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シノカリオプテリクス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
シノカリオプテリクス
生息せいそく年代ねんだい: 124.6 Ma
シノカリオプテリクス
ホロタイプ標本ひょうほん
地質ちしつ時代じだい
はく亜紀あき前期ぜんき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
階級かいきゅうなし : コエルロサウルスるい Coelurosauria
: コンプソグナトゥス Compsognathidae
ぞく : シノカリオプテリクスぞく Sinocalliopteryx
学名がくめい
Sinocalliopteryx
Ji et al.2007
たね

シノカリオプテリクスSinocalliopteryx "中国ちゅうごくうつくしい羽毛うもう"の意味いみ)は中国ちゅうごくけんるいそう尖山せんざんみぞそう、1おく2460まんねんまえ)の地層ちそうから発見はっけんされたコンプソグナトゥス肉食にくしょくししあしるい恐竜きょうりゅうぞくである。

きんえんファシャグナトゥスているが、シノカリオプテリクスのほうおおきい。タイプ標本ひょうほんでは体長たいちょう2.37 mで、2007ねん時点じてんでは既知きち最大さいだいのコンプソグナトゥスたねであった。2012ねんにはさらにおおきな標本ひょうほん報告ほうこくされている。

記載きさい[編集へんしゅう]

シノカリオプテリクスはそく歩行ほこう捕食ほしょくしゃである。ホロタイプ標本ひょうほん保存ほぞんされていたながさは237 cmであった。グレゴリー・ポールの2010ねん推定すいていによれば体重たいじゅうは20 kg[1] 。 シノカリオプテリクスはうでたいして相対そうたいてきながにより、ファシャグナトゥスなどのほかのコンプソグナトゥスたね識別しきべつされる。うで後肢あとあしすべてのコンプソグナトゥスたねよりながく、おそらくからだおおきさと関連かんれんする特徴とくちょうであろう[2]

復元ふくげん

シノカリオプテリクスは吻部のとがった細長ほそなが頭骨とうこつち、うえからるととつがた輪郭りんかくをしていた。ちいさいがまええん非常ひじょうしょうじょう突起とっきのある4ほんぜん上顎じょうがくこつっていた。ホロタイプ標本ひょうほんではよりおおきなが6ほんだけ上顎じょうがくこつ保存ほぞんされていたが、位置いち番号ばんごう十分じゅうぶん決定けっていされていない。標本ひょうほんCAGS-IG-T1では損傷そんしょうによる2ほんぶん以上いじょうきともに10ほんぶん歯槽しそう上顎じょうがくこつ保存ほぞんされていた。頬骨ほおぼね頑丈がんじょうで、上方かみがた突出とっしゅつした前方ぜんぽう分岐ぶんきち、眼窩がんかぜん下端かたん部分ぶぶん構成こうせいしていた。そとあごまどがなかった[2][3]

脊椎せきついは11個いっこ頸椎、12どうしい、5せんしい、およびすくなくとも49しい構成こうせいされていたとみられる。先端せんたんうしなわれている。神経しんけいとげ血道ちみちゆみこつのち傾斜けいしゃしている。はら肋骨あばらぼね非常ひじょうみじかよこ方向ほうこうふしっていた[2]

うでにおいては、上腕じょうわんこつみじかく、しもうでみじか華奢きゃしゃで、しゃくこつには上端じょうたん後部こうぶひじあたま突起とっきがあまり発達はったつしていなかった。非常ひじょう細長ほそながく、しゃくこつ上腕じょうわんわせたほどのながさがあった。だい2中手なかてこつだい1中手なかてこつがわ上部じょうぶ拡張かくちょうしていて、中手なかてこつ全体ぜんたいがコンパクトになっていた。だい2ゆび細長ほそながく、だい一指いっし親指おやゆび)とおなながさであった。だい3中手なかてこつ比較的ひかくてきみじかく、ほそだい3ゆびがついていた[2]

骨盤こつばんではちょうこつまええんちいさなきりこんがあった。坐骨ざこつ骨幹こっかん比較的ひかくてきながく、下方かほうがっていた。ずねながく、大腿だいたいこつの90%ほどのながさがあったので、後肢あとあし細長ほそながく、おおきかった。あしながく、とくちゅうあしこつながかった[2]

けんるいそうのほかのししあしるいおなじように、シノカリオプテリクスには「はら羽毛うもう」とよばれる単純たんじゅん糸状いとじょう外皮がいひ構造こうぞう皮膚ひふ変化へんかしたもの)が保存ほぞんされていて、シノサウロプテリクスられるものととてもよくていた。シノカリオプテリクスの外皮がいひからだ各部かくぶながさがことなり、臀部でんぶから太腿ふともも後部こうぶ基部きぶおおげん羽毛うもうもっとながい。最長さいちょうげん羽毛うもうながさは10 cmほどである。興味深きょうみぶかいことに、はら羽毛うもうちゅうあしこつあし上部じょうぶ)からもつかる。このげん羽毛うもうミクロラプトルペドペンナといった「4つのつばさ」の恐竜きょうりゅう羽毛うもうほどはながくも進歩しんぽてきでもないが、あし羽毛うもうやこれにた構造こうぞうのものがはじめて出現しゅつげんしたのがいままでられてよりはるかに系統的けいとうてきには原始げんしてき恐竜きょうりゅうからであったことをつよ示唆しさする[2]

