ツミ

ツミ
	ツミ（井いの頭かしら自然しぜん文化ぶんか園えん） Accipiter gularis
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	LEAST CONCERN; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)); ワシントン条約じょうやく付属ふぞく書しょII類るい
分類ぶんるい
学名がくめい
	Accipiter gularis; （Temminck & Schlegel, 1844）
和名わみょう
	ツミ
英名えいめい
	Japanese lesser sparrowhawk; Japanese sparrowhawk

ツミ（雀すずめ鷹たか、雀すずめ鷂はいたか、Accipiter gularis）は、タカ目めタカ科かハイタカ属ぞくに分類ぶんるいされる猛禽もうきん類るい。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、大韓民国だいかんみんこく、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく、台湾たいわん、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく、日本にっぽん、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マーシャル諸島しょとう、マレーシア、ラオス

夏季かきに中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく東部とうぶや日本にっぽん、朝鮮半島ちょうせんはんとうで繁殖はんしょくし、冬季とうきは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく南部なんぶや東南とうなんアジアに南下なんかして越冬えっとうする。日本にっぽんでは基もと亜種あしゅが温暖おんだんな地域ちいきでは周しゅう年ねん生息せいそく（留鳥りゅうちょう）するが、寒冷かんれい地ちでは冬季とうきに南下なんか（夏なつ鳥とり）することもある。

リュウキュウツミ A. g. iwasakii

日本にっぽん（八重山列島やえやまれっとう）固有こゆう亜種あしゅ

形態けいたい[編集へんしゅう]

全長ぜんちょうオス27cm、メス30cm。翼つばさ開ひらき長ちょう50-63cm。体重たいじゅう75-160g。漢字かんじ表記ひょうきの雀すずめは「小ちいさい」の意いで、和名わみょうはスズメタカが変化へんかしたメスに対たいしての呼称こしょうに由来ゆらいする。同おなじ属ぞくのハイタカより小ちいさくハト大だい前後ぜんごで、ハイタカほど眉まゆ班はんが目立めだたない^[1]。下面かめんは白しろい羽毛うもうで覆おおわれる。

眼めの周囲しゅういは黄色おうしょく。

幼鳥ようちょうは上面うわつらが暗くら褐色かっしょく、下面かめんが淡あわ褐色かっしょくの羽毛うもうで覆おおわれる。胸部きょうぶに縦縞たてじま、腹部ふくぶにハート状じょう、体側たいそく面めんに横縞よこじま状じょうの暗くら褐色かっしょくの斑紋はんもんが入はいる。虹彩こうさいは緑みどり褐色かっしょく。オスの成鳥せいちょうは上面うわつらが青あお味あじがかった灰色はいいろ、胸部きょうぶから体側たいそく面めんはオレンジ色しょくの羽毛うもうで覆おおわれる。虹彩こうさいは赤褐色せきかっしょく。メスの成鳥せいちょうは上面うわつらは灰はい褐色かっしょく、下面かめんには暗くら褐色かっしょくの横縞よこじまが入はいる。虹彩こうさいは黄色おうしょく。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

Accipiter gularis gularis（Temminck & Schlegel, 1844）ツミ
Accipiter gularis iwasakii リュウキュウツミ

など

生態せいたい[編集へんしゅう]

平地ひらちから山地さんちの森林しんりんに生息せいそくする。単独たんどくもしくはペアで生活せいかつする。^[2]

食しょく性せいは動物どうぶつ食しょくで、主おもに小型こがた鳥類ちょうるいを食たべるが、爬虫類はちゅうるい、小形おがた哺乳類ほにゅうるい、昆虫こんちゅうなども食たべる^[2]。漢字かんじ表記ひょうきの雀すずめはスズメも含ふくめた小型こがたの鳥類ちょうるいを捕食ほしょくすることにも由来ゆらいし、英名えいめい（sparrow=スズメ）と同義どうぎ。

繁殖はんしょく形態けいたいは卵生らんせい。繁殖はんしょく期きには縄張なわばりを形成けいせいする。針葉樹しんようじゅの樹き上じょうに木きの枝えだを組くみ合あわせた巣すを作つくり、4-6月がつに1回かいに2-5個この卵たまごを産うむ。抱だき卵たまご期間きかんは約やく30日にち。雛ひなは孵化ふかから約やく30日にちで巣立すだつ。

