心理しんり療法りょうほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
セラピストから転送てんそう
ポジティブ心理しんり療法りょうほう

心理しんり療法りょうほう(しんりりょうほう、えい: psychotherapyサイコセラピー)、精神療法せいしんりょうほう(せいしんりょうほう, Psychological Therapy)、心理しんりセラピーとは、物理ぶつりてきまた化学かがくてき手段しゅだんらず[1]教示きょうし対話たいわ訓練くんれんとおして認知にんち情緒じょうちょ行動こうどうなどに変容へんようをもたらすことで、精神せいしん障害しょうがい心身しんしんしょう治療ちりょう心理しんりてき問題もんだい適応てきおう行動こうどうなどの解決かいけつ寄与きよし、人々ひとびと精神せいしんてき健康けんこう回復かいふく保持ほじ増進ぞうしんはかろうとする理論りろん技法ぎほう体系たいけいのことである[2]

臨床りんしょう心理しんりがくにおいては心理しんり療法りょうほう精神せいしん医学いがくにおいては精神療法せいしんりょうほう呼称こしょう通常つうじょうもちいられ、事実じじつじょうおなじものをす。このちがいは、明治めいじ以降いこう西洋せいよう学問がくもん輸入ゆにゅうしたさいpsycheかたりに「心理しんり」と「精神せいしん」という2とおりの訳語やくごてられ、それが心理しんり学界がっかい医学いがくかい別々べつべつ定着ていちゃくしたことに由来ゆらいする。

心理しんり療法りょうほうおこなもの心理しんり療法りょうほう心理しんり療法りょうほう精神療法せいしんりょうほう心理しんりセラピストサイコセラピスト(psychotherapist)などとび、専門せんもん立脚りっきゃくする学派がくはにより精神せいしん分析ぶんせき行動こうどう療法りょうほうなどとけることもある。また、心理しんり療法りょうほうけるものをクライエント(client)、来談らいだんしゃ患者かんじゃなどとぶ。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

心理しんり療法りょうほうは、おも対話たいわもちい、精神せいしん障害しょうがい心身しんしんしょうていしているひと心理しんりてき問題もんだい適応てきおうおちいっているひと種々しゅじゅ困難こんなんかかえているひとなどの認知にんち情緒じょうちょ行動こうどうなどにはたらきかけ、そこに適応てきおうてき変化へんかはかることを目的もくてきとする。とくに、人間にんげん関係かんけい起因きいんするストレスなどの影響えいきょうみとめられるしんいんせい精神せいしん疾患しっかん治療ちりょうにおいては、心理しんり療法りょうほうはストレスそのものの分析ぶんせき考察こうさつおこなうため、表面ひょうめんてき症状しょうじょうおさえる薬物やくぶつ療法りょうほうなどの対症療法たいしょうりょうほうとは区別くべつされる。

性格せいかく傾向けいこう病理びょうり水準すいじゅん発達はったつ水準すいじゅんなどにより不向ふむきがあるため、しゅ訴やかく水準すいじゅん臨床りんしょう心理しんり査定さていらしわせ、相談そうだんしゃとの共通きょうつう理解りかいのもとで、てきした心理しんり療法りょうほう選択せんたくされもちいられる[3][4]

明治めいじ精神療法せいしんりょうほう[編集へんしゅう]

明治めいじまつから昭和しょうわはじめにかけて、民間みんかん療法りょうほうさかんにおこなわれていた。明治めいじ30年代ねんだい後半こうはん流行りゅうこうした催眠さいみんじゅつ治療ちりょうはじまり、明治めいじ40年代ねんだいはいると静坐せいざほう呼吸こきゅうほうなどの修養しゅうようほうれいじゅつなどの治療ちりょうほう流行りゅうこうし、これらは精神療法せいしんりょうほうばれた。そのおも技法ぎほうは、腹式呼吸ふくしきこきゅうれいどうばれた身体しんたい自動じどう運動うんどう、お手当てあて(手当てあ療法りょうほう)といった身体しんたい技法ぎほうであった。[5]

当時とうじ精神療法せいしんりょうほうもちいた「精神せいしん」という言葉ことばは、身体しんたい対立たいりつする精神せいしんという意味いみではない。吉永よしなが進一しんいちは、身体しんたいふくみ、さらには身体しんたいえた領域りょういきふくんでいたと指摘してきしている。[5]

