南みなみコーカサス

南みなみコーカサス（みなみコーカサス）あるいはザカフカジエ（ロシア語ご：Закавказье,ラテン文字もじ転写てんしゃ例れい: Zakavkazʹe）は、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアの3国こくの総称そうしょう。ロシア語ごとしては不正ふせい確かくだがザカフカス、ザカフカース、南みなみカフカスとも。また英語えいごではトランスコーカシア （Transcaucasia）またはトランスコーカサス（Transcaucasus）。

ザカフカジエ、トランスコーカシア（トランスコーカサス）との呼称こしょうは、それぞれロシア語ご・ラテン語らてんごで「コーカサス山脈さんみゃくの向むこう側がわ」という意味いみであり、北きたのロシア側がわから見みた呼称こしょうであるため、「向むこう側がわ」とは「南みなみ側がわ」を意味いみする。この呼称こしょうはモスクワ中心ちゅうしんの考かんがえであることから、近年きんねん、日本にっぽんの文献ぶんけんでは避さけられる傾向けいこうがある^[1]。なお、厳密げんみつにはロシアのソチ周辺しゅうへんは南側みなみがわ、アゼルバイジャンのダヴァヒ県けん・クバ県けん・クサル県けん・シヤザン県けん・ハヒマズ県けん・ヒジ県けんは北側きたがわに位置いちする。

北きたはロシア、南みなみはトルコとイラン、西にしは黒海こっかい、東ひがしはカスピ海かすぴかいに囲かこまれる。ヨーロッパではなくアジアに属ぞくするが、長ながくソビエト連邦れんぽう領りょうだったこともあり、西にしアジアや中東ちゅうとうには含ふくめないことが多おおい。

コーカサスはコーカサス山脈さんみゃく周辺しゅうへんの地域ちいきをさすが、その南部なんぶを占しめる。しばしば、ザカフカジエとの呼称こしょうで単たんにカフカース、コーカサスを指さすこともあるが、文脈ぶんみゃくによって（特とくにロシアに関かんする話題わだいで）は北きたコーカサスを意味いみすることも多おおいので注意ちゅういを要ようする。

地形ちけい[編集へんしゅう]

ジョージア西部せいぶのコルヒダ低地ていち、アゼルバイジャン中ちゅう東部とうぶのクラアラクス低地ていちを除のぞけば、山岳さんがく地ちである。南部なんぶには小しょうカフカス山脈さんみゃくがある。

民族みんぞく[編集へんしゅう]

それぞれの国家こっかの主要しゅよう民族みんぞくはそれぞれアゼルバイジャン人じん、アルメニア人じん、カルトヴェリ人じん（狭義きょうぎのグルジア人じん）である。ほかに少数しょうすう民族みんぞくとして、ソ連それん時代じだいの移民いみんの子孫しそんであるロシア人じん、ジョージアのアブハジア人じん、アジャール人じん、オセット人じん、ギリシア人じん、アルメニアのクルド人じん、アゼルバイジャンのレズギ人ぎじん、タリシュ人じんなどがいる。

ジョージアの主要しゅよう少数しょうすう民族みんぞくは、民族みんぞく自治じち区くとしてアブハジア自治じち共和きょうわ国こく、アジャリヤ自治じち共和きょうわ国こく、南みなみオセチア自治じち州しゅうを形成けいせいしている。アブハジアと南みなみオセチアでは独立どくりつ運動うんどうが盛さかんで、ジョージア政府せいふの権力けんりょくの及およばない事実じじつ上じょうの独立どくりつ国こくとなっている。

アゼルバイジャン人じんとアルメニア人じんの居住きょじゅう地域ちいきは複雑ふくざつに入はいり込こんでおり、民族みんぞく紛争ふんそうの火種ひだねとなっている。アゼルバイジャンはアルメニアとイランに囲かこまれた地域ちいきに飛とび地ちのナヒチェヴァン自治じち共和きょうわ国こくを領有りょうゆうしている。アゼルバイジャン・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくのアルメニア人じん自治じち州しゅうであったナゴルノ・カラバフは、アルメニアの支援しえんを受うけ、事実じじつ上じょうの独立どくりつ国こくとなっている。これらの地域ちいきを含ふくむ国境こっきょう地帯ちたいでは、民族みんぞく浄化じょうか（虐殺ぎゃくさつはまれで主おもに強制きょうせい移住いじゅうや難民なんみん）により、小ちいさな民族みんぞく的てき飛とび地ちや混こん住じゅう地域ちいきが消滅しょうめつしている。