトの強権きょうけん策さくにも批判ひはん的てきで、1968年ねんのプラハの春はる」の時期じきにプラハで国際こくさい会議かいぎに出席しゅっせきした時ときの体験たいけんが理由りゆうの一ひとつに挙あげられる。民主みんしゅ化か運動うんどうをソビエト軍ぐんの戦車せんしゃが蹂躙じゅうりんするチェコ事件じけんが起おき、チェコスロバキア人ひとが怒いかり悲かなしみ絶望ぜつぼうする様子ようすを目撃もくげきした。

国連こくれん代表だいひょう委員いいん

1969年ねんから1970年ねんにかけ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの国連こくれん大使たいしを補佐ほさする6人にんの国連こくれん代表だいひょう団だんに加くわわり1969年ねんは首都しゅとワシントンのメイフラワーホテルで開ひらかれた国際こくさい連合れんごう第だい24回かい総会そうかいに出席しゅっせき。担当たんとうは環境かんきょう、青少年せいしょうねん、人権じんけんに関かかわる問題もんだいである。

これらを課題かだいとする多おおくの国際こくさい会議かいぎで1970年ねんから1974年ねんにかけてアメリカ代表だいひょうを務つとめ、まもなく持もち前まえの勤勉きんべんさと人間にんげん的てきな魅力みりょくで「アメリカ外交がいこうの秘密ひみつ兵器へいき」といわれるほどの優秀ゆうしゅうな外交がいこう官かんになる。演説えんぜつの原稿げんこうはすべて自分じぶんで書かいており、日本にっぽんの一部いちぶの情報じょうほう源げんには国連こくれんで武力ぶりょくによるベトナム戦争せんそうの解決かいけつを主張しゅちょうしたとあるものの国連こくれんで演説えんぜつしたのは宇宙うちゅうの平和へいわ利用りようと環境かんきょう問題もんだいと難民なんみん問題もんだいについてのみである。中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくと友好ゆうこう的てきな立場たちばをとり国連こくれん加盟かめいを強つよく主張しゅちょう、アメリカ政府せいふの首脳しゅのう部ぶに公式こうしきの請願せいがん書しょを送おくるなど働はたらきかけをした。やがて中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの国連こくれん加盟かめい (1971年ねん) と米べい中ちゅう国交こっこう回復かいふくが実現じつげんしていく。

当時とうじアメリカと国交こっこうのなかったエジプトで会議かいぎに出席しゅっせきしたとき、サダト大統領だいとうりょう (在職ざいしょく1971年ねん9月がつ2日にち – 1981年ねん10月がつ6日にち) が突然とつぜん現あらわれ、自分じぶんはファンだ、彼女かのじょが主演しゅえんした『ハイディ』の映画えいがフィルムが欲ほしいと言いった。大統領だいとうりょうは自みずから「(イスラエルとの) 平和へいわを心しんから望のぞんでいる最初さいしょのアラブの指導しどう者しゃだ」と述のべた。シャーリーはこの発言はつげんをすぐキッシンジャー国務こくむ長官ちょうかんに伝つたえ、帰国きこく後ごすぐ『ハイディ』の映画えいがフィルムを贈おくった。やがてアメリカとエジプトの国交こっこう回復かいふくを経へて、1978年ねん、ジミー・カーター大統領だいとうりょうの仲立なかだちでイスラエルとエジプトとの和平わへいが成立せいりつする。

ガーナへ

その後ご1974年ねんから1976年ねんにかけて民族みんぞく主義しゅぎが強つよまる時期じきのアフリカの大国たいこくガーナへ、アメリカ特命とくめい全権ぜんけん大使たいしとして着任ちゃくにんする。大使たいしの職しょくはアメリカでは政治せいじ任用にんようポストとされ功こうなり名めいを遂とげた政治せいじ家かや財界ざいかい人じん、高名こうみょうな学者がくしゃ、有力ゆうりょく官僚かんりょうなどの中なかから任命にんめいされる。日本にっぽんのような公務員こうむいん試験しけんはないが、議会ぎかいによる厳きびしい資格しかく審査しんさ(上下じょうげ両院りょういんの外交がいこう委員いいん会かいでの長時間ちょうじかんの口頭こうとう試問しもんを含ふくむ)を経へるため任用にんようされないままに終おわる者ものも多おおい。

アメリカ史しにおいて女優じょゆうから大使たいしになった者ものはシャーリー・テンプルの前まえにも後のちにもおらず、そもそも当時とうじは女性じょせいの大使たいしさえ非常ひじょうに少数しょうすうだった。彼女かのじょがガーナ大使たいしになった時ときにガーナ人じん男性だんせいの中なかには女性じょせいだという理由りゆうで反発はんぱつする者ものもいたが、108人にんのスタッフのトップとして1日にち17時じ間あいだ働はたらいて仕事しごとをきちんとこなすうち、称賛しょうさんが反対はんたいにとってかわった。それまでの大使たいしとは異ことなり、民衆みんしゅうの中なかに飛とび込こみガーナ人じんの心しんを掴つかむよう努つとめた。

ガーナ大使たいし時代じだいのエピソードを2つ紹介しょうかいする。最初さいしょのエピソードは着任ちゃくにん直後ちょくごのものである。シャーリーは深夜しんや、大使館たいしかんの庭にわで捨すて猫ねこが哀あわれっぽくニャーニャー鳴なく声こえを聞きいた。哀あわれに思おもい拾びろって世話せわをしてやろうと庭にわに下くだり、声こえのする方ほうを探さがしてまわっていると、突然とつぜん、ガーナ人じんの庭師にわしが血相けっそうを変かえて飛とび出だしてきて、彼女かのじょを必死ひっしに建物たてものの中なかへ引ひき戻もどしたという。実じつは、夜よるになると近ちかくのジャングルから無数むすうの毒蛇どくへびがあらわれるので庭にわに出でてはいけないことになっており、子猫こねこの鳴なき声ごえと思おもったのは猛毒もうどくのコブラが餌えさに襲おそいかかる時ときの威嚇いかく音おんで、シャーリーは噛かまれる寸前すんぜんだったことになる。

2番目ばんめのエピソードは、部下ぶかの大使館たいしかん員いんと一緒いっしょに有力ゆうりょく部族ぶぞくの大だい酋長しゅうちょうに会あいに行いった時ときの話はなしである。ガーナでは相手あいてに靴くつの裏うらを見みせることは最大さいだいの侮辱ぶじょくとされており、決けっしてやってはならない仕草しぐさである。ところが、部下ぶかの大使館たいしかん員いんは話はなしに夢中むちゅうになって靴くつの裏うらがだんだんと大だい酋長しゅうちょうに向むき始はじめた。シャーリーはやきもきして部下ぶかの大使館たいしかん員いんに身振みぶりで、靴くつの裏うらを大だい酋長しゅうちょうに向むけないように合図あいずをしていた。そちらに気きを取とられて大だい酋長しゅうちょうの言葉ことばにうっかりイエスと答こたえてしまう。じつは大だい酋長しゅうちょうはその時とき、第だい三さん夫人ふじんにならないかと言いっていた。有頂天うちょうてんになった大だい酋長しゅうちょうに第だい三さん夫人ふじんにすることをあきらめてもらうため、シャーリーには巧たくみな外交がいこう的てきな駆かけ引ひきが必要ひつようだった。

女性じょせい初はつの儀典ぎてん長ちょう

特命とくめい全権ぜんけん大使たいしとしてシャーリーは高たかい評価ひょうかを受うけた。ところが1976年ねん、任期にんきの途中とちゅうでフォード大統領だいとうりょうにワシントンへ呼よび戻もどされた。前任ぜんにん者しゃの国連こくれん大使たいし昇格しょうかくに伴ともない、無む所ところ任つとむ大使たいしとして女性じょせい初はつの国務省こくむしょう儀典ぎてん長ちょうに抜擢ばってきされた(英語えいご：Chief of Protocol of the United States)。ホワイトハウスの全すべての儀式ぎしきの責任せきにん者しゃとして、また同時どうじにブレアハウス等ひとしのアメリカの迎賓館げいひんかんで全すべての国賓こくひんの接待せったいを取とり仕切しきる役職やくしょくに置おかれた。さらに大統領だいとうりょうが海外かいがいを訪問ほうもんする時ときは大統領だいとうりょう専用せんよう機きで同行どうこうし、大統領だいとうりょうの右腕うわんとして相手あいて国こくとの折衝せっしょうをまとめた。三木みき武夫たけお首相しゅしょう訪米ほうべいの際さいは接待せったいの総そう責任せきにん者しゃ、また1977年ねんにはジミー・カーター大統領だいとうりょうの就任しゅうにん式しき式典しきてんを指揮しきして任期にんきを終おえた。 儀典ぎてん長ちょうの手腕しゅわんも国務省こくむしょうで非常ひじょうに高たかく評価ひょうかされ、現在げんざいに至いたるまで最もっとも高名こうみょうな米国べいこく儀典ぎてん長ちょうと評価ひょうかされてきた。儀典ぎてん長ちょう退任たいにんの際さい、外交がいこう官かんとしての功績こうせきにより特とくに大使たいしの称号しょうごうを一生いっしょう名乗なのることを認みとめられた。

