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タンボラ山 やま (タンボラさん、インドネシア語 ご : Gunung Tambora 、英語 えいご : Mount Tambora )は、インドネシア 中 ちゅう 南部 なんぶ 、スンバワ島 とう にある成層 せいそう 火山 かざん である。島 しま の北側 きたがわ に突 つ き出 で たサンガル半島 はんとう の大 だい 部分 ぶぶん を占 し めており、標高 ひょうこう 2,851メートル 。 アルカリ岩 がん の白 しろ 榴石ベイサナイト、白 しろ 榴石テフライト などで構成 こうせい され、山頂 さんちょう には直径 ちょっけい 約 やく 6キロメートル 、深 ふか さ約 やく 600メートルのカルデラ がある。1815年 ねん に、記録 きろく の残 のこ る中 なか では人類 じんるい 史上 しじょう 最大 さいだい の噴火 ふんか を引 ひ き起 お こしたこと、およびそれによる自然 しぜん 災害 さいがい で著名 ちょめい な火山 かざん である。
タンボラ山 やま はスンバワ島 とう 北部 ほくぶ のフローレス海 うみ に突 つ き出 だ すサンガル半島 はんとう にあり、南側 みなみがわ にサーレ湾 わん (英語 えいご 版 ばん ) があり、その湾口 わんこう 、すなわちタンボラ山 さん の西側 にしがわ にはモヨ島 とう (英語 えいご 版 ばん ) 、北西 ほくせい 側 がわ にはサトンダ島 とう (英語 えいご 版 ばん ) という小 ちい さな島 しま がある。
一帯 いったい の生態 せいたい 系 けい は島嶼 とうしょ 、マングローブ 、海岸 かいがん 、低地 ていち と山岳 さんがく 部 ぶ の森林 しんりん 、サバナ の5種類 しゅるい がある。サーレ湾 わん にはマングローブがあり、ジュゴン とイルカ が生息 せいそく する。モヨ島 とう とサトンダ島 とう 一帯 いったい にはコバタン 、オーストラリアツカツクリ 、トサカハゲミツスイ 、キバラタイヨウチョウ 、インドネシアノドグロヤイロチョウ 、キュウカンチョウ 、ナンヨウショウビン 、シロガシラトビ (英語 えいご 版 ばん ) 、ハイタカ属 ぞく の種 たね などの30種 しゅ の鳥類 ちょうるい やルサジカ 、イノシシ 、カニクイザル などの哺乳類 ほにゅうるい 、アミメニシキヘビ などの爬虫類 はちゅうるい が生息 せいそく している。2019年 ねん にユネスコ の生物 せいぶつ 圏 けん 保護 ほご 区 く に指定 してい された[1] 。
1815年 ねん の大 だい 噴火 ふんか [ 編集 へんしゅう ]
1812年 ねん から火山 かざん 活動 かつどう が始 はじ まり、1815年 ねん 4月 がつ 10日 とおか から同年 どうねん 4月 がつ 12日 にち にかけての大 だい 爆 ばく 発音 はつおん は1,750キロメートル先 さき まで聞 き こえ、500キロメートル離 はな れたマドゥラ島 とう では火山灰 かざんばい によって3日間 にちかん も暗闇 くらやみ が続 つづ いた。高 たか さ3,900メートルあった山頂 さんちょう は2,851メートルに減 げん じ、面積 めんせき 約 やく 30平方 へいほう キロメートル、深 ふか さ1,300メートルの火口 かこう が生 しょう じた。この大 だい 噴火 ふんか による噴出 ふんしゅつ 物 ぶつ の総量 そうりょう は150立方 りっぽう キロメートルにおよび、半径 はんけい 約 やく 1,000キロメートルの範囲 はんい に火山灰 かざんばい が降 ふ り注 そそ いだ。地球 ちきゅう 規模 きぼ の気象 きしょう にも影響 えいきょう を与 あた えた[2] 。
この火山灰 かざんばい によって農作物 のうさくもつ は壊滅 かいめつ 的 てき な被害 ひがい を受 う けた。また、この大 だい 噴火 ふんか 後 ご 数 すう か月 げつ にわたって世界 せかい 各地 かくち で異常 いじょう な夕焼 ゆうや け が見 み られ、この1815年 ねん の夏 なつ は異常 いじょう に低温 ていおん であった。同年 どうねん 、アメリカ 北東 ほくとう 部 ぶ では異常 いじょう 低温 ていおん となり、雪 ゆき や霜 しも が6月 がつ までみられた。イギリス やスカンディナヴィア では5月 がつ から10月 がつ まで長雨 ながあめ が続 つづ き、異常 いじょう 低温 ていおん による不作 ふさく や食糧 しょくりょう 不足 ふそく の事態 じたい が社会 しゃかい 不安 ふあん を引 ひ き起 お こした。さらに、翌 よく 1816年 ねん は「夏 なつ のない年 とし 」(Year Without a Summer )と言 い われた[3] 。
