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スキピオニクス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
スキピオニクス
生息せいそく年代ねんだい: 113 Ma
地質ちしつ時代じだい
はく亜紀あき前期ぜんき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
: カルカロドントサウルスCarcharodontosauridae
ぞく : スキピオニクスぞく Scipionyx
学名がくめい
Scipionyx
dal Sasso & Signore, 1998
たね

スキピオニクスScipionyx)ははく亜紀あき前期ぜんきやく1おく1300まんねんまえ)に現在げんざいイタリア生息せいそくしていたのししあしるい恐竜きょうりゅうぞくひとつである。

現在げんざいのところ発見はっけんされているスキピオニクスの化石かせきは1981ねんにアマチュア生物せいぶつ研究けんきゅうにより発掘はっくつされた1標本ひょうほんのみである。この標本ひょうほんは1993ねん専門せんもんによる科学かがくてき検証けんしょうおこなわれ、1998ねんタイプしゅScipionyx samniticus命名めいめいされた。ぞくめいは「スキピオのつめ」を意味いみする。筋肉きんにくちょうといった軟組織そしき内臓ないぞう広範囲こうはんいわたって保存ほぞんされている貴重きちょう標本ひょうほんであり、この発見はっけん世間せけんおおきな注目ちゅうもくあつめた。化石かせきからは組織そしき細部さいぶ様々さまざま構造こうぞうれ、筋肉きんにくほね細胞さいぼう内部ないぶ構造こうぞうすら観察かんさつできる箇所かしょもあった。また、この恐竜きょうりゅうはイタリアで発見はっけんされた最初さいしょ恐竜きょうりゅうでもある。このように重要じゅうよう標本ひょうほんであり、熱烈ねつれつ研究けんきゅうつづけられている。

化石かせき全長ぜんちょうわずか50cmほどの幼体ようたいのものであり、おそらく生後せいご3にちほどの個体こたいである。そく歩行ほこう捕食ほしょくしゃであり、ながによって臀部でんぶ水平すいへいたもたれていた。きんえんしゅとの比較ひかくからからだ表面ひょうめんはおそらく原始げんしてき羽毛うもうおおわれていたと推測すいそくされるが、この標本ひょうほんにはそれらの痕跡こんせき皮膚ひふ痕跡こんせき一切いっさいのこっていない。

ちょうないにははん消化しょうか状態じょうたい食物しょくもつのこされており、トカゲやさかなべていたことがわかっている。これらは食物しょくもつはおそらくおやによって幼体ようたい給餌きゅうじされたものであると推定すいていされる。内臓ないぞう位置いちからの推定すいていでスキピオニクスの呼吸こきゅうほうについてさぐろうとする研究けんきゅうしゃもいるが、結論けつろんについては現在げんざいのところ意見いけん一致いっちをみていない。

発見はっけん命名めいめい歴史れきし[編集へんしゅう]

発掘はっくつのすぐにあるピエトラローヤむら

スキピオニクスは1981ねんにアマチュア生物せいぶつ研究けんきゅうのGiovanni Todescoによりナポリやく70 km北東ほくとうにあるピエトラローヤむらえんにあるちいさなLe Cavere採石さいせきじょう発見はっけんされた[1]化石かせき発見はっけんされたこのうみなりピエトラローヤ石灰岩せっかいがんそう、もしくはPlattenkalkばれる保存ほぞん状態じょうたいめずらしい化石かせき産出さんしゅつすることでられる地層ちそうである。Todescoはこの化石かせき絶滅ぜつめつした鳥類ちょうるいのものであるとかんがえた。ヴェローナ近郊きんこうサン・ジョヴァンニ・イラリオーネにある自宅じたく地下ちかしつでこの化石かせきの剖出作業さぎょうおこなった。Todescoは剖出をおこなうにあたって光学こうがく機器きき一切いっさい使用しようせず、化石かせきうえチョーク (岩石がんせき)ははがんのぞいたあとビニルグルーでおおった。Todescoは化石かせきはいった石板せきばんえん破片はへんけて強化きょうかした。また化石かせき完全かんぜん回収かいしゅうすることに失敗しっぱいし、作業さぎょうのどこかで化石かせきおおきくかけしっしたため、けた部分ぶぶんおなじようにポリエステル樹脂じゅしせいにせくわえた。1993ねん初頭しょとう、Todescoこの化石かせき動物どうぶつあごにちなんだcagnolino、"little doggie"という愛称あいしょうをつけ、ミラノ市立しりつ自然しぜん博物館はくぶつかん生物せいぶつ学者がくしゃGiorgio Teruzziのもとにてもらいにった。Teruzziはこの化石かせきししあしるい恐竜きょうりゅう幼体ようたいであると同定どうていし、ミラノ守護しゅご聖人せいじんアンブロジウスにちなんでAmbrogio という愛称あいしょうづけた。Teruzzi自身じしん恐竜きょうりゅう専門せんもんではなかったため、同僚どうりょうちちGuiseppe Leonardiに助言じょげんもとめた。イタリアではこういった化石かせきなどの発見はっけんぶつ法律ほうりつ国有こくゆう財産ざいさんとなるため、Todescoは科学かがく記者きしゃFranco Caponeに発見はっけん当局とうきょく報告ほうこくするように説得せっとくされた。1993ねん10がつ15にちにTodescoは化石かせき直接ちょくせつナポリの考古学こうこがく監督かんとくとどけた。標本ひょうほんSoprintendenza per i Beni Archeologici di Salerno, Avellino, Benevento e Caserta の収蔵しゅうぞうぶつくわえられ、公式こうしきには現在げんざいもその状態じょうたいにある。2002ねん4がつ19にちからベネヴェント考古学こうこがく博物館はくぶつかんイタリアばん展示てんじされた。

標本ひょうほんのレプリカをつクリスティアーノ・ダル・サッソ

1993ねんにTeruzziとLeonardiはこの発見はっけんについて科学かがくてき報告ほうこくしたところ[2]、イタリアで最初さいしょ恐竜きょうりゅう発見はっけんであったため注目ちゅうもくあつめた[3]。また発表はっぴょう大衆たいしゅう雑誌ざっしOggi英語えいごばんはこの動物どうぶつ典型てんけいてきなナポリのおとこ名前なまえであるCiro という愛称あいしょうをつけた。これはチーフディレクターのPino Aprileのアイディアである[4]。1994ねんにはLeonardiがこの発見はっけんかんする長大ちょうだい論文ろんぶん発表はっぴょうした[5]。1995ねんフェデリコ2せい・ナポリ大学だいがくのMarco Signoreは[1]化石かせきなが記載きさいふく学位がくい論文ろんぶん提出ていしゅつし、この動物どうぶつを「Dromaeodaimon irene」と命名めいめいした[6]学位がくい論文ろんぶん出版しゅっぱんぶつとはみとめられないため、この命名めいめい正当せいとうnomen ex dissertatione学位がくい論文ろんぶんによる命名めいめい)の状態じょうたいままであった。一方いっぽう、サレルノではSergio Rampinelliが化石かせきさらなる剖出をはじめており、300あいだおよ作業さぎょう結果けっかTodescoによりけられたにせ除去じょきょされ、保護ほごようのためけられたビニルグルーを化石かせき保存ほぞんよう樹脂じゅしえ、化石かせき露出ろしゅつさせる作業さぎょう仕上しあげがおこなわれた。このときにこの標本ひょうほんには軟組織そしきだい部分ぶぶん保存ほぞんされていることが判明はんめいした。