日本にっぽん健康けんこう保険ほけんにおける精神療法せいしんりょうほう[編集へんしゅう]

診療しんりょう報酬ほうしゅううえレセプト精神せいしん専門せんもん療法りょうほうりょう」における、入院にゅういん精神療法せいしんりょうほうとは「精神せいしんめんから効果こうかのある心理しんりてき影響えいきょうあたえることにより、対象たいしょう精神せいしん疾患しっかん起因きいんする不安ふあん葛藤かっとう除去じょきょし、情緒じょうちょ改善かいぜんはか洞察どうさつへとみちび治療ちりょう方法ほうほう」であり、通院つういん在宅ざいたく精神療法せいしんりょうほうとは、「一定いってい治療ちりょう計画けいかくのもとに危機きき介入かいにゅう対人たいじん関係かんけい改善かいぜん社会しゃかい適応てきおう能力のうりょく向上こうじょうはかるための指示しじ助言じょげんとうはたらきかけを継続けいぞくてきおこな治療ちりょう方法ほうほう」である[6]入院にゅういん集団しゅうだん精神療法せいしんりょうほうおよび、通院つういん集団しゅうだん精神療法せいしんりょうほうとは、「集団しゅうだんない対人たいじん関係かんけい相互そうご作用さようもちいて、自己じこ洞察どうさつ深化しんか社会しゃかい適応てきおう技術ぎじゅつ習得しゅうとく対人たいじん関係かんけい学習がくしゅうとうをもたらすことにより病状びょうじょう改善かいぜんはか治療ちりょうほう」である[6]。なお、病状びょうじょう服薬ふくやくじょうきょう副作用ふくさよう有無うむとう確認かくにんおもとした支援しえんは、「精神せいしん継続けいぞく外来がいらい支援しえん指導しどうりょう」であり、精神療法せいしんりょうほう該当がいとうしない[6]

適用てきよう[編集へんしゅう]

WHOのmhGAPマニュアルにおいてしめされる、精神療法せいしんりょうほうとその推奨すいしょう疾患しっかん以下いかげる [7]

各国かっこく資格しかく要項ようこう[編集へんしゅう]

OECD各国かっこく心理しんり療法りょうほう位置付いちづ[8]
くに
五十音ごじゅうおんじゅん
認知にんち行動こうどう療法りょうほう
プライマリケア
けられるか?
心理しんり療法りょうほう
保険ほけん適応てきおうか?
アイスランドの旗 アイスランド はい 一部いちぶ
アイルランドの旗 アイルランド 一部いちぶ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく はい 全面ぜんめん
イギリスの旗 イギリス はい 全面ぜんめん
イスラエルの旗 イスラエル 一部いちぶ
イタリアの旗 イタリア 全面ぜんめん
オーストラリアの旗 オーストラリア はい 全面ぜんめん
 オーストリア はい 一部いちぶ
オランダの旗 オランダ 一部いちぶ
カナダの旗 カナダ 全面ぜんめん
大韓民国の旗 韓国かんこく はい 一部いちぶ
スイスの旗 スイス 一部いちぶ
 スウェーデン はい 一部いちぶ
スロバキアの旗 スロバキア 一部いちぶ
スロベニアの旗 スロベニア 全面ぜんめん
 チェコ 全面ぜんめん
 チリ 全面ぜんめん
ドイツの旗 ドイツ 全面ぜんめん
トルコの旗 トルコ 全面ぜんめん
日本の旗 日本にっぽん 一部いちぶ
ニュージーランドの旗 ニュージーランド はい 一部いちぶ
 ノルウェー はい 全面ぜんめん
 フィンランド 一部いちぶ
ベルギーの旗 ベルギー はい 一部いちぶ
ポーランドの旗 ポーランド 全面ぜんめん
ポルトガルの旗 ポルトガル 一部いちぶ
メキシコの旗 メキシコ はい 一部いちぶ
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク はい 一部いちぶ

