フノス

ウィリー・ポガニーが1920年ねんに描えがいたヘイムダルとフノス。このイラストを挿絵さしえとしている書籍しょせき『北欧ほくおう神話しんわ』（日本語にほんご訳やく。岩波いわなみ少年しょうねん文庫ぶんこ、97-99頁ぺーじ）では、フノス（フノッサ）は行方ゆくえ不明ふめいとなった父ちちオーズ（オーズル）と母ははフレイヤを再会さいかいさせられるのが自分じぶんであることから、父ちちの帰還きかんを真まっ先さきに見みつけられるようにいつもビフレストの側がわにいた。そしてヘイムダルと一緒いっしょにいることを好このみ、彼かれから万物ばんぶつがどのようにできたかなどさまざまな話はなしを聞きいたとされている。

フノス（またはフノッサ。Hnoss、Hnos など）は、北欧ほくおう神話しんわに登場とうじょうする愛あいの女神めがみフレイヤとその夫おっとオーズの間あいだに生うまれた娘むすめである。古こノルド語ごでその名前なまえは「宝たから」または「宝石ほうせき」を意味いみする。

概要がいよう

『スノッリのエッダ』第だい一部いちぶ『ギュルヴィたぶらかし』には、彼女かのじょが非常ひじょうに美うつくしいことから北欧ほくおう人じんが美うつくしい人ひとを「フノスのように美うつくしい」と称しょうするという趣旨しゅしのことが書かかれている。 また、人々ひとびとが美うつくしい物ものを「フノシル(Hnossir)」と呼よんだともいわれている。

『ユングリング家かのサガ』第だい10章しょうによると、姉妹しまいはゲルセミとされている。 二人ふたりがともに美うつくしかったことから、人々ひとびとは高価こうかな物ものをフノスとゲルセミの名なに由来ゆらいして呼よんだともいわれている。

フノスはアースガルズに住すむ神かみ々の中なかで最もっとも若わかく、町まちの中なかのどの御殿ごてんを訪おとずれても、喜よろこんで迎むかえ入いれられ、自由じゆうに遊あそびに行いくことが出来できた。

ケニング

フノスに関かんする次つぎのようなケニングの用例ようれいがみられる。

• 詩人しじんエイナルによる、フノス→宝たからの用例ようれい
  • ヴァンの花嫁はなよめ（フレイヤ）のしたたかなる娘むすめ
  • ゲヴン（フレイヤ）の娘むすめ
• 詩人しじんエイナルによる、フノス→宝たから→斧おのの用例ようれい
  • ホルン（フレイヤ）の黄金おうごんにて飾かざられたるめぐし子こ
  • フレイの姪めい
  • ニョルズの娘むすめ（フレイヤ）の子こ

ほかに、フレイヤを「フノスの母はは」と呼よぶ用例ようれいがある。

参考さんこう文献ぶんけん

• スノッリ・ストゥルルソン『ヘイムスクリングラ - 北欧ほくおう王朝おうちょう史し -（一いち）』谷口たにぐち幸男ゆきお訳わけ、プレスポート・北欧ほくおう文化ぶんか通信つうしん社しゃ、2008年ねん、ISBN 978-4-938409-02-9
• V.G.ネッケル他た編へん『エッダ 古代こだい北欧ほくおう歌謡かよう集しゅう』谷口たにぐち幸男ゆきお訳やく、新潮社しんちょうしゃ、1973年ねん、ISBN 978-4-103-13701-6。
• 谷口たにぐち幸男ゆきお「スノリ『エッダ』「詩語しご法ほう」訳注やくちゅう」『広島大学ひろしまだいがく文学部ぶんがくぶ紀要きよう』第だい43巻かんNo.特輯とくしゅう号ごう3、1983年ねん。
• パードリック・コラム(en)『北欧ほくおう神話しんわ』尾崎おざき義よし訳わけ、岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみ少年しょうねん文庫ぶんこ〉、2001年ねん、ISBN 978-4-00-114550-2。
• 松村まつむら武雄たけお編へん『世界せかい神話しんわ伝説でんせつ大系たいけい29 北欧ほくおうの神話しんわ伝説でんせつ（I）』名著めいちょ普及ふきゅう会かい、1980年ねん改訂かいてい版ばん、ISBN 978-4-89551-279-4。
• 山室やまむろ静しず『北欧ほくおうの神話しんわ 神しん々と巨人きょじんのたたかい』筑摩書房ちくましょぼう〈世界せかいの神話しんわ 8〉、1982年ねん、ISBN 978-4-480-32908-0。
• Orchard, Andy (1997). Dictionary of Norse Myth and Legend. Cassell. ISBN 0-304-34520-2