発見はっけん命名めいめい[編集へんしゅう]

標本ひょうほんCAGS-IG-T1

タイプしゅであるSinocalliopteryx gigasは2007ねんに、ひめしょやすきょうりょくんあきら、および袁崇により命名めいめい記載きさいされた。ぞくめいラテン語らてんごで「中国ちゅうごく」を意味いみするSinae、ギリシャで「うつくしい」を意味いみするκαλός, kalosはね意味いみするπτέρυξ, pteryxから派生はせいしている。シノカリオプテリクスはコンプソグトゥスとしては巨大きょだいであるので、たね小名しょうみょうは「巨大きょだいな」を意味いみするgigasとした。 [2]

ホロタイプ標本ひょうほんである JMP-V-05-8-01遼寧りょうねいしょうよんごうたむろむらつね道子みちこけんるいそう尖山せんざんみぞそうバーレミアン-アプチアンやく1おく2500まんねんまえ地層ちそうから発見はっけんされた。この標本ひょうほん頭骨とうこつふくむほぼ完全かんぜんちか骨格こっかく構成こうせいされ、平板へいばんじょうにつぶされていて、成体せいたい個体こたいのものである。はら羽毛うもう痕跡こんせき広範こうはんにわたって保存ほぞんされている[2]

2012ねんだい2の標本ひょうほんであるCAGS-IG-T1が記載きさいされた。この標本ひょうほんはホロタイプのものよりおおきな個体こたいのものである。頭骨とうこつは10%ほどおおきく、10 cmほどのせいアロメトリー説明せつめいされる。この標本ひょうほん頭骨とうこつ前肢ぜんし後肢あとあし胸郭きょうかく部分ぶぶんてき骨格こっかく構成こうせいされる。には糸状いとじょうのものもられる[3]

系統けいとう[編集へんしゅう]

シノカリオプテリクスはげん記載きさいではコンプソグトゥスであるとされている[2]

ここにしめすクラドグラムはdal Dasso&Maganuco(2011)にしたがいコンプソグナトゥスでのシノカリオプテリクスの位置いちしめしたものである[4]

Tyrannoraptora

ティラノサウルスうえTyrannosauroide

コンプソグナトゥス

スキピオニクスScipionyx

オルコラプトルOrkoraptor

シノカリオプテリクスSinocalliopteryx

コンプソグナトゥスCompsognathus

ファシャグナトゥスHuaxiagnathus

シノサウロプテリクスSinosauropteryx

ジュラベナトルJuravenator

マニラプトルがたるいManiraptoriformes

きんえんしゅ比較ひかくしてシノカリオプテリクスのサイズがおおきいことは特筆とくひつすべきことで、恐竜きょうりゅう系統けいとう大型おおがた傾向けいこうられるように、コンプソグナトゥス大型おおがたじゅうあしるいくらべサイズのちいさな恐竜きょうりゅうとしてられているが)でも大型おおがた傾向けいこうがあったことをしめしているのかもしれない。[2]

じゅん生物せいぶつがく[編集へんしゅう]

シノルニトサウルスべるシノカリオプテリクス

保存ほぞん状態じょうたいいホロタイプ標本ひょうほんには腹部ふくぶ空洞くうどうにドロマエオサウルスあし一部いちぶふくまれており、ずね足首あしくびかかとかぎつめ自然しぜん位置いち関節かんせつ状態じょうたいのまま保存ほぞんされていた[3]。このあしは30 cmほどあり、シノカリオプテリクスの腹腔ふくこうたいしては非常ひじょうおおきいものの、あきらかに肋骨あばらぼねあいだ位置いちしていた。2007ねんらはこれはよりちいさなとり恐竜きょうりゅうっていたこと示唆しさするものだとした。この発見はっけんとくのコンプソグナトゥスたね腹腔ふくこうないから(すばしこいとみられる)トカゲや小型こがた哺乳類ほにゅうるいつかるのとおなじように、シノカリオプテリクスが俊敏しゅんびんで、活動かつどうてき獰猛どうもうなハンターであったことをしめ[2]。2012ねん、このドロマエオサウルスたねかり体長たいちょう1.2 mほどのシノルニトサウルスであると同定どうていされた。2012ねん研究けんきゅうではあらたに動物どうぶつっていた痕跡こんせき発見はっけん報告ほうこくされた。ドロマエオサウルスるいあしうえには羽毛うもうれる。またしたがわには2つの消化しょうかぶつかたまりられる。これははねとりのもので、なかあしとともにまだ存在そんざいしていたことをしめす。スキピオスクスの消化しょうかかん保存ほぞんされていたものを参考さんこうかんがえると、消化しょうかされた食物しょくもつ十二指腸じゅうにしちょう位置いちしていたもののようだ[3]