1981年ねんのレーガン政権せいけんの発足ほっそくに伴ともない、ワシントンとパリで大統領だいとうりょう就任しゅうにん式しきの公式こうしき祝賀しゅくが舞踏ぶとう会かいが開ひらかれた。パリの舞踏ぶとう会かいには夫おっとと共ともに出席しゅっせきし大統領だいとうりょうの名代なだいを務つとめている。その年とし、国務省こくむしょうは大使たいし養成ようせい機関きかんであるアメリカ外交がいこうアカデミー(英語えいご：The American Academy of Diplomacy)を創立そうりつし、初代しょだい委員いいんのシャーリーは新任しんにんの大使たいしとその配偶はいぐう者しゃを対象たいしょうに、任地にんちでいかに振舞ふるまうべきか、誘拐ゆうかいされたり大使館たいしかんで爆ばく弾だんが炸裂さくれつしたりテロリストに脅迫きょうはくされたりしたときの対処たいしょ法ほうなど、1989年ねんまで実際じっさい的てきな知識ちしきを伝授でんじゅした。この間あいだシャーリーの教おしえを受うけた大使たいしとその配偶はいぐう者しゃは146名めいに及およぶ。

南みなみアフリカ共和きょうわ国こくの人種じんしゅ隔離かくり政策せいさくアパルトヘイト廃止はいしを目指めざし、1986年ねんに国務省こくむしょう内ないで様々さまざまな働はたらきかけをし、実現じつげんに向むけて多おおくの国際こくさい会議かいぎで演説えんぜつをおこなった。これはやがて1980年代ねんだい後半こうはんの国際こくさい的てきな反はんアパルトヘイトの大おおきな流ながれへとつながり、1991年ねんにデクラーク大統領だいとうりょうがアパルトヘイト撤廃てっぱいを打うち出だし、1994年ねん、アパルトヘイトは完全かんぜんに撤廃てっぱいされた。

1987年ねん、これらの功績こうせきによってアメリカ史上しじょう初はつの名誉めいよ外交がいこう官かんの称号しょうごうを受うける。

1990年ねん、チェコスロバキア大使たいし時代じだいのシャーリー・テンプル(62歳さい)。ビロード革命かくめい後ごのチェコスロバキアに援助えんじょ物資ぶっしの医薬品いやくひんを贈おくるため輸送ゆそう部隊ぶたいの責任せきにん者しゃを出迎でむかえる。

チェコスロバキアへ

1989年ねんから1992年ねん まで特命とくめい全権ぜんけん大使たいしとしてチェコスロバキアに赴任ふにん。東欧とうおう諸国しょこくの体制たいせいが揺ゆるぎ始はじめたことを察知さっちしたアメリカは、激変げきへんに備そなえて東欧とうおう諸国しょこくにそれぞれ腕利うでききの大使たいしを配置はいちした。チェコスロバキア在任ざいにん中ちゅうに旧きゅう東側ひがしがわのスターリン的てき体制たいせいが崩壊ほうかいすると、シャーリーは民主みんしゅ化かを支持しじして流血りゅうけつの事態じたいが起おきないように努つとめ、いわゆるビロード革命かくめいが一いち滴てきの血ちも流ながさないまま成立せいりつした。革命かくめい後ごの復興ふっこうにも全力ぜんりょくを尽つくして寄与きよする。

国立こくりつ機関きかんアメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく(NASA)は、女性じょせいの社会しゃかい進出しんしゅつのパイオニアとしてシャーリー・テンプルの記事きじをホームページの教育きょういく向むけサイトに掲載けいさい、「外交がいこう官かんとしての功績こうせきは人気にんき子役こやくの時代じだいより、世界せかいのさらに多おおくの人々ひとびとに影響えいきょうを与あたえた」と紹介しょうかい、さらに「迅速じんそくな判断はんだん、機知きちにあふれ、暖あたたかく優雅ゆうがな人柄ひとがらにより、アメリカで最もっとも尊敬そんけいされる外交がいこう官かんの一人ひとりとなった」と記しるした。またケネディ・センターは外交がいこう官かんの功績こうせきについて「アメリカだけでなく世界せかいもシャーリー・テンプルに負おうところが大おおきい」と結論けつろん付つけている。

非ひ政府せいふ組織そしき、NPOの活動かつどう

シャーリー・テンプルは米国べいこく内外ないがいで多おおくの公的こうてきな委員いいん会かいや非ひ政府せいふ組織そしき、NPO団体だんたいの委員いいん・評議ひょうぎ員いんも務つとめる。また歴代れきだいの大統領だいとうりょうや国務こくむ長官ちょうかんとともに、アメリカ外交がいこう問題もんだいの最高さいこうのシンクタンクで「影かげの世界せかい政府せいふ」の異名いみょうもある外交がいこう問題もんだい評議ひょうぎ会かいに所属しょぞく。政治せいじ・産業さんぎょう・金融きんゆう・メディアの各界かくかいならびに教育きょういく界かいのエリートがつどう国際こくさい的てきな非公開ひこうかい会議かいぎビルダーバーグ会議かいぎの参加さんか者しゃでもある (en:List of Bilderberg attendeesも参照さんしょう)。初はじめて出席しゅっせきした1982年ねんはノルウェー・ヴェストフォル県けんサンデフィヨルドの高級こうきゅうホテルで開ひらかれた (ビルダーバーグ会議かいぎの開催かいさい地ちも参照さんしょう)。公職こうしょくを退しりぞいた後のちも終生しゅうせい、スタンフォード大学だいがく国際こくさい問題もんだい研究所けんきゅうじょ (en:Freeman Spogli Institute for International Studies) の評議ひょうぎ員いんだった。

生前せいぜんに委員いいん・評議ひょうぎ員いんなどについた組織そしきや団体だんたいはつぎのとおり。

• 米国べいこく大使たいし評議ひょうぎ会かい (en:Council of American Ambassadors)
• 外交がいこう問題もんだい評議ひょうぎ会かい
• ビルダーバーグ会議かいぎ
• 米国べいこくユネスコ委員いいん会かい (United States Commission for UNESCO)
• 米べい中ちゅう友好ゆうこう (en:China–United States relations)に関かかわる委員いいん会かい
• 米国べいこく国際こくさい連合れんごう協会きょうかい (en:United Nations Association of the United States of America)
• スタンフォード大学だいがく国際こくさい問題もんだい研究所けんきゅうじょ (en:Freeman Spogli Institute for International Studies)
• 多発たはつ性せい硬化こうか症しょう世界せかい連合れんごうの共同きょうどう設立せつりつ人じん (MSIF、en:Multiple Sclerosis International Federation)

外交がいこうおよび社会しゃかい貢献こうけんについて、名誉めいよ学位がくい授与じゅよや特別とくべつ研究けんきゅう員いんに遇ぐうされた。

• 名誉めいよ博士はかせ　サンタクララ大学だいがく、リーハイ大学だいがく (en:Lehigh University)
• 特別とくべつ研究けんきゅう員いん　ノートルダムダナムール大学だいがく (en:Notre Dame de Namur University)
• 客員きゃくいん教授きょうじゅ　イェール大学だいがくチャブ基金ききん客員きゃくいん教授きょうじゅ (1979-80年ねん、ガーナ特別とくべつ全権ぜんけん大使たいしおよびアメリカ儀典ぎてん長ちょうとして)

