スキピオニクス (Scipionyx )は白 はく 亜紀 あき 前期 ぜんき (約 やく 1億 おく 1300万 まん 年 ねん 前 まえ )に現在 げんざい のイタリア に生息 せいそく していたの獣 しし 脚 あし 類 るい 恐竜 きょうりゅう の属 ぞく の一 ひと つである。
現在 げんざい のところ発見 はっけん されているスキピオニクスの化石 かせき は1981年 ねん にアマチュア古 こ 生物 せいぶつ 研究 けんきゅう 家 か により発掘 はっくつ された1標本 ひょうほん のみである。この標本 ひょうほん は1993年 ねん に専門 せんもん 家 か による科学 かがく 的 てき な検証 けんしょう が行 おこな われ、1998年 ねん にタイプ種 しゅ Scipionyx samniticus と命名 めいめい された。属 ぞく 名 めい は「スキピオの爪 つめ 」を意味 いみ する。筋肉 きんにく や腸 ちょう といった軟組織 そしき や内臓 ないぞう が広範囲 こうはんい に渡 わた って保存 ほぞん されている貴重 きちょう な標本 ひょうほん であり、この発見 はっけん は世間 せけん の大 おお きな注目 ちゅうもく を集 あつ めた。化石 かせき からは組織 そしき の細部 さいぶ の様々 さまざま な構造 こうぞう が見 み て取 と れ、筋肉 きんにく や骨 ほね 細胞 さいぼう の内部 ないぶ 構造 こうぞう すら観察 かんさつ できる箇所 かしょ もあった。また、この恐竜 きょうりゅう はイタリアで発見 はっけん された最初 さいしょ の恐竜 きょうりゅう でもある。このように重要 じゅうよう な標本 ひょうほん であり、熱烈 ねつれつ な研究 けんきゅう が続 つづ けられている。
化石 かせき は全長 ぜんちょう わずか50cmほどの幼体 ようたい のものであり、おそらく生後 せいご 3日 にち ほどの個体 こたい である。二 に 足 そく 歩行 ほこう の捕食 ほしょく 者 しゃ であり、長 なが い尾 お によって臀部 でんぶ は水平 すいへい に保 たも たれていた。近 きん 縁 えん 種 しゅ との比較 ひかく から体 からだ の表面 ひょうめん はおそらく原始 げんし 的 てき な羽毛 うもう で覆 おお われていたと推測 すいそく されるが、この標本 ひょうほん にはそれらの痕跡 こんせき や皮膚 ひふ の痕跡 こんせき は一切 いっさい 残 のこ っていない。
腸 ちょう 内 ない には半 はん 消化 しょうか 状態 じょうたい の食物 しょくもつ が残 のこ されており、トカゲや魚 さかな を食 た べていたことがわかっている。これらは食物 しょくもつ はおそらく親 おや によって幼体 ようたい に給餌 きゅうじ されたものであると推定 すいてい される。内臓 ないぞう の位置 いち からの推定 すいてい でスキピオニクスの呼吸 こきゅう 法 ほう について探 さぐ ろうとする研究 けんきゅう 者 しゃ もいるが、結論 けつろん については現在 げんざい のところ意見 いけん の一致 いっち をみていない。
発見 はっけん と命名 めいめい の歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
発掘 はっくつ 地 ち のすぐ下 か にあるピエトラローヤ村 むら
スキピオニクスは1981年 ねん にアマチュア古 こ 生物 せいぶつ 研究 けんきゅう 家 か のGiovanni Todescoによりナポリ の約 やく 70 km北東 ほくとう にあるピエトラローヤ 村 むら の縁 えん にある小 ちい さなLe Cavere 採石 さいせき 場 じょう で発見 はっけん された[1] 。化石 かせき が発見 はっけん されたこの地 ち は海 うみ 成 なり ピエトラローヤ石灰岩 せっかいがん 層 そう 、もしくはPlattenkalk と呼 よ ばれる保存 ほぞん 状態 じょうたい の良 よ い珍 めずら しい化石 かせき が産出 さんしゅつ することで知 し られる地層 ちそう である。Todescoはこの化石 かせき が絶滅 ぜつめつ した鳥類 ちょうるい のものであると考 かんが えた。ヴェローナ 近郊 きんこう のサン・ジョヴァンニ・イラリオーネ にある自宅 じたく の地下 ちか 室 しつ でこの化石 かせき の剖出作業 さぎょう を行 おこな った。Todescoは剖出を行 おこな うにあたって光学 こうがく 機器 きき は一切 いっさい 使用 しよう せず、化石 かせき の上 うえ のチョーク (岩石 がんせき ) の母 はは 岩 がん を取 と り除 のぞ いたあとビニルグルーで覆 おお った。Todescoは化石 かせき の入 はい った石板 せきばん の縁 えん に破片 はへん を貼 は り付 づ けて強化 きょうか した。また化石 かせき を完全 かんぜん に回収 かいしゅう することに失敗 しっぱい し、作業 さぎょう のどこかで化石 かせき を大 おお きく欠 かけ 失 しっ したため、欠 か けた部分 ぶぶん と同 おな じようにポリエステル樹脂 じゅし 製 せい の偽 にせ の尾 お を付 つ け加 くわ えた。1993年 ねん 初頭 しょとう 、Todescoこの化石 かせき の動物 どうぶつ に歯 は の突 つ き出 で た顎 あご にちなんだcagnolino 、"little doggie"という愛称 あいしょう をつけ、ミラノ市立 しりつ 自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん の古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ Giorgio Teruzziのもとに見 み てもらいに行 い った。Teruzziはこの化石 かせき を獣 しし 脚 あし 類 るい 恐竜 きょうりゅう の幼体 ようたい であると同定 どうてい し、ミラノ の守護 しゅご 聖人 せいじん アンブロジウス にちなんでAmbrogio という愛称 あいしょう を名 な づけた。Teruzzi自身 じしん は恐竜 きょうりゅう の専門 せんもん 家 か ではなかったため、同僚 どうりょう の父 ちち Guiseppe Leonardiに助言 じょげん を求 もと めた。イタリアではこういった化石 かせき などの発見 はっけん 物 ぶつ は法律 ほうりつ で国有 こくゆう 財産 ざいさん となるため、Todescoは科学 かがく 記者 きしゃ Franco Caponeに発見 はっけん を当局 とうきょく に報告 ほうこく するように説得 せっとく された。1993年 ねん 10月 がつ 15日 にち にTodescoは化石 かせき を直接 ちょくせつ ナポリの考古学 こうこがく 監督 かんとく に届 とど けた。標本 ひょうほん はSoprintendenza per i Beni Archeologici di Salerno, Avellino, Benevento e Caserta の収蔵 しゅうぞう 物 ぶつ に加 くわ えられ、公式 こうしき には現在 げんざい もその状態 じょうたい にある。2002年 ねん 4月 がつ 19日 にち からベネヴェント考古学 こうこがく 博物館 はくぶつかん (イタリア語 ご 版 ばん ) で展示 てんじ された。
標本 ひょうほん のレプリカを持 も つクリスティアーノ・ダル・サッソ
1993年 ねん にTeruzziとLeonardiはこの発見 はっけん について科学 かがく 的 てき な報告 ほうこく したところ[2] 、イタリアで最初 さいしょ の恐竜 きょうりゅう の発見 はっけん であったため注目 ちゅうもく を集 あつ めた[3] 。また発表 はっぴょう 時 じ に大衆 たいしゅう 雑誌 ざっし Oggi (英語 えいご 版 ばん ) はこの動物 どうぶつ に典型 てんけい 的 てき なナポリの男 おとこ の子 こ の名前 なまえ であるCiro という愛称 あいしょう をつけた。これはチーフディレクターのPino Aprileのアイディアである[4] 。1994年 ねん にはLeonardiがこの発見 はっけん に関 かん する長大 ちょうだい な論文 ろんぶん を発表 はっぴょう した[5] 。1995年 ねん にフェデリコ2世 せい ・ナポリ大学 だいがく のMarco Signoreは[1] 化石 かせき の長 なが い記載 きさい を含 ふく む学位 がくい 論文 ろんぶん を提出 ていしゅつ し、この動物 どうぶつ を「Dromaeodaimon irene」と命名 めいめい した[6] 。学位 がくい 論文 ろんぶん は出版 しゅっぱん 物 ぶつ とは認 みと められないため、この命名 めいめい は不 ふ 正当 せいとう な nomen ex dissertatione (学位 がくい 論文 ろんぶん による命名 めいめい )の状態 じょうたい ままであった。一方 いっぽう 、サレルノではSergio Rampinelliが化石 かせき の更 さら なる剖出を始 はじ めており、300時 じ 間 あいだ に及 およ ぶ作業 さぎょう の結果 けっか Todescoにより付 つ けられた偽 にせ の尾 お が除去 じょきょ され、保護 ほご 用 よう のため付 つ けられたビニルグルーを化石 かせき 保存 ほぞん 用 よう の樹脂 じゅし と取 と り替 か え、化石 かせき を露出 ろしゅつ させる作業 さぎょう の仕上 しあ げが行 おこな われた。この時 とき にこの標本 ひょうほん には軟組織 そしき の大 だい 部分 ぶぶん が保存 ほぞん されていることが判明 はんめい した。
