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ヒドロモルフォン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒドロモルフォン
Structural formula of hydromorphone
Space-filling model of hydromorphone
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい Dilaudid, Hydromorph Contin, others
Drugs.com monograph
MedlinePlus a682013
胎児たいじ危険きけん分類ぶんるい
  • AUえーゆー: C
  • US: C
法的ほうてき規制きせい
依存いぞんせい 非常ひじょうつよ
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
生物せいぶつがくてき利用りようのうOral: 30–35%, Intranasal: 52–58%[1] IV/IM:100%
血漿けっしょうタンパク結合けつごう20%
代謝たいしゃHepatic
半減はんげん2–3 hours[2]
排泄はいせつRenal
データベースID
CAS番号ばんごう
466-99-9 チェック
ATCコード N02AA03 (WHO)
PubChem CID: 5284570
IUPHAR/BPS 7082
DrugBank DB00327 チェック
ChemSpider 4447624 チェック
UNII Q812464R06 チェック
KEGG D08047  チェック
ChEBI CHEBI:5790 チェック
ChEMBL CHEMBL398707 チェック
別名べつめい dihydromorphinone
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC17H19NO3
分子ぶんしりょう285.34 g·mol−1
物理ぶつりてきデータ
みずへの溶解ようかいりょうHCl salt: 333 mg/mL (20 °C)
テンプレートを表示ひょうじ

ヒドロモルフォン(Hydromorphone)は オピオイドるい中枢ちゅうすう作用さようがた鎮痛ちんつうざい [3] 。 ジヒドロ モルフィノンとしてもられ、はやじょう ナルラピド、じょじょう ナルサス、しずかちゅうくすり ナルベイン商品しょうひんめい販売はんばいされている。モルヒネからつくられる。 ヒドロコドンコデインであるのと同様どうように、ヒドロモルホンはモルヒネ(の水素すいそケトン)である。 医学いがくてきにはオピオイド鎮痛ちんつうやくで、法的ほうてきには麻薬まやくである。 ヒドロモルフォンは、生物せいぶつがくてき利用りようのう経口けいこう投与とうよ直腸ちょくちょう投与とうよ、および鼻腔びこうない投与とうよにおいて非常ひじょうひくいので、おも静脈じょうみゃくない注射ちゅうしゃによってもちいられてきた。した投与とうよ通常つうじょう生物せいぶつがくてき利用りようのうおよび薬効やっこうにおいて経口けいこう投与とうよよりすぐれているが、ヒドロモルフォンはにがくそして親水しんすいせいであるため、口腔こうくう粘膜ねんまくからはあまり吸収きゅうしゅうされない。

ヒドロモルフォンはモルヒネよりもはるかに水溶すいようせいなので、ヒドロモルフォン溶液ようえきは、少量しょうりょう水量すいりょう製剤せいざいできる。ヒドロモルフォン塩酸えんさんしお1gは3gのみずけるが、塩酸えんさんモルヒネ1gは16mLのみずける。すべての一般いっぱんてき目的もくてきのために、病院びょういんでの使用しようのための純粋じゅんすい粉末ふんまつは、事実じじつじょう任意にんい濃度のうど溶液ようえき製造せいぞうするために使用しようすることができる。粉末ふんまつ流出りゅうしゅつした場合ばあいいち回分かいぶん投与とうよ必要ひつようとされるりょう非常ひじょう少量しょうりょうなので、ヘロイン粉末ふんまつ麻薬まやく間違まちがえたひととく希釈きしゃくされたもの入手にゅうしゅしたひとにとっては、過剰かじょう摂取せっしゅ可能かのうせいたか[4]

