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シノサウロプテリクス

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シノサウロプテリクス
生息せいそく年代ねんだい: 144–99 Ma
シノサウロプテリクス
地質ちしつ時代じだい
はく亜紀あき前期ぜんき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
下目しため : テタヌラ下目しため Tetanurae
階級かいきゅうなし : コエルロサウルスるい Coelurosauria
うえ : ティラノサウルスうえ Tyrannosauroidea[1]
: コンプソグナトゥス Compsognathidae”(うたがわしい分類ぶんるいぐん[2])?
ぞく : シノサウロプテリクスぞく Sinosauropteryx
学名がくめい
Sinosauropteryx
Ji & Ji, 1996
たね

シノサウロプテリクスSinosauropteryx, “中国ちゅうごくりゅうつばさ”)は、中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき前期ぜんきやく1おく4400まんねんまえやく9900まんねんまえ)に生息せいそくした小型こがた羽毛うもう恐竜きょうりゅうである[3]中国ちゅうごく表記ひょうき中華ちゅうかりゅうとり(ちゅうかりゅうちょう)、日本にっぽんでも漢字かんじ表記ひょうきされる場合ばあいがある[4][5][6]

特徴とくちょう

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全長ぜんちょう一般いっぱんてきに1m程度ていど[4][7]だが、最大さいだい標本ひょうほんとして3.8mの個体こたいられる[8][9]

1996ねん恐竜きょうりゅうとしてははじめて羽毛うもう化石かせきした状態じょうたい発見はっけんされた[9][10][11][12]。 そのため、鳥類ちょうるいであると当初とうしょかんがえられ中華ちゅうかりゅうとり名付なづけられたが、羽毛うもうといってもダウンのような綿毛わたげか、あるいはさら祖先そせんてきな、とりひなられるよう皮膚ひふ表面ひょうめんケラチンしつ伸長しんちょうしたチューブじょう構造こうぞうぶつであるとされる[13]。その羽毛うもうから色素しきそつかり、褐色かっしょくしろしま模様もようだった[14][15]。また形態けいたいてき特徴とくちょうからも鳥類ちょうるいとも遠縁とおえんコンプソグナトゥスるいであることがかった。

ノコギリじょうち、しょう動物どうぶつ昆虫こんちゅうひとし捕食ほしょくしていたとかんがえられる。

これまでに発見はっけんされたししあしるいなかで、しいもっとおおく(64)[16]全長ぜんちょうたいするながさがもっとながい。最近さいきん研究けんきゅうにより、いままで羽毛うもうであるとおもわれた化石かせき表面ひょうめん痕跡こんせきは、羽毛うもうではなくケラチンじょう皮膚ひふであるとの発表はっぴょうがなされた。しかし最新さいしん研究けんきゅう結果けっかによると、この痕跡こんせき部分ぶぶんメラノソームまっているのが判明はんめいした。メラノソームは、現生げんなま鳥類ちょうるい羽毛うもうにはふくまれてはいても、雛鳥ひなどりふくめたほか動物どうぶつのケラチンにはふくまれないことから、羽毛うもうあとだというさい反証はんしょうがなされた。さらには、2010ねん、その化石かせきない羽毛うもう部分ぶぶんにはメラニン色素しきそのこっていて、黄色おうしょく茶色ちゃいろ赤色あかいろけい発色はっしょくをしていたと判明はんめいした。よって、頚部けいぶうしろから背中せなかにかけては、赤褐色せきかっしょくないしは橙色だいだいいろちか色彩しきさいで、だいだい(あるいは茶色ちゃいろ)としろしま模様もようであった[16][17][18]。この色彩しきさいはカムフラージュ[19][20][21]求愛きゅうあい[22]関連かんれんしていたとかんがえられる。

体内たいないからたまご報告ほうこくされている[4][5][16][23]が、イタリアの脊椎動物せきついどうぶつ学者がくしゃアンドレア・カウらは骨格こっかく特徴とくちょう保存ほぞんされていた位置いちからこれを消化しょうかかん内容ないようぶつとしている[2][24][25][26][ちゅう 1]

分類ぶんるい

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以下いかはdal SassoとMaganucoによる2011ねん研究けんきゅうもとづくクラドグラム[27]

ティラノラプトラ

ティラノサウルスうえ

コンプソグナトゥス

スキピオニクス

オルコラプトル

シノカリオプテリクス

コンプソグナトゥス

ファシャグナトゥス

シノサウロプテリクス

ジュラヴェナトル

マニラプトルがたるい

以下いかはSenteretらによる2012ねん研究けんきゅうもとづくクラドグラム[28]