1998年 ねん にCiro と名 な づけられたこの標本 ひょうほん は大 だい 部分 ぶぶん の軟組織 そしき が保存 ほぞん された貴重 きちょう なものであることから、雑誌 ざっし ネイチャー の表紙 ひょうし を飾 かざ り、Marco Signore およびクリスティアーノ・ダル・サッソ (イタリア語 ご 版 ばん ) によりタイプ種 しゅ Scipionyx samniticus として命名 めいめい 、記載 きさい された[7] 。属 ぞく 名 めい Scipionyx はラテン語 らてんご の名前 なまえ Scipio と古代 こだい ギリシャ語 ご で「爪 つめ を意味 いみ する」 ὄν にゅー υ うぷしろん ξ くしー (onyx )から派生 はせい した語 かたり で、組 く み合 あ わせて「スキピオの爪 つめ 」を意味 いみ する。「スキピオ」は18世紀 せいき の地質 ちしつ 学者 がくしゃ であり、化石 かせき の発見 はっけん 地 ち の累 るい 層 そう を最初 さいしょ に記載 きさい した スキピオーネ・ブライスラーク (英語 えいご 版 ばん ) [1] とハンニバル と戦 たたか った有名 ゆうめい なローマの執政 しっせい 官 かん であるスキピオ・アフリカヌス の両方 りょうほう にちなんだものである。種 たね 小名 しょうみょう samniticus は「サムニウム からの」を意味 いみ し、ピエトラローヤ周辺 しゅうへん 地域 ちいき のラテン語 らてんご 名 めい サムニウムに由来 ゆらい する。「Italosaurus」、 「Italoraptor」、 「Microraptor」などいくつか別 べつ の名前 なまえ も考案 こうあん されたが棄却 ききゃく された[8] 。
ホロタイプ SBA-SA 163760 はアルビアン 前期 ぜんき の約 やく 1億 おく 1000万 まん 年 ねん 前 まえ の地層 ちそう から発見 はっけん され、幼体 ようたい の個体 こたい のほぼ完全 かんぜん な骨格 こっかく であり、失 うしな われているのは尾 お の先端 せんたん と下肢 かし 、右 みぎ の第 だい 二 に 指 ゆび のかぎ爪 つめ のみである。広範 こうはん に渡 わた り軟組織 そしき が保存 ほぞん されているものの、皮膚 ひふ および鱗 うろこ 、羽毛 うもう といった体 からだ の表面 ひょうめん を覆 おお うものは一切 いっさい 保存 ほぞん されていない[9] 。
この発見 はっけん は特 とく に重要 じゅうよう 性 せい があるため、化石 かせき は2005年 ねん 12月から2008年 ねん 10月 がつ の間 あいだ にミラノで集中 しゅうちゅう 的 てき な研究 けんきゅう が行 おこな われ、2011年 ねん にダル・サッソとSimone Maganucoによりモノグラフ として発表 はっぴょう された[10] 。このモノグラフには単一 たんいつ の恐竜 きょうりゅう の種 たね についてのものとしてはこれまで最 もっと も広範 こうはん な情報 じょうほう が記載 きさい されている。
ヒトと幼体 ようたい 標本 ひょうほん の大 おお きさ比較 ひかく
スキピオニクスのホロタイプ は非常 ひじょう に小 ちい さな幼体 ようたい のものであり、化石 かせき に保存 ほぞん されていた全長 ぜんちょう はたった237mmしかない。2011年 ねん にダル・サッソとMaganucoは失 うしな われた尾 お の先 さき も含 ふく めた全長 ぜんちょう を推定 すいてい をおこない、461mmとした。この標本 ひょうほん はロウリンハサウルス やアロサウルス など相当 そうとう な大 おお きな獣 しし 脚 あし 類 るい の胚 はい や雛 ひな と比 くら べてもあまりに小 ちい さくない。しかし、コンプソグナトゥス科 か の種 たね と類似 るいじ していることを考慮 こうりょ すると、スキピオニクスの成体 せいたい の大 おお きさは知 し られる限 かぎ り最大 さいだい のコンプソグナトゥス科 か の恐竜 きょうりゅう であるシノカリオプテリクス の全長 ぜんちょう 237cmを超 こ えるものではない可能 かのう 性 せい が高 たか い。雛 ひな は長 なが さ11cm、幅 はば 6cmの広 ひろ い卵 たまご の中 なか に置 お かれていたことになり、これは成体 せいたい の体 からだ に対 たい してかなり大 おお きな卵 たまご であったことになる[10] 。
復元 ふくげん 図 ず
ホロタイプはおそらく生後 せいご 数日 すうじつ の雛 ひな のものであり、成体 せいたい の体格 たいかく を正確 せいかく に求 もと めることは困難 こんなん であるが、ある程度 ていど の一般 いっぱん 的 てき な結論 けつろん は十 じゅう 分 ふん できる。スキピオニクスは小型 こがた で二 に 足 そく 歩行 ほこう の捕食 ほしょく 者 しゃ である。長 なが い尾 お によりバランスされて臀部 でんぶ は水平 すいへい に保 たも たれていた。首 くび は比較的 ひかくてき 長 なが く、細 ほそ い。四肢 しし は細長 ほそなが く、特 とく に前肢 ぜんし がかなり細長 ほそなが い。ダル・サッソとSimone Maganucoはコンプソグナトゥス科 か などの近 きん 縁 えん 種 しゅ で知 し られているように、この動物 どうぶつ も生存 せいぞん 時 じ は原 げん 羽毛 うもう で覆 おお われていた可能 かのう 性 せい が高 たか いと考 かんが えた[10] 。
記 き 相 しょう となる特徴 とくちょう [ 編集 へんしゅう ]
2011年 ねん の研究 けんきゅう では以下 いか のような8つの固有 こゆう 派生 はせい 形質 けいしつ が確立 かくりつ され、これにより近 きん 縁 えん 種 しゅ と識別 しきべつ される[10] 。
ミラノ市 し 自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん の頭骨 とうこつ
ホロタイプの頭骨 とうこつ は体 からだ の大 おお きさに対 たい して大 おお きくて、前後 ぜんご に短 みじか く、眼窩 がんか が非常 ひじょう に大 おお きい。頭骨 とうこつ や眼窩 がんか が相対 そうたい 的 てき に大 おお きいのは若年 じゃくねん であるためである。したがって、通常 つうじょう は頭骨 とうこつ で最大 さいだい の開口 かいこう 部 ぶ である半円 はんえん 状 じょう の前 ぜん 眼窩 がんか 窓 まど が短 みじか く、眼窩 がんか より小 ちい さい。前 ぜん 眼窩 がんか 窓 まど の前方 ぜんぽう の前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ と上顎 じょうがく 骨 こつ には2つの小 ちい さな開口 かいこう 部 ぶ がある。口吻 こうふん は尖 とが っていて、頭頂 とうちょう 部 ぶ が低 ひく くて丸 まる い。前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ は口吻 こうふん の前半 ぜんはん を部分 ぶぶん を構成 こうせい する骨 ほね で、ここに五 ご 本 ほん の歯 は がある。上顎 じょうがく 骨 こつ はその後方 こうほう にある骨 ほね で、前方 ぜんぽう に非常 ひじょう に短 みじか く深 ふか い分岐 ぶんき があり、7本 ほん の歯 は がある。上顎 じょうがく 骨 こつ の表面 ひょうめん の前 ぜん 眼窩 がんか 窓 まど の側 がわ にある凹 へこ みが隆起 りゅうき が境界 きょうかい となっている。涙 なみだ 骨 こつ は太 ふと く、角 かく がない。側 がわ 頭 あたま 窓 まど が貫通 かんつう していない。前 ぜん 前 ぜん 頭骨 とうこつ (英語 えいご 版 ばん ) が異常 いじょう に大 おお きく、眼窩 がんか の前方 ぜんぽう 上部 じょうぶ の縁 えん の大 だい 部分 ぶぶん を構成 こうせい している。前 ぜん 頭骨 とうこつ には後方 こうほう に横 よこ 方向 ほうこう の隆起 りゅうき がある。前 ぜん 頭骨 とうこつ と頭頂 とうちょう 骨 こつ の間 あいだ のスカルルーフはある程度 ていど の隙間 すきま があり、まだ閉 と じておらず、目立 めだ った菱形 ひしがた の開口 かいこう 部 ぶ になっている。この泉 いずみ 門 もん (en:fontanelle)は最初 さいしょ 、最初 さいしょ の剖出の際 さい についた化石 かせき の損傷 そんしょう と間違 まちが えられた。頭蓋骨 ずがいこつ の内側 うちがわ には凹 へこ みがなく、頭頂 とうちょう 骨 こつ の高 たか い隆起 りゅうき により境界 きょうかい がなされている。頬骨 ほおぼね には涙 なみだ 骨 こつ に向 む かう前方 ぜんぽう の垂直 すいちょく 分岐 ぶんき がない。方形 ほうけい 骨 こつ の前方 ぜんぽう の縁 えん が大 おお きく翼状 よくじょう に広 ひろ がり、翼状 よくじょう 骨 こつ (英語 えいご 版 ばん ) と接 せっ している。脳 のう 函 はこ の骨 ほね は大 おお きく開 ひら いているが、内耳 ないじ の開口 かいこう 部 ぶ は小 ちい さく、recessus tympanicus dorsalis (鼓 こ 室 しつ 背 せ 側 がわ の陥 おちい 凹)が見 み て取 と れる。脳 のう 函 はこ の下 した 側 がわ に膨 ふく らみがない[10] 。