本来ほんらいツミは、巣すの半径はんけい50m以内いないに侵入しんにゅうするカラスなどの捕食ほしょく者しゃに対たいし防衛ぼうえい行動こうどうを行おこなうことから、卵たまごや雛ひなの捕食ほしょくを避さけるためにオナガがツミの巣すの周囲しゅういで繁殖はんしょくすることが多おおかった。だが近年きんねんではカラスの個体こたい数すうが増加ぞうかし、ツミが防ふせぎきれなくなったことからカラスに対たいしあまり防衛ぼうえい行動こうどうを行おこなわなくなり、オナガがツミを頼たよりにすることが減へってきている^[3]。

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

鷹狩たかがりにおいては古ふるくからオスをエッサイ（悦哉えつや）と呼称こしょうすることもある。

都市とし部ぶでは緑化りょくかに伴ともない、繁殖はんしょく例れいも増加ぞうかしている。しかし開発かいはつによる生息せいそく地ちの破壊はかいにより生息せいそく数すうは減少げんしょうしている。

リュウキュウツミ A. g. iwasakii

絶滅ぜつめつ危惧きぐII類るい (VU)（環境省かんきょうしょうレッドリスト）

出典しゅってん[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ハイタカ BIRD FAN（日本にっぽん野鳥やちょうの会かい）
^ ^a ^b 叶内かなうち拓哉たくや、阿部あべ直哉なおや、上田うえだ秀雄ひでお『山やま渓けいハンディ図鑑ずかん７新版しんぱん日本にっぽんの野鳥やちょう』山やまと溪谷社けいこくしゃ、2014年ねん、372-373頁ぺーじ。 ISBN 978-4-635-07033-1
^ 植田うえだ睦あつし之の「頼たよりにならない奴やつはいらない! -ツミのまわりで繁殖はんしょくしなくなったオナガ-」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい2006年ねん大会たいかい講演こうえん要旨ようし集しゅう』 2006年ねん、121頁ぺーじ。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

安部あべ直哉なおや『山やま渓けい名前なまえ図鑑ずかん野鳥やちょうの名前なまえ』、山やまと渓谷社けいこくしゃ、2008年ねん、236-237頁ぺーじ。
五ご百ひゃく沢さわ日び丸まる『日本にっぽんの鳥とり550 山野さんやの鳥とり増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』、文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2004年ねん、28-29頁ぺーじ。
黒田くろだ長久ちょうきゅう監修かんしゅう C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編へん『動物どうぶつ大だい百科ひゃっか7 鳥ちょうI』、平凡社へいぼんしゃ、1986年ねん、182頁ぺーじ。
高野たかの伸二しんじ編へん『山やま渓けいカラー名鑑めいかん日本にっぽんの野鳥やちょう特とく装そう版ばん』、山やまと渓谷社けいこくしゃ、1985年ねん、146-147頁ぺーじ。
高野たかの伸二しんじ『フィールドガイド日本にっぽんの野鳥やちょう増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』、日本にっぽん野鳥やちょうの会かい、2007年ねん、178-179頁ぺーじ。
中村なかむら登のぼる流りゅう監修かんしゅう『原色げんしょくワイド図鑑ずかん4 鳥ちょう』、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1984年ねん、107頁ぺーじ。
真木まき広造ひろぞう、大西おおにし敏一としいち『日本にっぽんの野鳥やちょう590』、平凡社へいぼんしゃ、2000年ねん、150頁ぺーじ。
『小学館しょうがくかんの図鑑ずかんNEO 鳥とり』、小学館しょうがくかん、2002年ねん、39頁ぺーじ。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

CITES homepage
- Appendices I, II and III
IUCN Red List - Home Page -
- BirdLife International 2008. Accipiter gularis. In: IUCN 2009. 2009 IUCN Red List of Threatened Species.
環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょう局きょく生物せいぶつ多様たよう性せいセンター
- 絶滅ぜつめつ危惧きぐ種しゅ情報じょうほう（動物どうぶつ）- リュウキュウツミ -

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[1] ハイタカ BIRD FAN（日本にっぽん野鳥やちょうの会かい）

[:0-2] 叶内かなうち拓哉たくや、阿部あべ直哉なおや、上田うえだ秀雄ひでお『山やま渓けいハンディ図鑑ずかん７新版しんぱん日本にっぽんの野鳥やちょう』山やまと溪谷社けいこくしゃ、2014年ねん、372-373頁ぺーじ。 ISBN 978-4-635-07033-1

[3] 植田うえだ睦あつし之の「頼たよりにならない奴やつはいらない! -ツミのまわりで繁殖はんしょくしなくなったオナガ-」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい2006年ねん大会たいかい講演こうえん要旨ようし集しゅう』 2006年ねん、121頁ぺーじ。

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