1998ねんCiroづけられたこの標本ひょうほんだい部分ぶぶんの軟組織そしき保存ほぞんされた貴重きちょうなものであることから、雑誌ざっしネイチャー表紙ひょうしかざり、Marco Signore およびクリスティアーノ・ダル・サッソイタリアばんによりタイプしゅScipionyx samniticus として命名めいめい記載きさいされた[7]ぞくめいScipionyxラテン語らてんご名前なまえScipio古代こだいギリシャで「つめ意味いみする」 ὄνにゅーυうぷしろんξくしーonyx)から派生はせいしたかたりで、わせて「スキピオのつめ」を意味いみする。「スキピオ」は18世紀せいき地質ちしつ学者がくしゃであり、化石かせき発見はっけんるいそう最初さいしょ記載きさいした スキピオーネ・ブライスラーク英語えいごばん[1]ハンニバルたたかった有名ゆうめいなローマの執政しっせいかんであるスキピオ・アフリカヌス両方りょうほうにちなんだものである。たね小名しょうみょうsamniticus は「サムニウムからの」を意味いみし、ピエトラローヤ周辺しゅうへん地域ちいきラテン語らてんごめいサムニウムに由来ゆらいする。「Italosaurus」、 「Italoraptor」、 「Microraptor」などいくつかべつ名前なまえ考案こうあんされたが棄却ききゃくされた[8]

ホロタイプSBA-SA 163760アルビアン前期ぜんきやく1おく1000まんねんまえ地層ちそうから発見はっけんされ、幼体ようたい個体こたいのほぼ完全かんぜん骨格こっかくであり、うしなわれているのは先端せんたん下肢かしみぎだいゆびのかぎつめのみである。広範こうはんわたり軟組織そしき保存ほぞんされているものの、皮膚ひふおよびうろこ羽毛うもうといったからだ表面ひょうめんおおうものは一切いっさい保存ほぞんされていない[9]

この発見はっけんとく重要じゅうようせいがあるため、化石かせきは2005ねん12月から2008ねん10がつあいだにミラノで集中しゅうちゅうてき研究けんきゅうおこなわれ、2011ねんにダル・サッソとSimone Maganucoによりモノグラフとして発表はっぴょうされた[10]。このモノグラフには単一たんいつ恐竜きょうりゅうたねについてのものとしてはこれまでもっと広範こうはん情報じょうほう記載きさいされている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

おおきさ[編集へんしゅう]

ヒトと幼体ようたい標本ひょうほんおおきさ比較ひかく

スキピオニクスのホロタイプ非常ひじょうちいさな幼体ようたいのものであり、化石かせき保存ほぞんされていた全長ぜんちょうはたった237mmしかない。2011ねんにダル・サッソとMaganucoはうしなわれたさきふくめた全長ぜんちょう推定すいていをおこない、461mmとした。この標本ひょうほんロウリンハサウルスアロサウルスなど相当そうとうおおきなししあしるいはいひなくらべてもあまりにちいさくない。しかし、コンプソグナトゥスたね類似るいじしていることを考慮こうりょすると、スキピオニクスの成体せいたいおおきさはられるかぎ最大さいだいのコンプソグナトゥス恐竜きょうりゅうであるシノカリオプテリクス全長ぜんちょう237cmをえるものではない可能かのうせいたかい。ひなながさ11cm、はば6cmのひろたまごなかかれていたことになり、これは成体せいたいからだたいしてかなりおおきなたまごであったことになる[10]

体格たいかく一般いっぱん[編集へんしゅう]

復元ふくげん

ホロタイプはおそらく生後せいご数日すうじつひなのものであり、成体せいたい体格たいかく正確せいかくもとめることは困難こんなんであるが、ある程度ていど一般いっぱんてき結論けつろんじゅうふんできる。スキピオニクスは小型こがたそく歩行ほこう捕食ほしょくしゃである。ながによりバランスされて臀部でんぶ水平すいへいたもたれていた。くび比較的ひかくてきながく、ほそい。四肢しし細長ほそながく、とく前肢ぜんしがかなり細長ほそながい。ダル・サッソとSimone Maganucoはコンプソグナトゥスなどのきんえんしゅられているように、この動物どうぶつ生存せいぞんげん羽毛うもうおおわれていた可能かのうせいたかいとかんがえた[10]

しょうとなる特徴とくちょう[編集へんしゅう]

2011ねん研究けんきゅうでは以下いかのような8つの固有こゆう派生はせい形質けいしつ確立かくりつされ、これによりきんえんしゅ識別しきべつされる[10]

頭骨とうこつ[編集へんしゅう]

ミラノ自然しぜん博物館はくぶつかん頭骨とうこつ

ホロタイプの頭骨とうこつからだおおきさにたいしておおきくて、前後ぜんごみじかく、眼窩がんか非常ひじょうおおきい。頭骨とうこつ眼窩がんか相対そうたいてきおおきいのは若年じゃくねんであるためである。したがって、通常つうじょう頭骨とうこつ最大さいだい開口かいこうである半円はんえんじょうぜん眼窩がんかまどみじかく、眼窩がんかよりちいさい。ぜん眼窩がんかまど前方ぜんぽうぜん上顎じょうがくこつ上顎じょうがくこつには2つのちいさな開口かいこうがある。口吻こうふんとがっていて、頭頂とうちょうひくくてまるい。ぜん上顎じょうがくこつ口吻こうふん前半ぜんはん部分ぶぶん構成こうせいするほねで、ここにほんがある。上顎じょうがくこつはその後方こうほうにあるほねで、前方ぜんぽう非常ひじょうみじかふか分岐ぶんきがあり、7ほんがある。上顎じょうがくこつ表面ひょうめんぜん眼窩がんかまどがわにあるへこみが隆起りゅうき境界きょうかいとなっている。なみだこつふとく、かくがない。がわあたままど貫通かんつうしていない。ぜんぜん頭骨とうこつ英語えいごばん異常いじょうおおきく、眼窩がんか前方ぜんぽう上部じょうぶえんだい部分ぶぶん構成こうせいしている。ぜん頭骨とうこつには後方こうほうよこ方向ほうこう隆起りゅうきがある。ぜん頭骨とうこつ頭頂とうちょうこつあいだのスカルルーフはある程度ていど隙間すきまがあり、まだじておらず、目立めだった菱形ひしがた開口かいこうになっている。このいずみもん(en:fontanelle)は最初さいしょ最初さいしょの剖出のさいについた化石かせき損傷そんしょう間違まちがえられた。頭蓋骨ずがいこつ内側うちがわにはへこみがなく、頭頂とうちょうこつたか隆起りゅうきにより境界きょうかいがなされている。頬骨ほおぼねにはなみだこつかう前方ぜんぽう垂直すいちょく分岐ぶんきがない。方形ほうけいこつ前方ぜんぽうえんおおきく翼状よくじょうひろがり、翼状よくじょうこつ英語えいごばんせっしている。のうはこほねおおきくひらいているが、内耳ないじ開口かいこうちいさく、recessus tympanicus dorsalisしつがわおちい凹)がれる。のうはこしたがわふくらみがない[10]

しもあごはまっすぐで細長ほそながい。しも顎骨がっこつ上下じょうげはばがかなりみじかい。ひだりあご右側みぎがわあごしたかさなってえるため、標本ひょうほんではふといもののような錯覚さっかくしょうじている。したあごには10ほんがある。1998ねん記載きさいではいたじょうこつ英語えいごばん一部いちぶかくこつ英語えいごばん化石かせきなか上向うわむきにずれ、にせそと顎骨がっこつまど印象いんしょうしょうじ、あご側面そくめん開口かいこうがあるかのようにえたため、いたじょうこつがsupradentariumと、かくこつ上角うえすみこつ英語えいごばんとそれぞれあやま同定どうていされた[10]

