プロコンプソグナトゥス

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プロコンプソグナトゥス
生息せいそく年代ねんだい: 中生代ちゅうせいだい後期こうきさんじょう, 210 Ma
タイプ標本ひょうほん(SMNS 12591)
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
下綱しもつな : しゅりゅうがた下綱しもつな Archosauromorpha
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Saurischia
階級かいきゅうなし : りゅうばんるい Eusaurischia
: ししあし Theropoda
うえ : コエロフィシスうえ Coelophysoidea
: コエロフィシス Coelophysidae
: プロコンプソグナトゥス Procompsognathinae
Nopcsa, 1923
ぞく : プロコンプソグナトゥスぞく Procompsognathus
学名がくめい
Procompsognathus
Fraas, 1913
たね

プロコンプソグナトゥス (Procompsognathus) は小型こがたししあしるいいちぞく後期こうきさんじょうノーリアン生息せいそくしていた。この恐竜きょうりゅうしゅりゅうるい分類ぶんるいされることもあるが、この項目こうもくでは恐竜きょうりゅうとしてあつかう。

発見はっけん[編集へんしゅう]

1909ねんはるバーデン=ヴュルテンベルクしゅう北部ほくぶStromberg位置いちする採石さいせきじょう Weiße Steinbruch において、保存ほぞん状態じょうたいわる部分ぶぶんてき骨格こっかくつかった。採石さいせきじょう所有しょゆうしゃ Albert Burrer は、これをEberhard Fraas教授きょうじゅおくった。1911ねん10がつ9にち、Fraas は講義こうぎなかで、これを Hallopus celerrimusで、鳥類ちょうるい起源きげんつながる化石かせきとして紹介しょうかいしたが[1]正式せいしき命名めいめいはこれよりのちの1913ねんで、この標本ひょうほんProcompsognathus triassicus命名めいめいされた[2][3]ぞくめいは「コンプソグナトゥス祖先そせん」を意味いみする。だが、その研究けんきゅうでは本属ほんぞくとコンプソグナトゥスはとくきんえんではないとかんがえられている。たね小名しょうみょうは「さんじょうの」を意味いみする。

コイパー英語えいごばんのStuben砂岩さがんノリアンかい中期ちゅうき)から産出さんしゅつする。ホロタイプSMNS 12591は3つの砂岩さがんから構成こうせいされている。1つは、7cm程度ていど粉砕ふんさいされた頭骨とうこつしたあごふくむ。2つもくと3つは、29椎骨ついこつ肋骨あばらぼねかたたいふくむ1ほん前肢ぜんし1個いっこちょうこつ・1つい恥骨ちこつ後肢あとあしからなるのちからだ化石かせきである。これらは成体せいたいのものである。

1921ねんFriedrich von Hueneは、もと産地さんちより産出さんしゅつした2つの標本ひょうほん(ホロタイプよりおおきい頭骨とうこつしたあご一部いちぶ(SMNS 12352)、分離ぶんりした左手ひだりて(SMNS 12352a))をほんしゅのものであるとした[4]

形態けいたい[編集へんしゅう]

Fraasは全長ぜんちょうを75 cm程度ていど予測よそくしたが、現在げんざいでは1 mほどとされている[5]。2010ねんグレゴリー・S・ポール体重たいじゅうを1kg程度ていど推定すいていした[6]そく歩行ほこうで、なが後肢あとあしみじか前肢ぜんしち、にはかぎつめがあった。吻は細長ほそながく、あごにはこまかいがあった。頑丈がんじょうであった。乾燥かんそうした内陸ないりく生息せいそくし、昆虫こんちゅうやトカゲなどのしょう動物どうぶつべていたとかんがえられている[7]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

そく歩行ほこう小型こがた肉食にくしょく動物どうぶつであることは間違まちがいないが、保存ほぞん状態じょうたいがかなりわるいため正確せいかく分類ぶんるい困難こんなんである。Fraasはこの化石かせき恐竜きょうりゅうであるとした。今日きょうではあまり使用しようされないが、1923ねんフランツ・ノプシャによりプロコンプソグナトゥス Procompsognathinae が、1929ねん、von Hueneによりプロコンプソグナトゥス Procompsognathidaeがてられている。1932ねん、von Hueneはほんしゅ恐竜きょうりゅうではなくにせわにるいであるとした[8]。そのほんしゅししあしるいであるとかんがえられてきたが、von Hueneの標本ひょうほんかんしては様々さまざま論争ろんそうこっている。

