ズケンティラヌス

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ズケンティラヌス
生息せいそく年代ねんだい: はく亜紀あき後期こうき, 73.5 Ma
復元ふくげんした骨格こっかく
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
階級かいきゅうなし : とり吻類 Averostra
下目しため : テタヌラ下目しため Tetanurae
階級かいきゅうなし : コエルロサウルスるい Coelurosauria
うえ : ティラノサウルスうえ Tyrannosauroidea
: ティラノサウルス Tyrannosauridae
: ティラノサウルス Tyrannosaurinae
ぞく : ティラノサウルスぞく Tyrannosaurini
ぞく : ズケンティラヌスぞく Zhuchengtyrannus
学名がくめい
Zhuchengtyrannus Hone et al., 2011
タイプしゅ
Zhuchengtyrannus magnus
Hone et al., 2011
シノニム

Tyrannosaurus zhuchengensis ?
Hu et al., 2001

ズケンティラヌス(学名がくめい Zhuchengtyrannus)は中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき後期こうき中国ちゅうごく生息せいそくしたティラノサウルスししあしるいであり、タルボサウルスよりも大柄おおがらである。2009ねん中国ちゅうごく山東さんとうしょうしょしろちかくのからしかくしょうるいそう発見はっけんされた。ズケンティラヌス・マグヌスただ1しゅのみをふくむ。ズーチェングティラヌスあらわされるこもある。

発見はっけん[編集へんしゅう]

発見はっけんされた部位ぶい

デイヴィッド・W・E・ホーン、コーウィン・スリヴァン、おうかつかしわちょうすすむじょほしきょうあつしけいなどの生物せいぶつ学者がくしゃにより2011ねん記載きさいされ、しきしゅはズケンティラヌス・マグヌスである。ぞくめい発見はっけんされた地域ちいきであるしょしろしめす「Zhucheng」とティラノサウルスとしての系統けいとうがくてき位置いちしめす「tyrant」からる。たね小名しょうみょうの「magnus」はラテン語らてんごで「巨大きょだいな」という意味いみであり、ズケンティラヌスの体格たいかく示唆しさしている。全体ぜんたいでは「巨大きょだいしょしろ暴君ぼうくん」という意味いみになる[1]

ズケンティラヌスはタイプ標本ひょうほん ZCDM V0031 のみが発見はっけんされており、これは上顎じょうがくみぎかた一部いちぶしたあごひだりかた一部いちぶおよびそれぞれのれつである。この標本ひょうほんしょしろ中国ちゅうごく暴竜かん所蔵しょぞうされており、レプリカ標本ひょうほん IVPP FV 1794 は中国科学院ちゅうごくかがくいん脊椎動物せきついどうぶつ古人こじんるいがく研究所けんきゅうじょ所蔵しょぞうされている。ZCDM V0031 はすくなくとも7350まんねんまえはく亜紀あき後期こうきカンパニアンのものであり、しょ城市じょうしの臧家そう採石さいせきじょうから収集しゅうしゅうされた。臧家そう採石さいせきじょうからはほかにもティラノサウルスれつ標本ひょうほん ZCDM V0030 や上顎じょうがく標本ひょうほん ZCDM V0030 が発見はっけんされている。これらの標本ひょうほんたがいに関係かんけいせいたないが、後者こうしゃ2つの標本ひょうほんはズケンティラヌスもふくめてのティラノサウルスことなり、採石さいせきじょうからすくなくとももう1つべつのティラノサウルス発見はっけんされたことを示唆しさしている。ティラノサウルス断片だんぺん化石かせき以外いがいでは、シャントゥンゴサウルス推定すいていされているハドロサウルス恐竜きょうりゅうシノケラトプスおよアンキロサウルス標本ひょうほん収集しゅうしゅうされている[1]。ズケンティラヌスははく亜紀あき後期こうきカンパニアンにおいて氾濫はんらんばらであった地域ちいき発見はっけんされ、ここには世界せかいもっと恐竜きょうりゅうほね密集みっしゅうしている地域ちいきの1つがふくまれている[2]

形態けいたい[編集へんしゅう]