スキピオニクスにはぜん上顎じょうがくこつに5ほん上顎じょうがくこつに7ほんしもあごこつに10ほん片面かためんあたりけい22ほんがあり、頭部とうぶ全体ぜんたいで44ほんがあることになる。通常つうじょうのコンプソグナトゥスではぜん上顎じょうがくこつは4ほんであり、おどろくべきものである。他方たほうであるしゅカルノサウルスるいのみに5ほんつものが存在そんざいする。この標本ひょうほん若年じゃくねん個体こたいのものであり、わりサイクルはまだはじまっておらず、左右さゆうあご完全かんぜん対称たいしょうになっている。 にはコンプソグナトゥス典型てんけいてきかんむり頂点ちょうてんにあるきゅう後方こうほうへのカーブがない。わりに全体ぜんたい徐々じょじょにカーブしている。最大さいだいのみにある程度ていどの「よじれ」がられる。例外れいがいてきに、しもあごれつ上顎じょうがくのものよりもさらに後方こうほうびている。前上まえかみ顎骨がっこつとがっていて、鋸歯きょしい。前方ぜんぽうの4ほん楕円だえんがた断面だんめんち、5ほん頂点ちょうてん付近ふきんがよりたいらである。2ほん一番いちばんおおきい。上顎じょうがくこつ後端こうたんえん鋸歯きょしち、ひらたい。2番目ばんめと4番目ばんめ上顎じょうがくおおきく、4番目ばんめすべてのなか最大さいだいである。したあごの10ほんでは前方ぜんぽうの2ほんがかなりまっすぐで、楕円だえんがた断片だんぺんち、鋸歯きょしがない。3番目ばんめには基部きぶ鋸歯きょしがあり、いただきひらたい。の7ほん後方こうほうによりがっており、全体ぜんたいてきひらたく、鋸歯きょし頂点ちょうてんまである[10]

頭骨とうこつ以外いがい骨格こっかく[編集へんしゅう]

Todescによってのぞかれた破片はへんくわえた完全かんぜん石版せきばんT

スキピオニクスの脊椎せきついは10の頸椎と13どうしい構成こうせいされると推測すいそくされている。しかし発見はっけんされている標本ひょうほん生後せいごあいだもないひなのものであるため、頸椎とどうしいちがいが十分じゅうぶん発達はったつしておらず、区別くべつはかなり任意にんいである。せんしい確実かくじつに5である。標本ひょうほんではしいが7のみ保存ほぞんされていた。生存せいぞんしいは50以上いじょうあった可能かのうせいたかい。頸椎はこう凹型(opisthocoelous)である。じくしいは含気孔きこうくび基部きぶ気嚢きのういこいしつ内部ないぶ空洞くうどうたっするための開口かいこう)がほね側面そくめんられ、含気英語えいごばんしていた。だい3、だい4、だい5頸椎にも含気孔きこうられるが、空洞くうどうはつながっていない。含気化きか過程かてい背中せなかからはじまり、前方ぜんぽうひろがっていったと想定そうていされていたため、前方ぜんぽうほうが含気すすんでいるというこの状態じょうたいおどろくべきものであった。1998ねん論文ろんぶんでは頸肋こつみじかいものとられたが、2011ねん研究けんきゅうではぎゃく非常ひじょう細長ほそながく、しいたいの3ばいにおよぶものであることが判明はんめいした[10]

どうしいは含気していない。しいたい断面だんめん楕円だえんがたかつりょうたいらがた(amphiplatyan 前後ぜんこうどちらがわにも凸凹でこぼこられない)である。側面そくめん六角形ろっかっけいとげ突起とっきみじかい。とげ突起とっきさい上部じょうぶのすぐ前後ぜんごえんにはくちばしじょう突起とっきがある。1998ねん研究けんきゅうではおおくのししあしるいられる関節かんせつ機構きこうである、ハイポスフェン-ハイパントラムふく合体がったい英語えいごばん縮小しゅくしょうしたものであると解釈かいしゃくされていた突起とっきは、2011ねん研究けんきゅうでは2006ねんのコンプソグナトゥス同定どうていされたものとどうじ、1ついけん付着ふちゃくであることがたしかめられた。例外れいがいてきだい13どうしいには2つの肋骨あばらぼね関節かんせつ突起とっきがあり、がわ突起とっき(parapophysis)およびよこ突起とっき(diapophysis)がおな水準すいじゅんならんでいる。5せんしいたがいにまだ癒合ゆごうしておらず、しん仙骨せんこつにはなっていない。しいひら凹型(platycoelous)で、とげ突起とっきみじかく、血道ちみちゆみ後方こうほう傾斜けいしゃしていた[10]

肋骨あばらぼねすくなくとも12たいあり、はずれた位置いちつかったいくつかの化石かせき要素ようそは、13たい肋骨あばらぼね可能かのうせいがある。3番目ばんめと4番目ばんめ肋骨あばらぼね下端かたんひろがっていて、生存せいぞんにはおそらく軟骨なんこつせいむね肋骨あばらぼねがあり、この標本ひょうほんではまだほねしていない状態じょうたい胸骨きょうこつ接続せつぞくしていたようである。臀部でんぶ下部かぶはかごじょうになった18ついはら肋骨あばらぼねおおわれていた。ダル・サッソとMaganucoは前肢ぜんし付近ふきん存在そんざいした不思議ふしぎ骨幹こっかん破片はへんについて、これが最前さいぜん位置いちする19たいはら肋骨あばらぼねであり、1つい通常つうじょうはら肋骨あばらぼねなかあいだ要素ようそあいどうな2つ骨幹こっかん完全かんぜん癒合ゆごうしたもので構成こうせいされていると解釈かいしゃくした。このような血道ちみちゆみほねジュラヴェナトルでも報告ほうこくされている。はら肋骨あばらぼねヘリンボーンじょうならび、左右さゆうほねせっするはらがわ末端まったん分岐ぶんきしていて、たがいにかさなり、腹部ふくぶ呼吸こきゅう運動うんどう適応てきおうしてかごじょう構造こうぞう拡大かくだい収縮しゅうしゅくできるようになっている[10]

かたかぶとこつ比較的ひかくてきまっすぐで、ながさははばやく6ばいから7ばいほどであるが、上端じょうたんうしなわれている。下端かたん半円はんえんじょう烏口からすぐちこつ接続せつぞくしている。またこつはばひろく、125程度ていど角度かくど分岐ぶんきしたUがたをしている。前肢ぜんしはかなりながく、上半身じょうはんしんながさのほぼ48%ほどである。とく一般いっぱんてきなコンプソグナトゥスたね同様どうよう細長ほそながい。しかし、コンプソグナトゥスなかではスキピオニクスの比較的ひかくてきみじかい。上腕じょうわんこつはまっすぐで、三角さんかくむねすじりょう適度てきど発達はったつしている。しゃくこつほそく、上腕じょうわんこつの70%ほどのながさでつつじょうである。手首てくび構成こうせいするほねふたつのみであり、橈骨は下端かたんがそのしたにある円盤えんばんじょうほねにかぶさっている。この円盤えんばんじょうほねだいいち下手へたこつ拡大かくだいしたものか、もしくはだいいちだいこつなく完全かんぜん癒合ゆごうしたものであるとみられる。中手なかてこつちいさくまとまり、適度てきど細長ほそながい。3つのほね構成こうせいされ、それぞれにたがいにかがみぞうがたゆびいている。だいいちほねもっとみじかく、もっと分厚ぶあつい。だいののほね最長さいちょうである。だいさんほねながさもあつみもだいいちだい中間ちゅうかんにある。このほねだい三指みつゆびはコンプソグナトゥスでもとくながく、だい一指いっしの123%におよぶ。だいいち中手なかてこつ関節かんせつにははすかくいているため、だい一指いっし内側うちがわひろがっていて、かぎつめだいゆびのもよりちいさい。これらののかぎつめ程度ていどがっている[10]