シャーリー・テンプル修正しゅうせい条項じょうこう

女性じょせいの尊厳そんげんを傷きずつけ、子こどもに悪影響あくえいきょうを与あたえるとしてポルノに反対はんたいした。サンフランシスコ映画えいが祭さいの審査しんさ員いんだったときにはスウェーデンからポルノを思おもわせる作品さくひんが出品しゅっぴんされたので、審査しんさ員いんを辞任じにんしたことがある。ただし彼女かのじょは決けっして芸術げいじゅつ的てきな価値かちの高たかいポルノまで反対はんたいしているわけではなく、あくまでも金儲かねもうけのために乱造らんぞうされた芸術げいじゅつ的てきに無む価値かちなポルノである。

また特とくに子こどもの人権じんけんを侵おかすとして、児童じどうポルノの製造せいぞうと販売はんばい禁止きんしを訴うったえた。児童じどうポルノ反対はんたい運動うんどうにより、『労働ろうどう基準きじゅん法ほう』への「シャーリー・テンプル修正しゅうせい条項じょうこう」（"Shirley Temple amendment" to the Wages and Hours Law）がアメリカ議会ぎかいで成立せいりつした。これにより16歳さい以下いかの子こどもを被写体ひしゃたいにしたポルノの製造せいぞうと販売はんばいが禁きんじられる。彼女かのじょの努力どりょくで、事実じじつ上じょうそれまで野放のばなし状態じょうたいだったアメリカの児童じどうポルノに大おおきな規制きせいがかけられた。当時とうじはアメリカのポルノ解放かいほう論ろん者しゃがシャーリーを強つよく非難ひなんしたが、現在げんざいでは全まったく影かげをひそめている。

家族かぞくとのつながり

病気びょうき

シャーリー・テンプルは非常ひじょうに健康けんこうで精力せいりょく的てきに活動かつどうしたが、2度ど大病たいびょうをしている。

最初さいしょは長男ちょうなんの出産しゅっさんのとき、ブラック家かと非常ひじょうに親したしかったキンブル海軍かいぐん長官ちょうかんの強つよい求もとめに応おうじて海軍かいぐん病院びょういんに入院にゅういんした際さいのこと。海軍かいぐんが大佐たいさでベテランの軍医ぐんいを主治医しゅじいにあてたところ、当時とうじは誰だれにも分わからなかったことだがその医師いしは進行しんこうした脳腫瘍のうしゅようのため正常せいじょうな判断はんだんができず、帝王切開ていおうせっかい手術しゅじゅつ後ごに適切てきせつな処置しょちを受うけられなかった彼女かのじょが瀕死ひんしの状態じょうたいに陥おちいる。軍ぐんは慌あわてて主治医しゅじいを軍医ぐんい総監そうかんに替かえ、一時いちじは死線しせんをさまよった彼女かのじょは数すう週間しゅうかん後ごに回復かいふくした。元もと主治医しゅじいはその後ごまもなく脳腫瘍のうしゅようで亡なくなる。

1972年ねんには乳癌にゅうがんを手術しゅじゅつした。当時とうじのアメリカで主流しゅりゅうだった全ぜん摘出てきしゅつ手術しゅじゅつではなく、ヨーロッパで実験じっけん的てきに行おこなわれ始はじめた手術しゅじゅつをしてくれるように医師いしを説得せっとくし、国内こくないで初はじめて乳房ちぶさ温存おんぞん手術しゅじゅつを受うける（その後ご、この手術しゅじゅつが一般いっぱん的てきになっていく）。また自分じぶんが乳癌にゅうがんであるとラジオやテレビ、雑誌ざっしや新聞しんぶん、タブロイド紙し「デイリー・メール」 で明あかした。乳癌にゅうがんを公おおやけにした世界せかい初はつの有名人ゆうめいじんの一人ひとりとなり、その例れいにならってベティ・フォード大統領だいとうりょう夫人ふじんが二に番目ばんめに公表こうひょうする。アメリカの女性じょせいたちに検診けんしんの必要ひつよう性せいを呼よびかけ、「家いえにいて癌がんを恐おそれていないで、出でかけて医師いしの診察しんさつを受うけましょう」というシャーリーの言葉ことばはよく知しられている。

家庭かてい生活せいかつ

アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく（NASA）が「素晴すばらしい家庭かていを築きずいた」と賞賛しょうさんしているとおり、ブラック家かは家族かぞくの絆きずなが非常ひじょうに強つよく、またふだんは彼女かのじょ自身じしんが家事かじ一切いっさいを行おこないつつ、同時どうじに国務省こくむしょうの公務こうむや実業じつぎょう家かとしての仕事しごとをこなした。社会しゃかい的てきに高たかい地位ちいにあっても贅沢ぜいたくはせず生活せいかつは質素しっそなものの、宿泊しゅくはく先さきはセキュリティのため必かならず超ちょう一流いちりゅうホテルのスイート・ルームを選えらんでいる。現代げんだいのアメリカ人じんには珍めずらしく、年老としおいた両親りょうしんガートルードとジョージを家いえに引ひき取とると他人たにんの助たすけを借かりずに自分じぶんひとりで介護かいごする。父ちちジョージは晩年ばんねん、脳溢血のういっけつのため身体しんたいが不自由ふじゆうになったため、毎食まいしょく、流動りゅうどう食しょくを作つくっては食たべさせていた。

子供こどもは3人にん。長女ちょうじょはサンフランシスコの図書館としょかん員いん、長男ちょうなんは実業じつぎょう家かで父ちちの会社かいしゃを継ついだ。次女じじょは、ごく短期間たんきかんメルヴィンズなどのロック・バンドでベースを弾ひき、後のちに写真しゃしん家かとして活動かつどうしている。孫まごは一人ひとり、曾孫そうそんは一人ひとりいる。

趣味しゅみはゴルフ、ガーデニング、釣つり、料理りょうりなど。

実業じつぎょう家か

シャーリー・テンプルは財界ざいかい人じんでもあった。1977年ねんから1981年ねんにわたるカーター大統領だいとうりょうの民主党みんしゅとう政権せいけんでは政界せいかいを離はなれ、実業じつぎょう家かとして大だい企業きぎょう数すう社しゃの役員やくいんを務つとめる。父ちちゆかりのカリフォルニア銀行ぎんこう、カリフォルニア銀行ぎんこうの親会社おやがいしゃバンカル・トライステイツ社しゃ、ファイヤマンズ・ファンド保険ほけん会社かいしゃ、アメリカ最大さいだいの銀行ぎんこうバンク・オブ・アメリカなど金融きんゆう界かいに加くわえ、食品しょくひん会社かいしゃのデルモンテ社しゃの他ほか、ウォルト・ディズニー・カンパニーを含ふくむ大手おおて企業きぎょうの社外しゃがい役員やくいんを歴任れきにんした。

政権せいけんが民主党みんしゅとうのクリントン大統領だいとうりょう(1993年ねん-2001年ねん)に移うつると実業じつぎょう界かいに転てんじ、1998年ねんの引退いんたいまで実業じつぎょう家かとして活躍かつやくする。もちまえの完璧かんぺき主義しゅぎは実業じつぎょうでも発揮はっきした。

在野ざいやの時期じきに、かつて国連こくれん加盟かめいへの力添ちからぞえをした中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに招待しょうたいされて公式こうしき訪問ほうもん (1977年ねん)、歓迎かんげいを受うける。それ以後いごも中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに近ちかい立場たちばは変かわらなかった。また共和党きょうわとうの一部いちぶや財界ざいかいが後押あとおしして1980年ねんの予備よび選せんに担かつぎ出だす動うごきもあったが、その誘さそいには乗のっていない。

自伝じでん

1988年ねんに自伝じでん "Child Star" を出版しゅっぱんし、アメリカで大だいベストセラーになる。自分じぶんを美化びかしたり正当せいとう化かしたりせず人ひとに非難ひなんされることも正直しょうじきに書かくが、人ひとが困こまるような秘密ひみつの暴露ばくろは避さけ、どうしても必要ひつようがあれば仮名かめいを使つかって誰だれのことか分わからないようにしている。これらの点てんで通常つうじょうのハリウッドの映画えいが俳優はいゆうの回想かいそう録ろくとは趣おもむきが異ことなっていた。例外れいがいは映画えいが会社かいしゃの社長しゃちょうや重役じゅうやくの放ひ埓な性せいに触ふれた箇所かしょだが、ユーモアに満みちた筆致ひっちで描えがいており内容ないようはすでに広ひろく知しられていた事柄ことがらである。日本語にほんご版ばんは平凡社へいぼんしゃ20世紀せいきメモリアル・シリーズに含ふくまれ、シャーリー・テンプル・ブラック著ちょ、大社たいしゃ貞子さだこ訳やく『シャーリー・テンプル：私わたしが育そだったハリウッド』上じょう・下巻げかんとして1992年ねんに発行はっこうされた。

