(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ハーバート・ハート - Wikipedia コンテンツにスキップ

ハーバート・ハート

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハーバート・ライオネル・アドルファス・ハート
Herbert Lionel Adolphus Hart
生誕せいたん (1907-07-18) 1907ねん7がつ18にち
イギリスの旗 イギリスイングランドハロゲイト
死没しぼつ (1992-12-19) 1992ねん12月19にち(85さいぼつ
イギリスの旗 イギリスイングランドオックスフォード
時代じだい 20世紀せいき哲学てつがく
地域ちいき 西洋せいよう哲学てつがく
配偶はいぐうしゃ ジェニファー・ハート
学派がくは 現代げんだい思想しそう分析ぶんせき哲学てつがく
ほう実証じっしょう主義しゅぎ
自然しぜんほうリアリズム法学ほうがくへの批判ひはん
研究けんきゅう分野ぶんや 社会しゃかい哲学てつがくほう哲学てつがくほう実証じっしょう主義しゅぎ
政治せいじ哲学てつがく自由じゆう主義しゅぎ
倫理りんりがく功利こうり主義しゅぎ
言語げんご哲学てつがく
おも概念がいねん 現代げんだいてきほう実証じっしょう主義しゅぎほう概念がいねん
テンプレートを表示ひょうじ

ハーバート・ライオネル・アドルファス・ハート(Herbert Lionel Adolphus Hart、1907ねん7がつ18にち - 1992ねん12月19にち、H.L.A.ハート)は、イギリス哲学てつがくしゃ分析ぶんせき哲学てつがく)であり、20世紀せいき代表だいひょうするほう哲学てつがくしゃ一人ひとりである。イギリスオックスフォおっくすふぉド大学どだいがく教授きょうじゅをつとめ、『ほう概念がいねん』(The Concept of Law)という著書ちょしょのこしている。かれは、分析ぶんせき哲学てつがく枠組わくぐみのなかで、現代げんだいてきほう実証じっしょう主義しゅぎ理論りろん発展はってんさせた人物じんぶつである。

略歴りゃくれき

[編集へんしゅう]

1907ねんドイツひとポーランドひと祖先そせんをもつユダヤじん洋服ようふくとしてまれた。

ブラッドフォード・グラマー・スクールを卒業そつぎょうオックスフォおっくすふぉド大学どだいがくニューカレッジにおいて人文じんぶん科学かがく課程かてい専攻せんこうした。

1929ねん優秀ゆうしゅう成績せいせきどう大学だいがく卒業そつぎょうしたのちかれ法廷ほうてい弁護士べんごしとなり、1932ねんから1940ねんまでだい法官ほうかん裁判所さいばんしょ弁護士べんごしつとめた。

だい世界せかい大戦たいせんなかは、イギリス情報じょうほうきょく保安ほあん(MI5)の軍事ぐんじ諜報ちょうほう機関きかんいんとして動員どういんされ、ナチス・ドイツの使用しようする暗号あんごうエニグマ」の解読かいどくのための要員よういんとなった。

1945ねん、オックスフォードだいほう哲学てつがくチューターとしてまねかれ、1952ねんにはどう大学だいがくほう哲学てつがく教授きょうじゅ選任せんにんされた。1969ねん退任たいにん後任こうにんにはロナルド・ドウォーキンいた。かれはそのどう大学だいがく1978ねん定年ていねん退職たいしょくしている。

哲学てつがくてき方法ほうほうろん

[編集へんしゅう]

英語えいごけんにおけるほう哲学てつがく方法ほうほうろんだい変革へんかくをもたらした人物じんぶつについては、H.L.A.ハートをいてはかたれまい。ジョン・L・オースティンルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン影響えいきょうけ、ハートは、法理ほうりろん中心ちゅうしんてき問題もんだいたいし、分析ぶんせき哲学てつがくとく言語げんご哲学てつがく手法しゅほうもちいて対処たいしょした。ハートの理論りろんは、20世紀せいき分析ぶんせき哲学てつがく綿密めんみつ分析ぶんせきと、イギリスのほう哲学てつがく政治せいじ哲学てつがく道徳どうとく哲学てつがくしゃであるジェレミ・ベンサムほう哲学てつがく伝統でんとうとを融合ゆうごうさせた。

