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リムサウルス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
リムサウルス
生息せいそく年代ねんだい: 中生代ちゅうせいだい後期こうきジュラ紀じゅらき,160 Ma
ホロタイプ(みぎはワニがたるいみぎじょうはリムサウルスの幼体ようたい
地質ちしつ時代じだい
後期こうきジュラ紀じゅらき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
階級かいきゅうなし : アヴェロストラ Averostra
階級かいきゅうなし : ケラトサウルスるい Ceratosauria
ぞく : リムサウルスぞく Limusaurus
学名がくめい
Limusaurus
Xu et al.2009
たね

リムサウルス(学名がくめい Limusaurusどろのトカゲ」の意味いみ)はのない草食そうしょくせいししあしるい恐竜きょうりゅうぞくの1つである。化石かせき中国ちゅうごく西部せいぶジュンガル盆地ぼんちにあるいしじゅみぞそう英語えいごばんジュラけい上部じょうぶオクスフォーディアン)の地層ちそうから発見はっけんされている[1] 。リムサウルスが発見はっけんされたことでこの時代じだいアジアと大陸たいりくとのあいだ接続せつぞくがあり、以前いぜんトゥルガイうみ英語えいごばんによってさまたげられていたとかんがえられて大陸たいりくあいだ動物どうぶつしょう移動いどう可能かのうであったことが示唆しさされた[2]

タイプしゅL. inextricabilis で、たね小名しょうみょうは「脱出だっしゅつ不可能ふかのうな」と意味いみである[2]

特徴とくちょう

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ヒトとのおおきさ比較ひかく

タイプしゅであり現在げんざいのところ唯一ゆいいつたねである L. inextricabilis は2009ねんじょほし、 J. M. Clark, J. Mo, J. Choiniere, キャサリン・フォースター英語えいごばん, G. M. Erickson, D. W. E. Hone, C. Sullivan, D. A. Eberth, S. Nesbitt, Q. Zhao, R. Hernandez, C.-K Jia, F.-L. Han, and Y. Guoにネイチャーにおいて記載きさいされた[2]現在げんざいのところ近接きんせつして発見はっけんされた2個体こたい成体せいたい標本ひょうほんられている。ホロタイプ(IVPP)はほぼ完全かんぜん関節かんせつした骨格こっかくであり、もう一方いっぽうのIVPP V 15924は完全かんぜんちか関節かんせつした骨格こっかくであるが頭部とうぶいている。IVPP V 15924はホロタイプよりも15%ほどおおきい。また、このたね可能かのうせいのあるだい3の標本ひょうほんとしてIVPP V16134がある。ほね癒合ゆごう具合ぐあいから判断はんだんしていずれの標本ひょうほん成体せいたいのものである。ほね成長せいちょうせんから推定すいていではIVPP V 15924の死亡しぼう年齢ねんれいは6さいである。

小型こがた華奢きゃしゃ恐竜きょうりゅうであり、全長ぜんちょうやく1.7 mであった。ひがしアジアで最初さいしょ発見はっけんされた明確めいかくケラトサウルスるいであり、また発見はっけんされているなかでは最古さいこのケラトサウルスるいでもある。リムサウルスの発見はっけんによりアジアの恐竜きょうりゅうしょうジュラ紀じゅらき中期ちゅうきから後期こうきにかけて以前いぜんかんがえられていたほどには固有こゆうしていなかったことがかり、この時代じだいにアジアと大陸たいりくとのあいだでの接続せつぞくがあったことが示唆しさされる。

分類ぶんるい

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リムサウルスの骨格こっかく

リムサウルスは基部きぶ英語えいごばんケラトサウルスるいであり、コエロフィシステタヌラるいおおくの特徴とくちょう共有きょうゆうしている。リムサウルスの特徴とくちょうからケラトサウルスるいとテタヌラるいりょうクレードあいだちか関係かんけいがあったこと結論けつろんけられた。 以下いかしめクラドグラムはDiego Pol and Oliver W. M. Rauhut, 2012の系統けいとう解析かいせきしたがいリムサウルスの系統けいとうじょう位置いちしめしたものである[3]

ケラトサウルスるい 

ベルベロサウルス英語えいごばん

デルタドロメウス

スピノストロフェウス

リムサウルス

エラフロサウルス

 ネオケラトサウルスるい 
 ケラトサウルス英語えいごばん 

ケラトサウルス

ゲニオデクテス英語えいごばん

 アベリサウルスうえ 

生態せいたい

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復元ふくげん

リムサウルスはいくつかの特徴とくちょうのケラトサウルスるいコエロフィシス共有きょうゆうしているものの、このグループのなかでは独特どくとく特徴とくちょうもいくつかっている。たとえばがなく完全かんぜんなくちばし(rhamphotheca)になっていた。この構造こうぞうはそれまではく亜紀あきコエルロサウルスるいでしか報告ほうこくされていなかったものである。ながくびみじか前肢ぜんし細長ほそなが後肢あとあし走行そうこう能力のうりょくたかかったことが示唆しさされる。標本ひょうほん腹部ふくぶにはせきがあり、がなかったことから草食そうしょくせいであったことが示唆しさされる。そのため現在げんざいのところ最古さいこもっと基部きぶ位置いちする植物しょくぶつしょく適応てきおうしたししあしるいであるとかんがえられている。リムサウルスは全体ぜんたいてき側面そくめんはく亜紀あきオルニトミムスししあしるいや三畳紀非恐竜主竜類であるエッフィギアており、これはしゅりゅうるいの3つのべつのグループあいだこった平行へいこう進化しんか注目ちゅうもくすべきケースである[2]