欧州おうしゅうにおける心理しんり療法りょうほう規制きせいは、各国かっこく様々さまざまである。

イギリスにおいて心理しんり療法りょうほう営利えいり団体だんたい規制きせいしており、国家こっか登録とうろく心理しんり療法りょうほうは、おもに3団体だんたい英国えいこく心理しんり療法りょうほう委員いいんかい英語えいごばん(UKCP)、英国えいこくカウンセリング・心理しんり療法りょうほう協会きょうかい英語えいごばん(BACP)、英国えいこく精神せいしん分析ぶんせき委員いいんかい英語えいごばん(BPC)にぞくしている。くわえて、小規模しょうきぼ団体だんたい児童じどう心理しんり療法りょうほう協会きょうかい英語えいごばん(ACP)、英国えいこく心理しんり療法りょうほう協会きょうかい英語えいごばん(BAP)も存在そんざいする。

ドイツにおいては、Psychotherapy Act (PsychThG, 1998)によって、成人せいじんへの心理しんり療法りょうほうは5ねん心理しんりがく専門せんもん課程かていあるいは精神病せいしんびょう理学りがくふくめた医学いがくおさめたものでなければならないとされている。21さいまでの青少年せいしょうねんへの心理しんり療法りょうほうについては、心理しんりがく専門せんもん課程かていだけに限定げんていされず、社会しゃかい教育きょういくまなべないし社会しゃかい福祉ふくし領域りょういき専門せんもん課程かていでもみとめられている[9]

イタリアではOssicini Act (no. 56/1989, art. 3)により、こころ理学部りがくぶまたは医学部いがくぶ卒業そつぎょう大学だいがく専門せんもん育成いくせい課程かていもしくは教育きょういく大学だいがく研究けんきゅうしょうから認可にんかされた民間みんかん心理しんり療法りょうほうスクールで4年間ねんかんそつ訓練くんれんものでなければならないとされている[10][11]

フランスでは、psychotherapistを名乗なのることができるのは、国家こっか登録とうろく心理しんり療法りょうほうのみであり、それには医学いがく博士はかせ保有ほゆうしゃ一般いっぱん開業医かいぎょうい専門医せんもんい)、心理しんりがく臨床りんしょう心理しんりがくはじかく専門せんもん分野ぶんや専攻せんこう修了しゅうりょうしゃ精神せいしん分析ぶんせきがく専攻せんこう修了しゅうりょうしゃ精神せいしん分析ぶんせき協会きょうかいへの所属しょぞくしゃそれぞれの要件ようけんおうじて、もし免除めんじょがなければ、精神せいしん医学いがく心理しんりがく精神せいしん分析ぶんせきがく専門せんもん分野ぶんやとしている高等こうとう専門せんもんだい学校がっこうの2めい教授きょうじゅによって設置せっちされた研修けんしゅう機関きかんで、法律ほうりつ(Décret n˚ 2010-534 du 20 mai 2010 relatif à l'usage du titre de psychothérapeute)で規定きていされた臨床りんしょう精神病せいしんびょう理学りがく関連かんれんした理論りろん実践じっせんてき訓練くんれんしたがって追加ついか研修けんしゅうける必要ひつようがある[12]

スウェーデンでは、psychotherapistを名乗なのることができるのは、大学だいがくにて心理しんりがくおよ心理しんり療法りょうほう教育きょういくおさめたのちに、スウェーデン保健ほけん福祉ふくしちょう英語えいごばん登録とうろくされたものである[13]

日本にっぽんにおいては、民間みんかん認証にんしょう資格しかくとして臨床りんしょう心理しんりメンタルケア心理しんりメンタル心理しんりカウンセラー行動こうどう心理しんりカウンセラーチャイルド心理しんりカウンセラー、および国家こっか資格しかくとして公認こうにん心理しんり存在そんざいする。

歴史れきし[編集へんしゅう]

様々さまざま技法ぎほう登場とうじょうしてきたが、認知にんち情緒じょうちょ行動こうどうなどに適応てきおうてき変化へんかはか目的もくてき共有きょうゆうしている。

18世紀せいきには、フランツ・アントン・メスメル動物どうぶつ磁気じきせつによる治療ちりょう行為こういおこない、催眠さいみんへとつながっていった。心理しんり療法りょうほうにおけるラポール概念がいねんなどもこのながれでされた。1892ねんには、アメリカ心理しんり学会がっかいが、ウィリアム・ジェームズ心理しんりがくもとにして設立せつりつされる。

