ティラノサウルス科 か (ティラノサウルスか、学名 がくめい : Tyrannosauridae ) は、ティラノサウルス上 うえ 科 か に属 ぞく する獣 しし 脚 あし 類 るい の恐竜 きょうりゅう の科 か 。同上 どうじょう 科 か の恐竜 きょうりゅう の中 なか では大型 おおがた から超 ちょう 大型 おおがた であり、後期 こうき 白 はく 亜紀 あき の北 きた アメリカ大陸 あめりかたいりく とアジア に生息 せいそく した。解剖 かいぼう 学 がく 的 てき 特徴 とくちょう は共通 きょうつう 性 せい が高 たか いが、幼体 ようたい やより小型 こがた の属 ぞく 種 しゅ の体 からだ は華奢 きゃしゃ で、大型 おおがた の属 ぞく 種 しゅ の成体 せいたい は頑強 がんきょう な体格 たいかく を有 ゆう する[ 2] 。
より小型 こがた の祖先 そせん の子孫 しそん であるにも拘 かか わらず、ティラノサウルス科 か の恐竜 きょうりゅう はほぼ常時 じょうじ 各々 おのおの の生態 せいたい 系 けい において最大 さいだい の捕食 ほしょく 動物 どうぶつ であり、食物 しょくもつ 連鎖 れんさ の頂点 ちょうてん に位置 いち していた。最大 さいだい の種 たね Tyrannosaurus rex で、これは既知 きち の陸上 りくじょう 捕食 ほしょく 動物 どうぶつ では最大 さいだい かつ最 もっと も頑強 がんきょう であり、最大 さいだい 全長 ぜんちょう は13メートルに達 たっ し[ 3] 、最大 さいだい 体重 たいじゅう は8.4 - 14トンと推定 すいてい されている[ 3] [ 4] [ 5] [ 注 ちゅう 1] 。二 に 足 そく 歩行 ほこう 性 せい であり、顎 あご にはD字 じ 型 がた の断面 だんめん を持 も つ歯 は がU字 じ 型 がた に配列 はいれつ し、吻部の先端 せんたん は丸 まる みを帯 お びる。長 なが い後肢 あとあし からは他 た の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい と比較 ひかく して移動 いどう 速度 そくど の向上 こうじょう が示唆 しさ されるが、その一方 いっぽう で前肢 ぜんし は手 て としての機能 きのう を保持 ほじ しつつも退化 たいか しており、指 ゆび も退 すさ 縮 ちぢみ して2本 ほん になっている[ 2] 。
Deinodon の歯 は 。最初 さいしょ 期 き に知 し られたティラノサウルス科 か の化石 かせき
ティラノサウルス科 か の最初 さいしょ の化石 かせき が発見 はっけん されたのはカナダ地質調査所 ちしつちょうさしょ (英語 えいご 版 ばん ) による遠征 えんせい の際 さい であり、その際 さい には無数 むすう の離散 りさん した歯 は が発見 はっけん された。これらの明 あき らかな恐竜 きょうりゅう の歯 は は1856年 ねん にジョセフ・ライディ が Deinodon (「怖 こわ ろしい歯 ぱ 」)として命名 めいめい した。ティラノサウルス科 か の最初 さいしょ の良好 りょうこう な標本 ひょうほん はアルバータ州 しゅう のホースシューキャニオン累 るい 層 そう で発見 はっけん されたものであり、部分 ぶぶん 的 てき な骨格 こっかく を伴 ともな うほぼ完全 かんぜん な頭蓋骨 ずがいこつ から構成 こうせい されていた。これらの化石 かせき は1876年 ねん にエドワード・ドリンカー・コープ が最初 さいしょ に研究 けんきゅう し、東方 とうほう のティラノサウルス上 うえ 科 か の属 ぞく ドリプトサウルス の種 たね のものであると考 かんが えた。1905年 ねん 、ヘンリー・フェアフィールド・オズボーン はアルバータ州 しゅう の化石 かせき をドリプトサウルスと顕著 けんちょ に異 こと なるものであると認識 にんしき し、Albertosaurus sarcophagus (「肉 にく を食 た べるアルバータのトカゲ」)と命名 めいめい した[ 6] 。1892年 ねん にコープは他 た のティラノサウルス類 るい の骨 ほね を記載 きさい しており、記載 きさい された単 たん 離 はな した椎骨 ついこつ はManospondylus gigas と命名 めいめい された。この発見 はっけん は100年 ねん 以上 いじょう に亘 わた って見落 みお とされており、やがて本 ほん 標本 ひょうほん が実際 じっさい にはTyrannosaurus rex のものであり、さらに当該 とうがい の学名 がくめい に対 たい して先取 せんしゅ 権 けん を持 も つことが判明 はんめい すると、2000年代 ねんだい 初頭 しょとう に議論 ぎろん を呼 よ んだ[ 7] 。
アウブリソドン に割 わ り当 あ てられた歯 は
1905年 ねん にアルバートサウルスを命名 めいめい する論文 ろんぶん を発表 はっぴょう したオズボーンは、同年 どうねん にさらなるティラノサウルス類 るい の2標本 ひょうほん を記載 きさい した。これらの標本 ひょうほん はアメリカ自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん が1902年 ねん に行 い ったバーナム・ブラウン 率 ひき いる遠征 えんせい においてモンタナ州 しゅう とワイオミング州 しゅう で発見 はっけん されたものであり、オズボーンは当初 とうしょ これらの標本 ひょうほん を別種 べっしゅ のものであると考 かんが えた。彼 かれ は1つの標本 ひょうほん に Dynamosaurus imperiosus (「力 ちから のトカゲの皇帝 こうてい 」)、もう1つの標本 ひょうほん に Tyrannosaurus rex (「暴君 ぼうくん トカゲの王 おう 」)と命名 めいめい した。1年 ねん 後 ご 、オズボーンはこれらの2標本 ひょうほん が同 おな じ種 しゅ に由来 ゆらい するものであると認識 にんしき した。最初 さいしょ に発見 はっけん されたのはディナモサウルスの方 ほう であったが、ティラノサウルスという名前 なまえ が原 げん 記載 きさい において1ページ先 さき に記載 きさい されていたため、ティラノサウルスの名前 なまえ が用 もち いられるようになった[ 8] 。
バーナム・ブラウンはアルバータ州 しゅう からさらなるティラノサウルス科 か 標本 ひょうほん を蒐集 しゅうしゅう しており、当該 とうがい グループに特徴 とくちょう 的 てき な2本 ほん 指 ゆび で短 みじか い前肢 ぜんし を保存 ほぞん したもの(1914年 ねん にローレンス・ラム が Gorgosaurus libratus 「均衡 きんこう のとれた熾烈 しれつ なトカゲ」として命名 めいめい )もその中 なか には含 ふく まれていた。ゴルゴサウルスに関 かか わる2つ目 め の重大 じゅうだい な発見 はっけん は1942年 ねん のもので、保存 ほぞん 状態 じょうたい が良好 りょうこう であるが異様 いよう に小型 こがた の完全 かんぜん な頭蓋骨 ずがいこつ が発見 はっけん された。当該 とうがい 標本 ひょうほん は第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 のち にチャールズ・W・ギルモア が研究 けんきゅう し、Gorgosaurus lancesnis と命名 めいめい した[ 6] 。1988年 ねん にはロバート・T・バッカー とフィリップ・J・カリー およびマイケル・ウィリアムズがこの頭蓋骨 ずがいこつ を再 さい 研究 けんきゅう し、新 しん 属 ぞく Nanotyrannus に分類 ぶんるい した[ 9] 。また、1946年 ねん にソビエト連邦 れんぽう の古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ たちはモンゴル国 こく への遠征 えんせい を開始 かいし し、アジア初 はつ のティラノサウルス類 るい の化石 かせき を発見 はっけん した。1955年 ねん に Evgeny Maleev はモンゴルの化石 かせき をティラノサウルスおよびゴルゴサウルス、そして1つの新 しん 属 ぞく Tarbosaurus (「怖 こわ ろしいトカゲ」)と命名 めいめい した。後 ご の研究 けんきゅう で、Maleev のティラノサウルス類 るい の種 たね は実際 じっさい には成長 せいちょう 段階 だんかい の異 こと なるタルボサウルスの種 たね であることが判明 はんめい した。後 のち にモンゴルで発見 はっけん された第 だい 二 に の種 たね は1976年 ねん にセルゲイ・クルザノフが記載 きさい ・命名 めいめい した Alioramus remotus (「隔 へだ たった異 こと なる枝 えだ 」)であった。ただし、アリオラムスが真 しん のティラノサウルス科 か であるか、あるいはより基盤 きばん 的 てき なティラノサウルス類 るい であるかについては、いまだ議論 ぎろん がある[ 10] [ 6] 。
ティラノサウルス 、タルボサウルス 、アルバートサウルス 、ゴルゴサウルス 、ダスプレトサウルス の大 おお きさ比較 ひかく
ティラノサウルス科 か はいずれも大型 おおがた の動物 どうぶつ であり、全 すべ ての種 たね が体重 たいじゅう 1トンを超 こ える[ 11] 。アリオラムス の1個 いっこ の標本 ひょうほん は全長 ぜんちょう 5 - 6メートルの個体 こたい と推定 すいてい されるものも発見 はっけん されているが[ 10] 、これを未 み 成熟 せいじゅく 個体 こたい と考 かんが える専門 せんもん 家 か もいる[ 11] [ 12] 。アルバートサウルス 、ゴルゴサウルス 、ダスプレトサウルス はいずれも全長 ぜんちょう 8 - 10メートルであり[ 13] 、タルボサウルス は10メートル以上 いじょう に達 たっ する[ 14] 。ティラノサウルスの最大 さいだい 級 きゅう の標本 ひょうほん の一 ひと つであるスー は全長 ぜんちょう 12.3メートルに達 たっ する[ 3] 。
部分 ぶぶん 的 てき な頭蓋骨 ずがいこつ だけが発見 はっけん されているアリオラムスを除 のぞ いて全 すべ ての属 ぞく で完全 かんぜん な頭蓋骨 ずがいこつ が得 え られているため、ティラノサウルス科 か の頭蓋骨 ずがいこつ の解剖 かいぼう 学 がく はよく理解 りかい されている[ 15] 。ティラノサウルス、タルボサウルス、ダスプレトサウルスの頭蓋骨 ずがいこつ は長 なが さ1メートルを超 こ える[ 13] 。成体 せいたい のティラノサウルス科 か は高 たか く頑強 がんきょう な頭蓋骨 ずがいこつ を持 も ち、数 すう 多 おお くの骨 ほね が癒合 ゆごう して強度 きょうど を増 ま している。同時 どうじ に、数 すう 多 おお くの頭蓋骨 ずがいこつ の間 あいだ に存在 そんざい する空洞 くうどう のチャンバーや、それらの骨 ほね の間 あいだ に位置 いち する大型 おおがた の開口 かいこう 部 ぶ (窓 まど )は、頭蓋骨 ずがいこつ の軽量 けいりょう 化 か に寄与 きよ した。高 たか い前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ や癒合 ゆごう した鼻骨 びこつ など、ティラノサウルス科 か の頭蓋骨 ずがいこつ に見 み られる数 すう 多 おお くの特徴 とくちょう は直近 ちょっきん の祖先 そせん にも見 み ることが出来 でき る[ 11] 。
ティラノサウルス科 か の頭蓋骨 ずがいこつ には数 すう 多 おお くの固有 こゆう の形質 けいしつ がある。具体 ぐたい 的 てき には、卓越 たくえつ した矢 や 状 じょう 稜 りょう (英語 えいご 版 ばん ) を伴 ともな う癒合 ゆごう した頭頂 とうちょう 骨 こつ が挙 あ げられる。この稜 りょう は矢 や 状 じょう 縫合 ほうごう (英語 えいご 版 ばん ) に沿 そ って縦 たて 方向 ほうこう に走 はし り、頭蓋 とうがい 天井 てんじょう の2つの上 じょう 側 がわ 頭 あたま 窓 まど を隔 へだ てる。これらの窓 まど の後 のち 側 がわ では、ティラノサウルス科 か は特徴 とくちょう 的 てき に高 たか い項 こう 部 ぶ のクレストを持 も ち、このクレストは縦 たて 方向 ほうこう よりもむしろ横断 おうだん 面 めん に沿 そ って頭頂 とうちょう 骨 こつ 上 じょう を走 はし る。このクレストはティラノサウルス、タルボサウルス、アリオラムスにおいて発達 はったつ する。アルバートサウルス、ダスプレトサウルス、ゴルゴサウルスは涙 なみだ 骨 こつ 上 うえ に目 め の前 まえ に高 たか いクレストを持 も つが、タルボサウルスとティラノサウルスは極端 きょくたん に厚 あつ みを帯 お びた後 こう 眼窩 がんか 骨 こつ が三日月 みかづき 形 がた のクレストを目 め の後 うし ろで形成 けいせい する。アリオラムスはその吻部の最 さい 上部 じょうぶ に1列 れつ に配列 はいれつ した6個 こ の骨質 こっしつ のクレストを持 も つ。ダスプレトサウルスとタルボサウルスではより低 ひく いクレストが報告 ほうこく された標本 ひょうほん があり、さらに基盤 きばん 的 てき なティラノサウルス上 うえ 科 か であるアパラチオサウルス とも共通 きょうつう する[ 12] [ 16] 。吻部と頭蓋骨 ずがいこつ の他 ほか の部位 ぶい にも無数 むすう の孔 あな が存在 そんざい する。D. horneri を記載 きさい した2017年 ねん の研究 けんきゅう によると、ワニ やティラノサウルス科 か に見 み られる多 た 列 れつ の神経 しんけい 血管 けっかん 孔 あな は触覚 しょっかく や鱗状 りんじょう の外皮 がいひ にも相関 そうかん がある[ 17] 。