下 しも 顎 あご はまっすぐで細長 ほそなが い。下 しも 顎骨 がっこつ は上下 じょうげ 幅 はば がかなり短 みじか い。左 ひだり の顎 あご が右側 みぎがわ の顎 あご の下 した に重 かさ なって見 み えるため、標本 ひょうほん では太 ふと いもののような錯覚 さっかく を生 しょう じている。下 した 顎 あご には10本 ほん の歯 は がある。1998年 ねん の記載 きさい では板 いた 状 じょう 骨 こつ (英語 えいご 版 ばん ) の一部 いちぶ と角 かく 骨 こつ (英語 えいご 版 ばん ) が化石 かせき の中 なか で上向 うわむ きにずれ、偽 にせ の外 そと 下 か 顎骨 がっこつ 窓 まど の印象 いんしょう を生 しょう じ、顎 あご の側面 そくめん に開口 かいこう 部 ぶ があるかのように見 み えたため、板 いた 状 じょう 骨 こつ がsupradentariumと、角 かく 骨 こつ が上角 うえすみ 骨 こつ (英語 えいご 版 ばん ) とそれぞれ誤 あやま 同定 どうてい された[10] 。
スキピオニクスには前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ に5本 ほん 、上顎 じょうがく 骨 こつ に7本 ほん 、下 しも 顎 あご の歯 は 骨 こつ に10本 ほん の片面 かためん あたり計 けい 22本 ほん の歯 は があり、頭部 とうぶ 全体 ぜんたい で44本 ほん の歯 は があることになる。通常 つうじょう のコンプソグナトゥス科 か では前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ 歯 ぱ は4本 ほん であり、驚 おどろ くべきものである。他方 たほう である種 しゅ のカルノサウルス類 るい のみに5本 ほん 持 も つものが存在 そんざい する。この標本 ひょうほん は若年 じゃくねん な個体 こたい のものであり、歯 は の生 は え変 か わりサイクルはまだ始 はじ まっておらず、左右 さゆう の顎 あご の歯 は が完全 かんぜん な対称 たいしょう になっている。 歯 は にはコンプソグナトゥス科 か の歯 は に典型 てんけい 的 てき な歯 は 冠 かんむり の頂点 ちょうてん にある急 きゅう な後方 こうほう へのカーブがない。代 か わりに全体 ぜんたい が徐々 じょじょ にカーブしている。最大 さいだい の歯 は のみにある程度 ていど の「よじれ」が見 み られる。例外 れいがい 的 てき に、下 しも 顎 あご の歯 は 列 れつ は上顎 じょうがく のものよりもさらに後方 こうほう へ伸 の びている。前上 まえかみ 顎骨 がっこつ 歯 ぱ は尖 とが っていて、鋸歯 きょし が無 な い。前方 ぜんぽう の4本 ほん は楕円 だえん 形 がた の断面 だんめん を持 も ち、5本 ほん 目 め は頂点 ちょうてん 付近 ふきん がより平 たい らである。2本 ほん 目 め の歯 は が一番 いちばん 大 おお きい。上顎 じょうがく 骨 こつ 歯 ぱ は後端 こうたん の縁 えん に鋸歯 きょし を持 も ち、平 ひら たい。2番目 ばんめ と4番目 ばんめ の上顎 じょうがく 歯 ぱ が大 おお きく、4番目 ばんめ は全 すべ ての歯 は の中 なか で最大 さいだい である。下 した 顎 あご の10本 ほん の歯 は では前方 ぜんぽう の2本 ほん がかなりまっすぐで、楕円 だえん 形 がた の断片 だんぺん を持 も ち、鋸歯 きょし がない。3番目 ばんめ の歯 は には基部 きぶ に鋸歯 きょし があり、頂 いただき 部 ぶ が平 ひら たい。他 た の7本 ほん は後方 こうほう により曲 ま がっており、全体 ぜんたい 的 てき に平 ひら たく、鋸歯 きょし が頂点 ちょうてん まである[10] 。
頭骨 とうこつ 以外 いがい の骨格 こっかく [ 編集 へんしゅう ]
Todescによって取 と り除 のぞ かれた破片 はへん を加 くわ えた完全 かんぜん な石版 せきばん T
スキピオニクスの脊椎 せきつい は10個 こ の頸椎と13個 こ の胴 どう 椎 しい で構成 こうせい されると推測 すいそく されている。しかし発見 はっけん されている標本 ひょうほん は生後 せいご 間 あいだ もない雛 ひな のものであるため、頸椎と胴 どう 椎 しい の違 ちが いが十分 じゅうぶん に発達 はったつ しておらず、区別 くべつ はかなり任意 にんい である。仙 せん 椎 しい は確実 かくじつ に5個 こ である。標本 ひょうほん では尾 お 椎 しい が7個 こ のみ保存 ほぞん されていた。生存 せいぞん 時 じ は尾 お 椎 しい は50個 こ 以上 いじょう あった可能 かのう 性 せい が高 たか い。頸椎は後 こう 凹型(opisthocoelous )である。軸 じく 椎 しい は含気孔 きこう (首 くび の基部 きぶ の気嚢 きのう の憩 いこい 室 しつ が内部 ないぶ の空洞 くうどう に達 たっ するための開口 かいこう 部 ぶ )が骨 ほね の側面 そくめん に見 み られ、含気化 か (英語 えいご 版 ばん ) していた。第 だい 3、第 だい 4、第 だい 5頸椎にも含気孔 きこう が見 み られるが、空洞 くうどう はつながっていない。含気化 きか の過程 かてい は背中 せなか から始 はじ まり、前方 ぜんぽう へ広 ひろ がっていったと想定 そうてい されていたため、前方 ぜんぽう の方 ほう が含気化 か が進 すす んでいるというこの状態 じょうたい は驚 おどろ くべきものであった。1998年 ねん の論文 ろんぶん では頸肋骨 こつ は短 みじか いものと見 み られたが、2011年 ねん の研究 けんきゅう では逆 ぎゃく に非常 ひじょう に細長 ほそなが く、椎 しい 体 たい の3倍 ばい におよぶものであることが判明 はんめい した[10] 。
胴 どう 椎 しい は含気化 か していない。椎 しい 体 たい の断面 だんめん は楕円 だえん 形 がた かつ両 りょう 平 たいら 型 がた (amphiplatyan 前後 ぜんこう どちら側 がわ にも凸凹 でこぼこ が見 み られない)である。側面 そくめん は六角形 ろっかっけい で棘 とげ 突起 とっき は短 みじか い。棘 とげ 突起 とっき の最 さい 上部 じょうぶ のすぐ下 か の前後 ぜんご の縁 えん には嘴 くちばし 状 じょう の突起 とっき がある。1998年 ねん の研究 けんきゅう では多 おお くの獣 しし 脚 あし 類 るい に見 み られる二 に 次 じ 関節 かんせつ 機構 きこう である、ハイポスフェン-ハイパントラム複 ふく 合体 がったい (英語 えいご 版 ばん ) が縮小 しゅくしょう したものであると解釈 かいしゃく されていた突起 とっき は、2011年 ねん の研究 けんきゅう では2006年 ねん に他 た のコンプソグナトゥス科 か で同定 どうてい されたものと同 どう じ、1対 つい の腱 けん の付着 ふちゃく 部 ぶ であることが確 たし かめられた。例外 れいがい 的 てき に第 だい 13胴 どう 椎 しい には2つの肋骨 あばらぼね 関節 かんせつ 突起 とっき があり、側 がわ 突起 とっき (parapophysis)および横 よこ 突起 とっき (diapophysis)が同 おな じ水準 すいじゅん に並 なら んでいる。5個 こ の仙 せん 椎 しい は互 たが いにまだ癒合 ゆごう しておらず、真 しん の仙骨 せんこつ にはなっていない。尾 お 椎 しい は平 ひら 凹型(platycoelous)で、棘 とげ 突起 とっき は短 みじか く、血道 ちみち 弓 ゆみ は後方 こうほう に傾斜 けいしゃ していた[10] 。
肋骨 あばらぼね は少 すく なくとも12対 たい あり、外 はず れた位置 いち に見 み つかったいくつかの化石 かせき 要素 ようそ は、13対 たい 目 め の肋骨 あばらぼね の可能 かのう 性 せい がある。3番目 ばんめ と4番目 ばんめ の肋骨 あばらぼね は下端 かたん が広 ひろ がっていて、生存 せいぞん 時 じ にはおそらく軟骨 なんこつ 性 せい の胸 むね 肋骨 あばらぼね があり、この標本 ひょうほん ではまだ骨 ほね 化 か していない状態 じょうたい の胸骨 きょうこつ と接続 せつぞく していたようである。臀部 でんぶ の下部 かぶ はかご状 じょう になった18対 つい の腹 はら 肋骨 あばらぼね で覆 おお われていた。ダル・サッソとMaganucoは前肢 ぜんし 付近 ふきん に存在 そんざい した不思議 ふしぎ な骨幹 こっかん の破片 はへん について、これが最前 さいぜん 部 ぶ に位置 いち する19対 たい 目 め 腹 はら 肋骨 あばらぼね であり、1対 つい の通常 つうじょう の腹 はら 肋骨 あばらぼね の中 なか 間 あいだ 部 ぶ の要素 ようそ に相 あい 同 どう な2つ骨幹 こっかん が完全 かんぜん に癒合 ゆごう したもので構成 こうせい されていると解釈 かいしゃく した。このような血道 ちみち 弓 ゆみ に似 に た骨 ほね はジュラヴェナトル でも報告 ほうこく されている。腹 はら 肋骨 あばらぼね はヘリンボーン 状 じょう に並 なら び、左右 さゆう の骨 ほね が接 せっ する腹 はら 側 がわ の末端 まったん が分岐 ぶんき していて、互 たが いに重 かさ なり、腹部 ふくぶ の呼吸 こきゅう 運動 うんどう に適応 てきおう してかご状 じょう 構造 こうぞう が拡大 かくだい 、収縮 しゅうしゅく できるようになっている[10] 。