骨盤こつばんではちょうこつみじかく、たいらで上側うわがわ側面そくめんとつである。後端こうたん長方形ちょうほうけいで、前方ぜんぽうのへりにはかぎじょうとがった付加ふかぶつがあり、頂点ちょうてん付近ふきんまるきりこんがある。これらの特徴とくちょうティラノサウルスうえとの共有きょうゆう派生はせい形質けいしつsynapomorphy)とみなされることがおおい。恥骨ちこつ先端せんたんはほぼ垂直すいちょくがっており、「mesopubic」もしくは「orthopubic」の状態じょうたいである。恥骨ちこつ比較的ひかくてきみじかく、大腿だいたいこつながさのおよそ2/3である。坐骨ざこつ恥骨ちこつの3/4ほどのながさで、54角度かくどいていて、先端せんたんすこひろがっている。坐骨ざこつ骨幹こっかん前方ぜんぽうには手斧ちょうなじょうをした筋肉きんにく付着ふちゃくするためのおおきな突起とっきがあり、ここに恥骨ちこつ坐骨ざこつ大腿だいたい括約筋かつやくきん(Musculus puboischiofemoralis externus)が付着ふちゃくする。突起とっきしたえん骨幹こっかんあいだにあるはずのちいさなまるきりこんがみられないが、この欠損けっそん通常つうじょう下部かぶ三角形さんかっけい閉鎖へいさすじ突起とっき存在そんざいすることと関連かんれんしている[10]

後肢あとあしでは下腿かたいつかっていない。大腿だいたいこつはまっすぐでふとい。しょうてんだいてんよりもいちじるしくみじかく、せま分離ぶんりされている。前方ぜんぽうには翼状よくじょう拡張かくちょうがある。後方こうほうてんはなく、同様どうよう骨幹こっかん後方こうほうだいよんてんい。脛骨けいこつ下腿かたい隆起りゅうきちいさく、ふかせまみぞ外側そとがわ顆と分離ぶんりされている。腓骨ひこつ上部じょうぶ幅広はばひろく、骨幹こっかんほそ[10]

組織そしき[編集へんしゅう]

前肢ぜんしちょう領域りょういき拡大かくだいしたもの

ホロタイプ標本ひょうほんには恐竜きょうりゅう化石かせきとしてはとくひろ領域りょういきの軟組織そしき保存ほぞんされていた。ある程度ていどすじ組織そしきサンタナラプトルペレカニミムス)、軟骨なんこつジュラヴェナトルアウカサウルス)、内臓ないぞうミリスキア)といったものが恐竜きょうりゅうでも報告ほうこくされているが、スキピオニクスはほとんどの主要しゅよう内臓ないぞうぐん痕跡こんせき保存ほぞんされていたというてん特異とくいである。血液けつえき血管けっかん軟骨なんこつ結合けつごう組織そしきすじ組織そしきすみさや呼吸こきゅうけい消化しょうかけい保存ほぞんされていたものの、神経しんけい組織そしきうろこ羽毛うもう外皮がいひなどからだ表面ひょうめんおおうものは保存ほぞんされていない[10]

組織そしき印象いんしょうではなく3次元じげんいし化物ばけものとして保存ほぞんされており、おどろくほど繊細せんさい構造こうぞうリン酸カルシウムりんさんかるしうむ置換ちかんされており、細胞さいぼうないレベルもしくはもともとの生体せいたい分子ぶんし構成こうせい要素ようそのこったかたち変化へんかしている[10]

ほね組織そしき[編集へんしゅう]

もともとのほね組織そしきのこされていないが、リン酸カルシウムりんさんかるしうむによるこう作用さようでもともとのほね細胞さいぼう構造こうぞう保存ほぞんされており、内部ないぶ空洞くうどうほね細管さいかんふく個々ここほね細胞さいぼう様子ようすがわかる。また、ほね内部ないぶ血管けっかん構造こうぞう保存ほぞんされており、一部いちぶ内部ないぶ空洞くうどうである。頭骨とうこつしもあごなど一部いちぶほねでは骨膜こつまく存在そんざいられる[10]

靭帯じんたい軟骨なんこつ[編集へんしゅう]

だい9頸椎から背中せなかにかけて、椎骨ついこつ関節かんせつ関節かんせつつつみ英語えいごばん残存ざんそんられる。とげ突起とっきあいだ空間くうかんにはうすとげあいだ英語えいごばんとげじょう靭帯じんたい英語えいごばんられる。このうち6つの椎骨ついこつ明瞭めいりょう軟骨なんこつ結合けつごう英語えいごばんがかぶさっており、幼体ようたい典型てんけいてき特徴とくちょうしめしている。軟骨なんこつのキャップは最小さいしょうのものもふくすべての関節かんせつにもあり、とくかたひじ手首てくび関節かんせつ分厚ぶあつい。また恥骨ちこつ軟骨なんこつのキャップでおおわれていて、ちょうこつ恥骨ちこつ軟骨なんこつへだてられている[10]

呼吸こきゅう[編集へんしゅう]

呼吸こきゅうはほとんど保存ほぞんされていない。はい気嚢きのうなん痕跡こんせきのこっていない。ながさ7mmほどの孤立こりつした小片しょうへんである気管きかんほねのこされており、これには10ほどの気管きかん軟骨なんこつられ、最前さいぜん上部じょうぶ開口かいこうしCがたをしている。軟骨なんこつ平均へいきんながさが3.3mmで、あつさ0.17mmの空間くうかんへだてられている。気管きかんはかなりあつく、はば1mmで保存ほぞんされており、このあつさはホロタイプの個体こたいおおきさから期待きたいされるはば半分はんぶんほどである。頸部の基部きぶのかなりひく場所ばしょ位置いちし、結合けつごう組織そしきなかまりこんでいる[10]

肝臓かんぞう心臓しんぞう脾臓ひぞう胸腺きょうせん[編集へんしゅう]

胸部きょうぶ前方ぜんぽうに、直径ちょっけい17mmほどのほぼ円形えんけいのしみが目立めだあかかさ(かさ)じょう存在そんざいする。1998ねん研究けんきゅうではこのしみは血液けつえきおおふく器官きかんである肝臓かんぞうくさったものの痕跡こんせきである可能かのうせい示唆しさされた。2011ねん研究けんきゅうではこのあかいものが実際じっさい血液けつえき由来ゆらいするものであることが確認かくにんされた。走査そうさがた電子でんし顕微鏡けんびきょうによる解析かいせき結果けっか、この物質ぶっしつヘモグロビン変化へんかしたものである可能かのうせいたかみず酸化さんかてつである褐鉄鉱かってっこう構成こうせいされることがかった。また、とく肝臓かんぞう存在そんざいする胆汁たんじゅう構成こうせい要素ようそであるビリベルジン存在そんざいしていた。血液けつえきおなじく血液けつえきおお器官きかんである、心臓しんぞう脾臓ひぞう由来ゆらいするものの可能かのうせいもある。爬虫類はちゅうるいではこれらは2よう肝臓かんぞうあいだ位置いちしている[10]

