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ルーコウサウルス またはルコウサウルス (学名 がくめい Lukousaurus 「盧 の 溝 みぞ のトカゲ」の意 い )は、小 ちい さな頭蓋骨 ずがいこつ の吻部 の大 だい 部分 ぶぶん をもとに記載 きさい された主 しゅ 竜 りゅう 様 さま 類 るい であり、特徴 とくちょう 的 てき な涙 なみだ 骨 こつ 角 かく を示 しめ し、中国 ちゅうごく 雲南 うんなん 省 しょう の前期 ぜんき ジュラ紀 じゅらき の禄 ろく 豊 ゆたか 累 るい 層 そう (英語 えいご 版 ばん ) で発見 はっけん され、1940年 ねん に楊鍾健 けん によって記載 きさい された[1] 。属 ぞく 名 めい は盧溝橋 ろこうきょう に由来 ゆらい し、日 にち 中 ちゅう 戦争 せんそう 時 どき の北京 ぺきん 近郊 きんこう の「十字路 じゅうじろ 」である[1] 。模 も 式 しき 種 しゅ であるルーコウサウルス・イニ (Lukousaurus yini )は、一部 いちぶ の研究 けんきゅう 者 しゃ によってケラトサウルス類 るい に属 ぞく する暫定 ざんてい 的 てき な獣 しし 脚 あし 類 るい としてされており、また他 た の研究 けんきゅう 者 しゃ らによってコエルロサウルス類 るい に分類 ぶんるい されていた。ルーコウサウルスの頭蓋骨 ずがいこつ はその大 おお きさの割 わり にかなり頑丈 がんじょう だが、歯 は は典型 てんけい 的 てき な獣 しし 脚 あし 類 るい のものであると著者 ちょしゃ によって説明 せつめい された。だが、後 ご の2012年 ねん にルーコウサウルスが何 なに であれ、間違 まちが いなく主 しゅ 竜 りゅう 様 さま 類 るい であることが判明 はんめい した[2] 。
禄 ろく 豊 ゆたか 地域 ちいき の層 そう 序 じょ 分布 ぶんぷ と区分 くぶん 。ルーコウサウルスの化石 かせき は、画像 がぞう の黒 くろ い点 てん から北東 ほくとう 約 やく 2kmの地点 ちてん で発見 はっけん された。
1930年代 ねんだい 後半 こうはん 、中国 ちゅうごく 雲南 うんなん 省 しょう 禄 ろく 豊 ゆたか 市 し の黄 き 家田 いえだ (現 げん :張 ちょう 家 か 窪 くぼ )の現場 げんば 付近 ふきん で、前 ぜん 頭蓋骨 ずがいこつ と下 しも 顎 あご の一部 いちぶ 、そしておそらく歯 は と上腕 じょうわん 骨 こつ が近 ちか くで発見 はっけん された[3] [1] 。ルーコウサウルスの頭蓋骨 ずがいこつ は禄 ろく 豊 ゆたか 層 そう の赤 あか い層 そう の下部 かぶ ジュラ紀 じゅらき の地層 ちそう で発見 はっけん されたが、1940年 ねん に楊鍾健 けん によって命名 めいめい された時点 じてん では、層 そう は三 さん 畳 じょう 紀 き のものであると考 かんが えられていた[3] 。楊鍾健 けん は、ルーコウサウルスの頭蓋骨 ずがいこつ が非常 ひじょう に奇妙 きみょう であり、ルーコウサウルスの分類 ぶんるい 群 ぐん がコエルロサウルス類 るい であると考 かんが えていただけでなく、原 はら 竜 りゅう 脚 あし 類 るい やカルノサウルス類 るい にも形態 けいたい が似 に ていると指摘 してき した[3] 。属 ぞく 名 めい は盧溝橋 ろこうきょう に由来 ゆらい する。日 にち 中 ちゅう 戦争 せんそう が始 はじ まり、日本 にっぽん による中国 ちゅうごく の植民 しょくみん 地 ち 支配 しはい に対 たい する中国 ちゅうごく の抵抗 ていこう の象徴 しょうちょう となった北京 ぺきん 近郊 きんこう の「十字路 じゅうじろ 」だった[3] [1] 。種 たね 小名 しょうみょう は、旧 きゅう 日本 にっぽん 軍 ぐん の侵略 しんりゃく にもかかわらず調査 ちょうさ 作業 さぎょう を続 つづ けた中国 ちゅうごく 地質 ちしつ 調査 ちょうさ 局 きょく (英語 えいご 版 ばん ) の元 もと 副 ふく 所長 しょちょう 、尹 いん 贊 さん 勛(中国語 ちゅうごくご 版 ばん ) に敬意 けいい を表 あらわ している[1] 。ルーコウサウルスのホロタイプ 標本 ひょうほん は、中国 ちゅうごく 北京 ぺきん 市 し の中国科学院 ちゅうごくかがくいん 古 こ 脊椎動物 せきついどうぶつ 古人 こじん 類 るい 学 がく 研究所 けんきゅうじょ 内 うち にホロタイプIVPP 23 として保管 ほかん されている[3] [1] 。シモンズは1965年 ねん に、ある上腕 じょうわん 骨 こつ 遠 とお 位 くらい と共 きょう 骨 ほね 化 か した脛骨 けいこつ と腓骨 ひこつ をルーコウサウルスとしたが、それ以前 いぜん に発見 はっけん されていた標本 ひょうほん との間 あいだ に部位 ぶい の重複 じゅうふく はない[4] [1] [3] 。