フランス人 じん 作家 さっか のヴィクトル・ユーゴー は、小説 しょうせつ 『レ・ミゼラブル 』にて「季節外 きせつはず れの雲 くも に覆 おお われた空 そら が、世界 せかい の崩壊 ほうかい をもたらした」と、イギリス人 じん 作家 さっか のメアリー・シェリー は『フランケンシュタイン 』の中 なか で当時 とうじ の天候 てんこう について「多湿 たしつ で不 ふ 愛想 あいそ な夏 なつ と降 ふ りやまない雨 あめ によって外出 がいしゅつ できなかった」とタンボラ山 やま の大 だい 噴火 ふんか によって引 ひ き起 お こされた異常 いじょう 気象 きしょう について間接 かんせつ 的 てき に言及 げんきゅう している[4] 。
この大 だい 噴火 ふんか により、スンバワ島 とう の中心 ちゅうしん 集落 しゅうらく であるタンボラ は壊滅 かいめつ し、死者 ししゃ は1万 まん 人 にん にのぼり、その後 ご の飢饉 ききん 、疫病 えきびょう によるものも含 ふく めれば7万 まん 人 にん から12万 まん 人 にん といわれている。住民 じゅうみん の消滅 しょうめつ に伴 ともな いタンボラでの口語 こうご であったタンボラ語 ご (英語 えいご 版 ばん ) もこの際 さい に死語 しご となっている[5] 。現在 げんざい の活動 かつどう は火口 かこう 底 そこ の噴気 ふんき 活動 かつどう だけである。
世界 せかい 的 てき に1.7°C の気温 きおん 低下 ていか が見 み られた。スイスでは深刻 しんこく な飢饉 ききん が見 み られた。
ただし、実際 じっさい の地球 ちきゅう の気温 きおん は上記 じょうき の大 だい 噴火 ふんか より前 まえ の1810年 ねん から10年間 ねんかん を通 とお し、0.5°C 低 ひく かったことがわかっている。このことから、異常 いじょう 気象 きしょう の原因 げんいん を上記 じょうき の大 だい 噴火 ふんか とは別 べつ の噴火 ふんか に求 もと める説 せつ もある。実際 じっさい 、最新 さいしん の地質 ちしつ 調査 ちょうさ により、1809年 ねん 頃 ころ に地球 ちきゅう 上 じょう の熱帯 ねったい 地方 ちほう のいずれかの位置 いち にて、上記 じょうき 大 だい 噴火 ふんか の半分 はんぶん 程度 ていど の二酸化 にさんか 硫黄 いおう の噴出 ふんしゅつ 規模 きぼ の噴火 ふんか が起 お きたことが判明 はんめい している[6] 。
一帯 いったい の地図 ちず
地形 ちけい 図 ず
カルデラ
カルデラ
火口 かこう 縁 えん
火口 かこう 底 そこ
^ “SAMOTA Biosphere Reserve, Indonesia ” (英語 えいご ). UNESCO (2019年 ねん 6月 がつ 13日 にち ). 2023年 ねん 2月 がつ 7日 にち 閲覧 えつらん 。
^ 石 いし 弘之 ひろゆき 著 ちょ 『歴史 れきし を変 か えた火山 かざん 噴火 ふんか -自然 しぜん 災害 さいがい の環境 かんきょう 史 し -』 刀 かたな 水 すい 書房 しょぼう 2012年 ねん 114ページ
^ “巨大 きょだい 噴火 ふんか の衝撃 しょうげき :朝日新聞 あさひしんぶん GLOBE+ ”. 朝日新聞 あさひしんぶん GLOBE+ . 2021年 ねん 4月 がつ 6日 にち 閲覧 えつらん 。
^ ナポレオンを敗戦 はいせん に追 お い込 こ んだ「世界 せかい 最大 さいだい 級 きゅう の火山 かざん 噴火 ふんか 」David Bressan
^ “史上 しじょう 最大 さいだい の噴火 ふんか は世界 せかい をこれだけ変 か えた ”. natgeo.nikkeibp.co.jp . 2021年 ねん 4月 がつ 1日 にち 閲覧 えつらん 。
^ ナショナルジオグラフィック ニュース 19世紀 せいき の地球 ちきゅう 低温 ていおん 期 き 、原因 げんいん は謎 なぞ の噴火 ふんか 2009年 ねん 12月9日 にち
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タンボラ山 やま に
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大 だい 規模 きぼ 火山 かざん 災害 さいがい
(死者 ししゃ 1,000人 にん 以上 いじょう 、*は1万 まん 人 にん 以上 いじょう )
VEI 7以上 いじょう 、*はVEI8、ka は1,000年 ねん 前 まえ 、Ma は100万 まん 年 ねん 前 まえ を示 しめ す単位 たんい