胸部きょうぶほか器官きかん痕跡こんせきのこっている可能かのうせいがあり、くび基部きぶにある有機物ゆうきぶつ由来ゆらい灰色はいいろかたまり胸腺きょうせん由来ゆらい可能かのうせいがある。また、このかたまりには結合けつごう組織そしき筋肉きんにく組織そしきふくまれている[10]

消化しょうか[編集へんしゅう]

内臓ないぞうもしくは食物しょくもつ痕跡こんせきのこっているため、消化しょうかかんのほとんどの部分ぶぶんについて、その痕跡こんせきをたどることができる。食道しょくどう位置いちは、ながさ5mmほどにわたってちいさな食物しょくもつへんならんでいることから推定すいていされる。だい9どうしいしたには獲物えもの動物どうぶつほねかたまりがあり、これが位置いちしめす。そのものは死後しごまもなくに自身じしん胃液いえきけてしまった可能かのうせいたかい。かたまりがかなり後向うしろむきに位置いちしていることからじゅう構造こうぞうであり、筋肉質きんにくしつ砂嚢さのうまえには酵素こうそ分泌ぶんぴつおこなぜんがあったことが示唆しさされる。せき報告ほうこくされていない[10]

位置いちのちょうどの後方こうほうに、目立めだっておおきな分厚ぶあつちょうられ、十二指腸じゅうにしちょう同定どうていされている。部分ぶぶんてき天然てんねんエンドキャスト英語えいごばん保存ほぞんされ、また部分ぶぶんてきには粘膜ねんまく結合けつごう組織そしきふく細胞さいぼう構造こうぞうしめかたち化石かせきしている。ながさ1cmで、はば0.02-0.1mmの中空なかぞらかんというかたちで、ちょうおおちょうあいだまく血管けっかんもみられる。 十二指腸じゅうにしちょうおおきなループじょうで、した行部ゆくべ一部いちぶ最初さいしょ真直まっすはら肋骨あばらぼねかってしたぎょうし、それから背中せなかほうびる。そのさきがはっきりえるようなきゅうカーブになっていて、前方ぜんぽう屈折くっせつし、かんうえぎょうするようにび、付近ふきんわっているようにえる。このてんかんからだ左側ひだりがわ(つまり石版せきばん内側うちがわ)をき、化石かせきばん直角ちょっかくをなし、そこでわっている。隣接りんせつし、やや上部じょうぶにある表面ひょうめんちょうつづきの部分ぶぶんそらちょう解釈かいしゃくされている。このうすちょう後方こうほうがり、十二指腸じゅうにしちょううえ行部ゆくべ平行へいこうしてび、最終さいしゅうてきだい12どうしいおなたかさのところで十二指腸じゅうにしちょうしたえる。だい10どうしいしたふたた表面ひょうめんあらわれることから、どうやら前方ぜんぽうかってループになっているようで、最初さいしょ上方かみがたかってび、つづいて後方こうほう脊椎せきついしたうしきにがるか、もしくは脊椎せきついうえ位置いちされる。おそらく死後しご部分ぶぶんてき上向うわむきにずれたのだろう。回腸かいちょう非常ひじょうみじかく、そらちょうざっているようにえる。だい13どうしいした収縮しゅうしゅく直腸ちょくちょうへの移行いこうしめしている可能かのうせいがある。盲腸もうちょう存在そんざいしないようにえる。直腸ちょくちょう恥骨ちこつ坐骨ざこつ上部じょうぶ骨幹こっかんあいだ後方こうほうかってびている。つづいて坐骨ざこつ骨幹こっかん平行へいこうして下方かほうがり、末端まったんふたたじょういている。ここに排泄はいせつぶつ最後さいご部分ぶぶんのこっている。そう排出はいしゅつ保存ほぞんされていない。ダル・サッソとMaganucoはそう排出はいしゅつ腔はかなりしたほうの、坐骨ざこつあしおなたかさぐらいに存在そんざいし、rectocoprodaeal valveでくそ尿にょう分離ぶんりされていたことを示唆しさした[10]

恥骨ちこつ骨幹こっかん前方ぜんぽうえんちょう後方こうほうあいだにはおおきなそら空間くうかん存在そんざいした。また直腸ちょくちょう非常ひじょうたか位置いちび、なんらかのものによってげられているようにすらえる。ダル・サッソとMaganucoは生存せいぞんにはこの空間くうかん孵化ふか卵黄らんおうたされていたとかんがえた。一般いっぱんてきには爬虫類はちゅうるい孵化ふか卵黄らんおう吸収きゅうしゅうしきっておらず、最初さいしょすう週間しゅうかん食物しょくもつ摂取せっしゅおぎなうために、のこりの栄養分えいようぶん利用りようしている[10]

筋肉きんにく組織そしき[編集へんしゅう]

ホロタイプ標本ひょうほんにはいくつかの場所ばしょすじ組織そしき英語えいごばん化石かせき存在そんざいする。おおくの場合ばあい保存ほぞん状態じょうたい程度ていどなみはずれてよく、個々ここ繊維せんい識別しきべつできるのみならず個別こべつ細胞さいぼう細胞さいぼうないサルコメア英語えいごばんすら識別しきべつできるものもある。 恐竜きょうりゅう化石かせきなかでこのようにサルコメアがられているのはサンタナラプトルのみであり、サンタナラプトルの筋繊維きんせんいはスキピオニクスのものより4ばいあつい。元来がんらい有機ゆうき物質ぶっしつちいさな中空なかぞらたまわっていて、その内壁ないへき燐灰石りんかいせきかたち英語えいごばん結晶けっしょう構成こうせいされている[10]。 頸部の基部きぶにある灰色はいいろ有機物ゆうきぶつかたまりには、筋繊維きんせんい存在そんざいし、胸骨きょうこつしたこつすじむね気管きかんすじ同定どうていされている。だい6どうしいだい7どうしいあいだ筋繊維きんせんいよこ突棘すじもしくはどう最長さいちょうすじ(Musculus longissimus dorsi)のものであるようにえる。みぎ坐骨ざこつ前方ぜんぽうにある筋繊維きんせんい坐骨ざこつあしから大腿だいたいこつ方向ほうこうびている。この筋肉きんにく同定どうてい確定かくていである。これらは恥骨ちこつ坐骨ざこつ大腿だいたいすじMusculus puboischiofemoralis pars medialis ワニるいだいいち大腿だいたいないてんすじMusculus adductor femoris I))に相当そうとうするものである可能かのうせいがあるが、この場合ばあいこの筋肉きんにくは(あるしゅの)鳥獣ちょうじゅうあしるいでは閉塞へいそくすじ突起とっき固定こていされていない。この繊維せんい未知みち筋肉きんにくのものである可能かのうせいもある。いずれにせよ、これらの推論すいろんグレゴリー・ポールにより坐骨ざこつ大腿だいたいこつあいだ筋肉きんにく接続せつぞくまったくないと反論はんろんされている。直腸ちょくちょう管内かんない上部じょうぶには区切くぎりのない水平すいへい筋繊維きんせんい領域りょういき存在そんざいし、おそらく基部きぶにある区切くぎりのないなが尾大びだいからだすじ英語えいごばんMusculus caudofemoralis longus)のものであろう。この筋肉きんにく大腿だいたいこつ主要しゅよう収縮しゅうしゅくすじである。これらの繊維せんい断面だんめん多角たかくがたで、細胞さいぼうあいだ空間くうかんられる。一部いちぶ基部きぶしいしたには血道ちみちゆみ結合けつごうする靭帯じんたい存在そんざいし、ligmamentum interhaemale形成けいせいするものの、いくつかのちいさな筋繊維きんせんいとヘリンボーンじょうならんだなぞ中空なかぞらかん存在そんざいする。後者こうしゃはおそらくすじ分節ぶんせつ英語えいごばんすじぶしちゅうへだた(myoseptum)であり、ちょうこつすじMusculus iliocaudalis)もしくは坐骨ざこつすじMusculus ischiocaudalis)を区切くぎっている[10]

