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ドラコラプトル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドラコラプトル
骨格こっかく緑色みどりいろ位置いち確定かくていした発見はっけん部位ぶい、オレンジしょくそとがためすがたからられた部位ぶい青色あおいろ暫定ざんていてき部位ぶい
地質ちしつ時代じだい
前期ぜんきジュラ紀じゅらき
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
上目うわめ : 恐竜きょうりゅう上目うわめ Dinosauria
: りゅうばん Sauriscia
: ししあし Theropoda
下目しため : ケラトサウルス下目しため Ceratosauria
うえ : コエロフィシスうえ Coelophysoidea
ぞく : ドラコラプトルぞく
Dracoraptor
たね
  • D. hanigani Martill et al.2016

ドラコラプトル学名がくめいDracoraptor)は、やく2おく100まんねんまえからやく1おく9900まんねんまえにあたるヘッタンギアンウェールズ生息せいそくしていた、しんししあしるいぞくする恐竜きょうりゅうぞく。2014ねんイギリスブルーリアスるいそう英語えいごばんから発見はっけんされ、2016ねんにイギリスの生物せいぶつ学者がくしゃデイヴィッド・マーティルらによりタイプしゅ Dracoraptor hanigani命名めいめいされた。

発見はっけん命名めいめい

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左右さゆうぜん上顎じょうがくこつ

ドラコラプトルの最初さいしょ化石かせきは2014ねんにウェールズのまちペンアルス英語えいごばんちかくで発見はっけんされた。2014ねん3がつにアマチュア生物せいぶつ学者がくしゃ兄弟きょうだいのニック・ハニガンとロブ・ハニガンがラバーノック英語えいごばんさかなりゅう化石かせきさがしていたところ、がけ断面だんめんたかさ7メートル地点ちてん由来ゆらいする恐竜きょうりゅう化石かせきはいった転石てんせき発見はっけんした。マンチェスター大学だいがくのジュディス・アダムスとフィリップ・マニングが化石かせきのXせん撮像さつぞうCTスキャンおこなったのち化石かせきはカーディフ国立こくりつ博物館はくぶつかん寄付きふされ、クレイグ・チバースとゲリー・ブラックウェルがクリーニングなどの作業さぎょう担当たんとうした。2015ねんには発掘はっくつ学生がくせいサム・デイヴィスがあしほねふく追加ついか岩石がんせき発見はっけんした[1]

タイプしゅ Dracoraptor hanigani は2016ねんにイギリスの生物せいぶつ学者がくしゃデイヴィッド・マーティルとスティーヴン・ヴィドヴィック、シンディ・ハウウェルズ、ジョン・ナッズが記載きさい命名めいめいした。ぞくめいはウェールズの伝承でんしょうであるあかりゅうにちなんでラテン語らてんごで「ドラゴン」を意味いみする draco と「泥棒どろぼう」「略奪りゃくだつしゃ」を意味いみする raptor からなり、たね小名しょうみょう発見はっけんしたハニガン兄弟きょうだいへのけんじめいである[1]

ホロタイプ標本ひょうほん NMW 2015.5G.1–2015.5G.11 はイギリスのブルーリアスるいそう下部かぶブル・クリフそう発見はっけんされた。より厳密げんみつには、標本ひょうほん由来ゆらいしたそうジュラ紀じゅらきアンモナイトであるプシロセラス英語えいごばんはつ出現しゅつげんしたにあり、かつT-J境界きょうかい代表だいひょうするペーパー頁岩けつがん直上ちょくじょう位置いちする。地層ちそう年代ねんだいは2おく130まんねんまえ±20まんねん最初さいしょヘッタンギアンにあたる[1]

ホロタイプ標本ひょうほん頭骨とうこつそなわった断片だんぺん骨格こっかくである。ふくまれているほねにはりょうぜん上顎じょうがくこつりょう上顎じょうがくこつ複数ふくすう単一たんいつなみだこつ単一たんいつ頬骨ほおぼね単一たんいつこう眼窩がんかこつ単一たんいつ鱗状りんじょうこつ単一たんいつ上後うえご頭骨とうこつりょうしたあご一部いちぶしたこつらしきほね・2頸椎けいあばら後方こうほう脊椎せきついすくなくとも5前方ぜんぽうしい血道ちみちゆみ肋骨あばらぼねはら肋骨あばらぼねひだり前肢ぜんし下部かぶまたこつりょう恥骨ちこつひだり座骨ざこつみぎ大腿だいたいこつ脛骨けいこつ腓骨ひこつ上部じょうぶひだり距骨・3あしこつ・3ちゅうあしこつがある。保存ほぞんされているほね骨格こっかくやく40%で、ウェールズさん鳥類ちょうるいがたじゅうあしるい恐竜きょうりゅうとしては当時とうじもっと完全かんぜん標本ひょうほんである[1]