だい1の勢力せいりょく精神せいしん分析ぶんせきがくである。1896ねんジークムント・フロイト精神せいしん分析ぶんせきという言葉ことばもちい、精神せいしん分析ぶんせきがく創設そうせつし、その心理しんり療法りょうほう多大ただい影響えいきょうあたえた。フロイトに師事しじしたカール・グスタフ・ユング分析ぶんせき心理しんりがく提唱ていしょう、ユング心理しんりがくはユングとしてアメリカでプロセス指向しこう心理しんりがくなどをんだ。この時代じだいには、フロイトや現象げんしょうがく影響えいきょうをうけたルートヴィヒ・ビンスワンガーげん存在そんざい分析ぶんせき、また ヴィクトール・フランクルによるロゴセラピーがある。対人たいじん関係かんけい療法りょうほうは、しんフロイトとよばれるハリー・スタック・サリヴァンらのながれをむ。

イギリスではメラニー・クラインドナルド・ウィニコットらの対象たいしょう関係かんけいろん展開てんかいし、アメリカでは対象たいしょう関係かんけいろん影響えいきょうをうけたオットー・カーンバーグ転移てんい焦点しょうてん精神療法せいしんりょうほう考案こうあんした。また、1968ねんハインツ・コフート自己じこあいせいパーソナリティ障害しょうがいについて論文ろんぶん発表はっぴょうした。

だい2の勢力せいりょく行動こうどう主義しゅぎである。20世紀せいき初頭しょとう行動こうどう主義しゅぎ心理しんりがく登場とうじょうする。これは戦争せんそうをはさんだ軍事ぐんじがくてき統制とうせいにももちいられた。動物どうぶつ実験じっけんにより古典こてんてき条件じょうけんづけオペラント条件じょうけんづけなどのかたり登場とうじょうした。治療ちりょうかんしては、1960ねんハンス・アイゼンクが『行動こうどう療法りょうほう神経症しんけいしょう』を出版しゅっぱんする。ポジティブ心理しんりがくは、学習がくしゅうせい無力むりょくかん研究けんきゅうしゃであったマーティン・セリグマンが1990年代ねんだい提唱ていしょう

だい3の勢力せいりょくは、人間にんげんせい心理しんりがくである。1960年代ねんだいには、人間にんげんせい心理しんりがくが、自己じこ実現じつげん理論りろん提唱ていしょうしたアブラハム・マズローらによって組織そしきされる。1942ねんに、カール・ロジャースが『カウンセリングと心理しんり療法りょうほう』を出版しゅっぱんし、来談らいだんしゃ中心ちゅうしん療法りょうほうなどを提唱ていしょうする。ロジャースは、集団しゅうだん対応たいおうさせたエンカウンターグループ開発かいはつした。アメリカのビッグサーエサレン協会きょうかい中心ちゅうしんとして、ニューエイジなどもくわわり、瞑想めいそうといった技法ぎほう研究けんきゅうされるようになった。ゲシュタルト療法りょうほうは、エサレンを中心ちゅうしんとして発達はったつした。

1969ねんにはトランスパーソナル心理しんりがくかいが、LSDによる神秘しんぴ体験たいけん研究けんきゅうしていたスタニスラフ・グロフと、上記じょうき人間にんげんせい心理しんりがくのアブラハム・マズローによって設立せつりつされる。瞑想めいそうなどの伝統でんとう技法ぎほうだい3世代せだい認知にんち療法りょうほう影響えいきょうした。

2000ねんごろより、根拠こんきょもとづく医療いりょうおおきく提唱ていしょうされ、技法ぎほうがマニュアルしやすい行動こうどう主義しゅぎあるいは認知にんち心理しんりがくてき技法ぎほうによる有効ゆうこうせいいだされる。それは、認知にんち行動こうどう療法りょうほう対人たいじん関係かんけい療法りょうほうマインドフルネス認知にんち療法りょうほうといったものである。イギリスでは、こうした証拠しょうこともなって、政策せいさくとして心理しんり療法りょうほう養成ようせい積極せっきょくてきっている。

影響えいきょう[編集へんしゅう]

アウトカム[編集へんしゅう]

科学かがくてき手法しゅほうもとづいた国際こくさいてきだい規模きぼレビューによって、心理しんり療法りょうほうおおくの状況じょうきょうにおいて有効ゆうこうであると結論けつろんづけられている[14][15]

アドヒアランス[編集へんしゅう]