1921ねん特許とっきょ取得しゅとくした [5] 。ごくまれに、 アヘン分析ぶんせきでごく少量しょうりょうのヒドロモルフォンが検出けんしゅつされる。現時点げんじてんでは解明かいめいされていない状況じょうきょうおよびプロセスで、植物しょくぶつ自身じしんさんしているとかんがえられている。 植物しょくぶつにおける同様どうよう過程かていまたは代謝たいしゃ過程かていが、アヘンおよびアヘン由来ゆらいのアルカロイド混合こんごうぶつちゅう非常ひじょう少量しょうりょうのヒドロコドンが見出みいだされる原因げんいんでもありる。 ジヒドロコデイン 、 オキシモルオール 、オキシコドン 、オキシモルフォン 、 メトポン 、およびおそらくのモルヒネおよびヒドロモルフォンの誘導体ゆうどうたいもまた、アヘンちゅう微量びりょう見出みいだされる。

日本にっぽんではなが承認しょうにんであったが、日本にっぽん緩和かんわ医療いりょう学会がっかい日本にっぽん緩和かんわ療薬りょうやく学会がっかいがヒドロモルフォン開発かいはつ要望ようぼうしょ提出ていしゅつしたのをけて、厚生こうせい労働省ろうどうしょうの「医療いりょうじょう必要ひつようせいたか承認しょうにんやく適応てきおうがいやく検討けんとう会議かいぎ」で「医療いりょうじょう必要ひつようせいあり」とみとめられた。そしてだいいち三共さんきょうだいいち三共さんきょうプロファーマ共同きょうどう開発かいはつによるはやじょうの「ナルラピド」、じょじょうの「ナルサス」[6]2017ねん6がつ認可にんかされた。そして、2018ねん5月には同社どうしゃ注射ちゅうしゃやく「ナルベインちゅう」が認可にんかされた[7]

副作用ふくさよう

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ヒドロモルフォンの有害ゆうがい作用さようは、 モルヒネヘロインのようなほか強力きょうりょくなオピオイド鎮痛ちんつうやく有害ゆうがい作用さようる。 ヒドロモルフォンのおも危険きけんには、用量ようりょう依存いぞんてき呼吸こきゅう抑制よくせい尿にょう閉、気管支きかんし痙攣けいれん、そしてときには循環じゅんかん抑制よくせいふくまれる [8] 。もっと一般いっぱんてき副作用ふくさようには、ちくらみ、めまい鎮静ちんせいかゆみ便秘べんぴ嘔吐おうと頭痛ずつう発汗はっかんおよび幻覚げんかくがある[8]。これらの症状しょうじょうは、外来がいらい患者かんじゃ激痛げきつう経験けいけんしていない患者かんじゃによくられる。

ヒドロモルフォンをのオピオイド、すじ弛緩しかんざい精神せいしん安定あんていざい鎮静ちんせいざい、および全身ぜんしん麻酔ますいやく同時どうじ使用しようすると、呼吸こきゅう抑制よくせいいちじるしく増加ぞうかし、昏睡こんすいまたは死亡しぼういたることがある。 ベンゾジアゼピンジアゼパムなど)をヒドロモルフォンと一緒いっしょ服用ふくようすると、めまいや集中しゅうちゅう困難こんなんなどの副作用ふくさよう増大ぞうだいすることがある[9] 。 これらの薬物やくぶつ同時どうじ使用しようする必要ひつようがある場合ばあいは、用量ようりょう調整ちょうせいをすることができる [10]

ヒドロモルフォンでこり特定とくてい問題もんだいは、処方箋しょほうせんかれたとき、またはくすり調剤ちょうざいされたときのいずれかにおいて、名称めいしょう類似るいじしているために、モルヒネと間違まちがえて偶発ぐうはつてき投与とうよされることである。 これはいくつかの死亡しぼう事故じこをもたらし、混乱こんらんけるためにヒドロモルフォンをモルヒネとはあきらかにことなる包装ほうそう分配ぶんぱいすることをもとめている[11] [12]