特徴とくちょう

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おおきさ比較ひかく

しめぎちょう形質けいしつ

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2016ねん、ドラコラプトルの固有こゆう派生はせい形質けいしつ確立かくりつされた[1]

  • 左右さゆうぜん上顎じょうがくこつはそれぞれ3ほん基盤きばんてき特徴とくちょうである。
  • 頬骨ほおぼね前方ぜんぽう上顎じょうがくこつびるうすえだつ。
  • 骨質こっしつそと鼻孔びこう大型おおがたで、したびるうすえだ
  • 恥骨ちこつ前方ぜんぽうき、座骨ざこつよりもはるかにながい。
  • だいIVあしこつ上側うわがわ突起とっきつ。

骨格こっかく

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頸椎

吻部のさきでは左右さゆうぜん上顎じょうがくこつ非常ひじょう大型おおがた鼻孔びこう前方ぜんぽうおおう。頭骨とうこつには片面かためんにつき3ほんぜん上顎じょうがくこつがあり、上顎じょうがくこつすくなくとも7ほんである。湾曲わんきょくしているかダガーじょうである。かんむりえんは1ミリメートルあたり6 - 8突起とっきがあり鋸歯きょしじょう構造こうぞうつ。こうえん鋸歯きょしじょう構造こうぞう根元ねもとまでびる一方いっぽうぜんえんではよりたか位置いちわる。先端せんたんけてこれらの構造こうぞう徐々じょじょちいさくなる。上顎じょうがくこつではあさくぼみによりぜん眼窩がんかまど区切くぎられている。頬骨ほおぼねぐなしもえんほそほね要素ようそであり、なみだこつ方向ほうこうびてはいるが突出とっしゅつしてはいない後方こうほうえだ前方ぜんぽうえだおおわれている。なみだこつ長方形ちょうほうけいちかく、中央ちゅうおうほそくなっている[1]

前肢ぜんしまたこつ

頸椎はながく、こう凹で、ひく神経しんけいとげびている。したがわわずかにくぼんでおり、また断面だんめん長方形ちょうほうけいをなす。前面ぜんめんではしいたいがpleurocoelによるあなひらいており、気嚢きのう椎骨ついこつなかまではいるよう含気している。しいには2つの平行へいこうなキールがしたがわにあり、前方ぜんぽうかって縮小しゅくしょうする。がわかた突起とっきひらたくひろ[1]

また、ドラコラプトルはまたこつ報告ほうこくされている。またこつ初期しょきししあしるい化石かせきから発見はっけんされることはまれであるが、セギサウルスコエロフィシス確認かくにんされている。しゃくこつ橈骨やく7センチメートルである。構成こうせいするほね発見はっけんされているものの、どのゆびこつ該当がいとうするかはさだかでない[1]

骨盤こつばんでは、恥骨ちこつが212ミリメートル、座骨ざこつが129ミリメートルで、恥骨ちこつほう座骨ざこつよりもはるかにながい。恥骨ちこつ前方ぜんぽうび、よこからるとその下端かたん前後ぜんごひろがっている。座骨ざこつ上前うわまえはしには長方形ちょうほうけい閉鎖へいさすじ突起とっきがあり、座骨ざこつのシャフト閉鎖へいさきりこん形成けいせいしている。シャフトは下方かほう座骨ざこつ下部かぶかって扇状せんじょうひろがっている[1]

大腿だいたいこつではしょうてんたかさがだいてんやくさんぶんで、Vがたくぼみでだいてんかれている。だいIIIちゅうあしこつやく116ミリメートルである[1]

分類ぶんるい

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生態せいたい復元ふくげん

2016ねん系統けいとう解析かいせきでは、ドラコラプトルはしんししあしるい基盤きばんてき位置いち位置付いちづけられ、もっと基盤きばんてきコエロフィシスうえとされた[1]

ダコタラプトルの位置付いちづけは様々さまざま特徴とくちょうから示唆しさされている。骨盤こつばん構造こうぞうからは恐竜きょうりゅうのうちりゅうばんるいであること、よこひらたいからダガーじょうししあしるいであることがかる。ぜん眼窩がんかまど周囲しゅういあさくぼみがあること、頸椎のpleurocoelが前方ぜんぽう位置いちすること、そして座骨ざこつ閉鎖へいさきりこんがあることからはしんししあしるいぞくすることが示唆しさされる。コエルロサウルスうえへの位置付いちづけはそれほど明確めいかくではない。ドラコラプトルはなみだこついてまるみをびた頬骨ほおぼねえだといった、明確めいかく共有きょうゆうされるコエルロサウルスうえ共有きょうゆう派生はせい形質けいしつすくない。このため本属ほんぞく解析かいせき基盤きばんてき位置いちかれている。さらなるクリーニングや研究けんきゅうにより系統けいとうかんしてあらたな情報じょうほうがもたらされる可能かのうせい期待きたいせられている[1]