すみさや[編集へんしゅう]

化石かせきすべてのかぎつめには(あしのものはすべうしなわれているが)すみさやられる。これらは基部きぶより上部じょうぶほうくらいろで、もともとの角質かくしつ物質ぶっしつ残存ざんそんしていることが示唆しさされる。しかし、この貴重きちょう化石かせき完全かんぜんせい重要じゅうよう部分ぶぶんである、これらの繊細せんさい構造こうぞう損傷そんしょうしてしまうおそれがあり、直接ちょくせつ化学かがく分析ぶんせきおこなわれていない。のかぎつめかくさやほねしんやく40%拡大かくだいし、カーブして先端せんたんとがったほね大鎌おおがま形状けいじょう維持いじしている。いくつかのかぎつめさや部分ぶぶんてき分離ぶんりしている。のものはひらたくつぶれるかけている[10]

外皮がいひ[編集へんしゅう]

化石かせき一切いっさい皮膚ひふうろこ羽毛うもう痕跡こんせきのこっていない。1999ねんフィリップ・カリーはそうでない可能かのうせいもあるが、基部きぶかんげん羽毛うもうである可能かのうせいがあるとの仮説かせつしめした。しかし、2011ねんにダル・サッソとMaganucoはこれらのかんりょうはしともほそくなっており、外皮がいひ繊維せんいならば上端じょうたんのみほそくなっているはずだとしてこの解釈かいしゃく拒絶きょぜつした。しかし、かれらもスキピオニクスが生存せいぞんにシノサウロプテリクスやシノカリオプテリクスといったコンプソグナトゥスられるようなげん羽毛うもうおおわれていた可能かのうせいたかいとかんがえている[10]

系統けいとう[編集へんしゅう]

スキピオニクスはししあしるいの1グループであるコエルロサウルスるいぞくするものとして記載きさいされた。唯一ゆいいつ化石かせき幼体ようたいのものであり、より詳細しょうさい分類ぶんるいをすることが困難こんなんであったためである。幼体ようたい骨格こっかくには祖先そせんグループがっていた特長とくちょうがよくあらわれており、進化しんかてき系統けいとうじゅのよりもと底部ていぶ位置いちづけられてしまう問題もんだいがある。2011ねんのモノグラフでは分岐ぶんきがくてき解析かいせき結果けっか、スキピオニクスは基盤きばんてきコンプソグナトゥスであり、オルコラプトル姉妹しまいぐんであることがしめされている。ダル・サッソとMaganucoは化石かせき資料しりょう限定げんていてきであり、オルコラプトルの位置いちについては明確めいかくでないと強調きょうちょうしている[10]

以下いかしめすクラドグラムは2011ねん研究けんきゅうもとづきコエルロサウルスるい系統けいとうじゅにおけるスキピオニクスの位置いちしめしたものである。

ティラノラプトラ

ティラノサウルスうえ

コンプソグナトゥス

スキピオニクス

オルコラプトル

シノカリオプテリクス

コンプソグナトゥス

ファシャグナトゥス

シノサウロプテリクス

ジュラヴェナトル

マニラプトルがたるい

2021ねん、Andrea Cauはスキピオニクスをふくむ“コンプソグナトゥス”のさい評価ひょうかおこない、スキピオニクスはカルカロドントサウルス幼体ようたいであるとしている[11]。これはあご頭蓋とうがい、それ以降いこう骨格こっかく詳細しょうさい解剖かいぼうがくてき特徴とくちょうもとづいている[12]

Cauは2024ねんにも“コンプソグナトゥス”のさい評価ひょうかおこない、カルカロドントサウルスではなくメガロサウルスうえてられるとした[13][14]

じゅん生物せいぶつがく[編集へんしゅう]

生息せいそく[編集へんしゅう]

スキピオニクスの生息せいそくはアルビアンのアドリアプレート英語えいごばん一部いちぶであり、当時とうじあさパラテチスうみ英語えいごばんひろおおわれていた。かわいた陸地りくちもあったものの、どのくらいひろがり、どの程度ていどテレーン英語えいごばんがつながっていたかどうかは不確ふたしかである。ピエトラローヤ平板へいばん石灰岩せっかいがん英語えいごばんうみなり堆積たいせきぶつはおそらくアペニンプラットフォームの堆積たいせきぶつ一部いちぶちかいとかんがえられる。このかたまりはイタリア中部ちゅうぶチュニジアあいだ島々しまじま形成けいせいされた可能かのうせいたかい。これらからスキピオニクスは一般いっぱんちいさなしま生物せいぶつであり、その生態せいたいけいにおいてはおおきな動物どうぶつひとつであったとかんがえられている[10]

しかし、テレーンが定期ていきてきたがいに結合けつごうしてよりひろしま形成けいせいしていて、陸橋りっきょうによりりゅうあしるい大型おおがたじゅうあしるいといったより大型おおがた動物どうぶつ拡散かくさん可能かのうであったことも示唆しさされている。資源しげん減少げんしょう適応てきおうした島嶼とうしょ兆候ちょうこうられず、もし陸橋りっきょうがあったとしてもながくは存在そんざいせず、地表ちひょうふたた断片だんぺんしたようだ。また同様どうように、スキピオニクスはきんえんしゅたいして矮小わいしょうではない。からだ絶対ぜったいてきちいさく、かわいた陸地りくち減少げんしょうした場合ばあいその維持いじできなかっただろう。しかしながら、ダル・サッソとMaganucoはスキピオニクスがすうせんまんねんわたってちいさなしまのみにとどまっていた動物どうぶつであるとはかんがえておらず、比較的ひかくてきあたらしい時代じだいにおそらくはきたアフリカから移住いじゅうしてきた動物どうぶつであるとかんがえている。(コンプソグナトゥスはヨーロッパとアジアで発見はっけんされている分類ぶんるいぐんであるため)基盤きばんてきなコンプソグナトゥスであるとする系統けいとう解析かいせき結果けっかからは奇妙きみょうなことにおもわれるが、かれらは系統けいとう解析かいせき幼体ようたい化石かせきについておこなわれたもので不確ふたしかであると指摘してきしている[10]

実際じっさいにピエトラローヤの堆積たいせきぶつから発見はっけんされる陸生りくせい動物どうぶつすべちいさい。これにはトカゲるいChometokadmonEichstaettisaurus gouldiムカシトカゲるいDerasmosaurus両生類りょうせいるいCeltedens megacephalustheふくまれ、Eichstaettisaurus gouldi はドイツで発見はっけんされたきんえんしゅE. schroederiよりも4000まんねんふる[10]

しょくせい[編集へんしゅう]

化石かせきからはしょくせいかんする直接的ちょくせつてき情報じょうほうられている。そこには完全かんぜん一連いちれん消化しょうかされた食物しょくもつ保存ほぞんされており、おそらくこの動物どうぶつみじか生涯しょうがいのなかでべたすべてのものである。系統けいとうてき類似るいじせい骨格こっかくからすで確証かくしょうされているもの、この消化しょうかぶつからスキピオニクスが捕食ほしょくしゃであったことが確証かくしょうされる[10]

