アレクトロサウルス (学名 がくめい :Alectrosaurus )は、ティラノサウルス上 うえ 科 か に属 ぞく する獣 しし 脚 あし 類 るい の恐竜 きょうりゅう の属 ぞく 。1923年 ねん のモンゴル化石 かせき 発掘 はっくつ 遠征 えんせい において、現在 げんざい の内モンゴル自治 うちもんごるじち 区 く (中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく )でジョージ・オルセンが化石 かせき を発見 はっけん した。学名 がくめい は「未婚 みこん のトカゲ」を意味 いみ し、1個 いっこ 体 からだ あるいは2個体 こたい 分 ぶん の化石 かせき が異 こと なる場所 ばしょ から発見 はっけん されたことに由来 ゆらい する[1] 。
タイプ標本 ひょうほん は上部 じょうぶ 白亜 はくあ 系 けい のイレンダバス層 そう から産出 さんしゅつ している[2] 。推定 すいてい 全長 ぜんちょう は5メートルと見積 みつも られる[1] 。既知 きち の標本 ひょうほん が成体 せいたい である場合 ばあい 、森林地帯 しんりんちたい に生息 せいそく し、近 ちか い体 からだ サイズの動物 どうぶつ を捕食 ほしょく したと考 かんが えられている[2] 。
発見 はっけん と命名 めいめい [ 編集 へんしゅう ]
1923年 ねん 、A. olseni 標本 ひょうほん AMNH 6554 の右 みぎ 後肢 あとあし の発掘 はっくつ 。右側 みぎがわ はジョージ・オルセン
1923年 ねん 、古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ ウォルター・G・グランガー率 ひき いるアメリカ自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん の第 だい 三 さん 次 じ アジア遠征 えんせい において、モンゴルにおける恐竜 きょうりゅう 化石 かせき の発掘 はっくつ が行 おこな われていた。4月25日 にち 、ゴビ砂漠 ごびさばく にて、アシスタントの古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ であったジョージ・オルセンはほぼ完全 かんぜん な1本 ほん の右 みぎ 後肢 あとあし であるタイプ標本 ひょうほん AMNH 6554 を発掘 はっくつ ・回収 かいしゅう した。これは左 ひだり 足 あし と2本 ほん の前肢 ぜんし の末節 まっせつ 骨 こつ 、および実質 じっしつ 的 てき に完全 かんぜん な右 みぎ 後肢 あとあし を含 ふく んだ。5月4日 にち 、オルセンは最初 さいしょ に発見 はっけん した化石 かせき から約 やく 30メートル離 はな れた地点 ちてん で別 べつ の標本 ひょうほん を発見 はっけん した。当該 とうがい のもう一 ひと つのタイプ標本 ひょうほん AMNH 6368 には、1本 ほん の右 みぎ 上腕 じょうわん 骨 こつ ・2本 ほん の不完全 ふかんぜん な指 ゆび 骨 こつ ・4個 こ の断片 だんぺん 的 てき な尾 お 椎 しい のほか、劣悪 れつあく な状態 じょうたい のため処分 しょぶん された2, 3個 こ の不 ふ 特定 とくてい の要素 ようそ が含 ふく まれた。これらの発見 はっけん は現在 げんざい の中国 ちゅうごく ・内モンゴル自治 うちもんごるじち 区 く のイレンダバス層 そう でのことであった[3] 。
属 ぞく 名 めい と種 たね 名 めい はアメリカの古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ チャールズ・W・ギルモア が1933年 ねん に命名 めいめい した。属 ぞく 名 めい の Alectrosaurus は「孤独 こどく なトカゲ」あるいは「未婚 みこん のトカゲ」と訳 やく すことができ、ギリシア語 ご で「孤独 こどく な」「未婚 みこん の」を意味 いみ する ἄλεκτρος および「トカゲ」を意味 いみ する σ しぐま α あるふぁ ῦρος に由来 ゆらい する。種 たね 小名 しょうみょう の olseni は最初 さいしょ の標本 ひょうほん を発見 はっけん したジョージ・オルセンへの献 けんじ 名 めい である[3] 。