大量たいりょうりょう摂取せっしゅはオピオイドたいせい個人こじんではめったに観察かんさつされないが、発生はっせいした場合ばあい循環じゅんかんけい虚脱きょだつこす可能かのうせいがある。りょう摂取せっしゅ症状しょうじょうには、呼吸こきゅう抑制よくせい昏睡こんすいおよびときにはいた眠気ねむけ骨格こっかくすじ弛緩しかん心拍しんぱくすう低下ていか、および血圧けつあつ低下ていかふくまれる。病院びょういんでは、ヒドロモルフォンのりょう投与とうよしゃは、酸素さんそ供給きょうきゅうするための補助ほじょ換気かんきけいはなチューブをとおして活性炭かっせいたん使用しようした消化しょうか管内かんない洗浄せんじょうなどの支持しじ療法りょうほうける。ナロキソンなどのオピオイド拮抗きっこうやくも、酸素さんそ補給ほきゅう同時どうじ投与とうよすることができる。ナロキソンはヒドロモルフォンの効果こうか拮抗きっこうさせることによって作用さようするので、重大じゅうだい呼吸こきゅう抑制よくせいおよび循環じゅんかん抑制よくせい存在そんざいでのみ投与とうよされる [10]

薬物やくぶつアルコールで服用ふくようされた場合ばあい過剰かじょう摂取せっしゅ影響えいきょう用量ようりょうダンピングによって悪化あっかすることがある [13]

ヒドロモルフォンの使用しようともなとう渇望かつぼうは、注射ちゅうしゃ一過いっかせいこう血糖けっとうのグルコースの急激きゅうげき減少げんしょう、またはモルヒネ、ヘロイン、コデイン、およびのアヘンざい同様どうように、数時間すうじかんにわたるあまりふかくない血糖けっとう低下ていか結果けっかきる。

ホルモンの均衡きんこう

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のオピオイドと同様どうように、ヒドロモルフォン(とく重度じゅうど慢性まんせいてき使用しようちゅう)はしばしば一時いちじてき性腺せいせん機能きのう低下ていかしょうまたはホルモンの均衡きんこうこす[14]

神経しんけい毒性どくせい

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長期ちょうき使用しようこう用量ようりょう、および/または腎臓じんぞう機能きのう不全ふぜん条件じょうけんでは、ヒドロモルフォンはせんミオクローヌス興奮こうふん 、および認識にんしき機能きのう不全ふぜんなどの神経しんけい興奮こうふんせい症状しょうじょう関連かんれんする[15][16][17]。この毒性どくせいは、とくペチジンクラスの合成ごうせいぶつなどのほかのクラスのオピオイドに関連かんれんするものよりもすくない。

離脱りだつだんやく

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ヒドロモルフォンの使用しようしゃは、薬物やくぶつ中断ちゅうだんされるといたみをともな症状しょうじょう経験けいけんする可能かのうせいがある[18]いたみにえることができず、継続けいぞくてき薬物やくぶつ使用しようをもたらす場合ばあいがある[18]薬物やくぶつ探索たんさく行動こうどうしん離脱りだつ効果こうかにはちがいがあるので、オピオイド離脱りだつ症状しょうじょう解読かいどくするのは容易よういではない [19]。ヒドロモルフォン離脱りだつ関連かんれんする症状しょうじょうには以下いかふくまれる[18][19][20]

  • 腹痛はらいた
  • 不安ふあん/パニック発作ほっさ
  • うつびょう
  • 鳥肌とりはだ
  • 日常にちじょう活動かつどうたのしむことができない
  • 筋肉きんにく関節かんせついた
  • 鼻水はなみず過度かどなみだ分泌ぶんぴつ
  • 発汗はっかん
  • 嘔吐おうと