肩 かた 甲 かぶと 骨 こつ は比較的 ひかくてき まっすぐで、長 なが さは幅 はば の約 やく 6倍 ばい から7倍 ばい ほどであるが、上端 じょうたん は失 うしな われている。下端 かたん は半円 はんえん 状 じょう の烏口 からすぐち 骨 こつ と接続 せつぞく している。叉 また 骨 こつ は幅 はば が広 ひろ く、125度 ど 程度 ていど の角度 かくど で分岐 ぶんき したU字 じ 型 がた をしている。前肢 ぜんし はかなり長 なが く、上半身 じょうはんしん の長 なが さのほぼ48%ほどである。特 とく に手 て は他 た の一般 いっぱん 的 てき なコンプソグナトゥス科 か の種 たね と同様 どうよう に細長 ほそなが い。しかし、コンプソグナトゥス科 か の中 なか ではスキピオニクスの手 て は比較的 ひかくてき 短 みじか い。上腕 じょうわん 骨 こつ はまっすぐで、三角 さんかく 胸 むね 筋 すじ 稜 りょう が適度 てきど に発達 はったつ している。尺 しゃく 骨 こつ は細 ほそ く、上腕 じょうわん 骨 こつ の70%ほどの長 なが さで筒 つつ 状 じょう である。手首 てくび を構成 こうせい する骨 ほね は二 ふた つのみであり、橈骨は下端 かたん がその下 した にある円盤 えんばん 状 じょう の骨 ほね にかぶさっている。この円盤 えんばん 状 じょう の骨 ほね は第 だい 一 いち 下手 へた 根 ね 骨 こつ が拡大 かくだい したものか、もしくは第 だい 一 いち 、第 だい 二 に 手 て 根 ね 骨 こつ が継 つ ぎ目 め なく完全 かんぜん に癒合 ゆごう したものであるとみられる。中手 なかて 骨 こつ は小 ちい さくまとまり、適度 てきど に細長 ほそなが い。3つの骨 ほね で構成 こうせい され、それぞれに互 たが いに鏡 かがみ 像 ぞう 型 がた の指 ゆび が付 つ いている。第 だい 一 いち の骨 ほね が最 もっと も短 みじか く、最 もっと も分厚 ぶあつ い。第 だい 二 に のの骨 ほね が最長 さいちょう である。第 だい 三 さん の骨 ほね は長 なが さも厚 あつ みも第 だい 一 いち 、第 だい 二 に の中間 ちゅうかん にある。この骨 ほね に付 つ く第 だい 三指 みつゆび はコンプソグナトゥス科 か でも特 とく に長 なが く、第 だい 一指 いっし の123%におよぶ。第 だい 一 いち 中手 なかて 骨 こつ の関節 かんせつ には斜 はす 角 かく が付 つ いているため、第 だい 一指 いっし は内側 うちがわ に広 ひろ がっていて、かぎ爪 つめ は第 だい 二 に 指 ゆび のもより小 ちい さい。これらの手 て のかぎ爪 つめ は程度 ていど に曲 ま がっている[10] 。
骨盤 こつばん では腸 ちょう 骨 こつ が短 みじか く、平 たい らで上側 うわがわ の側面 そくめん が凸 とつ である。後端 こうたん は長方形 ちょうほうけい で、前方 ぜんぽう のへりにはかぎ状 じょう に尖 とが った付加 ふか 物 ぶつ があり、頂点 ちょうてん 付近 ふきん に丸 まる い切 きり 痕 こん がある。これらの特徴 とくちょう はティラノサウルス上 うえ 科 か との共有 きょうゆう 派生 はせい 形質 けいしつ (synapomorphy )とみなされることが多 おお い。恥骨 ちこつ の先端 せんたん はほぼ垂直 すいちょく に下 さ がっており、「mesopubic」もしくは「orthopubic」の状態 じょうたい である。恥骨 ちこつ は比較的 ひかくてき 短 みじか く、大腿 だいたい 骨 こつ の長 なが さのおよそ2/3である。坐骨 ざこつ は恥骨 ちこつ の3/4ほどの長 なが さで、54度 ど の角度 かくど で付 つ いていて、先端 せんたん は少 すこ し広 ひろ がっている。坐骨 ざこつ の骨幹 こっかん の前方 ぜんぽう には手斧 ちょうな 状 じょう をした筋肉 きんにく が付着 ふちゃく するための大 おお きな突起 とっき があり、ここに恥骨 ちこつ 坐骨 ざこつ 大腿 だいたい 括約筋 かつやくきん (Musculus puboischiofemoralis externus)が付着 ふちゃく する。突起 とっき の下 した の縁 えん と骨幹 こっかん の間 あいだ にあるはずの小 ちい さな丸 まる い切 きり 痕 こん がみられないが、この欠損 けっそん は通常 つうじょう 、下部 かぶ に三角形 さんかっけい の閉鎖 へいさ 筋 すじ 突起 とっき が存在 そんざい することと関連 かんれん している[10] 。
後肢 あとあし では下腿 かたい が見 み つかっていない。大腿 だいたい 骨 こつ はまっすぐで太 ふと い。小 しょう 転 てん 子 こ が大 だい 転 てん 子 こ よりも著 いちじる しく短 みじか く、狭 せま い裂 さ け目 め で分離 ぶんり されている。前方 ぜんぽう には翼状 よくじょう の拡張 かくちょう 部 ぶ がある。後方 こうほう 転 てん 子 こ はなく、同様 どうよう に骨幹 こっかん 後方 こうほう の第 だい 四 よん 転 てん 子 こ も無 な い。脛骨 けいこつ の下腿 かたい 隆起 りゅうき は小 ちい さく、深 ふか く狭 せま い溝 みぞ で外側 そとがわ 顆と分離 ぶんり されている。腓骨 ひこつ は上部 じょうぶ が幅広 はばひろ く、骨幹 こっかん は細 ほそ い[10] 。
前肢 ぜんし と腸 ちょう の領域 りょういき を拡大 かくだい したもの
ホロタイプ標本 ひょうほん には恐竜 きょうりゅう の化石 かせき としては特 とく に広 ひろ い領域 りょういき の軟組織 そしき が保存 ほぞん されていた。ある程度 ていど の筋 すじ 組織 そしき (サンタナラプトル 、ペレカニミムス )、軟骨 なんこつ (ジュラヴェナトル 、アウカサウルス )、内臓 ないぞう (ミリスキア )といったものが他 た の恐竜 きょうりゅう でも報告 ほうこく されているが、スキピオニクスはほとんどの主要 しゅよう な内臓 ないぞう 群 ぐん の痕跡 こんせき が保存 ほぞん されていたという点 てん で特異 とくい である。血液 けつえき 、血管 けっかん 、軟骨 なんこつ 、結合 けつごう 組織 そしき 、筋 すじ 組織 そしき 、角 すみ 鞘 さや 、呼吸 こきゅう 器 き 系 けい 、消化 しょうか 器 き 系 けい が保存 ほぞん されていたものの、神経 しんけい 組織 そしき と鱗 うろこ や羽毛 うもう 、外皮 がいひ など体 からだ の表面 ひょうめん を覆 おお うものは保存 ほぞん されていない[10] 。
軟組織 そしき は印象 いんしょう ではなく3次元 じげん の石 いし 化物 ばけもの として保存 ほぞん されており、驚 おどろ くほど繊細 せんさい な構造 こうぞう がリン酸カルシウム りんさんかるしうむ で置換 ちかん されており、細胞 さいぼう 内 ない レベルもしくはもともとの生体 せいたい 分子 ぶんし の構成 こうせい 要素 ようそ が残 のこ った形 かたち で変化 へんか している[10] 。
もともとの骨 ほね 組織 そしき は残 のこ されていないが、リン酸カルシウム りんさんかるしうむ による鉱 こう 化 か 作用 さよう でもともとの骨 ほね 細胞 さいぼう の構造 こうぞう が保存 ほぞん されており、内部 ないぶ の空洞 くうどう や骨 ほね 細管 さいかん を含 ふく む個々 ここ の骨 ほね 細胞 さいぼう の様子 ようす がわかる。また、骨 ほね 内部 ないぶ の血管 けっかん の構造 こうぞう も保存 ほぞん されており、一部 いちぶ は内部 ないぶ が空洞 くうどう である。頭骨 とうこつ や下 しも 顎 あご など一部 いちぶ の骨 ほね では骨膜 こつまく の存在 そんざい が見 み られる[10] 。
靭帯 じんたい と軟骨 なんこつ [ 編集 へんしゅう ]
第 だい 9頸椎から背中 せなか にかけて、椎骨 ついこつ の関節 かんせつ に関節 かんせつ 包 つつみ (英語 えいご 版 ばん ) の残存 ざんそん が見 み られる。棘 とげ 突起 とっき 間 あいだ の空間 くうかん には薄 うす い棘 とげ 間 あいだ (英語 えいご 版 ばん ) と棘 とげ 上 じょう 靭帯 じんたい (英語 えいご 版 ばん ) が見 み られる。このうち6つの椎骨 ついこつ は明瞭 めいりょう に軟骨 なんこつ 結合 けつごう (英語 えいご 版 ばん ) がかぶさっており、幼体 ようたい に典型 てんけい 的 てき な特徴 とくちょう を示 しめ している。軟骨 なんこつ のキャップは最小 さいしょう のものも含 ふく め全 すべ ての肢 し の関節 かんせつ にもあり、特 とく に肩 かた 、肘 ひじ 、手首 てくび の関節 かんせつ で分厚 ぶあつ い。また恥骨 ちこつ も軟骨 なんこつ のキャップで覆 おお われていて、腸 ちょう 骨 こつ と恥骨 ちこつ は軟骨 なんこつ で隔 へだ てられている[10] 。
