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テレマティクス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Lexus Gen V navigation system

テレマティクスえい: telematics)とは、移動いどうたい移動いどうたい通信つうしんシステムを利用りようしてサービスを提供ていきょうすることの総称そうしょうテレマティクスサービスえい: telematics service)とも[1]

テレコミュニケーション(telecommunication=電気でんき通信つうしん)とインフォマティクスinformatics=情報処理じょうほうしょり)からつくられた造語ぞうごである[1]

日本にっぽんにおいては、「自動車じどうしゃ輸送ゆそう車両しゃりょうなどへの情報じょうほう提供ていきょうサービス」の意味いみもちいられることもある[1]運転うんてんしゅほっする情報じょうほうCD-ROMDVDといった車載しゃさい記録きろく媒体ばいたいから取得しゅとくするのではなく、双方向そうほうこう通信つうしんによって情報じょうほう提供ていきょうしゃからくるま情報じょうほう送信そうしんするとともに、くるまからも走行そうこう情報じょうほうなどを送信そうしんする[1]自動車じどうしゃけであることを強調きょうちょうする場合ばあい自動車じどうしゃけテレマティクスカーテレマティクス)とぶこともある[2]

概要がいよう

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自動車じどうしゃなどにおいて安全あんぜん安心あんしん機能きのう実現じつげんと、情報じょうほう配信はいしんによる利便りべんせい向上こうじょうを2だい目的もくてきとする。前者ぜんしゃぞくするものとしてエアバッグ連動れんどう自動じどう緊急きんきゅう通報つうほう機能きのう車両しゃりょう盗難とうなんどき追跡ついせき機能きのう後者こうしゃぞくするものとして、交通こうつう情報じょうほう配信はいしん電子でんしメール天気てんき予報よほうなどがある。

現時点げんじてんでは、カーナビ連動れんどうして天気てんき予報よほう渋滞じゅうたい情報じょうほうなどを閲覧えつらんしたり、電子でんしメールをやりりするなど、あくまでも個別こべつ自動車じどうしゃじょうでの機能きのうしかっていないが、将来しょうらいてきには高度こうど道路どうろ交通こうつうシステム(ITS)の一端いったんになうものとして期待きたいされている。

トヨタ自動車とよたじどうしゃはIT事業じぎょう一環いっかんとして1996ねんごろより業務ぎょうむ改善かいぜん活動かつどうとして、ディーラーと顧客こきゃくとの接点せってん構築こうちくするという観点かんてんからくるま通信つうしん搭載とうさいすることが検討けんとうされはじめたが、当時とうじはトヨタ社内しゃないでもくるまをインターネットに接続せつぞくするコンセプトは理解りかいされなかった[3]すうねんち、スマートカーやインテリジェントカーというコンセプトがトヨタ社内しゃないにもひろまるようになり、2000ねんにはガズーメディアサービス(げんトヨタコネクティッド)が設立せつりつされG-BOOKサービスがスタートする[3]。ただし、G-BOOKサービスは「エアバッグ稼働かどうしたら救護きゅうごたいへの自動じどう通報つうほうおこなう」「一定いってい走行そうこう距離きょりえたら、ユーザーに点検てんけんうながすメールを送信そうしんする」といった顧客こきゃく安心あんしん安全あんぜんけてはたらくプルがたサービスであり、くるま情報じょうほうセンターの常時じょうじ接続せつぞくおこなわれていなかった[3]

日本にっぽん商用しょうようテレマティクスの先駆せんくてき存在そんざいとして、2004ねんにサービスが開始かいしされたいすゞ自動車ずじどうしゃの「みまもりくんげんMIMAMORI)」がある[4]。この商品しょうひん自社じしゃくるま以外いがいにも搭載とうさいでき、「くるま」「会社かいしゃ」「荷主にぬし」とネットワークでむすびエンジンの情報じょうほう燃費ねんぴとう)や荷物にもつ到着とうちゃく予定よてい時刻じこくを3しゃ共有きょうゆうできる[4]。すぐれたてんは「改正かいせいしょうエネルギーほう」により義務付ぎむづけられるCO2排出はいしゅつりょうとう報告ほうこく事項じこう簡単かんたん作成さくせいし、荷主にぬし運送うんそう事業じぎょうしゃ提出ていしゅつできる。

くるま情報じょうほうセンターの常時じょうじ接続せつぞく実現じつげんした自動車じどうしゃは、コネクテッドカーばれている。

利用りようれい

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テレマティクス保険ほけん

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テレマティクス保険ほけんは、自動車じどうしゃ設置せっちしたテレマティクスサービスの端末たんまつから走行そうこう距離きょり運転うんてん速度そくどきゅう発進はっしんきゅうブレーキといった運転うんてん情報じょうほう実績じっせき取得しゅとくし、実績じっせきおうじた保険ほけんりょう算定さんていする保険ほけんである[5]

走行そうこう距離きょりみじかいと保険ほけんりょうやすくなり、ながいとたかくなる「走行そうこう距離きょり連動れんどうがた」=PAYD(ペイド):Pay As Your Driveと、運転うんてん速度そくどおさえられている、きゅう発進はっしんきゅうブレーキ、きゅうハンドルなど危険きけん運転うんてんにつながるような運転うんてんおこなっていないと保険ほけんりょうやすくなる「運転うんてん行動こうどう連動れんどうがた」=PHYD(ファイド):Pay How Your Driveの2種類しゅるいがある[5]