A. olseni のホロタイプの右足 みぎあし 。アメリカ自然 しぜん 史 し 博物館 はくぶつかん 所蔵 しょぞう
その後 ご 、さらなる化石 かせき がアレクトロサウルスと呼称 こしょう された。1977年 ねん には、モンゴルの古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ Altangerel Perle によりバインシレ層 そう の2個 こ の追加 ついか 標本 ひょうほん が報告 ほうこく されており、アレクトロサウルスの可能 かのう 性 せい がある。標本 ひょうほん IGM 100/50 は部分 ぶぶん 的 てき な上顎 じょうがく 骨 こつ ・肩 かた 甲 かぶと 骨 こつ ・烏口 からすぐち 骨 こつ ・前肢 ぜんし の末節 まっせつ 骨 こつ からなり、標本 ひょうほん IGM 100/51 は下 しも 顎 あご と他 た の要素 ようそ を伴 ともな う断片 だんぺん 的 てき 頭蓋骨 ずがいこつ ・不完全 ふかんぜん な腸 ちょう 骨 こつ ・右 みぎ 中 ちゅう 足 あし 骨 こつ からなる。これらの化石 かせき は外 そと モンゴル で発見 はっけん された[4] [5] 。イレンダバス層 そう とバインシレ層 そう は恐竜 きょうりゅう の動物 どうぶつ 相 しょう が非常 ひじょう に類似 るいじ しており、アレクトロサウルスがバインシレ層 そう で発見 はっけん されても不自然 ふしぜん ではない。さらに、内 うち モンゴルと外 そと モンゴルで発見 はっけん されている複数 ふくすう の部分 ぶぶん 的 てき 骨格 こっかく もアレクトロサウルスに属 ぞく する可能 かのう 性 せい がある[6] 。アレクサンダー・アヴェリアノフとハンス=ディエター・スースは、2012年 ねん にイレンダバス層 そう をサントニアン 階 かい と推定 すいてい し、上部 じょうぶ バインシレ層 そう と対比 たいひ した[7] 。Van Itterbeeck et al. 2005 は、イレンダバス層 そう がおそらくカンパニアン -マーストリヒチアン 階 かい であることを示唆 しさ し、ネメグト層 そう と対比 たいひ される可能 かのう 性 せい があるとした[8] 。
タイプ標本 ひょうほん の付近 ふきん では、1923年 ねん に標本 ひょうほん AMNH 6266 が同 どう 一層 いっそう 準 じゅん の異 こと なる地点 ちてん で発見 はっけん されている。当該 とうがい 標本 ひょうほん は前 ぜん 上顎 じょうがく 骨 こつ 歯 は および側 がわ 縁 えん 歯 ぱ ・不完全 ふかんぜん な左 ひだり 涙 なみだ 骨 こつ ・左 ひだり 頬骨 ほおぼね の上顎 じょうがく 突起 とっき ・部分 ぶぶん 的 てき な右 みぎ 方形 ほうけい 頬骨 ほおぼね ・右 みぎ 外 がい 翼状 よくじょう 骨 こつ の頬骨 ほおぼね 突起 とっき ・右 みぎ 翼状 よくじょう 骨 こつ に伸 の びる方形 ほうけい 枝 えだ からなる。当該 とうがい 標本 ひょうほん は小型 こがた 個体 こたい を代表 だいひょう するようである。当該 とうがい 標本 ひょうほん は後肢 あとあし 要素 ようそ を欠 か くためアレクトロサウルスとの直接 ちょくせつ 比較 ひかく が極 きわ めて複雑 ふくざつ であり、アレクトロサウルスとの関係 かんけい 性 せい は未解決 みかいけつ である[9] [10] 。なおAMNH 6266はAMNH 6556という異 こと なる標本 ひょうほん 番号 ばんごう で扱 あつか われたこともあったが、Carr (2022)は標本 ひょうほん の整理 せいり に際 さい してより正確 せいかく な標本 ひょうほん 番号 ばんごう としてAMNH 6266を選択 せんたく している[11] 。