ティラノサウルス科 か はティラノサウルス上 うえ 科 か の祖先 そせん と同様 どうよう に異 い 歯 は 性 せい を持 も ち、前上 まえかみ 顎骨 がっこつ 歯 ぱ は断面 だんめん がD字 じ 型 がた で、他 た の歯 は よりも小型 こがた である。最初 さいしょ 期 き のティラノサウルス上 うえ 科 か や他 た の獣 しし 脚 あし 類 るい と異 こと なり、成熟 せいじゅく したティラノサウルス科 か の上顎 じょうがく 骨 こつ 歯 は と歯 は 骨 こつ 歯 は はブレード状 じょう ではなく極端 きょくたん に厚 あつ く、また断面 だんめん は丸 まる みを帯 お びており、いくつかの種 たね では鋸歯 きょし が減少 げんしょう している[ 11] 。歯 は の本数 ほんすう は種 たね のうちで一定 いってい しており、大型 おおがた の種 たね では小型 こがた の種 たね よりも少 すく ない傾向 けいこう がある。例 たと えば、アリオラムスは76 - 78本 ほん 、ティラノサウルスは54 - 60本 ほん の歯 は を持 も つ[ 18] 。
ウィリアム・エイブラーは2001年 ねん に、アルバートサウルスの歯 は の鋸歯 きょし が歯 は の割 わ れ目 め に類似 るいじ し、膨大 ぼうだい 部 ぶ と呼称 こしょう される丸 まる い空洞 くうどう に帰着 きちゃく することを観察 かんさつ した[ 19] 。ティラノサウルス科 か の歯 は は体 からだ から肉 にく を引 ひ っ張 ぱ るための留 と め具 ぐ として用 もち いられ、そのためティラノサウルス類 るい が肉片 にくへん を引 ひ き剥 は がす際 さい の張力 ちょうりょく によって割 わ れ目 め のような鋸歯 きょし が歯 は の一 いち 面 めん に広 ひろ がった可能 かのう 性 せい がある[ 19] 。しかし、膨大 ぼうだい 部 ぶ があれば、これらの力 ちから をより大 おお きな表面積 ひょうめんせき に分散 ぶんさん させ、負担 ふたん のかかった歯 は が損傷 そんしょう するリスクを軽減 けいげん できた[ 19] 。空洞 くうどう に帰着 きちゃく する切 き れ込 こ みの存在 そんざい は、人間 にんげん の工学 こうがく とも相 そう 等 ひと しい。エイブラーの説明 せつめい によると、ギター メーカーは空洞 くうどう に帰着 きちゃく する切 き れ込 こ みを入 い れることで柔軟 じゅうなん 性 せい と剛性 ごうせい を交互 こうご に木材 もくざい に与 あた えるとのことである[ 19] 。また航空機 こうくうき の表面 ひょうめん の保護 ほご においては、ドリルで膨大 ぼうだい 部 ぶ 様 さま 構造 こうぞう を作 つく り、素材 そざい の亀裂 きれつ の伝播 でんぱ を防 ふせ ぐ方法 ほうほう が用 もち いられている[ 19] 。エイブラーは切 き れ込 こ みとドリルによる穿孔 せんこう を伴 ともな うアクリル樹脂 じゅし のバーが規則 きそく 的 てき に切 き り込 こ みを入 い れただけのものに比 くら べて25%以上 いじょう 強 つよ い強度 きょうど を持 も つことを実証 じっしょう した[ 19] 。ティラノサウルス類 るい や他 た の獣 しし 脚 あし 類 るい と異 こと なり、植 うえ 竜 りゅう 類 るい やディメトロドン などの太古 たいこ の捕食 ほしょく 動物 どうぶつ は摂食 せっしょく の力 ちから を受 う けても歯 は の切 き れ目 め 状 じょう の鋸歯 きょし が広 ひろ がらないようにする適応 てきおう を遂 と げなかった[ 19] 。
リトロナクス とテラトフォネウス の骨格 こっかく ダイアグラム
頭蓋骨 ずがいこつ は厚 あつ いS字 じ 型 がた の頸部の先端 せんたん に位置 いち しており、長 なが く重厚 じゅうこう な尾 お は頭部 とうぶ と胴 どう 部 ぶ に対 たい するカウンターウエイト として機能 きのう し、重心 じゅうしん は臀部 でんぶ に位置 いち する。ティラノサウルス科 か はプロポーション的 てき に非常 ひじょう に小型 こがた の2本 ほん 指 ゆび の前肢 ぜんし で知 し られているが、痕跡 こんせき 器官 きかん となった第 だい III指 ゆび が残 のこ る場合 ばあい もある[ 11] [ 20] 。
ゴルゴサウルス の肩 かた 甲 かぶと 骨 こつ と右 みぎ 前肢 ぜんし
ティラノサウルス科 か は後肢 あとあし で歩行 ほこう するため、その骨 ほね は頑強 がんきょう である。前肢 ぜんし とは対照 たいしょう 的 てき に、大半 たいはん の他 ほか のどの獣 しし 脚 あし 類 るい と比較 ひかく しても後肢 あとあし は体 からだ サイズに対 たい して長 なが い。幼体 ようたい やいくつかの小型 こがた の成体 せいたい では、基盤 きばん 的 てき ティラノサウルス上 うえ 科 か と同様 どうよう に、脛骨 けいこつ が大腿 だいたい 骨 こつ よりも長 なが く、オルニトミモサウルス類 るい と同様 どうよう に脚 あし の速 はや い恐竜 きょうりゅう の形質 けいしつ を示 しめ す。より大型 おおがた の成体 せいたい は動作 どうさ の緩慢 かんまん な動物 どうぶつ の後肢 あとあし のプロポーション形質 けいしつ を有 ゆう しているが、アベリサウルス科 か やカルノサウルス類 るい のような他 ほか の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい に見 み られるほどではない。ティラノサウルス科 か の第 だい III中 ちゅう 足 あし 骨 こつ は第 だい IIおよび第 だい IV中 ちゅう 足 あし 骨 こつ に挟 はさ まれて細 ぼそ くなっており、アークトメタターサル として知 し られる構造 こうぞう をなす[ 11] 。
アークトメタターサルが最初 さいしょ に進化 しんか した時代 じだい は不明 ふめい である。ディロング のような最初 さいしょ 期 き のティラノサウルス上 うえ 科 か にアークトメタターサルは存在 そんざい しないが[ 21] 、より新 あたら しい時代 じだい のアパラチオサウルス には見 み られる[ 16] 。この構造 こうぞう はトロオドン科 か やオルニトミモサウルス類 るい およびカエグナトゥス科 か (英語 えいご 版 ばん ) を特徴 とくちょう づけるが[ 22] 、最初 さいしょ 期 き のティラノサウルス上 うえ 科 か に存在 そんざい しないことから当該 とうがい の形質 けいしつ が収斂 しゅうれん 進化 しんか によるものであることが示唆 しさ される[ 21] 。
Deinodontidae という名前 なまえ は1866年 ねん にエドワード・ドリンカー・コープがこの科 か について作 つく り[ 23] 、1960年代 ねんだい まで新 あら たな名前 なまえ Tyrannosauridae の立 た ち位置 いち で用 もち いられた[ 24] 。Deinodontidae のタイプ属 ぞく は Deinodon で、モンタナ州 しゅう 産 さん の単 たん 離 はな した歯 は から命名 めいめい された[ 25] 。しかし、1970年 ねん の北 きた アメリカのティラノサウルス類 るい のレビューにおいて、デイル・ラッセル は Deinodon が有効 ゆうこう な分類 ぶんるい 群 ぐん でないと結論 けつろん し、Deinodontidae の代 か わりに Tyrannosauridae の名前 なまえ を用 もち い、国際 こくさい 動物 どうぶつ 命名 めいめい 規約 きやく と一致 いっち すると主張 しゅちょう した[ 13] 。このため、ティラノサウルス科 か という名前 なまえ が現在 げんざい の専門 せんもん 家 か から好 この まれている[ 6] 。
Tyrannosaurus は1905年 ねん にヘンリー・フェアフィールド・オズボーン が命名 めいめい し、これに伴 ともな ってティラノサウルス科 か も命名 めいめい された[ 26] 。この名前 なまえ は古代 こだい ギリシア語 ご の τυραννος (tyrannos )(「暴君 ぼうくん 」)および σαυρος (sauros )(「トカゲ」)に由来 ゆらい する。接尾 せつび 詞 し -idae は動物 どうぶつ の科 か の名前 なまえ に一般 いっぱん に付 ふ されるものであり、複数 ふくすう 名詞 めいし を示 しめ すギリシア語 ご の接尾 せつび 詞 し -ιδαι -idai に由来 ゆらい する[ 27] 。
一般 いっぱん 化 か されたタルボサウルス(A)とティラノサウルス(B)の差異 さい を示 しめ すダイアグラム
ティラノサウルス科 か はリンネ式 しき 階層 かいそう 分類 ぶんるい 体系 たいけい における科 か であり、ティラノサウルス上 うえ 科 か と獣 しし 脚 あし 亜 あ 目 め の内部 ないぶ に置 お かれる。
ティラノサウルス科 か は2つの亜 あ 科 か に細分 さいぶん される。アルバートサウルス亜 あ 科 か は北 きた アメリカの属 ぞく であるアルバートサウルス とゴルゴサウルス を含 ふく み、ティラノサウルス亜 あ 科 か はダスプレトサウルス 、テラトフォネウス 、ビスタヒエヴェルソル 、タルボサウルス 、ナヌークサウルス 、ズケンティラヌス 、ティラノサウルス を含 ふく む[ 28] 。Gorgosaurus libratus をアルバートサウルス属 ぞく に、Tarbosaurus bataar をティラノサウルス属 ぞく に含 ふく む研究 けんきゅう 者 しゃ もいるが[ 16] [ 6] [ 29] 、分 わ かれた属 ぞく としてゴルゴサウルスとタルボサウルスを維持 いじ することを好 この む研究 けんきゅう 者 しゃ もいる[ 11] [ 12] 。アルバートサウルス亜 あ 科 か はティラノサウルス亜 あ 科 か と比較 ひかく してより細身 ほそみ の体格 たいかく 、低 ひく い頭蓋骨 ずがいこつ 、プロポーション的 てき に長 なが い脛骨 けいこつ を特徴 とくちょう に持 も つ[ 11] 。ティラノサウルス亜 あ 科 か では、頭頂 とうちょう 骨 こつ の矢 や 状 じょう クレストが前 ぜん 頭骨 とうこつ 上 うえ に続 つづ く[ 12] 。2014年 ねん には、Lü Junchang et al. がティラノサウルス科 か 内 ない の族 ぞく としてアリオラムス とキアンゾウサウルス を含 ふく むアリオラムス族 ぞく を記載 きさい した。彼 かれ らの系統 けいとう 解析 かいせき では本 ほん 族 ぞく はティラノサウルス亜 あ 科 か の基底 きてい に置 お かれることが示唆 しさ された[ 30] [ 31] 。他 ほか にも George Olshevsky や Tracy Ford といった研究 けんきゅう 者 しゃ が様々 さまざま なティラノサウルス科 か 恐竜 きょうりゅう の組 く み合 あ わせでティラノサウルス亜 あ 科 か の他 ほか の下位 かい 分類 ぶんるい や族 ぞく を作成 さくせい したが[ 32] [ 33] 、これらは系統 けいとう 学 がく 的 てき に定義 ていぎ されておらず、またこれらを構成 こうせい する属 ぞく は他 た の属 ぞく や種 たね のシノニムと考 かんが えられている[ 18] 。
さらなる亜 あ 科 か はより断片 だんぺん 的 てき な属 ぞく にちなんで命名 めいめい されており、アウブリソドン 亜 あ 科 か とデイノドン 亜 あ 科 か が挙 あ げられる。しかし、アウブリソドンとデイノドンは通例 つうれい 疑問 ぎもん 名 めい と考 かんが えられており、そのため彼 かれ らや彼 かれ らのエポニムの亜 あ 科 か はティラノサウルス科 か の分類 ぶんるい から通常 つうじょう 除外 じょがい される。さらなるティラノサウルス科 か として、当初 とうしょ はより基盤 きばん 的 てき なティラノサウルス上 うえ 科 か と考 かんが えられていたが、タルボサウルスに類似 るいじ するティラノサウルス亜 あ 科 か の幼体 ようたい を代表 だいひょう する可能 かのう 性 せい が高 たか いラプトレックス がいる。しかし、本属 ほんぞく は幼体 ようたい の標本 ひょうほん しか知 し られていないため、これも疑問 ぎもん 名 めい と考 かんが えられている[ 34] 。