呼吸 こきゅう 器 き はほとんど保存 ほぞん されていない。肺 はい も気嚢 きのう も何 なん の痕跡 こんせき も残 のこ っていない。長 なが さ7mmほどの孤立 こりつ した小片 しょうへん である気管 きかん の骨 ほね が残 のこ されており、これには10個 こ ほどの気管 きかん 軟骨 なんこつ 輪 わ が見 み られ、最前 さいぜん 部 ぶ は上部 じょうぶ が開口 かいこう しC字 じ 型 がた をしている。軟骨 なんこつ 輪 わ は平均 へいきん の長 なが さが3.3mmで、厚 あつ さ0.17mmの空間 くうかん で隔 へだ てられている。気管 きかん はかなり厚 あつ く、幅 はば 1mmで保存 ほぞん されており、この厚 あつ さはホロタイプの個体 こたい の大 おお きさから期待 きたい される幅 はば の半分 はんぶん ほどである。頸部の基部 きぶ のかなり低 ひく い場所 ばしょ に位置 いち し、結合 けつごう 組織 そしき の中 なか に埋 う まりこんでいる[10] 。
肝臓 かんぞう 、心臓 しんぞう 、脾臓 ひぞう 、胸腺 きょうせん [ 編集 へんしゅう ]
胸部 きょうぶ の前方 ぜんぽう に、直径 ちょっけい 17mmほどのほぼ円形 えんけい のしみが目立 めだ つ赤 あか い暈 かさ (かさ)状 じょう に存在 そんざい する。1998年 ねん の研究 けんきゅう ではこのしみは血液 けつえき を多 おお く含 ふく む器官 きかん である肝臓 かんぞう が腐 くさ ったものの痕跡 こんせき である可能 かのう 性 せい が示唆 しさ された。2011年 ねん の研究 けんきゅう ではこの赤 あか いものが実際 じっさい に血液 けつえき に由来 ゆらい するものであることが確認 かくにん された。走査 そうさ 型 がた 電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう による解析 かいせき の結果 けっか 、この物質 ぶっしつ はヘモグロビン が変化 へんか したものである可能 かのう 性 せい の高 たか い水 みず 和 わ 酸化 さんか 鉄 てつ である褐鉄鉱 かってっこう で構成 こうせい されることが分 わ かった。また、特 とく に肝臓 かんぞう に存在 そんざい する胆汁 たんじゅう の構成 こうせい 要素 ようそ であるビリベルジン も存在 そんざい していた。血液 けつえき は同 おな じく血液 けつえき の多 おお い器官 きかん である、心臓 しんぞう と脾臓 ひぞう に由来 ゆらい するものの可能 かのう 性 せい もある。爬虫類 はちゅうるい ではこれらは2葉 よう の肝臓 かんぞう の間 あいだ に位置 いち している[10] 。
胸部 きょうぶ の他 ほか の器官 きかん の痕跡 こんせき も残 のこ っている可能 かのう 性 せい があり、首 くび の基部 きぶ にある有機物 ゆうきぶつ 由来 ゆらい の灰色 はいいろ の塊 かたまり は胸腺 きょうせん 由来 ゆらい の可能 かのう 性 せい がある。また、この塊 かたまり には結合 けつごう 組織 そしき や筋肉 きんにく 組織 そしき も含 ふく まれている[10] 。
内臓 ないぞう もしくは食物 しょくもつ の痕跡 こんせき が残 のこ っているため、消化 しょうか 管 かん のほとんどの部分 ぶぶん について、その痕跡 こんせき をたどることができる。食道 しょくどう の位置 いち は、長 なが さ5mmほどにわたって小 ちい さな食物 しょくもつ 片 へん が並 なら んでいることから推定 すいてい される。第 だい 9胴 どう 椎 しい の下 した には獲物 えもの の動物 どうぶつ の骨 ほね の塊 かたまり があり、これが胃 い の位置 いち を示 しめ す。胃 い そのものは死後 しご まもなくに自身 じしん の胃液 いえき で溶 と けてしまった可能 かのう 性 せい が高 たか い。塊 かたまり がかなり後向 うしろむ きに位置 いち していることから胃 い は二 に 重 じゅう 構造 こうぞう であり、筋肉質 きんにくしつ の砂嚢 さのう の前 まえ には酵素 こうそ 分泌 ぶんぴつ を行 おこな う前 ぜん 胃 い があったことが示唆 しさ される。胃 い 石 せき は報告 ほうこく されていない[10] 。
胃 い の位置 いち のちょうどの後方 こうほう に、目立 めだ って大 おお きな分厚 ぶあつ い腸 ちょう が見 み られ、十二指腸 じゅうにしちょう と同定 どうてい されている。部分 ぶぶん 的 てき に天然 てんねん のエンドキャスト (英語 えいご 版 ばん ) が保存 ほぞん され、また部分 ぶぶん 的 てき には粘膜 ねんまく や結合 けつごう 組織 そしき を含 ふく む細胞 さいぼう の構造 こうぞう を示 しめ す形 かたち で化石 かせき 化 か している。長 なが さ1cmで、幅 はば 0.02-0.1mmの中空 なかぞら の管 かん という形 かたち で、腸 ちょう を覆 おお う腸 ちょう 間 あいだ 膜 まく の血管 けっかん もみられる。 十二指腸 じゅうにしちょう は大 おお きなループ状 じょう で、下 した 行部 ゆくべ の一部 いちぶ は最初 さいしょ に真直 まっす ぐ腹 はら 肋骨 あばらぼね に向 む かって下 した 行 ぎょう し、それから背中 せなか の方 ほう へ伸 の びる。その先 さき で折 お り目 め がはっきり見 み えるような急 きゅう カーブになっていて、前方 ぜんぽう に屈折 くっせつ し、管 かん は上 うえ 行 ぎょう するように伸 の び、胃 い 付近 ふきん で終 お わっているように見 み える。この点 てん で管 かん は体 からだ の左側 ひだりがわ (つまり石版 せきばん の内側 うちがわ )を向 む き、化石 かせき 板 ばん と直角 ちょっかく をなし、そこで終 お わっている。隣接 りんせつ し、やや上部 じょうぶ にある表面 ひょうめん に出 で た腸 ちょう の続 つづ きの部分 ぶぶん は空 そら 腸 ちょう と解釈 かいしゃく されている。この薄 うす い腸 ちょう は後方 こうほう へ曲 ま がり、十二指腸 じゅうにしちょう の上 うえ 行部 ゆくべ と平行 へいこう して伸 の び、最終 さいしゅう 的 てき に第 だい 12胴 どう 椎 しい と同 おな じ高 たか さのところで十二指腸 じゅうにしちょう の下 した に消 き える。第 だい 10胴 どう 椎 しい の下 した で再 ふたた び表面 ひょうめん に現 あら われることから、どうやら前方 ぜんぽう に向 む かってループになっているようで、最初 さいしょ に上方 かみがた に向 む かって伸 の び、続 つづ いて後方 こうほう の脊椎 せきつい の下 した へ後 うし ろ向 む きに曲 ま がるか、もしくは脊椎 せきつい の上 うえ に位置 いち される。おそらく死後 しご に部分 ぶぶん 的 てき に上向 うわむ きにずれたのだろう。回腸 かいちょう は非常 ひじょう に短 みじか く、空 そら 腸 ちょう と混 ま ざっているように見 み える。第 だい 13胴 どう 椎 しい の下 した の収縮 しゅうしゅく は直腸 ちょくちょう への移行 いこう を示 しめ している可能 かのう 性 せい がある。盲腸 もうちょう は存在 そんざい しないように見 み える。直腸 ちょくちょう は恥骨 ちこつ と坐骨 ざこつ の上部 じょうぶ の骨幹 こっかん の間 あいだ を後方 こうほう に向 む かって伸 の びている。続 つづ いて坐骨 ざこつ の骨幹 こっかん に平行 へいこう して下方 かほう に曲 ま がり、末端 まったん で再 ふたた び上 じょう を向 む いている。ここに排泄 はいせつ 物 ぶつ の最後 さいご の部分 ぶぶん も残 のこ っている。総 そう 排出 はいしゅつ 腔 は保存 ほぞん されていない。ダル・サッソとMaganucoは総 そう 排出 はいしゅつ 腔はかなり下 した の方 ほう の、坐骨 ざこつ の足 あし と同 おな じ高 たか さぐらいに存在 そんざい し、rectocoprodaeal valveで糞 くそ と尿 にょう が分離 ぶんり されていたことを示唆 しさ した[10] 。
恥骨 ちこつ の骨幹 こっかん の前方 ぜんぽう の縁 えん と腸 ちょう の後方 こうほう の間 あいだ には大 おお きな空 そら の空間 くうかん が存在 そんざい した。また直腸 ちょくちょう は非常 ひじょう に高 たか い位置 いち に伸 の び、何 なん らかのものによって押 お し上 あ げられているようにすら見 み える。ダル・サッソとMaganucoは生存 せいぞん 時 じ にはこの空間 くうかん は孵化 ふか 時 じ の卵黄 らんおう 嚢 で満 み たされていたと考 かんが えた。一般 いっぱん 的 てき には爬虫類 はちゅうるい は孵化 ふか 時 じ に卵黄 らんおう を吸収 きゅうしゅう しきっておらず、最初 さいしょ の数 すう 週間 しゅうかん は食物 しょくもつ 摂取 せっしゅ を補 おぎな うために、残 のこ りの栄養分 えいようぶん を利用 りよう している[10] 。
ホロタイプ標本 ひょうほん にはいくつかの場所 ばしょ に筋 すじ 組織 そしき (英語 えいご 版 ばん ) の化石 かせき が存在 そんざい する。多 おお くの場合 ばあい 、保存 ほぞん 状態 じょうたい の程度 ていど は並 なみ はずれてよく、個々 ここ の繊維 せんい が識別 しきべつ できるのみならず個別 こべつ の細胞 さいぼう や細胞 さいぼう 内 ない のサルコメア (英語 えいご 版 ばん ) すら識別 しきべつ できるものもある。
