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タワ

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タワ
生体復元図
本属ほんぞく生体せいたい復元ふくげん
地質ちしつ時代じだい
後期こうきさんじょう
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
階級かいきゅうなし : りゅうばんるい Eusaurischia
: ししあし Theropoda
ぞく : タワ Tawa
学名がくめい
Tawa
Nesbitt et al.2009
たね

タワ学名がくめいTawa)は後期こうきさんじょう生息せいそくしたししあしるい恐竜きょうりゅうぞくひとつ。ぞくめいプエブロホピぞく太陽たいようしん由来ゆらいする[1]しきしゅタワ・ハラエTawa hallae)のホロタイプにして唯一ゆいいつ標本ひょうほんは、ニューメキシコしゅうゴーストランチのヘイデン・クオリーで発見はっけんされた。ヘレラサウルスきんえんしゅコエロフィシスおな場所ばしょ発見はっけんされたということは、さんじょう後期こうきゴンドワナ大陸たいりく現在げんざいみなみアメリカ大陸あめりかたいりくである地域ちいきから恐竜きょうりゅうるい発生はっせいし、そこから世界中せかいじゅう放散ほうさんしていったこと示唆しさする[2]たね小名しょうみょうはゴーストランチ生物せいぶつがく博物館はくぶつかん創設そうせつしゃルース・ホール (Ruth Hall) へのけんじめいである[3]

記載きさい

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ホロタイプ、成体せいたい、ヒトのサイズ比較ひかく

タワは成体せいたいでは全長ぜんちょうやく2.5mに成長せいちょうしたと推定すいていされた[4]。タワは恐竜きょうりゅうのタクサと区別くべつできる特徴とくちょう保存ほぞんしていた。その頭骨とうこつ形態けいたいコエロフィシスるいのものにており、骨盤こつばんはヘレラサウルスるいのそれにちかい。コエロフィシスるい同様どうように、タワには上顎じょうがくこつ前上まえかみ顎骨がっこつあいだにくびれがある。四肢ししのプロポーションにかんしては、大腿だいたいこつ脛骨けいこつくらべて非常ひじょうながい。タワが頸椎を含気させていることは、気嚢きのう起源きげんしんししあしるい発生はっせいよりもまえであること、およびヘレラサウルスるいりゅうあしがたるい祖先そせんである可能かのうせい支持しじする。また恐竜きょうりゅうとりへの進化しんかともむすびつけられる。ヘレラサウルスやエオラプトルのような初期しょき恐竜きょうりゅう比較ひかくすると、タワは華奢きゃしゃなつくりである[3]

2009ねんのネスビットらによるとタワは、つぎ特徴とくちょうもとづいて同定どうていできる。ぜんみみこつは、頭蓋とうがいない腔のはらがわ正中せいちゅうせんわさり、ぜん鼓膜こまくおちい凹はもと頭骨とうこつ前面ぜんめんおおきく拡大かくだいし、ぜんみみこつふくちょうがたこつ後部こうぶ突起とっき後背こうはい基部きぶふかいくぼみがあり、基底きてい結節けっせつのちめん中央ちゅうおうはらがわびるするど隆起りゅうきがあり、大腿だいたいこつあたまのちめん不完全ふかんぜん靭帯じんたいみぞがあり、半円はんえんがただいよんてん存在そんざいし、脛骨けいこつきんはし内側うちがわ顆ののちえんにあるちいさな半円はんえんがたみぞがあり、距骨のはらがわ表面ひょうめんに「だん」が存在そんざいし、だい1ちゅうあしこつなかあしこつおなながさである[3]