過去かこ事故じこれき違反いはんれきいという実績じっせき自動車じどうしゃ保険ほけんりょうがる制度せいどがあるが、「実績じっせき」そのものが若年じゃくねんそうにはこういった自動車じどうしゃ保険ほけんりょう割引わりびき適用てきようされない[6]過去かこすうねんぶん実績じっせきではなく、いま実績じっせき先月せんげつ先々月せんせんげつといったちか過去かこ実績じっせき)として「事故じここしづらい優良ゆうりょうドライバー」であるならは保険ほけんりょう減額げんがくになるというPHYDがた公平こうへいせいがあるとかんがえるひとおおく、テレマティクス保険ほけん加入かにゅうしゃえている[5][6]2016ねん時点じてんで、アメリカではやく500まんにんイギリスではやく50まんにん利用りようしゃがいるとわれる[6]

1992ねんからプログレッシブ保険ほけん英語えいごばんアメリカ)でテレマティクス保険ほけん研究けんきゅう実証じっしょう実験じっけんおこなっている[7]。プログレッシブ保険ほけんでは「Autograph」という商品しょうひん開発かいはつし、1990年代ねんだい後半こうはんから2000ねん前半ぜんはんテキサスしゅう実証じっしょう実験じっけんおこない、走行そうこう距離きょり速度そくど走行そうこう時間じかんたいといったデータ、走行そうこう距離きょり交通こうつう事故じこのリスクに相関そうかん関係かんけいがあることをあきらかにした[7]

日本にっぽんにおいてはPAYDがた保険ほけん2004ねんあいおい損害そんがい保険ほけんげんあいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん)がを販売はんばいしたのが、日本にっぽんはじめての事例じれいとなり、[1][5]、PHYDがた保険ほけん2018ねんトヨタ自動車とよたじどうしゃとあいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん共同きょうどう開発かいはつ提供ていきょうしたのが日本にっぽんはじめての事例じれいとなる[8]

遠隔えんかく管理かんり監視かんしシステム

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小松製作所こまつせいさくしょKOMTRAXや、ゼネラル・エレクトリックのエンジン状態じょうたい監視かんしシステムICEMS(In-flight engine condition monitoring system)が代表だいひょうれいとしてげられる[2]

建設けんせつ機器ききやジェットエンジンの稼働かどう情報じょうほう随時ずいじ送信そうしんし、データを蓄積ちくせきし、分析ぶんせきすることで稼働かどう状態じょうたいかん故障こしょうちょう監視かんしおこない、故障こしょう発生はっせいするまえ保守ほしゅおこなう。消耗しょうもうひん保守ほしゅ部品ぶひん管理かんり計画けいかく保守ほしゅ計画けいかく最適さいてき故障こしょうするまえ整備せいびおこなうことによって故障こしょう発生はっせいさせることなく稼働かどうりつげるといったメリットがある。

船舶せんぱく

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長距離ちょうきょり航海こうかいにおいては、航行こうこう距離きょり多少たしょうびてもなみおだやかな海域かいいきすすんだほうが燃費ねんぴ効率こうりつ[2]航海こうかいする時間じかん距離きょり天候てんこうによるなみ状況じょうきょう船舶せんぱくのエンジンの稼働かどう情報じょうほうなどのデータをかく船舶せんぱくから送信そうしんし、船舶せんぱくからの情報じょうほう気象きしょう観測かんそく衛星えいせいからの情報じょうほう照合しょうごうし、最適さいてき航路こうろ選択せんたくすることで、燃料ねんりょうのコスト削減さくげんにつなげられる[2]

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e 『PAYD(ペイド)』しん発売はつばい” (PDF). あいおい損害そんがい保険ほけん. p. 3 (2004ねん3がつ4にち). 2017ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d 井上いのうえたかしひろし (2015ねん5がつ11にち). “製造せいぞうぎょうけIoT活用かつよう入門にゅうもん (1/5)”. MONOist. 2017ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c 片山かたやまおさむくるま情報じょうほう通信つうしん融合ゆうごうけたみ」『「はし情報じょうほう端末たんまつ」トヨタしゃ戦略せんりゃくPHP研究所けんきゅうじょ、2017ねん 
  4. ^ a b 広田ひろたみんろう『ツウになる!トラックの教本きょうほん秀和しゅうわシステム、2018ねん、186ぺーじISBN 9784798052298 
  5. ^ a b c d だいらいしゅん (2015ねん5がつ14にち). “走行そうこう距離きょり運転うんてん技術ぎじゅつ保険ほけんりょうわる 「テレマティクス保険ほけん」は日本にっぽんでも普及ふきゅうするか?”. ダイヤモンド・オンライン. 2017ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c 山下やましたたけ (2017ねん3がつ1にち). “保険ほけん業界ぎょうかい激変げきへんさせる「IoT保険ほけん」とはなに”. プレジデントしゃ. 2017ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  7. ^ a b テレマティクス保険ほけん発祥はっしょう普及ふきゅう背景はいけい”. SmartDrive Magazine (2017ねん2がつ8にち). 2017ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  8. ^ “トヨタ、IoTでくるま保険ほけん割引わりびき 安全あんぜん運転うんてんならやすく、国内こくないはつ. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2017ねん11月8にち). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23254880Y7A101C1TJ2000/ 2018ねん3がつ23にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

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