心理しんり療法りょうほうアドヒアランスとは、プログラム途中とちゅうでの脱落だつらくりつのことであり、問題もんだいひとつとして認識にんしきされている。

早期そうき段階だんかいでの脱落だつらくりつはおよそ30-60%であるとされ、その定義ていぎによってはばがある。脱落だつらくりつは、患者かんじゃ選択せんたく手法しゅほう治療ちりょうへのつなげかたなど、様々さまざま研究けんきゅう条件じょうけんによっててくる。早期そうき脱落だつらくは、人口じんこう分布ぶんぷ、クライアントの臨床りんしょう特徴とくちょう治療ちりょう治療ちりょう手法しゅほうなどの要因よういん関係かんけいするとされている[16][17]心理しんり療法りょうほう妥当だとうせい効果こうかせいうたがっているグループにおいては、脱落だつらくりつたかまる[18]

副作用ふくさよう[編集へんしゅう]

心理しんり療法りょうほう副作用ふくさようについての研究けんきゅうは、多々たた理由りゆうかぎられており、おそらく患者かんじゃの5-20%であろうと推測すいそくされている。副作用ふくさようには症状しょうじょう悪化あっかしん症状しょうじょう発生はっせい関係かんけいとのひずみ、治療ちりょうへの依存いぞんなどがふくまれる。いくつかの技法ぎほう治療ちりょうにおいては、さらにリスクが上昇じょうしょうすることもあり、また患者かんじゃ個性こせいによってはより脆弱ぜいじゃくであることもある。適切てきせつ手法しゅほうによって発生はっせいした副作用ふくさようは、医療いりょう過誤かごによってこる症状しょうじょうとは区別くべつされるべきである[19]

日本にっぽんにおける状況じょうきょう[編集へんしゅう]

2004年度ねんどからのあつろうけん研究けんきゅうでは、医療いりょう現場げんばでの精神療法せいしんりょうほう現状げんじょうについて「十分じゅうぶんおこなわれている」とこたえた医療いりょう機関きかんやく5%で、「若干じゃっかんできている」場合ばあいでも25%じゃくぎない[20]

欧米おうべい諸国しょこくくら日本にっぽんにおいては制度せいどめんおくれがあり[8]、それゆえこれまでは心理しんり療法りょうほう日常にちじょうてきなものとして位置いちづけられてきづらかった[21]ユニバーサルヘルスケアもとで、くすり注射ちゅうしゃなどの現物げんぶつには公定こうてい報酬ほうしゅう支払しはらわれたもののこのような「えない技術ぎじゅつ」にたいしては非常ひじょうひく報酬ほうしゅうしか設定せっていされなかった。このことが日本にっぽんにおける精神せいしん医療いりょうしつ低下ていかまねいた[22]