著書ちょしょほう概念がいねん

[編集へんしゅう]

H.L.A.ハートのもっと有名ゆうめい著書ちょしょは『ほう概念がいねん』であり、1961ねん発表はっぴょうされた。そのだい2はんは、あらたに追記ついきがなされ、かれ死後しごである1994ねん出版しゅっぱんされた。このほんは、1952ねんからのかれ講義こうぎ、およびかれ1958ねん発表はっぴょうした論文ろんぶん実証じっしょう主義しゅぎほう道徳どうとく分離ぶんりろん」(Positivism and the Separation of Law and Morals)がもととなっており、ほう実証じっしょう主義しゅぎ洗練せんれんされた観点かんてんみちびくものである。このほんにおけるかれかんがえのうちとく有名ゆうめいなものは、つぎのようなものである。

  • ジョン・オースティン先述せんじゅつのジョン・L・オースティンとは別人べつじん)の「ほうとは、刑罰けいばつという脅威きょういによって裏付うらづけられた、主権しゅけんしゃによる命令めいれいである」というかんがかた主権しゅけんしゃ命令めいれいせつ)にたいする批評ひひょう
  • いちてきルール」と「てきルール」との区別くべつ。「いちてきルール」とはひと行為こういたいする公的こうてき支配しはいであり、「てきルール」は「いちてきルール」の承認しょうにん変更へんこう裁定さいてい権限けんげん付与ふよするものである。

その業績ぎょうせき

[編集へんしゅう]

かれに、『ほうにおける因果いんがせい』(Causation in the Law1959ねんだい2はん1985ねん。トニー・オノレとの共著きょうちょ)という著書ちょしょあらわしている。また、道徳どうとく規範きはん強制きょうせいという刑法けいほう役割やくわり是非ぜひかんするパトリック・デヴリン判事はんじとの論争ろんそうを、『ほう自由じゆう道徳どうとく』(Law、Liberty and Morality1963ねん)、および『刑法けいほう道徳どうとくせい』(The Morality of the Criminal Law1965ねん)にあらわしている。

著作ちょさく

[編集へんしゅう]
  • Definition & theory in jurisprudence: an inaugural lecture delivered before the University of Oxford on 30 May, 1953, Clarendon Press, 1953.
  • The concept of law, Clarendon Press, 1961.
ほう概念がいねん』、矢崎やさき光圀みつくに監訳かんやくみすず書房しょぼう、1976ねん長谷部はせべ恭男やすおわけちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、2014ねん
  • Bentham, Oxford University Press, 1962.
  • Law, liberty and morality, Oxford University Press, 1963.
  • The morality of the criminal law: two lectures, Oxford University Press, 1965.
  • Punishment and responsibility: essays in the philosophy of law, Clarendon Press, 1968.
  • Essays on Bentham: studies in jurisprudence and political theory, Clarendon Press, 1982.
  • Essays in jurisprudence and philosophy, Clarendon Press, 1983.
法学ほうがく哲学てつがく論集ろんしゅう』、矢崎やさき光圀みつくに松浦まつうら好治こうじほかやく、みすず書房しょぼう、1990ねん

共著きょうちょ

[編集へんしゅう]
  • Causation in the law, with Tony Honoré, Clarendon Press, 1959, 2nd ed., 1985.
ほうにおける因果いんがせい井上いのうえ祐司ゆうじ真鍋まなべあつし植田うえだひろしやく九州大学きゅうしゅうだいがく出版しゅっぱんかい, 1991ねん

編著へんちょ

[編集へんしゅう]
  • An introduction to the principles of morals and legislation, co-edited with J. H. Burns, Athlone Press, 1970.
  • Of laws in general, edited by H.L.A. Hart, Athlone Press, 1970.
  • A comment on the Commentaries and A fragment on government, co-edited with J. H. Burns, Athlone Press, 1977.

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
本文ほんぶんれた論文ろんぶん実証じっしょう主義しゅぎほう道徳どうとく分離ぶんりろん」がおさめられている。