古 こ 脊椎動物 せきついどうぶつ 学 がく において系統 けいとう 分類 ぶんるい 学 がく が出現 しゅつげん し、ティラノサウルス科 か は複数 ふくすう の明白 めいはく な定義 ていぎ を与 あた えられている。最初 さいしょ の定義 ていぎ はポール・セレノによる1998年 ねん のもので、アレクトロサウルス やアウブリソドン あるいはナノティラヌス よりもティラノサウルスに近 きん 縁 えん な全 すべ てのティラノサウルス上 うえ 科 か が本科 ほんか に含 ふく まれた[ 35] 。しかし、ナノティラヌスはよくティラノサウルスの幼体 ようたい と考 かんが えられており、アウブリソドンも疑問 ぎもん 名 めい であるため、系統 けいとう 群 ぐん の定義 ていぎ には不適 ふてき である[ 11] 。
2001年 ねん 、トーマス・R・ホルツ・ジュニアはティラノサウルス科 か の分岐 ぶんき 分析 ぶんせき を発表 はっぴょう した[ 36] 。彼 かれ は、鋸歯 きょし の無 な い前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ 歯 は で特徴 とくちょう づけられる原始 げんし 的 てき なアウブリソドン亜 あ 科 か と、ティラノサウルス亜 あ 科 か の2亜 あ 科 か が存在 そんざい すると結論 けつろん した[ 36] 。アウブリソドン亜 あ 科 か にはアウブリソドンの他 ほか に "Kirtland Aublysodon " とアレクトロサウルス が含 ふく まれる[ 36] 。また、ホルツはシャモティラヌス がティラノサウルス科 か の共有 きょうゆう 派生 はせい 形質 けいしつ を複数 ふくすう 示 しめ すことを発見 はっけん したが、ティラノサウルス科 か には置 お かなかった[ 36] 。
同誌 どうし で後述 こうじゅつ された記述 きじゅつ にて、彼 かれ はティラノサウルス科 か を「ティラノサウルスとアウブリソドンの最 もっと も近 ちか い共通 きょうつう 祖先 そせん の全 すべ ての子孫 しそん 」として定義 ていぎ することを提唱 ていしょう した[ 36] 。また、彼 かれ はポール・セレノのものをはじめ他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ が過去 かこ に提唱 ていしょう した定義 ていぎ を批判 ひはん した[ 36] 。ホルツはナノティラヌスがティラノサウルス・レックスの幼体 ようたい の誤 あやま 同定 どうてい であると考 かんが えていたため、セレノが提唱 ていしょう した定義 ていぎ ではティラノサウルス科 か はティラノサウルス属 ぞく の下位 かい 分類 ぶんるい になるとしたのである[ 36] 。さらに、セレノの提案 ていあん した定義 ていぎ ではティラノサウルス亜 あ 科 か もティラノサウルスのみに限定 げんてい されるとした[ 36] 。
2003年 ねん にクリストファー・ブロチュはアルバートサウルス 、アレクトロサウルス 、アリオラムス 、ダスプレトサウルス 、ゴルゴサウルス 、タルボサウルス およびティラノサウルスを定義 ていぎ に加 くわ えた[ 37] 。ホルツは2004年 ねん に系統 けいとう 群 ぐん を再 さい 定義 ていぎ し、彼 かれ の分析 ぶんせき で確固 かっこ たる位置 いち に置 お かれなかったアリオラムスとアレクトロサウルスを除 のぞ いて上記 じょうき の全 すべ てを指示 しじ 子 こ として用 もち いた。しかし、彼 かれ は同 おな じ論文 ろんぶん において、エオティラヌス よりもティラノサウルスに近 きん 縁 えん な全 すべ ての獣 しし 脚 あし 類 るい を含 ふく むものとして別 べつ の定義 ていぎ も提供 ていきょう した[ 11] 。セレノによる2005年 ねん の定義 ていぎ では、ティラノサウルス科 か はアルバートサウルス、ゴルゴサウルス、ティラノサウルスを含 ふく む最 もっと も包括 ほうかつ 的 てき でない系統 けいとう 群 ぐん として定義 ていぎ された[ 38] 。
ティラノサウルス科 か 系統 けいとう の分岐 ぶんき 分析 ぶんせき では、よくタルボサウルスはティラノサウルスの姉妹 しまい 群 ぐん に置 お かれ、ダスプレトサウルスはそれらよりも基盤 きばん 的 てき な位置 いち に置 お かれる。タルボサウルスとティラノサウルスの近 きん 縁 えん 性 せい は多数 たすう の頭蓋骨 ずがいこつ の特徴 とくちょう に支持 しじ されており、特定 とくてい の骨 ほね の縫合 ほうごう 線 せん のパターン、それぞれの目 め の後 うし ろの後 のち 眼窩 がんか 骨 こつ の三日月 みかづき 型 がた をしたクレストの存在 そんざい 、下端 かたん が下 した 側 がわ に顕著 けんちょ に湾曲 わんきょく する非常 ひじょう に深 ふか い上顎 じょうがく 骨 こつ などがある[ 11] [ 16] 。2003年 ねん にフィリップ・J・カリーらが提唱 ていしょう した別 べつ の仮説 かせつ では、鼻骨 びこつ と涙 なみだ 骨 こつ を接続 せつぞく する骨質 こっしつ の先端 せんたん 部 ぶ が存在 そんざい しないことに基 もと づき、ダスプレトサウルスはアジア産 さん のタルボサウルスやアリオラムスを含 ふく む系統 けいとう 群 ぐん の基盤 きばん 的 てき メンバーであるという弱 よわ い支持 しじ が示 しめ された[ 18] 。
関連 かんれん する研究 けんきゅう でも、2属 ぞく の間 あいだ で共有 きょうゆう される下 した 顎 あご の固定 こてい 機 き 序 じょ が指摘 してき されている[ 39] 。別 べつ の論文 ろんぶん でカリーはアリオラムスがタルボサウルスの幼体 ようたい である可能 かのう 性 せい を指摘 してき したが、より卓越 たくえつ したアリオラムスの鼻骨 びこつ クレストと本数 ほんすう の多 おお い歯 は から別 べつ 属 ぞく であることが示唆 しさ されているとも主張 しゅちょう した。同様 どうよう に、カリーはナノティラヌスの歯 は の本数 ほんすう を用 もち いて同属 どうぞく がティラノサウルスと別 べつ 属 ぞく である可能 かのう 性 せい を示唆 しさ した[ 12] 。しかし、キアンゾウサウルス の発見 はっけん ・記載 きさい により、アリオラムスはタルボサウルスと近 きん 縁 えん ではなく、新 あら たに記載 きさい されたアリオラムス族 ぞく に属 ぞく するとされた。さらに、キアンゾウサウルスの存在 そんざい からは、吻部の長 なが いティラノサウルス科 か の恐竜 きょうりゅう がアジアに幅広 はばひろ く分布 ぶんぷ しており、また異 こと なる獲物 えもの を狩 か ることでより大型 おおがた かつ頑強 がんきょう なティラノサウルス亜 あ 科 か との競合 きょうごう を回避 かいひ しつつ環境 かんきょう を共有 きょうゆう していたことが明 あき らかになった[ 40] 。
Body mass (kg)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
5
10
15
20
25
30
Age (years)
Hypothesized growth curves (body mass versus age) of four tyrannosaurids
[ 44]
古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ グレゴリー・エリクソンらはティラノサウルス科 か の成長 せいちょう と生活 せいかつ 史 し を研究 けんきゅう した。ボーンヒストロジーの分析 ぶんせき からは標本 ひょうほん が死亡 しぼう した際 さい の年齢 ねんれい を決定 けってい でき、様々 さまざま な個体 こたい の年齢 ねんれい を彼 かれ らの大 おお きさに対 たい してグラフ上 じょう にプロットすれば成長 せいちょう 率 りつ を調査 ちょうさ できる。エリクソンは、ティラノサウルスが長 なが い幼体 ようたい 期間 きかん を過 す ごした後 のち 、一 いち 生涯 しょうがい の途中 とちゅう の約 やく 4年間 ねんかん に驚異 きょうい 的 てき な成長 せいちょう 期 き を迎 むか えたことを明 あき らかにした。性 せい 成熟 せいじゅく とともに急 きゅう 成長 せいちょう 期 き が終 お わると、成体 せいたい では成長 せいちょう がかなり鈍化 どんか する。ティラノサウルス類 るい の成長 せいちょう 曲線 きょくせん はS字 じ 型 がた であり、14歳 さい 前後 ぜんこう での個体 こたい の成長 せいちょう 速度 そくど が最大 さいだい となる[ 44] 。
ジェーン の骨格 こっかく のキャスト
既知 きち のティラノサウルス・レックスの個体 こたい で最小 さいしょう のものは LACM 28471であるが、これは体重 たいじゅう 僅 わず か29.9キログラムの2歳 さい の個体 こたい である。この一方 いっぽう 、最大 さいだい 級 きゅう の個体 こたい の1つとされているものが FMNH PR2081(スー )であり、体重 たいじゅう は約 やく 5654キログラム、年齢 ねんれい は28歳 さい と推定 すいてい されており、本 ほん 種 しゅ の上限 じょうげん に近 ちか かった可能 かのう 性 せい がある[ 44] 。ティラノサウルス・レックスの幼体 ようたい は約 やく 14歳 さい になるまで体重 たいじゅう 1800キログラム未満 みまん であり、約 やく 14歳 さい で劇的 げきてき に体 からだ サイズを増大 ぞうだい する。この急速 きゅうそく な成長 せいちょう 期 き の間 あいだ に、若 わか いティラノサウルス・レックスは4年間 ねんかん で年間 ねんかん 平均 へいきん 600キログラムの体重 たいじゅう 増加 ぞうか を経験 けいけん する。この成長 せいちょう 速度 そくど は16歳 さい から低下 ていか し、18歳 さい で再 ふたた びプラトーに達 たっ して劇的 げきてき に成長 せいちょう が減速 げんそく する[ 45] 。例 たと えば、28歳 さい のスーと22歳 さい のカナダの標本 ひょうほん (RTMP 81.12.1)の間 あいだ では僅 わず か600キログラムの差異 さい しかない[ 44] 。この急激 きゅうげき な成長 せいちょう 速度 そくど 変化 へんか は肉体 にくたい 的 てき な成熟 せいじゅく を示唆 しさ する可能 かのう 性 せい がある。この仮説 かせつ はモンタナ州 しゅう 産 さん の18歳 さい のティラノサウルス・レックスの標本 ひょうほん (MOR 1125、Bレックス )の大腿 だいたい 骨 こつ から骨髄 こつづい 組織 そしき が発見 はっけん されたことで支持 しじ されている[ 46] 。骨髄 こつづい 組織 そしき は排卵 はいらん 期 き の雌 めす の鳥類 ちょうるい でのみ確認 かくにん されており、このことからBレックスは繁殖 はんしょく 期 き にあったことが示唆 しさ される[ 47] 。
他 た のティラノサウルスも酷似 こくじ した成長 せいちょう 曲線 きょくせん を示 しめ すが、成体 せいたい のサイズがティラノサウルスと比較 ひかく して小 ちい さいため、成長 せいちょう 速度 そくど もそれに対応 たいおう する[ 48] 。アルバートサウルス亜 あ 科 か と比較 ひかく してダスプレトサウルスは急速 きゅうそく 成長 せいちょう 期 き における成長 せいちょう 速度 そくど が高 たか いが、これは成体 せいたい の体重 たいじゅう がより重 おも いためである。成体 せいたい 体重 たいじゅう 1800キログラムという推定 すいてい に基 もと づくと、ダスプレトサウルスの最大 さいだい 成長 せいちょう 速度 そくど は年間 ねんかん 180キログラムである。他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ はダスプレトサウルスの体重 たいじゅう をより重 おも く見積 みつ もっているため成長 せいちょう 速度 そくど の規模 きぼ は左右 さゆう されうるが、全体 ぜんたい のパターンに変化 へんか はないと考 かんが えられる[ 44] 。最 もっと も若 わか い既知 きち のアルバートサウルスはドライアイランドのボーンベッドで発見 はっけん された2歳 さい の個体 こたい で、体重 たいじゅう は約 やく 50キログラム、と推定 すいてい され、全長 ぜんちょう は2メートルを僅 わず かに上回 うわまわ る。同 おな じ産地 さんち からは既知 きち で最大 さいだい かつ最 さい 高齢 こうれい の個体 こたい が発見 はっけん されており、全長 ぜんちょう は10メートル、年齢 ねんれい は28歳 さい である。最速 さいそく 成長 せいちょう 速度 そくど は12 - 16歳 さい で迎 むか えたと推定 すいてい され、体重 たいじゅう 1300キログラムの成体 せいたい に基 もと づき、その速度 そくど は年間 ねんかん 122キログラムに達 たっ したと見積 みつも られる。これはティラノサウルス・レックスの成長 せいちょう 速度 そくど の五 ご 分 ぶん の一 いち である。ゴルゴサウルスでは、計算 けいさん された最大 さいだい 成長 せいちょう 速度 そくど は急 きゅう 成長 せいちょう 段階 だんかい において約 やく 110キログラムであり、アルバートサウルスのものに匹敵 ひってき する[ 44] 。