臨床りんしょう現場げんばでは、なみだえき過剰かじょう分泌ぶんぴつ、あくび、および瞳孔どうこう拡大かくだいは、オピオイド離脱りだつ診断しんだん役立やくだ症状しょうじょうである[21]。ヒドロモルフォンは即効そっこうせい鎮痛ちんつうざいだが、いくつかの製剤せいざい数時間すうじかん効果こうか持続じぞくすることがある。このくすり突然とつぜん中止ちゅうしした患者かんじゃは、ヒドロモルフォンの離脱りだつ症状しょうじょう[20] [22]を、最終さいしゅう投与とうよすう時間じかん以内いない開始かいしし、すう週間しゅうかんまで経験けいけんすることがある [18]。オピオイドを中止ちゅうししたひと禁断症状きんだんしょうじょうは、オピオイドまたはオピオイド補助ほじょざい使用しようすることによって管理かんりできる[23]メサドンは、このたね治療ちりょう一般いっぱんてき使用しようされているオピオイドであるが、治療ちりょうほう選択せんたくはそれぞれのひとわせて調整ちょうせいされるべきである[24] 。 メサドンは、ヘロインやモルヒネにくすりなどのオピオイド依存いぞんしょう解毒げどくにも使用しようされる [24]経口けいこうまたは筋肉きんにくない投与とうよすることができる。治療ちりょう中断ちゅうだんしたとき置換ちかんやく自身じしん患者かんじゃ禁断症状きんだんしょうじょう再発さいはつこすことがあるため、禁断症状きんだんしょうじょう経験けいけんしているものにオピオイドを使用しようすることにかんしては論争ろんそうがある [18]クロニジンオピオイド補助ほじょざいであり、高血圧こうけつあつ患者かんじゃのようにオピオイドの使用しようのぞましくない状況じょうきょう使用しようすることができる [25]

相互そうご作用さよう

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CNS抑制よくせいざいは、ヒドロモルフォンの抑制よくせい効果こうか増強ぞうきょうる。のオピオイド、 麻酔ますいやく鎮静ちんせいやく催眠さいみんやくバルビツレートベンゾジアゼピンフェノチアジンだきすいクロラール 、 ジメンヒドリナート 、およびグルテチミドなど。ヒドロモルフォンの抑制よくせい効果こうかは、 モノアミンオキシダーゼ阻害そがいざい (MAO阻害そがいざい)、だいいち世代せだいこうヒスタミンやく ( ブロムフェニラミン 、 プロメタジンジフェンヒドラミンクロルフェニラミン )、 βべーた遮断しゃだんやく 、およびアルコールによっても増強ぞうきょうされる可能かのうせいがある。 併用へいよう療法りょうほう企図きとされる場合ばあい一方いっぽうまたは両方りょうほう薬剤やくざい用量ようりょうらすべきである [15]

薬理やくりがく

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オピオイド受容じゅようたいでのヒドロモルフォン[26] MOR; μみゅー受容じゅようたい,DOR; δでるた受容じゅようたい,KOR; κかっぱ受容じゅようたい
親和しんわせいKi 比率ひりつ
MOR DOR KOR MOR:DOR:KOR
0.47 nM 18.5nM 24.9nM 1:39:53
とう鎮痛ちんつうやく投与とうよりょう[27] [28] [29] PO; 経口けいこう,IV; 静脈じょうみゃくない
化合かごうぶつ ルート 用量ようりょう
コデイン PO 200 mg
ヘロイン IV 4.5 mg
ヒドロコドン PO 20〜30 mg
ヒドロモルフォン PO 7.5 mg
ヒドロモルフォン IV 1.5 mg
モルヒネ PO 30 mg
モルヒネ IV 10 mg
オキシコドン PO 20 mg
オキシコドン IV 10 mg
オキシモルフォン PO 10 mg
オキシモルフォン IV 1 mg