コエルロサウルスるい
ティラノサウルスうえ
コエルルス

コエルルス

タニコラグレウス

ディロング

グアンロン

ラプトレックス

ゴルゴサウルス

ダスプレトサウルス

ティラノサウルス

コンプソグナトゥス

シノカリオプテリクス

ファシャグナトゥス

シノサウロプテリクス

コンプソグナトゥス

ジュラヴェナトル

スキピオニクス

マニラプトルがたるい


アンドレア・カウは「コンプソグナトゥス」が大型おおがたテタヌラの幼体ようたいあつめで正当せいとう分類ぶんるいぐんではないとしたうえで、シノサウロプテリクスものグループの大型おおがたテタヌラの幼体ようたいである可能かのうせいしめした[2]。カウの仮説かせつでは、3.8メートルの標本ひょうほんは1メートルの一般いっぱんてきなシノサウロプテリクスとユティランヌスあるいはシノティラヌスの中間ちゅうかんにあたる形態けいたいであるという[29]。 その一方いっぽうで、カウの2024ねんさい評価ひょうかではティラノサウルスうえがい基盤きばんコエルロサウルスるいという結果けっかられている[30][31]

Kotevskiらによる2023ねん研究けんきゅうでは、シノサウロプテリクスはコンプソグナトゥスとともに基盤きばんてきティラノサウルスうえかれた[1]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ もともとたまごにはさんによる損傷そんしょうられないことから妊娠にんしんしている個体こたいとされていたが、カウらは保存ほぞん位置いち骨盤こつばんからはなれている(スキピオニクスなどでちょう保存ほぞんされていた領域りょういきてん骨格こっかく幼体ようたい特徴とくちょうしめてんから、たまごはシノサウロプテリクスがんだものと指摘してきした。