1982ねんジョン・オストロムはSMNS 12352とSMNS 12352aは別種べっしゅ化石かせきであると主張しゅちょうした。1992ねんポール・セレノRupert Wildは、ホロタイプののちからだコエロフィシスセギサウルス頭骨とうこつとvon Hueneの標本ひょうほんワニがたるいサルトポスクスのものであると主張しゅちょうした[9]。だが1993ねんSankar Chatterjee頭骨とうこつ詳細しょうさい調しらべ、ワニがたるいのものではないと反論はんろんした[10][11]。 Oliver Rauhut and Axel Hungerbuhler (2000) では、椎骨ついこつ形状けいじょうからするとコエロフィシスまたはケラトサウルスるいぞくするとしている[12]。Carrano et al. (2005) では、セギサウルスとほんしゅきんえんで、ともにコエロフィシス恐竜きょうりゅうであるとされている[13]。2004ねんDavid Allenほんたね原始げんしてきとり頸類であるとかんがえた[14]。2006ねんと2008ねん、Fabien KnollはSMNS 12352はワニがたるい、SMNS 12352aはワニがたるいか、基底きていてきしゅりゅうるいであるとした。また、SMNS 12591ののちからだはコエロフィシスであるが、頭部とうぶ (SMNS 12591a) はテタヌラるい基底きていあたりに位置いちするたねのものであるとした[15][16]。2012ねん、KnollはCTスキャンによってSMNS 12352がワニがたるいであることをさい確認かくにんしたが、サルトポスクスのものとはことなると結論けつろんした[17]

大衆たいしゅう文化ぶんか[編集へんしゅう]

原作げんさくばんジュラシック・パーク」では "compys" とばれ、催眠さいみんせいどく恐竜きょうりゅうとしてえがかれていた。だが、ほんしゅどくっていたという証拠しょうこはない[18]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Fraas, E., 1911, "Die schwäbische Dinosaurier", Jahreshefte des Vereins für vaterländische Naturkunde in Württemberg 1912: LXVI-LXVII
  2. ^ Pompeckj, J.F., 1915, "Zur Erinnerung an Eberhard Fraas und an sein Werk", Jahreshefte des Vereins für vaterländische Naturkunde in Württemberg 1924: XXXIII
  3. ^ Fraas, E., 1913, "Die neuesten Dinosaurierfunde in der schwäbischen Trias", Naturwissenschaften 1(45): 1097-1100
  4. ^ Von Huene, F., 1921, "Neue Pseudosuchier und Coelurosaurier aus dem württembergischen Keuper", Acta Zoologica 2: 329-403
  5. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2011) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages, Winter 2010 Appendix.
  6. ^ Paul, G.S., 2010, The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press p. 72
  7. ^ Frances Freedman & Tony Gibbons, 1997, Looking at-- Procompsognathus: a dinosaur from the Triassic period, Gareth Stevens Pub., 1 January 1997, pp. 24
  8. ^ von Huene, F., 1932, Die fossile Reptil-Ordnung Saurischia, ihre Entwicklung und Geschichte. Monographien für Geologie und Paläontologie, 4, pp. 361
  9. ^ Sereno, Paul C.; Wild, Rupert (December 15, 1992). “Procompsognathus: theropod, "thecodont" or both?”. Journal of Vertebrate Paleontology 12 (4): 435–458. doi:10.1080/02724634.1992.10011473. 
  10. ^ Chatterjee, S., 1993, "Procompsognathus from the Triassic of Germany is not a crocodylomorph", Journal of Vertebrate Paleontology 13(3): 29A
  11. ^ Chatterjee, S., 1998, "Reassessment of the Procompsognathus skull", p. 6 in: Wolberg, D.L., Gittis, K., Miller, S., Carey, L., and A. Raynor (eds.), Dinofest International. The Academy of Natural Sciences, Philadelphia
  12. ^ Rauhut, O. and Hungerbuhler, A. (2000). "A review of European Triassic theropods." Gaia 15, 75-88
  13. ^ Carrano, M.T, Hutchinson, J.R, Sampson, S.D. (2005). "New information on Segisaurus halli, a small theropod dinosaur from the Early Jurassic of Arizona." Journal of Vertebrate Paleontology. 25(4):835-849
  14. ^ Allen, D. (2004). "The phylogenetic status of Procompsognathus revisited." Journal of Vertebrate Paleontology, 24(3): 34A
  15. ^ Knoll, F. & Schoch, R., 2006, "Does Procompsognathus have a head? Systematics of an enigmatic Triassic taxon", Journal of Vertebrate Paleontology 26: 86A
  16. ^ Knoll, F., 2008, "On the Procompsognathus postcranium (Late Triassic, Germany)", Geobios 41: 779-786
  17. ^ Knoll, F. & Schoch, R., 2012, "CT scanning, rapid prototyping and re-examination of a partial skull of a basal crocodylomorph from the Late Triassic of Germany", Swiss Journal of Geosciences 105: 109-115
  18. ^ Bennington, J Bret (1996). “Errors in the Movie "Jurassic Park"”. American Paleontologist 4 (2): 4–7. 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]