コンプソグナトゥス

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コンプソグナトゥス
生息せいそく年代ねんだい: 中生代ちゅうせいだいジュラ紀じゅらき後期こうき, 150.8 Ma
コンプソグナトゥス
地質ちしつ時代じだい
中生代ちゅうせいだいジュラ紀じゅらき後期こうき
やく1おく5,080まんねんまえ
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
下目しため : テタヌラ下目しため Tetanurae
階級かいきゅうなし : コエルロサウルスるい Coelurosauria
うえ : ティラノサウルスうえ Tyrannosauroidea[1]
: コンプソグナトゥス Compsognathidae”(うたがわしい分類ぶんるいぐん[2])?
ぞく : コンプソグナトゥスぞく Compsognathus
学名がくめい
Compsognathus
Wagner1859
たね

コンプソグナトゥス (Compsognathus) は、中生代ちゅうせいだいジュラ紀じゅらき後期こうきヨーロッパ生息せいそくした小型こがた肉食にくしょく恐竜きょうりゅうである[3]りゅうばん - ししあしぞくする。ぞくめいは Comps(かわいい、上品じょうひんな)+ gnathus(あご)の意味いみである。化石かせきドイツフランス発見はっけんされた。

形態けいたいてき特徴とくちょう生態せいたい[編集へんしゅう]

現在げんざいまでつかっている骨格こっかくは、小型こがたようじゅうとおぼしき個体こたいと、やや大型おおがた成獣せいじゅうとされる個体こたいの2つの標本ひょうほん存在そんざいする[4]体長たいちょう70 - 140センチメートル。フランスの個体こたいは125センチメートルあったとされる。ミクロラプトルなどが発見はっけんされるまではながあいだ世界せかい最小さいしょう恐竜きょうりゅうであった。発見はっけん当初とうしょから始祖しそとりとの形態けいたい類似るいじ指摘してきされていた。現在げんざいではシノサウロプテリクスもっときんえんであり、また羽毛うもうおおわれていたとかんがえられる。

長年ながねんにわたり小型こがた肉食にくしょく恐竜きょうりゅうのなかで保存ほぞん状態じょうたいのよい化石かせきられた唯一ゆいいつたねであった。そして始祖しそとり比較ひかくされ、恐竜きょうりゅう鳥類ちょうるいむす重要じゅうよう祖先そせんとされてきた。今日きょうではミクロラプトルなど、より鳥類ちょうるいちか恐竜きょうりゅう発見はっけんされている。前肢ぜんしゆびが2ほん特徴とくちょうてきである。この特徴とくちょうもとづいておなじくゆびが2ほんティラノサウルス関連かんれんかんがえられたこともあったが今日きょうでは収斂しゅうれんであることがわかっている。また、本当ほんとうは2ほんではなく化石かせき保存ほぞん状態じょうたい不十分ふじゅうぶんなせいであるという指摘してきもある。かつてフランスの個体こたい前肢ぜんし状態じょうたいくわからず、また化石かせき発見はっけんじょうきょうから海辺うみべ生息せいそくしていたと推測すいそくされるために、前肢ぜんしひれであったとかんがえられたこともあった。骨格こっかくきわめて軽量けいりょうつくりであり、また大腿だいたいこつより脛骨けいこつがかなりながく、走行そうこうてきした形態けいたいであった[4]。これにより秒速びょうそく17.8メートルのスピードではしれた可能かのうせいがある[5]

成体せいたいとされる大型おおがた骨格こっかく腹部ふくぶ付近ふきんからトカゲSchoenesmahl[6]骨格こっかく発見はっけんされており、こうした小型こがた爬虫類はちゅうるいなどを捕食ほしょくしていたとかんがえられている[7]。かつて始祖しそとりおそ姿すがたえがかれることがしばしばあったが今日きょうでは始祖しそとり飛行ひこう能力のうりょく見直みなおしなどから不可能ふかのうとされる。