生物せいぶつがく

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さんじょうまつ大量たいりょう絶滅ぜつめつ地球ちきゅうじょうやく半分はんぶんたね絶滅ぜつめつした[2]大量たいりょう絶滅ぜつめつによりそれまで地上ちじょう支配しはいてき捕食ほしょく動物どうぶつであったラウィスクスるい絶滅ぜつめつし、わりに動物どうぶつしょくせいししあしるい生態せいたいてき地位ちいいだ[3]

ドラコラプトルはとがった鋸歯きょしじょうち、動物どうぶつにく摂食せっしょくしていたことが示唆しさされている。しかしが1センチメートル程度ていどちいさいことから、獲物えもの小型こがた脊椎動物せきついどうぶつであったとされる[4]前期ぜんきジュラ紀じゅらきのサウスウェールズは温暖おんだん浅海せんかい小島こじまかぶ沿岸えんがんいきであった。現在げんざいのラバーノックとなっている地域ちいき沖合おきあいであったことから、ドラコラプトルの遺骸いがいしまからうみながされて北上ほくじょうしたとかんがえられている。生態せいたいけいかんする情報じょうほうられないが、記載きさいしゃたちは2016ねん岸辺きしべ生息せいそくする捕食ほしょく動物どうぶつあるいはスカベンジャーとして復元ふくげんイラストをえがいている[1]

ドラコラプトルはられているなか最古さいこジュラ紀じゅらき恐竜きょうりゅうである[1]。ヴィヴィドックいわく、ドラコラプトルは『ジュラシック・パーク』やほんやテレビ番組ばんぐみからられている恐竜きょうりゅうたちとさんじょう大量たいりょう絶滅ぜつめつびた恐竜きょうりゅうのギャップをはじめ、前期ぜんきジュラ紀じゅらき恐竜きょうりゅう多様たようして生態せいたいてき地位ちいゆたかにしたことを示唆しさしている[4]

メディアでの登場とうじょう

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記載きさい前年ぜんねんである2015ねん9がつ、ドラコラプトルはイギリスのITV放送ほうそうされたドキュメンタリー番組ばんぐみイギリス恐竜きょうりゅう図鑑ずかん』のだい2かい登場とうじょうして番組ばんぐみくくった。どうさくではドラコラプトルの記載きさい論文ろんぶん執筆しっぴつしゃ一人ひとりであるデイヴィッド・マーティルが出演しゅつえんし、既知きちジュラ紀じゅらき恐竜きょうりゅうでは最古さいこのものではないかと主張しゅちょうした。マーティルはドラコラプトルの形態けいたいについてなが華奢きゃしゃからだこまかくするどげ、視力しりょくたかかったと説明せつめいした。また性質せいしつ非常ひじょう獰猛どうもうだったとかたった[5]日本にっぽんでは2016ねん4がつNHK Eテレの『地球ちきゅうドラマチックわく日本語にほんごばん放送ほうそうされた[6]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n Martill, David M.; Vidovic, Steven U.; Howells, Cindy; Nudds, John R. (2016). “The Oldest Jurassic Dinosaur: A Basal Neotheropod from the Hettangian of Great Britain”. PLOS ONE 11 (1): e0145713. doi:10.1371/journal.pone.0145713. 
  2. ^ Lacey Gray (2013ねん3がつ26にち). “さんじょうまつ大量たいりょう絶滅ぜつめつ原因げんいん溶岩ようがん噴出ふんしゅつ”. 日経にっけいナショナルジオグラフィック. 2021ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ メル・ホワイト (2009ねん). “シリーズ 地球ちきゅうのいのち ワニ まぼろし支配しはいしゃ”. 日経にっけいナショナルジオグラフィック. 2021ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ a b "Dragon Thief" Dinosaur Thrived after Primordial Calamity”. Scientific American (2016ねん1がつ21にち). 2016ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  5. ^ Dinosaur Britain Episode 2”. ITV. 2015ねん9がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2021ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  6. ^ 番組ばんぐみひょう検索けんさく結果けっか詳細しょうさい”. NHK. 2021ねん3がつ15にち閲覧えつらん