リムサウルスの前肢ぜんし

リムサウルスは(だい1ゆびいちじるしく縮小しゅくしょうしているものの)に4ほんゆびだい1-だい4)を保持ほじしているというてんでケラトサウルスるいのかなり基部きぶ特徴とくちょうっている。発生はっせいがくてき研究けんきゅうから鳥類ちょうるいつばさのこゆびなかの3ほん(だい2、だい3、だい4)であるされていることと矛盾むじゅんするものの、伝統でんとうてきには恐竜きょうりゅうからとりつばさへの進化しんか英語えいごばん外側そとがわの2ほんだい4、だい5)の消失しょうしつによってこったとかんがえられてきた。リムサウルスの構造こうぞうだい1ゆび縮小しゅくしょうし、だい2-だい4ゆびおおきく、鳥類ちょうるいふくむテタヌラるいのものと同一どういつである。リムサウルスが発見はっけんされる以前いぜんは、ししあしるいマヌス英語えいごばんしゃくこつがわゆび減少げんしょうする進化しんか漸次ぜんじしょうじたと推定すいていされていた。この概念がいねんは Lateral Digit Reduction (LDR)としてられ、恐竜きょうりゅうふくほかすべての四足しそく動物どうぶつ一般いっぱんてきられる両側りょうがわからゆび減少げんしょうする現象げんしょうであるBilateral Digit Reduction (BDR)と対象たいしょうをなす。しかし、リムサウルスではだい1ゆびいちじるしく縮小しゅくしょうしており、のケラトサウルスるいとあいまって、姉妹しまいぐんであるテタヌラるいでもBDRがこっていたことが示唆しさされる。以前いぜんはテタヌラるいには基部きぶじゅうあしるいあいどうだい1-だい3ゆび保持ほじされているとかんがえられており、LDR仮説かせつしんじられていた。しかし、リムサウルスでのBDRの証拠しょうこ鳥類ちょうるいじゅうあしるいにもBDRがしょうじ、テタヌラるいだい1-だい3ゆび実際じっさいにはだい2-だい4ゆびである可能かのうせいがある。このせつ以前いぜんにThulbornとHamleyにより提案ていあんされていたものの生物せいぶつ学界がっかいでは広範こうはん無視むしされていた[2][4]

リムサウルスによって興味深きょうみぶか可能かのうせいがもたらされたにもかかわらず、生物せいぶつ学者がくしゃがテタヌラるいゆびだい1、だい2、だい3ゆび呼称こしょうするのをやめてだい2、だい3、だい4ゆび呼称こしょうするようにはなりそうもない。形態けいたいじょう形質けいしつとしてはこれらのゆびししあしるいだい1、だい2、だい3ゆびおなじであるためである。またBDRがケラトサウルスるいではしょうじたものの、テタヌラるいではしょうじなかった可能かのうせいのこされている。鳥類ちょうるいつばさについての発生はっせいがくではゆび同一どういつせいについて近年きんねん遺伝子いでんし発現はつげん実験じっけんデータから示唆しさされるホメオティックフレームシフトにより説明せつめいされている[5]

関連かんれん

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参照さんしょう

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  1. ^ New dinosaur gives bird wing clue. BBC News, June 17, 2009.
  2. ^ a b c d e Xu, X., Clark, J.M., Mo, J., Choiniere, J., Forster, C.A., Erickson, G.M., Hone, D.W.E., Sullivan, C., Eberth, D.A., Nesbitt, S., Zhao, Q., Hernandez, R., Jia, C.-K., Han, F.-L., and Guo, Y. (2009). "A Jurassic ceratosaur from China helps clarify avian digital homologies." Nature, 459(18): 940–944. doi:10.1038/nature08124
  3. ^ Diego Pol & Oliver W. M. Rauhut (2012). “A Middle Jurassic abelisaurid from Patagonia and the early diversification of theropod dinosaurs”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 279 (1804): 3170–5. doi:10.1098/rspb.2012.0660. PMC 3385738. PMID 22628475. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3385738/. 
  4. ^ Thulborn, R.A. and Hamley, T.L. (1982). "The reptilian relationships of Archaeopteryx." Aust. J. Zool., 30: 611–634.
  5. ^ Vargas AO, Wagner GP, and Gauthier JA. Limusaurus and bird digit identity. Available from Nature Precedings [1] (2009)