ヒトとのおおきさの比較ひかく

全長ぜんちょうは10メートルから12メートル、体重たいじゅうは5.4トンと推定すいていされている。大半たいはんティラノサウルス標本ひょうほんよりもわずかにちいさく、大半たいはんのタルボサウルスの標本ひょうほんかすかに上回うわまわおおきさである[1]最大さいだいきゅうのティラノサウルスの標本ひょうほんであるスーのほね対応たいおうして比較ひかくすると小柄こがらである[3]

ズケンティラヌスの想像そうぞう生態せいたい復元ふくげん

ズケンティラヌスの頭骨とうこつには独自どくじ特徴とくちょうられ、上顎じょうがく基部きぶ水平すいへい段差だんさ存在そんざいすることや、上顎じょうがくあな前方ぜんぽうまるくぼみがありぜん窩窩周辺しゅうへん以上いじょう段差だんさぜん眼窩がんかまど周辺しゅうへんしょうじていることからティラノサウルス識別しきべつ可能かのうである。まただいぜん眼窩がんかまど全長ぜんちょうぜん窩窩とぜん眼窩がんかまどぜんえんあいだ距離きょり半分はんぶん以上いじょうとなっている。おな時代じだい生息せいそくしていたタルボサウルスとはことなり、ズケンティラヌスには上顎じょうがく頬骨ほおぼねしもあごえだ皮下ひかの突縁が存在そんざいせず、中央ちゅうおう後部こうぶ根元ねもとおお内側うちがわとつじょう構造こうぞうぶついている[1]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

ティラノサウルス・ズケンゲンシスと説明せつめいされているほね
ティラノサウルス・ズケンゲンシスと説明せつめいされている

これまでティラノサウルス・ズケンゲンシス(Tyrannosaurus zhuchengensis)として命名めいめいされていたしょしろ恐竜きょうりゅう発掘はっくつ現場げんば恐竜きょうりゅうがズケンティラヌスのシノニムである可能かのうせい浮上ふじょうしている。ティラノサウルス・ズケンゲンシスのかんむり底部ていぶまで鋸歯きょしじょう構造こうぞうつづくというのティラノサウルスにはられない特徴とくちょうがあり、ズケンティラヌスのはそれと比較ひかくできるほどのかずそろっていないものの、今後こんご発見はっけん両者りょうしゃ関係かんけいせいあきらかになることが期待きたいされている[1]

ティラノサウルスぞくするリトロナクス記述きじゅつとともに、科学かがく雑誌ざっし PLOS ONE において、タルボサウルスの姉妹しまいぐんにズケンティラヌスを配置はいちする系統けいとう発生はっせい解析かいせき発表はっぴょうされた。ズケンティラヌスおよのアジアのティラノサウルス恐竜きょうりゅうは、のちにティラノサウルスが誕生たんじょうすることとなる同一どういつ系統けいとうから分岐ぶんきした、ティラノサウルスにもっときんえん位置いちにいるものとあつかわれている。以下いかは2013ねん研究けんきゅうもとづく系統けいとうである。

ティラノサウルス

ゴルゴサウルス

アルバートサウルス

ティラノサウルス

ダスプレトサウルス・トロスス

ダスプレトサウルス・ホーネリ

テラトフォネウス

ビスタヒエヴェルソル

リトロナクス

ティラノサウルス

タルボサウルス

ズケンティラヌス

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e David W. E. Hone, Kebai Wang, Corwin Sullivan, Xijin Zhao, Shuqing Chen, Dunjin Li, Shuan Ji, Qiang Ji and Xing Xu (2011). “A new, large tyrannosaurine theropod from the Upper Cretaceous of China”. Cretaceous Research 32 (4): 495–503. doi:10.1016/j.cretres.2011.03.005. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667111000371. 
  2. ^ New dino in same league as T. rex”. Sydney Morning Herald (2011ねん4がつ1にち). 2011ねん4がつ3にち閲覧えつらん
  3. ^ Hone D, "So just how big was Zhuchengtyrannus?", archosaurmusings.wordpress.com, 3-4-2011.