発見はっけん

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現在げんざいタワと命名めいめいされている化石かせき最初さいしょ発見はっけんは2004ねんだった。ホロタイプはGR 241 とカタログされた成体せいたいで、ほぼ完全かんぜん頭骨とうこつ前肢ぜんし部分ぶぶんてき脊椎せきつい後肢あとあし肋骨あばらぼね、そしてせき構成こうせいされている。その標本ひょうほんのうはこひらいていることと neurocentral sutures(神経しんけいゆみしいたいあいだ縫合ほうごうせん)が癒合ゆごうしていないこともとづいて成体せいたい結論けつろんづけられた。その個体こたいすくなくとも7さいで、GR 242 という個体こたいおなじサイトから発見はっけんされている。 GR 242 もまたほぼ完全かんぜん骨格こっかくで、ホロタイプよりも30%おおきな成体せいたいであることが示唆しさされる。GR 242 は、大腿だいたいこつ脛骨けいこつしいる GR 155 や頸椎 GR 243 とともにほんしゅパラタイプとして記載きさいされている[3]

それらすべての標本ひょうほんは、初期しょき恐竜きょうりゅう多産たさんするニューメキシコしゅうのヘイデン・クオリー産出さんしゅつである。それらはさんじょうノーリアン(やく2おく1500マン〜2おく1300まんねんまえ)のシルトストーンのそう発見はっけんされた[5]。タワは2009ねんアメリカ自然しぜん博物館はくぶつかんのスターリング・ネスビット (Sterling Nesbitt)らにん研究けんきゅうしゃによってはら記載きさいされた[3][6]

ドロモメロンとタワの共存きょうぞんかんする研究けんきゅうもとづき、ベネット (S. Christopher Bennett)は、両者りょうしゃひとつのたね成長せいちょう段階だんかいであり、ドロモメロンは幼体ようたいであり成長せいちょうするとタワになると結論けつろんづけた[7]。しかしながら、年齢ねんれいによる変化へんかでは説明せつめいできない大腿だいたいこつ顕著けんちょ差異さいとドロモメロンの成体せいたい標本ひょうほん存在そんざいから、ロドリゴ・ミュラーは2017ねんにベネットのせつ否定ひていした。[5]

分類ぶんるい

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 恐竜きょうりゅうるい 

 とりばんるい 

 りゅうあしるい 

りゅうあしがたるい 

 ししあしるい 

ヘレラサウルスるい 

    

 エオラプトル 

    

タワ

 しんししあしるい 
    

 コエロフィシス 

 メガプノサウルス 

    

 リリエンステルヌス 

 ジュラ紀じゅらきししあしるい 

しきしゅタワ・ハラエ (Tawa hallae)は2009ねんにコエロフィシスよりも基盤きばんてきな、さんじょう初期しょきじゅうあしるいとして記載きさいされた。同年どうねん、モーティマーは、ネスビットらによるふる分析ぶんせきでは考察こうさつされたきんえん恐竜きょうりゅうグアイバサウルスパンファギアシノサウルスドラコヴェナトルロフォストロフェウスなど)のすべての特徴とくちょう考慮こうりょできていないため、分析ぶんせき十分じゅうぶんでないと指摘してきした[8]。しかしタワはヘレラサウルスやエオラプトルやスタウリコサウルスのような、当時とうじ初期しょきししあしるいかんがえられていたりゅうばんるいよりも派生はせいてきであることが示唆しさされた[9]

スーズ (Sues) らは2011ねんに、タワは初期しょきじゅうあしるいから派生はせいしたものとかんがえた[10]。タワと初期しょきじゅうあしるい分岐ぶんき分析ぶんせきは、タワが基盤きばんてきなコエロフィシスるい特徴とくちょうしんししあしるい祖先そせんがたのようにえる特徴とくちょうわせているため、初期しょき恐竜きょうりゅうのグループであるコエロフィシスうえ恣意しいてき分類ぶんるいぐんである可能かのうせいがあることをしめしている。タワは、前肢ぜんしに3ほんだけの機能きのうゆびをもつ肉食にくしょく恐竜きょうりゅうのグループであるしんししあしるい姉妹しまいぐんであるとかんがえられた[3]

2011ねん、マルティネスらは、タワはコエロフィシスうえさい基盤きばんであると結論けつろんした[11]。2014ねん、ルー(Lu)らは、タワが基盤きばんてきししあしるいであるとした[12][13]。タワのこの位置付いちづけは、2017ねんオルニトスケリダ論文ろんぶんデビッド・ノーマンやポール・バレット、マシュー・バロンにも支持しじされた[14]