いまだ未 み 確認 かくにん の属 ぞく のティラノサウルス類 るい の胚 はい が発見 はっけん されており、ティラノサウルス科 か は卵 たまご の中 なか での発生 はっせい 段階 だんかい で特徴 とくちょう 的 てき な骨格 こっかく 構造 こうぞう を発達 はったつ させることが示唆 しさ される。さらに、1983年 ねん にモンタナ州 しゅう のツーメディスン層 そう で発見 はっけん された下 しも 顎 あご の1.1インチ(2.8cm)の歯 は と、2018年 ねん にホースシューキャニオン層 そう で発見 はっけん され2020年 ねん に記載 きさい された足 あし の鉤 かぎ 爪 つめ の標本 ひょうほん の大 おお きさから、ティラノサウルス科 か の新生児 しんせいじ はマウスやそれに近 ちか い大 おお きさの齧 かじ 歯 は 類 るい の全身 ぜんしん と同等 どうとう 規模 きぼ の頭蓋骨 ずがいこつ を伴 ともな って生 う まれ、全身 ぜんしん はほぼ小型 こがた 犬 いぬ 程度 ていど の大 おお きさだった可能 かのう 性 せい があると考 かんが えられる。下 した 顎 あご の標本 ひょうほん は全長 ぜんちょう 約 やく 0.76メートルの個体 こたい 、鉤 かぎ 爪 つめ は全長 ぜんちょう 約 やく 0.91メートルの個体 こたい のものであると考 かんが えられている。いずれの標本 ひょうほん も関連 かんれん する卵殻 らんかく は未 み 発見 はっけん であるが、これらのティラノサウルス科 か の新生児 しんせいじ が発見 はっけん された場所 ばしょ はこの動物 どうぶつ が共存 きょうぞん ・捕食 ほしょく した他 ほか の種 たね と同 おな じ巣 す を利用 りよう していたことが示唆 しさ される[ 49] 。また、卵殻 らんかく がこれらの標本 ひょうほん に無 な いことから、ティラノサウルス科 か はムササウルス 属 ぞく やプロトケラトプス 属 ぞく がそう考 かんが えられているように、軟殻の卵 たまご を産 う んだ可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている[ 50] 。
ワピチ層 そう の足跡 あしあと 化石 かせき からは、ティラノサウルス科 か は爪先 つまさき が厚 あつ くなって足 あし が幅広 はばひろ になり、体重 たいじゅう を支持 しじ するように成長 せいちょう したことが示唆 しさ される。幅広 はばひろ の足 あし は、成体 せいたい のティラノサウルス科 か が子孫 しそん よりも緩慢 かんまん に動 うご いていたことを示唆 しさ する[ 51] [ 52] 。
ゴルゴサウルス・リブラトゥスのほぼ完全 かんぜん な骨格 こっかく 。ロイヤル・ティレル古 こ 生物 せいぶつ 学 がく 博物館 はくぶつかん
急 きゅう 成長 せいちょう 段階 だんかい の終 お わりからは、アルバートサウルスは性 せい 成熟 せいじゅく 期 き に入 はい ったことが示唆 しさ される。ただし、その後 ご も一 いち 生涯 しょうがい を通 つう じて緩慢 かんまん に成長 せいちょう を続 つづ けたことも示唆 しさ される[ 44] [ 48] 。まだ活発 かっぱつ に成長 せいちょう している時期 じき に性的 せいてき に成熟 せいじゅく することは小型 こがた [ 53] あるいは大型 おおがた [ 54] 恐竜 きょうりゅう だけでなく、ヒトやゾウ といった大型 おおがた 哺乳類 ほにゅうるい にも共通 きょうつう する形質 けいしつ のようである[ 54] 。相対 そうたい 的 てき に性 せい 成熟 せいじゅく の早 はや いパターンは、成長 せいちょう が完了 かんりょう した後 のち まで性 せい 成熟 せいじゅく を遅延 ちえん させる鳥類 ちょうるい のパターンとは顕著 けんちょ に異 こと なる[ 54] [ 55] 。
各 かく 年齢 ねんれい 層 そう の標本 ひょうほん 数 すう を集計 しゅうけい することにより、エリクソンらはティラノサウルス科 か の個体 こたい 群 ぐん における生活 せいかつ 史 し について結論 けつろん を導 みちび いた。その結果 けっか 、化石 かせき の記録 きろく では幼体 ようたい は稀 まれ である一方 いっぽう 、急 きゅう 成長 せいちょう 期 き にある亜 あ 成体 せいたい や成体 せいたい は遥 はる かに多 おお いことが判明 はんめい した。半数 はんすう を上回 うわまわ るティラノサウルス・レックスの標本 ひょうほん は性 せい 成熟 せいじゅく 後 ご 6年 ねん 以内 いない に死亡 しぼう しているようであり、これは他 た のティラノサウルス類 るい や、現代 げんだい の大型 おおがた かつ長寿 ちょうじゅ の鳥類 ちょうるい や哺乳類 ほにゅうるい にも見 み られるパターンである。これらの種 たね は新生児 しんせいじ の時期 じき の死亡 しぼう 率 りつ が高 たか く、次 つ いで幼体 ようたい の時期 じき の死亡 しぼう 率 りつ が比較的 ひかくてき 低 ひく いことが特徴 とくちょう である。性 せい 成熟 せいじゅく 後 ご には死亡 しぼう 率 りつ が再 ふたた び上昇 じょうしょう するが、これは生殖 せいしょく のストレスが一因 いちいん である。これは保存 ほぞん 状態 じょうたい や採集 さいしゅう のバイアスに起因 きいん する可能 かのう 性 せい もあるが、エリクソンは、ゾウなど現代 げんだい の大型 おおがた 哺乳類 ほにゅうるい にも見 み られる一定 いってい 以上 いじょう の大 おお きさの幼体 ようたい の死亡 しぼう 率 りつ が低 ひく いことが原因 げんいん ではないかと推論 すいろん した。ティラノサウルスは2歳 さい までに同 どう 時代 じだい の全 すべ ての捕食 ほしょく 者 しゃ を上回 うわまわ る大 おお きさになるため、捕食 ほしょく 者 しゃ の不在 ふざい に起因 きいん して死亡 しぼう 率 りつ が低下 ていか した可能 かのう 性 せい がある。古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ が十分 じゅうぶん な数 かず のダスプレトサウルスの化石 かせき を発見 はっけん していないため同様 どうよう の分析 ぶんせき は不可能 ふかのう であるが、エリクソンは同様 どうよう の一般 いっぱん 的 てき な傾向 けいこう があるようだと指摘 してき した[ 48] 。
ティラノサウルス科 か はその生涯 しょうがい の半分 はんぶん を幼体 ようたい として過 す ごした後 のち 、わずか数 すう 年 ねん でほぼ最大 さいだい サイズまで急 きゅう 成長 せいちょう を遂 と げる[ 44] 。このことと、巨大 きょだい な成体 せいたい のティラノサウルス科 か と他 た の小型 こがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい の中 なか 間 あいだ 的 てき な大 おお きさの捕食 ほしょく 者 しゃ が完全 かんぜん に欠落 けつらく していることから、これらの生態 せいたい 的 てき 地位 ちい は幼体 ようたい のティラノサウルス科 か が埋 う めていたことが示唆 しさ される。これは孵化 ふか した後 のち に樹 き 上 じょう 生活 せいかつ を送 おく り、緩慢 かんまん に成熟 せいじゅく して大型 おおがた 脊椎動物 せきついどうぶつ を引 ひ き倒 たお すことの出来 でき る頑丈 がんじょう な頂点 ちょうてん 捕食 ほしょく 者 しゃ に至 いた る、現生 げんなま のコモドオオトカゲ にも見 み られる[ 11] 。例 たと えば、アルバートサウルスは群集 ぐんしゅう で発見 はっけん されているが、その群 む れには異 こと なる年齢 ねんれい の個体 こたい が入 はい り混 ま じっている[ 56] [ 57] 。
移動 いどう 能力 のうりょく が最 もっと もよく研究 けんきゅう されているのはティラノサウルスについてであり、これに関 かん して2つの話題 わだい がある。1つはどれほど旋回 せんかい が得意 とくい であったか、もう1つは直線 ちょくせん 運動 うんどう の最 さい 高速度 こうそくど はどれほどであったか、である。2001年 ねん の研究 けんきゅう ではティラノサウルスの旋回 せんかい は緩慢 かんまん であった可能 かのう 性 せい が指摘 してき され、45度 ど 回転 かいてん するのに1~2秒 びょう を要 よう したと考 かんが えられていた。45度 ど とは、直立 ちょくりつ していてかつ尾 お のない人間 にんげん が1秒 びょう で回転 かいてん 可能 かのう な量 りょう である[ 58] 。旋回 せんかい を苦手 にがて とする原因 げんいん は回転 かいてん 慣性 かんせい にある。これは、ティラノサウルスの質量 しつりょう の多 おお くは、人間 にんげん が重 おも い材木 ざいもく を運 はこ ぶように、重心 じゅうしん からある程度 ていど 離 はな れたところに存在 そんざい したためだった[ 59] 。ただし2019年 ねん の研究 けんきゅう はこれと違 ちが う見解 けんかい を示 しめ した。こちらではティラノサウルス科 か が他 た の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい (ケラトサウルス やカルノサウルス類 るい など)より2倍 ばい は敏捷 びんしょう (より小型 こがた の幼体 ようたい 同士 どうし では、敏捷 びんしょう 性 せい の差 さ が2~3倍 ばい ) だったと指摘 してき している。これらは各種 かくしゅ 獣 じゅう 脚 あし 類 るい の腰 こし から脚 あし 部 ぶ の筋肉 きんにく 量 りょう や慣性 かんせい モーメントの計算 けいさん 式 しき などから推測 すいそく されている[ 60] 。
研究 けんきゅう 者 しゃ による最大 さいだい 速度 そくど の推定 すいてい は非常 ひじょう に値 ね の幅 はば が広 ひろ く、主 おも に約 やく 11メートル毎秒 まいびょう と推定 すいてい されているが、5 - 11メートル毎秒 まいびょう や20メートル毎秒 まいびょう とする推定 すいてい 値 ち もある。この原因 げんいん は、歩行 ほこう した痕跡 こんせき は数多 かずおお く発見 はっけん されている一方 いっぽう で走行 そうこう した痕跡 こんせき は発見 はっけん されておらず、彼 かれ らが走行 そうこう しなかったことを示 しめ す可能 かのう 性 せい があるからである[ 61] 。
ティラノサウルス・レックスの後肢 あとあし
1993年 ねん 、ジャック・ホーナーとドン・セッレムはティラノサウルスが緩慢 かんまん でありおそらく走行 そうこう できなかった(脚 あし が空中 くうちゅう に浮 う かぶフェーズが存在 そんざい しない)と主張 しゅちょう した[ 62] 。しかし、Holtz (1998) はティラノサウルス科 か およびその近 きん 縁 えん な動物 どうぶつ は最速 さいそく の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい だったと結論 けつろん した[ 63] 。Christiansen (1998) はティラノサウルスの脚 あし の骨 ほね がトップスピードが限定 げんてい されていてかつ実際 じっさい に走行 そうこう できないゾウのものよりも遥 はる かに強靭 きょうじん であるわけではないと推定 すいてい し、ティラノサウルスの最 さい 高速度 こうそくど を約 やく 11メートル毎秒 まいびょう と提唱 ていしょう した。これはヒトのスプリンターの速度 そくど と同 どう 程度 ていど である[ 64] 。Farlow ほか (1995) は6 - 8トンに達 たっ するティラノサウルスが高速 こうそく 運動 うんどう 中 ちゅう に転倒 てんとう すれば、地面 じめん に叩 たた き付 つ けられた際 さい に小 ちい さな前肢 ぜんし では衝撃 しょうげき を減衰 げんすい させられず重症 じゅうしょう あるいは致命傷 ちめいしょう を負 お ったと主張 しゅちょう した[ 65] [ 66] 。しかし、動物 どうぶつ 園 えん のような安全 あんぜん な環境 かんきょう に置 お かれていたとしても、キリン は骨折 こっせつ の危険 きけん がありながらも50キロメートル毎時 まいじ でギャロップを行 おこな うことが知 し られている[ 67] [ 68] 。このため、ティラノサウルスも必要 ひつよう に応 おう じて高速 こうそく で動 うご き、そのような危険 きけん を受 う け入 い れていた可能 かのう 性 せい もある。このシナリオはアロサウルス においても研究 けんきゅう されている[ 69] [ 70] 。さらに後 ご の研究 けんきゅう では、ティラノサウルスの走行 そうこう 速度 そくど は17キロメートル毎時 まいじ から40キロメートル毎時 まいじ 、すなわち歩行 ほこう や緩慢 かんまん な走行 そうこう から中 なか 速 そく の走行 そうこう までで、それ以上 いじょう に絞 しぼ り込 こ まれてはいない[ 61] [ 71] [ 72] 。化石 かせき から直接 ちょくせつ 得 え られたデータを用 もち い2007年 ねん にコンピュータモデル研究 けんきゅう によって推定 すいてい された走行 そうこう 速度 そくど は8メートル毎秒 まいびょう であった[ 73] [ 74] 。しばしばティラノサウルス科 か は巨 きょ 大 だい かつ体重 たいじゅう が重 おも かったため運動 うんどう 能力 のうりょく が低 ひく かったと推測 すいそく されるが、しかし2010年 ねん の研究 けんきゅう ではそうした不利 ふり を補 おぎな う特徴 とくちょう が報告 ほうこく された。それは一部 いちぶ の獣 しし 脚 あし 類 るい に見 み られる顕著 けんちょ に卓越 たくえつ した尾大 びだい 腿 もも 筋 すじ だった。どうやらティラノサウルス科 か は旧来 きゅうらい の復元 ふくげん よりも筋肉質 きんにくしつ の太 ふと ましい尾 お 部 ぶ を備 そな えていた。尾大 びだい 腿 もも 筋 すじ は大腿 だいたい 骨 こつ の第 だい 四 よん 転 てん 子 こ に繋 つな がっており、運動 うんどう 時 じ に脚 あし 部 ぶ を強力 きょうりょく に動 うご かすことが可能 かのう だった。特 とく にティラノサウルスは他 た のティラノサウルス科 か より尾大 びだい 腿 もも 筋 すじ が発達 はったつ していた[ 75] 。