著作ちょさくの前半ぜんはんは『シャーリー・テンプル物語ものがたり』(Child Star: The Shirley Temple Story 2001) としてディズニーが映像えいぞう化か、アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABCネットワーク)で放映ほうえいされた。

自伝じでんは続編ぞくへんの準備じゅんびが進すすみ、政界せいかいに入はいって外交がいこう官かんほかを務つとめた年月としつきを取上とりあげて執筆しっぴつを進すすめていたとされる。第だい1巻かんは3人にん目めの子供こどもが生うまれた1954年ねんまでだった。続編ぞくへんは外交がいこう官かん時代じだいと愛あい党とう心しんの強つよい共和きょうわ党員とういんの活躍かつやくを取上とりあげる予定よていだったという。第だい2巻かんはカーター政権せいけん成立せいりつまで、第だい3巻かんでクリントン政権せいけんに変かわる時期じきより前まえを取上とりあげるつもりだったようだ。2013年ねんに第だい2巻かんを書かき終おえて第だい3巻かんに取とりかかり、完成かんせいしたときに2冊さつ同時どうじに出版しゅっぱんする予定よていだったと見みられる。

その後ご

1998年ねんに70歳さいをむかえると公職こうしょくを引退いんたいした。2000年ねんに夫おっとチャールズと思おもい出での地ちである中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくをふたたび旅行りょこうして政府せいふの歓迎かんげいをうけ、現地げんちで金婚式きんこんしきを祝いわった。

シャーリーは出演しゅつえん作さくのカラー化かに非常ひじょうに積極せっきょく的てきであり、2004年ねん、レジェンド・フィルムズ（Legend Films）と組くんで作品さくひんを何なん本ほんかカラー変換へんかんする作業さぎょうを監修かんしゅう。多おおくの場合ばあい、色調しきちょうは彼女かのじょの記憶きおくに基もとづくもので、仕上しあがりにとても満足まんぞくしたという。なお、日本にっぽんで発売はつばいされる少女しょうじょスター時代じだいの映画えいがのDVDは、もともとカラー撮影さつえいした『テンプルちゃんの小しょう公おおやけ女おんな』を除のぞくとすべて、オリジナルの白黒しろくろ版ばんと共ともにカラー加工かこうした映像えいぞうが収録しゅうろくされている。

夫おっとチャールズが骨髄こつづいの癌がんを発症はっしょうすると介護かいごにあたるが2005年ねん、死別しべつ。彼女かのじょ自身じしんの言葉ことばを借かりれば「おとぎ話ばなしのように幸福こうふくな」55年ねんの結婚けっこん生活せいかつだった。

公職こうしょくを退しりぞいてもスタンフォード大学だいがく国際こくさい問題もんだい研究所けんきゅうじょの評議ひょうぎ員いんの仕事しごとだけは続つづけ、毎月まいつき一いち回かい、評議ひょうぎ会かいに出席しゅっせきのため自宅じたくから車くるまで10分ふんの同どう研究所けんきゅうじょに通かよっている。同おなじ評議ひょうぎ員いんに、かつて国務省こくむしょうで上司じょうしだったシュルツ元もと国務こくむ長官ちょうかんもいた。

将来しょうらい、人々ひとびとにどんな風ふうに記憶きおくされたいかという質問しつもんに「ただ過去かこの人物じんぶつとしてではなく、実在じつざいの人物じんぶつとしてどう生いきたかを思おもい出だしてほしい」と語かたった。

晩年ばんねん

2008年ねん4月がつの誕生たんじょう日びの前日ぜんじつ、自宅じたくの薄暗うすぐらい部屋へやでつまずいて転ころび腕うでを骨折こっせつするとニュースが全国ぜんこくに広ひろがった。各かくテレビ局てれびきょくは翌よく4月がつ23日にち朝あさの番組ばんぐみでシャーリー・テンプルの80歳さいの誕生たんじょう日びを大おおきく取とり上あげると、出席しゅっせきする予定よていだった誕生たんじょう日び記念きねんの集あつまりや特別とくべつ番組ばんぐみはすべてキャンセルしたと伝つたえている。骨折こっせつは順調じゅんちょうに回復かいふく。彼女かのじょは生前せいぜん、全米ぜんべいテレビ3大だいネットワークが定時ていじのニュースで誕生たんじょう日びや骨折こっせつなど日常にちじょう生活せいかつを報道ほうどうする、ごく限かぎられたアメリカ国民こくみんであり続つづけたともいえよう。 骨折こっせつの後のち、ロイター通信つうしんの取材しゅざいに「部屋へやが暗くらいなら電灯でんとうをつけるものよね」とユーモアを交まじえて応おうじた。

2014年ねん2月がつ10日にち月曜日げつようび、カリフォルニア州しゅうウッドサイドの自宅じたくにて家族かぞくに看取みとられ死去しきょ。85歳さい没ぼつ。AP通信つうしん によると遺族いぞくは広報こうほう担当たんとう者しゃシェリル・ケイガンを通つうじてコメントを発表はっぴょうした。

「家族かぞくの目めから見みても、とてもすばらしい一生いっしょうだったと感かんじています。俳優はいゆうであり外交がいこう官かんであり、そしてもちろん私わたし共きょう家族かぞくには愛あいすべき母はは、祖母そぼ、曾祖母そうそぼであり、また亡なくなった父ちちチャールズ・オルデン・ブラックの最愛さいあいの妻つまとして、精一杯せいいっぱい生いきた人ひとでした。」

評価ひょうか・受容じゅよう

評価ひょうか

様々さまざまな賞しょうを授さづけられる。少女しょうじょスターとして受うけた評価ひょうかは公的こうてき機関きかんであるアメリカン・フィルム・インスティチュート（AFI）が選出せんしゅつした「最もっとも偉大いだいな俳優はいゆう100選せん」（英語えいごAFI's 100 Years... 100 Stars）の女優じょゆう部門ぶもん第だい18位い、サンフランシスコ・クロニクル紙しのまとめた「最もっとも偉大いだいな女優じょゆう50選せん」13位いなど非常ひじょうに高たかい。1935年ねんに6歳さいで映画えいが芸術げいじゅつ科学かがくアカデミーのアカデミー賞しょう特別とくべつ賞しょうに輝かがやき、授賞じゅしょう式しきでは幼おさない彼女かのじょにあわせた小型こがたのオスカーが用意よういされていた。50年ねん後ごの1985年ねんにアカデミーは「シャーリー・テンプルに捧ささぐ(A Tribute to Shirley Temple)」として、かつての小ちいさなトロフィーに加くわえ通常つうじょうの大おおきさのオスカー像ぞうを改あらためて授与じゅよする。映画えいが俳優はいゆう組合くみあい (SAG) よりジーン・ケリーと共ともに1988年ねん第だい5回かい全米ぜんべい映画えいが俳優はいゆう組合くみあい賞しょうを受賞じゅしょう。

あらゆるジャンルの芸術げいじゅつ家かにとって国立こくりつ機関きかんジョン・F・ケネディ・センターからケネディ・センター名誉めいよ賞しょうを授さずかることは最もっとも晴はれがましく、彼女かのじょは1998年ねんにビル・クリントン大統領だいとうりょうより贈おくられた。映画えいが界かい最高さいこうの栄誉えいよはSAGの生涯しょうがい功労賞こうろうしょうであり、2006年ねん歴代れきだい42番目ばんめの授賞じゅしょう理由りゆう は少女しょうじょスター時代じだいの活躍かつやくに加くわえて外交がいこう官かんとして平和へいわと人権じんけんのために尽つくした功績こうせきである。壇上だんじょうでシャーリー・テンプル・ブラック夫人ふじんを紹介しょうかいする子役こやく女優じょゆうダコタ・ファニングと、客席きゃくせきのシャーリー77歳さいの表情ひょうじょうをとらえた映像えいぞうが公開こうかいされている。ファニングはシャーリー・テンプル人形にんぎょうを見みせ、自分じぶんはシャーリーファンの4世代せだい目めにあたると述のべた。