OECD日本にっぽんたいし、けいちゅう程度ていど患者かんじゃたいして心理しんり療法りょうほう提供ていきょうできるよう、根拠こんきょもとづいた治療ちりょうプログラムの整備せいびをすすめるよう勧告かんこくしている[23]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Cambridge Dictonary
  2. ^ Psychotherapy”. 国民こくみん保健ほけんサービス. 2015ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ 日本にっぽん臨床りんしょう心理しんり資格しかく認定にんてい協会きょうかい (2009ねん). “臨床りんしょう心理しんり専門せんもん業務ぎょうむ”. 2010ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ 日本にっぽん臨床りんしょう心理しんりかい (2010ねん). “臨床りんしょう心理しんりとは - 援助えんじょ方法ほうほう”. 2010ねん10がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 吉永よしなが進一しんいち報告ほうこく2.ふとしれいどうとその(宗教しゅうきょう心理しんり療法りょうほう相互そうご内在ないざいせい-宗教しゅうきょう哲学てつがくてき思想しそうてき観点かんてんから-,テーマセッション3,2005年度ねんど学術がくじゅつ大会たいかい・テーマセッション記録きろく)宗教しゅうきょう社会しゃかい (12), 235-238, 2006-06-03「宗教しゅうきょう社会しゃかい学会がっかい
  6. ^ a b c 厚生こうせい労働省ろうどうしょう保険ほけんきょく医療いりょう平成へいせい24年度ねんど診療しんりょう報酬ほうしゅう改定かいてい関連かんれん通知つうち一部いちぶ訂正ていせいについて』(pdf)(プレスリリース)厚生こうせい労働省ろうどうしょう、2012ねん8がつ9にちhttps://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu3-8.pdf2015ねん3がつ1にち閲覧えつらん 
  7. ^ a b c d e f g h i j mhGAP Intervention Guide - Version 2.0, WHO, (2019), ISBN 9789241549790, https://www.who.int/publications/i/item/mhgap-intervention-guide---version-2.0 
  8. ^ a b OECD 2014, p. 77.
  9. ^ Gesetz über die Berufe des Psychologischen Psychotherapeuten und des Kinder- und Jugendlichenpsychotherapeuten” ["Psychotherapist" May Not Be Used By Persons Other Than Physicians, Psychological Psychotherapists or Child and Adolescent Psychotherapists] (ドイツ). 2010ねん7がつ21にち閲覧えつらん
  10. ^ Regulation of the profession of the psychologist” (英語えいご). 2015ねん3がつ19にち閲覧えつらん
  11. ^ Moreno, Manghi (2004ねん12がつ). “Cosa regolamenta effettivamente la legge Ossicini?” (PDF) (イタリア). 2015ねん3がつ19にち閲覧えつらん
  12. ^ Arrêté du 9 juin 2010 relatif aux demandes d'inscription au registre national des psychothérapeutes” (フランス語ふらんすご). 2010ねん7がつ21にち閲覧えつらん
  13. ^ Application for licence to practise as a psychotherapist”. Socialstyrelsen (National Board of Health and Welfare (Sweden)). 2013ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  14. ^ Campbell LF, Norcross JC, Vasquez MJ, Kaslow NJ (2013). “Recognition of psychotherapy effectiveness: the APA resolution”. Psychotherapy (Chic) 50 (1): 98–101. doi:10.1037/a0031817. PMID 23505985. http://www.researchgate.net/publication/236058462_Recognition_of_Psychotherapy_Effectiveness_The_APA_Resolution. 
  15. ^ Eva Woelbert (2015), Psychotherapy for mental illness in Europe: An exploration on the evidence base and the status quo, Joint Research Centre, Publications Office of the European Union, https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/eur-scientific-and-technical-research-reports/psychotherapy-mental-illness-europe-exploration-evidence-base-and-status-quo 
  16. ^ Jennifer L. Strauss, Vito S. Guerra, Christine E. Marx, A. Meade Eggleston Ph.D, Patrick S. Calhoun Ph.D Chapter 9: Improving Patient Treatment Adherence: A Clinician's Guide In: Improving Patient Treatment Adherence: A Clinician's Guide. Edited by Hayden Bosworth. Springer Science & Business Media, 3 Jul 2010
  17. ^ Wierzbicki, Michael; Pekarik, Gene (1993). “A meta-analysis of psychotherapy dropout”. Professional Psychology: Research and Practice 24 (2): 190–5. doi:10.1037/0735-7028.24.2.190. 
  18. ^ Egan, Jonathan (2005). “Dropout and related factors in therapy”. The Irish Psychologist 32 (2): 27–30. hdl:10147/121474. https://hdl.handle.net/10147/121474. 
  19. ^ Linden M, Schermuly-Haupt ML (2014). “Definition, assessment and rate of psychotherapy side effects”. World Psychiatry 13 (3): 306–9. doi:10.1002/wps.20153. PMC 4219072. PMID 25273304. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4219072/. 
  20. ^ 大野おおのひろし (2010ねん5がつ24にち). 認知にんち療法りょうほう認知にんち行動こうどう療法りょうほう日本にっぽんでの現状げんじょう診療しんりょう報酬ほうしゅうへの収載しゅうさい. 週刊しゅうかん医学いがく新聞しんぶん2880ごう. http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02880_02 2015ねん6がつ10日とおか閲覧えつらん 
  21. ^ 全国ぜんこく保健ほけん医療いりょう福祉ふくし心理しんり職能しょくのう協会きょうかい (2005ねん). “国家こっか資格しかく必要ひつようせい”. 2010ねん2がつ15にち閲覧えつらん
  22. ^ 精神せいしん医学いがく歴史れきし 小俣おまた和一郎かずいちろう だいさん文明ぶんめいしゃ 2005ねん ISBN 9784476012521 p226
  23. ^ OECD 2014, Country press releases - Japan.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]