Eric Snively らが2019年 ねん に発表 はっぴょう した研究 けんきゅう では、タルボサウルスやティラノサウルスといったティラノサウルス科 か は同 どう サイズのアロサウルス上 うえ 科 か よりも機動 きどう 性 せい が高 たか いことが示唆 しさ された。これは、大型 おおがた の後肢 あとあし の筋肉 きんにく に結 むす び付 つ く体重 たいじゅう と比較 ひかく して回転 かいてん 慣性 かんせい が小 ちい さいためである。結果 けっか として、ティラノサウルス科 か は相対 そうたい 的 てき に素早 すばや い旋回 せんかい が可能 かのう で、獲物 えもの に近 ちか づく際 さい あるいは他 た に旋回 せんかい する際 さい にはそういった動作 どうさ を見 み せた可能 かのう 性 せい が高 たか く、または旋回 せんかい 中 ちゅう に片 かた 脚 あし を固定 こてい しながらもう片方 かたがた を持 も ち上 あ げる動作 どうさ をした可能 かのう 性 せい があるとの仮説 かせつ が立 た てられた。この研究 けんきゅう 結果 けっか は、ティラノサウルス類 るい の進化 しんか に敏捷 びんしょう 性 せい が寄与 きよ した過程 かてい を明 あき らかにする可能 かのう 性 せい がある[ 76] 。さらにティラノサウルス科 か は他 た の大型 おおがた 肉食 にくしょく 恐竜 きょうりゅう には見 み られない、特徴 とくちょう 的 てき かつ特異 とくい 的 てき な靱帯 じんたい が第 だい 三 さん 中 ちゅう 足 あし 骨 こつ を持 も っていた。これによりティラノサウルス科 か は他 た の獣 しし 脚 あし 類 るい よりも体重 たいじゅう が重 おも く頑強 がんきょう な肉体 にくたい をしていながら、一定 いってい の敏捷 びんしょう 性 せい を確保 かくほ できたと考 かんが えられている[ 77] 。
加 くわ えて、2020年 ねん の研究 けんきゅう ではティラノサウルス科 か は例外 れいがい 的 てき に効率 こうりつ 的 てき な歩行 ほこう 者 しゃ であったことが示唆 しさ された。Dececchi et al. によると、ティラノサウルス科 か を含 ふく む70種 しゅ を超 こ える獣 しし 脚 あし 類 るい 恐竜 きょうりゅう の後肢 あとあし ・体重 たいじゅう ・足取 あしど りが比較 ひかく された。調査 ちょうさ チームは様々 さまざま な方法 ほうほう を適用 てきよう してそれぞれの恐竜 きょうりゅう の最 さい 高速度 こうそくど 、および歩行 ほこう 時 じ のように緩 ゆる やかな速度 そくど での運動 うんどう 時 じ に消費 しょうひ したエネルギー量 りょう を推定 すいてい した。ドロマエオサウルス科 か などより小型 こがた から中型 ちゅうがた の種 たね の間 あいだ では、より長 なが い後肢 あとあし はより速 はや い走行 そうこう への適応 てきおう のように見 み え、他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ による以前 いぜん の結果 けっか と整合 せいごう する。しかし、体重 たいじゅう 1000キログラムを超 こ える獣 しし 脚 あし 類 るい では、最高 さいこう 走行 そうこう 速度 そくど は体 からだ サイズによる制限 せいげん を受 う けており、そのためより長 なが い後肢 あとあし は速度 そくど ではなく低 てい エネルギーの歩行 ほこう に相関 そうかん することが判明 はんめい した。さらに研究 けんきゅう 結果 けっか からは、より小型 こがた の獣 しし 脚 あし 類 るい は進化 しんか した長 なが い脚 あし を狩 か りと捕食 ほしょく 者 しゃ からの逃走 とうそう の両方 りょうほう に役立 やくだ てていた一方 いっぽう 、大型 おおがた の捕食 ほしょく 性 せい 獣 じゅう 脚 あし 類 るい は頂点 ちょうてん 捕食 ほしょく 者 しゃ としての役割 やくわり ゆえに捕食 ほしょく 圧 あつ から解放 かいほう されており、進化 しんか した長 なが い脚 あし をエネルギーコストの減少 げんしょう と採 と 餌 えさ の効率 こうりつ に役立 やくだ てていたことが示唆 しさ された。研究 けんきゅう でより基盤 きばん 的 てき な獣 しし 脚 あし 類 るい のグループと比較 ひかく されたティラノサウルス科 か は、狩 か りと死 し 肉 にく 漁 いさ りの間 あいだ のエネルギー支出 ししゅつ が減少 げんしょう したため、採 と 餌 えさ 効率 こうりつ の顕著 けんちょ な上昇 じょうしょう を示 しめ した。これは結果 けっか としてティラノサウルス類 るい が彼 かれ ら自身 じしん を維持 いじ するために必要 ひつよう な狩 か りの襲撃 しゅうげき と食餌 しょくじ の量 りょう を低減 ていげん することに帰結 きけつ した可能 かのう 性 せい が高 たか い。加 くわ えて彼 かれ らの研究 けんきゅう では、ティラノサウルス類 るい が他 た の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい よりもより俊敏 しゅんびん であったことを示 しめ す研究 けんきゅう との繋 つな がりの中 なか で、長距離 ちょうきょり に亘 わた って獲物 えもの へ忍 しの び寄 よ って接近 せっきん した後 のち に突発 とっぱつ 的 てき な急 きゅう スピードで以 もっ て殺害 さつがい することにティラノサウルス類 るい が長 た けていることが示唆 しさ されている。結果 けっか としてティラノサウルス科 か と現生 げんなま のオオカミ の間 あいだ に類似 るいじ 性 せい が指摘 してき されており、これはアルバートサウルスなどの少 すく なくとも一部 いちぶ のティラノサウルス科 か が集団 しゅうだん で狩 か りを行 おこな っていたことによって裏付 うらづ けられている[ 78] [ 79] 。
系統 けいとう ブラケッティングによるゴルゴサウルスの復元 ふくげん
古 こ 生物 せいぶつ 学 がく コミュニティで続 つづ いている議論 ぎろん として、ティラノサウルス科 か の外皮 がいひ の被覆 ひふく の範囲 はんい と特性 とくせい に関 かん するものがある。前期 ぜんき 白 はく 亜紀 あき にあたる義 ぎ 県 けん 累 るい 層 そう や中国 ちゅうごく の遼寧 りょうねい 省 しょう に分布 ぶんぷ するその他 た の層 そう からは、無数 むすう のコエルロサウルス類 るい の骨格 こっかく と共 とも に長 なが いタンパク質 たんぱくしつ 繊維 せんい が保存 ほぞん され、産出 さんしゅつ している[ 80] 。他 た の仮説 かせつ も提唱 ていしょう されているものの[ 81] 、通常 つうじょう これらの繊維 せんい は鳥類 ちょうるい および非 ひ 鳥類 ちょうるい 型 がた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい に見 み られる枝分 えだわ かれした羽毛 うもう とのホモログであるプロトフェザーとして解釈 かいしゃく されている[ 82] [ 83] 。2004年 ねん に記載 きさい されたディロング の骨格 こっかく はプロトフェザーを含 ふく んでおり、これはティラノサウルス上 うえ 科 か において確認 かくにん された最初 さいしょ の例 れい である。現生 げんなま 鳥類 ちょうるい のダウンフェザー (英語 えいご 版 ばん ) と同様 どうよう にディロングに見 み られたプロトフェザーは枝分 えだわ かれしていたものの、大 だい 羽 はね (en ) にはなっておらず、体温 たいおん の保温 ほおん に用 もち いられていた可能 かのう 性 せい がある[ 21] 。2012年 ねん には全長 ぜんちょう 9メートルに達 たっ するユウティラヌス が記載 きさい され、本属 ほんぞく の発見 はっけん からは大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい の成体 せいたい も羽毛 うもう が生 は えていた可能 かのう 性 せい が示唆 しさ された[ 84] 。
羽毛 うもう の生 は えたアルバートサウルスの彫像 ちょうぞう
系統 けいとう ブラケッティング(英語 えいご 版 ばん ) の原則 げんそく に基 もと づき、ティラノサウルス科 か はそのような羽毛 うもう を持 も った可能 かのう 性 せい があると予想 よそう された。しかし2017年 ねん の研究 けんきゅう では、アルバータ州 しゅう ・モンタナ州 しゅう およびモンゴル国 こく で収集 しゅうしゅう された5属 ぞく (ティラノサウルス、アルバートサウルス、ゴルゴサウルス、ダスプレトサウルス、タルボサウルス)のティラノサウルス科 か の皮膚 ひふ の印象 いんしょう 化石 かせき が記載 きさい された。皮膚 ひふ の印象 いんしょう 化石 かせき は小型 こがた であるものの、これらは頭部 とうぶ よりも後 こう 側 がわ に幅広 はばひろ く分布 ぶんぷ しており、腹部 ふくぶ ・胸部 きょうぶ ・腸 ちょう 骨 こつ ・骨盤 こつばん ・尾 お 部 ぶ ・頸部に位置 いち していた。これらは重複 じゅうふく していない細 こま かく小石 こいし 様 さま の密 みつ な鱗 うろこ を示 しめ しており、羽毛 うもう の痕跡 こんせき は無 な かった。基本 きほん 的 てき なテクスチャーは直径 ちょっけい 約 やく 1 - 2mmの小 ちい さな "basement scales" で構成 こうせい され、その間 あいだ に約 やく 7mmの "feature scales" の印象 いんしょう が散見 さんけん される[ 85] 。ティラノサウルス類 るい の足跡 あしあと にもさらなる鱗 うろこ が見 み られる[ 86] 。ティラノサウルス類 るい の顔面 がんめん の外皮 がいひ は歯 は 骨 こつ と上顎 じょうがく 骨 こつ に鱗 うろこ があり、表皮 ひょうひ は角質 かくしつ 化 か し、下位 かい 領域 りょういき には鎧 よろい のような皮膚 ひふ があることが研究 けんきゅう で判明 はんめい している[ 87] [ 88] 。
Bell et al. はティラノサウルス上 うえ 科 か の外皮 がいひ の分布 ぶんぷ について既知 きち の内容 ないよう に基 もと づいて祖先 そせん 形質 けいしつ 復元 ふくげん を行 おこな った。ティラノサウルス上 うえ 科 か の起源 きげん に羽毛 うもう があることの信頼 しんらい 性 せい は89%であったにも拘 かか わらず、ティラノサウルス科 か が鱗 うろこ を持 も つ信頼 しんらい 性 せい は97%で真 しん と判断 はんだん された。研究 けんきゅう チームはこのデータが「ティラノサウルスが完全 かんぜん に扁平 へんぺい 上皮 じょうひ で覆 おお われていたことの説得 せっとく 力 りょく ある証拠 しょうこ をもたらす」とした。ただし、皮膚 ひふ の印象 いんしょう が未 み 発見 はっけん である背中 せなか 側 がわ にはまだ羽毛 うもう が存在 そんざい していた可能 かのう 性 せい があると彼 かれ らは認 みと めている。Bell et al. は、裏付 うらづ ける根拠 こんきょ を必要 ひつよう としつつも、ティラノサウルス類 るい の鱗 うろこ の印象 いんしょう が羽毛 うもう から二 に 次 じ 的 てき に派生 はせい したものである可能 かのう 性 せい があるという仮説 かせつ を立 た てている[ 85] 。しかし、ティラノサウルス科 か におけるタフォノミーバイアスに起因 きいん するという主張 しゅちょう もなされている[ 89] 。