消化しょうか管内かんないには8つのうろこ複数ふくすうほね断片だんぺんのこされていた。ダル・サッソとMaganucoはこれはもろい要素ようそとしてまれたものではなく、えさのこりで、一部いちぶ断末魔だんまつまくるしみでから逆流ぎゃくりゅうしたものの可能かのうせいたかいとかんがえた。なか位置いちそのものはちいさなほねかたまりあきらかだ。これらのほねには5つのちゅうあしこつからなるはば3 mmのなかあし足首あしくびしいしゃくこつ上端じょうたんふくまれている。これらが単一たんいつ獲物えもの動物どうぶつのものだとすると、メソエウクロコディリア英語えいごばんいちしゅうろこりゅうるいのトカゲのような動物どうぶつ可能かのうせいたかい。おおきさからするとおそらく後者こうしゃである。十二指腸じゅうにしちょう下降かこうには2つのトカゲのうろこかたまりがあり、さらにしたにはさかな椎骨ついこつ存在そんざいする。そらちょうには1ダースほどのさかな椎骨ついこつかたまりひとつあり、これはニシン上目うわめのものである可能かのうせいたかい。だい2の椎骨ついこつかたまりそらちょう回腸かいちょう境界きょうかい付近ふきんつかる。直腸ちょくちょう末端まったんには17まいうろこのあるアロワナさかな皮膚ひふふくくそのこっていて、成長せいちょうせんからこのさかなは9さいであったと推定すいていされる[10]

発見はっけんされた食物しょくもつから食物しょくもつ摂取せっしゅじゅんさい構成こうせい可能かのうである。最初さいしょに4-5 cmほどのおおきさのさかな摂取せっしゅし、つぎに2-3 cmほどのちいさなさかな摂取せっしゅした。つづいて10-12 cmほどのおおきさのトカゲを摂取せっしゅした。そしておおきさは同定どうているが15-40 cmほどのうろこりゅうるい摂取せっしゅし、最期さいご不定ふていなに脊椎動物せきついどうぶつ摂取せっしゅした。食事しょくじ内容ないようからはスキピオニクスが日和見ひよりみ様々さまざまなものをべていたことがかる。素早すばやいトカゲをつかまえたり、波打なみうぎわ巡回じゅんかい漂着ひょうちゃくしたさかなあさっていたりしたことから、機動きどうりょくすぐれていたことが示唆しさされる。なか獲物えものが40 cmほどのおおきさの動物どうぶつだったとすると、まれたばかりのひな自分じぶんとほぼおなおおきさのものをつかまえたとはとてもかんがえにくく、おやによる世話せわがあったことが示唆しさされる[10]

生理せいり[編集へんしゅう]

ながく、ほねれる「検死けんし」によって内部ないぶ組織そしきふく特異とくい化石かせきあきらかになり、スキピオニクスは既知きちではもっと重要じゅうよう脊椎動物せきついどうぶつ化石かせきひとつとなっている。スキピオニクスはあさラグーンおお場所ばしょ生息せいそくしていたとかんがえられている。これらの水域すいいき酸素さんそ欠乏けつぼう状態じょうたいであり、ドイツの始祖しそとりおなじようにスキピオニクスも非常ひじょう保存ほぞん状態じょうたい化石かせき標本ひょうほんとなった[1][15]気管きかんちょう肝臓かんぞう血管けっかん軟骨なんこつすみさやけん筋肉きんにく肌理きめこまかな石灰岩せっかいがんなか保存ほぞんされていた。肝臓かんぞう生存せいぞん形状けいじょうあか鉄鉱てっこうあかかさじょうのしみとして保存ほぞんされていた。従来じゅうらい恐竜きょうりゅう内臓ないぞう相対そうたいてき位置いちおおまかな推定すいていしかおこなうことが出来できなかったため、この発見はっけん意義いぎおおきい。ホロタイプはとり恐竜きょうりゅう生理せいりとく消化しょうかそと呼吸こきゅう個体こたい発生はっせいかんして重要じゅうよう情報じょうほうとく直接的ちょくせつてきあたえてくれる。

消化しょうか[編集へんしゅう]

スキピオニクスの消化しょうかかん一般いっぱんみじか幅広はばひろい。ちょう全長ぜんちょう予期よきされたものよりみじかく、みじかちょう効率こうりつよく消化しょうかされていたことが示唆しさされる[1]ケルクリングじわひだにより消化しょうかめんやすことで効率こうりつをよくしていた可能かのうせいがある。ダル・サッソとMaganucoは消化しょうかかんみじかかったということがかならずしも消化しょうか短時間たんじかんおこなわれたことを意味いみするわけではないと強調きょうちょうした。適切てきせつ消化しょうかされるまでちょうない保持ほじされていた可能かのうせいもあるからである。現生げんなま捕食ほしょくせい脊椎動物せきついどうぶつではエネルギー換算かんさんで75%の獲物えものにく消化しょうか吸収きゅうしゅうすることが出来でき[10]

場所ばしょにあったほね胃酸いさんによる腐食ふしょくけておらず、この食物しょくもつ当日とうじつ摂取せっしゅされたものであることを示唆しさする。からちょうへの出口でぐちはこれらのほねがそのまま通過つうかするにはせますぎるため、わか成長せいちょうちゅう動物どうぶつおお必要ひつようとされる栄養素えいようそであるカルシウムをほねから溶出ようしゅつするのにはさん使つかわれた可能かのうせいたかい。現生げんなま脊椎動物せきついどうぶつではよりのち消化しょうかではほねをこれ以上いじょう消化しょうかすることが出来できない。のこったものはあとされたのだろう。しかし、ちょうない椎骨ついこつ存在そんざいすることから(の)出口いでぐちひろく、このてんでは鳥獣ちょうじゅうあしるいもどしをする現生げんなましゅりゅうるいよりもうろこりゅうがたるいていたことを示唆しさする。 このことは大型おおがたじゅうあしるいくそせきほねおおふくまれることからも確証かくしょうされる。さかなには多量たりょうのカルシウムがふくまれており、ひな本能ほんのうてきにそれをもとめていた可能かのうせいがある。あるいは、おやさかなあたえていた可能かのうせいがある。くそ皮膚ひふふくまれていたのは消化しょうか困難こんなんであったためと予想よそうされる[10]

なか大型おおがたうろこりゅうるい残骸ざんがいくだかれ、より消化しょうかされやすい状態じょうたいになっていた。ひなみくのは困難こんなんであり、捕食ほしょくしゃスカヴェンジャーによりきれいにかれ、簡単かんたんめるようになった死体したいにたまたまくわすこともありそうにないため、ダル・サッソとMaganucoはこれがおやによる世話せわがあったことをつよ示唆しさするものだとかんがえた[10]

呼吸こきゅう[編集へんしゅう]

呼吸こきゅうはほとんど保存ほぞんされていないものの、られた間接かんせつてき証拠しょうこから広範こうはんないくつかの結論けつろんされる。1999ねんジョン・ルーベン英語えいごばんらは横隔膜おうかくまく存在そんざいするようにえる化石かせき写真しゃしんもとづいて、スキピオニクスの呼吸こきゅう鳥類ちょうるいのものとはことなり、ワニのものにていると推測すいそくした。肝臓かんぞうおおきく、体腔たいこう心臓しんぞうはいなどのある前半ぜんはん区画くかくちょうのある広範こうはん区画くかく完全かんぜんかれていた。これは隔壁かくへきのあるはい存在そんざいし、肝臓かんぞう横隔膜おうかくまくすじによってうごかされるhepatic-piston横隔膜おうかくまくによって換気かんきしていたことを示唆しさする。横隔膜おうかくまくすじ化石かせき恥骨ちこつ付着ふちゃくして観察かんさつされている。 このようなシステムはコエルロサウルスるいししあしるい鳥類ちょうるい同様どうよう気嚢きのうによってはい空気くうき換気かんきされるというせつはんし、ししあしるい冷血動物れいけつどうぶつであったことを暗示あんじする[16]