なお、日本 にっぽん の幕張 まくはり メッセ で開催 かいさい された恐竜 きょうりゅう 博 はく 2006では標本 ひょうほん 長 ちょう 45センチメートルの右 みぎ 大腿 だいたい 骨 こつ [12] 、恐竜 きょうりゅう 博 はく 2009では標本 ひょうほん 長 ちょう 34.5センチメートルの下 しも 顎 あご がそれぞれアレクトロサウルスのものとして展示 てんじ された[13] 。ただし、展示 てんじ 時点 じてん でこれらをアレクトロサウルスと見 み なす統一 とういつ 的 てき 見解 けんかい があるわけではない[12] [13] 。
ホロタイプに基 もと づく生体 せいたい 復元 ふくげん 図 ず
レクトタイプ標本 ひょうほん AMNH 6554 は断片 だんぺん 的 てき であり、遠 とお 位 くらい 足 あし 根 ね 骨 こつ 要素 ようそ のみを欠 か くほぼ完全 かんぜん な右 みぎ 後肢 あとあし 、左 ひだり 第 だい II・III・IV中 ちゅう 足 あし 骨 こつ 、断片 だんぺん 的 てき な恥骨 ちこつ の遠 とお 位 くらい 端 はし からなる。ただし、恥骨 ちこつ が左右 さゆう どちらのものであるかは不明 ふめい である[3] [5] 。
アレクトロサウルスは中型 ちゅうがた のティラノサウルス上 うえ 科 か であり、全長 ぜんちょう は5 - 6メートルに達 たっ し、体重 たいじゅう は454 - 907キログラムに及 およ ぶ[14] [15] 。全体 ぜんたい として、両 りょう 後肢 あとあし は華奢 きゃしゃ であり、頑強 がんきょう なティラノサウルス科 か とは対照 たいしょう 的 てき である。脛骨 けいこつ 長 ちょう と大腿 だいたい 骨 こつ 長 ちょう は非常 ひじょう に近 ちか く、脛骨 けいこつ がより長 なが い他 ほか のティラノサウルス上 うえ 科 か の大 だい 多数 たすう とは対照 たいしょう 的 てき である。大腿 だいたい 骨 こつ 長 ちょう は72.7センチメートル、脛骨 けいこつ 長 ちょう は72.7センチメートルである。他 た のティラノサウルス上 うえ 科 か と比較 ひかく して中 ちゅう 足 あし 骨 こつ の大 おお きさも脛骨 けいこつ のそれに近 ちか く、長 なが い。最大 さいだい の中 なか 足 あし 骨 こつ は第 だい III中 ちゅう 足 あし 骨 こつ であり、長 なが さは48センチメートルに達 たっ する[3] [16] 。距骨 と踵 かかと 骨 こつ は保存 ほぞん が良 よ いものの、距骨は僅 わず かに損傷 そんしょう しているように見 み える。それらは強 つよ く接着 せっちゃく しているが、癒合 ゆごう はしていない[3] 。
解剖 かいぼう 学 がく 的 てき 特徴 とくちょう の識別 しきべつ [ 編集 へんしゅう ]
原 はら 記載 きさい に続 つづ き、アレクトロサウルスは以下 いか の特徴 とくちょう により識別 しきべつ される。長 なが く細長 ほそなが い四肢 しし を持 も つタイプのティラノサウルス上 うえ 科 か である。大腿 だいたい 骨 こつ が長 なが く細長 ほそなが い。第 だい I指 ゆび の末節 まっせつ 骨 こつ と指 ゆび 骨 こつ が頑強 がんきょう であり、外側 そとがわ に圧搾 あっさく され、強 つよ く湾曲 わんきょく する。大腿 だいたい 骨 こつ と脛骨 けいこつ の長 なが さがほぼ等 ひと しい。距骨長 ちょう は距骨と脛骨 けいこつ を合 あ わせた長 なが さの四 よん 分 ぶん の一 いち である[3] 。