そのような外皮 がいひ が何故 なぜ 発生 はっせい したかはまだ決定 けってい されていない。羽毛 うもう が喪失 そうしつ した前例 ぜんれい は鳥 とり 盤 ばん 類 るい などの他 ほか の恐竜 きょうりゅう のグループにも見 み られている。その過程 かてい においては、繊維状 せんいじょう 構造 こうぞう が失 うしな われ、鱗 うろこ が再 さい 出現 しゅつげん したのである[ 90] 。この機 き 序 じょ としては大型 おおがた 化 か が提唱 ていしょう されているが、フィル・R・ベルは羽毛 うもう のあるユウティラヌスとゴルゴサウルスおよびアルバートサウルスの体 からだ サイズが近 ちか いことを指摘 してき した。ベルは体 からだ サイズと気候 きこう が類似 るいじ することを挙 あ げ、差異 さい の理由 りゆう が分 わ からないとコメントした[ 91] 。
ティラノサウルスの眼窩 がんか は前方 ぜんぽう に向 む き、立体 りったい 視 し が可能 かのう である
ティラノサウルスは眼窩 がんか が前側 まえがわ に着 つ くことから、その眼球 がんきゅう は前側 まえがわ を向 む き、現生 げんなま のタカ よりも僅 わず かに良 よ い両 りょう 眼 め 視 し 機能 きのう を持 も った。一般 いっぱん 的 てき な捕食 ほしょく 性 せい 獣 じゅう 脚 あし 類 るい は頭蓋骨 ずがいこつ の真正面 ましょうめん に両 りょう 眼 め 視 し 機能 きのう を持 も つが、ティラノサウルスは広範囲 こうはんい で視野 しや が重複 じゅうふく した。ジャック・ホーナー は、ティラノサウルス類 るい の系統 けいとう が着実 ちゃくじつ に両 りょう 眼 め 視 し 機能 きのう を向上 こうじょう させてきたことを指摘 してき した。ティラノサウルス類 るい が純粋 じゅんすい な腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ (スカベンジャー)であった場合 ばあい 、立体 りったい 視 し をもたらす発達 はったつ した奥行 おくゆき 感覚 かんかく は不要 ふよう であり、この長期 ちょうき 的 てき な傾向 けいこう が自然 しぜん 選択 せんたく に好 この まれることは考 かんが えにくい[ 92] [ 93] 。現生 げんなま の動物 どうぶつ では、立体 りったい 視 し は主 おも に捕食 ほしょく 動物 どうぶつ に見 み られる。ティラノサルスと異 こと なり、タルボサウルスは他 た のティラノサウルス科 か に典型 てんけい 的 てき なより狭 せま い頭蓋骨 ずがいこつ を持 も ち、眼球 がんきゅう は主 おも に横 よこ に面 めん していた[ 94] 。ゴルゴサウルスの標本 ひょうほん では、眼窩 がんか は楕円 だえん 形 がた あるいは鍵穴 かぎあな 型 がた というよりもむしろ円形 えんけい であり、他 た のティラノサウルス科 か の属 ぞく と異 こと なる[ 12] 。ダスプレトサウルスでは、これは上下 じょうげ に高 たか い楕円 だえん 形 がた であり、ゴルゴサウルスに見 み られる円形 えんけい とティラノサウルスに見 み られる鍵穴 かぎあな 型 がた の中 なか 間 あいだ である[ 11] [ 12] [ 95] 。
ダスプレトサウルスと現生 げんなま のワニのボーンテクスチャの比較 ひかく に基 もと づき、トーマス・D・カールらの2017年 ねん の詳細 しょうさい な研究 けんきゅう でティラノサウルス科 か は吻部に大型 おおがた で平坦 へいたん な鱗 うろこ を持 も つことが判明 はんめい した[ 96] [ 97] 。鱗 うろこ の中心 ちゅうしん にはケラチン 質 しつ の小型 こがた のパッチが存在 そんざい した。ワニにおいては、そのようなパッチは化学 かがく 的 てき 刺激 しげき ・熱 ねつ 的 てき 刺激 しげき ・機械 きかい 的 てき 刺激 しげき を検知 けんち 可能 かのう な感覚 かんかく ニューロンの束 たば を被覆 ひふく する[ 98] [ 99] 。彼 かれ らは、ティラノサウルス科 か がおそらく顔面 がんめん の鱗 うろこ の下 した に感覚 かんかく ニューロンの束 たば を有 ゆう しており、ティラノサウルス科 か はそれを用 もち いて対象 たいしょう を特定 とくてい し、巣 す の温度 おんど を計測 けいそく し、静 しず かに卵 たまご や幼体 ようたい を持 も ち上 あ げた可能 かのう 性 せい があると提唱 ていしょう した[ 96] 。
明瞭 めいりょう な鼻骨 びこつ の隆起 りゅうき を伴 ともな うアリオラムスの頭蓋骨 ずがいこつ
数 すう 多 おお くのティラノサウルス科 か 恐竜 きょうりゅう を含 ふく め、多数 たすう の獣 しし 脚 あし 類 るい の頭蓋骨 ずがいこつ には骨質 こっしつ のクレストが見 み られる。モンゴルから産出 さんしゅつ したアリオラムス は、鼻骨 びこつ 上 じょう に卓越 たくえつ した5個 こ の骨質 こっしつ の隆起 りゅうき からなる1本 ほん の列 れつ を持 も つ。より隆起 りゅうき が低 ひく いものの、同様 どうよう の列 れつ はアパタチオサウルス の頭蓋骨 ずがいこつ にも存在 そんざい し、ダスプレトサウルスやアルバートサウルスおよびタルボサウルスの一部 いちぶ の標本 ひょうほん にも見 み られる[ 16] 。アルバートサウルスとゴルゴサウルスおよびダスプレトサウルスにおいては、涙 なみだ 骨 こつ 上 じょう の眼 め の正面 しょうめん に卓越 たくえつ した角 かく が存在 そんざい する。涙 なみだ 骨 こつ の角 かく はタルボサウルスとティラノサウルスには存在 そんざい せず、その代 か わりに後 こう 眼窩 がんか 骨 こつ 上 うえ の眼 め の後方 こうほう に三日月 みかづき 形 がた のクレストが存在 そんざい する。これらの頭部 とうぶ のクレストはディプレイに用 もち いられた可能 かのう 性 せい があり、種 たね の認識 にんしき や求愛 きゅうあい 行動 こうどう に用 もち いられた可能 かのう 性 せい もある[ 11] 。
大 だい 部分 ぶぶん の恐竜 きょうりゅう と同様 どうよう にティラノサウルスは長 なが らく外 そと 温 ゆたか 性 せい と考 かんが えられていたが、1960年代 ねんだい 後半 こうはん から始 はじ まった恐竜 きょうりゅう ルネサンス の初期 しょき にロバート・T・バッカー およびジョン・オストロム などの研究 けんきゅう 者 しゃ はこの見解 けんかい に対 たい し異議 いぎ を唱 とな えた[ 100] [ 101] 。ティラノサウルス・レックスは内 うち 温 ゆたか 性 せい であるとされ、非常 ひじょう に活発 かっぱつ な生態 せいたい が示唆 しさ される[ 102] 。それ以降 いこう 、複数 ふくすう の古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ がティラノサウルスの体温 たいおん 調節 ちょうせつ 能力 のうりょく を明 あき らかにしようと努 つと めてきた。若 わか いティラノサウルス・レックスが哺乳類 ほにゅうるい や鳥類 ちょうるい と比較 ひかく して高 たか い成長 せいちょう 率 りつ を持 も っていたヒストロジー的 てき 証拠 しょうこ は、高 たか い代謝 たいしゃ を有 ゆう した仮説 かせつ を示唆 しさ する可能 かのう 性 せい がある。哺乳類 ほにゅうるい や鳥類 ちょうるい におけるものと同様 どうよう に、ティラノサウルス・レックスの成長 せいちょう 曲線 きょくせん からは、本 ほん 種 しゅ の成長 せいちょう が主 しゅ として未 み 成熟 せいじゅく 個体 こたい に制限 せいげん されていたことが示唆 しさ される。これは永続 えいぞく 的 てき に成長 せいちょう を遂 と げる他 ほか の脊椎動物 せきついどうぶつ の大半 たいはん とは異 こと なる[ 45] 。胴 どう 椎 しい と脛骨 けいこつ の体温 たいおん 差 さ は4 - 5℃を以下 いか であったことが示唆 しさ される。体 からだ の中枢 ちゅうすう と末梢 まっしょう での温度 おんど 範囲 はんい が小 ちい さいことから、古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ リース・バリックと地球 ちきゅう 化学 かがく 者 しゃ ウィリアム・シャワーズは、ティラノサウルス・レックスの体内 たいない 温度 おんど は恒常 こうじょう 的 てき であり、外 そと 温 ゆたか 性 せい の爬虫類 はちゅうるい と内 うち 温 ゆたか 性 せい の哺乳類 ほにゅうるい の中 なか 間 あいだ 程度 ていど の代謝 たいしゃ を有 ゆう していたとした[ 103] 。後 のち に、数 すう 百 ひゃく 万 まん 年 ねん 過去 かこ の時代 じだい で別 べつ の大陸 たいりく に生息 せいそく していたギガノトサウルス の標本 ひょうほん においても彼 かれ らは同様 どうよう の結果 けっか を発見 はっけん した[ 104] 。もしティラノサウルス・レックスに体温 たいおん を恒常 こうじょう 的 てき に維持 いじ した証拠 しょうこ が無 な いとしても、それは外 そと 温 ゆたか 性 せい であったことを必 かなら ずしも意味 いみ しない。このような体温 たいおん 調節 ちょうせつ は現生 げんなま のウミガメ のように、大型 おおがた 動物 どうぶつ ゆえの保温 ほおん により説明 せつめい される[ 105] [ 106] [ 107] 。
シカゴのフィールド自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん にて、ダスプレトサウルスの骨格 こっかく (FMNH PR308)
ダイナソーパーク累 るい 層 そう において、ゴルゴサウルスはより希少 きしょう なティラノサウルス亜 あ 科 か の種 たね であるダスプレトサウルスと共存 きょうぞん した。これは2属 ぞく のティラノサウルス類 るい が共存 きょうぞん した数少 かずすく ない例 れい である。現生 げんなま の捕食 ほしょく 動物 どうぶつ のギルドにおいて、同様 どうよう の体 からだ サイズの捕食 ほしょく 動物 どうぶつ は競争 きょうそう を制限 せいげん する解剖 かいぼう 学 がく 的 てき ・行動 こうどう 学 がく 的 てき ・地理 ちり 学 がく 的 てき な差異 さい により異 こと なる生態 せいたい 的 てき 地位 ちい (ニッチ)に分裂 ぶんれつ する。ダイナソーパーク累 るい 層 そう のティラノサウルス科 か におけるニッチ分割 ぶんかつ は多 おお くが不明 ふめい である[ 108] 。1970年 ねん 、デイル・ラッセルは、より個体 こたい 数 すう が少 すく なく狩 か りが困難 こんなん である角 すみ 竜 りゅう 類 るい と曲 きょく 竜 りゅう 類 るい がダスプレトサウルスに残 のこ されていたと仮説 かせつ を立 た てた[ 13] 。しかし、トゥーメディスン累 るい 層 そう から産出 さんしゅつ したダスプレトサウルスの標本 ひょうほん OTM 200 には、その腹部 ふくぶ に消化 しょうか されたハドロサウルス類 るい の幼体 ようたい の遺骸 いがい が保存 ほぞん されている[ 109] 。他 た のいくつかの獣 しし 脚 あし 類 るい のグループと異 こと なり、どちらの属 ぞく も標高 ひょうこう 差 さ による化石 かせき 産出 さんしゅつ 量 りょう の多寡 たか は認 みと められない[ 108] 。しかし、ゴルゴサウルスはダイナソーパーク累 るい 層 そう のような北方 ほっぽう の層 そう でより一般 いっぱん 的 てき であり、ダスプレトサウルスの種 たね は南 みなみ でより豊富 ほうふ である。同様 どうよう のパターンは他 た の恐竜 きょうりゅう のグループにも見 み られる(カンパニアン 期 き の北 きた アメリカ南西 なんせい のカスモサウルス亜 あ 科 か およびハドロサウルス亜 あ 科 か 、北 きた アメリカ北部 ほくぶ のセントロサウルス亜 あ 科 か およびランベオサウルス亜 あ 科 か )。ホルツは、このパターンはティラノサウルス亜 あ 科 か ・カスモサウルス亜 あ 科 か ・ハドロサウルス亜 あ 科 か の間 あいだ で生態 せいたい 的 てき 嗜好 しこう 性 せい が共有 きょうゆう されていることを示唆 しさ しているとした。マーストリヒチアン 期 き の末 すえ には、ティラノサウルス・レックスのようなティラノサウルス亜 あ 科 か 、エドモントサウルス のようなハドロサウルス亜 あ 科 か 、トリケラトプス のようなカスモサウルス亜 あ 科 か が北 きた アメリカ西部 せいぶ に広 ひろ く分布 ぶんぷ した。その一方 いっぽう 、アルバートサウルス亜 あ 科 か とセントロサウルス亜 あ 科 か は絶滅 ぜつめつ し、ランベオサウルス亜 あ 科 か は衰退 すいたい した[ 11] 。