ヒドロモルフォンははん合成ごうせいμみゅー-オピオイド アゴニストである。 モルヒネの水素すいそケトンとして、オピオイド鎮痛ちんつうやく典型てんけいてき薬理やくりがくてき性質せいしつゆうする。 ヒドロモルホンおよび関連かんれんオピオイドは中枢ちゅうすう神経しんけいけいおよび胃腸いちょうかんにそれらの主要しゅよう効果こうかをもたらす。これらには、 鎮痛ちんつう眠気ねむけ精神せいしんてき混濁こんだく気分きぶん変化へんか多幸たこうかんまたは不快ふかいかん呼吸こきゅう抑制よくせいせき抑制よくせい胃腸いちょう運動うんどう低下ていか悪心あくしん嘔吐おうとのう脊髄せきずいえきあつ上昇じょうしょう胆汁たんじゅうあつ上昇じょうしょう 、および瞳孔どうこうのピンポイント収縮しゅうしゅく上昇じょうしょうふくまれる[22]

ざいがた

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ヒドロモルフォンは、経口けいこう直腸ちょくちょう皮下ひかおよび経口けいこう製剤せいざい入手にゅうしゅ可能かのうであり、 かたまくがい注射ちゅうしゃまたはずい腔内注射ちゅうしゃによっても投与とうよすることができる [30]。 ヒドロモルフォンはまた、 息切いきぎ治療ちりょうするために噴霧ふんむざい投与とうよされてきたが、ひく生物せいぶつがくてき利用りようのうため、疼痛とうつう管理かんり目的もくてき投与とうよ経路けいろとしてはもちいられていない[31]

塩酸えんさんヒドロモルフォンの濃厚のうこう水溶液すいようえきは、とく透明とうめいなアンプルに保存ほぞんされた場合ばあいじゅんみずとうはり9‰(0.9%)生理せいりしょく塩水えんすいなどとはあきらかにことなる屈折くっせつりつち、ひかりにさらされるとわずかに透明とうめい琥珀こはくしょく変色へんしょくしょうじることがある。一説いっせつには、これは溶液ようえき薬効やっこう影響えいきょうおよぼさないが、ヒドロモルフォン、 オキシモルフォン 、およびきんえんぶつの14-ジヒドロモルフィノンは、ひかりから保護ほごするよう説明せつめいしょ記載きさいがある [32]沈殿ちんでんぶつしょうじた溶液ようえきのアンプルは廃棄はいきしなければならない [32]

外科げか手術しゅじゅつおよび伝統でんとうてき薬物やくぶつ療法りょうほうなどのほか選択肢せんたくし除外じょがいされ、患者かんじゃ生理学せいりがくてきおよび心理しんりてき両方りょうほう禁忌きんきかんして適切てきせつ適合てきごうなされるという条件じょうけんにおいて、慢性まんせい疼痛とうつうのために電池でんちしきずい腔内薬物やくぶつ送達そうたつシステムがまれる [33]

ヒドロモルフォンの持続じぞく放出ほうしゅつ(1にち1かいざいがた米国べいこく入手にゅうしゅ可能かのう [34]

かつては、2005ねん7がつのFDAアドバイザリーで、アルコールとの併用へいようこう過剰かじょう摂取せっしゅ可能かのうせいがあると警告けいこくされたのち自発じはつてき市場いちばから撤退てったいされるまえに、ヒドロモルフォンの持続じぞく放出ほうしゅつがたであるPalladoneが入手にゅうしゅ可能かのうだった。2010ねん3がつ現在げんざい英国えいこくではPalladone SRというブランドめいで、ネパールではOpidolというブランドめいで、そしてそののヨーロッパ諸国しょこくでもまた入手にゅうしゅ可能かのう [35]

薬物やくぶつ動態どうたい

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モルヒネ分子ぶんしをヒドロモルフォンに化学かがく修飾しゅうしょくすると、あぶら溶性ようせいたかまり、 血液けつえきのう関門かんもん通過つうかする能力のうりょくたかまり、より迅速じんそく完全かんぜん中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸透しんとうこる。 1ミリグラムあたりでは、ヒドロモルフォンはモルヒネの5ばい効力こうりょくがあるとかんがえられている。変換へんかんりつは4〜8ばいあいだはばがあるが、5ばい一般いっぱんてき臨床りんしょう使用しようほうである [36] [37]たいせい発達はったつおな投与とうよりょうでは鎮痛ちんつう効果こうかられなくなること)も個人こじんによってことなる。