参照さんしょう

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  1. ^ Maffly, Brian (December 10, 2009), “New Mexico find sheds light on early dinosaur dispersal”, Salt Lake Tribune, オリジナルのDecember 13, 2009時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20091213212213/http://www.sltrib.com/news/ci_13969087 
  2. ^ “New T. Rex Cousin Suggests Dinosaurs Arose in S. America”, National Geographic, (December 10, 2009), http://news.nationalgeographic.com/news/2009/12/photogalleries/091210-new-dinosaur-evolution-pictures-south-america/ 
  3. ^ a b c d e f Nesbitt, S. J.; Smith, N. D.; Irmis, R. B.; Turner, A. H.; Downs, A. & Norell, M. A. (2009), “A complete skeleton of a Late Triassic saurischian and the early evolution of dinosaurs”, Science 326 (5959): 1530–1533, doi:10.1126/science.1180350, PMID 20007898, http://cienciaescolar.net/proyectos/wp-content/uploads/2009/12/1530.pdf [リンク].
  4. ^ Paul, G.S. (2010). “Theropods”. The Princeton Field Guide to Dinosaurs. Princeton: Princeton University Press. p. 74. ISBN 9780691167664. http://press.princeton.edu/titles/10851.html 
  5. ^ a b Müller, R.T. (2017). “Are the dinosauromorph femora from the Upper Triassic of Hayden Quarry (New Mexico) three stages in a growth series of a single taxon?”. Anais da Academia Brasileira de Ciências 89 (2): 835–839. doi:10.1590/0001-3765201720160583. http://www.scielo.br/pdf/aabc/v89n2/0001-3765-aabc-201720160583.pdf. 
  6. ^ Airhart, Marc (December 10, 2009), “New Meat-Eating Dinosaur Alters Evolutionary Tree”, Jackson School of Geosciences, オリジナルのMarch 10, 2010時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20100310173552/http://www.jsg.utexas.edu/news/rels/121009.html 
  7. ^ Bennett, S.C. (2013). “A Rebuttal to Nesbitt's and Hone's "An external mandibular fenestra and other archosauriform characteristics in basal pterosaurs"”. International Symposium on Pterosaurs: 19–22. http://brianandres.myweb.usf.edu/The_Pterosauria/pTwitter/Entries/2013/5/23_Rio_Ptero_2013_-_International_Symposium_on_Pterosaurs_files/Bennett%20(2013B)_1.pdf. 
  8. ^ DML: http://dml.cmnh.org/2009Dec/msg00122.html
  9. ^ Harmon, Katherine (December 10, 2009), “Newly Discovered T. Rex Relative Fleshes Out Early Dino Evolution”, Scientific American, http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=t-rex-relative-tawa 
  10. ^ H.D. Sues, S. J. Nesbitt, D. S. Berman and A. C. Henrici. 2011. "A late-surviving basal theropod dinosaur from the latest Triassic of North America". Proceedings of the Royal Society B 278:3459-3464
  11. ^ Martinez, Sereno, Alcober, Columbi, Renne, Montanez and Currie, 2011. "A basal dinosaur from the dawn of the dinosaur era in Southwestern Pangaea". Science. 331, 206-210.
  12. ^ Ezcurra, M.D.; Brusatte, S.L. (2011). “Taxonomic and phylogenetic reassessment of the early neotheropod dinosaur Camposaurus arizonensis from the Late Triassic of North America”. Palaeontology 54 (4): 763–772. doi:10.1111/j.1475-4983.2011.01069.x. 
  13. ^ You, H.-L.; Azuma, Y.; Wang, T.; Wang, Y.-M.; Dong, Z.-M. (2014). “The first well-preserved coelophysoid theropod dinosaur from Asia”. Zootaxa 3873 (3): 233–249. doi:10.11646/zootaxa.3873.3.3. 
  14. ^ Baron, M.G.; Norman, D.B.; Barrett, P.M. (2017). “A new hypothesis of dinosaur relationships and early dinosaur evolution”. Nature 543: 501–506. doi:10.1038/nature21700.