系統けいとう[編集へんしゅう]

上位じょうい分類ぶんるい[編集へんしゅう]

きんえんぐんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

ししあしるいなかではティラノサウルスヴェロキラプトルおなじコエルロサウルスるい分類ぶんるいされるがそのなかではもっと原始げんしてきとされる。シノサウロプテリクスなどとともにコンプソグナトゥスをなす。たねとしてはC.ロンギペス C.longipesのみがられる。かつてフランスの個体こたいおおきさや前肢ぜんし構造こうぞうから別種べっしゅ"C.コラレストリス C.corallestris"とされたがそのドイツのものと同種どうしゅとされている。

テタヌラるい Tetanurae

Sereno 1999などをもと作成さくせい

『ジュラシック・パーク』におけるコンプソグナトゥス[編集へんしゅう]

マイケル・クライトン小説しょうせつジュラシック・パーク』および『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』においては「コンピー」とばれ、アパトサウルスなど草食そうしょく恐竜きょうりゅうしたくそべる、いわゆる掃除屋そうじやとしてえがかれた。小説しょうせつばんではこの恐竜きょうりゅうプロコンプソグナトゥスであったが、そのじつはプロコンプソグナトゥスがキメラであって実在じつざいしない恐竜きょうりゅうであることがかった。そこで映画えいがばん2さく(1さくには登場とうじょうしない)の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』ではているとされるコンプソグナトゥスになったが、設定せっていとして現実げんじつには存在そんざいしないコンプソグナトゥス・トリアシクス Compsognathus triassicusというさんじょうたねということになっていた。もともとがプロコンプソグナトゥスであるための相違そういてん配慮はいりょしての設定せっていである。げきちゅうではピラニアのように集団しゅうだん自分じぶんよりも巨大きょだい獲物えもの映画えいが場合ばあい人間にんげん)におそいかかる獰猛どうもう肉食にくしょく恐竜きょうりゅうとしてえがかれていた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Kotevski, Jake; Duncan, Ruairidh J.; Pentland, Adele H.; Rule, James P.; Vickers-Rich, Patricia; Rich, Thomas H.; Fitzgerald, Erich M. G.; Evans, Alistair R. et al. (2023-11-02). “A megaraptorid (Dinosauria: Theropoda) frontal from the upper Strzelecki Group (Lower Cretaceous) of Victoria, Australia”. Cretaceous Research: 105769. doi:10.1016/j.cretres.2023.105769. ISSN 0195-6671. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667123002975. 
  2. ^ Cau, Andrea (07 settembre 2021). “Theropoda: Carcharodontosauri d'Italia”. Theropoda. 2023ねん8がつ29にち閲覧えつらん
  3. ^ デジタル大辞泉だいじせんプラスの解説かいせつ”. コトバンク. 2018ねん3がつ11にち閲覧えつらん
  4. ^ a b リチャードソン 2005, p. 68.
  5. ^ Estimating dinosaur maximum running speeds using evolutionary robotics (William Irvin Sellers:2007)
  6. ^ Conrad, Jack L (2017-12-18). “A new lizard (Squamata) was the last meal of Compsognathus (Theropoda: Dinosauria) and is a holotype in a holotype”. Zoological Journal of the Linnean Society 183 (3): 584–634. doi:10.1093/zoolinnean/zlx055. ISSN 0024-4082. https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlx055. 
  7. ^ 世界せかい哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん 2005, p. 69.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • ジュリエット・クラットン=ブロック、ダン・E.ウィルソン『世界せかい哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん渡辺わたなべ健太郎けんたろうわけ)、新樹あらきしゃ〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005ねんISBN 4-7875-8533-9 
  • ヘーゼル・リチャードソン、ディビッド・ノーマン(監修かんしゅう)『恐竜きょうりゅう博物はくぶつ図鑑ずかん出田いでたきょうせいわけ)、新樹あらきしゃ〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005ねんISBN 4-7875-8534-7 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]