しかし、ジョン・ルーベンの結論けつろんはこのせつ欠陥けっかんがあると主張しゅちょうしているLawrence Witmerなど、複数ふくすう研究けんきゅうしゃから疑問ぎもんされている[17]。2001ねん研究けんきゅうではこれは肝臓かんぞう明確めいかくかさじょうかたち保存ほぞんされていたためであり、 死後しご体液たいえきもと臓器ぞうきよりもひろがってしまっていた可能かのうせいがあり、正確せいかくおおきさは決定けっていできないと結論けつろんしている。いずれにせよ横隔膜おうかくまくそのものや位置いち確認かくにんできなかった。おおくの鳥類ちょうるい肝臓かんぞうおおきく、肝臓かんぞうおおきいという特徴とくちょう気嚢きのうシステムにも適用てきようできる。かさ前方ぜんぽうちいさな体腔たいこうはい鳥類ちょうるいのもののようにかたちいさなものであったことを示唆しさするようにみえる。横隔膜おうかくまくすじ仮定かていしたものはぼう過程かてい生物せいぶつ由来ゆらい方解石ほうかいせきのノジュールが研磨けんま彫刻ちょうこくされたことによってしょうじたアーティファクトがまぼろし筋繊維きんせんいのようにえたもののようだ[10]。 グレゴリー・ポールおよびDavid Martillは恥骨ちこつちょうあいだ空間くうかんには大型おおがた気嚢きのうがあったと仮説かせつしている。しかし、ダル・サッソとMaganucoはきている鳥類ちょうるいでは腹部ふくぶ後部こうぶ気嚢きのうちょう前方ぜんぽうへとすようなことはないとしてこの仮説かせつ拒絶きょぜつし、むしろこの空洞くうどうには卵黄らんおう嚢があったのではないかとかんがえた。しかしながら、椎骨ついこつ気嚢きのうにより含気されていた可能かのうせいたかい。頸部とどうにある含気孔きこうのない椎骨ついこつは頸部の基部きぶはい腹部ふくぶの3つの気嚢きのうけい境界きょうかいしめしているようだ。肋骨あばらぼねほねあたまじゅうであり胸部きょうぶかたく、はら肋骨あばらぼね呼吸こきゅうしていたことをしめしている。マニラプトルがたるいでは肋骨あばらぼねにかぎじょう突起とっきがあり、ほねした胸骨きょうこつ関節かんせつ胸郭きょうかく柔軟じゅうなんうごかすことが可能かのうであるが、スキピオニクスにはこの突起とっきられない[10]

成長せいちょう[編集へんしゅう]

スキピオニクスのホロタイプはめずらしい鳥獣ちょうじゅうあしるいまれたてのひな標本ひょうほんである。さい重要じゅうよう非常ひじょうわか個体こたい標本ひょうほんとしてはビロノサウルス英語えいごばんひなのものがあるがスキピオニクスのものよりはるかに不完全ふかんぜんである。おさなさは各部かくぶ比率ひりつほね程度ていどほね癒合ゆごう程度ていど反映はんえいされている。そのもっと顕著けんちょ部分ぶぶん相対そうたいてきおおきく、みじか頭部とうぶである[10]

ダル・サッソとMaganucoはこのひな絶対ぜったい年齢ねんれい決定けっていすることをこころみた。いずみもんがまだじておらず、上限じょうげんでも生後せいごやく5週間しゅうかんである。しゅりゅうるいではおそくてもすう週間しゅうかんわりがあるものの、いずれのでもしょうじていないことから下限かげんしめされる。もっと正確せいかく年齢ねんれい卵黄らんおう嚢のおおきさでかり、おそらく生後せいご3にち最大さいだいでも1週間しゅうかんとみられる。非常ひじょうおさないにもかかわらず、完全かんぜんほねしたちょうこつち、このひな歩行ほこう可能かのうであったとみられる。しかし、晩成ばんせいせい英語えいごばん鳥類ちょうるいであっても骨盤こつばんほね孵化ふか数日すうじつ完全かんぜんほねするため、この特徴とくちょうはスキピオニクスがなりせい英語えいごばんであったことを意味いみするものではない[10]

参照さんしょう[編集へんしゅう]

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  2. ^ Leonardi, G. & Teruzzi, G., 1993, "Prima segnalazione di uno scheletro fossile di dinosauro (Theropoda, Coelurosauria) in Italia (Cretacico di Pietraroia, Benevento)", Paleocronache 1993: 7-14
  3. ^ Dal Sasso, C. and Signore, M., 1998, "Scipionyx samniticus (Saurischia, Theropoda): the first Italian dinosaur", Third European Workshop on Vertebrate Paleontology, Abstract: 23
  4. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2011) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages.
  5. ^ Leonardi, G. & Avanzini, M., 1994, "Dinosauri in Italia", Le Scienze (Quaderni), 76: 69-81
  6. ^ Signore, M., 1995, Il teropode del Plattenkalk della Civita di Pietraroia (Cretaceo inferiore, Bn). Thesis, Dip. Paleont. Univ. Napoli "Federico II"
  7. ^ Dal Sasso, C. and Signore, M. (1998). "Exceptional soft tissue preservation in a theropod dinosaur from Italy." Nature, 392: 383-387.
  8. ^ Cristiano Dal Sasso & Giuseppe Brillante, 2001, Dinosauri italiani, Marsilio pp 256
  9. ^ Dal Sasso, C. and Signore, M., 1998, "Scipionyx samniticus (Theropoda: Coelurosauria) and its exceptionally well preserved internal organs", Journal of Vertebrate Paleontology 18 (3): 37A
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap Cristiano dal Sasso & Simone Maganuco, 2011, Scipionyx samniticus (Theropoda: Compsognathidae) from the Lower Cretaceous of Italy — Osteology, ontogenetic assessment, phylogeny, soft tissue anatomy, taphonomy and palaeobiology, Memorie della Società Italiana de Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano XXXVII(I): 1-281
  11. ^ (PDF) Comments on the Mesozoic theropod dinosaurs from Italy” (英語えいご). ResearchGate. 2021ねん12月28にち閲覧えつらん
  12. ^ http://theropoda.blogspot.com/2021/09/carcharodontosauri-ditalia.html?m=1
  13. ^ https://www.researchgate.net/publication/379902868_A_Unified_Framework_for_Predatory_Dinosaur_Macroevolution
  14. ^ Cau, Andrea (18 aprile 2024). “Theropoda: The Rise of the Tyrannies, the Fall of the Nursery Clades, and the Theropod Theory of Everything”. Theropoda. 2024ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  15. ^ Reisdorf, A.G., and Wuttke, M. (2012). "Re-evaluating Moodie's Opisthotonic-Posture Hypothesis in fossil vertebrates. Part I: Reptiles - The taphonomy of the bipedal dinosaurs Compsognathus longipes and Juravenator starki from the Solnhofen Archipelago (Jurassic, Germany)." Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments, doi:10.1007/s12549-011-0068-y
  16. ^ John A. Ruben, Cristiano Dal Sasso, Nicholas R. Geist, Willem J. Hillenius, Terry D. Jones and Marco Signore (1999), “Pulmonary Function and Metabolic Physiology of Theropod Dinosaurs”, Science 283 (5401): 514–516, Bibcode1999Sci...283..514R, doi:10.1126/science.283.5401.514, PMID 9915693, http://www.sonoma.edu/users/g/geist/Scipionyx.pdf  Abstract and citations at Science journal site 
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外部がいぶリンク[編集へんしゅう]