ルーコウサウルスの分類 ぶんるい は、模 も 式 しき 標本 ひょうほん とその上腕 じょうわん 骨 こつ の奇妙 きみょう な特徴 とくちょう のため、非常 ひじょう に不 ふ 確実 かくじつ 。ルーコウサウルスは、サルトプス 、ポドケサウルス (英語 えいご 版 ばん ) 、アンモサウルス (=アンキサウルス )と比較 ひかく した後 こう 眼窩 がんか 骨 こつ と眼窩 がんか の形状 けいじょう に基 もと づいてコエルロサウルス類 るい として最初 さいしょ に記載 きさい されたが、現在 げんざい これらの分類 ぶんるい 群 ぐん は全 すべ てコエルロサウルス類 るい とはみなされていない[5] [6] [7] [3] 。大 おお きさと「頭蓋骨 ずがいこつ のいくつかの特徴 とくちょう 」もパレオサウルス (英語 えいご 版 ばん ) に似 に ていると指摘 してき されているが、パレオサウルスは疑問 ぎもん 名 めい とされている[8] 。董 ただし 枝 えだ 明 あきら は1992年 ねん に中国 ちゅうごく の恐竜 きょうりゅう に関 かん する著書 ちょしょ の中 なか でルーコウサウルスをポドケサウルス科 か (=コエロフィシス科 か )に割 わ り当 あて て、これは楊鍾健 けん によるポドケサウルスとの当初 とうしょ の分類 ぶんるい と同様 どうよう の結論 けつろん となったが、1997年 ねん にケネス・カーペンター はルーコウサウルスを未 み 確定 かくてい の獣 しし 脚 あし 類 るい とした[9] [10] 。2008年 ねん 、ミッキー・モーティマーはルーコウサウルスはアベリサウルス科 か のケラトサウルス類 るい かスフェノスクス亜 あ 目 め のいずれかであると信 しん じていたが、スターリング・ネスビットが開発 かいはつ した系統 けいとう 発生 はっせい マトリックスを用 もち いてルーコウサウルスを基盤 きばん 的 てき 偽 にせ 鰐 わに 類 るい と位置 いち づけ、2011年 ねん に立場 たちば を修正 しゅうせい した[11] 。ノールらは2012年 ねん に、前 ぜん 眼窩 がんか 窓 まど の構造 こうぞう においてルーコウサウルスが主 しゅ 竜 りゅう 類 るい の偽 にせ 鰐 わに 類 るい と類似 るいじ していることを発見 はっけん した[2] 。そしてイルミスは2004年 ねん に、ルーコウサウルスは獣 しし 脚 あし 類 るい でも恐竜 きょうりゅう でも恐竜 きょうりゅう 様 さま 類 るい でもなかったと述 の べた[12] 。
^ a b c d e f g C.-C. Young. (1940). Preliminary notes on the Lufeng vertebrate fossils. Bulletin of the Geological Society of China 20(3-4):235-239
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^ a b c d e f g Young, Chung-Chien (1948). “On Two New Saurischians From Lufeng, Yunnan*: Young:-Two New Saurischians From Lufeng” (英語 えいご ). Bulletin of the Geological Society of China 28 (1–2): 75–90. doi :10.1111/j.1755-6724.1948.mp281-2007.x . https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1755-6724.1948.mp281-2007.x .
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^ Theropod Database Blog post about Lukousaurus
^ Irmis, R. B. (2004). First report of Megapnosaurus (Theropoda: Coelophysoidea) from China. PaleoBios , 24 (3), 11-18.