Carr 2005 によると、アレクトロサウルスは後肢 あとあし に存在 そんざい する固有 こゆう の特徴 とくちょう に基 もと づいて識別 しきべつ が可能 かのう である。その特徴 とくちょう には、大腿 だいたい 骨 こつ の内側 うちがわ 顆の後背 こうはい 側面 そくめん から伸 の びるスパイク状 じょう の突起 とっき 、腓骨 ひこつ 上 じょう の脛骨 けいこつ との関節 かんせつ 面 めん の前側 まえがわ 縁 えん に沿 そ って存在 そんざい する切 き り立 た った張 は り出 だ し、梁 りょう 構造 こうぞう (buttless)の内側 うちがわ 面 めん の下部 かぶ を削 けず る距骨の腹 はら 外側 そとがわ 梁 はり 構造 こうぞう (buttless)に隣接 りんせつ する腱 けん の溝 みぞ 、第 だい II趾の第 だい 2趾骨の近 きん 位 い 面 めん の背 せ 側 がわ 縁 えん の突出 とっしゅつ 、縮小 しゅくしょう した第 だい III趾、内側 うちがわ 顆よりも顕著 けんちょ に深 ふか い第 だい III基 もと 節 ぶし 骨 こつ の外側 そとがわ 顆、頑丈 がんじょう な第 だい IV趾の第 だい 2趾骨、第 だい III中 ちゅう 足 あし 骨 こつ 上 じょう の第 だい IV中 ちゅう 足 あし 骨 こつ との関節 かんせつ 面 めん の前側 まえがわ に膨張 ぼうちょう した背 せ 側 がわ 半分 はんぶん 、その他 た が挙 あ げられる[17] 。
AMNH 6368 の
末節 まっせつ 骨 こつ を
伴 ともな う
指 ゆび 骨 こつ および
右 みぎ 上腕 じょうわん 骨 こつ 。
後 のち に
未 み 確認 かくにん の
テリジノサウルス類 るい (英語 えいご 版 ばん ) のものであり、アレクトロサウルスのものではないことが
確認 かくにん された。
1933年 ねん 、チャールズ・ギルモアは利用 りよう 可能 かのう な標本 ひょうほん を調査 ちょうさ し、AMNH 6554 と AMNH 6368 が同一 どういつ の属 ぞく に属 ぞく するシンタイプであると結論 けつろん した。彼 かれ の結論 けつろん は、両 りょう 標本 ひょうほん の前肢 ぜんし 末節 まっせつ 骨 こつ が形態 けいたい 学 がく 的 てき に類似 るいじ するという彼 かれ の観察 かんさつ に基 もと づいていた。標本 ひょうほん AMNH 5664 Gorgosaurus sternbergi の後肢 あとあし にも類似 るいじ 性 せい が観察 かんさつ されたことから、彼 かれ はこの新 しん 属 ぞく をデイノドン科 か 、すなわち現在 げんざい ティラノサウルス科 か と同義 どうぎ であると考 かんが えられている科 か として分類 ぶんるい した[3] 。断片 だんぺん 的 てき であるため、現在 げんざい のところ他 た のティラノサウルス上 うえ 科 か との関係 かんけい 性 せい の復元 ふくげん において信頼 しんらい 性 せい は乏 とぼ しく、数 すう 多 おお くの分岐 ぶんき 解析 かいせき においてアレクトロサウルスは全体 ぜんたい 的 てき に省略 しょうりゃく されている。ある研究 けんきゅう では、ティラノサウルス上 うえ 科 か のクラドグラム においてアレクトロサウルスは8か所 しょ を下 くだ らない等 ひと しく最 さい 節約 せつやく 的 てき な位置 いち に置 お かれた[18] 。Alectrosaurus olseni を曖昧 あいまい にアルバートサウルス の種 たね として考 かんが える古 こ 生物 せいぶつ 学者 がくしゃ もいる[19] 。
アレクトロサウルスは当初 とうしょ 長 なが い腕 うで を持 も つ獣 しし 脚 あし 類 るい として特徴 とくちょう づけられていた。Perle 1977 と Mader & Bradley 1989 は観察 かんさつ の結果 けっか 、標本 ひょうほん AMNH 6368 がティラノサウルス上 うえ 科 か と形質 けいしつ を共有 きょうゆう しないことからこの前肢 ぜんし を本属 ほんぞく に属 ぞく さないものとし、Therizinosauria (英語 えいご 版 ばん ) incertae sedis に割 わ り当 あ てた[4] [5] 。