その他たの受賞じゅしょうには次つぎの各かく賞しょうをふくむ。

• 生涯しょうがい功労賞こうろうしょう。文明ぶんめいの同盟どうめいに認みとめられる情報じょうほうメディアリテラシー団体だんたい のアメリカ子供こどもメディアセンター 主催しゅさい。
• NBR賞しょう貢献こうけん賞しょう。非ひ営利えいり団体だんたいナショナル・ボード・オブ・レビュー 主催しゅさい。リンク切きれ。
• 功労賞こうろうしょう。非ひ営利えいり教育きょういく財団ざいだん (英語えいごFreedoms Foundation) 主催しゅさい、1980年ねん2月がつ受賞じゅしょう。ジェームズ・スチュアート(俳優はいゆう)、ジョン・デンバー(歌手かしゅ)、ユタ州しゅう上院じょういん議員ぎいんジェイク・ガーン他たと同時どうじに受賞じゅしょう。

テネシー大学だいがく教授きょうじゅパスティ・ガイ・ハモンツリーは次つぎのように述のべた。

「シャーリー・テンプル・ブラックの子役こやく時代じだいの映画えいがは70年ねん以上いじょうも世界中せかいじゅうで魅力みりょくを発揮はっきし続つづけている。その名前なまえを聞きくとたいていの人ひとは『ええ、好すきです』と答こたえるだろう。映画えいが界かいを引退いんたいしてほぼ60年ねん、どの時代じだいにも人々ひとびとは映画えいがの中なかで彼女かのじょに出会であい、まるで新作しんさく映画えいがの出演しゅつえん者しゃのようにその顔かおと名前なまえを心しんにとどめた。ふつうの子役こやくにはありえないほど賞賛しょうさんされ、その名声めいせいに踊おどらされず成人せいじん後ごは堅実けんじつで満みち足たりた生活せいかつを送おくった点てんは異例いれいである。ほとんどの子役こやくは脚光きゃっこうを浴あびなくなると人生じんせいに適応てきおうできなくなるものの、全まったく振ふり返かえることなくきっぱりと華はなやかなショービジネスの世界せかいを離はなれた側面そくめんでも傑出けっしゅつしている。個人こじん的てきにはよき妻つまでありやさしい母ははであり、公おおやけには外交がいこう官かん、環境かんきょう保護ほごの擁護ようご者しゃ、国内外こくないがいの様々さまざまな委員いいん会かいや評議ひょうぎ会かいの委員いいんとして、また財界ざいかい人じんとして成功せいこうを重かさねたのである。」

シャーリー・ファン

母ははガートルードが「シャーリー・テンプルは子供こどもたちのもの」と1930年代ねんだいに言いった通とおり、ファンの中心ちゅうしんは子供こども、特とくに少女しょうじょたちであり、次ついで母親ははおやたちが魅了みりょうされる。圧倒的あっとうてきに女性じょせいファンが多おおく世界せかい的てきな社会しゃかい現象げんしょうにさえなった少女しょうじょスターであり、世界中せかいじゅうに様々さまざまなファン層そうが存在そんざいした。

最もっとも有名ゆうめいなファンは政治せいじ家かたち、わけても1920年代ねんだい初頭しょとうのチリ大統領だいとうりょうアルトゥーロ・アレッサンドリ・パルマ (スペイン語ご Arturo Puga) であろう。大統領だいとうりょう官邸かんていにシャーリー・テンプルの映画えいがフィルムをすべて揃そろえて毎日まいにち繰くり返かえし見みていた。職権しょっけんでシャーリーをチリ海軍かいぐんの公式こうしきマスコットに任命にんめい、大統領だいとうりょう専属せんぞくのデザイナーをハリウッドに送おくって彼女かのじょの採寸さいすんをさせると海軍かいぐん提督ていとくの正装せいそうを仕立したてさせ、さらにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくに外交がいこう使節しせつ団だんを派遣はけんして9歳さいのシャーリーに贈おくった。

チリ大統領だいとうりょうアルトゥーロ・アレッサンドリ・パルマの肖像しょうぞう画像がぞう

1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにソビエト連邦れんぽうの最高さいこう指導しどう者しゃだったフルシチョフは、テンプルの熱心ねっしんなファンだった。アメリカとの雪解ゆきどけが始はじまった1960年ねん9月がつに訪米ほうべい、誰だれに会あいたいかと尋たずねられるとシャーリー・テンプルと答こたえた。そこでサンフランシスコを訪問ほうもんした際さい、アメリカ政府せいふの高官こうかんに混まじって32歳さいの彼女かのじょも首相しゅしょうを出迎でむかえた。空港くうこうでフルシチョフ首相しゅしょうは初はじめて会あった彼女かのじょの手てを握にぎり締しめ、自分じぶんの胸むねに押おし当あてると目めに涙なみだを浮うかべた。ただし感極かんきわまるあまり「あんたを是非ぜひとも拉致らちしてソビエトに連つれて戻もどりたいものだ！」と叫さけんだため、シャーリーは少すくなからず驚おどろいたようである。フルシチョフ失脚しっきゃく後ごの1967年ねん、シャーリー夫妻ふさいがソビエトを訪問ほうもんした際さいにフルシチョフに再ふたたび会あいたいとソビエト当局とうきょくに申もうし入いれたものの拒否きょひされている。

1980年代ねんだいに入はいると、レーガン政権せいけんのヘイグ国務こくむ長官ちょうかんも熱烈ねつれつなファンだと公言こうげんする。マイケル・ジャクソンもファンだと言いい、シャーリーと面会めんかいするとひたすら泣なきじゃくっていたという。

アメリカには多おおくのシャーリーのファンあるいはマニアがいる。俳優はいゆうのジョージ・クルーニーは女優じょゆうならシャーリー・テンプルが一番いちばん好すきだと言いい、ライザ・ミネリ一家いっかも自宅じたくの一室いっしつをシャーリー・アイテムの部屋へやにしてシャーリー・テンプル人形にんぎょうをずらりと飾かざるほどのファンである。女優じょゆうのナタリー・ポートマンも尊敬そんけいする人物じんぶつに彼女かのじょの名なを挙あげ、もともと自分じぶんも政治せいじに大変たいへん興味きょうみがあり女優じょゆうとして活躍かつやくした後のちに政界せいかいで働はたらく彼女かのじょを尊敬そんけいしていたという。社会しゃかいには「シャーリーおたく」と呼よばれ、彼女かのじょのアイテムで家いえを埋うめ尽つくしたり、出演しゅつえん作さくの登場とうじょう人物じんぶつになりきってコスプレをしたりする人ひとたちが現あらわれた。2002年ねん、フォックステレビはオタクの取材しゅざいを含ふくむ1時じ間あいだ番組ばんぐみ『シャーリーマニア』 を放映ほうえい、衰おとろえない人気にんきを証明しょうめいしている。

日本にっぽんの少女しょうじょ文化ぶんか

1935年ねん (昭和しょうわ10年ねん) の正月しょうがつ映画えいが『可愛かわいいマーカちゃん』が上映じょうえいされて以来いらい、出演しゅつえん作さくは日本にっぽんでも大だいヒットを続つづけて戦前せんぜん戦後せんごの少女しょうじょ文化ぶんかに大おおきな影響えいきょうを残のこした。戦前せんぜんはブロマイドの売上うりあげ高だか一いち位い、日本にっぽんでシャーリー・テンプルを知しらない少女しょうじょは一人ひとりもいなかったと言いえる。『少女しょうじょの友とも』『少女しょうじょ倶楽部くらぶ』『少女しょうじょ画が報ほう』など戦前せんぜんの少女しょうじょ向むけの雑誌ざっしに大おおきなインパクトを与あたえ、広ひろく人気にんきを集あつめた蔦谷つたや喜一きいちの塗ぬり絵え、松本まつもとかつぢの漫画まんが『くるくるクルミちゃん』や挿絵さしえ「くろいひとみ」他た、シャーリーが出演しゅつえんした映画えいがのスチル写真しゃしんやブロマイドを参考さんこうにしたと考かんがえられる絵えが多数たすう存在そんざいする。また、獅子しし文六ぶんろくの小説しょうせつ『悦えつちゃん』に登場とうじょうする主人公しゅじんこうの柳やなぎ悦子えつこは、作中さくちゅうにおいて歌手かしゅとしてレコードデビューする際さい、シャーリー・テンプルにあやかって「日本にっぽんテンプルちゃん」という芸名げいめいをつけられる。