恐竜 きょうりゅう の化石 かせき の中 なか でこのようにサルコメアが知 し られているのはサンタナラプトルのみであり、サンタナラプトルの筋繊維 きんせんい はスキピオニクスのものより4倍 ばい も厚 あつ い。元来 がんらい の有機 ゆうき 物質 ぶっしつ は小 ちい さな中空 なかぞら の球 たま に置 お き換 か わっていて、その内壁 ないへき は燐灰石 りんかいせき の自 じ 形 かたち (英語 えいご 版 ばん ) 結晶 けっしょう で構成 こうせい されている[10] 。
頸部の基部 きぶ にある灰色 はいいろ の有機物 ゆうきぶつ の塊 かたまり には、筋繊維 きんせんい が存在 そんざい し、胸骨 きょうこつ 舌 した 骨 こつ 筋 すじ と胸 むね 気管 きかん 筋 すじ と同定 どうてい されている。第 だい 6胴 どう 椎 しい と第 だい 7胴 どう 椎 しい の間 あいだ の筋繊維 きんせんい は横 よこ 突棘筋 すじ もしくは胴 どう 最長 さいちょう 筋 すじ (Musculus longissimus dorsi)のものであるように見 み える。右 みぎ 坐骨 ざこつ の前方 ぜんぽう にある筋繊維 きんせんい は坐骨 ざこつ の足 あし から大腿 だいたい 骨 こつ の方向 ほうこう に伸 の びている。この筋肉 きんにく の同定 どうてい は不 ふ 確定 かくてい である。これらは恥骨 ちこつ 坐骨 ざこつ 大腿 だいたい 筋 すじ ( Musculus puboischiofemoralis pars medialis ワニ類 るい の第 だい 一 いち 大腿 だいたい 内 ない 転 てん 筋 すじ (Musculus adductor femoris I ))に相当 そうとう するものである可能 かのう 性 せい があるが、この場合 ばあい この筋肉 きんにく は(ある種 しゅ の)非 ひ 鳥獣 ちょうじゅう 脚 あし 類 るい では閉塞 へいそく 筋 すじ 突起 とっき に固定 こてい されていない。この繊維 せんい は未知 みち の筋肉 きんにく のものである可能 かのう 性 せい もある。いずれにせよ、これらの推論 すいろん はグレゴリー・ポール により坐骨 ざこつ と大腿 だいたい 骨 こつ の間 あいだ の筋肉 きんにく の接続 せつぞく は全 まった くないと反論 はんろん されている。直腸 ちょくちょう の管内 かんない の上部 じょうぶ には区切 くぎ りのない水平 すいへい な筋繊維 きんせんい の領域 りょういき が存在 そんざい し、おそらく尾 お の基部 きぶ にある区切 くぎ りのない長 なが 尾大 びだい 体 からだ 筋 すじ (英語 えいご 版 ばん ) (Musculus caudofemoralis longus )のものであろう。この筋肉 きんにく は大腿 だいたい 骨 こつ の主要 しゅよう な収縮 しゅうしゅく 筋 すじ である。これらの繊維 せんい は断面 だんめん が多角 たかく 形 がた で、細胞 さいぼう 間 あいだ 空間 くうかん も見 み られる。一部 いちぶ の基部 きぶ の尾 お 椎 しい の下 した には血道 ちみち 弓 ゆみ と結合 けつごう する靭帯 じんたい が存在 そんざい し、ligmamentum interhaemale を形成 けいせい するものの、いくつかの小 ちい さな筋繊維 きんせんい とヘリンボーン状 じょう に並 なら んだ謎 なぞ の中空 なかぞら の管 かん も存在 そんざい する。後者 こうしゃ はおそらく筋 すじ 分節 ぶんせつ (英語 えいご 版 ばん ) の筋 すじ 節 ぶし 中 ちゅう 隔 へだた (myoseptum)であり、尾 お 腸 ちょう 骨 こつ 筋 すじ (Musculus iliocaudalis )もしくは尾 お 坐骨 ざこつ 筋 すじ (Musculus ischiocaudalis )を区切 くぎ っている[10] 。
化石 かせき の全 すべ てのかぎ爪 つめ には(足 あし のものは全 すべ て失 うしな われているが)角 すみ 鞘 さや が見 み られる。これらは基部 きぶ より上部 じょうぶ の方 ほう が暗 くら い色 いろ で、もともとの角質 かくしつ の物質 ぶっしつ が残存 ざんそん していることが示唆 しさ される。しかし、この貴重 きちょう な化石 かせき の持 も つ完全 かんぜん 性 せい の重要 じゅうよう な部分 ぶぶん である、これらの繊細 せんさい な構造 こうぞう を損傷 そんしょう してしまう恐 おそ れがあり、直接 ちょくせつ の化学 かがく 分析 ぶんせき は行 おこな われていない。手 て のかぎ爪 つめ の角 かく 鞘 さや は骨 ほね 芯 しん を約 やく 40%拡大 かくだい し、カーブして先端 せんたん が尖 とが った骨 ほね の大鎌 おおがま の形状 けいじょう を維持 いじ している。いくつかのかぎ爪 つめ の鞘 さや は部分 ぶぶん 的 てき に分離 ぶんり している。他 た のものは平 ひら たく潰 つぶ れるか裂 さ けている[10] 。
化石 かせき は一切 いっさい の皮膚 ひふ 、鱗 うろこ 、羽毛 うもう の痕跡 こんせき が残 のこ っていない。1999年 ねん にフィリップ・カリー はそうでない可能 かのう 性 せい もあるが、尾 お の基部 きぶ の管 かん は原 げん 羽毛 うもう である可能 かのう 性 せい があるとの仮説 かせつ を示 しめ した。しかし、2011年 ねん にダル・サッソとMaganucoはこれらの管 かん は両 りょう 端 はし とも細 ほそ くなっており、外皮 がいひ の繊維 せんい ならば上端 じょうたん のみ細 ほそ くなっているはずだとしてこの解釈 かいしゃく を拒絶 きょぜつ した。しかし、彼 かれ らもスキピオニクスが生存 せいぞん 時 じ にシノサウロプテリクスやシノカリオプテリクスといったコンプソグナトゥス科 か で知 し られるような原 げん 羽毛 うもう で覆 おお われていた可能 かのう 性 せい が高 たか いと考 かんが えている[10] 。
スキピオニクスは獣 しし 脚 あし 類 るい の1グループであるコエルロサウルス類 るい に属 ぞく するものとして記載 きさい された。唯一 ゆいいつ の化石 かせき は幼体 ようたい のものであり、より詳細 しょうさい な分類 ぶんるい をすることが困難 こんなん であったためである。幼体 ようたい の骨格 こっかく には祖先 そせん グループが持 も っていた特長 とくちょう がよく現 あらわ れており、進化 しんか 的 てき に系統 けいとう 樹 じゅ のより基 もと 底部 ていぶ に位置 いち づけられてしまう問題 もんだい がある。2011年 ねん のモノグラフでは分岐 ぶんき 学 がく 的 てき な解析 かいせき の結果 けっか 、スキピオニクスは基盤 きばん 的 てき なコンプソグナトゥス科 か であり、オルコラプトル の姉妹 しまい 群 ぐん であることが示 しめ されている。ダル・サッソとMaganucoは化石 かせき 資料 しりょう が限定 げんてい 的 てき であり、オルコラプトルの位置 いち については明確 めいかく でないと強調 きょうちょう している[10] 。
以下 いか に示 しめ すクラドグラムは2011年 ねん の研究 けんきゅう に基 もと づきコエルロサウルス類 るい の系統 けいとう 樹 じゅ におけるスキピオニクスの位置 いち を示 しめ したものである。
2021年 ねん 、Andrea Cauはスキピオニクスを含 ふく む“コンプソグナトゥス科 か ”の再 さい 評価 ひょうか を行 おこな い、スキピオニクスはカルカロドントサウルス科 か の幼体 ようたい であるとしている[11] 。これは顎 あご 、頭蓋 とうがい 、それ以降 いこう の骨格 こっかく の詳細 しょうさい な解剖 かいぼう 学 がく 的 てき 特徴 とくちょう に基 もと づいている[12] 。
Cauは2024年 ねん にも“コンプソグナトゥス科 か ”の再 さい 評価 ひょうか を行 おこな い、カルカロドントサウルス科 か ではなくメガロサウルス上 うえ 科 か に割 わ り当 あ てられるとした[13] [14] 。
純 じゅん 古 こ 生物 せいぶつ 学 がく [ 編集 へんしゅう ]
スキピオニクスの生息 せいそく 地 ち はアルビアンのアドリアプレート (英語 えいご 版 ばん ) の一部 いちぶ であり、当時 とうじ は浅 あさ いパラテチス海 うみ (英語 えいご 版 ばん ) に広 ひろ く覆 おお われていた。乾 かわ いた陸地 りくち もあったものの、どのくらい広 ひろ がり、どの程度 ていど のテレーン (英語 えいご 版 ばん ) がつながっていたかどうかは不確 ふたし かである。ピエトラローヤ平板 へいばん 石灰岩 せっかいがん (英語 えいご 版 ばん ) の海 うみ 成 なり 堆積 たいせき 物 ぶつ はおそらくアペニンプラットフォームの堆積 たいせき 物 ぶつ の一部 いちぶ と近 ちか いと考 かんが えられる。この塊 かたまり はイタリア中部 ちゅうぶ とチュニジア の間 あいだ の島々 しまじま で形成 けいせい された可能 かのう 性 せい が高 たか い。これらからスキピオニクスは一般 いっぱん に小 ちい さな島 しま の生物 せいぶつ であり、その生態 せいたい 系 けい においては大 おお きな動物 どうぶつ の一 ひと つであったと考 かんが えられている[10] 。