残 のこ った標本 ひょうほん AMNH 6554 は真 しん のティラノサウルス上 うえ 科 か の形質 けいしつ を伴 ともな う後肢 あとあし を代表 だいひょう しており、Alectrosaurus olseni のレクトタイプ標本 ひょうほん に割 わ り当 あ てられた[5] 。加 くわ えて、原 はら 記載 きさい に含 ふく まれなかった4個 こ の小型 こがた の尾 お 椎 しい が AMNH 6368 に関連付 かんれんづ けられた。未 み 記載 きさい であったにも拘 かか わらずそれらの尾 お 椎 しい は1984年 ねん に AMNH 21784 としてカタログ化 か されており、Mader と Bradley がこれらの尾 お 椎 しい を記載 きさい した。デイノニクス やプラテオサウルス の尾 お 椎 しい に類似 るいじ していることから、尾 お 椎 しい は系統 けいとう 学 がく 的 てき にティラノサウルス科 か とテリジノサウルス科 か のいずれにも属 ぞく さない小型 こがた 獣 じゅう 脚 あし 類 るい のものと暫定 ざんてい 的 てき に同定 どうてい された[5] 。
バインシレ層 そう の標本 ひょうほん は本属 ほんぞく に属 ぞく さない可能 かのう 性 せい もあり、さらなる研究 けんきゅう が必要 ひつよう である。ある分岐 ぶんき 学 がく 的 てき 分析 ぶんせき では2セットの標本 ひょうほん は他 た のどの分類 ぶんるい 群 ぐん も排斥 はいせき するグループを共 とも に示 しめ しているため、仮 かり に同種 どうしゅ でないとしても少 すく なくとも近 きん 縁 えん な関係 かんけい にあることが示唆 しさ される[20] 。
Carr and Williamson 2005 は標本 ひょうほん AMNH 6554 の後肢 あとあし 形態 けいたい について、中 ちゅう 足 あし 骨 こつ と趾骨の関節 かんせつ 面 めん の肥大 ひだい を他 た のティラノサウルス上 うえ 科 か と異 こと なる特徴 とくちょう として挙 あ げている。これらの特徴 とくちょう は平 ひら 胸 むね 類 るい に見 み られるものであり、アレクトロサウルスは発達 はったつ した後肢 あとあし を伴 ともな う脚 あし の速 はや いティラノサウルス上 うえ 科 か の恐竜 きょうりゅう 、推定 すいてい される追跡 ついせき 型 がた 捕食 ほしょく 者 しゃ としての適応 てきおう と一致 いっち する[9] 。この解釈 かいしゃく は、Persons and Currie 2016で行 おこな われた四肢 しし のプロポーション分析 ぶんせき で得 え られた結果 けっか と整合 せいごう する。無数 むすう の獣 しし 脚 あし 類 るい の四肢 しし を比較 ひかく することにより、彼 かれ らはタルボサウルス やティラノサウルス といった巨大 きょだい で頑強 がんきょう な脚 あし を持 も つものを除 のぞ いて、大半 たいはん のティラノサウルス上 うえ 科 か が高度 こうど な追跡 ついせき 型 がた かつ脚 あし の長 なが い動物 どうぶつ であったことを指摘 してき した。アレクトロサウルスは16.5と相対 そうたい 的 てき に高 たか いCLP(Cursorial-limb-proportion)値 ち が得 え られており、これは大半 たいはん のカルノサウルス類 るい よりも高 たか い[16] 。2001年 ねん には、アレクトロサウルスと呼称 こしょう される23本 ほん の足 あし の骨 ほね に対 たい してブルース・ロスチャイルドらにより疲労 ひろう 骨折 こっせつ の痕跡 こんせき が探 さが されたが、一切 いっさい 発見 はっけん されなかった[21] 。
2頭 とう のアーケオルニトミムス から巣 す を守 まも る2頭 とう のギガントラプトル 。背後 はいご にアレクトロサウルスが居 い る。