太平洋戦争たいへいようせんそう中ちゅうの1942年ねん、日本にっぽん海軍かいぐんは潜水艦せんすいかん搭載とうさい機きでアメリカ本土ほんど爆撃ばくげきを行おこない、1943年ねんに米べい軍ぐん前線ぜんせんの士気しきをくじくためプロパガンダ放送ほうそうを開始かいし、東京とうきょうローズは「ロサンジェルス爆ばく撃げきでシャーリーが死しに日本にっぽんでは大だい喜よろこび」と伝つたえた。15歳さいのシャーリー本人ほんにんにもその話はなしは伝つたわっている。

戦後せんごのある時期じきまで、ミルクのみ人形にんぎょうなどは金髪きんぱつで巻まき毛げのものが多おおく、シャーリー・テンプル人形にんぎょうにそっくりだった。戦前せんぜん、日本橋にほんばしのデパート三越みつこしは1つの階かいをほとんどシャーリー関係かんけいの商品しょうひんにあてた時期じきがある。シャーリーを讃たたえる童謡どうよう「テムプルチヤン」まで作つくられ、さらにシャーリー自身じしんが日本語にほんごで吹ふき込こんだ歌うたは1936年ねん、ポリドールレコードより日本にっぽん限定げんてい発売はつばい、収録しゅうろく曲きょくは「夕焼ゆうやけ小しょう焼やけ」「靴くつが鳴なる」「玩具おもちゃのマーチ」「すずめの学校がっこう」の四よん曲きょくである。

菓子かしメーカー不二家ふじやは戦前せんぜんから「フランスキャラメル」という菓子かしを発売はつばい、外そと箱ばこの絵えは彼女かのじょのブロマイドの顔かおを参考さんこうにした。本人ほんにんの了承りょうしょうをとったかどうかは不明ふめい。なお、メンソレータムのキャラクターであるリトルナース (ナースちゃん) の絵えは、シャーリーをモデルに日本人にっぽんじんのデザイナーが創作そうさくしたと言いわれるものの信憑しんぴょう性せいは薄うすい。この絵えはシャーリーに非常ひじょうに似にているとしても、メンソレータム社しゃの広告こうこくに19世紀せいき末まつから、容器ようきには1910年代ねんだいから使用しようされている。

シャーリーテンプルは彼女かのじょの名前なまえにちなんで1974年ねんに創立そうりつされた日本にっぽんの子供こども服ふくのブランド。シャーリー・テンプル本人ほんにんとライセンス契約けいやくを締結ていけつしたことからアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく以外いがいでの独占どくせん的てきな販売はんばい権けんを有ゆうしていた。事業じぎょうから撤退てったいした後のち、諸しょ権利けんりは後継こうけいの会社かいしゃに引ひき継つがれている。

欧米おうべいの大衆たいしゅう文化ぶんか

シャクヤクの品種ひんしゅ「シャーリー・テンプル」 Paeonia lactiflora Shirley Temple。モスクワ大学だいがく植物しょくぶつ園えんより

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 』のアルバムジャケット。1列れつ目め右みぎから2番目ばんめがシャーリー

サインに添そえたシャーリー・テンプルの手てと足あしの型かた

欧米おうべいの児童じどう向むけ文化ぶんかは既すでに19世紀せいき後半こうはんに成立せいりつしており、1920年代ねんだいの映画えいが界かいにはジャッキー・クーガンなど子役こやくの大だいスターが出現しゅつげん、やがて1930年代ねんだいに入はいるとシャーリー・テンプルの映画えいがとディズニーの短編たんぺんアニメがそれを大おおきく革新かくしんしていく。この成功せいこうが1930年代ねんだいと1940年代ねんだいにおける少女しょうじょスターの黄金おうごん時代じだいを導みちびき、ディアナ・ダービンやエリザベス・テイラー等ひとしの人気にんきに道みちを開ひらいたとも言いえる。

1930年代ねんだいには米べい英えいで娘むすめに「シャーリー」と名付なづけることが流行りゅうこう、女優じょゆうシャーリー・マクレーンも自分じぶんの名前なまえはシャーリー・テンプルから取とったと語かたっている。男性だんせいなのにシャーリーと名なづけられてしまった気きの毒どくな例れいもあり、また植物しょくぶつにもスイートピー とシャクヤクに同名どうめいの品種ひんしゅがある。

アイデアル社しゃ発売はつばいの「シャーリー・テンプル人形にんぎょう」は1930年代ねんだいから数すう十じゅう年間ねんかんにわたりヒット、初はじめて発売はつばいされた時点じてんの商品しょうひんは2009年ねん現在げんざい、状態じょうたいさえ良よければ一体いったい数すう万まん円えんから数すう十じゅう万まん円えんの価格かかく帯たいで取引とりひきされたという。アメリカのダンバリー・ミント社しゃ (英語えいごDanbury Mint) が製作せいさく・販売はんばいした陶製とうせいの人形にんぎょうは全ぜん10種類しゅるい、2009年ねんには状態じょうたいにより販売はんばい価格かかくが2000ドルを超こえる。eBay等とうウェブ上じょうのオークションで人形にんぎょう一体いったいに百ひゃく万まん円えん単位たんい相当そうとうの入札にゅうさつもあった。

名前なまえにちなんだカクテル (ノンアルコール・カクテル) は2種類しゅるい、シャーリー・テンプルとシャーリー・テンプル・ブラックのどちらもソフト・ドリンクである。禁酒きんしゅ法ほうが1930年代ねんだいに廃止はいしされ家族かぞくづれでお酒さけを飲のみに行いく機会きかいができると、子供こども向むけにこの飲のみ物ものが発案はつあんされた。作つくり方かたはレモンライム・ソーダもしくはジンジャーエールにグレナデン・シロップを加くわえマラスキーノ・チェリーで飾かざる。後者こうしゃのシャーリー・テンプル・ブラックはレモンライム・ソーダの代かわりにコカコーラを使つかう。シャーリー自身じしんは酒場さかばで名前なまえを勝手かってに使つかわれることに違和感いわかんを覚おぼえていたようである。

小説しょうせつへの影響えいきょうも見みられる。アメリカの小説しょうせつ家かジェイムズ・サーバーの短編たんぺん小説しょうせつに登場とうじょうする主人公しゅじんこうの中年ちゅうねん男性だんせいはほうれん草そうが嫌きらいなのに、どこに行いってもシャーリー・テンプルのヒット曲きょく「ほうれん草そうを食たべなさい」が聞きこえてきてヒステリーを起おこす。1949年ねん、ドイツの児童じどう文学ぶんがく作家さっかエーリッヒ・ケストナーは著書ちょしょ『ふたりのロッテ』 で「シャーリー・テンプルは7歳さいか8歳さいのとき自分じぶんの出でた映画えいがを映画えいが館かんに見みに行いったものの、幼おさないため入場にゅうじょうを断ことわられたことがある」と述のべているが間違まちがいで、そういう事実じじつは全まったくない。その当時とうじアメリカで映画えいが館かんの入場にゅうじょう制限せいげんは3歳さい以下いかであり、それより年上としうえで入場にゅうじょう料りょう大人おとな15セント・子供こども8セントさえ払はらえば誰だれでも鑑賞かんしょうできた。出演しゅつえん作さくが劇場げきじょうで初はつ公開こうかいされたとき4歳さい5ヶ月かげつだった彼女かのじょは入場にゅうじょうできた。5歳さいの時ときには最もっとも初期しょきに出演しゅつえんした短編たんぺん映画えいがを母親ははおやと一緒いっしょに見みに行いき、フォックス・フィルム社しゃにスカウトされて移籍いせきするエピソードもある。一部いちぶの日本にっぽんの情報じょうほう源げんにはケストナーの文章ぶんしょうを更さらに取とり違ちがえて、シャーリーがPG13指定していの作品さくひんに出でたため入場にゅうじょうを断ことわられたと書かかれているが、これも完全かんぜんな間違まちがいである。アメリカで映画えいがのレイティングシステムがしかれるのはベトナム戦争せんそうの時期じきからである。