出典しゅってん

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  1. ^ a b Kotevski, Jake; Duncan, Ruairidh J.; Pentland, Adele H.; Rule, James P.; Vickers-Rich, Patricia; Rich, Thomas H.; Fitzgerald, Erich M. G.; Evans, Alistair R. et al. (2023-11-02). “A megaraptorid (Dinosauria: Theropoda) frontal from the upper Strzelecki Group (Lower Cretaceous) of Victoria, Australia”. Cretaceous Research: 105769. doi:10.1016/j.cretres.2023.105769. ISSN 0195-6671. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667123002975. 
  2. ^ a b c Cau, Andrea (2021ねん9がつ7にち). “Theropoda: Carcharodontosauri d'Italia”. Theropoda. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  3. ^ デジタル大辞泉だいじせんプラスの解説かいせつ”. コトバンク. 2018ねん3がつ11にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c しょう項目こうもく事典じてん, ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん. “中華ちゅうかりゅうとり(ちゅうかりゅうちょう)とは? 意味いみ使つかかた”. コトバンク. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 小学館しょうがくかん図鑑ずかんNEO 恐竜きょうりゅう小学館しょうがくかん、2008ねん6がつ10日とおか、47ぺーじISBN 9784092172111 
  6. ^ しんポケットばん学研がっけん図鑑ずかん恐竜きょうりゅう大昔おおむかしもの」』学研がっけんプラス、2010ねん4がつ22にち、142ぺーじISBN 978-4-05-203212-7 
  7. ^ Sinosauropteryx” (英語えいご). www.nhm.ac.uk. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  8. ^ Largest Sinosauropteryx fossil” (英語えいご). Guinness World Records (2009ねん1がつ2にち). 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  9. ^ a b てん自然しぜん博物はくぶつ”. www.tynhm.com. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  10. ^ Ji, Q.; Ji, S. (1996). “On discovery of the earliest bird fossil in China (Sinosauropteryx gen. nov.) and the origin of birds”. Chinese Geology (Beijing: Chinese Geological Museum) 10 (233): 30–33. http://www.paleoglot.org/files/Ji%26Ji_96.pdf. 
  11. ^ https://www.amnh.org/exhibitions/dinosaurs-ancient-fossils/liaoning-diorama/the-liaoning-forest
  12. ^ News, Opening Hours 10am-5pm Mon-Sun10am-9pm WedClosed Christmas Day Address 1 William StreetSydney NSW 2010 Australia Phone +61 2 9320 6000 www australian museum Copyright © 2023 The Australian Museum ABN 85 407 224 698 View Museum. “Dinosaurs - Sinosauropteryx prima” (英語えいご). The Australian Museum. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  13. ^ 地球ちきゅう支配しはいした恐竜きょうりゅう巨大きょだい生物せいぶつたち』 54 - 59ぺーじ
  14. ^ 恐竜きょうりゅう2 最新さいしん研究けんきゅう講談社こうだんしゃ、2020ねん2がつ18にち、80,81ぺーじ 
  15. ^ 恐竜きょうりゅう「シノサウロプテリクス」、アライグマに濃淡のうたん模様もよう えい大学だいがく発表はっぴょう”. 日刊にっかん工業こうぎょう新聞しんぶん. 2023ねん11月16にち閲覧えつらん
  16. ^ a b c https://dinodata.de/animals/dinosaurs/pages_s/sinosauropteryx.php
  17. ^ Bristol, University of. “2010: Colour of dinosaurs | News and features | University of Bristol” (英語えいご). www.bristol.ac.uk. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  18. ^ 講談社こうだんしゃうご図鑑ずかんMOBE恐竜きょうりゅう2 最新さいしん研究けんきゅう. 講談社こうだんしゃ. (2020). pp. 80,81 
  19. ^ SHIMBUN,LTD, NIKKAN KOGYO. “電子でんしばん恐竜きょうりゅう「シノサウロプテリクス」、アライグマに濃淡のうたん模様もよう えい大学だいがく発表はっぴょう”. 日刊にっかん工業こうぎょう新聞しんぶん電子でんしばん. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  20. ^ いろかくしていた羽毛うもう恐竜きょうりゅう | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio”. www.natureasia.com. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  21. ^ 恐竜きょうりゅうも「迷彩めいさい」でまもる? 羽毛うもう濃淡のうたん模様もよう中国ちゅうごく化石かせきから再現さいげん”. www.afpbb.com (2017ねん10がつ30にち). 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  22. ^ 恐竜きょうりゅうからだしょくはじめて特定とくてい中華ちゅうかりゅうとり”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  23. ^ Chen, Pei-Ji; Dong, Zhi-Ming; Zhen, Shuo-Nan (1998-01-01). “An exceptionally well-preserved theropod dinosaur from the Yixian Formation of China”. Nature 391: 147–152. doi:10.1038/34356. ISSN 0028-0836. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1998Natur.391..147C. 
  24. ^ Theropoda blog Facebook”. 2023ねん9がつ13にち閲覧えつらん
  25. ^ Wang, Cau, Guo, Ma, Qing and Liu, 2022. Intestinal preservation in a birdlike dinosaur supports conservatism in digestive canal evolution among theropods. Scientific Reports. 12:19965.
  26. ^ Coelurosauria”. www.theropoddatabase.com. 2023ねん10がつ5にち閲覧えつらん
  27. ^ Cristiano dal Sasso & Simone Maganuco, 2011, Scipionyx samniticus (Theropoda: Compsognathidae) from the Lower Cretaceous of Italy — Osteology, ontogenetic assessment, phylogeny, soft tissue anatomy, taphonomy and palaeobiology. Memorie della Società Italiana de Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano XXXVII(I): 1-281
  28. ^ Senter, P.; Kirkland, J. I.; Deblieux, D. D.; Madsen, S.; Toth, N. (2012). Dodson, Peter. ed. “New Dromaeosaurids (Dinosauria: Theropoda) from the Lower Cretaceous of Utah, and the Evolution of the Dromaeosaurid Tail”. PLOS ONE 7 (5): e36790. Bibcode2012PLoSO...736790S. doi:10.1371/journal.pone.0036790. PMC 3352940. PMID 22615813. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3352940/. 
  29. ^ Theroda blog Facebook”. m.facebook.com. 2024ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  30. ^ A Unified Framework for Predatory Dinosaur Macroevolution”. 2024ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  31. ^ Cau, Andrea (18 aprile 2024). “Theropoda: The Rise of the Tyrannies, the Fall of the Nursery Clades, and the Theropod Theory of Everything”. Theropoda. 2024ねん5がつ27にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 日経にっけいサイエンス編集へんしゅう へん地球ちきゅう支配しはいした恐竜きょうりゅう巨大きょだい生物せいぶつたち』日経にっけいサイエンスしゃ別冊べっさつ日経にっけいサイエンス〉、2004ねん、52 - 61ぺーじぺーじISBN 4-7973-3547-5 
  • 恐竜きょうりゅう2 最新さいしん研究けんきゅう 講談社こうだんしゃ