しかし、テレーンが定期 ていき 的 てき に互 たが いに結合 けつごう してより広 ひろ い島 しま を形成 けいせい していて、陸橋 りっきょう により竜 りゅう 脚 あし 類 るい や大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい といったより大型 おおがた の動物 どうぶつ の拡散 かくさん が可能 かのう であったことも示唆 しさ されている。資源 しげん の減少 げんしょう に適応 てきおう した島嶼 とうしょ 化 か の兆候 ちょうこう は見 み られず、もし陸橋 りっきょう があったとしても長 なが くは存在 そんざい せず、地表 ちひょう は再 ふたた び断片 だんぺん 化 か したようだ。また同様 どうよう に、スキピオニクスは近 きん 縁 えん 種 しゅ に対 たい して矮小 わいしょう ではない。体 からだ が絶対 ぜったい 的 てき に小 ちい さく、乾 かわ いた陸地 りくち が減少 げんしょう した場合 ばあい その身 み を維持 いじ できなかっただろう。しかしながら、ダル・サッソとMaganucoはスキピオニクスが数 すう 千 せん 万 まん 年 ねん に渡 わた って小 ちい さな島 しま のみにとどまっていた動物 どうぶつ であるとは考 かんが えておらず、比較的 ひかくてき 新 あたら しい時代 じだい におそらくは北 きた アフリカから移住 いじゅう してきた動物 どうぶつ であると考 かんが えている。(コンプソグナトゥス科 か はヨーロッパとアジアで発見 はっけん されている分類 ぶんるい 群 ぐん であるため)基盤 きばん 的 てき なコンプソグナトゥス科 か であるとする系統 けいとう 解析 かいせき 結果 けっか からは奇妙 きみょう なことに思 おも われるが、彼 かれ らは系統 けいとう 解析 かいせき は幼体 ようたい の化石 かせき について行 おこな われたもので不確 ふたし かであると指摘 してき している[10] 。
実際 じっさい にピエトラローヤの堆積 たいせき 物 ぶつ から発見 はっけん される陸生 りくせい 動物 どうぶつ は全 すべ て小 ちい さい。これにはトカゲ類 るい のChometokadmon とEichstaettisaurus gouldi 、ムカシトカゲ類 るい のDerasmosaurus 、両生類 りょうせいるい のCeltedens megacephalusthe が含 ふく まれ、Eichstaettisaurus gouldi はドイツで発見 はっけん された近 きん 縁 えん 種 しゅ E. schroederi よりも4000万 まん 年 ねん 古 ふる い[10] 。
化石 かせき からは食 しょく 性 せい に関 かん する直接的 ちょくせつてき な情報 じょうほう が得 え られている。そこには完全 かんぜん な一連 いちれん の消化 しょうか された食物 しょくもつ が保存 ほぞん されており、おそらくこの動物 どうぶつ が短 みじか い生涯 しょうがい のなかで食 た べた全 すべ てのものである。系統 けいとう 的 てき な類似 るいじ 性 せい と骨格 こっかく から既 すで に確証 かくしょう されているもの、この消化 しょうか 物 ぶつ からスキピオニクスが捕食 ほしょく 者 しゃ であったことが確証 かくしょう される[10] 。
消化 しょうか 管内 かんない には8つの鱗 うろこ と複数 ふくすう の骨 ほね の断片 だんぺん が残 のこ されていた。ダル・サッソとMaganucoはこれはもろい要素 ようそ として飲 の み込 こ まれたものではなく、餌 えさ の残 のこ りで、一部 いちぶ は断末魔 だんまつま の苦 くる しみで胃 い から逆流 ぎゃくりゅう したものの可能 かのう 性 せい が高 たか いと考 かんが えた。胃 い の中 なか の位置 いち そのものは小 ちい さな骨 ほね の塊 かたまり で明 あき らかだ。これらの骨 ほね には5つの中 ちゅう 足 あし 骨 こつ からなる幅 はば 3 mmの中 なか 足 あし と足首 あしくび 、尾 お 椎 しい 、尺 しゃく 骨 こつ の上端 じょうたん が含 ふく まれている。これらが単一 たんいつ の獲物 えもの の動物 どうぶつ のものだとすると、メソエウクロコディリア (英語 えいご 版 ばん ) の一 いち 種 しゅ か鱗 うろこ 竜 りゅう 類 るい のトカゲのような動物 どうぶつ の可能 かのう 性 せい が高 たか い。大 おお きさからするとおそらく後者 こうしゃ である。十二指腸 じゅうにしちょう の下降 かこう 部 ぶ には2つのトカゲの鱗 うろこ の塊 かたまり があり、さらに下 した には魚 さかな の椎骨 ついこつ が存在 そんざい する。空 そら 腸 ちょう には1ダースほどの魚 さかな の椎骨 ついこつ の塊 かたまり が一 ひと つあり、これはニシン上目 うわめ のものである可能 かのう 性 せい が高 たか い。第 だい 2の椎骨 ついこつ の塊 かたまり が空 そら 腸 ちょう と回腸 かいちょう の境界 きょうかい 付近 ふきん に見 み つかる。直腸 ちょくちょう の末端 まったん には17枚 まい の鱗 うろこ のあるアロワナ目 め の魚 さかな の皮膚 ひふ を含 ふく む糞 くそ が残 のこ っていて、成長 せいちょう 線 せん からこの魚 さかな は9歳 さい であったと推定 すいてい される[10] 。
発見 はっけん された食物 しょくもつ から食物 しょくもつ の摂取 せっしゅ 順 じゅん の再 さい 構成 こうせい が可能 かのう である。最初 さいしょ に4-5 cmほどの大 おお きさの魚 さかな を摂取 せっしゅ し、次 つぎ に2-3 cmほどの小 ちい さな魚 さかな を摂取 せっしゅ した。続 つづ いて10-12 cmほどの大 おお きさのトカゲを摂取 せっしゅ した。そして大 おお きさは同定 どうてい に依 よ るが15-40 cmほどの鱗 うろこ 竜 りゅう 類 るい を摂取 せっしゅ し、最期 さいご に不定 ふてい の何 なに か脊椎動物 せきついどうぶつ を摂取 せっしゅ した。食事 しょくじ の内容 ないよう からはスキピオニクスが日和見 ひよりみ で様々 さまざま なものを食 た べていたことが分 わ かる。素早 すばや いトカゲを捕 つか まえたり、波打 なみう ち際 ぎわ を巡回 じゅんかい し漂着 ひょうちゃく した魚 さかな を漁 あさ っていたりしたことから、機動 きどう 力 りょく に優 すぐ れていたことが示唆 しさ される。胃 い の中 なか の獲物 えもの が40 cmほどの大 おお きさの動物 どうぶつ だったとすると、生 う まれたばかりの雛 ひな が自分 じぶん とほぼ同 おな じ大 おお きさのものを捕 つか まえたとはとても考 かんが えにくく、親 おや による世話 せわ があったことが示唆 しさ される[10] 。
長 なが く、骨 ほね の折 お れる「検死 けんし 」によって内部 ないぶ 組織 そしき を含 ふく む特異 とくい な化石 かせき 化 か が明 あき らかになり、スキピオニクスは既知 きち では最 もっと も重要 じゅうよう な脊椎動物 せきついどうぶつ の化石 かせき の一 ひと つとなっている。スキピオニクスは浅 あさ いラグーン が多 おお い場所 ばしょ に生息 せいそく していたと考 かんが えられている。これらの水域 すいいき は酸素 さんそ 欠乏 けつぼう 状態 じょうたい であり、ドイツの始祖 しそ 鳥 とり と同 おな じようにスキピオニクスも非常 ひじょう に保存 ほぞん 状態 じょうたい の良 よ い化石 かせき 標本 ひょうほん となった[1] [15] 。気管 きかん 、腸 ちょう 、肝臓 かんぞう 、血管 けっかん 、軟骨 なんこつ 、角 すみ 鞘 さや 、 腱 けん 、筋肉 きんにく が肌理 きめ の細 こま かな石灰岩 せっかいがん の中 なか で保存 ほぞん されていた。肝臓 かんぞう は生存 せいぞん 時 じ の形状 けいじょう が赤 あか 鉄鉱 てっこう の赤 あか い暈 かさ 状 じょう のしみとして保存 ほぞん されていた。従来 じゅうらい 、恐竜 きょうりゅう の内臓 ないぞう の相対 そうたい 的 てき な位置 いち は大 おお まかな推定 すいてい しか行 おこな うことが出来 でき なかったため、この発見 はっけん の意義 いぎ は大 おお きい。ホロタイプは非 ひ 鳥 とり 恐竜 きょうりゅう の生理 せいり 、特 とく に消化 しょうか 、外 そと 呼吸 こきゅう 、個体 こたい 発生 はっせい に関 かん して重要 じゅうよう な情報 じょうほう を特 とく に直接的 ちょくせつてき に与 あた えてくれる。
スキピオニクスの消化 しょうか 管 かん は一般 いっぱん に短 みじか く幅広 はばひろ い。腸 ちょう の全長 ぜんちょう は予期 よき されたものより短 みじか く、短 みじか い腸 ちょう で効率 こうりつ よく消化 しょうか されていたことが示唆 しさ される[1] 。ケルクリング皺 じわ 襞 ひだ により消化 しょうか 面 めん を増 ふ やすことで効率 こうりつ をよくしていた可能 かのう 性 せい がある。ダル・サッソとMaganucoは消化 しょうか 管 かん が短 みじか かったということが必 かなら ずしも消化 しょうか が短時間 たんじかん で行 おこな われたことを意味 いみ するわけではないと強調 きょうちょう した。適切 てきせつ に消化 しょうか されるまで腸 ちょう 内 ない に保持 ほじ されていた可能 かのう 性 せい もあるからである。現生 げんなま の捕食 ほしょく 性 せい 脊椎動物 せきついどうぶつ ではエネルギー換算 かんさん で75%の獲物 えもの の肉 にく を消化 しょうか 、吸収 きゅうしゅう することが出来 でき る[10] 。