毎年まいとし1月がつ1日にちにカリフォルニア州しゅうで開ひらかれるローズ・パレードは新年しんねんの伝統でんとう行事ぎょうじであることから、アメリカ全土ぜんどに放送ほうそうされる。シャーリーは3回かい、その儀式ぎしき長ちょうグランド・マーシャルを務つとめてきた。すべて開催かいさいの節目ふしめに当あたる年としで50回かい目めの1939年ねん、100回かい目めの1989年ねんと110回かい目めの1999年ねんである。記録きろくによると、このグランド・マーシャルを複ふく数すう回かいにわたり務つとめた人物じんぶつとしてはアイゼンハワー大統領だいとうりょう、ニクソン大統領だいとうりょう等とうがいる。

ザ・ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットには多おおくの人々ひとびとが描えがかれ、2ヵ所かしょに登場とうじょうするのはバンドメンバーを除のぞくと彼女かのじょしかいない。 1964年ねん8月がつのカウ・パレス公演こうえんの前まえにビートルズと対面たいめんしている。

歌うたを取上とりあげるなら、アニメ映画えいが『シュレック3』で登場とうじょう人物じんぶつのクッキーマンがシャーリーの主演しゅえん作さく『輝かがやく瞳ひとみ』の劇げき中歌なかうた 「オン・ザ・グッド・シップ・ロリポップ」(邦題ほうだい「こんぺい糖とうのお舟ふね」) を歌うたう (『シュレック3』のDVDを参照さんしょう)。TVアニメ『ザ・シンプソンズ』は過激かげきでどぎついギャグで有名ゆうめいで、あるエピソードで父親ちちおやのホーマーはキングコングに変身へんしんし街がいを破壊はかいしてまわり、劇場げきじょうでシャーリー・テンプルに出会であってしばらく歌うたを聴きく。改心かいしんするかと思おもいきや、突然とつぜん、彼女かのじょを飲のみ込こんでしまう (第だい4シーズン第だい4エピソード「恐怖きょうふのツリーハウス3」 (9F04))。別べつのエピソードではタップダンスがうまい彼女かのじょのパロディとして、タップダンス教師きょうしリトル・ヴィッキー・ヴァレンタインが登場とうじょうすると最後さいごに「オン・ザ・スペースシップ・ロリポップ」という替かえ歌うたを歌うたう (シャーリーの持もち歌うたは「オン・ザ・〈グッド・シップ〉・ロリポップ」。第だい11シーズン第だい20エピソード「スプリングフィールド最後さいごのタップダンス」 (BABF15))。

アメリカ映画えいが界かいの大だいスターの例れいにならい、6歳さいの1934年ねんにハリウッドのグローマンズ・チャイニーズ・シアターの前まえの路面ろめんに手てと足あしの型かたを残のこす。足型あしがたは史上しじょう初はつの裸足はだしで、その原因げんいんはちょうど永久歯えいきゅうしに生はえ変かわる時期じきでもあり、折おり悪あしく式典しきてんの途中とちゅうで乳ちち前歯まえばがポロリと抜ぬけてしまったからだった。多数たすうの新聞しんぶん記者きしゃとカメラマンに取とり囲かこまれ、つめかけたファンが目めをこらすなか、シャーリーはとっさの機転きてんで口くちを閉とじたままほほえむと靴くつを脱ぬぎ、カメラと人々ひとびとの目線めせんを足元あしもとに導みちびいて裸足はだしで足型あしがたを残のこして歯はが抜ぬけた顔かおを見みせなかったという。ヴァイン通どおり1500番地ばんちのハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの星ほしに「シャーリー・テンプル (映画えいが)」という銘めいが刻きざまれた (ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの星ほしの一覧いちらんも参照さんしょう)。

20世紀せいきフォックスの本社ほんしゃビルが建設けんせつされたのはシャーリーのおかげで破産はさんを免まぬかれた後のちであり、ビルの正面しょうめん玄関げんかんに金箔きんぱくを貼はった少女しょうじょ時代じだいのシャーリーの小ちいさな銅像どうぞうが置おかれた。かつてはその前まえを通とおる社員しゃいんは重役じゅうやくであれ誰だれであれ、一度いちど立たち止どまって会社かいしゃを救すくってくれた恩人おんじんに頭あたまを下さげる慣ならわしだったという。その後ご、ビルは老朽ろうきゅう化かにより取とり壊こわされたものの、スタジオの庭にわには今いまも初代しょだいより大おおきな2代目だいめの銅像どうぞうが立たつ。また同社どうしゃの社内しゃない託児たくじセンターはシャーリー・テンプル託児たくじセンターと命名めいめいされた。

グレアム・グリーン事件じけん

1930年代ねんだいのヨーロッパでは、シャーリー・テンプルについて大衆たいしゅう向むきのタブロイド紙しが様々さまざまな珍妙ちんみょうな記事きじを書かきたてた。イギリスでは、実じつは30歳さいで7歳さいの子供こどもがいると書かく。つるっぱげでカツラをかぶっているという記事きじがフランスのタブロイド紙しに載のった。あるいはまた、母親ははおやがすごいステージ・ママだったせいでノイローゼになっていると記しるしたものもある。当然とうぜん、今いまとなってはそういう内容ないようを真しんに受うけ取とる人ひとはいない。

1937年ねんにイギリスの高名こうみょうな作家さっかグレアム・グリーンは編集へんしゅうする雑誌ざっし『ナイト・アンド・デイ』に、家族かぞく向むけの映画えいが『テンプルの軍使ぐんし』を見みた中年ちゅうねん男性だんせいの観客かんきゃくが9歳さいのシャーリー・テンプルに欲情よくじょうをそそられるという趣旨しゅしの批評ひひょうを書かく。結果けっか、イギリス世論せろんの怒いかりを買かい20世紀せいきフォックスから告訴こくそされ、敗訴はいそして雑誌ざっしは廃刊はいかん。(ただし廃刊はいかんは敗訴はいそ三さんか月げつ前まえのことで、原因げんいんは資金繰しきんぐりの失敗しっぱいであって実じつは裁判さいばんとは関連かんれんが薄うすいという)。これをきっかけに彼かれは映画えいが評論ひょうろんの仕事しごとを絞しぼり、以後いごは小説しょうせつに集中しゅうちゅうしていく。

『テンプルの軍使ぐんし』は主おもに子供こどもを対象たいしょうにした健全けんぜんな「家族かぞく向むけ」の作品さくひんであり、またシャーリー・テンプルはアメリカでもっとも品しなの良よい少女しょうじょスターと認みとめられていたことから、グリーンの批評ひひょうは非常ひじょうに奇異きいなものとして受うけとめられた。1930年代ねんだいの欧米おうべいでは一般いっぱんにタブロイド紙しの「子役こやくのシャーリー・テンプルは実じつは30歳さいで7歳さいの子持こもち」という記事きじを彼かれがうのみにして、勇いさみ足あしをしたものと理解りかいされた。

その後ご1990年ねん、晩年ばんねんにグリーンのロリータ・コンプレックスが明あかされると様相ようそうが一変いっぺんする。伝記でんき作家さっかマイクル・シェリダンによれば、趣味しゅみを疑うたがわせるものはすでにいくつかあったという。家族かぞく向むけ映画えいが『テンプルの燈台守とうだいもり』に登場とうじょうする、肌はだに張はり付つくズボンをはく8歳さいのシャーリー・テンプルはセクシーだと書かき、『オズの魔法使まほうつかい』のジュディ・ガーランドの足あしは「心地ここちよい」とも記しるした。小説しょうせつ『権力けんりょくと栄光えいこう』に官能かんのう的てきな7歳さいの少女しょうじょを登場とうじょうさせ、またウラジミール・ナボコフの『ロリータ』の擁護ようご者しゃとしても知しられている。死しの少すこし前まえ、高名こうみょうな歴史れきし家かレイモンド・カーがエッセイ新聞しんぶん『スペクテーター』に載のせた記事きじからグリーンがハイチに出でかけては児童じどう買春ばいしゅんをしていたと暴あばかれて少女しょうじょ愛あい疑惑ぎわくは決定的けっていてきになる。あるいはまた小説しょうせつ家かフランシス・キングの、リゾート地ちブライトンで幼おさない少女しょうじょを求もとめていたとする証言しょうげんもあった。グリーンは訴うったえられた後のち、イギリスと犯罪はんざい者しゃ引渡ひきわたし条約じょうやくがないメキシコに逃亡とうぼうしている。民事みんじ訴訟そしょうに対たいする反応はんのうにしては過剰かじょうともいえ、少女しょうじょ買春ばいしゅんが発覚はっかくして刑事けいじ事件じけんに発展はってんすることを恐おそれたと考かんがえれば納得なっとくがいく。