ティラノサウルス科 か の間 あいだ で社会 しゃかい 的 てき 行動 こうどう があった証拠 しょうこ も僅 わず かに存在 そんざい する。スーの標本 ひょうほん と同 おな じ産地 さんち では亜 あ 成体 せいたい および幼体 ようたい の骨格 こっかく が発見 はっけん ・報告 ほうこく されており、ティラノサウルス類 るい がある種 しゅ の社会 しゃかい 集団 しゅうだん の中 なか で生活 せいかつ していたという仮説 かせつ の支持 しじ に用 もち いられている[ 110] 。ゴルゴサウルスには群居 ぐんきょ 性 せい の行動 こうどう の証拠 しょうこ は存在 そんざい しないが[ 56] [ 57] 、アルバートサウルスやダスプレトサウルスは群 む れで行動 こうどう した証拠 しょうこ が存在 そんざい する[ 111] 。
ダイナソーパーク累 るい 層 そう のダスプレトサウルスの種 たね の若 わか い標本 ひょうほん TMP 94.143.1 では、他 た のティラノサウルス類 るい に起因 きいん する噛 か み後 ご が顔 かお に存在 そんざい する。噛 か み跡 あと は治癒 ちゆ しており、噛 か まれた後 のち も個体 こたい が生 い き延 の びたことが示唆 しさ される。完全 かんぜん に成長 せいちょう したダイナソーパーク累 るい 層 そう のダスプレトサウルス TMP 85.62.1 もティラノサウルス類 るい の噛 か み跡 あと を示 しめ しており、顔面 がんめん への攻撃 こうげき が若 わか い個体 こたい のみに限 かぎ ったものではないことが示唆 しさ される。噛 か み後 ご は他 た の種 たね のものである可能 かのう 性 せい もあるものの、顔面 がんめん への噛 か み付 つ きなど種 たね 内攻 ないこう 撃 げき は捕食 ほしょく 動物 どうぶつ の間 あいだ で非常 ひじょう によく見 み られることである。顔面 がんめん への噛 か み付 つ きはゴルゴサウルスやティラノサウルスといった他 ほか のティラノサウルス類 るい だけでなく、シンラプトル やサウロルニトレステス といった他 ほか の獣 しし 脚 あし 類 るい の属 ぞく にも見 み られる。ダレン・ダンケとフィリップ・カリーは、噛 か み跡 あと は縄張 なわば りや資源 しげん 、あるいは社会 しゃかい 集団 しゅうだん 内 ない の支配 しはい を巡 めぐ る種 たね 内 ない 競争 きょうそう に起因 きいん すると仮説 かせつ を立 た てた[ 56] 。
アルバートサウルスのジオラマ
ダスプレトサウルスが社会 しゃかい 集団 しゅうだん として生息 せいそく していた証拠 しょうこ は、モンタナ州 しゅう のトゥーメディスン累 るい 層 そう のボーンベッド から得 え られている。ボーンベッドには3頭 とう のダスプレトサウルスの遺骸 いがい を含 ふく んでおり、これらは大型 おおがた の成体 せいたい ・小型 こがた の幼体 ようたい ・中間 なかま サイズの個体 こたい からなる。同 どう 産地 さんち には少 すく なくとも5頭 とう のハドロサウルス類 るい が保存 ほぞん されている。地質 ちしつ 学 がく 的 てき 証拠 しょうこ からは、遺骸 いがい は川 かわ の流 なが れによって集積 しゅうせき されたのではなく、全 すべ ての動物 どうぶつ が同 おな じ場所 ばしょ に同時 どうじ に埋没 まいぼつ したことが判明 はんめい している。ハドロサウルス類 るい の遺骸 いがい は分散 ぶんさん しており、またティラノサウルス類 るい の歯 は による多数 たすう の噛 か み跡 あと が残 のこ されている。これは死亡 しぼう 時 じ にダスプレトサウルスがハドロサウルス類 るい を採 と 餌 えさ していたことを示唆 しさ している。カリーは、確証 かくしょう を持 も つことはできないもののダスプレトサウルスが群 む れを形成 けいせい していたことを推測 すいそく した[ 57] 。他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ は、ダスプレトサウルスや他 た の大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい が社会 しゃかい 集団 しゅうだん を形成 けいせい した証拠 しょうこ について懐疑 かいぎ 的 てき である[ 112] 。ブライアン・ローチとダニエル・ブリンクマンは、ダスプレトサウルスの社会 しゃかい 相互 そうご 作用 さよう は現生 げんなま のコモドオオトカゲ のものに類似 るいじ するものであるとした。コモドオオトカゲの群 む れは非 ひ 協力 きょうりょく 的 てき であり、死骸 しがい にありつき、その過程 かてい で互 たが いに共食 ともぐ いすることも頻繁 ひんぱん にある[ 113] 。
バーナム・ブラウンらが発見 はっけん したドライアイランドのボーンベッドには、22頭 とう のアルバートサウルスの遺骸 いがい が保存 ほぞん されている。これは白 はく 亜紀 あき の獣 しし 脚 あし 類 るい の中 なか で最 もっと も多 おお くの個体 こたい が1つの場所 ばしょ で発見 はっけん された例 れい であり、大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい の中 なか ではユタ州 しゅう のクリーブランド=ロイド恐竜 きょうりゅう 採石 さいせき 場 じょう のアロサウルス 群集 ぐんしゅう に次 つ いで2番目 ばんめ に多 おお い。この集団 しゅうだん には非常 ひじょう に高齢 こうれい な1頭 とう の成体 せいたい 、17歳 さい から23歳 さい の8頭 とう の成体 せいたい 、12歳 さい から16歳 さい で急 きゅう 成長 せいちょう 段階 だんかい にある7頭 とう の亜 あ 成体 せいたい 、2歳 さい から11歳 さい の成長 せいちょう 段階 だんかい に達 たっ していない6頭 とう の幼体 ようたい が含 ふく まれる[ 48] 。植物 しょくぶつ 食 しょく 性 せい 動物 どうぶつ の遺骸 いがい がほぼ存在 そんざい しないこと、およびアルバートサウルスのボーンベッドでの数 すう 多 おお くの個体 こたい の保存 ほぞん 状態 じょうたい との類似 るいじ から、フィリップ・カリーはこの産地 さんち がカリフォルニア州 しゅう のラ・ブレア・タールピット のような捕食 ほしょく 動物 どうぶつ の罠 わな だったのではなく、保存 ほぞん された全 すべ ての動物 どうぶつ が同時 どうじ に死亡 しぼう したと結論 けつろん した。カリーはこれを群 む れとしての行動 こうどう の根拠 こんきょ とした[ 114] 。他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ は懐疑 かいぎ 的 てき であり、旱魃 かんばつ や洪水 こうずい あるいは他 た の要因 よういん により動物 どうぶつ たちが運搬 うんぱん されたと解釈 かいしゃく した[ 48] [ 112] [ 115] 。
一般 いっぱん に議論 ぎろん が続 つづ いているものの、少 すく なくともいくつかのティラノサウルス科 か の種 たね が社会 しゃかい 的 てき であったという仮説 かせつ を支持 しじ する証拠 しょうこ は存在 そんざい する。ブリティッシュコロンビア州 しゅう のワピチ累 るい 層 そう では、地元 じもと 住民 じゅうみん のアーロン・フレッドランドにより3頭 とう のティラノサウルス科 か の個体 こたい に由来 ゆらい する足跡 あしあと が発見 はっけん され、リチャード・マッケラらにより記載 きさい された。足跡 あしあと の調査 ちょうさ からは、1つの足跡 あしあと が作 つく られた後 のち に長期間 ちょうきかん 放置 ほうち された痕跡 こんせき が認 みと められず、3頭 とう のティラノサウルス類 るい の個体 こたい が集団 しゅうだん で移動 いどう していたという仮説 かせつ が支持 しじ された。さらなる調査 ちょうさ では、これらの動物 どうぶつ が時速 じそく 6.3 - 8.4キロメートルで移動 いどう し、腰 こし の高 たか さは2.1 - 2.7メートルであった可能 かのう 性 せい が高 たか いことが判明 はんめい した。この層 そう からはティラノサウルス科 か の異 こと なる3属 ぞく (ゴルゴサウルスとダスプレトサウルスおよびアルバートサウルス)が知 し られており、どの属 ぞく が足 あし 痕 こん を残 のこ したかは不明 ふめい である[ 116] [ 117] [ 118] 。さらなる証拠 しょうこ は、ユタ州 しゅう 南部 なんぶ のカイパロウィッツ累 るい 層 そう のRainbows and Unicorns Quarryのボーンベッドにある。この化石 かせき 証拠 しょうこ はテラトフォネウス のものとされており、2021年 ねん に記載 きさい され、他 た のティラノサウルス科 か も社会 しゃかい 的 てき 動物 どうぶつ であったことが示唆 しさ された。4 - 22歳 さい に亘 わた る異 こと なる4 - 5頭 とう の動物 どうぶつ からなるこの化石 かせき からは、おそらく洪水 こうずい 、あるいはより低 ひく い可能 かのう 性 せい で藍 あい 藻 も の毒 どく や火災 かさい や旱魃 かんばつ によって引 ひ き起 お こされた大量 たいりょう 死 し 事変 じへん が示唆 しさ されている。テラトフォネウスやアルバートサウルス、ティラノサウルスやダスプレトサウルスといった属 ぞく のボーンベッドはティラノサウルス科 か に広 ひろ く社会 しゃかい 的 てき 行動 こうどう が見 み られたことを意味 いみ しており、保存 ほぞん された全 すべ ての動物 どうぶつ が短期間 たんきかん に死滅 しめつ したという事実 じじつ はティラノサウルス科 か の群居 ぐんきょ 性 せい 行動 こうどう の論拠 ろんきょ を補強 ほきょう している[ 119] [ 120] [ 121] 。
ティラノサウルス類 るい の歯 は 型 がた は肉食 にくしょく 恐竜 きょうりゅう の食 しょく 痕 こん として最 もっと も広 ひろ く保存 ほぞん されており[ 122] 、角 すみ 竜 りゅう 類 るい やハドロサウルス類 るい および他 た のティラノサウルス類 るい から報告 ほうこく されている[ 122] 。既知 きち のティラノサウルス科 か の骨 ほね のち約 やく 2%には歯 は 型 がた が保存 ほぞん されている[ 122] 。ティラノサウルス科 か の歯 は はナイフ のように切断 せつだん する機能 きのう よりもむしろ肉 にく を体 からだ から引 ひ き剥 は がす金具 かなぐ のように用 もち いられた[ 123] 。歯 は の摩耗 まもう パターンからは、ティラノサウルス類 るい の食餌 しょくじ には頭 あたま を振 ふ る複雑 ふくざつ な行動 こうどう が含 ふく まれていたことが示唆 しさ される[ 123] 。
パラサウロロフス を襲 おそ うテラトフォネウス
少数 しょうすう の研究 けんきゅう 者 しゃ は、アルバートサウルスの群 む れでの狩猟 しゅりょう 行動 こうどう について、群 む れの若 わか いメンバーが獲物 えもの をより大型 おおがた かつ強力 きょうりょく であるが緩慢 かんまん な成体 せいたい まで誘導 ゆうどう したと推測 すいそく した[ 114] 。幼体 ようたい は成体 せいたい と異 こと なる生態 せいたい を持 も っていた可能 かのう 性 せい があり、巨大 きょだい な成体 せいたい とより小型 こがた の同 どう 時代 じだい の獣 しし 脚 あし 類 るい との間 あいだ のニッチを生 う めていた可能 かのう 性 せい がある。同 どう 時代 じだい の小型 こがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい は、その最大 さいだい の種 たね でも成体 せいたい のアルバートサウルスよりも体重 たいじゅう が2桁 けた 小 ちい さいのである[ 11] 。しかし、化石 かせき 記録 きろく に行動 こうどう が保存 ほぞん されることは非常 ひじょう に稀 まれ であり、これらのアイディアは容易 ようい に検証 けんしょう が可能 かのう なものではない。フィリップ・カリーは、ダスプレトサウルスが群 む れを形成 けいせい して狩 か りを行 おこな ったと思弁 しべん したが、確証 かくしょう を持 も っての主張 しゅちょう は出来 でき ないとした[ 57] 。ゴルゴサウルスでそのような行動 こうどう の証拠 しょうこ は発見 はっけん されていない[ 56] [ 57] 。