腎臓じんぞう異常いじょうゆうする患者かんじゃは、ヒドロモルフォンを投与とうよするときには注意ちゅういはらわなければならない。 じん機能きのう障害しょうがいのあるひとでは、ヒドロモルフォンの半減はんげん最大さいだい40あいだまで延長えんちょうする可能かのうせいがある。 静脈じょうみゃくない投与とうよでのヒドロモルホンの典型てんけいてき半減はんげんは2.3あいだ [38]最高さいこうちゅう濃度のうどには、通常つうじょう経口けいこう投与とうよ30〜60ふんたっする [39]

ヒドロモルフォンの作用さよう開始かいし静脈じょうみゃくない投与とうよで5ふん以内いないであり、経口けいこう投与とうよ即時そくじ放出ほうしゅつ)では30ふん以内いない [31]

代謝たいしゃ

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コデインやオキシコドンなど、そのクラスのほかのオピオイドはCYP450酵素こうそかいして代謝たいしゃされるが、ヒドロモルフォンはことなる [40]。 ヒドロモルフォンは肝臓かんぞうでヒドロモルフォン-3-グルクロニドに代謝たいしゃされるが、代謝たいしゃぶつ鎮痛ちんつう作用さようはない。 モルヒネ代謝たいしゃ産物さんぶつ、モルヒネ-3-グルクロニド、ヒドロモルホン-3-グルクロニドのちゅう濃度のうど増加ぞうか同様どうようられるように、きのなさ、ミオクローヌスおよび痛覚つうかく過敏かびんのような興奮こうふんせい神経しんけい毒性どくせい作用さようしょうじることがある。 じん機能きのう低下ていかした患者かんじゃおよび高齢こうれい患者かんじゃは、代謝たいしゃ産物さんぶつ蓄積ちくせきのリスクがたか[41] [42]

化学かがく

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ヒドロモルフォンは、モルヒネから直接ちょくせつ転位てんい白金はっきんまたはパラジウム触媒しょくばい存在そんざいでのモルヒネのアルコール溶液ようえきまたは酸性さんせい水溶液すいようえき還流かんりゅう加熱かねつにより)またはジヒドロモルヒネへの還元かんげん通常つうじょう接触せっしょく水素すいそによる )、それにつづベンゾフェノンなかでの酸化さんかにより製造せいぞうれる。 カリウム tert-ブトキシドまたはアルミニウム tert-ブトキシド存在そんざいオッペナウアー酸化さんか)。 6ケトンもとは、 ウィッティヒ反応はんのうかいしてメチレンもと置換ちかんされて、モルヒネより80ばいつよ6-メチレンジヒドロデオキシモルヒネ生成せいせいすることができる [43]

モルヒネをヒドロモルフォンにえることはその活性かっせい増大ぞうだいさせ、そしてそれ、ヒドロモルフォンを重量じゅうりょう基準きじゅんでモルヒネよりやく8ばいつよくするが、のすべてのことはおなじである [よう出典しゅってん]あぶら溶性ようせい変化へんかは、ヒドロモルフォンの吸収きゅうしゅう分布ぶんぷ代謝たいしゃ、および排泄はいせつ特性とくせい作用さようし、より迅速じんそく薬効やっこう開始かいしならびに(一般いっぱんてきな、よりすくない悪心あくしんおよびかゆみで)副作用ふくさよう特性とくせいゆうすることに寄与きよする。ヒドロモルフォンおよびそのコデイン類似るいじたいヒドロコドンもっともよくられている、ふるくからあるはん合成ごうせいアヘンざいには、つよさがさまざまで、微妙びみょうなものとはっきりとしたものがことなる多数たすう薬物やくぶつふくまれ、治療ちりょうのためのさまざまな選択肢せんたくしがある。

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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