現在げんざいこの『テンプルの軍使ぐんし』や『テンプルの燈台守とうだいもり』への批評ひひょうは、著者ちょしゃのロリコン趣味しゅみを表あらわしたものだと考かんがえられ、シェリダンはグリーンのこれらの批評ひひょうについて童女どうじょの「臀部でんぶ」に思おもいをめぐらせた「奇妙きみょうきてれつさ」を示しめしている。ただしグリーンの指摘してきが一般いっぱん的てきに正ただしかったかどうかと、本人ほんにんがどういう人間にんげんだったかとは全まったく別べつの問題もんだいという反論はんろんも可能かのうである。詳くわしくは人身じんしん攻撃こうげきの項こうを参照さんしょう。

主おもな出演しゅつえん作品さくひん

詳細しょうさいは「シャーリー・テンプルの出演しゅつえん作品さくひん」を参照さんしょう

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

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• Kennedy-Minott, Rodney (1968). The Sinking of the Lollipop: Shirley Temple vs. Pete McCloskey (2nd ed.). Diablo Press 
• ケストナー, エーリッヒ. 『ふたりのロッテ』. 岩波書店いわなみしょてん 
• Windeler, Robert (1978). The Films of Shirley Temple (reissue ed.). Citadel Press. ISBN 978-0-8065-0725-5 
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• Black, Shirley Temple (1988). Child Star: An Autobiography. McGraw Hill. ISBN 978-0-0700-5532-2 
• Haskins, James; Ruff, Donna (1988). Shirley Temple Black: Actress to Ambassador. Viking Kestrel Books. ISBN 978-0-6708-1957-7 
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• Edwards, Anne (1989). Shirley Temple: American Princess (2nd ed.). Berkley Publishing Co 
• ブラック, シャーリー・テンプル 大社たいしゃ貞子さだこ訳やく (1992a). 『シャーリー・テンプル：私わたしが育そだったハリウッド（上うえ）』. 平凡社へいぼんしゃ. ISBN 978-4-582-37321-9 
• ブラック, シャーリー・テンプル 大社たいしゃ貞子さだこ訳やく (1992b). 『シャーリー・テンプル：私わたしが育そだったハリウッド（下した）』. 平凡社へいぼんしゃ. ISBN 978-4-582-37320-2 
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• Blashfield, Jean F (2001). Shirley Temple Black: Actor and Diplomat. Ferguson Publishing Co.. ISBN 978-0-8943-4338-4 
• Burdick, Lorain (2001). The Shirley Temple Scrapbook. Jonathan David Publishers. ISBN 978-0-824-60449-3 
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• Bervaldi-Camaratta, Tonya (2006). The Complete Guide to Shirley Temple Dolls and Collectibles. Identification & Values (3rd ed.). Collector Books. ISBN 978-1-5743-2505-8 
• Dubas, Rita (2006). Shirley Temple: A Pictorial History of the World's Greatest Child Star. Aplause Theatre & Cinema Books. ISBN 978-1-5578-3672-4 
• Gertrude Temple; Mary Sharon (Contributor) (2007). How I Raised Shirley Temple (revised ed.). Kessinger Publishing, LLC. ISBN 978-1-4325-2861-4 

ビデオ

• Andy Thomas; Jeff Scheftel (26 October 1999). Biography: Shirley Temple - The Biggest Little Star. (DVD, Black & White, Color). A&E Home Video. ASIN B000006QHC。 (英語えいご)
  • シャーリー・テンプルの伝記でんき。代表だいひょう作さくの秘蔵ひぞう場面ばめん集しゅうや共演きょうえん者しゃ（アリス・フェイほか）のインタビューを交まじえ、天才てんさい子役こやく、およそ20年ねんにわたる政界せいかいでの活躍かつやくから乳癌にゅうがんとの闘病とうびょうを公表こうひょうしたことを含ふくめ紹介しょうかい。
• Biography: Shirley Temple - Hollywood's Little Princess. (DVD, Multiple Formats, Black & White, Color, NTSC). A&E Home Video. 14 December 2010. ASIN B003Z88IJE。 (英語えいご)
  • シャーリー・テンプルの伝記でんき。代表だいひょう作さくの秘蔵ひぞう場面ばめん集しゅう、友人ゆうじんや映画えいが関係かんけい者しゃへのインタビューを交まじえ、映画えいが界かいから政界せいかい、闘病とうびょう、晩年ばんねんまで描えがく。
• 『アメリカ映画えいがベスト100 俳優はいゆう編へん』. アメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) 編へん (DVD, Color, Dolby). パイオニアLDC. 25 January 2002. ASIN B00005UJLI。
  • AFI 設立せつりつ30周年しゅうねん記念きねん「アメリカ映画えいが史し100年ねん」式典しきてんで総合そうごう司会しかいをつとめるシャーリー・テンプル。AFI が選定せんていした映画えいが界かいトップスターを男女だんじょ25人にんずつカウント・ダウン方式ほうしきで紹介しょうかい。ゲストのコメント入いり。
  • 「CD ジャーナル」データベースより。フレッド・アステア、ジョン・ウェイン、マリリン・モンロー、ソフィア・ローレン、ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウッド、アンジョリーナ・ジョリー他た。

ウェブサイト

• 公式こうしきウェブサイト (英語えいご) http://www.shirleytemple.com

• “アメリカ外交がいこうアカデミーの設立せつりつ委員いいん一覧いちらん (1983年ねん以前いぜん) (英語えいご)”. American Academy of Diplomacy. 2015年ねん6月がつ1日にち閲覧えつらん。

• “シャーリー・テンプル・ブラックさん： 各界かくかいで著名ちょめいな功績こうせきを挙あげた女性じょせいたち NASA Quest Female Frontiers (英語えいご)”. NASA. 2008年ねん3月がつ閲覧えつらん。

• “シャーリー・テンプル・ブラックの履歴りれき (英語えいご)”. ジョン・F・ケネディセンター. 2008年ねん3月がつ閲覧えつらん。

• Eames, Tom (2014年ねん2月がつ11日にち). “訃報ふほう シャーリー・テンプル・ブラックさん享年きょうねん85 (英語えいご)”. Digital Spy. http://www.digitalspy.co.uk/movies/news/a550347/hollywood-icon-shirley-temple-dies-aged-85.html 2015年ねん5月がつ2日にち閲覧えつらん。 

• Bergan, Ronald (2002年ねん4月がつ13日にち). “ジョン・エイガー訃報ふほう (英語えいご)”. 電子でんし版ばんガーディアン紙かみ. http://www.theguardian.com/news/2002/apr/13/guardianobituaries.filmnews 2015年ねん6月がつ1日にち閲覧えつらん。 

• “シャーリー・テンプル・ブラックさんと話はなそう： NASA Quest チャットの記録きろく (英語えいご)”. NASA (1999年ねん3月がつ26日にち). 2015年ねん6月がつ1日にち閲覧えつらん。

その他たの参考さんこう資料しりょう

• Black, Shirley Temple. Child Star. McGraw Hill, 1988.
• Blashfield, Jean F. Shirley Temple Black: Actor and Diplomat. Ferguson Publishing Co., 2001.
• Hamonntree, Pasty Guy. Shirley Temple Black: Bio-Bibliography. Overlook Press, 1998.
• Temple, Shirley. My Young Life. Garden City Publishing Co., 1945.
• Temple, Gertrude. How I Raised Shirley Temple: By Her Mother. Saalfield Publishing Co., 1935.（2007年ねんに復刻ふっこく版ばん出版しゅっぱん）

関連かんれん項目こうもく

• シャーリー・テンプルの出演しゅつえん作品さくひん
• アメリカ映画えいが主題歌しゅだいかベスト100
• 映画えいがスターベスト100
• ミュージカル映画えいがベスト

外部がいぶリンク

• Shirley Temple movies for free download (Archive.org)
• Shirley Temple - IMDb（英語えいご）
• シャーリー・テンプル - allcinema
• アカデミー賞しょうの統計とうけい (映画えいが芸術げいじゅつ科学かがくアカデミー) （英語えいご）