アレクトロサウルスは最初 さいしょ にイレンダバス層 そう から回収 かいしゅう された。イレンダバス層 そう はジルコン粒子 りゅうし に適用 てきよう されたウラン・鉛 なまり 年代 ねんだい 測定 そくてい 法 ほう からセノマニアン 階 かい とされており、絶対 ぜったい 年代 ねんだい は約 やく 95.8 ± 6.2 Maと見積 みつも られている[22] 。後期 こうき 白 はく 亜紀 あき の間 あいだ 、当該 とうがい の層 そう には河川 かせん 環境 かんきょう を伴 ともな う広大 こうだい な氾濫 はんらん 原 ばら が存在 そんざい した。氾濫 はんらん 原 げん 環境 かんきょう には広範 こうはん な植生 しょくせい が分布 ぶんぷ しており、古 こ 土壌 どじょう の卓越 たくえつ や無数 むすう の植物 しょくぶつ 食 しょく 性 せい 恐竜 きょうりゅう が河 かわ 道 どう ・氾濫 はんらん 原 げん 堆積 たいせき 物 ぶつ の両方 りょうほう から発見 はっけん されることが根拠 こんきょ とされる[8] 。当該 とうがい の層 そう の同 どう 時代 じだい の古 こ 動物 どうぶつ 相 しょう には、他 た の獣 しし 脚 あし 類 るい (アーケオルニトミムス 、カエグナタシア (英語 えいご 版 ばん ) 、エルリアンサウルス 、ギガントラプトル 、ネイモンゴサウルス )や竜 りゅう 脚 あし 類 るい のソニドサウルス 、2属 ぞく のハドロサウルス上 うえ 科 か (バクトロサウルス とギルモレオサウルス )が含 ふく まれる[23] [24] 。これに加 くわ え、Bayshi Tsav 産地 さんち ではバインシレ層 そう にさらなる発見 はっけん があった可能 かのう 性 せい がある[4] 。バインシレ層 そう はセノマニアン - サントニアン 階 かい に相当 そうとう する上部 じょうぶ 白亜 はくあ 系 けい と推定 すいてい されており、絶対 ぜったい 年代 ねんだい は約 やく 95.9 ± 6.0 Ma から 89.6 ± 4.0 Ma と見積 みつも られる。これはイレンダバス層 そう の年代 ねんだい に近 ちか い[25] [26] 。ここにおいて、アレクトロサウルスは多様 たよう な獣 しし 脚 あし 類 るい (アキロバトル 、ガルディミムス 、セグノサウルス )と共存 きょうぞん していた。曲 きょく 竜 りゅう 類 るい はタラルルス やツァガンテギア に代表 だいひょう され、他 た の植物 しょくぶつ 食 しょく 恐竜 きょうりゅう にはグラキリケラトプス やゴビハドロス およびエルケトゥ が含 ふく まれる[27] [28] [29] 。
2012年 ねん 、アレキサンダー・アヴェリアノフとハンス=ディエター・スースは上部 じょうぶ バインシレ層 そう とイレンダバス層 そう が対比 たいひ されると推定 すいてい し、同様 どうよう の環境 かんきょう を持 も つと見積 みつも った。この対比 たいひ はこれらの層 そう で報告 ほうこく された膨大 ぼうだい な数 かず の貝 かい 虫 ちゅう に支持 しじ されている[7] 。恐竜 きょうりゅう の分類 ぶんるい 群 ぐん の類似 るいじ 性 せい に基 もと づき、さらなる支持 しじ の根拠 こんきょ も提示 ていじ されている。前述 ぜんじゅつ したように、アレクトロサウルスとしての呼称 こしょう は確定 かくてい していないものの本属 ほんぞく はイレンダバス層 そう とバインシレ層 そう に生息 せいそく しており、暫定 ざんてい 標本 ひょうほん からはイレンダバス標本 ひょうほん との類似 るいじ 性 せい が示唆 しさ されている。2015年 ねん にバインシレ層 そう からは巨大 きょだい なカエグナトゥス科 か (英語 えいご 版 ばん ) の恐竜 きょうりゅう が報告 ほうこく されており、ギガントラプトルのものに酷似 こくじ する下 した 側 がわ の吻(嘴 くちばし )が保存 ほぞん されている[4] [30] 。
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