ティラノサウルスが捕食 ほしょく 動物 どうぶつ であったか腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ であったかという議論 ぎろん は、そのロコモーションに関 かん する議論 ぎろん と同 どう 程度 ていど に昔 むかし からのものである。Lambe (1917) はティラノサウルスに近 きん 縁 えん なゴルゴサウルス の骨格 こっかく を記載 きさい し、ゴルゴサウルスの歯 は がほぼ摩耗 まもう していないことに基 もと づいてゴルゴサウルスおよびティラノサウルスが純粋 じゅんすい な腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ であったと結論 けつろん した[ 124] 。獣 しし 脚 あし 類 るい の歯 は は極 きわ めて急速 きゅうそく に置換 ちかん されるため、この主張 しゅちょう は真剣 しんけん には受 う け止 と められていない。ティラノサウルスの最初 さいしょ の発見 はっけん 以降 いこう 大半 たいはん の研究 けんきゅう 者 しゃ はティラノサウルスが捕食 ほしょく 動物 どうぶつ であったことに同意 どうい しているが、現生 げんなま の捕食 ほしょく 動物 どうぶつ のように機会 きかい があれば喜 よろこ んで他 た の捕食 ほしょく 者 しゃ の獲物 えもの を盗 ぬす んだり死 し 肉 にく を漁 あさ ったりしたと思 おも われる[ 125] [ 126] 。
ジャック・ホーナー は、ティラノサウルスが専 もっぱ ら腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ であり、一切 いっさい の狩 か りを行 おこな わなかったと考 かんが えた[ 62] [ 127] [ 128] 。ホーナーは純粋 じゅんすい 腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ 仮説 かせつ を支持 しじ する複数 ふくすう の主張 しゅちょう を紹介 しょうかい している。大型 おおがた の嗅球 と嗅神経 しんけい の存在 そんざい からは、遠距離 えんきょり の死骸 しがい を嗅 か ぎ付 つ けるための高度 こうど に発達 はったつ した嗅覚 きゅうかく が示唆 しさ される。歯 は は骨 ほね を砕 くだ くことができ、それゆえ通常 つうじょう は最 もっと も栄養分 えいようぶん の少 すく ない部位 ぶい である死体 したい の残 のこ りから可能 かのう な限 かぎ りの食料 しょくりょう (骨髄 こつづい )を抜 ぬ き取 と ることが可能 かのう だった。またティラノサウルスは高速 こうそく 走行 そうこう が苦手 にがて であり、早 はや 歩 ある きないし歩行 ほこう を主 おも な移動 いどう 手段 しゅだん としていたとの仮説 かせつ もある一方 いっぽう 、少 すく なくともその獲物 えもの となりうる動物 どうぶつ は俊敏 しゅんびん に動 うご くことが出来 でき た[ 127] [ 129] 。
ゴルゴサウルスの幼体 ようたい 標本 ひょうほん TMP 2009.12.14 、シティペス (英語 えいご 版 ばん ) の化石 かせき が胃 い の中 なか に含 ふく まれていた
他 た の証拠 しょうこ からは、ティラノサウルスの積極 せっきょく 的 てき な狩猟 しゅりょう 行動 こうどう が示唆 しさ されている。ティラノサウルス類 るい の眼窩 がんか は目 め が前 まえ を向 む くように位置 いち しており、良好 りょうこう な立体 りったい 視 し が可能 かのう であった。ティラノサウルス類 るい が負 お わせた負傷 ふしょう がトリケラトプス やハドロサウルス類 るい の骨格 こっかく に認 みと められており、それらは最初 さいしょ の攻撃 こうげき を生 い き延 の びたように見 み える[ 130] [ 131] [ 132] 。ティラノサウルスが腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ ならば、北 きた アメリカからユーラシアにかけての上部 じょうぶ 白亜 はくあ 系 けい に別 べつ の恐竜 きょうりゅう が頂点 ちょうてん 捕食 ほしょく 者 しゃ の地位 ちい に立 た っていなければならないと主張 しゅちょう する研究 けんきゅう 者 しゃ もいる。頂点 ちょうてん 捕食 ほしょく 者 しゃ の獲物 えもの は大型 おおがた の周 しゅう 飾 かざり 頭 あたま 類 るい と鳥 とり 脚 あし 類 るい であった。他 た のティラノサウルス科 か はティラノサウルスと数 すう 多 おお くの特徴 とくちょう を共有 きょうゆう するため、ティラノサウルスを除外 じょがい した場合 ばあい 、頂点 ちょうてん 捕食 ほしょく 者 しゃ の候補 こうほ として残 のこ るのは小型 こがた であるドロマエオサウルス類 るい のみである。このことから、腐肉 ふにく 食 しょく 動物 どうぶつ 仮説 かせつ を信 しん じる者 もの は、ティラノサウルス類 るい がその巨体 きょたい と力 ちから で以 もっ て小型 こがた 動物 どうぶつ から獲物 えもの を盗 ぬす むことが可能 かのう だったと提唱 ていしょう した[ 129] 。
ティラノサウルス科 か が少 すく なくとも時折 ときおり 共食 ともぐ いしていたことを強 つよ く示唆 しさ する証拠 しょうこ もある。ティラノサウルス自体 じたい には1つの標本 ひょうほん において足 あし ・上腕 じょうわん 骨 こつ ・中 ちゅう 足 あし 骨 こつ に歯 は 型 がた が見 み られるものがあり、これに基 もと づいて少 すく なくとも死骸 しがい を漁 あさ るために共食 ともぐ いが行 おこな われていたことが示唆 しさ される[ 133] 。フルートランド層 そう およびキルトランド層 そう (共 とも にカンパニアン期 き )産 さん の化石 かせき 、およびオジョ・アラモ層 そう (マーストリヒチアン期 き )産 さん の化石 かせき からは、San Juan 盆地 ぼんち の様々 さまざま なティラノサウルス科 か で共食 ともぐ いが起 お きていたことが示唆 しさ される。標本 ひょうほん から集 あつ められた証拠 しょうこ に基 もと づくと、ティラノサウルス科 か が同種 どうしゅ の動物 どうぶつ の共食 ともぐ いを伴 ともな う日和見 ひよりみ 的 てき な摂食 せっしょく 行動 こうどう をとっていた[ 134] 。
ティラノサウルス上 うえ 科 か の化石 かせき の分布 ぶんぷ 。ティラノサウルス科 か は青色 あおいろ で示 しめ されている。
初期 しょき のティラノサウルス上 うえ 科 か が北半球 きたはんきゅう の全 すべ ての大陸 たいりく で発見 はっけん されている一方 いっぽう 、ティラノサウルス科 か の化石 かせき は北 きた アメリカとアジアでしか発見 はっけん されていない。南半球 みなみはんきゅう で産出 さんしゅつ した断片 だんぺん 的 てき な化石 かせき がティラノサウルス科 か のものとして報告 ほうこく されることは複 ふく 数 すう 回 かい あったが、これらはアベリサウルス科 か の化石 かせき の誤 あやま 同定 どうてい である[ 135] 。白 はく 亜紀 あき の中頃 なかごろ の化石 かせき 記録 きろく がアジア・北 きた アメリカの両 りょう 地域 ちいき で乏 とぼ しいためティラノサウルス科 か の起源 きげん となった時代 じだい と場所 ばしょ は不明 ふめい なままであるが、ティラノサウルス科 か のものとして確認 かくにん された最初 さいしょ 期 き のものはカンパニアン 期 き の北 きた アメリカ西部 せいぶ に生息 せいそく していた[ 11] 。
北 きた アメリカ東部 とうぶ でティラノサウルス科 か の化石 かせき は発見 はっけん されていないが、ドリプトサウルス やアパラチオサウルス といったより基盤 きばん 的 てき なティラノサウルス上 うえ 科 か の化石 かせき は回収 かいしゅう されている。これらは白 はく 亜紀 あき の終 お わりまで持続 じぞく しており、このことから白 はく 亜紀 あき の中頃 なかごろ に西部 せいぶ 内陸 ないりく 海路 かいろ によって北 きた アメリカが分裂 ぶんれつ した後 のち 、西部 せいぶ でティラノサウルス科 か が進化 しんか したことが示唆 しさ される[ 16] 。ティラノサウルス科 か の化石 かせき はアラスカ州 しゅう からも発見 はっけん されており、これが北 きた アメリカとアジアに分散 ぶんさん したルートであった可能 かのう 性 せい がある[ 136] 。ある系統 けいとう 解析 かいせき ではアリオラムスとタルボサウルスは近 きん 縁 えん な位置 いち に置 お かれており、本科 ほんか において固有 こゆう のアジアの系統 けいとう を形成 けいせい した[ 18] 。後 のち にキアンゾウサウルス の発見 はっけん およびアリオラムス族 ぞく の記載 きさい によりこれは反証 はんしょう された[ 30] 。2015年 ねん 、日本 にっぽん の福井 ふくい 県立 けんりつ 恐竜 きょうりゅう 博物館 はくぶつかん は長崎 ながさき 県 けん 長崎 ながさき 市 し の長崎 ながさき 半島 はんとう から産出 さんしゅつ したティラノサウルス科 か の歯 は 化石 かせき を報告 ほうこく した。これは8100万 まん 年 ねん 前 まえ (カンパニアン 期 き )のもので、日本 にっぽん 国内 こくない 初 はつ の大型 おおがた ティラノサウルス類 るい の歯 は は化石 かせき として発表 はっぴょう された[ 137] 。
タルボサウルスの骨格 こっかく キャスト
ティラノサウルス亜 あ 科 か はより広範囲 こうはんい に分布 ぶんぷ した。アルバートサウルス亜 あ 科 か はアジアで発見 はっけん されておらず、アジアにはタルボサウルスやズケンティラヌスおよびアリオラムス族 ぞく (アリオラムスやキアンゾウサウルス)といったティラノサウルス亜 あ 科 か が生息 せいそく していた。ティラノサウルス亜 あ 科 か とアルバートサウルス亜 あ 科 か は共 とも にカンパニアン期 き - マーストリヒチアン 期 き に北 きた アメリカに生息 せいそく しており、ダスプレトサウルスのようなティラノサウルス亜 あ 科 か は西部 せいぶ 内陸 ないりく 中 ちゅう に分布 ぶんぷ した一方 いっぽう 、アルバートサウルス亜 あ 科 か のアルバートサウルスやゴルゴサウルスは大陸 たいりく の北西 ほくせい 部 ぶ のみでしか知 し られていない[ 138] 。
後期 こうき マーストリヒチアン期 き までにアルバートサウルス亜 あ 科 か は絶滅 ぜつめつ し、ティラノサウルス亜 あ 科 か がサスカチュワン州 しゅう からテキサス州 しゅう まで分布 ぶんぷ した。このパターンは他 た の北 きた アメリカの恐竜 きょうりゅう にも当 あ てはまっている。カンパニアン期 き から前期 ぜんき マーストリヒチアン期 き にかけて、北西 ほくせい 部 ぶ ではランベオサウルス亜 あ 科 か の鳥 とり 脚 あし 類 るい とセントロサウルス亜 あ 科 か の角 すみ 竜 りゅう が繁栄 はんえい し、南部 なんぶ ではハドロサウルス亜 あ 科 か とカスモサウルス亜 あ 科 か が繁栄 はんえい した。白 はく 亜紀 あき 末 まつ ではセントロサウルス亜 あ 科 か は発見 はっけん されておらず、ランベオサウルス亜 あ 科 か も数 かず を減 へ らしていた一方 いっぽう 、ハドロサウルス亜 あ 科 か とカスモサウルス亜 あ 科 か は西部 せいぶ 内陸 ないりく 中 ちゅう で繁栄 はんえい した[ 11] 。2016年 ねん にスティーヴ・ブルサッテらは、北 きた アメリカ西部 せいぶ の大 だい 部分 ぶぶん の他 ほか のティラノサウルス科 か の絶滅 ぜつめつ にティラノサウルス自体 じたい が部分 ぶぶん 的 てき に関与 かんよ していたことを示唆 しさ した。この研究 けんきゅう では、ティラノサウルスが北 きた アメリカで進化 しんか したのではなく(おそらくタルボサウルスの子孫 しそん として)アジアから渡 わた り、他 た のティラノサウルス科 か と競合 きょうごう して生存 せいぞん 競争 きょうそう に勝利 しょうり したことが示唆 しさ されている。この仮説 かせつ は、ティラノサウルスが知 し られている範囲 はんい で他 た 種 しゅ のティラノサウルス科 か がほとんど発見 はっけん されていない事実 じじつ からも支持 しじ されている[ 139] 。
^ 全長 ぜんちょう は標本 ひょうほん 番号 ばんごう : FMNH PR 2081 (愛称 あいしょう : スー)、体重 たいじゅう は標本 ひょうほん 番号 ばんごう : RSM P2523.8 (愛称 あいしょう : スコッティ)と、それぞれ別 べつ 個体 こたい からの推定 すいてい
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