胃 い の場所 ばしょ にあった骨 ほね は胃酸 いさん による腐食 ふしょく を受 う けておらず、この食物 しょくもつ が当日 とうじつ 摂取 せっしゅ されたものであることを示唆 しさ する。胃 い から腸 ちょう への出口 でぐち はこれらの骨 ほね がそのまま通過 つうか するには狭 せま すぎるため、若 わか く成長 せいちょう 中 ちゅう の動物 どうぶつ に多 おお く必要 ひつよう とされる栄養素 えいようそ であるカルシウムを骨 ほね から溶出 ようしゅつ するのには酸 さん が使 つか われた可能 かのう 性 せい が高 たか い。現生 げんなま の脊椎動物 せきついどうぶつ では胃 い より後 のち の消化 しょうか 器 き では骨 ほね をこれ以上 いじょう 消化 しょうか することが出来 でき ない。残 のこ ったものは後 あと で吐 は き出 だ されたのだろう。しかし、腸 ちょう 内 ない に椎骨 ついこつ が存在 そんざい することから(胃 い の)出口 いでぐち は広 ひろ く、この点 てん では非 ひ 鳥獣 ちょうじゅう 脚 あし 類 るい は吹 ふ き戻 もど しをする現生 げんなま の主 しゅ 竜 りゅう 類 るい よりも鱗 うろこ 竜 りゅう 形 がた 類 るい に似 に ていたことを示唆 しさ する。 このことは大型 おおがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい の糞 くそ 石 せき に骨 ほね が多 おお く含 ふく まれることからも確証 かくしょう される。魚 さかな には多量 たりょう のカルシウムが含 ふく まれており、雛 ひな が本能 ほんのう 的 てき にそれを求 もと めていた可能 かのう 性 せい がある。あるいは、親 おや が魚 さかな を与 あた えていた可能 かのう 性 せい がある。糞 くそ に皮膚 ひふ が含 ふく まれていたのは消化 しょうか が困難 こんなん であったためと予想 よそう される[10] 。
胃 い の中 なか の大型 おおがた の鱗 うろこ 竜 りゅう 類 るい の残骸 ざんがい は噛 か み砕 くだ かれ、より消化 しょうか されやすい状態 じょうたい になっていた。雛 ひな が噛 か みくのは困難 こんなん であり、捕食 ほしょく 者 しゃ やスカヴェンジャー によりきれいに引 ひ き裂 さ かれ、簡単 かんたん に飲 の み込 こ めるようになった死体 したい にたまたま出 で くわすこともありそうにないため、ダル・サッソとMaganucoはこれが親 おや による世話 せわ があったことを強 つよ く示唆 しさ するものだと考 かんが えた[10] 。
呼吸 こきゅう 器 き はほとんど保存 ほぞん されていないものの、得 え られた間接 かんせつ 的 てき な証拠 しょうこ から広範 こうはん ないくつかの結論 けつろん が引 ひ き出 だ される。1999年 ねん にジョン・ルーベン (英語 えいご 版 ばん ) らは横隔膜 おうかくまく が存在 そんざい するように見 み える化石 かせき の写真 しゃしん に基 もと づいて、スキピオニクスの呼吸 こきゅう 器 き は鳥類 ちょうるい のものとは異 こと なり、ワニのものに似 に ていると推測 すいそく した。肝臓 かんぞう が大 おお きく、体腔 たいこう は心臓 しんぞう や肺 はい などのある前半 ぜんはん の区画 くかく と腸 ちょう のある広範 こうはん の区画 くかく に完全 かんぜん に分 わ かれていた。これは隔壁 かくへき のある肺 はい が存在 そんざい し、肝臓 かんぞう と横隔膜 おうかくまく 筋 すじ によって動 うご かされるhepatic-piston横隔膜 おうかくまく によって換気 かんき していたことを示唆 しさ する。横隔膜 おうかくまく 筋 すじ は化石 かせき の恥骨 ちこつ に付着 ふちゃく して観察 かんさつ されている。 このようなシステムはコエルロサウルス類 るい の獣 しし 脚 あし 類 るい は鳥類 ちょうるい と同様 どうよう に気嚢 きのう によって肺 はい の空気 くうき が換気 かんき されるという説 せつ に反 はん し、獣 しし 脚 あし 類 るい が冷血動物 れいけつどうぶつ であったことを暗示 あんじ する[16] 。
しかし、ジョン・ルーベンの結論 けつろん はこの説 せつ に欠陥 けっかん があると主張 しゅちょう しているLawrence Witmerなど、複数 ふくすう の研究 けんきゅう 者 しゃ から疑問 ぎもん 視 し されている[17] 。2001年 ねん の研究 けんきゅう ではこれは肝臓 かんぞう が不 ふ 明確 めいかく な暈 かさ 状 じょう の形 かたち で保存 ほぞん されていたためであり、 死後 しご 体液 たいえき が元 もと の臓器 ぞうき よりも広 ひろ がってしまっていた可能 かのう 性 せい があり、正確 せいかく な大 おお きさは決定 けってい できないと結論 けつろん している。いずれにせよ横隔膜 おうかくまく そのものや位置 いち は確認 かくにん できなかった。多 おお くの鳥類 ちょうるい の肝臓 かんぞう も大 おお きく、肝臓 かんぞう が大 おお きいという特徴 とくちょう は気嚢 きのう システムにも適用 てきよう できる。暈 かさ の前方 ぜんぽう の小 ちい さな体腔 たいこう は肺 はい が鳥類 ちょうるい のもののように硬 かた く小 ちい さなものであったことを示唆 しさ するようにみえる。横隔膜 おうかくまく 筋 すじ と仮定 かてい したものは某 ぼう 出 で の過程 かてい で非 ひ 生物 せいぶつ 由来 ゆらい の方解石 ほうかいせき のノジュールが研磨 けんま や彫刻 ちょうこく されたことによって生 しょう じたアーティファクトが幻 まぼろし の筋繊維 きんせんい のように見 み えたもののようだ[10] 。
グレゴリー・ポールおよびDavid Martillは恥骨 ちこつ と腸 ちょう の間 あいだ の空間 くうかん には大型 おおがた の気嚢 きのう があったと仮説 かせつ している。しかし、ダル・サッソとMaganucoは生 い きている鳥類 ちょうるい では腹部 ふくぶ 後部 こうぶ の気嚢 きのう は腸 ちょう を前方 ぜんぽう へと押 お すようなことはないとしてこの仮説 かせつ を拒絶 きょぜつ し、むしろこの空洞 くうどう には卵黄 らんおう 嚢があったのではないかと考 かんが えた。しかしながら、椎骨 ついこつ は気嚢 きのう により含気化 か されていた可能 かのう 性 せい が高 たか い。頸部と胴 どう にある含気孔 きこう のない椎骨 ついこつ は頸部の基部 きぶ 、肺 はい 、腹部 ふくぶ の3つの気嚢 きのう 系 けい の境界 きょうかい を示 しめ しているようだ。肋骨 あばらぼね の骨 ほね 頭 あたま が二 に 重 じゅう であり胸部 きょうぶ が堅 かた く、腹 はら 肋骨 あばらぼね で呼吸 こきゅう していたことを示 しめ している。マニラプトル形 がた 類 るい では肋骨 あばらぼね にかぎ状 じょう の突起 とっき があり、骨 ほね 化 か した胸骨 きょうこつ の関節 かんせつ で胸郭 きょうかく を柔軟 じゅうなん に動 うご かすことが可能 かのう であるが、スキピオニクスにはこの突起 とっき が見 み られない[10] 。
スキピオニクスのホロタイプは珍 めずら しい非 ひ 鳥獣 ちょうじゅう 脚 あし 類 るい の生 う まれたての雛 ひな の標本 ひょうほん である。他 た の最 さい 重要 じゅうよう な非常 ひじょう に若 わか い個体 こたい の標本 ひょうほん としてはビロノサウルス (英語 えいご 版 ばん ) の雛 ひな のものがあるがスキピオニクスのものよりはるかに不完全 ふかんぜん である。幼 おさな さは各部 かくぶ の比率 ひりつ 、骨 ほね 化 か の程度 ていど 、骨 ほね の癒合 ゆごう 程度 ていど に反映 はんえい されている。その最 もっと も顕著 けんちょ な部分 ぶぶん は相対 そうたい 的 てき 大 おお きく、短 みじか い頭部 とうぶ である[10] 。
ダル・サッソとMaganucoはこの雛 ひな の絶対 ぜったい 年齢 ねんれい を決定 けってい することを試 こころ みた。泉 いずみ 門 もん がまだ閉 と じておらず、上限 じょうげん でも生後 せいご 約 やく 5週間 しゅうかん である。主 しゅ 竜 りゅう 類 るい では遅 おそ くても数 すう 週間 しゅうかん で歯 は の生 は え変 が わりがあるものの、いずれの歯 は でも生 しょう じていないことから下限 かげん 値 ち も示 しめ される。最 もっと も正確 せいかく な年齢 ねんれい は卵黄 らんおう 嚢の大 おお きさで分 わ かり、おそらく生後 せいご 3日 にち 、最大 さいだい でも1週間 しゅうかん とみられる。非常 ひじょう に幼 おさな いにもかかわらず、完全 かんぜん に骨 ほね 化 か した腸 ちょう 骨 こつ を持 も ち、この雛 ひな は歩行 ほこう 可能 かのう であったとみられる。しかし、晩成 ばんせい 性 せい (英語 えいご 版 ばん ) の鳥類 ちょうるい であっても骨盤 こつばん の骨 ほね は孵化 ふか 後 ご 数日 すうじつ で完全 かんぜん に骨 ほね 化 か するため、この特徴 とくちょう はスキピオニクスが早 さ 成 なり 性 せい (英語 えいご 版 ばん ) であったことを意味 いみ するものではない[10] 。
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