孔子こうしとりべるシノカリオプテリクス

ドロマエオサウルスるいあしくわえて、不規則ふきそく形状けいじょう直径ちょっけい15-20 mmほどのいし腹部ふくぶから発見はっけんされた、このいし同様どうよう形状けいじょういし骨格こっかくないや、周囲しゅうい岩盤がんばんほかのどこからもつかっていない。らはこれらをンクウェバサウルスen)やバリオニクスつかった同様どうようのものとおなせきだと解釈かいしゃくした。カウディプテリクスやモンゴルのオルニトミムスるいのようなほかししあしるいでも同様どうようせきつかるが、これらの場合ばあいにはいしがはるかにおおく、ちいさい。らはおそらく後者こうしゃ草食そうしょく恐竜きょうりゅうであったため、せきおおきさとかずしょくせい対応たいおうしているのではないとしている;肉食にくしょく動物どうぶつは、消化しょうかたすけるために少数しょうすうおおきないし摂取せっしゅするが、草食そうしょく動物どうぶつは、おおくのちいさないし摂取せっしゅする必要ひつようがあるのだろう[2]。しかし、2012ねん研究けんきゅうでは、だい標本ひょうほんにはまったせきつからず、タイプ標本ひょうほんいし偶然ぐうぜんまれたものだと結論けつろんづけられた。いずれの場合ばあいしろ、とく砂嚢さのうにあたるものはなかったようだ[3]

だい2の標本ひょうほんCAGS-IG-T1にはいくつかのえさ痕跡こんせき保存ほぞんされていた。坐骨ざこつ下部かぶ前方ぜんぽう関節かんせつ状態じょうたいほねつかり、この地層ちそうではとてもよくつかる、原始げんしてき鳥類ちょうるいである孔子こうしとりの2個体こたいのものであると同定どうていされている。また、13.5 cmのかたかぶとこつ発見はっけんされており、体長たいちょう1.5 mほどの草食そうしょくとりばんるい、おそらくユエオサウルスen)もしくはプシッタコサウルスのものであろう。このかたかぶとこつ表面ひょうめんは13にちほど胃酸いさんかされたようで、孔子こうしとりつづけにまれたものだと結論けつろんされた。これは定期ていきてき食事しょくじをとる必要ひつようがあるほど、シノカリオプテリクスは代謝たいしゃりつたかかったようだ [3]

だい2の標本ひょうほん短期間たんきかんに2とり捕獲ほかくしていたことと、ホロタイプでなかとり羽毛うもうがあったことから、シノカリオプテリクスはこういったとりりにとくしていたことがうかがえる。このしょくせいパターンはらがかんがえたようにシノカリオプテリクスはべたとではないかということとも合致がっちする。2011ねんにはミクロラプトルの標本ひょうほんなかからとり化石かせき報告ほうこくされ、ミクロラプトルがじょうなまであったことの証拠しょうことみなされている。しかし、2012ねん研究けんきゅうではシノカリオプテリクスはまったくの走行そうこうせい、もしくは地上ちじょうせいであり、んでいる獲物えものることが出来できたこととの関連かんれんせい否定ひていされている。たとえば、現在げんざいおおくの走行そうこうせい捕食ほしょくしゃ家禽かきんるいおそうときのように、しのあしちかづいて捕食ほしょくした可能かのうせいもある[3]

参照さんしょう[編集へんしゅう]

  1. ^ Paul, G.S., 2010, The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press p. 121
  2. ^ a b c d e f g h i j k l Ji, S., Ji, Q., Lu J., and Yuan, C. (2007). "A new giant compsognathid dinosaur with long filamentous integuments from Lower Cretaceous of Northeastern China." Acta Geologica Sinica, 81(1): 8-15
  3. ^ a b c d e f g Xing, L.; Bell, P. R.; Persons, W. S.; Ji, S.; Miyashita, T.; Burns, M. E.; Ji, Q.; Currie, P. J. (2012). Farke, Andrew A. ed. “Abdominal Contents from Two Large Early Cretaceous Compsognathids (Dinosauria: Theropoda) Demonstrate Feeding on Confuciusornithids and Dromaeosaurids”. PLoS ONE 7 (8): e44012. doi:10.1371/journal.pone.0044012. 
  4. ^ Cristiano dal Sasso & Simone Maganuco, 2011, Scipionyx samniticus (Theropoda: Compsognathidae) from the Lower Cretaceous of Italy — Osteology, ontogenetic assessment, phylogeny, soft tissue anatomy, taphonomy and palaeobiology. Memorie della Società Italiana de Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano XXXVII(I): 1-281